JP2013088599A - 無端ベルト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無端ベルト1は、筒状に形成され、電子導電性を有する基層2と、基層2の外周面に沿って形成され、イオン導電性を有するゴム弾性層3とからなる。基層2の表面抵抗率ρsbは1×108〜1×1013Ω/□の範囲内とされる。さらに、基層2の体積抵抗率ρvb>基層2の表面抵抗率ρsb≧ゴム弾性層3の表面抵抗率ρse>ゴム弾性層3の体積抵抗率ρveの関係を満たしている。基層2は、カーボンナノチューブ等の繊維状の電子導電剤を含有することが好ましい。
【選択図】図3
Description
すなわち、この種の無端ベルトを、電子写真方式を採用する画像形成装置の中間転写ベルト等に適用する場合、図6に模式的に示すように、無端ベルト9のベルト裏面9bから電圧を印加すると、ベルト裏面9bである基層2の内側面に電荷4が発生する。ベルト裏面9bに生じた電荷4は、基層2の内部、ゴム弾性層3の内部を順に通って、最終的にはベルト表面9aであるゴム弾性層3の外側面に到達する。
該基層の外周面に沿って形成され、イオン導電性を有するゴム弾性層とからなり、
上記基層の表面抵抗率ρsbが1×108〜1×1013Ω/□の範囲内にあり、
上記基層の体積抵抗率ρvb>上記基層の表面抵抗率ρsb≧上記ゴム弾性層の表面抵抗率ρse>上記ゴム弾性層の体積抵抗率ρveの関係を満たすことを特徴とする無端ベルトにある(請求項1)。
すなわち、上記無端ベルトの裏面から電圧を印加すると、ベルト裏面である基層の内側面に電荷が発生する。ベルト裏面に生じた電荷は、基本的に、基層の内部、ゴム弾性層の内部を順に通って、最終的にはベルト表面であるゴム弾性層の外側面に到達する。このように、ベルト裏面からベルト表面に向かう大まかな電荷の流れを形成するためには、ゴム弾性層の電気抵抗率は、基層の電気抵抗率と同じかそれより小さい方がよい。そのため、上記無端ベルトでは、基層の体積抵抗率ρvb、基層の表面抵抗率ρsb≧ゴム弾性層の表面抵抗率ρse、ゴム弾性層の体積抵抗率ρveの関係とされる。
実施例に係る無端ベルトの概略構成を図2、図3を用いて説明する。図2、図3に示すように、無端ベルト1は、筒状に形成され、電子導電性を有する基層2と、基層2の外周面に沿って形成され、イオン導電性を有するゴム弾性層3との二層構造からなる。本例では、基層2は、繊維状の電子導電剤を含有する合成樹脂材料から形成されている。具体的には、繊維状の電子導電剤としてのカーボンナノチューブを含有するポリアミドイミドから形成されている。なお、基層2の厚みは80μmである。一方、ゴム弾性層3は、イオン導電剤を含有し、C=C二重結合を有するゴム材料から形成されている。具体的には、イオン導電剤としての第四級アンモニウム塩、難燃剤、架橋剤等を含有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)から形成されている。なお、ゴム弾性層3の厚みは200μmである。また、ベルト表面1aであるゴム弾性層3の外側面は、紫外線照射が施されることにより表面改質されており、ゴム弾性層3の内部よりも硬度が高くされている。他にも、ゴム弾性層3の外側面は、フッ素原子または塩素原子が導入されることにより表面改質されていてもよい。ゴム弾性層3の外側面は、上記表面改質によってゴム弾性層3の内部よりもタック性が低くなっている。
<PAI系基層形成材料の調製>
攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)[日本ポリウレタン工業(株)製、「ミリオネートMT」]22質量部と、トリジンジイソシアネート(TODI)[日本曹達(株)製、「TODI/R203」]29質量部と、無水トリメリット酸[三菱ガス化学(株)製、「TMA」]36質量部と、α、ω−ポリブタジエンジカルボン酸[日本曹達(株)製、「C−1000」]20質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)250質量部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後に反応を停止し、ポリアミドイミド溶液(固形分濃度:26質量%)を調製した。
次いで、このポリアミドイミド溶液に、表1に示されるように、ポリアミドイミド100質量部に対し、電子導電剤(繊維状の電子導電剤であるカーボンナノチューブ<1>、カーボンナノチューブ<2>、粒子状の電子導電剤であるカーボンブラック<1>、カーボンブラック<2>のいずれか)を所定量配合し、撹拌羽根にて混合した後、ボールミルを用いて分散させた。
・カーボンナノチューブ<1>[宇部興産(株)製、「AMC」]
・カーボンナノチューブ<2>[昭和電工(株)製、「VGCF−H」]
・カーボンブラック<1>[キャボットジャパン(株)製、「BLACKPEARLS2000」]
・カーボンブラック<2>[デグザ社製、「SpecialBlack6」]
これにより、試料1〜4、7〜11の作製に用いるための液状の各PAI系基層形成材料を調製した。各PAI系基層形成材料の粘度は、10,000mPa・s(25℃、B型粘度計の測定値)に調整した。
表1に示されるように、ポリイミド(PI)[新日本理化(株)製、「リカコート EN−20」]100質量部と、カーボンナノチューブ<1>[宇部興産(株)製、「AMC」]3質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)800質量部とを混合、分散した。これにより、試料5、6の作製に用いるための液状の基層形成材料Bを調製した。なお、PI系基層形成材料の粘度は、10,000mPa・s(25℃、B型粘度計の測定値)に調整した。
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)[日本ゼオン(株)製、「ニポールDN101」]と、架橋剤(フェノール樹脂系)[住友ベークライト(株)製、「スミライトレジンPR−50087」]と、イオン導電剤(TBAHS)[和光純薬工業(株)製]と、有機系難燃剤(フォスファゼン誘導体)[(株)伏見製薬所、「ラビトルFP−110」]と、無機系難燃剤(水酸化アルミニウム)[ナバルテック社製、「APYRAL60D」]とを、表1に示す割合にて配合し、混合することにより、各ゴム弾性層形成材料を調製した。なお、各ゴム弾性層形成材料の調製に際しては、溶媒としてシクロヘキサノンを用い、各ゴム弾性層形成材料に含まれるシクロヘキサノンの質量割合(溶媒比率)は、75%とした。
次亜塩素酸tert−ブチル:2質量部と、酢酸エチル:9.8質量部と、ターシャリーブチルアルコール(TBA):88.2質量部とを混合し、表面処理液A(固形分:2%)を調製した。また、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体:2質量部と、酢酸エチル:9.8質量部と、ターシャリーブチルアルコール(TBA):88.2質量部とを混合し、表面処理液B(固形分:2%)を調製した。
次いで、調製した表面処理液Aと表面処理液Bとを1:1の割合で混合することにより、ゴム弾性層表面をフッ素・塩素処理(F・Cl処理)するための表面処理液を調製した。
基体として、アルミニウム製の円筒状金型を準備した。また、2つのノズルを有するディスペンサ(液体定量吐出装置)を準備した。このディスペンサのノズルは、内径φ=1mmのニードルノズルである。次いで、上記調製した液状のPAI系基層形成材料またはPI系基層形成材料と液状のゴム弾性層形成材料をそれぞれ別のエアー加圧タンクに収容し、金型の外周面とノズルとのクリアランスを1mmとして、金型およびノズルをセットした。次いで、金型を垂直にした状態で、回転数60rpmで軸中心に回転させながら、基層形成材料を吐出するノズルを1mm/secの移動速度で軸方向下方に移動させるとともに、エアー加圧タンクに1.5MPaの圧力をかけて基層形成材料をノズルに圧送し、ノズルから基層形成材料を吐出させ、金型の外周面上にらせん状に塗工し、らせん状塗膜の連続体からなる全体塗膜を形成した。なお、形成された全体塗膜の厚さは80μmであった。次いで、形成された全体塗膜に対して、2時間で250℃まで昇温し、250℃で1時間保持するという条件にて加熱処理を施した。これにより、金型の外周面上に、電子導電性を有するポリアミドイミド製または電子導電性を有するポリイミド製の筒状の各基層を形成した。
JIS K6911に準拠する抵抗率計[(株)三菱化学アナリテック製、「ハイレスタUP MCP−HT450型」(二重リングプローブ法、リングプローブ:URS使用)]を用い、基層、ゴム弾性層の軸方向中央部、両端部につき、それぞれ周方向に等間隔で4箇所の測定位置(合計12箇所)における体積抵抗率(Ω・cm)、表面抵抗率(Ω/□)を測定し、それぞれの平均値を基層の体積抵抗率ρvb(Ω・cm)、ゴム弾性層の体積抵抗率ρve(Ω・cm)、基層の表面抵抗率ρsb、ゴム弾性層の表面抵抗率ρse(Ω/□)として求めた。
なお、測定環境は、23℃×53%RHの環境下とし、測定サンプルには、上記ベルト作製時に同条件にて作製した各層の単層サンプルを用いた。また、体積抵抗率は、印加電圧100V、印加時間10秒の条件にて、基層、ゴム弾性層に抵抗率計のプローブをそれぞれ当接させることにより測定した。一方、表面抵抗率は、印加電圧500V、印加時間10秒の条件にて、基層、ゴム弾性層に抵抗率計のプローブをそれぞれ当接させることにより測定した。
各無端ベルトを、電子写真方式の複合機(富士ゼロックス(株)製、「DocuCentre−IV C2260」)の中間転写ベルトとして組み込み、15℃×10%RHの環境下にて、ドットパターンを出力したときのベルト表面をマイクロスコープにて観察し、一次転写されたトナー像の飛び散り具合を評価した。図4に模式的に示すように、ベルト表面1aにドットパターンP以外のトナーtの飛び散りがほとんど見られなかった場合をドット再現性に優れるとして「◎」と評価した。ベルト表面1aにトナーtの飛び散りが僅かに見られたが、許容範囲であった場合をドット再現性が良好であるとして「○」と評価した。図5に模式的に示すように、ベルト表面1aにドットパターンP以外のトナーtの飛び散りが随所に見られ、ドットパターンPが乱れた(ベルト表面に一次転写されたドット型のトナー像が乱れた)場合を「×」と評価した。
白色光度計(有限会社東京電色製、「TC−6D S/A」)を用い、各無端ベルトのベルト表面の初期白色度を測定した。次いで、各無端ベルトを、電子写真方式の複合機(富士ゼロックス(株)製、「DocuCentre−IV C2260」)の中間転写ベルトとして組み込み、32℃×85%RHの環境下にて、画像出力(テストパターン印刷)をA4紙で2万枚行った。その後、各無端ベルトを複合機から取り外し、再度、ベルト表面の耐久後白色度を測定した。そして、耐久後白色度と初期白色度との差を算出し、この差が0〜0.3以下であった場合をクリーニング性に優れるとして「◎」、上記差が0.3超〜0.6以下の範囲内であった場合をクリーニング性が良好であるとして「○」、上記差が0.6超であった場合をクリーニング性に劣るとして「×」と評価した。なお、本評価は、参考として行ったものである。
各無端ベルトを、電子写真方式の複合機(富士ゼロックス(株)製、「DocuCentre−IV C2260」)の中間転写ベルトとして組み込み、15℃×10%RHの環境下にて、黒ベタパターンにて両面画像出力(テストパターン印刷、A4紙)を行った。得られた裏面側の画像にて白点抜けの異常が見られなかった場合を二次転写性が良好であるとして「◎」、白点抜けの異常が僅かに見られたが、許容範囲内であった場合を二次転写性が良好であるとして「○」、白点抜けの異常が見られた場合を二次転写性に劣るとして「×」と評価した。なお、本評価は、参考として行ったものである。
1a ベルト表面
1b ベルト裏面
2 基層
3 ゴム弾性層
4 電荷
T ベルト厚み方向
S ベルト面方向
P ドットパターン
t トナー
Claims (6)
- 筒状に形成され、電子導電性を有する基層と、
該基層の外周面に沿って形成され、イオン導電性を有するゴム弾性層とからなり、
上記基層の表面抵抗率ρsbが1×108〜1×1013Ω/□の範囲内にあり、
上記基層の体積抵抗率ρvb>上記基層の表面抵抗率ρsb≧上記ゴム弾性層の表面抵抗率ρse>上記ゴム弾性層の体積抵抗率ρveの関係を満たすことを特徴とする無端ベルト。 - 請求項1に記載の無端ベルトにおいて、
上記基層は、繊維状の電子導電剤を含有することを特徴とする無端ベルト。 - 請求項2に記載の無端ベルトにおいて、
上記繊維状の電子導電剤は、カーボンナノチューブであることを特徴とする無端ベルト。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の無端ベルトにおいて、
上記基層は、ポリアミドイミドおよびポリイミドから選択される1種または2種以上の樹脂から構成されていることを特徴とする無端ベルト。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の無端ベルトにおいて、
上記ゴム弾性層の外側面は、上記ゴム弾性層の内部よりもタック性が低くされていることを特徴とする無端ベルト。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の無端ベルトにおいて、
上記ゴム弾性層の外側面にF原子および/またはCl原子が存在している、あるいは、上記ゴム弾性層の外側面が光照射処理により上記ゴム弾性層の内部よりも硬度が高くされていることを特徴とする無端ベルト。
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