JP2013083290A - 変速機の変速操作装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】同期噛み合い機構を同期作用に必要な速度で移動させた後、スリーブとギヤとの干渉音を始めとする衝突に起因する衝突音の発生を防止できる変速機の変速操作装置を提供すること。
【解決手段】シフターシャフト33の端部が挿入される変速機ケース41に設けられた支持穴42と、を備え、支持穴42の容積が変化する空間部43に、潤滑オイル供給路45と、空気出入り路を兼ねるオイルドレイン路46と、を連通させ、シフターシャフト33の移動速度を、シンクロ機構とドライブギヤとの同期に必要な速度より低下させない一定量の潤滑オイルを貯留させ、一定量を越えるとオイルドレイン路を介して潤滑オイルが排出されるように設定され、ドライブギヤとシンクロ機構との同期が完了してシフターシャフト33がストッパ部44に接触する前に、空間部43の容積の縮小に伴い潤滑オイルを充満させてシフターシャフト33の移動速度を低下させるようにした。
【選択図】図6
【解決手段】シフターシャフト33の端部が挿入される変速機ケース41に設けられた支持穴42と、を備え、支持穴42の容積が変化する空間部43に、潤滑オイル供給路45と、空気出入り路を兼ねるオイルドレイン路46と、を連通させ、シフターシャフト33の移動速度を、シンクロ機構とドライブギヤとの同期に必要な速度より低下させない一定量の潤滑オイルを貯留させ、一定量を越えるとオイルドレイン路を介して潤滑オイルが排出されるように設定され、ドライブギヤとシンクロ機構との同期が完了してシフターシャフト33がストッパ部44に接触する前に、空間部43の容積の縮小に伴い潤滑オイルを充満させてシフターシャフト33の移動速度を低下させるようにした。
【選択図】図6
Description
本発明は、変速機の変速操作装置に関する。
デュアルクラッチトランスミッション(DCT)などの変速機において、通常、マニュアルトランスミッション(MT)と同様の同期噛み合い機構を用いて変速を行っている。同期噛み合い機構は、スリーブが移動させられることにより、シンクロコーン部で発生する摩擦トルクによりスリーブとギヤの回転速度を合わせて回転を同期させている。スリーブは、軸方向に移動するシフターシャフトに設けられたシフトフォークを介して移動させられるようになっている。また、シフターシャフトを軸方向に駆動する手段としては、リニアソレノイドを備えたバルブボディが用いられている。このようなバルブボディを用いることで、変速機におけるシフト力の制御が可能となっている。
また、従来の変速機として、シフトレバーが取り付けられたピストンロッドの左右に設けた一対の圧力室の流体圧を電磁弁の切り替えでシフト力を制御する従来技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記したリニアソレノイドをバルブボディに備える変速機では、リニアソレノイドがコイル、プランジャ、制御電流コネクタなどで構成されており、変速機の小型化、軽量化、および低コスト化を阻むものであった。また、リニアソレノイドが電子制御ユニット(ECU)の制御電流に応じて油圧を変化させるものであるため、複雑な制御が必要であり、コストが増加するという問題点があった。また、上記したピストンロッドの左右に設けた一対の圧力室の流体圧を電磁弁の切り替えで制御する変速機においても、電磁弁の他に、同期噛み合い機構の同期完了を検出するセンサ、このセンサからの検出信号に基づいて電磁弁を開閉制御するコントローラを要するため、変速機の小型化、軽量化、および低コスト化を阻むものであった。
変速機の小型化、軽量化、および低コスト化を達成させるため、バルブボディに使用されるソレノイドとして、オン・オフの切り替え専用に設計されたオン・オフソレノイドを使用することが考えられる。このオン・オフソレノイドは、高応答性、高効率、安定した推力特性、堅牢な構造などの利点を有する。しかし、オン・オフソレノイドをバルブボディに使用した場合、その時々のベースの圧(一般にライン圧)でシフト力が決定されるため、圧が高い場合にはシフトが完了したときにスリーブとギヤ端面との金属同士の接触により衝突音や、シフターシャフトが変速機ケースのストッパ部に衝突して発生する衝突音などが発生するという問題点がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、同期噛み合い機構を同期作用に必要な速度で移動させた後、スリーブとギヤとの干渉音を始めとする接触に起因する衝突音を低減させる変速機の変速操作装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の態様は、回転軸にギヤを連結させる同期噛み合い機構のスリーブを、回転軸の軸方向に沿って作動させるシフトフォークが固定され、回転軸と平行をなし軸方向へ往復移動するシフターシャフトと、このシフターシャフトの端部が、開口端部を塞ぐようにスライド自在に挿入される、変速機ケースに設けられた支持穴と、を備え、この支持穴の内壁とシフターシャフトの端部とで形成され、シフターシャフトの移動に伴い容積が変化する空間部に、潤滑オイル供給路と、空気出入り路と、オイルドレイン路と、を連通させ、ギヤの切り替えてに伴ってシフターシャフトが移動を始める前に、空間部の下部に潤滑オイルを、シフターシャフトの移動速度を、ギヤとの同期に必要な速度より低下させない一定量を貯留するとともに、潤滑オイルの貯留が一定量を越えるとオイルドレイン路を介して排出するように設定され、回転軸とギヤとの同期が完了してシフターシャフトの移動が完了する前に、空間部の容積の縮小に伴い潤滑オイルを空間部に充満させて前記シフターシャフトの移動速度を低下させることを特徴とする。
上記態様としては、同期噛み合い機構の軸方向の両側のそれぞれにギヤが配置され、シフターシャフトの両端部がそれぞれ支持穴に挿入され、シフターシャフトの移動に伴い同期噛み合い機構は、一方のギヤを回転軸に連結する第1位置と、一方のギヤおよび他方のギヤの両方を回転軸に連結しない中立位置と、他方のギヤを回転軸に連結する第2位置と、に切り替えられ、シフターシャフトを、第1位置に対応する位置と第2位置に対応する位置との相互間で移動させる際、シフターシャフトが移動する方向に位置する支持穴の空間部に貯留される潤滑オイルの量を、シフターシャフトの移動速度を、回転軸と切り替えるギヤとの同期に必要な速度より低下させない量に設定するようにした。
上記態様としては、支持穴の奥部にストッパ部が設けられ、シフターシャフトの端部とこのストッパ部とが接触することでシフターシャフトの移動を停止させる構成とすることが好ましい。
上記態様としては、オイルドレイン路が、空気出入り路を兼ねる構成であってもよいし、オイルドレイン路が、支持穴の内壁に、奥部から開口端部に亘って形成された溝とシフターシャフトの外周面とで形成されるものであってもよい。
本発明によれば、同期噛み合い機構を同期作用に必要な速度で移動させることができ、スリーブとギヤとの干渉音を始めとする接触に起因した衝突音を低減させる変速機の変速操作装置を実現する。
以下に、本発明の実施の形態に係る変速機の変速操作装置の詳細を図面に基づいて説明する。
(変速機の概略構成)
先ず、図1のスケルトン図を用いて本実施の形態に用いるデュアルクラッチ式の自動変速機100について説明する。図1に示すように、自動変速機100は、第1変速段群(奇数変速段グループ)1と第2変速段群(偶数変速段グループ)2とにそれぞれ複数の変速段を備えている。
先ず、図1のスケルトン図を用いて本実施の形態に用いるデュアルクラッチ式の自動変速機100について説明する。図1に示すように、自動変速機100は、第1変速段群(奇数変速段グループ)1と第2変速段群(偶数変速段グループ)2とにそれぞれ複数の変速段を備えている。
また、自動変速機100は、第1変速段群1に属する変速段を選択するための第1クラッチ3と、第2変速段群2に属する変速段を選択するための第2クラッチ4を備えている。
この自動変速機100は、第1クラッチ3と第2クラッチ4のうちの一方のクラッチを締結して対応する変速段群内の所定の変速段を選択している間は、他方のクラッチを非締結状態にするとともに、対応する歯車伝動系を動力が伝達されない中立状態にすることで上記所定の変速段が選択された状態での動力伝達を可能にする。
図1に示すように、第1クラッチ3と第2クラッチ4は、内燃機関の機関出力軸としての図示しないエンジン出力軸から回転駆動力(入力1、入力2)が入力されるようになっている。第1クラッチ3の出力側は、回転軸としての第1インプットシャフト5に連結され、第2クラッチ4の出力側は回転軸としての第2インプットシャフト6に連結されている。第1インプットシャフト5と第2インプットシャフト6は、平行をなすように配置されている。
第1インプットシャフト5には、1速ドライブギヤ7、3速ドライブギヤ8、および5速ドライブギヤ9が設けられている。第2インプットシャフト6には、2速ドライブギヤ10、4速ドライブギヤ11、6速ドライブギヤ12、およびリバースインプットギヤ13が設けられている。
自動変速機100は、上記第1インプットシャフト5および第2インプットシャフト6に平行なアウトプットシャフト14を備えている。このアウトプットシャフト14には、1速ドリブンギヤ15、2−3速ドリブンギヤ16、4−5速ドリブンギヤ17、6速ドリブンギヤ18、リバースアウトプットギヤ19、およびアウトプットギヤ20が一体に設けられている。
第1インプットシャフト5には、中立状態と1速ドライブギヤ選択状態とを切り換えるワンウェイクラッチ21が設けられている。また、第1インプットシャフト5には、中立位置と3速ドライブギヤ選択位置と5速ドライブギヤ選択位置とを切り換える、同期噛み合い機構としての3−5速シンクロ機構22を備えている。第2インプットシャフト6には、中立位置と2速ドライブギヤ選択位置と4速ドライブギヤ選択位置とを切り換える、同期噛み合い機構としての2−4速シンクロ機構23と、中立状態と6速ドライブギヤ選択状態とを切り換える、同期噛み合い機構としての6速シンクロ機構24を備えている。
図1に示すように、自動変速機100は、これらシンクロ機構22,23,24に軸方向に変位駆動されるスリーブ22A,23A,24Aを備えている。これらスリーブ22A,23A,24Aは、これらスリーブ22A,23A,24Aとギヤとの回転を同期させる図示しないシンクロナイザリングを備えている。
また、この自動変速機100は、第1クラッチ3、第2クラッチ4を駆動する図示しないクラッチアクチュエータを備えている。アウトプットシャフト14に設けられたアウトプットギヤ20は、ディファレンシャル装置25のリングギヤ26に噛合している。アウトプットシャフト14からリングギヤ26に伝達された回転駆動力は、ディファレンシャル装置25を介して駆動輪27に伝達されるようになっている。
図1に示すように、リバース機構30は、リバースインプットギヤ13と、このリバースインプットギヤ13に常時噛合するリバースアイドラギヤ29と、リバースアウトプットギヤ19とを備えている。リバースアイドラギヤ29は、リバースアイドラ軸28に軸方向に移動可能であり、かつ回転自在に設けられている。図1に示すように、リバースアイドラギヤ29は、破線の中立位置から実線の位置まで移動させることにより、リバースアウトプットギヤ19と噛合して、リバースインプットギヤ13とリバースアウトプットギヤ19とを連動可能にしている。
(変速操作装置の構成)
以下、2−4速シンクロ機構23に適用した変速操作装置40について説明する。なお、本実施の形態では、3−5速シンクロ機構22に適用する変速操作装置は同様の構成であり、6速シンクロ機構24に適用する変速操作装置でギヤ切り替えはシフターシャフトのストローク範囲が異なるが同様の構成であるため、図示および説明を省略する。
以下、2−4速シンクロ機構23に適用した変速操作装置40について説明する。なお、本実施の形態では、3−5速シンクロ機構22に適用する変速操作装置は同様の構成であり、6速シンクロ機構24に適用する変速操作装置でギヤ切り替えはシフターシャフトのストローク範囲が異なるが同様の構成であるため、図示および説明を省略する。
図1に示すように、本実施の形態では、2−4速シンクロ機構23のスリーブ23Aを作動させるシフトフォーク31を、オン/オフソレノイドバルブを備えたバルブボディで構成されるシフト・アクチュエータ39により変位駆動させるようになっている。
図2に示すように、シフトフォーク31は、先端が略U字形状であり、図1に示すスリーブ23Aの周回するように形成された凹部に収納されて、スリーブ23Aに係合されている。そして、図2に示すように、シフトフォーク31の基部は、細長い丸棒状のシフターシャフト33の中央部に固定されている。
図1に示すように、シフターシャフト33は、回転軸としての第2インプットシャフト6と平行をなすように配置されている。図1および図2に示すように、シフターシャフト33の両端部は、それぞれ変速機ケース41に形成した円柱形状の支持穴42に開口端部を塞ぐようにスライド可能に挿入されている。このため、シフターシャフト33の直径は、支持穴42の内径よりも僅かに小さく設定されている。
図2に示すように、シフトフォーク31の基部には、シフトヨーク部34が接続され、シフトヨーク部34の端部が上記シフト・アクチュエータ39に連結されている。シフト・アクチュエータ39は、シフターシャフト33と平行をなす方向(図中、矢印Aで示す)にシフトヨーク部34を往復動作させるようになっている。
図1および図2に示すように、支持穴42の奥部は、円形平面の突き当たり面となっており、シフターシャフト33のストローク範囲を規定するストッパ部44となっている。この支持穴42の内壁とシフターシャフト33の端部とで、シフターシャフト33の移動に伴い容積が変化する空間部43が形成される。支持穴42の奥部上部には、変速機ケース41に形成した潤滑オイル供給路45が開口して空間部43と連通している。
また、支持穴42には、空気出入り路を兼ねるオイルドレイン路46が設けられている。図3に示すように、オイルドレイン路46は、支持穴42の最下部から寸法Dだけ上方の側壁に軸方向に沿って奥部から開口端部に亘って溝状に形成されたものであり、支持穴42にシフターシャフト33が挿入された結果、流路として形成されている。したがって、潤滑オイル供給路45から矢印B1の方向に潤滑オイル50が流れて空間部43内に潤滑オイル50が貯留されるが、潤滑オイル50がオイルドレイン路46の高さまで貯まると、オイルドレイン路46からオーバーフローして、図4に示すように、オイルドレイン路46の開口部46Aから潤滑オイル50が排出されるようになっている。このように貯留された潤滑オイル50は、シフターシャフト33がストッパ部44に向けて移動するときに、ダンピング作用を奏して、シフターシャフト33がストッパ部44に衝突して衝撃音が発生することを防止する作用を有する。
また、シフターシャフト33は、ギヤの切り替えに伴い、シフト・アクチュエータ39により軸方向に移動される。このシフターシャフト33の移動に伴い、空間部43は伸縮する。このとき、オイルドレイン路46は、空気出入り路として機能するため、空間部43の縮小に伴う空気圧縮や、空間部43の拡張に伴う空気吸引不足を抑制でき、シフターシャフト33の移動速度の著しい低下を抑えることができる。
一般に、ギヤのシフト動作が開始されると、スリーブがドライブギヤに向けて移動し、スリーブがボーク位置(スリーブがシンクロナイザリングを押し、シンクロナイザリングとギヤ側のコーン面に摩擦が働くシフト位置)で最も荷重が必要となる。したがって、このボーク位置を過ぎるまでスリーブ23Aの移動速度(シフト速度)が遅くならないようにするため、空気出入り路が必要となる。
本実施の形態では、ボーク位置を過ぎるまでにオイルダンピング作用を大きくしないために、シフターシャフト33が移動開始する前に空間部43に貯留される潤滑オイル50の量(一定量)が予め設定されている。なお、潤滑オイル50の一定量は、オイルドレイン路46の高さ位置(最下部から寸法D)で決定することができる。
上述のように、2−4シンクロ機構23を備える変速操作装置40では、通常、シフト開始してボーク位置で最も荷重が必要となることから、ボーク位置(中立位置から距離L1の位置)を過ぎるまでオイルダンピング作用が大きくならないようにする必要がある。図5においてダンピング位置は、中立位置から距離L3の位置としている。なお、図5に示す、シフト速度S1は、切り替えるギヤとスリーブとが同期するために必要な速度であり、シフト速度S2は、ストッパ部44にシフターシャフト33の端部が接触した際に音が発生しない限界速度である。
本実施の形態では、シフターシャフト33の移動に伴って、空間部43の下部に貯留された潤滑オイル50が、空間部43の容積の縮小に伴い潤滑オイル50を空間部43に充満させてシフターシャフト33の移動速度を低下させるダンピング作用を利用してシフターシャフト33の端部がストッパ部44に衝突に伴って発生する衝突音と、スリーブ23Aと4速ドライブギヤ11との干渉音を低減させている。
図6は、自動変速機100においてスリーブ23Aが中立位置にある場合であり、シフターシャフト33の端部が支持穴42内における中立位置に配置された場合を示している。なお、図6は、図4のVI−VI断面に相当する。また、図6〜9においてオイルドレイン路46は、説明の便宜上、支持穴42の下部に沿って示している。この状態においては、空間部43が図3に示すように、最下部から寸法Dだけ上方まで潤滑オイル50が貯留されている。図3において、矢印B1に示すように潤滑オイル50の供給があっても、空間部43に貯留された潤滑オイル50が高さ寸法Dを越えるとオイルドレイン路46を介して変速機ケース41の開口部46Aから排出される。このように排出された潤滑オイル50は、図示しないオイルパンに回収されるようになっている。
本実施の形態の自動変速機100のようにデュアルクラッチ式の変速機では、通常行われる中立位置からギヤ(本実施の形態では4速ドライブギヤ11)へのシフトを行う場合と、4速ドライブギヤ11から2速ドライブギヤ10へのシフトを行う場合と、がある。本実施の形態では、これらの場合においても、図5に示すように、ボーク位置を越えるまでシフト速度が減速しないように、空間部43に貯留される潤滑オイル50の最下部から寸法Dが設定されている。すなわち、上記の両方の場合においても、ボーク位置を越えてから潤滑オイル50が空間部43に充満してダンピング作用が生じるように設定されている。
中立位置からギヤ(本実施の形態では4速ドライブギヤ11)へのシフトを行う場合は、シフターシャフト33の状態で見ると図6に示す状態からシフターシャフト33がストッパ部44へ向けて距離L2だけ移動する場合である。図6に示すように、このようなシフトでは、中立位置から距離L1離れたボーク位置(スリーブ23Aがボーク位置にあるときに対応した空間部43内での位置)をシフターシャフト33の端部が通過するまで、空間部43に潤滑オイル50が充満しないように、潤滑オイル50の貯留量(一定量)が予め設定されている。すなわち、シフターシャフト33の端部がボーク位置を通過するまで、空間部43の潤滑オイル50によるダンピング作用が大きくならないように設定されている。
図7に示すように中立位置からシフターシャフト33の端部が距離L3の位置にあるときは、シフターシャフト33は白抜き矢印で示すFの荷重で移動されている。その後、空間部43内に潤滑オイル50が充満してダンピング作用が生じる。このとき、オイルドレイン路46では、矢印B2の方向に潤滑オイル50が流れて排出され、潤滑オイル供給路45では、潤滑オイル50が矢印B3の方向に逆流して空間部43の潤滑オイル50を排出して徐々に空間部43の油圧を下げて緩衝作用を奏している。このような作用によって、シフターシャフト33は、その端部がストッパ部44にFの荷重で急激に衝突せずに移動することができる。この結果、スリーブ23Aと4速ドライブギヤ11との干渉音の発生も抑制できる。
図8は、第1位置としての4速ドライブギヤ11から第2位置としての2速ドライブギヤ10へ切り替えるシフトの場合であり、シフターシャフト33の端部が4速に対応する4速位置からストッパ部44までのストロークがL2の2倍を経て2速に対応する位置までのシフトを行う所謂飛び変速を行う場合である。この際、シフターシャフト33は図6とは逆方向に動くが、図8では図6との比較のため、シフターシャフト33の移動方向を図6に合わせて表示している。図8に示すように、このような場合においても、シフターシャフト33の端部がボーク位置(中立位置から距離L4の位置)を越えるまでは、図9に示すように、白抜き矢印Fの荷重で移動し、その後、ダンピング作用が生じるダンピング位置を通過するようになっている。
上記のような飛び変速の場合では、シフターシャフト33の移動距離が長いため運動エネルギーが大きい。このため、図9に示すように、ボーク位置を越えた直後にダンピング位置(ダンピング作用が発揮される位置)となるように設定されている。なお、図8に示すように、シフターシャフト33の端部が4速位置で停止している場合も、潤滑オイル供給路45には、矢印B1の方向に潤滑オイル50が供給されている。そして、空間部43において最下部から寸法Dだけ上方の潤滑オイル50はオイルドレイン路46から排出されるようになっている。
以上、本実施の形態に係る変速操作装置40について説明したが、2−4シンクロ機構23以外に、6速シンクロ機構24や3−5速シンクロ機構22に本発明を適用できることは云うまでもない。なお、6速シンクロ機構24の場合は、6速シンクロ機構24の一方側のみにギヤ(6速ドライブギヤ12)が配置されているが、シフターシャフト33が中立位置と6速位置との間を往復動作する点で2−4シンクロ機構23の場合と異なるが、他の構成は同様である。
本実施の形態では、例えば第2インプットシャフト6などの回転軸と、例えば4速ドライブギヤ11などのギヤとの同期が完了してシフターシャフト33が支持穴42内の奥部に配置されたストッパ部44へ移動する際に、空間部43に貯留された潤滑オイル50が空間部43に充満して、シフターシャフト33の移動速度を低下させることができる。このため、シフターシャフト33を例えば2−4シンクロ機構23などの同期噛み合い機構の同期作用に必要なシフト速度(または圧力)で移動させつつ、潤滑オイル50のダンピング作用で同期終了後にシフターシャフト33が支持穴42内奥のストッパ部44に当たって発生する衝突音を低減することができる。
また、本実施の形態では、例えば4速ドライブギヤ11から2速ドライブギヤ10に切り替える場合、シフターシャフト33の端部を中立位置からそれぞれのドライブギヤ11,10へ切り替える場合に比べて、支持穴42内の空間部43が軸方向に伸びて大きくなっているため、その内部に貯留する潤滑オイル50の量が増加する。しかし、本実施の形態では、空間部43に貯留される潤滑オイル50の量を、シフターシャフト33の移動速度を、スリーブとギヤ(回転軸)との同期に必要な速度より低下させない量に制限したため、空間部43に貯留された潤滑オイル50が他方のギヤ(切り替え先のギヤ)の同期を遅らせることを回避できる。
さらに、本実施の形態では、シフターシャフト33を軸方向に変位駆動するシフト・アクチュエータ39が、オン/オフソレノイドバルブを備えたバルブボディで構成されるため、変速機のコンパクト化、軽量化、および低コスト化を図ることができる。また、オン/オフソレノイドを用いることにより、変速操作装置40の制御を簡単にすることができるという利点がある。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、この実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
以上、実施の形態について説明したが、この実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
例えば、上記実施の形態では、支持穴42の奥部にストッパ部44を配置したが、変速機ケース41の支持穴42の開口端面をストッパ部としてシフターシャフト33にストッパ部44と当たってストローク範囲を規定する部材を設けてもよい。
また、上記実施の形態では、オイルドレイン路46を支持穴42の内壁に溝を形成することで作製しているが、シフターシャフト33の外周面に溝を形成してもよいし、シフターシャフト33の端面から軸方向に沿ってシャフト内部にオイルドレイン路46を形成してもよい。
さらに、上記実施の形態では、空気出入り路をオイルドレイン路46が兼ねた構成であるが、別途空気出入り路を空間部43に連通するように形成しても勿論よい。
また、上記実施の形態では、本発明をデュアルクラッチトランスミッション(DCT)に適用して説明したが、マニュアルトランスミッション(MT)と同様の同期噛み合い機構を有する他の変速機の変速操作装置(例えば、MTAなど)に適用可能である。
なお、上記実施の形態では、シフト・アクチュエータとして、オン/オフソレノイドを用いたバルブボディを用いたが、これ以外の各種アクチュエータを適用できることは云うまでもない。
6 第2インプットシャフト(回転軸)
10 2速ドライブギヤ
11 4速ドライブギヤ
23 2−4シンクロ機構(同期噛み合い機構)
23A スリーブ
31 シフトフォーク
33 シフターシャフト
40 変速操作装置
41 変速機ケース
42 支持穴
43 空間部
44 ストッパ部
45 潤滑オイル供給路
46 オイルドレイン路
46A 開口部
50 潤滑オイル
10 2速ドライブギヤ
11 4速ドライブギヤ
23 2−4シンクロ機構(同期噛み合い機構)
23A スリーブ
31 シフトフォーク
33 シフターシャフト
40 変速操作装置
41 変速機ケース
42 支持穴
43 空間部
44 ストッパ部
45 潤滑オイル供給路
46 オイルドレイン路
46A 開口部
50 潤滑オイル
Claims (5)
- 回転軸にギヤを連結させる同期噛み合い機構のスリーブを、前記回転軸の軸方向に沿って作動させるシフトフォークが固定され、前記回転軸と平行をなし前記軸方向へ往復移動するシフターシャフトと、
前記シフターシャフトの端部が、開口端部を塞ぐようにスライド自在に挿入される、変速機ケースに設けられた支持穴と、を備え、
前記支持穴の内壁と前記シフターシャフトの端部とで形成され、前記シフターシャフトの移動に伴い容積が変化する空間部に、潤滑オイル供給路と、空気出入り路と、オイルドレイン路と、を連通させ、
前記ギヤの切り替えに伴って前記シフターシャフトが移動を始める前に、前記空間部の下部に潤滑オイルを、前記シフターシャフトの移動速度を、前記ギヤとの同期に必要な速度より低下させない一定量が貯留されるとともに、潤滑オイルの貯留が前記一定量を越えると前記オイルドレイン路を介して排出するように設定され、
前記回転軸と前記ギヤとの同期が完了して前記シフターシャフトの移動が完了する前に、前記空間部の容積の縮小に伴い潤滑オイルを当該空間部に充満させて前記シフターシャフトの移動速度を低下させる
ことを特徴とする変速機の変速操作装置。 - 前記同期噛み合い機構の前記軸方向の両側のそれぞれに前記ギヤが配置され、
前記シフターシャフトの両端部がそれぞれ前記支持穴に挿入され、
前記シフターシャフトの移動に伴い前記同期噛み合い機構は、一方の前記ギヤを前記回転軸に連結する第1位置と、前記一方のギヤおよび他方のギヤの両方を前記回転軸に連結しない中立位置と、前記他方のギヤを前記回転軸に連結する第2位置と、に切り替えられ、
前記シフターシャフトを、前記第1位置に対応する位置と前記第2位置に対応する位置との相互間で移動させる際、前記シフターシャフトが移動する方向に位置する前記支持穴の前記空間部に貯留される潤滑オイルの前記一定量を、前記シフターシャフトの移動速度を、前記回転軸と連結される前記ギヤとの同期に必要な速度より低下させない量に設定したことを特徴とする請求項1に記載の変速機の変速操作装置。 - 前記支持穴の奥部にストッパ部が設けられ、前記シフターシャフトの端部と前記ストッパ部とが接触することにより前記シフターシャフトの移動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の変速機の変速操作装置。
- 前記オイルドレイン路は、空気出入り路を兼ねることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の変速機の変速操作装置。
- 前記オイルドレイン路は、前記支持穴の内壁に、前記奥部から前記開口端部に亘って形成された溝と前記シフターシャフトの外周面とで形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の変速機の変速操作装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011222690A JP2013083290A (ja) | 2011-10-07 | 2011-10-07 | 変速機の変速操作装置 |
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JP2011222690A JP2013083290A (ja) | 2011-10-07 | 2011-10-07 | 変速機の変速操作装置 |
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JP2013083290A true JP2013083290A (ja) | 2013-05-09 |
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JP (1) | JP2013083290A (ja) |
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- 2011-10-07 JP JP2011222690A patent/JP2013083290A/ja active Pending
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