JP2013086598A - 袋織エアバッグ - Google Patents

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Abstract

【課題】膨張展開部と閉部との境界部における織地間の目開きが抑制され、特に膨張展開部と閉部との間の境界部からのエア漏れが抑えられる袋織エアバッグを提供する。
【解決手段】袋織組織からなる膨張展開部11と、この膨張展開部11に隣接して設けられた閉部12とを備える袋織エアバッグ1であって、膨張展開部11と、閉部12との境界部Aにおいて、膨張展開部11の一面側の織糸と、膨張展開部11の他面側の織糸と、閉部12の織糸とが接着成分2により互いに接合されており、閉部12の織組織をn/mとした場合に、膨張展開部11に隣接する閉部12の織組織は、nが1〜4の整数であり、mが2〜4の整数である。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の衝突時に膨張し、展開して、乗員に加わる衝撃を吸収し、緩和する袋織エアバッグに関する。更に詳しくは、本発明は、インフレータから噴出されるエアが流入して膨張し、展開する膨張展開部と、それに隣接する閉部との境界部における織地間の目開きが抑制され、特に膨張展開部と閉部との間の境界部からのエア漏れが抑えられる袋織エアバッグに関する。
従来、車両用のエアバッグは、膨張し、展開する袋状部と、袋状部からのエア漏れを抑えるため、袋状部の周縁部に設けられた閉部とを備える。また、膨張、展開時のエア漏れをより抑えるため、外表面にはシリコーン樹脂等からなるコーティング層が設けられている。このコーティング層を厚くするほどエア漏れは少なくなる。しかし、エアバッグは、通常、コンパクトに丸められ、又は折り畳まれ、車両の所定箇所に収納されるため、コーティング層を厚くした場合、エアバッグが剛直になり、丸めたり、折り畳んだりすることが容易でないばかりか、膨張、展開性能も低下することがある。
また、エア漏れは、エアバッグ全体を閉部と同様の緻密な織組織とすることによっても抑えることができ、このように緻密な織組織とすることは、コーティング層が設けられていない内部、例えば、袋状部と閉部との境界部を通じてのエア漏れの抑制にも有効である。特に、袋織エアバッグでは、袋状部と閉部との境界部における目開きによるエア漏れが問題であり、上述のように、緻密な織組織とすることは、境界部を通じてのエア漏れの抑制に有効である。しかし、エアバッグ全体を緻密な織組織とした場合、コーティング層を厚くしたときと同様に、エアバッグが剛直になり、同様に、丸めたり、折り畳んだりすることが容易でなく、膨張、展開性能も低下することがある。
前述のようなエア漏れを抑え、エアバッグの気密性を確保するための各種の方法が提案されており、例えば、布帛の少なくとも片面が樹脂で被覆されており、少なくとも一部の単糸が樹脂で包囲され、他は包囲されていないエアバッグ基布が知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、空気遮断性、収納コンパクト性、樹脂被膜の接着性等に優れていると説明されている。また、二重織の袋織部と、この周囲に接合境界部を介して連続する一重織部とを備える袋織エアバッグの表面に、膨張展開状態での気密性を保持するコーティング層を形成する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。そして、この袋織エアバッグでは、接合境界部のみに第1コーティング層が形成され、表面全面に第2コーティング層が形成されている。
特開2004−124321号公報 特開2003−126746号公報
しかし、特許文献1に記載されたエアバッグ基布では、基布が袋織であること、及び特に袋状部と閉部との境界部におけるエア漏れの抑制については何ら言及されていない。また、特許文献2に記載された袋織エアバッグでは、第1コーティング層の形成に用いる第1コート剤として、第2コーティング層の形成に用いる第2コート剤より高粘度のコート剤が使用されている。そのため、エアバッグの膨張展開時にエア漏れし易い接合境界部にコート剤が浸透し難く、エア漏れが十分に抑えられないことがあると考えられ、袋織部と一重織部との接合境界部における気密性の更なる向上が必要とされる。
本発明は、前述の従来の状況に鑑みてなされたものであり、膨張展開部と、隣接する閉部との境界部において、各々の織糸を熱可塑性樹脂等の接着成分により接合することで、インフレータから噴出されるエアが流入して膨張し、展開する膨張展開部と、それに隣接する閉部との境界部における織地間の目開きが抑制され、特に膨張展開部と閉部との境界部からのエア漏れが抑えられる袋織エアバッグを提供することを目的とする。
本発明は、以下のとおりである。
1.袋織組織からなる膨張展開部と、前記膨張展開部に隣接して設けられた閉部とを備える袋織エアバッグであって、
前記膨張展開部と、前記閉部との境界部において、前記膨張展開部の一面側の織糸と、前記膨張展開部の他面側の織糸と、前記閉部の織糸とが接着成分により互いに接合されており、
前記閉部の織組織をn/mとした場合に、前述膨張展開部に隣接する閉部の織組織は、nが1〜4の整数であり、mが2〜4の整数であることを特徴とする袋織エアバッグ。
2.前記膨張展開部及び前記閉部の各々の外表面に前記接着成分を用いてなるコーティング層が設けられている前記1.に記載の袋織エアバッグ。
3.前記閉部は、前記膨張展開部に隣接する反転袋織部を有する前記1.又は2.に記載の袋織エアバッグ。
本発明の袋織エアバッグは、膨張展開部と閉部との境界部における各々の織糸間が熱可塑性樹脂等の接着成分により互いに接合されているため、境界部における織地間の目開きが十分に抑制され、エア漏れが抑えられるため、膨張後、所定時間、所要内圧が保持される。また、境界部からのエア漏れがより十分に抑えられるため、膨張展開部等の外表面のコーティング層を通常より薄くすることもでき、これによって、丸めたり、折り畳んだりすることが容易となり、且つ優れた膨張、展開性能を有する袋織エアバッグとすることができる。
また、膨張展開部及び閉部の各々の外表面に、前述の織糸間を接合する接着成分を用いてなるコーティング層が設けられている場合は、境界部の織糸間が接合されて目開きが抑えられるばかりでなく、袋織エアバッグの全面の気密性を高めることもでき、特にコーティング層が従来に比べて薄いときであっても、所定時間経過後、通常のエアバッグに要求される所要内圧が十分に保持される。
更に、閉部が、膨張展開部に隣接する反転袋織部を有する場合は、織糸間が熱可塑性樹脂によって接合された境界部がより緻密になり、境界部での目開きが十分に抑制され、エア漏れが抑えられるとともに、より柔軟であって、収納するために丸めたり、折り畳んだりするときの作業性、及び膨張、展開性能の観点で、特に好ましい袋織エアバッグとすることができる。
膨張展開部と閉部との境界部において各々の織糸が接着成分により互いに接合されていることを説明するための模式図である。 図1の境界部を拡大した模式図である。 膨張展開部及び閉部の各々の外表面に上述の織糸間を接合する接着成分を用いてなるコーティング層が設けられている袋織エアバッグの一部の断面の模式図である。 膨張展開部に隣接する反転袋織部と、この反転袋織部に連設された一重織の織物組織とを有する閉部を説明するための模式図である。 膨張展開部に隣接する一重織の織物組織及びこれに連設される他の一重織の織物組織からなる閉部を説明するための模式図である。 図3のコーティング層の表面に更にシリコーン樹脂等を用いてなる通気抑制層が設けられている袋織エアバッグの一部の断面の模式図である。 膨張展開部及び閉部の各々の外表面にシリコーン樹脂等を用いてなる通気抑制層のみが設けられている従来の袋織エアバッグの一部の断面の模式図である。 カーテンシールドエアバッグの一例の模式的な平面図である。 膨張展開部と閉部との境界部の織糸間が接合されているときと、接合されていないときとの、境界部に加わる荷重と目開きとの相関を比較して表すグラフである。
以下、本発明を、図も参照しながら詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本発明の袋織エアバッグ1(図3〜6参照、以下、「エアバッグ」ということもある。)は、袋織組織からなる膨張展開部11と、膨張展開部11に隣接して設けられた閉部12とを備える。また、膨張展開部11と、閉部12との境界部A(図1、2参照)において、膨張展開部11の一面側の織糸と、他面側の織糸と、閉部12の織糸とが熱可塑性樹脂等の接着成分2により互いに接合されている(図1、2参照)。更に、閉部12の織組織をn/mとした場合に、少なくとも膨張展開部11に隣接する閉部12の織組織は、nが1〜4の整数であり、mが2〜4の整数である。即ち、膨張展開部11に隣接する閉部12の織組織は1/1組織ではない。
(1)膨張展開部
前記「膨張展開部11」は袋織組織からなり、車両が衝突したとき、インフレータからの噴出エアが内部に流入することにより、膨張し、展開して、乗員の頭部、顔面、胸部等に加わる衝撃が緩和される。膨張展開部11は、二重織りにより形成され、一面側及び他面側の各々の織地の織物組織は特に限定されず、例えば、平織組織、斜子組織、斜文組織、朱子組織等の各種の織物組織とすることができる。また、膨張展開部11の織組織も特に限定されず、1/1袋組織、2/1袋組織、1/2袋組織、2/2袋組織、2/3袋組織、3/3袋組織、3/2袋組織等とすることができる。これらの織組織のうち、1/1袋組織、2/1袋組織、1/2袋組織、特に1/1袋組織では、膨張展開部11が剛直になることがあるため、その場合は2/2袋組織等の他の織組織とすることが好ましい。
(2)閉部
前記「閉部12」は、膨張展開部11の端縁部に隣接して設けられ、膨張展開部11が膨張し、展開して所定の立体形状となるように、膨張展開部11に流入したエアの漏洩を抑えるための通気度の低い帯状部である。閉部12の織物組織は、流入したエアの漏洩を十分に抑えることができる限り、特に限定されない。この閉部12の織物組織は、例えば、袋織組織、平織組織、斜子組織、斜文組織、朱子組織等の各種の織物組織とすることができる。
また、閉部12は、エアバッグ1の端縁部からのエア漏れが抑えられる限り、1種の織物組織のみからなっていてもよいが、エア漏れをより十分に抑えるため、異なる織物組織又は同じ織物組織であっても織組織が異なる閉部12が連設されていてもよい(図4の閉部121〜123、図5の閉部122〜124参照)。この場合、織物組織及び/又は織組織の異なる閉部121〜124の各々の連設される順序は特に限定されないが、膨張展開部11と閉部12との境界部Aにおける織糸間を十分に接合させ、目開きをより抑制するためには、閉部12は、膨張展開部11に隣接する反転袋織組織からなる反転袋織部121(図4参照)を有していることが好ましい。
上述の反転袋織部121では、その下布が、隣接する膨張展開部11の袋織組織の上布を構成する経糸及び緯糸によって形成され、上布が、隣接する膨張展開部11の袋織組織の下布を構成する経糸及び緯糸によって形成されている。更に、閉部12の幅方向には、2以上の反転袋織部が隣接して設けられていてもよく、2以上の反転袋織部が平織部等を介して設けられていてもよい。2以上の反転袋織部が隣接して設けられている場合、隣接する各々の反転袋織部は、一方の下布が他方の上布を構成する経糸及び緯糸によって形成され、一方の上布が他方の下布を構成する経糸及び緯糸によって形成される。また、閉部12は、一重織りの平織部等のみにより形成されていてもよい(図5参照)。
更に、閉部12の織組織をn/mとした場合に、少なくとも膨張展開部11に隣接する閉部12の織組織は、nは1〜4の整数であり、mは2〜4の整数である。即ち、膨張展開部11に隣接する閉部12の織組織は、1/1組織を除く織組織である。例えば、膨張展開部11に隣接する閉部12の織物組織が袋織組織である場合、その織組織は、2/1袋組織、1/2袋組織、2/2袋組織、2/3袋組織、3/3袋組織、3/2袋組織等とすることができる。
また、膨張展開部11に隣接する閉部12の織物組織が一重織りである場合、その織組織は、1/2組織、2/1組織、2/2組織、2/3組織、3/2組織、3/3組織、3/4組織、4/3組織、4/4組織等とすることができる。より具体的には、2/2平組織、3/3平組織、1/2斜子組織、2/1斜子組織、3/3斜子組織等とすることができる。更に、膨張展開部11に隣接する閉部121(図4参照)、及び閉部122(図5参照)等に連設される閉部(図4の閉部122、123、図5の閉部123、124等)の織組織は特に限定されず、上述の各種の織組織とすることができ、1/1組織であってもよい。
尚、上述の各種の織組織のうち、1/1組織(膨張展開部11に隣接する、例えば、図4の閉部121、及び図5の閉部122は1/1組織ではない。)、2/1組織及び1/2組織、特に1/1組織では、エアバッグ1が剛直になり、収納するため丸めたり、折り畳んだりするときの作業がし難くなることがあるため、その場合は2/2組織等の他の織組織とすることが好ましい。
また、閉部12の幅方向の糸本数は特に限定されないが、4〜80本、特に10〜50本であることが好ましい。この範囲の本数であれば、境界部Aにおける一面側の織地と他面側の織地との間の目開きを十分に抑制することができ、目開きによるエア漏れを抑えることができる。
(3)織糸の接合
膨張展開部11と、閉部12との境界部A(図1、2参照)において、膨張展開部11の一面側の織糸(経糸11a、緯糸11b)と、膨張展開部11の他面側の織糸(一面側と同様に、経糸11a、緯糸11bとする。)と、閉部12の織糸(経糸12a、緯糸12b)とが熱可塑性樹脂等の接着成分2により互いに接合されている。このように、境界部Aにおいて各々の織糸が接着成分2により接合されていることにより、膨張展開部11にエアが流入したときの一面側の織地と他面側の織地との間の目開きが抑制され、エア漏れが抑えられる。
接着成分2としては、各種の樹脂及びゴム(以下、樹脂等という。)を用いることができる。樹脂等としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系ゴム、クロロプレン系ゴム、及びクロロスルフォン化ポリエチレン系ゴム等が挙げられる。また、これらの樹脂等は、織糸の材質によって選択することが好ましく、織糸間をより強固に接合することができる樹脂等が好ましい。例えば、織糸がポリアミド糸、ポリエステル糸であるときは、接着成分2はポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂等であることが好ましい。
更に、樹脂等により織糸間を接合させる方法は、特に限定されないが、例えば、膨張展開部11及び閉部12に用いられる基布の、エアバッグ1となったときに外表面となる側に、樹脂等を含有する溶液又は分散液を吹き付け、必要に応じて加熱し、媒体を除去する方法等が挙げられる。このように、膨張展開部11と閉部12との境界部Aにおいて、織糸間を樹脂等により接合することにより、前述のように、膨張展開部11にエアが流入したときの、境界部Aにおける目開きを抑制することができ、境界部Aからのエア漏れを十分に抑えることができる。
樹脂等を含有する溶液又は分散液をそれぞれの織糸間に十分に含浸させるためには、溶液又は分散液の粘度が低いことが好ましい。この粘度は、樹脂等の種類、及び含有量等により調整することができるが、含有量が過少であると、粘度は低下するものの、織糸間を接合するための樹脂等が少なくなり、十分に接合することができないことがある。そのため、含浸のし易さと、十分な接合とを勘案して粘度を設定することが好ましい。この粘度は特に限定されないが、回転型粘度計(ブルックフィールド社製、型式「B型」)により測定した25℃における粘度が1〜100Pa・s、特に5〜50Pa・s、更に5〜30Pa・sであることが好ましい。
また、織糸間の接合のために供給される樹脂等は、基布への溶液又は分散液の塗布量によって変量するため、溶液又は分散液の粘度によって織糸間に供給される樹脂量等が適量となるように塗布量を調整することが好ましい。基布への溶液又は分散液の塗布量は、1〜20g/m、特に3〜10g/m、更に3〜7g/mであることが好ましい。更に、溶液又は分散液の粘度が5〜30Pa・sであり、且つ塗布量が3〜7g/mであることが特に好ましい。このような粘度及び塗布量であれば、塗布の作業が容易であるとともに、織糸間に適量の樹脂等が供給され、織糸間が十分に接合されて境界部Aにおける目開きがより抑制され、エア漏れがより抑えられる。
(4)コーティング層の形成
上述のように、膨張展開部11と、閉部12との境界部Aにおいて、各々の織糸間が熱可塑性樹脂等の接着成分2により互いに接合され、境界部Aにおける目開きが抑制され、エア漏れが抑えられる。この他、エアバッグ1全体としてのエア漏れをより抑えるため、通常、膨張展開部11及び閉部12の各々の外表面にコーティング層が設けられる。このコーティング層として、織糸間の接合に用いられた接着成分2を用いることもできる(図3のコーティング層21参照)。この場合、コーティング層21の形成に用いられる溶液又は分散液の粘度、塗布量等は織糸間の接合のときと同様でよい。また、必要とされる通気性等によって、溶液又は分散液の粘度、塗布量等を適宜調整することもできる。
更に、コーティング層21の場合、溶液又は分散液の粘度が、前述の範囲、特に5〜30Pa・sである場合、塗布量は、1〜20g/m、特に3〜10g/m、更に3〜7g/mで十分であり、これにより、通気性が抑制され、エア漏れが十分に抑えられる。一方、従来、基布の通気性を抑制するため用いられることが多い主剤と硬化剤との反応により形成されるシリコーン樹脂等からなる通気抑制層3(図7参照)では、同等の通気性を達成するためには、層厚をより厚くする必要がある。例えば、主剤と硬化剤との反応により形成されるシリコーン樹脂層の場合、混合液の粘度は、通常、50〜200Pa・sと高く、且つ塗布量も、10〜100g/m、特に20〜70g/m、更に20〜50g/mと多くする必要がある。このように、上述のシリコーン樹脂からなる通気抑制層3の形成に用いる主剤と硬化剤との混合物は粘度が高く、必ずしも作業性がよいとはいえない。
また、膨張展開部11及び閉部12の各々の外表面のコーティング層としては、織糸間の接合に用いられる接着成分2を用いてなるコーティング層21(図3参照)の他、このコーティング層21の表面に、上述のような、主剤と硬化剤との反応により形成されるシリコーン樹脂等からなる通気抑制層3を更に設けることもできる(図6参照)。このように、織糸間を接着成分2により接合したうえで、膨張展開部11及び閉部12の各々の外表面にコーティング層21及び通気抑制層3を設けた場合、エアバッグ1全体としての通気性が特に十分に抑えられ、車両がロールオーバーしたときなどに、乗員の頭部等を十分に保護するため、所定時間、内圧が保持されることが要求されるカーテンシールドエアバッグ(図8参照)等としても用いることができる。
(5)糸の材質、繊度等
本発明の袋織エアバッグ1の製造には、合成樹脂からなるフィラメントが用いられ、このフィラメントとしては、マルチフィラメントとモノフィラメントとがあるが、通常、マルチフィラメントが用いられる。フィラメントの材質は特に限定されず、各種の合成樹脂からなるフィラメントを用いることができる。この合成樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。合成樹脂としては、特にポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が好ましく、ポリアミド系樹脂がより好ましい。
マルチフィラメント等の合成樹脂フィラメントの繊度は特に限定されず、エアバッグ1の種類、及び平面形状、寸法等により、適宜の繊度のマルチフィラメント等を用いることが好ましい。繊度は235〜700デシテックス、特に350〜470デシテックスであることが好ましい。マルチフィラメント等の繊度が235〜700デシテックスであれば、エア漏れを十分に抑えることができる膨張展開部11及び閉部12を形成することができるとともに、収納のために丸めたり、折り畳んだりすることが容易なエアバッグ1とすることができ好ましい。
また、マルチフィラメントの場合、このマルチフィラメントを構成するフィラメント数は特に限定されず、その繊度等によって設定することができるが、36〜200本、特に72〜144本であることが好ましい。
更に、織り密度も特に限定されず、フィラメントの繊度、並びにマルチフィラメントであるときは、マルチフィラメントを構成するフィラメントの繊度及びフィラメント数等によって設定することができる。この織り密度は、経方向、緯方向ともに、30〜80本/inch、特に40〜70本/inchとすることができる。
(6)エアバッグの種類
本発明の袋織エアバッグ1の種類は特に限定されず、運転席エアバッグ、助手席エアバッグ、サイドエアバッグ、ニーエアバッグ及びITSヘッド・エアバッグ、カーテンシールドエアバッグ等の各種の自動車用エアバッグとして用いることができ、特に、外表面に設けられるコーティング層(通気抑制層)によっては、所定時間、十分な内圧が保持されることが要求されるカーテンシールドエアバッグとして用いることもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
ポリアミド製の108本のフィラメントにより構成される繊度350デシテックスのマルチフィラメントを使用し、基布を製造した。膨張展開部11となる袋織組織の基布の織組織は2/2組織とし、閉部12は、膨張展開部11の側から、膨張展開部11に隣接する反転袋織部121、この反転袋織部に連設された2/2平織部122とした。更に、基布の全外表面に、粘度30Pa・sのウレタン分散液を塗布量が5g/mとなるように塗布し、乾燥して、膨張展開部11と閉部12との境界部Aに分散液を含浸させ、織糸間を接合させるとともに、コーティング層21を形成した。
比較例1
実施例1と同様にして基布を製造し、基布の全外表面に、シリコーン樹脂主剤と硬化剤との混合液(粘度50Pa・s)を塗布量が30g/mとなるように塗布し、乾燥して通気抑制層3を形成した。
その後、実施例1及び比較例1の各々の袋織エアバッグ1の膨張展開部11と閉部12との境界部の目開きを、膨張展開部の11a、11bを把持し、180°逆方向に引っ張ることにより、閉部12の境界部を押し広げるようにして測定し、膨張展開部11の端部の一面側と他面側の各々の織地が剥離し、目開きする目開き量を評価した。結果を図9に記載する。
図9によれば、ウレタン分散液を用いた実施例1と、シリコーン混合液を用いた比較例1とでは、荷重750Nまでは目開き量に殆ど差はないが、荷重が750Nを越えた後は目開き量に差があり、実施例1と比べて比較例1の目開き量が大きく、しかも荷重の増加とともに目開き量の差が大きくなっていることが分かる。これは、実施例1では、境界部Aにウレタン分散液が浸透して含浸され、織糸間が接着成分2であるウレタン樹脂によって接合されているのに対して、比較例1では、シリコーン混合液は、基布の表面近傍のみに塗布され、境界部に含浸されず、織糸間が接合されていないためである。
尚、前述の記載は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施形態を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、寧ろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は、車両用の袋織エアバッグの技術分野において利用することができる。特に、膨張展開部と閉部との境界部における目開きが抑制され、エア漏れが十分に抑えられる袋織エアバッグの技術分野において有用である。また、外表面に設けられるコーティング層(通気抑制層)によっては、ロールオーバー時に有用なカーテンシールドエアバッグ等の技術分野においても好適に利用することができる。
1;袋織エアバッグ、11;膨張展開部、11a;膨張展開部の経糸、11b;膨張展開部の緯糸、12;閉部、12a;閉部の経糸、12b;閉部の緯糸、121;反転袋織部、122、123、124;一重織部、13;外周縁、2;接合樹脂、21;接着成分を用いてなるコーティング層、3;通気抑制層、100;カーテンシールドエアバッグ、4;エア導入口。

Claims (3)

  1. 袋織組織からなる膨張展開部と、前記膨張展開部に隣接して設けられた閉部とを備える袋織エアバッグであって、
    前記膨張展開部と、前記閉部との境界部において、前記膨張展開部の一面側の織糸と、前記膨張展開部の他面側の織糸と、前記閉部の織糸とが接着成分により互いに接合されており、
    前記閉部の織組織をn/mとした場合に、前記膨張展開部に隣接する閉部の織組織は、nが1〜4の整数であり、mが2〜4の整数であることを特徴とする袋織エアバッグ。
  2. 前記膨張展開部及び前記閉部の各々の外表面に前記接着成分を用いてなるコーティング層が設けられている請求項1に記載の袋織エアバッグ。
  3. 前記閉部は、前記膨張展開部に隣接する反転袋織部を有する請求項1又は2に記載の袋織エアバッグ。
JP2011227315A 2011-10-14 2011-10-14 袋織エアバッグ Expired - Fee Related JP5772484B2 (ja)

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