JP4383943B2 - 画像形成用半導電性部材 - Google Patents

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本発明は、複写機、レーザプリンター、ファクシミリ、これらの複合OA機器等における電子写真方式画像形成装置に使用する材料に関し、特に汚染防止、耐久性改善が可能な画像形成用帯電部材に用いられる最外層材料に関する。
従来、複写機やプリンタにおいて、帯電ローラ、転写ローラ等の半導電性ローラは、感光体に接して回転するように設けられており、それぞれ機能を奏するようになっている。例えば、帯電ローラにおいては、静電潜像の形成される感光体に対する帯電方式のローラ帯電部材として用いられており、感光体表面に、電圧印加した帯電ローラを押し当て、接触させ、感光体と帯電ローラとが相互に回転するようにし、感光体表面を帯電せしめるものである。このように帯電ローラや転写ローラ等は、感光体に接し、回転するもので、その帯電のために適度な導電性を有していることが要求されている。
近年、複写機やプリンタ等は、高速・高寿命化、高画質化、省エネルギー化の要求が高まっている。例えば、省エネルギー化では、低温定着方式が採用され、トナーの低融点化が行われており、また、高画質化においては、重合等によるトナーの粒径を小さくしたり、球形にすることも行なわれている。
しかしながら、これら省エネルギー化や高画質化を行うためのトナーの低融点化や粒径の微細化・球形化は、帯電ローラや転写ローラ等の半導電性ローラにトナーの付着を引き起し易く、このような半導電性ローラにトナーが付着したり、固着したりすると、画質劣化が問題となってくる。つまり、通紙枚数の増大によって、トナーの付着による帯電ローラ等の半導電性ローラの全体としての抵抗が上昇し、またトナーの不均一付着による部分的な抵抗変化が引き起こされ、画質の劣化が生じることとなる。
このような画質劣化防止には、トナーが帯電ローラ等の半導電性ローラ表面に付着しないようにすればよいが、例えば、従来のN−メトキシメチル化ナイロン等の親水性樹脂で最外層が形成されているローラは、高温・高湿下で抵抗変動やトナーのローラ表面への付着防止には有効ではなかった。
従来、帯電ローラなどに用いられる導電性ローラとしては、導電性芯金に導電性弾性体層を設け、この導電性弾性体層上にさらに抵抗調整層を設けた構造のものが知られている(例えば特許文献1〜4参照)。
すなわち、かかる構造の導電性ローラは、一般的には、導電性粒子を混入したシリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴムなどの合成ゴムの弾性材料からなっている。
上記半導電性ローラでは、弾性材料に種々のプロセスオイルや軟化剤などの液剤を添加して硬度を下げていたため、半導電性ローラの表面にウレタンやナイロンなどを初めとする種々の樹脂による保護層を設けて、ブリードの発生、感光体汚染の防止をしていた。
しかしながら、例えば、これら半導電性ローラを高温・高湿下に長時間放置すると、樹脂成分が加水分解して潜像担持体に固着することがあったり、塗膜にあるピンホールなどから上記ゴム中成分が滲み出し、ブリードして感光体汚染をするなど、これらの耐環境特性は必ずしも満足されるものではなかった。
更に詳しく説明すると、このような構造の導電性ローラを帯電ローラとして用いた場合、帯電不良等による画像の不具合および感光体の汚染を防止するために、中間層および最外層を設けなければならないという問題があり、この結果、多層構造となり、コスト高となる。また、導電性弾性層の電気特性を混入された導電性粉末同士の接触により得ているので、電気的特性の不均一性による帯電むらが生じやすいという問題もでる。
一方、このような問題点を解決する導電性ローラとして、導電性芯金表面に、導電性粒子が分散されていない電気的中抵抗物質からなる弾性層を有し、この弾性層上に、前記物質より非粘着性の高い非粘着性物質からなる表面層を有する構造のものが知られている(例えば特許文献5、6参照)。
ここで、電気的中抵抗物質としては、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、またはエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体の単独またはこれらの混合系のエピクロルヒドリンゴム(1×107〜1×1010Ω・cm)が挙げられており、非粘着性物質としては、フルオロオレフィンと水酸基含有ビニルエーテルを構成成分とした含フッ素共重合体をイソシアネートで架橋させて得られる含フッ素架橋共重合体が挙げられている。しかし、これらフッ素樹脂化合物のみでは紙粉やトナーのフィルミング付着防止及びブリード等による感光体汚染防止に効果が十分ではなかった。
紙粉・トナー等の付着防止として、シリコーンオイルを添加することも提案されているが、紙粉・トナー等の付着防止には効果があるが、該シリコーンオイルが、反応性基を持つシリコーンオイルではない場合、シリコーンオイル自身が感光体を汚染する。また反応性基を持つシリコーンオイルの場合は塗膜内で反応することにより、そのもの自身がブリードすることなく感光体汚染性は低下し、良好であるが、単独では半導電性部材からの低分子化合物のブリード防止には効果が低いものであった(例えば特許文献7〜10参照)。
上記のもの以外にも、基材がウレタンで疎水性ポリオール(フッ素ポリオール)とイソシアネートとの硬化で構成されているローラ(例えば特許文献11参照)が、フッ素樹脂ブリード防止層を設け、イソシアネート架橋剤でそれを硬化した半導電性ローラ(例えば特許文献12参照)が、非粘着性物質としてイソシアネート架橋剤で架橋したフッ素架橋共重合体を使用した導電性ローラ(例えば特許文献13参照)が、フッ素変性アクリレート系樹脂とフッ素オレフィン系樹脂とOH基を有する非(フッ素変性)アクリレート系樹脂とを、OH基と反応する化合物(ポリイソシアネート化合物)で架橋した半導電性ローラ(例えば特許文献14参照)が、さらに、Mg(1-X)AlX(OH)2(CO3(X/2)・mH2Oで表されるハイドロタルサイト類化合物を含有する帯電部材(例えば特許文献15参照)が、それぞれ提案されている。
また、フッ素ポリオールとポリイソシアネートとの高分子化合物を主体とする樹脂からなる表面層を設けた帯電部材(例えば特許文献16参照)が、さらに、ポリエステルポリオール又はアクリルポリオールをイソシアネートで硬化させた皮膜を設けた帯電部材及び転写部材(例えば特許文献17参照)が、それぞれ提案されている。
しかしながら、これらの上記した半導電性弾性層に使用し、従来のフッ素樹脂化合物による紙粉・トナー付着防止及びシリコーンオイルによる離型性付与として最外層に使用されている半導電性部材からのブリードを防止する材料等では、半導電性部材表面へのブリード防止、感光体汚染を防止することは未だ十分ではなかった。
特開平1−142569号公報 特開平4−311972号公報 特開平7−140760号公報 特公平7−58403号公報 特開平6−266206号公報 特開平7−160155号公報 特公平08−020794号公報 特開平11−167273号公報 特開2000−315003号公報 特開2002−214880号公報 特開平8−208087号公報 特開平9−226973号公報 特開平10−45953号公報 特開平10−268613号公報 特開2000−310218号公報 特開平8−101563号公報 特開平8−314233号公報
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、半導電性弾性層の最外層に紙粉・トナーなどが付着するのを抑制し、更に内部からのブリードを防止することによって、感光体汚染を防止し、導電性を損なわず、それらによる画質劣化の問題の解消を図り、更にすべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させた画像形成用半導電性部材を提供することを目的とする。
本発明は、上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、画像形成用半導電性部材において、最外層に少なくとも架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子を含有させることで、ブリードを防止することによって、感光体汚染を防止し、導電性を損なわずに、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させた電子写真方式の画像形成用半導電性部材が得られることを見出し、本発明に至った。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、電子写真方式画像形成装置に使用する部材の最外層を構成する材料に、少なくとも架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子を含有する画像形成用半導電性部材を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記最外層に使用する構成材料が、少なくとも架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子とシリコーン化合物を含有する画像形成用半導電性部材を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記最外層に使用する構成材料が、少なくとも架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子とフッ素化シリコーン化合物を含有する画像形成用半導電性部材を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記最外層に使用する構成材料が、少なくとも架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子と反応性基を有するシリコーン化合物を含有する画像形成用半導電性部材を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記最外層に使用する構成材料が、少なくとも架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子と反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物を含有する画像形成用半導電性部材を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記最外層に使用する構成材料が、さらに少なくともポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有する請求項2から5のいずれか1項に記載の画像形成用半導電性部材を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記最外層に使用する構成材料が、さらに少なくともフッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有する請求項2から5のいずれか1項に記載の半導電性部材を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記最外層に使用する構成材料が、さらに少なくともフッ素ポリオール化合物及びアクリル樹脂及びイソシアネート化合物を含有する請求項2から5のいずれか1項に記載の画像形成用半導電性部材を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記最外層に使用する構成材料が、さらに少なくともフッ素ポリオール化合物及びアクリルポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有する請求項2から5のいずれか1項に記載の画像形成用半導電性部材を特徴とする。
本発明によれば、画像形成用半導電性部材において、最外層に架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子を少なくとも含有することにより、内部からのブリードを防止し、感光体汚染を防止することができ、導電性を損なわずに、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させることが可能となる。
また、画像形成用半導電性部材において、最外層に架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子と、さらにシリコーン化合物を少なくとも含有することにより、特に最外層に紙粉・トナーなどが付着するのを抑制し、しかも内部からのブリードを防止することによって、感光体汚染を防止し、導電性画質劣化の問題の解消、すべり性向上、耐磨耗性付与、耐久性向上を実現することが可能となる。
さらに、画像形成用半導電性部材において、最外層に架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子とフッ素化シリコーン化合物を少なくとも含有することにより、また、最外層に架橋フッ素樹脂、板状構造無機充填剤及び導電性粒子と反応性基を有するシリコーン化合物を含有すること、また、最外層に架橋フッ素樹脂及び板状構造無機充填剤及び導電性粒子と反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物を少なくとも含有するによって、特に最外層に紙粉・トナーなどが付着するのを抑制する効果を向上させることができ、更に内部からのブリードを防止する、感光体汚染を防止し、導電性を損なわずに、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させることができる。
またさらに、請求項2〜5の画像形成用半導電性部材において、最外層に、さらにポリオール化合物及びイソシアネート化合物を少なくとも含有すること、さらにフッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物を少なくとも含有することにより、最外層に紙粉・トナーなどが付着するのを抑制し、離型性を更に向上し、内部及び最外層塗膜からのブリードを防止することによって、感光体汚染を防止し、またローラ構造などの場合に最外層塗膜の追従性を向上させ、導電性を損なわずに、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させることができる。
前記請求項2〜5の画像形成用半導電性部材において、最外層に、さらにフッ素ポリオール化合物及びアクリル樹脂及びイソシアネート化合物を少なくとも含有すること、最外層に、さらにフッ素ポリオール化合物及びアクリルポリオール化合物を少なくとも含有することにより、特に最外層に紙粉・トナーなどが付着するのを抑制する効果を向上させることができ、離型性が更に向上し、更に内部及び最外層塗膜からのブリードを防止することによって、感光体汚染を防止できる。またローラ構造などの場合に最外層塗膜の追従性を向上させ、より導電性部材への密着性も向上し、最外層塗膜剥がれがなく、導電性を損なわずに、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させることができる。
以下、本発明について具体的に詳しく説明する。
本発明の画像形成用半導電性部材は、最外層が架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子を少なくとも含有する樹脂層から構成されており、該最外層には、これらの成分の他に、各用途に応じて、或いは必要に応じて、離型性付与のためにシリコーン化合物、更にはフッ素化シリコーン化合物、反応性基を有するシリコーン化合物、反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物等や塗膜性向上、離型性付与等のために、さらにポリオール化合物及びイソシアネート化合物、フッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物、アクリル樹脂、アクリルポリオール化合物等を種々含有しても良い。
他にもレベリング剤、酸化防止剤、難燃剤、沈降防止剤、消泡剤、腐食防止剤、希釈用溶媒、増粘剤、チクソトロピー性付与剤、構造粘性付与剤等などの各種添加剤を含有しても良い。
本発明に使用される架橋フッ素樹脂は、無酸素の不活性ガス化雰囲気中でその融点より若干高い温度に保った状態で所定量の放射線を照射して架橋処理を行うようにして製造したものであり、耐摩耗性,耐クリープ性,耐放射線性等の諸特性に優れた架橋フッ素樹脂である。特に粉体架橋フッ素樹脂は特開2000−186155号公報、特開2000−186157号公報、特開2002−317055号公報、特開2002−317056号公報等の製造方法に準拠した方法より得られた架橋フッ素樹脂を使用した。なお、これら架橋フッ素樹脂の一般的な製造方法は特開平6−116423号公報及び特開平7−118423号公報に開示されており、その他のフッ素樹脂(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA))については特開平11−49867号公報に開示されている。
フッ素樹脂の結晶融点以上の温度で、酸素不存在下において1kGy以上の電離性放射線を照射することにより、高強度で耐放射線性や耐熱性に優れた改質フッ素樹脂(架橋フッ素樹脂)を得ることができる。
PTFEの結晶融点以上の温度において放射線を照射すると架橋反応が起きる機構は次の様なものである。まず放射線の照射により分子鎖の切断およびフッ素原子の脱離が起きる。融点以上の温度であるため分子鎖はある程度自由に動けるようになり、分子鎖の切断により生成した分子鎖末端ラジカルとフッ素原子の脱離により生成したアルキル型ラジカルが反応する機会が与えられる。そしてこの反応により架橋が生じる。
例示すると、まず出発フッ素樹脂に電離性放射線を照射する。それによって分子鎖が切断されるのであれば、空気中、酸素中、真空中、あるいは不活性ガス中のいずれであっても照射雰囲気は特に問わない。また放射線はガンマ線、電子線、X線、中性子線、高エネルギーイオンなどいずれであっても構わず、目的とする量の照射が実施されればよい。放射線の照射量は0.1kGy〜1000kGy程度が望ましい。0.1kGy未満では分子鎖の切断効果が最終的な樹脂特性の変化として反映され難く、1000kGyを超えて照射を行っても樹脂特性はほとんど変化しなくなる。この照射工程における雰囲気の温度は特に問わず、あらゆる温度領域において分子鎖の切断は達成され得る。しかし、照射する際の雰囲気の温度が高温であるほど分子鎖の切断は促進される。一方、液体窒素温度付近の低温度では分子鎖の運動が制限され、その結果、切断が抑制される。これらのことと取り扱いの用意さを考慮すると、室温からフッ素樹脂の融点以下の範囲の温度が好ましい。
次いで真空中あるいは不活性ガスの導入により酸素による酸化が抑制された雰囲気中でフッ素樹脂に融点以上の温度において電離性放射線を照射して架橋させる。このときの放射線の照射量は1kGy〜10MGyが望ましい。分子鎖の切断の場合と同様に1kGy未満の照射量による架橋では架橋後の樹脂特性に著しい変化をあたえることができず、10MGyを超えて照射を行っても樹脂特性はほとんど変化しなくなる。酸素による酸化が抑制された雰囲気中で照射を行なう理由は、酸素が存在すると放射線の照射によって生成した反応活性点が酸素と優先的に反応して架橋反応を阻害するのを防ぐためである。また融点以上の雰囲気温度において照射を行なう理由は、フッ素樹脂を融点以上の温度において保持することにより分子鎖の運動を活性化させ、分子鎖中に生成した反応活性点どうしが反応する機会を高めて架橋構造を形成させるためである。
出発フッ素樹脂の素性についての制約はなく、既存のフッ素樹脂をそのまま利用することが可能である。本発明によれば、既存フッ素樹脂を利用しながらも、分子鎖の切断に要する放射線の量と、架橋に要する放射線の量を変化させることにより、得られる架橋フッ素樹脂の特性を幅広く変化させることが可能となる。
例えば、フッ素樹脂としてはテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン系共重合体(ETFE及びPVdF)等からのフッ素系樹脂の選択、2種類以上の樹脂の混合、分子量の異なる同一樹脂の混合なども挙げられる。
本発明において、架橋フッ素樹脂を用いることにより、上記作用効果が奏される理由は定かではないが、上記架橋フッ素樹脂の架橋構造から来る特性であるすべり性、低摩擦性が向上し、紙やクリーニングブレード等による表面の磨耗を抑制し、画像形成用半導電性部材の耐久性を向上させるものと考えられる。
なお、上記の架橋フッ素樹脂の添加量は最外層材料に対して0.1〜30重量%の範囲が好ましく、最外層材料とのマッチング、放電条件等などに応じて変化させる。該添加量が30重量%を超えると最外層の成膜性や塗膜強度の低下等を生じることがある。更に好ましくは、1〜10重量%である。
次に本発明に使用される板状構造を有する無機充填剤は、一般に形状が板状のものである。ここで本発明でいう板状とは、相対する2面(卓面)が、特に発達した構造のものを言う。
本発明で使用される板状構造の無機充填剤としては、特にフィラーとして汎用のタルク、天然マイカ、合成マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、天然ハイドロタルサイト、合成タルサイト、水酸化マグネシウム、板状水酸化アルミニウム、板状酸化鉄、板状炭酸カルシウム、黒鉛、BN等々が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルサイトなどは難燃効果も付与でき、好ましい。なお、平均粒径は0.01〜5μmが好ましく、更に好適には0.1〜1μmである。0.01μm未満ではブリード防止効果が抑制され、5μmを超えると表面粗さからくる画像品質に問題が出る。
本発明において、板状構造を有する無機充填剤を用いることによって、上記作用効果が奏される理由は定かではないが、板状構造であることによって、充填剤同士が重なり合って、バリア機能の発揮あるいは層間にブリード成分の吸着等によって、半導電性ゴム層からの低分子物質がブリードされるのを抑制するものと考えられる。また、クレー、珪藻土、シリカ等の充填剤を添加しても良い。
なお、上記の無機充填剤の添加量は最外層材料に対して0.1〜30重量%の範囲が好ましく、最外層材料とのマッチング、放電条件等などに応じて変化させる。該添加量が0.1重量%未満ではブリード抑制効果が低く、30重量%を超えると最外層の成膜性や塗膜強度の低下等を生じることがある。更に好ましくは、1〜10重量%である。
本発明に使用される導電性粒子としては、好ましくは平均粒径0.01〜5μmの無機または有機の電子伝導性粒子が用いられる。該導電性粒子としては、カーボンブラック、グラファイト、フッ化カーボンや、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金、さらに酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫−酸化インジウム複合酸化物等の各種導電性金属酸化物、さらには絶縁物質の表面を導電化処理したものなどの1種または2種以上の微粉末を用いることができる。
これらの導電性粒子は1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの導電性粒子の添加量としては特に制限はなく、各種状況に応じ、最外層の全量に対し、通常0.01〜40重量%、好ましくは5〜20重量%の割合で添加される。カーボンブラック等の導電性粒子を添加することにより、所定の抵抗値に制御することができる。この表面層の抵抗は、体積抵抗率で1×103〜1×1012Ω・cmであることが好ましく、更に好ましくは1×105〜1×1010Ω・cmである。
本発明において、架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤と導電性粒子の使用割合は、特に制限はなく、各種状況、例えば目的とする体積抵抗率等に応じて定められる。
本発明において、半導電性部材の最外層は、上記の架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子を少なくとも含有する樹脂層から構成され、本発明に用いられる最外層を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれも用いることができる。
熱可塑樹脂としては熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂や熱可塑性フッ素樹脂などが挙げられる。熱硬化樹脂としてはポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂や各々のフッ素変性樹脂などが挙げられる。
これらの中で、該樹脂としては、例えば、塗膜性を良好とするポリオール化合物とイソシアネート化合物からなるものが好ましい。例えばポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、フッ素ポリオールおよびこれらの共重合ポリオール等を挙げることができる。
また、例えば、ポリエステルポリオールとしては、二塩基酸や、そのエステル、酸ハライド、酸無水物等の反応性酸誘導体とグリコール、アミノアルコール等の単独または混合物との縮合反応により得られるポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
また、ポリカーボネートポリオールとしては、一般には多価アルコールとエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等との脱アルコール反応などにより得られるものが挙げられる。
またポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、およびこれらのコポリマーが挙げられる。
さらにフッ素ポリオールとは、イソシアネートと反応する基(水酸基)を1つ以上持ったフッ素樹脂である。例示すれば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の水酸基変性樹脂などの水酸基含有のフッ素樹脂等が挙げられる。具体的には、水酸基を有するFEVE(フルオロエチレン単位とビニルエーテル単位)交互共重合体が挙げられる。
またアクリルポリオールとは、水酸基を持つアクリルモノマーとアクリル酸エステルとの共重合体等のアクリル樹脂である。水酸基は該アクリル樹脂主鎖に無秩序に配置されている。水酸基含有比は種々共重合比で制御することができる。例えば、AA/HPA/MMA/BMA/BAや、AA/HPMA/MMA/BMA/BA(AAはアクリル酸、HPAはヒドロキシプロピルアクリレート、HPMAはヒドロキシプロピルメタクリレート、MMAはメチルメタクリレート、BMAはブチルメタクリレート、BAはブチルアクリレートを指す。)が挙げられる。
さらにまたこれらの共重合ポリオールとしては、前記ポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールを共重合成分としたポリエステルポリカーボネートポリオールやポリエステルポリエーテルポリオール等が挙げられる。
架橋剤として添加されるイソシアネート化合物は、分子中に2個以上のイソシアネート基をもつ化合物であり、一般にポリウレタンの製造原料として用いられるイソシアネートと同様のものを用いることができる。
具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、及びこれらイソシアネート化合物の重合体、誘導体、変性体、水素添加体等が挙げられる。
これらの中では、特に、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族または脂肪環族イソシアネート及びこれらの重合体、誘導体、変性体が耐オゾン性や耐熱性などから好適である。
また、ウレタン形成反応に際して使用される助剤としては、グリコール類、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、アミン類等の鎖延長剤あるいは架橋剤などを挙げることができる。なお、上記ポリオールとイソシアネート化合物のNCO/OHモル比は、1.0/1.0〜1.8/1.0が好適である。
また、離型性を与える未架橋フッ素系樹脂を含有させることもできる。該フッ素系樹脂としてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ビニリデンフルオライド共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びポリビニルフルオライド等が挙げられる。
特にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の水酸基変性樹脂などの水酸基含有のフッ素樹脂をフッ素ポリオール化合物としてイソシアネート化合物と反応させることにより、良好な塗膜を与え、好適である。これらの樹脂は、一種用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フッ素ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応塗膜は、ビニルエーテル単位の側鎖の官能基、例えば、アルキル基、アルキレン基の種類を変えること、イソシアネート化合物に高分子量のポリイソシアネート化合物を使用することなどにより、塗膜の伸び、摩擦係数を任意に調整することができる。特に伸び、膜硬度を調整した場合には最外層の可撓性を向上させることができ、それによって屈曲性に優れた部材を得ることができる。その際、伸びが50%未満では亀裂が入ってブリード防止効果がなくなることがあるため、50%以上の伸びに調整するのが好ましい。
これらフッ素ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応樹脂を用いると、帯電部材の表面汚染を避けることができる。具体例としては、カンペ(登録商標)フロンHD(関西ペイント社製)、ルミフロン(登録商標)シリーズ(旭硝子社製)、ゼッフル(登録商標)シリーズ(ダイキン社製)等のフッ素ポリオール化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物等のポリオール付加ポリイソシアネート化合物や、さらにメラミン樹脂等のアミノ樹脂とを反応させた架橋構造の最外層塗膜が挙げられる。
また、本発明において、必要に応じ、上記樹脂に他樹脂を添加することができる。他樹脂としては、例えば、前記したアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、メラミン樹脂などが挙げられるが、分散性向上、導電性ゴム部への塗膜接着性向上、静電的な紙粉・トナー防汚性の観点より、アクリル樹脂が好適である。これらは必要に応じて単独で、組み合わせて添加してもよい。ここでアクリル樹脂を用いる場合、前記したアクリルポリオールを使用し、ポリオール成分として前記イソシアネートを反応させてもよい。
上記塗膜において、離型性が不十分な場合もあり、シリコーン化合物、更にはフッ素化シリコーン化合物、塗膜により強固に離型性成分を固定化する反応性基を有するシリコーン化合物、反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物等を添加することが好ましく、これら化合物を添加することにより、より紙粉・トナー付着に対する離型性を向上させることができる。
本発明に使用されるシリコーン化合物、更にはフッ素化シリコーン化合物、反応性基を有するシリコーン化合物、反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物の例としては、特に限定はなく、例えばポリエーテル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイルが好ましい。相溶性が良好で、充填剤による保持性が高いという点から、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイルが特に好ましい。
同様にフッ素化シリコーン化合物としては、一般にフロオロシリコーンオイルと言われる化合物、例えば、3,3,3−トリフロロプロピルメチルシロキサン、3,3,3−トリフロロプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ビス(トリデカフロロオクチル)テトラメチルシロキサンや、フルオロシリコーングリースなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、これらは塗膜溶液のレベリングにも寄与する効果もあり、塗膜の平滑性向上となる。
これらシリコーン化合物及びフッ素化シリコーン化合物の分子量は、400〜50000の範囲のものが好ましく、特に好ましくは1000〜20000の範囲である。配合割合は、溶媒を含まない塗膜成分100重量部に対して0.4重量部以下の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.2重量部の範囲である。0重量部であると、離型性に対して十分な効果を発揮できず、0.4重量部を超えるとブリード等の汚染原因になる可能性がある。
特に塗膜に離型性成分を固定する目的で、反応性基を有するシリコーン化合物、反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物が、より耐ブリード性にも効果があり、好ましい。
反応性基を有するシリコーン化合物は、イソシアネート架橋剤や塗膜材料との硬化反応を適宜選択でき、多量配合も可能となり、離型性向上に有効である。上記反応性基としては、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アクリル基などが挙げられる。
具体的には、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メタクリロキシ変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイルが等好ましい。また、これら反応性シリコーン化合物の変性形態としては、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型が好ましい。
同様に反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物としては、ビニル末端基、シラノ−ル末端基等のフッ素化シリコーン化合物が挙げられ、具体的にはビニル末端トリフロロプロピルメチルシロキサンージメチルシロキサンコポリマー、シラノール末端ポリトリフロロトリフロロプロピルメチルシロキサン等が挙げられる。この反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物は上記反応性シリコーン化合物と同様に離型性を高めるとともに、フッ素基による汚れの付着防止とブリード防止効果を更に向上させることが出来る。
これら反応性基を持つシリコーン化合物は、樹脂との相溶性があり、塗膜に均一に分散し、これらは塗膜溶液のレベリングにも寄与する効果もあり、塗膜の平滑性向上となる。特に、アミノ基、水酸基、カルボキシル基を持ったシリコーン化合物は、イソシアネート化合物との硬化反応により、最外層塗膜に固定出来る。また、エポキシ基を持ったシリコーン化合物は、上記フッ素樹脂の活性水素と反応し、固定化される。これにより、最外層の離型性向上・摩擦力の低下が起こり、更に、これらは導電性ゴム成分中の低分子物質のブリードも防ぎ、バリア効果も供することができ、より感光体汚染、更には紙粉・トナー付着を低減させることができる。更にまた、シリコーン化合物の多量含有が可能となり、より離型性向上となる。
上記反応性基を有するシリコーン化合物及び反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物は、分子量が400〜50000の範囲に設定されたものが好ましく、特に好ましくは1000〜20000の範囲である。
また、上記反応性基を有するシリコーン化合物及び反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物の配合割合は、溶媒を含まない塗膜成分100重量部に対して0.4重量部以下の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.2重量部の範囲である。0重量部であると、離型性に対して十分な効果を発揮できず、0.4重量部を超えるとブリード等の汚染原因になる可能性がある。これらシリコーン化合物等を塗膜材料に添加すると、高離型性を付与することが出来、有用である。
なお、この最外層の厚さは、特に制限されないが、通常50μm以下、特に1〜30μmとすることが好ましく、50μmを越えると硬くなって、最外層の柔軟性が損なわれてしまうことがあり、あまり好ましくはない。
また、これらの化合物を溶解し最外層形成用の塗膜塗料とする場合に用いられる有機溶媒としては、非プロトン系極性溶媒を用いるのが好ましく、特に、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド等溶媒を添加することが出来る。
また、最外層の形成方法としては、特に制限されるものではないが、層を形成する各成分を含む塗料を調整し、このコーティング液の塗布方法は、特に制限するものではなく、従来公知のディッピング法、スプレーコーティング法、ロールコート法等が挙げられる。
本発明の半導電性部材が帯電ローラの場合の適当な抵抗は、良好な画像を得るためには、体積抵抗率が1×102〜1×1012Ω・cmであることが好ましく、特に1×105〜1×1010Ω・cmであることが好ましい。また、このようにして作製された最外層に凹凸があると、トナーが詰まってしまい画像不良の原因となるため、最外層はできるだけ平滑な方が好ましい。このように作製した半導電性部材を使用した帯電ローラは印字抜け、ムラ、カブリのない画像を安定的に得ることができ、温・湿度に対する耐環境性に優れる。
なお、本発明の帯半導電性部材は、例えば、帯電ローラとして接触帯電方式に用いられるものであり、被帯電体に接触するものであれば、特にその形状が限定されるものではない。他の形態としては、プレート状、ブロック状などの各種形状のものが適用可能である。
帯電ローラの場合には、これらの内側に金属あるいはプラスチック製のシャフトを設けてもよい。また、本発明の半導電性部材が帯電ローラの場合の構造は、弾性層と少なくとも1層の塗膜層とから成り、弾性層としては弾性体が、塗膜層としては樹脂層が用いられる。金属あるいはプラスチック製のシャフトと、このシャフトの外周に形成された弾性層と、上記弾性層の表面に形成された、導電剤を添加した樹脂から構成される最外層とから成る帯電ローラを例示することができる。
本発明の半導電部材において用いられる弾性層としては、特に限定されるものではないが、従来から弾性層として用いられているゴム、樹脂、発泡体で形成することができる。具体的には、ポリウレタン、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、エピクロルヒドリン系ゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等を基材ゴムとするゴム組成物が挙げられ、これらのゴム材料を2種以上ブレンドしてもよい。
この弾性層に、イオン導電剤や電子導電剤などの導電剤を添加し、所定の導電性を付与することができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムなどの過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、PF6塩、BF4塩などのようなアンモニウム塩、あるいは、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩、PF6塩、BF4塩などが挙げられる。
更に、電子導電剤の例としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫−酸化インジウム複合酸化物等の各種導電性金属酸化物、絶縁物質の表面を導電化処理したものなどの1種または2種以上の微粉末を用いることができる。
また、これらの導電剤の添加量としては特に制限はなく、各種状況に応じて適宜選択される。イオン導電剤の場合には、ゴム100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。また、電子導電剤の場合には、通常0.5〜50重量部、好ましくは1〜40重量部である。これらの処方により、弾性層の体積抵抗率を1×103〜1×1010Ω・cm、特に、1×104〜1×108Ω・cmに調整することが好ましい。なお、この導電性弾性層には、必要に応じ、充填材、架橋剤、発泡剤等、ゴム用添加剤を添加することもできる。
また、本発明の半導電性部材使用の帯電装置としては、例えば、被帯電体である感光ドラムに、本発明の半導電性部材の帯電部材である帯電ローラを接触させつつ従動回転させるとともに、電圧印可手段により、感光ドラムと帯電ローラとの間に、直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印可して上記感光ドラムを帯電させるように構成した帯電装置を例示することができる。なお、本発明の半導電性部材使用の帯電装置は、これに限るものではなく、被帯電体や帯電部材の形態、あるいは電圧印可手段による電圧印可方式などは適宜変更してもよい。
以下に、実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
先ず、下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体/アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート)混合組成物(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
導電性粒子:酸化チタン(MT-150A:テイカ(株)製) 4.9重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
架橋フッ素樹脂:PTFE放射線架橋粒子(未架橋前フッ素樹脂TLP10F-1:三井デュポンフロロケミカル社製) 0.20重量部
次いで、8Φの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層(体積抵抗率R:2.5×107Ω・cm、LogR:7.4)を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が5μmとなるように、スプレー塗工し、実施例1の半導電性部材(ローラ抵抗R′:1.1×106Ω、LogR′:6.0)を作製した。
この半導電性部材を帯電ローラとしてリコーimagio感光体トナーキットMに搭載し60℃−30%RH環境下に10日間放置した。しかる後、リコーimagio感光体トナーキットMをリコーImagio MF−1530に搭載し画像を出力させ、半導電性部材が接触していたOPC部分に異常が認められないか否かの評価試験を行なった。
実施例1において、三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層に代えて、カーボンで抵抗調整されたNBR弾性層(体積抵抗率R:4.0×106Ω・cm、LogR:6.6)を設けた以外は、実施例1と全く同様にして実施例2の半導電性部材(ローラ抵抗R′:1.8×105Ω、LogR′:5.2)を作製し、実施例1と同様の評価試験を行なった。
[比較例1]
下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
導電性粒子:酸化チタン(MT-150A:テイカ(株)製) 4.9重量部
次いで、8Φの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が5μmとなるように、スプレー塗工し、比較例1の半導電性部材を作製し、実施例1と同様の評価試験を行なった。
[比較例2]
比較例1において、三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層に代えて、実施例2で用いたものと同様のカーボンで抵抗調整されたNBR弾性層を用いた以外は、比較例1と全く同様にして比較例2の半導電性部材を作製し、実施例1と同様の評価試験を行なった。
[比較例3]
実施例1において、表面層を設けない以外は、実施例1と同様の、芯金上に三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層のみを設けた比較例3の半導電性部材を作製し、実施例1と同様の評価試験を行なった。
[比較例4]
実施例2において、表面層を設けない以外は、実施例2と同様の、芯金上にカーボンで抵抗調整されたNBR弾性層のみを設けた比較例4の半導電性部材を作製し、実施例1と同様の評価試験を行なった。
実施例1、2及び比較例1、2、3、4で得られた半導電性部材の評価試験結果を表1に示す。なお表1中の使用割合は重量部である。
Figure 0004383943
表1の比較例3、4の結果よりOPC汚染物質が三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層、NBR弾性層に内在している事が判る。又、表1の実施例1、2の結果と、比較例1、2の結果の対比により、表層に含有される架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤が、半導電性部材によるOPC汚染の問題が解消している事が判る。
下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
導電性粒子:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.9重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
架橋フッ素樹脂:PTFE放射線架橋粒子(未架橋前フッ素樹脂TLP10F-1:三井デュポンフロロケミカル社製) 0.20重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS-T11:チッソ(株)製)
0.0032重量部
次いで、8Φの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が5μmとなるように、スプレー塗工し、実施例3の半導電性部材を作製した。
この半導電性部材を帯電ローラとしてリコーImagio Neo 270に搭載し、5%チャート(A4)で6万枚コピーを取った後、帯電ローラ両端部、中央部3箇所の汚れをテープで剥離し、濃度計(X−Rite 508:X−Rite Inc.社製)にて測定した夫々のテープの汚れ濃度を、帯電ローラの汚れ特性値とした。
[比較例5]
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例3と全く同様してに比較例5の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
導電性粒子:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.9重量部
滑剤:脂肪酸アマイド(カワスリップVL:川研ファインケミカル)
1.2重量部
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例3と全く同様にして実施例4の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
導電性粒子:酸化チタン(MT-150A:テイカ(株)製) 4.9重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT-4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
架橋フッ素樹脂:PTFE放射線架橋粒子(未架橋前フッ素樹脂TLP10F-1:三井デュポンフロロケミカル社製) 0.20重量部
シリコーン化合物:フッ素化シリコーン化合物(FMS−121:チッソ(株)製) 0.0032重量部
表面処理液の組成を下記組成とした以外は、実施例3と全く同様にして実施例5の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
導電性粒子:酸化チタン(MT-150A:テイカ(株)製) 4.9重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
架橋フッ素樹脂:PTFE放射線架橋粒子(未架橋前フッ素樹脂TLP10F-1:三井デュポンフロロケミカル社製) 0.20重量部
シリコーン化合物:シラノール末端シリコーン(DMS−S15:チッソ(株)製) 0.0032重量部
実施例5のシリコーン化合物をシラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン(FMS−9921:チッソ(株)製)に代え、同一重量部加えた以外は、実施例5と全く同様にして実施例6の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
実施例6において、架橋フッ素樹脂:PTFE放射線架橋粒子(未架橋前フッ素樹脂TLP10F-1:三井デュポンフロロケミカル社製)0.20重量部に代え、PTFE放射線架橋粒子(未架橋前フッ素樹脂MP1300:三井デュポンフロロケミカル社製)を同一重量部加えた以外は、実施例5と全く同様にして実施例7の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例3と全く同様にして実施例8の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリエステルポリオール(ユーラック(登録商標)C-230U:広野化学製)
100重量部
ポリイソシアネート(ユーラック(登録商標)PU−614:広野化学製) 33重量部
カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.8重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
架橋フッ素樹脂:PTFE放射線架橋粒子(未架橋前フッ素樹脂TLP10F-1:三井デュポンフロロケミカル社製) 2.4重量部
シリコーン化合物:シラノール末端シリコーンDMS−S15:チッソ(株)製) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例3と全く同様にして実施例9の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリエステルポリオール(ユーラック(登録商標)C−230U:広野化学製) 100重量部
ポリイソシアネート(ユーラック(登録商標)PU−614:広野化学製) 33重量部
カーボン(ケッチェンブラック(商標)EC:ライオンアクゾ製) 2.8重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
架橋フッ素樹脂:PTFE放射線架橋粒子(未架橋前フッ素樹脂TLP10F-1:三井デュポンフロロケミカル社製) 2.4重量部
シリコーン化合物:シラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン(FMS−9921:チッソ(株)製) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例3と全く同様に実施例10の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製) 100重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF-601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.8重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
架橋フッ素樹脂:PTFE放射線架橋粒子(未架橋前フッ素樹脂TLP10F-1:三井デュポンフロロケミカル社製) 2.4重量部
シリコーン化合物:シラノール末端シリコーン(DMS-S15:チッソ(株)製) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例3と全く同様にして実施例11の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF-601C主剤:旭硝子製) 100重量部
ポリイソシアネート(ミフロン(登録商標)LF-601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
カーボン(ケッチェンブラック(商標)EC:ライオンアクゾ製) 2.8重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
架橋フッ素樹脂:PTFE放射線架橋粒子(未架橋前フッ素樹脂TLP10F-1:三井デュポンフロロケミカル社製) 2.4重量部
シリコーン化合物:シラノール末端ポリフロロプロピルメチルシロキサン(FMS−9921:チッソ製) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
実施例3、4、5、6、7及び比較例5で得られた各ローラの6万枚コピー後の帯電ローラ汚れ評価結果を表2に示す。
また、実施例8、9、10、11で得られた半導電性部材(帯電ローラ)は表層処理液メイン樹脂と反応性シリコーン化合物の組合せがローラ汚れに及ぼす影響を調べたものである。実施例7、8、9、10の各ローラの6万枚コピー後の帯電ローラ汚れ評価結果を表2に示す。
なお、表2中の原材料の使用割合は、重量部で示す。
また、表2中の評価は下記に示すものである。
ローラ汚れ濃度 平均:ローラ中央、両端部 3点の汚れ濃度平均値
ローラ汚れ濃度 標準偏差:ローラ中央、両端部 3点の汚れ濃度偏差
Figure 0004383943
表2より実機に搭載した際の実施例3、4、5、6、7の帯電ローラの汚れ濃度は、全くシリコーン化合物を添加していない比較例5に比較し明らかに低いと言える。
また実施例8〜11に使用されている表面処理液のメイン樹脂は何れもポリオール化合物及びイソシアネート化合物を有するものである。実施例3〜7と実施例8〜11のローラ汚れ濃度は、全くシリコーン化合物を添加していない比較例5に比較し明らかに低いと言える。
また実施例8〜11に使用されている表面処理液のメイン樹脂は何れもポリオール化合物及びイソシアネート化合物を有するものである。実施例3〜7と実施例8〜11のローラ汚れ濃度を比較すると、実施例8〜11の各ローラの汚れが実施例3〜7のそれより低い事は明白である。従って、少なくとも、反応性を有するシリコーン化合物を表面処理液に使用する場合、処理液中にポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有させる事でシリコーン化合物の効果をより引き出す事が出来ると言える。請求項6及び7の発明はこの結果に基づくものである。
さらに、実施例11のローラ汚れ濃度が他のローラに汚れ濃度に比較し最も低く、他の実施例ローラ汚れ濃度との差は統計的に有意と言える。尚、実施例11の表面処理液には反応基を有するフッ素化シリコーン化合物とフッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物が含まれている。
下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF-601C主剤:旭硝子製)
90重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF-601C硬化剤:旭硝子製)
18重量部
アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート) 4重量部
カーボン(ケッチェンブラック(商標)EC:ライオンアクゾ製) 2.8重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
架橋フッ素樹脂:PTFE放射線架橋粒子(未架橋前フッ素樹脂TLP10F-1:三井デュポンフロロケミカル社製) 2.4重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ)0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
次いで、18Φの芯金上に6mm肉厚の実施例2で用いたものと同様のカーボンで抵抗調整されたNBR弾性層を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が15μmとなるように、スプレー塗工し、実施例12の半導電性部材を作製した。
この半導電性部材を2次転写ローラとしてリコーImagio Color2800に搭載し紙粉付着特性を評価した。
尚、紙粉付着特性は以下の方法で測定した。
紙粉付着特性評価法
i. 任意の原稿をImagio Color 2800原稿台にセットする。
ii. AR Color・100g(A3版)を給紙トレイにセットし、1000枚コピーを取る。
iii. クリーニング性評価(注1)
iv. クリーニング性OKの場合はiに戻り、再度i 、ii、iii をクリーニング性がNGに成る迄繰り返す。クリーニング性NGの場合はここ迄コピーを取ったAR Color(A3版)の総コピー枚数をカウントし紙粉付着特性とする。
※注1 クリーニング性評価
1、2本のソリッドバンドパターンを有するA3版チャートを原稿台にセットする。
2、A3版トレイにA4転写紙を横にセットし、単色で10枚コピーを取る。
3、次いで単色で1枚コピーをとり、クリーニング性評価サンプルとする。
4、クリーニング性は上記3項の評価サンプル裏面のソリッドパター対応部が トナー汚れ無 : クリーニング性 OK
トナー汚れ有 : クリーニング性 NG
と評価する。
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例12と全く同様にして実施例13の半導電性部材を作製し、実施例12と同様の紙粉付着特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF-601C主剤:旭硝子製) 90重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF-601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
アクリルポリオール(ヒタロイド(登録商標)6500:日立化成工業製) 10重量部
カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.8重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
架橋フッ素樹脂:PTFE放射線架橋粒子(未架橋前フッ素樹脂TLP10F-1:三井デュポンフロロケミカル社製) 2.4重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ製)
0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
[比較例6]
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例12と全く同様にして比較例6の半導電性部材を作製し、実施例12と同様の紙粉付着特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF-601C主剤:旭硝子製) 100重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF-601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
フッ素樹脂粉末(MP102 :三井デュポンフロロケミカル社製) 30重量部
カーボン(ケッチェンブラック(商標)EC:ライオンアクゾ製) 2.8重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ)0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
実施例12、実施例13及び比較例6で得られた2次転写ローラの紙粉付着特
性評価結果を表3に示す。
なお、表3中の原材料の使用割合は重量部で示す。
また、表3中の紙粉付着特性の“良好”は50K枚評価で汚れ未発生の場合を
示す。
Figure 0004383943
表3より、表面処理液にアクリル成分を全く含まない比較例6の転写ローラに対し、実施例12、実施例13の転写ローラでは紙粉付着特性が大幅に改善されている事が判る。なお、この改善はすべり性向上に由来する事象も含まれていると推定される。

Claims (9)

  1. 電子写真方式画像形成装置に使用する部材の最外層を構成する材料に、少なくとも架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子を含有することを特徴とする画像形成用半導電性部材。
  2. 前記最外層に使用する構成材料が、少なくとも架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子とシリコーン化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の画像形成用半導電性部材。
  3. 前記最外層に使用する構成材料が、少なくとも架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子とフッ素化シリコーン化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の画像形成用半導電性部材。
  4. 前記最外層に使用する構成材料が、少なくとも架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子と反応性基を有するシリコーン化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の画像形成用半導電性部材。
  5. 前記最外層に使用する構成材料が、少なくとも架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤及び導電性粒子と反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の画像形成用半導電性部材。
  6. 前記最外層に使用する構成材料が、さらに少なくともポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の画像形成用半導電性部材。
  7. 前記最外層に使用する構成材料が、さらに少なくともフッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の画像形成用半導電性部材。
  8. 前記最外層に使用する構成材料が、さらに少なくともフッ素ポリオール化合物及びアクリル樹脂及びイソシアネート化合物を含有することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の画像形成用半導電性部材。
  9. 前記最外層に使用する構成材料が、さらに少なくともフッ素ポリオール化合物及びアクリルポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の画像形成用半導電性部材。
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