JP4438808B2 - 導電性ロール - Google Patents

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Description

本発明は、導電性ロールに関し、さらに詳しくは、電子写真機器などに好適に用いられる導電性ロールに関するものである。
近年、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器が広く使用されるようになってきている。この種の電子写真機器の内部には、感光ドラムが組み込まれており、その周囲には、現像ロール、帯電ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどの導電性ロールが配設されている。
一般に、上記導電性ロールは、トナーに対する離型性を有している必要がある。そのため、ロール最外周には、トナーが付着し難いフッ素樹脂やシリコーン樹脂などの樹脂層が形成されることが多い。
また、上記樹脂層を形成することなく、ロール最外周をゴム層とし、このゴム層の表面を表面処理することにより、トナーに対する離型性を付与する試みも行なわれている。
例えば、特許文献1には、ロール最外周のゴム層表面に、大気圧プラズマによってフッ素化合物を化学的に結合させた電子写真機器用ロールが開示されている。
ところで、ゴムの表面処理方法としては、例えば、特許文献2には、酸素ガス、酸素発生化合物または200℃で1torr以上の蒸気圧を有する含酸素化合物の共存下で、ゴム表面をフッ素ガスで処理する方法が開示されている。
また、特許文献3には、フルオロアルキル基を含有するフッ素系化合物とシランカップリング剤とを架橋ゴム表面に塗布した後、加熱処理する方法が開示されている。この方法によれば、溶剤と接触した場合であっても、フッ素処理効果を安定して発現することができるとされている。
さらに、特許文献4には、フルオロアルキル基を含有するフッ素系化合物と多官能性アルコキシシランとを含有する処理液を用い、ゴム表面に処理層を形成する方法が開示されている。この方法によれば、ゴム表面に防汚性を付与することができるとされている。
特開2003−165857号公報 特開昭58−199132号公報 特開2004−67882号公報 特開2003−253022号公報
しかしながら、従来知られる導電性ロールは、次のような問題を有していた。
すなわち、ロール最外周に樹脂層を形成する場合には、樹脂層を形成する前のロール表層に比較して、その柔軟性や、電気抵抗などの表面特性が変わりやすい。
例えば、樹脂層を形成する前のロール表層がゴム層である場合には、樹脂層はゴム層に比較して硬いので、ゴム層の柔軟性が損なわれる。そのため、長期間の使用などにより、樹脂層が、相手材である感光ドラムを傷つけたり、トナーを劣化させたりすることがある。また、樹脂層を形成する前のロール表層がゴム層である場合にかかわらず、樹脂層を形成することにより電気的なレスポンスが変化する。これらの結果、電子写真機器の画像に不具合が生じるといった問題があった。
また、特許文献1に記載される電子写真機器用ロールや、従来の、フッ素添加剤を用いて表面処理された導電性ロールでは、トナー離型性と、帯電性能とを両立させるのが難しいという問題があった。
すなわち、特許文献1に記載される方法でロールを表面処理したり、フッ素添加剤を用いてロールを表面処理すると、ロール表面のトナー離型性は確保される。その一方で、例えば、導電性ロールが現像ロールの場合には、トナーがマイナスに帯電し難くなり、また、例えば、導電性ロールが帯電ロールの場合には、感光ドラムとの摺擦により感光ドラムを帯電させてしまい、感光ドラム上に正電荷がメモリされやすくなるなど、帯電性能が悪くなっていた。このように、帯電性能が悪くなると、画像濃度の低下や横スジ画像の発生など、画像の不具合が生じやすくなる。
これは、フッ素添加剤を用いてロールを表面処理すると、電子吸引性のフッ素原子ばかりがロール表面に現れるために、例えば、現像ロールの場合には、トナーに電子を与え難くなり、例えば、帯電ロールの場合には、トナーカートリッジ運搬時などで強い衝撃を受け、感光ドラムが帯電ロールで摺擦されたときに、フッ素原子の電子吸引性により、感光ドラム上に正電荷がメモリされやすくなるためと推測される。
本発明が解決しようとする課題は、長期に亘って画像の不具合が生じ難く、トナー離型性と帯電性能に優れる導電性ロールを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る導電性ロールは、ロール最外周に、有機ポリマーを含有する最外層を備え、前記最外層の表面が、F:8原子%以上、かつ、O:25原子%以上を有することを要旨とする。
この場合、前記フッ素原子に対する前記酸素原子の原子比は、1.5〜11.5の範囲内にあることが望ましい。
このとき、前記最外層の少なくとも表面部分の有機ポリマーが、式(1)に示す構造を有することが望ましい。
Figure 0004438808
そして、上記導電性ロールは、前記最外層の表面に、FガスとOガスとを含有する混合ガスを接触させて得られうる。
本発明に係る導電性ロールは、有機ポリマーを含有するロール最外層の表面に、特定量のフッ素原子と特定量の酸素原子とを有している。そのため、トナーの離型性と帯電性能に優れる。
これは、ロール最外層の表面に、特定量のフッ素原子とともに特定量の酸素原子が存在することにより、例えば、現像ロールの場合には、トナーに電子を与えやすくなり、トナー帯電性が向上するためと推測される。また、例えば、帯電ロールの場合には、感光ドラム上に正電荷がメモリされにくくなるためと推測される。これにより、画像の高画質化が可能となる。
また、本発明に係る導電性ロールは、ロール最外層の表面を分子レベルで改質するものである。そのため、ロール最外層の元の柔軟性や電気抵抗などの特性を維持しつつ、トナーの離型性と帯電性能とを向上させている。これにより、相手材である感光ドラムやトナーへのストレスを大幅に軽減するとともに、電気的なレスポンスの低下を軽減する。
この場合、前記フッ素原子に対する前記酸素原子の原子比が、1.5〜11.5の範囲内にあると、上記効果に一層優れる。
このとき、前記最外層の少なくとも表面部分の有機ポリマーが、上記式(1)に示す構造を有すると、上記効果に一層優れる。
また、本発明に係る導電性ロールは、有機ポリマーを含有するロール最外層の表面に、FガスとOガスとを含有する混合ガスを接触させて得られうる。そのため、ロール最外層の表面に、特定量のフッ素原子と特定量の酸素原子とを存在させることができる。これにより、ロール最外層の元の柔軟性や電気抵抗などの特性を維持しつつ、トナーの離型性と帯電性能に優れる。
さらに、ロール最外層の表面を改質するために用いるFガスは、従来のフッ素添加剤よりも反応性に優れている。そのため、ロール最外層を形成するのに用いられる有機ポリマー材料が制限されにくく、種々の有機ポリマーを用いてロール最外層を形成し、これを改質することが可能となる。
次に、本発明の実施形態に係る導電性ロール(以下、「本ロール」ということがある。)について詳細に説明する。
本ロールは、ロール最外周に、有機ポリマーを含有する最外層を備え、この最外層の表面が、特定量のフッ素原子と特定量の酸素原子を有している。
上記最外層の内側には、1層または2層以上の弾性層を有していても良いし、有していなくても良い。すなわち、本ロールは、上記最外層を含めて、1層または2層以上よりなるものであれば良い。
上記最外層は、ほぼロール本体を形成する程度に厚く形成されていても良いし、薄い被膜状に形成されていても良い。上記最外層や弾性層などの厚みは、本ロールの用途、本ロールを組み込む電子写真機器内部の設置スペース、電子写真機器の種類などを考慮して、適宜選択することができる。
本ロールにおいて、上記最外層は、有機ポリマーを主に含んでいると良い。有機ポリマーとしては、ゴムや熱可塑性エラストマー、樹脂などが挙げられる。有機ポリマーは、不飽和結合を含んでいても良いし、含んでいなくても良い。
上記ゴムとしては、例えば、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル・ブタジエンゴム(H−NBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリルゴム、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、天然ゴムなどを例示することができる。
これらのうち、好ましくは、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリルゴム、ウレタンゴムなどである。
上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー(SBC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)、塩ビ系熱可塑性エラストマー(TPVC)、ニトリル系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン(CPE)、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレン、シリコーン系熱可塑性エラストマー、塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ、エステルハロゲン系ポリマーアロイなどを例示することができる。
これらのうち、好ましくは、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)、ニトリル系熱可塑性エラストマーなどである。
上記樹脂としては、例えば、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、モノマーキャストナイロン、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、アクリル樹脂などを例示することができる。これらの樹脂材料は、弾性に富むものが好ましい。
これらのうち、好ましくは、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなどである。
上記最外層は、上記ゴム、上記熱可塑性エラストマー、および、上記樹脂のうち、1種または2種以上含まれていても良い。2種以上の組み合わせとしては、上記ゴムのうちの2種以上、上記熱可塑性エラストマーのうちの2種以上、または、上記樹脂のうちの2種以上であっても良いし、上記ゴム、上記熱可塑性エラストマー、および、上記樹脂から選択された2種以上であっても良い。
上記最外層中には、必要に応じて、導電剤、充填剤、増量剤、補強剤、活性剤、加工助剤、加硫促進剤、加硫剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤、発泡剤などの各種添加剤が1種または2種以上含まれていても良い。
これら添加剤のうち、導電剤としては、カーボンブラック、金属、金属酸化物などの電子導電剤や、4級アンモニウム塩などのイオン導電剤を例示することができる。添加する導電剤の種類やその添加量は、現像ロールや帯電ロールなどといった用いられる部材に応じて、その体積抵抗などを調整すべく、適宜選択すれば良い。
上記添加剤の割合は、各種の添加剤がその目的を達することができるように、従来知られる配合割合を適宜採用することができる。
上記最外層の下層に弾性層を有する場合、弾性層の材料は、特に限定されない。例えば、上記添加剤の任意の種類を任意の量で含有する、上記有機ポリマーの任意の種類のものを例示することができる。弾性層を複数有する場合には、各弾性層は、同一の材料・組成であっても良いし、異なる材料・組成であっても良い。
ここで、上記最外層は、その表面が、フッ素原子を8原子%以上、かつ、酸素原子を25原子%以上を有していると良い。
上記最外層の表面に特定量のフッ素原子を存在させるのは、フッ素原子が表面を覆うことにより、本ロールのトナー離型性を高めるためである。また、フッ素原子とともに酸素原子を特定量存在させるのは、例えば、本ロールが現像ロールの場合には、トナーに電子を与えやすくして、トナー離型性とともに、本ロールのトナー帯電性を高めるためである。
すなわち、フッ素原子は電子吸引性が高いため、表面にフッ素原子を存在させると、トナーに電子を与えにくくなる。そのため、フッ素原子とは帯電性が逆の酸素原子を表面に存在させることで、トナーに電子を与えにくくなる問題を解消して、トナーをマイナスに帯電しやすくしている。
また、例えば、本ロールが帯電ロールの場合には、感光ドラム上に正電荷をメモリされにくくするためである。すなわち、フッ素原子とは帯電性が逆の酸素原子を表面に存在させることで、トナーカートリッジ運搬時などで強い衝撃を受け、感光ドラムが帯電ロールで摺擦されたときに、フッ素原子の電子吸引性により感光ドラム上に正電荷がメモリされるのを抑えるためである。
表面原子量を上記のように規定しているのは、フッ素原子が8原子%未満では、ロール最外層の表面におけるフッ素原子の量が少ないので、本ロールのトナー離型性が低下しやすくなるからである。一方、酸素原子が25原子%未満では、ロール最外層の表面における酸素原子の量が少ないので、トナーに電子を与えやすくする効果や、感光ドラム上に正電荷がメモリされるのを抑える効果などが低下しやすくなるからである。
一方、上記最外層の表面において、フッ素原子量の上限としては、30原子%以下とするのが好ましい。30原子%を超えると、トナーがマイナスに帯電しにくくなるからである。また、感光ドラム上に正電荷がメモリされやすくなるからである。より好ましくは、25原子%以下である。また、酸素原子量の上限としては、50原子%以下とするのが好ましい。50原子%を超えると、トナー離型性が低下しやすくなるからである。より好ましくは、45原子%以下である。
この際、フッ素原子に対する酸素原子の原子比は、1.5〜11.5の範囲内にあることが好ましい。トナー離型性と帯電性能とがともに向上しやすいからである。より好ましくは、下限としては、上記原子比が1.5となることであり、上限としては、上記原子比が3.6となることである。
本ロールの表面組成は、X線光電子分光法(XPS)や赤外分光法(IR)などにより分析可能である。
本ロールにおいて、上記最外層の表面に、特定量のフッ素原子と特定量の酸素原子とを存在させるには、例えば、上記最外層の表面に、FガスとOガスとを含有する混合ガスを接触させると良い。
上記最外層の表面に上記混合ガスを接触させるには、上記最外層を有するロールを処理容器内に置いた状態で、この処理容器内にFガスとOガスとを含有する混合ガスを導入しても良いし、Oガスを含有するガスとFガスを含有するガスとを別々に導入しても良い。すなわち、表面処理時に、FガスとOガスとを含有する混合ガスに接触されていれば良い。FガスとOガスとを含有する混合ガス、Oガスを含有するガス、および、Fガスを含有するガスには、NガスやArガス、Heガスなどの不活性ガスを希釈ガスとして含んでいても良い。
ガスを導入する処理容器は、密閉式でも良いし、非密閉式でも良い。密閉式の処理容器には、常圧、減圧、加圧のいずれの状態でガスを導入しても良いし、ガスを導入することで、常圧、減圧、加圧のいずれの状態になっていても良い。非密閉式の処理容器には、上記混合ガスなどをフローしながら接触させることもできる。
上記最外層の表面に接触させる混合ガスにおいて、Fガス濃度は、下限としては、好ましくは、3vol%以上、より好ましくは、5vol%以上にすると良い。上記最外層の表面に、特定量のフッ素原子を確実に存在させることができるからである。一方、上限としては、取り扱いの安全性などの観点から、好ましくは、50vol%以下、より好ましくは、30vol%以下にすると良い。
ガス濃度は、下限としては、好ましくは、20vol%以上、より好ましくは、30vol%以上にすると良い。上記最外層の表面に、特定量の酸素原子を確実に存在させることができるからである。一方、上限としては、Fガスを存在させる必要性などから、好ましくは、97vol%以下、より好ましくは、95vol%以下にすると良い。
上記混合ガスにおいて、Fガスに対するOガスの量は特に限定されるものではないが、好ましくは、FガスよりもOガスの量が多いと良い。FガスとともにOガスを高濃度で存在させることで、従来の導電性ロールよりも表面O濃度が高くなるからである。このように、表面O濃度を高くすることで、本ロールのトナー離型性を確保しつつ、帯電性能をさらに向上させる効果を発揮するからである。
このとき、Fガスに対するOガスの体積比の好ましい範囲は、上限値としては、例えば、98/2、95/5、90/10などを例示することができる。一方、上限値と組み合わせ可能な下限値としては、例えば、70/30、60/40、55/45などを例示することができる。
上記最外層の表面に混合ガスを接触させる処理は、基本的には常温付近で行なうことができるが、必要に応じて処理温度を適宜調節しても良い。具体的には、例えば、0〜200℃の範囲内とするのが好ましい。より好ましくは、室温〜100℃の範囲内である。さらに好ましくは、室温〜60℃の範囲内である。なお、処理温度を過度に高くし過ぎると、表面にひび割れが生じるなどの表面性の悪化などの傾向が見られる。したがって、この点に留意して処理温度を選択すると良い。
この際、処理時間としては、上記混合ガス中のFガス濃度およびOガス濃度などによっても異なるが、1秒〜数日の範囲で適宜選択することができる。もっとも、処理時間が過度に長くなると、ロールの生産効率が低下するなどの傾向が見られる。一方、処理時間が過度に短くなると、上記最外層の表面の有機ポリマーとの反応が十分でなくなるなどの傾向が見られる。したがって、これらに留意して、処理時間を選択すると良い。生産性と反応性とを考慮すると、好ましくは、1分〜数時間の範囲内にあると良い。より好ましくは、1分〜1時間の範囲内にあると良い。
ガスとOガスとを含有する混合ガスで処理された本ロールは、その最外層の表面に、種々の結合形態のフッ素原子および酸素原子が存在する。このとき、上記有機ポリマーを含有する最外層の少なくとも表面部分の有機ポリマーは、炭素−フッ素結合や、炭素−酸素結合を有していると良い。また、本ロールにおいては、特に、少なくとも表面部分の有機ポリマーに、下記式(1)に示す構造を有していることが好ましい。
Figure 0004438808
上記式(1)に示す構造は、ロール最外層を、FガスとOガスとを含有する混合ガスで処理したときに、特に形成されやすい。すなわち、上記(1)に示す構造を有しているロールは、ロール最外層を、FガスとOガスとを含有する混合ガスで処理されたものであると推認しやすい。
表面部分およびその他の部分の有機ポリマーが、炭素−フッ素結合や、炭素−酸素結合を有していることや、上記式(1)に示す構造を有していることは、ロール表面などを、X線光電子分光法(XPS)や、赤外分光法(IR)などにより分析すれば、確認することができる。
なお、上記式(1)に示す構造は、ロール最外層の表面部分のみでなく、ロール最外層の内部にも存在していても良い。この場合、上記構造の存在状態については、特に限定されるものではない。例えば、最外層表面から内部に向かって、上記構造の存在割合が減少または増大するように傾斜して分布していても良いし、最外層表面から内部に一定距離に亘り、ほぼ同じ存在割合で分布していても良い。
上記する本ロールは、例えば、電子写真機器などの現像ロール、帯電ロール、トナー供給ロール、転写ロールなどの導電性ロールとして好適に用いることができる。
本ロールにおいて、上記混合ガスを接触させる前の最外層を形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、任意に接着剤などのプライマーを塗布した導電性シャフトの表面に、上述した有機ポリマー材料を押出成形する方法、上記導電性シャフトをセットした金型内に、上述した有機ポリマー材料を射出し、加熱・加硫させた後、脱型する方法などを例示することができる。
この際、最外層の下層に弾性層を形成する場合には、上記導電性シャフトの外周に上述した弾性層材料を1層または2層以上押出成形または射出成形した後、最外周の弾性層表面に、ロールコーティング法、ディッピングコート法、スプレーコート法などにより有機ポリマー材料を塗工し、乾燥、架橋させるなどすれば良い。
最外層は、上記混合ガスにより表面処理される前に、フッ素添加剤などにより処理されたものであっても良い。
フッ素添加剤としては、例えば、フルオロ基またはフルオロアルキル基とシラノール基とを含有するフッ素化合物や、フルオロ基またはフルオロアルキル基とアクリル基とを含有するフッ素化合物などを例示することができる。
具体的には、例えば、大日本インキ化学工業(株)製「メガファックF−443」、日本油脂製「モディパーF−600」などを例示することができる。
上記フッ素添加剤は、そのままの状態で用いても良いし、溶剤などに溶解させて溶液とした状態で用いても良い。溶液の場合の濃度は、添加量やハンドリングしやすさなどを考慮し、適宜選択することができる。表面処理する方法としては、最外層をフッ素添加剤またはこれを含む溶液中に浸漬する方法、最外層を形成する塗料にフッ素添加剤またはこれを含む溶液を混合して、塗布または吹き付けする方法などを用いることができる。さらに、処理温度としては、フッ素添加剤の性状に応じて、常温または好適な温度とすることができ、適宜選択することができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。なお、以下では、本発明を現像ロール、帯電ロールに適用した場合について例示する。
<現像ロール>
(ゴム組成物の調製)
ニトリルゴム(NBR)(日本ゼオン(株)製、「ニポールDN401」)100重量部と、ステアリン酸(花王(株)製、「ルナックS−30」0.5重量部と、カーボンブラック(キャボット・ジャパン(株)製、「ショウブラックN220」)40重量部と、酸化亜鉛(ZnO)5重量部と、スルフェンアミド系加硫促進剤(大内新興化学(株)製、「ノクセラーCZ−G」)1重量部と、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤(大内新興化学(株)製、「ノクセラーBZ−P」)0.5重量部と、粉末硫黄1重量部とを、ニーダーでゴム練りすることにより、ゴム組成物<1>を調製した。
(表層塗料の調製)
アクリルゴム(日本ゼオン(株)製、「ニポールAR32」)100重量部と、カーボンブラック(三菱化学(株)製、「MA−220」)20重量部と、メチルエチルケトン(MEK)880重量部とを、ロールを用いて混練して、表層塗料<1>を調製した。
ウレタンエラストマー(日本ポリウレタン工業(株)製、「ミラクトランXN−2001」)100重量部と、カーボンブラック(三菱化学(株)製、「MA−220」)20重量部と、メチルエチルケトン(MEK)880重量部とを、ロールを用いて混練して、表層塗料<2>を調製した。
上記表層塗料<1>の調製において、さらに、フッ素添加剤(大日本インキ化学工業(株)製「メガファックF−443」)3重量部を添加した点以外は、上記表層塗料<1>の調製と同様にして、表層塗料<3>を調製した。
上記表層塗料<1>の調製において、さらに、フッ素添加剤(大日本インキ化学工業(株)製「メガファックF−443」)0.5重量部を添加した点以外は、上記表層塗料<1>の調製と同様にして、表層塗料<4>を調製した。
上記表層塗料<1>の調製において、さらに、フッ素添加剤(大日本インキ化学工業(株)製「メガファックF−443」)1重量部を添加した点以外は、上記表層塗料<1>の調製と同様にして、表層塗料<5>を調製した。
(現像ロールの作製)
(実施例1G)
接着剤を塗布した金属製シャフト(直径6mm)を金型内にセットした後、上記ゴム組成物<1>を金型内に射出し、160℃で30分加熱し硬化させた後、脱型して、導電性シャフトの外周に、ゴム層(厚み4mm)を1層形成した。次いで、このゴム層の上に、上記表層塗料<1>を塗布し、120℃×30分で乾燥させて、表層(厚み20μm)を形成したロール体を準備した。
次いで、上記ロール体を密閉処理容器内に配置して、処理容器を数100Pa以下に減圧した後、窒素ガスを導入し、処理容器内のガスを置換した。その後、25℃の条件下にて、処理容器内のガス混合比率が、Fガス濃度20vol%、Oガス濃度80vol%となるようにガスを導入し、上記ロール体に、混合ガスを5分間接触させた。次いで、処理容器から未反応の混合ガスを排出し、処理容器内から取り出して、実施例1Gに係る現像ロールを作製した。
(実施例2G〜7G)
表1に示す各処理条件にて、実施例1Gと同様にして、ロール体に混合ガスを接触させて、実施例2G〜7Gに係る現像ロールを作製した。
(実施例8G)
実施例1Gのロール体の準備において、表層塗料<1>に代えて表層塗料<3>を用いた点以外は、実施例1Gと同様にして、ロール体を準備した。その後、表1に示す処理条件にて、実施例1Gと同様にして、ロール体に混合ガスを接触させて、実施例8Gに係る現像ロールを作製した。
(実施例9G)
実施例1Gのロール体の準備において、ゴム層の上に表層塗料を塗布しなかった点以外は、実施例1Gと同様にして、ロール体を準備した。その後、表1に示す処理条件にて、実施例1Gと同様にして、ロール体に混合ガスを接触させて、実施例9Gに係る現像ロールを作製した。
(実施例10G)
実施例1Gのロール体の準備において、表層塗料<1>に代えて表層塗料<2>を用いた点以外は、実施例1Gと同様にして、ロール体を準備した。その後、表1に示す処理条件にて、実施例1Gと同様にして、ロール体に混合ガスを接触させて、実施例10Gに係る現像ロールを作製した。
(比較例1G)
実施例1Gにおいて、Oガスを含まない混合ガス(FガスとNガスとの混合ガス)を接触させたこと以外は、実施例1Gと同様にして、比較例1Gに係る現像ロールを作製した。
(比較例2G)
実施例1Gにおいて、Fガス濃度の低い混合ガスを接触させたこと以外は、実施例1Gと同様にして、比較例2Gに係る現像ロールを作製した。
(比較例3G)
実施例1Gにおいて、FガスとOガスとを含有する混合ガスを接触させないこと以外は、実施例1Gと同様にして、比較例3Gに係る現像ロールを作製した。
(比較例4G)
実施例1Gのロール体の準備において、表層塗料<1>に代えて表層塗料<4>を用いた点以外は、実施例1Gと同様にして、ロール体を準備した。その後、FガスとOガスとを含有する混合ガスを導入しないで、比較例4Gに係る現像ロールとした。
(比較例5G)
実施例1Gのロール体の準備において、表層塗料<1>に代えて表層塗料<5>を用いた点以外は、実施例1Gと同様にして、ロール体を準備した。その後、FガスとOガスとを含有する混合ガスを導入しないで、比較例5Gに係る現像ロールとした。
(比較例6G)
実施例1Gのロール体の準備において、表層塗料<1>に代えて表層塗料<3>を用いた点以外は、実施例1Gと同様にして、ロール体を準備した。その後、FガスとOガスとを含有する混合ガスを導入しないで、比較例6Gに係る現像ロールとした。
(比較例7G)
実施例9Gにおいて、FガスとOガスとを含有する混合ガスを接触させないこと以外は、実施例9Gと同様にして、比較例7Gに係る現像ロールを作製した。
(比較例8G)
実施例10Gにおいて、FガスとOガスとを含有する混合ガスを接触させないこと以外は、実施例10Gと同様にして、比較例8Gに係る現像ロールを作製した。
(実施例に係る現像ロールの表面構造)
上記作製した各実施例に係る現像ロールについて、その表面構造を、XPSおよびIRにて調べた。その結果、いずれの実施例に係る現像ロールについても、表面部分の有機ポリマー(ゴム、樹脂)が、上記式(1)の構造を有していることが確認できた。
(各現像ロールの評価)
実施例および比較例に係る各現像ロールについて、以下の6項目について評価を行なった。
<表面原子濃度の測定>
ESCAシステム(PHI5600システム、アルバックファイ社製)を用いて、以下の測定条件により、各現像ロールの表面F濃度および表面O濃度を測定した。すなわち、Alモノクロメータ(14kV、150W)を使用してX線を照射し、電子中和銃により帯電補正を行ないながら、測定領域:φ800μm、光電子取り出し角:45deg、解像度187.85passenergy、0.8eV/step、20time/stepの条件で測定を行なった。
<トナー帯電性>
各現像ロールを、市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、「LBP−2510」)に組み込み、20℃×50%RHの環境下で、現像ロール10回転後のロール上のトナー帯電量を測定した。なお、上記プリンタにおいて、トナー薄層化ブレードはウレタンゴム製のものを、トナー供給ロールは導電性ウレタンスポンジ製のものを、トナーは負帯電トナーを、装着した。
<画像濃度>
各現像ロールを、市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、「LBP−2510」)に組み込み、20℃×50%RHの環境下で、画像出しを行ない、べた黒画像における濃度をマクベス濃度計を用いて測定した。その結果、濃度が1.2以上のものを合格とした。このうち、1.2〜1.4のものを良好「○」とし、1.4を超えるものを特に優れる「◎」とした。一方、濃度が1.2未満のものを不合格「×」とした。
<耐久後トナー付着性>
各現像ロールを、市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、「LBP−2510」)に組み込み、20℃×50%RHの環境下で、画像出しを通紙1000枚(A4サイズ)行ない、その後のローラ外観を確認した。すなわち、耐久評価後に、画像の乱れがなかった場合を合格とした。このうち、ロール表面上にトナーがほとんどのらない場合を特に優れる「◎」とし、ロール表面上にトナーがわずかに付着するものを良好「○」とした。一方、ロール表面上にトナーが付着しており、画像にその付着むらが生じた場合を不合格「×」とした。
<濃度むら>
各現像ロールを、市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、「LBP−2510」)に組み込み、20℃×50%RHの環境下で画像出しを行なった後、複写画質の評価を行なった。その結果、ハーフトーン画像での濃度むらが生じなかったものを合格とした。このうち、細線のとぎれや色むら、スジ画像がなかったものを特に優れる「◎」とし、細線のとぎれや色むら、スジ画像がやや生じているが濃度むらが生じなかったものを良好「○」とした。一方、濃度むらが生じたものを不合格「×」とした。
<ロール表面硬度>
参考データとして、各現像ロールの表面硬度を、MD−1硬度計(高分子計器(株)製、「マイクロゴム硬度計MD−1型」)により測定(N=3)した。
以下、これら評価結果をまとめたものを表1に示す。
Figure 0004438808
表1によれば、比較例1G〜8Gに係る現像ロールは、いずれも、トナー帯電性が低い結果、画像濃度が低くなって画像の不具合が起きるか、耐久後のトナー付着量が多いためトナー離型性に劣ることが分かる。
具体的には、比較例1Gでは、ロール体の表面に接触させた混合ガスにOガスを含有していないため、現像ロールの表面O濃度が低くなっている。そのため、トナー帯電性が低下して、画像濃度に劣っている。比較例2Gでは、ロール体の表面に接触させた混合ガス中のFガス濃度が低いため、現像ロールの表面F濃度が低くなっている。そのため、耐久後トナー付着性に劣り(トナー付着が多い)、トナー離型性に劣っている。
比較例3G、7G、8Gでは、ロール体の表面をFガスまたはフッ素添加剤で表面処理していないので、現像ロールの表面にはF原子がない。そのため、耐久後トナー付着性に劣り、トナー離型性に劣っている。また、比較例4Gでは、ロール体の表面がフッ素添加剤で表面処理されているものの、フッ素添加剤の量が少ないため、現像ロールの表面F濃度が低くなっている。そのため、耐久後トナー付着性に劣り、トナー離型性に劣っている。
比較例5G、6Gでは、ロール体の表面をフッ素添加剤で表面処理されており、現像ロールの表面F濃度は比較的高いが、表面O濃度は低くなっている。そのため、トナー帯電性が低下して、画像濃度に劣っている。
これらに対し、実施例1G〜10Gに係る現像ロールは、いずれも、表面F濃度および表面O濃度が上記特定範囲になっているので、トナー離型性に優れるとともに、トナー帯電性にも優れている。そのため、画像濃度に優れ、耐久後のトナー付着がほとんどなく、かつ、画像むらも生じていないことが確認できた。
また、実施例1G〜10Gに係る現像ロールは、その表面に、トナー離型性を付与するようなフッ素樹脂などの樹脂層を有していないので、樹脂層の剥離や割れなどに起因する画像不具合が生じ難いといえる。
さらに、実施例1G〜10Gに係る現像ロールは、ロール表面を分子レベルで改質するものである。そのため、ロール表面の元の柔軟性や電気抵抗などの特性を維持することができる。これにより、相手材である感光ドラムやトナーへのストレスを大幅に軽減可能である。また、電気的なレスポンスの低下が軽減されるため、フッ素樹脂などの樹脂層を表面に積層した従来品と比較して、除電、放電の繰返しスピードが速くなり、電荷付与能やトナーへの帯電性の向上も期待できる。
<帯電ロール>
(ゴム組成物の調製)
エピクロロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(ダイソー(株)製、「エピクロマーCG−102」)100重量部と、ステアリン酸(花王(株)製、「ルナックS−30」1重量部と、硫酸トリブチルエチルアンモニウムエチル(四級アンモニウム塩)1重量部と、酸化亜鉛(ZnO)5重量部と、硫黄0.25重量部と、モルフォリンジスルフィド1重量部と、テトラメチルチウラムジスルフィド1.2重量部とを、ニーダーでゴム練りすることにより、ゴム組成物<2>を調製した。
(帯電ロールの作製)
上記現像ロールの作製において、ゴム組成物<1>をゴム組成物<2>に代えた点以外は、実施例1G〜10G、比較例1G〜8Gと同様にして、それぞれ、実施例1T〜10T、比較例1T〜8Tに係る帯電ロールを作製した。なお、実施例9Tおよび比較例7Tにおいては、ゴム層の上に表層塗料を塗布していないため、ロール表面基材は、ゴム組成物<2>のヒドリンゴムよりなる。また、各処理条件を表2に示している。
(実施例に係る帯電ロールの表面構造)
上記作製した実施例に係る帯電ロールについて、その表面構造を、XPSおよびIRにより測定した。その結果、いずれの実施例に係る現像ロールについても、表面部分の有機ポリマー(ゴム、樹脂)が、上記式(1)の構造を有していることが確認できた。
(各帯電ロールの評価)
実施例および比較例に係る各帯電ロールについて、以下の4項目について評価を行なった。
<表面原子濃度の測定>
上記現像ロールを測定した場合と同様にして、ESCAシステム(PHI5600システム、アルバックファイ社製)を用いて、各帯電ロールの表面F濃度および表面O濃度を測定した。
<帯電メモリ>
各帯電ロールを、市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、「LBP−2510」)のカートリッジに組み付けて、このカートリッジの市販の梱包状態(カートリッジに緩衝材を付けてダンボール内に梱包した状態)にした。この梱包状態のまま、帯電ロールの軸が鉛直方向になるようにして、1mの高さから鉄板上に自由落下させる操作を3回繰返し行なった。その直後に、このカートリッジを上記プリンターに組み込み、20℃×50%RHの環境下でハーフトーン画像出しを行なった。画像を目視で確認したときに、スジ状のメモリ画像が見られないときを「◎」、スジ状のメモリ画像がわずかに見られるときを「○」、スジ状のメモリ画像がはっきり確認できるときを「×」とした。
<外添剤付着性>
得られた各帯電ロールを、フルカラーLBPに組み込んで、1万枚の画像出し(マゼンダハーフトーン)を行なった後、プリント画像の状態を目視により評価するとともに、ロール表面の汚染状況(トナー外添剤の付着量)を目視により評価した。すなわち、1万枚の画像出し後であってもプリント画像に問題がないものを合格とした。このうち、細線にいたるまで鮮明にプリントされ、かつ、ロール表面の汚染もほとんどないものを特に優れる「◎」とし、プリント画像に問題がなかったものを良好「○」とした。一方、プリント画像に濃度むらがみられ、かつ、ロール表面の汚染が全面に行き渡っていたものを不合格「×」とした。
<ロール硬度>
参考データとして、各帯電ロールの表面硬度を、MD−1硬度計(高分子計器(株)製、「マイクロゴム硬度計MD−1型」)により測定(N=3)した。
以下、これら評価結果をまとめたものを表2に示す。
Figure 0004438808
表2によれば、比較例1T〜8Tに係る帯電ロールは、帯電メモリによる画像不良の問題が発生するか、トナー外添剤の付着による画像不良の問題が発生し、帯電性能やトナー離型性に劣ることが分かる。
具体的には、比較例1Tでは、帯電メモリによる画像不良の問題が発生した。これは、ロール体の表面に接触させた混合ガスにはOガスが含まれていないため、帯電ロールの表面O濃度が特定範囲内にない。そのため、感光ドラムが帯電ロールで摺擦されたときに、帯電ロール表面のフッ素の電子吸引性により、感光ドラム上に正電荷がメモリされやすくなったためと考えられる。
比較例2Tでは、トナー外添剤の付着による画像不良の問題が発生した。これは、ロール体の表面に接触させた混合ガス中のFガス濃度が低いため、帯電ロールの表面F濃度が特定範囲内にない。そのため、トナー外添剤が帯電ロール表面に付着しやすくなったためと考えられる。
比較例3T、7T、8Tでは、トナー外添剤の付着による画像不良の問題が発生した。これは、ロール体の表面をFガスまたはフッ素添加剤で表面処理していないので、帯電ロール表面にはF原子が存在していない。そのため、トナー外添剤が帯電ロール表面に付着しやすくなったためと考えられる。
比較例5T、6Tでは、帯電メモリによる画像不良の問題が発生した。これは、ロール体の表面がフッ素添加剤で表面処理された結果、帯電ロールの表面F濃度は特定範囲内にあるものの、表面O濃度が特定範囲内にない。そのため、感光ドラムが帯電ロールで摺擦されたときに、帯電ロール表面のフッ素の電子吸引性により、感光ドラム上に正電荷がメモリされやすくなったためと考えられる。
これらに対し、実施例1T〜10Tに係る帯電ロールは、いずれも、表面F濃度および表面O濃度が上記特定範囲になっている。そのため、トナー外添剤の付着による画像不良の問題や、帯電メモリによる画像不良の問題は発生しておらず、トナー離型性と帯電性能に優れることを確認できた。
したがって、実施例1T〜10Tに係る帯電ロールによれば、トナー外添剤の帯電ロールへの付着が低減されるため、これによる画像不良の問題も生じにくくなる。また、トナーカートリッジ運搬時などで強い衝撃を受けると感光ドラムが帯電ロールで摺擦されることがあるが、このような場合にも、感光ドラム上に正電荷がメモリされにくく、始動時などに横スジ画像の発生する問題が生じにくくなる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

Claims (4)

  1. ロール最外周に、有機ポリマーを含有する最外層を備え、
    前記最外層の表面が、F:8原子%以上、かつ、O:25原子%以上を有することを特徴とする導電性ロール。
  2. 前記フッ素原子に対する前記酸素原子の原子比は、1.5〜11.5の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の導電性ロール。
  3. 前記最外層の少なくとも表面部分の有機ポリマーが、式(1)に示す構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ロール。
    Figure 0004438808
  4. ロール最外周に、有機ポリマーを含有する最外層を備え、
    前記最外層の表面に、FガスとOガスとを含有する混合ガスを接触させて得られうることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の導電性ロール。
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