JP5027613B2 - 自動シフト式変速機およびその制御方法 - Google Patents
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Description
この自動シフト式変速機では、流体アクチュエータを構成するシリンダに形成された作動油を排出するための排出口の開口面積を、カップリングスリーブを動かす同じく流体アクチュエータを構成するピストンがシリンダの側壁に近づくにつれて減少するように構成することにより、シフトインが完了する際のピストンの速度を遅くでき、シフトインが完了する際に発生する打音を低減することができる。
流体アクチュエータの動作は、作動油の油温によって異なるものとなるが、油温によってはシフトインが完了する際のピストンの速度を充分に遅くできずに、シフトインが完了する際に打音が生ずる場合がある。
シフトフォークを介して前記カップリングスリーブに接続するピストン部材と、該ピストン部材の少なくとも一部を収容するとともに収容された該ピストン部材との間で流体室を区画形成するシリンダ部材と、を有し、前記流体室への作動流体の供給により前記ピストン部材を介して前記カップリングスリーブをシフト可能な流体アクチュエータと、
前記ピストン部材の移動量を検知することにより前記カップリングスリーブのシフト量を検知するシフト量検出手段と、
前記作動流体の温度を検知する温度検知手段と、
前記流体アクチュエータへの前記作動流体の供給と供給の停止とを行う流体供給手段と、
前記カップリングスリーブのシフトを停止するために前記流体アクチュエータへの前記作動流体の供給を停止する際の停止態様として、前記作動流体の温度が高くなるほど前記シフト量が小さいうちから前記作動流体の供給を停止し始めるとともに、前記作動流体の温度の温度が高くなるほど前記作動流体を停止する際の前記流体供給手段の作動速度を早くする態様を設定する設定手段と、
前記変速段の変更の指示がなされたとき、前記作動流体を前記アクチュエータへ供給するよう前記流体供給手段を駆動制御して前記カップリングスリーブのシフトを開始するとともに、該カップリングスリーブが前記設定手段によって設定された前記シフト量以上となったときに前記作動速度で前記流体供給手段を駆動制御して前記カップリングスリーブのシフトを停止する駆動制御手段と、
を備える
ことを要旨とする。
こうすれば、フェールセーフのためにバルブを2重構造とした場合であっても、一方のバルブを制御するだけだから、制御を簡易なものとすることができる。
こうすれば、変速段に対応した流体圧で流体アクチュエータを駆動できるから、変速段によらずにスムーズにカップリングスリーブをシフトすることができる。
こうすれば、油圧をリニアに制御できる。
(a)前記ピストン部材の移動量を検知することにより前記カップリングスリーブのシフト量を検知し、
(b)前記作動流体の温度を検出し、
(c)前記カップリングスリーブのシフトを停止するために前記流体アクチュエータへの前記作動流体の供給を停止する際の停止態様として、前記作動流体の温度が高くなるほど前記シフト量が小さいうちから前記作動流体の供給を停止し始めるとともに、前記作動流体の温度が高くなるほど前記作動流体を停止する際の前記流体供給手段の作動速度を速くする態様を設定し、
(d)前記変速段の変更の指示がなされたとき、前記作動流体を前記流体アクチュエータへ供給するよう前記流体供給手段を駆動制御して前記カップリングスリーブのシフトを開始するとともに、該カップリングスリーブが設定された前記シフト量以上となったときに前記作動速度で前記流体供給手段を駆動制御して前記カップリングスリーブのシフトを停止することを要旨とする。
ツインクラッチ式自動変速機1は、内燃機関の出力軸としてのクランク軸に連結された図示しないプロペラシャフトに接続された第1クラッチ,第2クラッチ(図示せず)と、第1クラッチを介してプロペラシャフトに接続された第1入力軸3と、第2クラッチを介してプロペラシャフトに接続されるとともに第1入力軸3に同軸上に外嵌された第2入力軸4と、第1入力軸3および第2入力軸4に配置された駆動歯車Gと、駆動歯車Gと噛合する被駆動歯車G’が配置されるとともに第1入力軸3に同軸上に設けた出力軸6に配置された出力歯車GOと噛合する出力カウンタ歯車GCが配置されたカウンタ軸5と、第1入力軸3およびカウンタ軸5に配置された駆動歯車Gおよび被駆動歯車G’のうち遊転歯車として構成された歯車間に配置された同期装置Sと、同期装置SのカップリングスリーブSLに係合されたシフトフォークFと、シフトフォークFを作動するシフトアクチュエータACTを備える油圧制御装置10とを備える。
また、カウンタ軸5には、遊転歯車として構成された3速被駆動歯車G3’および出力カウンタ歯車GC以外の被駆動歯車G’(G1’,G2’,G4’,G6’,GR’)をカウンタ軸5に選択的に固定可能な同期装置Sとして、6速被駆動歯車G6’の第1,第2クラッチ側とは反対側の位置に6速同期装置S4が、2速被駆動歯車G2’と4速被駆動歯車G4’との間に2・4速同期装置S2が、1速被駆動歯車G1’とリバース被駆動歯車GR’との間に1・R同期装置S1がそれぞれ配置されており、第1入力軸3および第2入力軸4に入力された動力が同期装置Sによって選択された変速段の変速比に変速されてカウンタ軸5に伝達され、出力カウンタ歯車GCおよび出力歯車GOを介して出力軸6に出力される。なお、3・5速同期装置S3によって出力歯車GOが選択されることで第1入力軸3と出力軸6とが直結状態となることにより5速段が確立される。
一方、3・5速シフトフォークF3には、同期装置S3のカップリングスリーブSL3に係合されるフォーク部Fa3が形成されているが、シフトアクチュエータACT3に嵌合する嵌合アーム部Fb3は別体となっている。この嵌合アーム部Fb3は、3・5速シフトフォークF3に隣接してフォークシャフトFS2上に固定配置されており、シフトアクチュエータACT3によってフォークシャフトFS2を介して3・5速シフトフォークF3を駆動するよう構成されている。
また、逆に4速段への変速要求が成された場合は、2・4速シフトフォークF2が図示右側へ移動されて、カップリングスリーブSL2が右側に移動して、カップリングスリーブSL2が4速被駆動歯車G4’を選択して4速段が確立される。
各シフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4は、それぞれシリンダ8内にスプール9が移動可能に内装されたものであり、スプール9の中央部に形成されている連結部9aにシフトフォークF1,F2,F3,F4の嵌合アーム部Fb1,Fb2,Fb3,Fb4がそれぞれ連結される。
シリンダ8内には、油圧が供給される流体室8a,8bが図示左右側にそれぞれ形成されており、この左右側の流体室8a,8bには、油路を開閉できる第2バルブがそれぞれ接続されている。
同様に、2・4速シフト用のシフトアクチュエータACT2のシリンダ8内の流体室8aには第2バルブ12cが接続され、流体室8bには第2バルブ12dが接続されている。また、1・Rシフト用のシフトアクチュエータACT1のシリンダ8内の流体室8aには第2バルブ12eが接続され、流体室8bには第2バルブ12fが接続されている。また、3・5速シフト用のシフトアクチュエータACT3のシリンダ8内の流体室8aには第2バルブ12gが接続され、流体室8bには第2バルブ12hが接続されている。
また逆に、第2バルブ12hが開き、第2バルブ12gがドレン側に閉じられると、シフトアクチュエータACT3のシリンダ8内の流体室8b内に油圧が供給されて、スプール9は図示左側へ移動し、これによりシフトフォークシャフトFS2を介してシフトフォークF3が左側へ移動し、これにより同期装置S3のカップリングスリーブSL3が左側へ移動して3速駆動歯車G3を第1入力軸3に固定することとなり、3速段に変速される。
また、第1バルブ11aと第1バルブ11bの上流側にはオイルポンプ13が設けられており、このオイルポンプ13の回転により発生された油圧が、油圧回路を通り、第1バルブ11a,11bにそれぞれ供給されるように構成されている。
第1バルブ11a,11bが開くと、下流側の第2バルブ12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hに油圧が供給されるものであり、第1バルブ11a,11bおよび第2バルブ12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hにより流体供給手段が構成されて、変速機用電子制御ユニット(TMECU)14からの駆動信号により第1バルブ11a,11bと、第2バルブ12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hが開閉制御されるものである。
また、油圧制御装置10内の油圧回路を流れる作動油の油温Tが油温センサ15で検知されるように構成されており、油温センサ15で検知された油温Tが変速機用電子制御ユニット14に入力されるように構成されている。
図3は、変速機用電子制御ユニット14により実行される第1バルブ11a,11bの駆動処理の一例を示すフローチャートである。
図3において、変速機用電子制御ユニット14では、図示しない車両用電子制御ユニットから要求変速段Pを読み込み、またシフトポジションセンサ16a,16b,16c,16dからシフト位置Sを読み込み、また油圧制御装置10内の油圧回路に設けられている油温センサ15から油圧回路を流れる作動油の油温Tを読み込む(ステップS1)。
図4に示すように、スロットル開度と車速と要求変速段との関係を予め定めてマップとして車両用電子制御ユニット内のROMに記憶させてあり、アクセル開度と車速が与えられると、記憶した要求変速段設定マップから対応する要求変速段を算出して何れの変速段への変速が必要かを選択するものとなっている。
この要求変速段設定マップから変速すべき変速段が決定されることにより、作動させるべきシフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4が決まることとなり、さらに選択されたシフトアクチュエータの流体室8a或いは8bの何れか側に油圧を供給するかが決定されることとなる。
なお、ステップS2のシフト操作荷重Fの算出は、変速機用電子制御ユニット14内のROMに記憶されている図5のシフト操作荷重F設定マップから算出される。即ち、図5に示すように、高速段から低速段へ変速する場合には大きな操作力が必要になるため、シフト操作を行うのに、シフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4にどの程度の油圧をかければ良いかが算出される。図5のシフト操作荷重設定マップから分かるように、設定マップは、要求変速段Pが高速段のときにはシフト荷重Fが小さく、要求変速段Pが低速段のときにはシフト荷重Fが大きくなる傾向に設定されている。これにより、変速段に対応したシフト荷重Fを設定できるから、変速段によらずにスムーズにシフト操作を行うことができる。
このステップS3の設定は、電子制御ユニット14内のROMに記憶されている図6の励磁電流設定マップおよび図7のシフト位置Ss設定マップおよび図8の励磁電流低減代設定マップを用いて変速機用電子制御ユニット14内で自動的に設定される。
次に、ステップS5において、シフトポジションセンサ16a,16b,16c,16dからの信号で第1バルブ11a或いは11bへ供給している励磁電流Iを止める位置になったかどうかを見て、励磁電流停止開始シフト位置Ssになると、ステップS6において励磁電流Iを低減させる制御に切り替え、ステップS7で励磁電流Iがゼロになったかどうかを見て、励磁電流Iをゼロにして制御が終了する。
図9に示すように、油温が高温の時は、図中Ss1のシフト位置で第1バルブ11a或いは11bへの励磁電流Iの供給を停止させ、その後、励磁電流Iの低減代を大きくして急激に励磁電流Iをゼロにするのである。即ち、作動油の高温時には、同期装置SのカップリングスリーブSLのシフト量が小さいうちから、何れかのシフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4の流体室8a或いは8bへの作動油の供給を停止させると共に、作動油の供給停止を始めてから終わるまでの時間が短くなるように制御するのである。
なお、作動油が高温の時は、シフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4に作用する慣性力が低下し難いため、早めに、かつ、迅速に作動油の供給を停止することにより、スプール9がシリンダ8と大きなエネルギーをもって当接したり、カップリングスリーブL1,L2,L3,L4が遊転歯車として構成された1速,2速,4速,リバース被駆動歯車G1’,G2’,G4’,GR’や3速駆動歯車G3,出力歯車GOと大きなエネルギーをもって当接するのを回避することができるから、当接時の打音を良好に防ぐことができる。もとより、作動油が高温の時には、シフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4に作用する慣性力が低下し難いから、早めに作動油の供給を停止してもスプール9は、その後慣性力で移動して所定のシフト完了位置Sfまで確実に達することができる。
これにより、シフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4によりカップリングスリーブL1,L2,L3,L4を確実にシフト完了位置Sfまで移動できると共に、スプール9がシリンダ8と当接する際、あるいは、カップリングスリーブL1,L2,L3,L4が遊転歯車として構成された1速,2速,4速,リバース被駆動歯車G1’,G2’,G4’,GR’や3速駆動歯車G3,出力歯車GOと当接する際に生ずる打音を良好に防ぐことができる。
即ち、シフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4のスプール9の移動量と設定したシフト量とを比較し、スプールの移動量がシフト量以上となった時に、作動油の供給を停止させて容易に制御できるものである。
また、作動油の温度が高くシフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4に作用する慣性力が低下し難い時ほど、作動油の供給を停止し始めてから停止し終わるまでの時間を短くし、作動油の温度が低く慣性力が低下し易い時ほど、作動油の供給を停止し始めてから停止し終わるまでの時間を長くするものであるため、カップリングスリーブSLのシフト完了の際にシフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4に作用する慣性力を作動油の温度によらず同程度のものとすることができ、カップリングスリーブSLがシフト完了の際に生ずる打音を作動油の温度によらず制御することができるものである。
図10では、ステップS11で、図示しない車両用電子制御ユニットから要求変速段Pを読み込み、シフトポジションセンサ16a,16b,16c,16dからスプール9のシフトポジションSを読み込み、油圧回路内の作動油の油温を検知する油温センサ15からの油温Tを読み込む。また、ステップS12で、要求変速段Pからシフトに必要なシフト操作荷重Fを算出する。
次に、ステップS13で、シフト操作荷重Fと油温Tから第1バルブ11a或いは11bへ供給する励磁電流Iを設定し、また、励磁電流Iの停止時間tsおよび励磁電流低減代ΔIを、変速機用電子制御ユニット14内で設定する。
この設定に基づき、ステップS14で、第1バルブ11a或いは11bに励磁電流Iを出力し、ステップS15で、停止時間tsが経過したかどうかを見て、停止時間が経過したらステップS16で励磁電流Iを低減させてゆき、ステップS17で励磁電流Iをゼロにして制御を終了する。
この図10の制御を行うために、変速機用電子制御ユニット14のROM内には、図11に示すマップが記憶されており、この図11の停止時間ts設定マップから、ステップS13の励磁電流停止時間tsが設定されるものである。
図11の停止時間設定マップでは、作動油の油温Tが高いほど、励磁電流Iを停止させるまでの時間が短くなるように設定されており、油温が高い場合に、早めにシフトアクチュエータのスプール9の移動を止めるように制御するのである。
なお、ツインクラッチ式自動変速機1の構成および油圧制御装置10の変速機用電子制御ユニット14等の構成は、第1実施例と同様であり、また、第1バルブ11a或いは11bの駆動処理も第1実施例と同様な図3のフローチャートで示す手順で行われる。即ち、第2実施例の制御を図12に簡略化させて作動図で示す。
本例では、第1バルブ11a或いは11bに供給する励磁電流Iを停止させる位置は、作動油の油温に係わらず一定のものとして、その停止位置から、励磁電流Iの電流低減代を作動油が高温の場合と低温の場合で異ならしめて制御するものである。
即ち、図13のシフト位置設定マップでは、シフト操作荷重Fが大きい場合に、油温に関係なく早めに励磁電流の供給を止めるように励磁電流停止開始位置が設定されている。
即ち、作動油の油温Tが高い時と低い時とで、第1バルブ11a或いは11bを閉じる速度のみを変える制御を行うものである。このような制御では、制御がより簡単なものとなる。
なお、ツインクラッチ式自動変速機1の構成および油圧制御装置10の変速機用電子制御ユニット14等の構成は、第1実施例と同様である。
この第3実施例の制御は、図15の作動図で示すように、作動油の油温が高い時と低い時とで第1バルブ11a或いは11bの閉じる時期、即ち、励磁電流Iの供給を停止する位置のみを変える制御である。
なお、第3実施例の制御では励磁電流Iを低減させてゆく制御は行わないために、前記図8で示した励磁電流低減代設定マップは不用であり、この第3実施例の制御を行うために変速機用電子制御ユニット14内には、励磁電流低減代設定マップを記憶させておく必要はない。
また、作動油の油温が低いときには、シフト位置Sを値Ss1よりも大きい値Ss2の位置で第1バルブ11a或いは11bに供給する励磁電流Iをゼロにする。これにより、シフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4によりカップリングスリーブL1,L2,L3,L4を確実にシフト完了位置Sfまで移動できると共に、スプール9がシリンダ8と当接する際、あるいは、カップリングスリーブL1,L2,L3,L4が遊転歯車として構成された1速,2速,4速,リバース被駆動歯車G1’,G2’,G4’,GR’や3速駆動歯車G3,出力歯車GOと当接する際に生ずる打音を良好に防ぐことができるのである。
また、ステップS22で、図5の設定マップに基づき要求変速段Pからシフト操作荷重Fを算出する。
次に、ステップS23で、シフト操作荷重Fと油温Tから第1バルブ11a或いは11bへ供給する励磁電流Iを設定し、また、励磁電流Iの供給を停止させる位置Ssを変速機用電子制御ユニット14内で設定する。
これに基づきステップS24で、第1バルブ11a或いは11bに所定の算出された励磁電流Iを出力し、何れかのシフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4のスプール9を移動させる。
このように第3実施例では、第1バルブ11a或いは11bを閉じる時期のみを変えて制御するものであり、制御が容易なものとなる。
この図16にフローチャートで示す制御においても、励磁電流Iの低減代は制御しないものであり、第1バルブ11a或いは11bに供給する励磁電流Iの停止時間のみで制御するものである。
即ち、ステップS31で、車両用電子制御ユニットから要求変速段Pを読み込み、また、シフトポジションセンサ16a,16b,16c,16dからシフト位置Sを読み込み、油温センサ15から油温Tを読み込む。
また、ステップS32で、図5の設定マップに基づき要求変速段Pからシフト操作荷重Fを算出する。
ステップS33では、シフト操作荷重Fと油温Tから第1バルブ11a或いは11bへ供給する励磁電流Iを設定し、また、図11の停止時間設定マップに基づき変速機用電子制御ユニット14内で第1バルブ11a或いは11bに供給する励磁電流Iの停止時間が設定される。
これに基づきステップS34で、第1バルブ11a或いは11bに所定の算出された励磁電流Iを出力し、何れかのシフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4のスプール9を移動させる。
このように第1バルブ11a或いは11bを閉じる時期のみを変えて制御するものであり、制御が容易なものとなる。
一方、作動油の温度が低く慣性力が低下し易い時は、作動油の供給停止を遅くするものであるため、カップリングスリーブSLのシフト完了の際にシフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4に作用する慣性力を作動油の温度によらず同程度のものとすることができ、シフトアクチュエータACT1,ACT2,ACT3,ACT4によりカップリングスリーブL1,L2,L3,L4を確実にシフト完了位置Sfまで移動できると共に、スプール9がシリンダ8と当接する際、あるいは、カップリングスリーブL1,L2,L3,L4が遊転歯車として構成された1速,2速,4速,リバース被駆動歯車G1’,G2’,G4’,GR’や3速駆動歯車G3,出力歯車GOと当接する際に生ずる打音を良好に防ぐことができるものである。
3 第1入力軸
4 第2入力軸
5 カウンタ軸
6 出力軸
7 変速機ケース
8 シリンダ
9 スプール(ピストン部材)
9a 連結部
10 油圧制御装置
11a,11b 第1バルブ(リニアソレノイドバルブ)
12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h 第2バルブ
13 オイルポンプ
14 変速機用電子制御ユニット
15 油温センサ
16a,16b,16c,16d シフトポジションセンサ
G 変速駆動歯車
G1 1速駆動歯車
G2 2速駆動歯車
G3 3速駆動歯車
G4 4速駆動歯車
G6 6速駆動歯車
G’ 被駆動歯車
G1’ 1速被駆動歯車
G2’ 2速被駆動歯車
G3’ 3速被駆動歯車
G4’ 4速被駆動歯車
G6’ 6速被駆動歯車
GR’ リバース被駆動歯車
S 同期装置
S1 1・R同期装置
S2 2・4速同期装置
S3 3・5速同期装置
S4 6速同期装置
SL カップリングスリーブ
SL1 1・Rカップリングスリーブ
SL2 2・4速カップリングスリーブ
SL3 3・5速カップリングスリーブ
SL4 6速カップリングスリーブ
F シフトフォーク
F1 1・Rシフトフォーク
F2 2・4速シフトフォーク
F3 3・5速シフトフォーク
F4 6速シフトフォーク
Fa フォーク部
Fb 嵌合アーム部
FS シフトフォークシャフト
ACT1,ACT2,ACT3,ACT4 シフトアクチュエータ
Claims (5)
- 同期装置のカップリングスリーブの位置を自動でシフトして変速段を変更可能な自動シフト式変速機であって、
シフトフォークを介して前記カップリングスリーブに接続するピストン部材と、該ピストン部材の少なくとも一部を収容するとともに収容された該ピストン部材との間で流体室を区画形成するシリンダ部材と、を有し、前記流体室への作動流体の供給により前記ピストン部材を介して前記カップリングスリーブをシフト可能な流体アクチュエータと、
前記ピストン部材の移動量を検知することにより前記カップリングスリーブのシフト量を検知するシフト量検出手段と、
前記作動流体の温度を検知する温度検知手段と、
前記流体アクチュエータへの前記作動流体の供給と供給の停止とを行う流体供給手段と、
前記カップリングスリーブのシフトを停止するために前記流体アクチュエータへの前記作動流体の供給を停止する際の停止態様として、前記作動流体の温度が高くなるほど前記シフト量が小さいうちから前記作動流体の供給を停止し始めるとともに、前記作動流体の温度の温度が高くなるほど前記作動流体を停止する際の前記流体供給手段の作動速度を早くする態様を設定する設定手段と、
前記変速段の変更の指示がなされたとき、前記作動流体を前記アクチュエータへ供給するよう前記流体供給手段を駆動制御して前記カップリングスリーブのシフトを開始するとともに、該カップリングスリーブが前記設定手段によって設定された前記シフト量以上となったときに前記作動速度で前記流体供給手段を駆動制御して前記カップリングスリーブのシフトを停止する駆動制御手段と、
を備える
自動シフト式変速機。 - 前記流体供給手段は、要求変速段にシフトするのに必要な流体圧を生成可能な第1バルブと、生成された該流体圧をもって前記作動流体を前記流体アクチュエータに供給可能な第2バルブとを有し、
前記駆動制御手段は、前記流体アクチュエータへの前記作動流体の供給を前記停止態様で停止する際、前記第1バルブを駆動制御する手段である
請求項1記載の自動シフト式変速機。 - 前記カップリングスリーブをシフトするのに必要なシフト荷重を前記要求変速段に基づいて設定する荷重設定手段を備え、
前記駆動制御手段は、設定された前記シフト荷重に対応する前記流体圧を生成するよう前記第1バルブを駆動制御する手段である
請求項2記載の自動シフト式変速機。 - 前記第1バルブは、リニアソレノイドバルブである請求項2または3記載の自動シフト式変速機。
- シフトフォークを介して同期装置のカップリングスリーブに接続するピストン部材と、該ピストン部材の少なくとも一部を収容するとともに収容された該ピストン部材との間で流体室を区画形成するシリンダ部材とを有し、前記流体室への作動流体の供給により前記ピストン部材を介して前記カップリングスリーブをシフト可能な流体アクチュエータと、該流体アクチュエータへの前記作動流体の供給と供給の停止とを行う流体供給手段とを備え、前記流体アクチュエータによる前記カップリングスリーブのシフト操作により変速段の変更が可能な自動シフト式変速機の制御方法であって、
(a)前記ピストン部材の移動量を検知することにより前記カップリングスリーブのシフト量を検知し、
(b)前記作動流体の温度を検出し、
(c)前記カップリングスリーブのシフトを停止するために前記流体アクチュエータへの前記作動流体の供給を停止する際の停止態様として、前記作動流体の温度が高くなるほど前記シフト量が小さいうちから前記作動流体の供給を停止し始めるとともに、前記作動流体の温度が高くなるほど前記作動流体を停止する際の前記流体供給手段の作動速度を速くする態様を設定し、
(d)前記変速段の変更の指示がなされたとき、前記作動流体を前記流体アクチュエータへ供給するよう前記流体供給手段を駆動制御して前記カップリングスリーブのシフトを開始するとともに、該カップリングスリーブが設定された前記シフト量以上となったときに前記作動速度で前記流体供給手段を駆動制御して前記カップリングスリーブのシフトを停止する
自動シフト式変速機の制御方法。
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