JP2013077341A - 回転機器の製造方法およびその製造方法により製造される回転機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】記録ディスクが載置されるべきハブ部材とハブ部材を軸受部を介して回転自在に支持するベース部材とを有するディスク駆動装置の製造方法であって、ベース部材とハブ部材と軸受部のうちの少なくとも一つをワークと呼ぶとき、本製造方法は、ワークを切削水を添加しながら切削加工する切削工程401〜403と、加工されたワークに付着する切削水を除去する除去工程405と、切削水が除去されたワークを使用してディスク駆動装置を組み立てる組立工程408とを含む。
【選択図】図3
Description
図2に示すように、本実施形態のディスク駆動装置10は、固定体部Sと、回転体部Rと、ラジアル動圧溝RB1,RB2と潤滑材とで構成されるラジアル流体動圧軸受部及びスラスト動圧溝SB1,SB2で構成されるスラスト流体動圧軸受部を含む軸受ユニット30と、これらの流体動圧軸受部を介して固定体部Sに対して回転体部Rを回転駆動する駆動ユニット32とにより構成されている。図2は、一例として記録ディスク20を支持するハブ部材26とシャフト34が一体となり回転する、いわゆるシャフト回転型のディスク駆動装置10の構造を示す。なお、ディスク駆動装置10を構成する部材は、機能的に固定体部S、軸受ユニット30、回転体部R、駆動ユニット32で分けられるグループのうち複数のグループに含まれるものがある。例えば、シャフト34は、回転体部Rに含まれると共に軸受ユニット30にも含まれる。
軸受ユニット30は、シャフト34、フランジ44、スリーブ40及びカウンタープレート42とを含んで構成されている。スリーブ40の円筒内壁面40bとそれに対向するシャフト34の外周面はラジアル空間部を形成している。そして、スリーブ40の円筒内壁面40bとシャフト34の外周面の少なくとも一方にはラジアル方向の支持を行うための動圧を発生するラジアル動圧溝RB1、RB2が形成されている。ラジアル動圧溝RB1はハブ部材26から近い側に形成され、ラジアル動圧溝RB2はラジアル動圧溝RB1よりハブ部材26に遠い側に形成されている。ラジアル動圧溝RB1,RB2は、シャフト34の軸方向に離隔して配置された例えばヘリングボーン状またはスパイラル状の溝である。これらのラジアル動圧溝RB1、RB2の形成空間にはオイル等の潤滑剤52が充填されている。したがって、シャフト34が回転することにより潤滑剤52に圧力の高い部分が生る。その圧力によりシャフト34を周囲の壁面から離反させて、当該シャフト34をラジアル方向において実質的に非接触の回転状態とする。
前述したように、ディスク駆動装置10において、リード/ライトエラー等の動作エラーの原因の一つとなる炭素水素化合物は、ディスク駆動装置10の構成部品を切削加工するときの切削油剤に含まれている。そこで、発明者らは、種々の実験により切削加工のときに実質的に炭化水素化合物を含まない(非含有)と見なせる切削水を用いることが根本的な解決策であるとの結論に達した。発明者らは実験により、炭化水素化合物を非含有と見なせる切削水であってpHをpH5〜11に調整した液体を添加しながらワークを切削加工することによって、切削加工によってワークに付着する炭化水素化合物の量を大幅に低減できることを見いだした。なお、本実施形態における以下の説明では、ディスク駆動装置10を構成する構成部材のうちベース部材12とハブ部材26とラジアル流体動圧軸受部及びスラスト流体軸受部を含む軸受ユニット30のうちの少なくとも一つをワークと呼ぶ。本実施形態では、ワークの例としてハブ部材26を切削加工する場合を例に説明する。
図3の場合、ワークの切削工程、切削水の除去工程、検査工程、ディスク駆動装置10の組立工程等を含む。この例では、ワークをハブ部材26として鉄素材から完成形態のハブ部材26に加工する例を説明する。切削工程401では例えばハブ部材26の外形を荒切削し、切削工程402では各表面の平面度を出すために仕上げ加工を行う。切削工程403では例えば孔加工やネジ加工を行う。これらの加工を行うときには、前述したアルカリ性の切削水を添加しながら切削する。なお、前述した切削の加工内容は一例であり、荒切削、仕上げ加工、孔加工等を工程を分けることなく適宜組み合わせて行ってもよいし、工程順を入れ替えてもよい。また、ワークが他の構成部材、例えばベース部材12や軸受ユニットの場合は、その形状に適した切削内容の工程が採用される。
図4の場合、ハブ部材26となるワーク100が切削機械のチャック102によって固定され、回転する加工刃物104が切削する様子を示している。また、加工刃物104とワーク100の接触部分(加工部位)を目指して切削水110を供給する第1ノズル106と第2ノズル108が配置されている。第1ノズル106は、主として切削部分に切削水110を供給して、ワーク100と加工刃物104との加工摩擦を低減すると共に加工時に発生する熱を冷却する機能を有する。特に冷却を効果的に行うために、第1ノズル106は、加工部位に局所的に切削水110を供給できるように射出径を小さくしている。また、第2ノズル108は、切削加工時に発生した切削粉を切削水110の水圧で除去できるように加工部位に局所的かつ高圧力で切削水110を供給できるように、第1ノズル106と同様に射出径を小さくしている。また、第2ノズル108は、切削粉を効率的、かつ一定方向に吹き飛ばすためにノズル角度の調整がなされている。例えば、第1ノズル106は加工部位に対して直角に対して鋭角に配置されて切削部位に切削水110を効果的に供給するようにしている。また、第2ノズル108は第1ノズル106より直角に対して鈍角に配置されて、切削粉の除去方向である水平方向に近い姿勢で切削水110を効果的に供給するように配置されている。この場合、第1ノズル106および第2ノズル108から供給される切削水110は同じものでよく、ワーク100の洗浄効果もある。
切削工程403に続いて、図3の場合、洗浄工程404を設けている。前述したように切削水には実質的に炭化水素化合物を含まないと見なせるものを使用する。発明者らは、実質的に炭化水素化合物を含まない(非含有)と見なせる切削水とは、炭化水素化合物の含有量が1000PPM以下であるものがリード/ライトエラーの低減に有効であることを実験により見いだした。前述したように、切削装置の駆動系で用いられている潤滑油剤等が切削水に混入したり、切削水を介してワーク100に炭化水素化合物が付着してしまう場合がある。切削加工中に供給される切削水でこの炭化水素化合物の低減または除去も可能であるが、さらに信頼性を高める目的で洗浄工程404を設けている。ただし、切削加工時の洗浄効果により残留する炭化水素化合物の量はごく微量なので、この洗浄工程404は、ごく短時間で少量の洗浄液で洗浄を完了することができる。したがって、洗浄工程404を設ける場合、実質的に炭化水素化合物を含まない(非含有)と見なせるレベルを緩和することができる。例えば、切削水の炭化水素化合物の含有量が10000PPM以下に緩和した場合でも、洗浄工程404があれば、実用上問題とならない程度に炭化水素化合物の残留量が低減できて、リード/ライトエラーの低減が可能になることを発明者らは確認している。この場合、洗浄工程404を含むものの、その洗浄時間を短くすることが可能で洗浄コストの低減に寄与できる。また、切削油剤を洗浄するときのような高性能の洗浄剤を使わなくてもよいので、その点でも洗浄コストの低減に寄与できる。また、上述したように、切削水の炭化水素化合物の含有量が1000PPM以下とした場合、洗浄工程404を省略できるか、洗浄を実施する場合でも、その洗浄をさらに簡易化して短縮することができることを発明者らは実験により確認している。また、切削水の炭化水素化合物の含有量が100PPM以下とする場合、洗浄工程を省略してもワーク100への炭化水素化合物の残留量のばらつきが低減されると共に、実用上問題とならない程度にリード/ライトエラーを低減できることを発明者らは実験により確認している。なお、洗浄工程404で使用する洗浄液は切削水と実質的に同等と見なせる洗浄液を使うことが好ましい。洗浄工程404では、シャワー洗浄や洗浄槽を用いた浸漬洗浄や洗浄槽内で超音波を併用する超音波洗浄等を実施してもよい。上述したように、切削加工中の切削水により十分な洗浄効果が得られる場合は、洗浄工程404を省略することができる。
Claims (6)
- 記録ディスクが載置されるべきハブ部材と前記ハブ部材を軸受部を介して回転自在に支持するベース部材とを有する回転機器の製造方法であって、前記ベース部材と前記ハブ部材と軸受部のうちの少なくとも一つをワークと呼ぶとき、本製造方法は、
前記ワークを切削水を添加しながら切削加工する工程と、
加工された前記ワークに付着する前記切削水を除去する工程と、
前記切削水が除去された前記ワークを使用して前記回転機器を組み立てる工程と、
を含むことを特徴とする回転機器の製造方法。 - 前記切削水は、アルカリ性の水を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の回転機器の製造方法。
- 前記切削水は、腐食防止剤を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の回転機器の製造方法。
- 前記切削水は、pH8〜pH10であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の回転機器の製造方法。
- 前記切削水を除去する工程の前に、前記切削水と実質的に同等と見なせる洗浄液を用いて前記ワークを洗浄する工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転機器の製造方法。
- 記録ディスクが載置されるべきハブ部材と、
前記ハブ部材を軸受部を介して回転自在に支持するベース部材と、
を備え、
前記ベース部材と前記ハブ部材と軸受部のうちの少なくとも一つは、切削水が添加されながら切削加工されて形成されることを特徴とする回転機器。
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