JP2013087154A - 塩基発生剤、及び感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の構造を有し、電磁波の照射と加熱により塩基を発生することを特徴とする塩基発生剤、並びに、当該塩基発生剤と、エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物と、メルカプト基を2個以上有する化合物とを含有する感光性樹脂組成物である。
【選択図】なし
Description
本発明の感光性樹脂組成物は、含まれる化学式(1)で表される塩基発生剤が、従来用いられていた光塩基発生剤と比べて触媒活性効率が高く、且つ、溶解性が高いため、低温度で短時間の硬化条件により硬化可能で、且つ、保存安定性が良好な感光性樹脂組成物である。さらに本発明の感光性樹脂組成物においては、酸と異なり塩基が金属の腐食を起こさないため、より信頼性の高い硬化膜を得ることが出来る。
なお、本発明において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
また、本発明において、電磁波とは、波長を特定した場合を除き、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。本明細書では、電磁波の照射を露光ともいう。なお、波長365nm、405nm、436nmの電磁波をそれぞれ、i線、h線、g線とも表記することがある。
本発明に係る塩基発生剤は、エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物の硬化触媒として利用可能な塩基発生剤であり、電磁波の照射と加熱により塩基を発生し、下記化学式(1)で表されることを特徴とする。
本発明に係る塩基発生剤は、上記特定構造を有するため、電磁波が照射されることにより、下記式で示されるように、化学式(1)中の(−CR5=CR6−C(=O)−)部分がトランス体からシス体へと異性化し、さらに加熱によって環化し、塩基(NHR123R4)を生成する。なお、下記式中のR123は、化学式(1)の−C(−R1)(−R2)(−R3)を表す。以下、本明細書において、化学式(1)の−C(−R1)(−R2)(−R3)をR123と表す場合がある。発生した塩基の触媒作用によって、上述のように、メルカプト基とエポキシ基が反応する硬化反応を開始することができる。
なお、光塩基発生剤とは、常温常圧の通常の条件下では活性を示さないが、外部刺激として電磁波が加えられると、塩基を発生する剤をいう。
特に、本発明の化学式(1)で表される塩基発生剤は、発生する塩基部分に特徴を有する。すなわち、発生する塩基(NHR123R4)は、2級アミンであって、置換された炭化水素基の1つR123が、−C(−R1)(−R2)(−R3)と、メチル基又はそのハロゲン置換体であり、もう1つの炭化水素基R4が、1つ以上のオキシ基又はチオ基を含む、及び/又は、炭素数が3以上であり、且つ、R123とR4とが環状構造を形成していない構造を有する。
本発明の塩基発生剤が、上記特定の構造を有することにより、上記のような効果を発揮する作用としては以下のように推定される。
第一に、発生する塩基が2級アミンであることにより、1級アミンに比べて塩基性が強くなり、触媒活性が高くなる。また、2級アミンを用いることで、異性化の感度が向上する。これは、アミド結合部位の活性水素がなくなり、このことにより、電子密度が変化し、異性化の感度が向上するからではないかと推定される。第二に、2級アミンでありながら、窒素原子に置換された炭化水素基の1つR123が、メチル基又はそのハロゲン置換体と嵩が小さいことにより、塩基発生剤においてアミド結合周辺の立体的な大きさが小さくなって、光異性化反応が進行しやすくなるため、異性化感度が高くなる。第三に、窒素原子に置換された炭化水素基の1つR123が、メチル基又はそのハロゲン置換体と嵩が小さいことにより、発生したアミンがメルカプト基を有する化合物と反応し易くなり、2級アミンの中でも触媒活性が高くなる。第四に、もう1つの炭化水素基R4が、1つ以上のオキシ基又はチオ基を含む、及び/又は、炭素数が3以上であり、且つ、R123とR4とが環状構造を形成していない構造を有することから、塩基発生剤として、エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物との相溶性や、溶剤溶解性が向上し、エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物との組成物中で、光塩基発生剤が有効に塩基を発生するようになる。R123とR4とが環状構造を形成している場合と比べて、R123とR4との各炭化水素基がそれぞれ動き得るので、上記化合物との相溶性や、溶剤溶解性が向上するものと推定される。
以上のような、発生する塩基部分の特徴に由来する、感度、触媒活性、及び溶解性の向上による相乗効果により、触媒活性効率が高くなり、エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物の硬化触媒として利用した場合に、低温度で短時間の硬化条件により硬化可能で、且つ、保存安定性が良好な感光性樹脂組成物を実現することができると推定される。
中でも特に、化学式(1)において、R1、R2及びR3は、いずれも水素原子、すなわち、−C(−R1)(−R2)(−R3)がメチル基であることが、触媒活性の向上の点から好ましい。
但し、R4における当該炭化水素基は、1つ以上のオキシ基又はチオ基を含む、及び/又は、炭素数が3以上である。
炭化水素基としては、不飽和結合を含んでいても良く、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基は、当該炭化水素基中に、置換基を含んでよい。
置換基を含んで良い炭化水素基は、当該炭化水素基に含まれる2つ以上の分岐鎖が結合して環状構造を形成していても良く、置換基を含む2つ以上の分岐鎖が結合し、ヘテロ原子を含む複素環を形成していても良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環、並びに当該脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。
R4における炭化水素基は、通常、1価の炭化水素基であるが、生成するNHR123R4がジアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基性物質の場合等には、2価以上の炭化水素基となり得る。
上記置換基−XR12における、Xとしては、樹脂に対する相溶性や溶剤に対する溶解性が向上する点から、オキシ基、チオ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、オキシチオカルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、カルボニルチオ基が好ましく、オキシ基、チオ基がより好ましい。
ここで、本発明の塩基発生剤において、置換基として、塩基性を有するアミノ基を含まないことが好ましい。塩基性を有するアミノ基が含まれてしまうと、塩基発生剤自体が塩基性物質となり、反応を促進してしまい、露光部と未露光部での溶解性コントラストの差が小さくなってしまう恐れがあるからである。但し、例えば、R4の置換基中に存在する芳香環にアミノ基が結合している場合のように、電磁波の照射と加熱後に発生する塩基との塩基性と差が生じる場合には、R4の置換基にアミノ基が含まれていても用いることができる場合もあり、置換基としてアミノ基が排除されるものではない。
置換基を含んで良いアミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリールオキシカルボニルアミノ基が挙げられる。
また、R4は、分岐鎖及び/又は環状構造を含む炭化水素基であることが好ましく、中でも分岐鎖を含む炭化水素基であることがエポキシ基またはオキセタン基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物との相溶性が向上し、触媒活性効率も向上する点からより好ましい。
触媒作用は、塩基性の大きい塩基性物質の方が触媒としての効果が大きく、より少量の添加で、より低い温度での最終生成物への反応が可能となる。一般に芳香族アミンよりも脂肪族アミンの方が塩基性は高く、その触媒効果が大きい。そのため、R4は、芳香族炭化水素基や芳香族複素環基ではなく、脂肪族炭化水素基又は脂肪族複素環基であることが好ましい。
一方、本発明において、特に化学式(1)中のR5及びR6のうち少なくとも1つが、水素ではなく、上記特定の官能基である場合には、R5及びR6の両方共が水素の場合と比べて、本発明の塩基発生剤は、有機溶剤に対する溶解性が更に向上したり、エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物との親和性が向上する。例えば、R5及びR6のうち少なくとも1つが、アルキル基やアリール基等の置換基を有してもよく、かつ不飽和結合を含んでもよい炭化水素基である場合、有機溶剤に対する溶解性が向上する。また、例えばR5及びR6のうち少なくとも1つがフッ素等のハロゲンである場合、フッ素等のハロゲンを含有するエポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物との親和性が向上する。このように、R5及び/又はR6を所望の有機溶剤やエポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物に合わせて適宜置換基を導入することにより、所望の有機溶剤に対する溶解性が向上したり、所望のエポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物との親和性が向上する。
R7、R8、R9及びR10における置換基は、通常、1価の置換基であるが、後述する環状構造を形成する場合等には、2価以上の置換基となり得る。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環、並びに当該脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。例えば、R7〜R10は、それらの2つ以上が結合して、R7〜R10が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していても良い。R7〜R10の2つ以上が結合して、R7〜R10が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合は、上記炭素−炭素二重結合周囲の共役鎖が拡張し、感度が向上する点から好ましい。
特に、化学式(1)中、R8が、置換基である場合には、高感度で且つ後述する感光性樹脂組成物を厚膜として用いる場合に適している点で好ましい。
また、化学式(1)中、R9が、置換基である場合には、高感度で且つ溶剤溶解性が良好な化合物となる傾向があるため、塩基発生剤が良好な溶剤溶解性を要求される場合に適している点で好ましい。
また、化学式(1)中、R8及びR9が、置換基である場合、及びR8及びR9が結合して環状構造を形成している場合には、特に高感度で且つ溶剤溶解性が良好な化合物となる傾向があり、更に、h線に感度を有するようになる点から好ましい。
中でも、R7、R8、R9及びR10の置換基としては、特に、溶解性の向上、塩基発生の感度の向上の点から、水酸基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、上記置換基を含んで良い炭化水素基、上記置換基を含んで良いシリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シアノオキシ基(シアナト基)、アルキルチオ基、アリールチオ基、アセチルチオ基、アシルチオ基、シアノチオ基(チオシアナト基)、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、チオアシル基、アルコキシチオカルボニル基が好ましく、更に、上記置換基を含んで良い炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基がより好ましい。
本発明においては、高感度化の観点から、上記Aは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の飽和又は不飽和脂肪族、或いは芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいケイ素数1〜20のケイ素−ケイ素二重結合を含んでいてもよいケイ化水素基、オキシ基、チオ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、オキシチオカルボニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルチオ基、オキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、カルバモイル基、スルフィニル基、スルホニル基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリールオキシカルボニルアミノ基、並びにこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる連結基であることが好ましい。
また、当該芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。また、置換基を含む2つ以上の分岐鎖が結合し、ヘテロ原子を含む複素環を形成している場合の具体例としては、テトラヒドロフラン、フラン、チオフェン等が挙げられる。
上記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、上述した置換基−XR12と同様であって良い。
ここで、本発明において、ケイ化水素基とは、2価の場合が−(SiH2)n−、1価の場合が−(SiH2)n−Hのケイ素と水素のみからなる基であり、nは1以上の自然数である。
当該ケイ化水素基が有していてもよい置換基としては、上述した置換基−XR12と同様であって良い。
本発明においては、高感度化の観点から、上記Raは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の飽和又は不飽和脂肪族、或いは芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいケイ素数1〜20のケイ素−ケイ素二重結合を含んでいてもよいケイ化水素基、オキシ基、チオ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、オキシチオカルボニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルチオ基、オキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、カルバモイル基、スルフィニル基、スルホニル基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリールオキシカルボニルアミノ基、並びにこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる連結基であることが好ましい。これらは、上記化学式(2)におけるAと同様のものを用いることができる。
中でも、感度と溶剤溶解性の点から、Rdとしては、置換基を含んで良い炭化水素基であることが好ましい。
R11が加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基である場合、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護されて、水酸基を生成する。加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基でフェノール性水酸基を保護することにより、当該保護基を適宜選択することによって、組み合わせるエポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物との相溶性が向上する。また、フェノール性水酸基と共存することが好ましくないエポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物に対しても、樹脂組成物中に共存させて用いることが可能になる。R11は、本発明で用いられる塩基発生剤において式(1)中に存在するアミド基が分解しない条件下で、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能なフェノール性水酸基の保護基であれば、特に限定されず用いることができる。例えば、アミド結合は、三臭化ホウ素や三塩化アルミニウム等の強ルイス酸や硫酸、塩酸、硝酸等の強酸等が存在する強酸性下における加熱や、水酸化ナトリウム等の強塩基が存在する強塩基性下における加熱により分解する。従って、このような強酸性又は強塩基性条件下での加熱でしか脱保護されない保護基は、本発明の塩基発生剤に用いられる保護基としては不適切である。R11は、溶解性や相溶性の向上或いは合成時の反応性の変化などを目的として、当該塩基発生剤と組み合わせて用いられる化合物の種類や、塩基発生剤の適用方法や合成方法により適宜選択されるものである。
式(4−1)中、R30、R31、R32は、水素、または、置換基を含んで良い炭化水素基が好ましい。上記式(4−1)中R33は、置換基を含んで良い炭化水素基が例示される。置換基を含んで良い炭化水素基としては、R4において説明した置換基を含んで良い炭化水素基と同様であってよい。また、上記式(4−1)中のR33は、R30やR31と連結して環状構造を有していても良い。
前記式(4−1)のR33としては特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、シクロヘキシロキシプロピル基等が挙げられる。また、前記式(4−1)においてR33が、R30やR31と連結して環状構造となり、−O−に結合する置換基が2−テトラヒドロピラニル基等の環状エーテルとなったもの等が挙げられる。
前記式(4−2)のR34としては特に限定されないが、例えば、tert−ブチル基、ベンジル基、9−フルオレニルメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、アリル基、p−メトキシベンジル基、1,1−ジオキソベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル基、2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エチル基、o−ニトロベンジル基等が挙げられる。o−ニトロベンジル基の場合には、電磁波照射により脱保護が可能である。
前記式(4−3)のR35、R36、R37としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基、イソプロピル基等のアルキル基、フェニル基のアリール基、アルコキシ基が好適に用いられる。
前記式(2−4)のR38としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が好適に用いられる。
前記式(4−5)のR39は置換基を有していても良い芳香環であり、特に限定されないが、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。特に、式(4−5)で表される少なくとも炭素原子を含む置換基が、o−ニトロベンジル基の場合、すなわち、R39が2−ニトロフェニル基の場合には、電磁波照射により脱保護が可能である。
前記式(2−6)のRとしては特に限定されないが、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
また、前記化学式(1)で表される塩基発生剤の塩基発生以外の分解を防ぐために、300℃以下で加熱することが好ましい。
また、例えば、相当する1級アミンをアセチル化したのち、上記のようにN−メチル化反応を行い、適宜置換基を導入した2−ヒドロキシベンズアルデヒドとアルドール反応により合成する方法が挙げられる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物と、メルカプト基を2個以上有する化合物と、電磁波の照射と加熱により塩基を発生し下記化学式(1)で表される塩基発生剤を含有することを特徴とする。
塩基発生剤、エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物、並びに、メルカプト基を2個以上有する化合物としては、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。
下記に特にエポキシ基を2個以上有する化合物について具体的に説明するが、オキセタン基を有する2個以上化合物、及び、エポキシ基及びオキセタン基を合計2個以上有する化合物については、エポキシ基を2個以上有する化合物において、エポキシ基をオキセタン基に置換したものを同様に用いることが可能である。
また、低分子のエポキシ基を2個以上有する化合物としては、例えば、100〜5000未満の範囲内のものが好適である。接着性や密着性を向上する場合には、当該低分子の化合物を用いることが好ましい。
また、高分子のエポキシ基を2個以上有する化合物としては、質量平均分子量5,000〜100,000の繰り返し単位を有する高分子にエポキシ基を導入したものを用いることが好ましい。なお、100,000より大きいと粘度が増大する恐れがあり好ましくない。製膜性やを向上する場合には、当該高分子の化合物を用いることが好ましい。
接着性や密着性及び製膜性を兼ね備えるためには、上記低分子化合物と高分子化合物を併用することが好ましい。
ここで質量平均分子量とは、繰り返し単位を有しない場合には化合物の分子量を言い、繰り返し単位を有する場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいう。
より短時間で硬化する点からは、エポキシ当量が100〜800g/eq.のエポキシ基を2個以上有する化合物を、エポキシ基を2個以上有する化合物全量に対して、50質量%以上含有することが好ましい。また、より短時間で硬化する点からは、エポキシ基を2個以上有する化合物を2種以上用いた場合も、混合物の全体として、エポキシ当量が100〜800g/eq.の範囲内であることが好ましい。但し、硬化時間は、感光性樹脂組成物の用途により適宜選択されればよく、これらに限定されるものではない。
また、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、末端にエポキシ基を有するフェノキシ樹脂であっても良い。フェノキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールF骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールM骨格(4,4’−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール骨格)を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールP骨格(4,4’−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール骨格)を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールZ骨格(4,4’−シクロヘキシィジエンビスフェノール骨格)を有するフェノキシ樹脂等、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ノボラック骨格を有するフェノキシ樹脂、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂、フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノキシ樹脂、ノルボルネン骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するフェノキシ樹脂等を挙げることができる。前記フェノキシ樹脂の分子量は、特に限定されないが、質量平均分子量が5000〜100000であることが好ましい。さらに好ましくは10000〜70000である。質量平均分子量が前記下限値以上であれば、製膜性を向上させる効果を十分に得ることができる。一方、前記上限値以下であれば、溶解性を維持することができて好適である。
市販されているオキセタン基を2個以上有する化合物としては、例えば、東亞合成株式会社製のアロンオキセタンOXT121、OXT221、宇部興産株式会社製のETERNACOLL OXBP等が挙げられる。
メルカプト基(−SH基)を2個以上有する化合物としては、1分子内にメルカプト基を2個以上有する化合物であれば、従来公知のものを使用できるが、1分子内にメルカプト基を3個以上有するものがより好適である。メルカプト基の数が1個であると、エポキシ基またはオキセタン基を2個以上有する化合物との反応点が低下し、接着性や耐久性が劣る可能性がある点で好ましくない。なお、メルカプト基を有する化合物はチオールという名称で知られている。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記化学式(1)で表される塩基発生剤と、エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物と、メルカプト基を2個以上有する化合物との単純な混合物であってもよいが、さらに、溶剤、その他の添加剤を配合して、感光性樹脂組成物を調製してもよい。本発明の塩基発生剤の補助的な役割として、光によって酸又は塩基を発生させる他の感光性成分を添加しても良いし、塩基増殖剤や光増感剤を添加してもよい。更に、光硬化性成分やラジカル開始剤を添加しても良い。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、例えば、塗膜形成能や、接着強度、タック性等を調整するため、熱可塑性高分子やその他の高分子を含有しても良い。更に、カップリング剤等の密着向上剤、レベリング剤等の各種添加剤を含有してもよい。また、界面接着性を向上させるために、シランカップリング剤を含有してもよい。また、接着強度を高めるために粘着付与樹脂を含有してもよく、せん断粘着強度を向上させるためにフィラーを含有してもよい。
感光性樹脂組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤としては、各種の汎用溶剤を用いることが出来る。
使用可能な汎用溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホンなどのスルホン類、ヘキサメチルフォスホアミド等のリン酸アミド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、本発明の塩基発生剤の補助的な役割として、光によって酸又は塩基を発生させる他の感光性成分を加えても良い。
光によって酸を発生させる化合物としては、1,2−ベンゾキノンジアジドあるいは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する感光性ジアゾキノン化合物があり、米国特許明細書第2,772,972号、第2,797,213号、第3,669,658号に提案されている。また、トリアジンやその誘導体、スルホン酸オキシムエステル化合物、スルホン酸ヨードニウム塩、スルホン酸スルフォニウム塩等、公知の光酸発生剤を用いることができる。光によって塩基を発生させる化合物としては、例えば2,6−ジメチル−3,5−ジシアノ−4−(2’−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2’−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2’,4’−ジニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジンなどが例示できる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塩基発生剤から発生した少量の塩基の作用によって、分解や転位反応して塩基を発生させる塩基増殖剤を併用しても良い。塩基増殖剤としては、例えば、9−フルオレニルメチルカルバメート結合を有する化合物、1,1−ジメチル−2−シアノメチルカルバメート結合((CN)CH2C(CH3)2OC(O)NR2)を有する化合物、パラニトロベンジルカルバメート結合を有する化合物、2,4−ジクロロベンジルカルバメート結合を有する化合物、その他にも特開2000−330270号公報の段落0010〜段落0032に記載されているウレタン系化合物や、特開2008−250111号公報の段落0033〜段落0060に記載されているウレタン系化合物等が挙げられる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、感光性を向上させるために光増感剤を併用してもよい。光増感剤としては、例えば、チオキサントン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体、ケトクマリン及びその誘導体、ケトビスクマリン及びその誘導体、シクロペンタノン及びその誘導体、シクロヘキサノン及びその誘導体、チオピリリウム塩及びその誘導体、チオキサンテン及びその誘導体、キサンテン及びその誘導体などが挙げられる。
これらは、塩基発生剤との組み合わせによって、特に優れた効果を発揮する為、塩基発生剤の構造によって最適な増感作用を示す増感剤が適宜選択される。
光硬化性成分としては、エチレン性不飽和結合を1つ又は2つ以上有する化合物を用いることができ、例えば、アミド系モノマー、(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、スチレン等の芳香族ビニル化合物を挙げることができる。
このようなエチレン性不飽和結合を有する光硬化性化合物を用いる場合には、さらに光ラジカル発生剤を添加してもよい。光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のモノアシルホスフィンオキシドあるいはビスアシルホスフィンオキシド類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;並びにキサントン類等が挙げられる。
高分子としては、製膜性の点から、熱可塑性高分子を用いることが好適である。熱可塑性高分子の種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、天然ゴム系、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリビニルエーテル、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、スチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ケトン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、スチレン− ブタジエン系ブロック共重合体等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの熱可塑性高分子は、エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物と反応する官能基を有する高分子であることが好ましく、さらにエポキシ基及び/又はオキセタン基と反応する官能基は、特に限定されず、例えば、アミノ基、ウレタン基、イミド基、水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。また、エポキシ基又はオキセタン基を1個有する高分子であっても良い。
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、熱硬化性樹脂等の他の樹脂が含有されていてもよい。上記熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化性ウレタン系樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂、アミノアルキド系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性高分子及びその他の高分子は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
シランカップリング剤の中でも、エポキシ基と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、硬化物の強度や被着体への接着性、密着性を高めることができる。上記エポキシ基と反応し得る官能基としては、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類や、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類や、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ結合含有シラン類や、β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(N−カルボキシメチルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記シランカップリング剤は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対して、0.1〜12質量%添加することが好ましく、0.5〜10重量%添加することがより好ましい。
粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン系樹脂、変成ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、芳香族変成テルペン系樹脂、C5系又はC9系の石油系樹脂、クマロン樹脂等が挙げられる。特に、被着体がポリオレフィンの場合には、ロジン系樹脂や石油系樹脂を併用することにより、高い接着強度を発現することができる。
フィラーとしては、例えば、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム等の無機中実体や、シリカ、クレー、ガラスバルーン、アルミナバルーン、セラミックバルーン等の無機中空体や、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズ等の有機球状体や、アクリルゴムやシリコンゴム等の有機中実体や、塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーン等の有機中空体や、ガラス、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、セルロース、アセテート等からなる単繊維等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物における塩基発生剤の含有量は、エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましい。塩基発生剤の含有量が1質量部未満であると、発生する塩基が当量よりも少なくなり、硬化が十分に進行しない場合があるため、好ましくない。20質量部を超えると、電磁波の照射により塩基が過剰に発生し一部の塩基が硬化性化合物の官能基と反応しなかったり、更に十分な接着強度が得られなかったりする場合があるため好ましくない。
なお、感光性樹脂組成物の固形分とは、溶剤以外の全成分であり、液状のエポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物や、液状のメルカプト基を2個以上有する化合物も固形分に含まれる。
例えば、印刷インキ、塗料、シール剤、接着剤、電子材料、光回路部品、成形材料、レジスト材料、建築材料、光造形、光学部材等に利用できる。
また、以下に示す装置を用いて各測定、実験を行った。
1H NMR測定:日本電子(株)製、JEOL JNM−LA400WB
手動露光:大日本科研製、MA−1100
吸光度測定:(株)島津製作所製、紫外可視分光光度計UV−2550
5%質量減少温度測定:(株)島津製作所製、示差熱・熱質量同時測定装置DTG−60
氷浴下、100mlフラスコ中、3−ブトキシプロピルアミン(東京化成(株)製)1.31g(10.0mmol)を脱水トルエン(関東化学(株)製)10mlに溶解し、無水酢酸(関東化学(株)製)1.02g(10.0mmol、1.0eq)をゆっくり滴下した。反応液を50℃に加熱し、30分撹拌した。反応終了後、濃縮することで、N−(3−ブトキシプロピル)アセトアミドを得た。
アルゴン雰囲気下、氷浴下、3つ口100mlフラスコ中、N−(3−ブトキシプロピル)アセトアミド1.39g(8.0mmol)を脱水ジメチルホルムアミド(関東化学(株)製)10mlに溶解し、水素化ナトリウム(東京化成(株)製)230mg(9.6mmol、1.2eq)を添加し、15分撹拌した後、ヨードメタン(東京化成(株)製)600μl(9.6mmol、1.2eq)を添加した。反応液を常温に戻したのち、終夜で撹拌した。反応終了後、酢酸エチル、蒸留水を加え、酢酸エチルで抽出した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液、1N塩酸により洗浄したのち、反応液を硫酸マグネシウムにより乾燥し、濃縮した。シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することによりN−(3−ブトキシプロピル)−N−メチルアセトアミドを0.84g得た。
アルゴン置換下、100mlフラスコ中、脱水ジメチルホルムアミド(関東化学(株)製)10mlにN−(3−ブトキシプロピル)−N−メチルアセトアミド750mg(4.0mmol)を添加し溶解させた後、カリウム−t−ブトキシド(和光純薬(株)製)1.80g(16.0mmol、4eq)を加え15分間撹拌したのち、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製)580mg(3.8mmol、0.95eq)を添加し、110℃で約4時間反応した。反応終了後、酢酸エチル、蒸留水を加え、酢酸エチルで抽出した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液、1N塩酸により洗浄したのち、反応液を硫酸マグネシウムにより乾燥し、濃縮した。シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより下記化学式で示される塩基発生剤(1)を0.32g得た。
製造例1において、3−ブトキシプロピルアミンの代わりに、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン(東京化成工業(株)製)を等モル量用いた以外は、製造例1と同様にして、下記化学式で示される塩基発生剤(2)を0.43g得た。
製造例1において、3−ブトキシプロピルアミンの代わりに、テトラヒドロフルフリルアミン(東京化成工業(株)製)を等モル量用いた以外は、製造例1と同様にして、下記化学式で示される塩基発生剤(3)を0.29g得た。
100mLフラスコ中、炭酸カリウム(関東化学(株))2.00gをメタノール15mLに加えた。50mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウム ブロミド(東京化成工業(株))2.67g(6.2mmol)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(東京化成工業(株))945mg(6.2 mmol)をメタノール10mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認したうえでろ過を行って炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加え1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで2−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸を1.00g得た。続いて、100mL三口フラスコ中、2−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸500mg(3.0 mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン(関東化学(株)製)10mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(東京化成工業(株))0.586g(3.0mmol)を加えた。30分後、N−メチルシクロヘキシルアミン(東京化成工業(株))0.4ml(3.0mmol)を加えた。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。クロロホルムで抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した。その後、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール 100/1〜10/1)により精製することにより、下記化学式で表される塩基発生剤(4)を320mg得た。
製造例1において、3−ブトキシプロピルアミンの代わりに、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン(東京化成工業(株)製)を等モル量用い、N−(3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル)−N−メチルアセトアミドを合成した。製造例1において、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒドの代わりにサリチル酸アルデヒド(東京化成工業(株)製)を等モル量用いた以外は、製造例1と同様にして、下記化学式で示される塩基発生剤(5)を0.23g得た。
製造例4において、N−メチルシクロヘキシルアミンの代わりに、ジプロピルアミン(東京化成工業(株)製)を等モル量用いた以外は、製造例4と同様にして、下記化学式で表される比較塩基発生剤(1)を280mg得た。
製造例4において、N−メチルシクロヘキシルアミンの代わりに、ピペリジン(東京化成工業(株)製)を等モル量用いた以外は、製造例4と同様にして、下記化学式で表される比較塩基発生剤(2)を650mg得た。
製造例4において、N−メチルシクロヘキシルアミンの代わりに、ブチルアミン(東京化成工業(株)製)を等モル量用いた以外は、製造例4と同様にして、下記化学式で表される比較塩基発生剤(3)を590mg得た。
製造例4と同様に2−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸を得た。100mlフラスコ中、2−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸580mg(3.0mmol)をジオキサン(関東化学(株)製)20mlに溶解させ、塩化チオニル(東京化成工業(株)製)200μl(2.8mmol、0.9eq)をゆっくり滴下した。10分撹拌した後、trans−2,6−ジメチルピペリジン(東京化成工業(株)製)0.9ml (6.6mmol、2.2eq)を加えた。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。クロロホルムで抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した後ろ過することにより、下記化学式で表される比較塩基発生剤(4)を120mg得た。
合成した塩基発生剤(1)〜(5)、及び比較塩基発生剤(1)〜(4)について、以下の測定を行い、評価した。モル吸光係数及び5%質量減少温度の結果を表1に示す。
(1)モル吸光係数
塩基発生剤(1)〜(5)、及び比較塩基発生剤(1)〜(4)をそれぞれ、アセトニトリルに1×10−4mol/Lの濃度で溶解し、石英セル(光路長10mm)に溶液を満たし、365nm及び405nmでの吸光度を測定した。なお、モル吸光係数εは、溶液の吸光度を吸収層の厚さと溶質のモル濃度で割った値である。
塩基発生剤(1)〜(5)、及び比較塩基発生剤(1)〜(4)の耐熱性を評価するために、昇温速度10℃/minの条件で5%質量減少温度を測定した。
NMR測定を用いて、i線感度を評価した。なお、i線感度とは50%異性化に必要なi線換算における露光量のことである。
塩基発生剤(1)〜(5)、及び比較塩基発生剤(1)〜(4)について、1mgの試料を石英製NMR管中で重ジメチルスルホキシド0.5mLに溶解させた。
塩基発生剤(1)〜(5)、及び比較塩基発生剤(1)〜(4)について、350nm以下の光をカットするフィルタ(商品名:GG385、厚さ1mm、(株)渋谷光学製)と高圧水銀灯を用いて、断続的に光照射を行い、1H NMRを測定し、異性化の割合を測定し、異性化率が50%となる照射量を求めた。異性化率が50%となる照射量を表2に示す。
本発明に係る塩基発生剤(1)〜(5)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(1)〜(5)を調製した。同様に、比較塩基発生剤(1)〜(4)を用いて、下記に示す組成の比較感光性樹脂組成物(1)〜(4)を調製した。
・エポキシ基を2個有する化合物(商品名「jER 828」,ビスフェノールA型エポキシ樹脂,固形分:100%,エポキシ当量:184〜194g/eq.,質量平均分子量:370,三菱化学社製):100質量部
・メルカプト基を4個有する化合物(ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート、商品名「QX40」,粘度:400〜550mPa・s/25℃,アミン価:125〜137KOHmg/g,三菱化学社製):70質量部
・各塩基発生剤:5質量部
低温での熱硬化性の確認は次のようにして行った。まず、ホットプレートのスイッチを入れ、ホットプレートを120℃に加熱した。続いて、感光性樹脂組成物(1)〜(5)及び比較感光性樹脂組成物(1)〜(4)をガラス上に最終膜厚10.0μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。感光性樹脂組成物(1)〜(5)及び比較感光性樹脂組成物(1)、(3)は乾燥後、塩基発生剤の析出は見られなかった。比較感光性樹脂組成物(2)、(4)は、溶剤を乾燥させることで、塩基発生剤が析出した。比較感光性樹脂組成物(1)〜(4)については、塗膜を2枚ずつ作製した。
その後、それぞれの塗膜について、ホットプレートを用いて120℃で加熱した。塗膜表面で樹脂組成物の糸が引かなくなり、表面が硬くなったことを目視で確認するまでに要した時間を測定し、硬化時間とした。硬化時間の結果を表4に示す。なお、30分加熱しても硬化しなかったものを“硬化せず”とした。
一方、塩基発生剤として、発生するアミンがジプロピルアミンである比較塩基発生剤(1)を用いた比較感光性樹脂組成物(1)は、5J/cm2全面露光を行った場合も、30J/cm2全面露光を行った場合も30分の加熱では硬化しなかった。表2の結果から、比較塩基発生剤(1)の感度は、本発明の塩基発生剤(1)〜(5)よりもむしろ高いが、ジプロピルアミンは窒素原子に置換された炭化水素基がいずれも嵩高いため、メルカプト基を有する化合物に対する反応性が低くなり、触媒活性が低くなっていることが推定された。
また、塩基発生剤として、発生するアミンがピペリジンである比較塩基発生剤(2)を用いた比較感光性樹脂組成物(2)も、5J/cm2全面露光を行った場合も、30J/cm2全面露光を行った場合も30分の加熱では硬化しなかった。比較感光性樹脂組成物(2)は、溶剤を乾燥して塗膜を形成した時点で比較塩基発生剤(2)が析出してしまい、塩基発生剤が塗膜中で固体として存在したため、光照射によって塩基が殆ど発生しなかったためと推定された。
また、塩基発生剤として、発生するアミンがブチルアミンである比較塩基発生剤(3)を用いた比較感光性樹脂組成物(3)も、5J/cm2全面露光を行った場合も、30J/cm2全面露光を行った場合も30分の加熱では硬化しなかった。比較塩基発生剤(3)は本発明の塩基発生剤(1)〜(5)より、低感度であり発生するアミンの量が少なかったこと、発生したアミンが1級アミンであるため、塩基性が弱く低かったため、比較感光性樹脂組成物(3)は、硬化しなかったのではないかと推定される。
また、塩基発生剤として、発生するアミンがtrans−2,6−ジメチルピペリジンである比較塩基発生剤(4)を用いた比較感光性樹脂組成物(4)も、5J/cm2全面露光を行った場合も、30J/cm2全面露光を行った場合も30分の加熱では硬化しなかった。比較感光性樹脂組成物(4)は、溶剤を乾燥して塗膜を形成した時点で比較塩基発生剤(4)が析出してしまい、塩基発生剤が塗膜中で固体として存在したため、光照射によって塩基が殆ど発生しなかったためと推定された。
Claims (5)
- エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物の硬化触媒として利用可能な塩基発生剤であり、電磁波の照射と加熱により塩基を発生し、下記化学式(1)で表されることを特徴とする、塩基発生剤。
- 化学式(1)中、R4が、1つ以上のオキシ基又はチオ基を含む炭化水素基であることを特徴とする、請求項1に記載の塩基発生剤。
- 化学式(1)中、R4が、分岐鎖及び/又は環状構造を含む炭化水素基であることを特徴とする、請求項1乃至2に記載の塩基発生剤。
- 化学式(1)中、R7、R8、R9及びR10のうち、少なくとも1つは置換基であるか、或いは、R7、R8、R9及びR10は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の塩基発生剤。
- エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物と、メルカプト基を2個以上有する化合物と、前記請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塩基発生剤を含有することを特徴とする、感光性樹脂組成物。
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