以下に添付図面を参照して、この発明に係る健康保険情報管理システムの好適な実施例を詳細に説明する。健康保険証には健康保険組合や共済組合等から発行される様々な種類のものが存在するが、以下ではこれらの健康保険証をまとめて「保険証」と記載し、健康保険証を発行した機関を「保険者」と記載する。また、医療証にも様々な種類のものが存在するが、以下ではこれらをまとめて「医療証」と記載し、医療証を発行して医療費を負担する地方自治体等を「負担者」と記載する。
図1は、保険証及び医療証の情報を管理する健康保険情報管理システム1の概要を示す図である。健康保険情報管理システム1では、病院10内のシステムと、保険者が保険証に関する情報を管理する保険証データベース41と、負担者が医療証に関する情報を管理する医療証データベース42とが、ネットワーク20によって通信可能に接続されている。個人情報の漏洩を防止するため、ネットワーク20は、例えば専用回線を利用して構築される。ネットワーク20としてインターネット等の公衆回線を利用する場合には、送受信するデータを暗号化することによって情報の漏洩を防止する。
病院10内では、患者からの診察の申し込みを無人で受け付けるための第1自動受付端末11と、患者から保険証及び医療証を無人で受け付けるための第2自動受付端末12と、窓口で受付担当者が患者の診察の申し込みを受け付けて保険証及び医療証を処理するための窓口受付端末13と、患者の診察内容を管理するための電子カルテデータベース15と、保険証及び医療証に関する情報を含む健康保険情報データベース17と、このデータベース17を管理する情報管理端末16とが、ネットワーク21によって通信可能に接続されている。また、窓口受付端末13には、保険証及び医療証から画像を生成して情報を取得するために利用されるスキャナ14が接続されている。
なお、図1には図示していないが、病院10内のネットワーク21には、診察室で電子カルテデータベース15を利用する端末、診察窓口で利用される端末、精算窓口で健康保険情報データベース17を利用して患者に請求する医療費を計算する端末、事務部門で健康保険情報データベース17を利用して保険者や負担者へ負担分の医療費を請求するレセプト請求と呼ばれる処理を行う端末等も接続されている。ネットワーク21に接続された各端末には、必要に応じて電子カルテデータベース15及び健康保険情報データベース17へのアクセス権限が付与されている。
まず、第1自動受付端末11について説明する。第1自動受付端末11は、病院10内に設置され、来院した患者から診察の申し込みを受け付ける機能を有する。図2(A)は、第1自動受付端末11の概要を示すブロック図である。第1自動受付端末11は、患者による操作を受け付けるための操作部31と、各種情報を表示するための表示部32と、診察券を受け付けるための診察券受付部33と、情報管理端末16及び窓口受付端末13等との間でデータ通信を行うための通信部34と、診察を受け付けた後に受付票を発行する受付票発行部35と、これら各部の動作を制御するための制御部30とを有している。
例えば、操作部31及び表示部32としてタッチパネル式のディスプレイが利用され、患者は、ディスプレイ上に表示された情報や指示等を確認しながら、必要な情報をタッチパネルによって入力できるようになっている。また、診察券受付部33としてスキャナが利用され、OCR(Optical Character Reader)技術を利用して診察券に印字された情報を取得できるようになっている。その他、磁気カードやICカード、又はバーコードを含むカード等を診察券として利用する場合もあるが、これらの場合には、診察券に対応した磁気カードリーダ、ICカードリーダ又はバーコードリーダ等の情報読取装置が診察券受付部33として利用され、同様に診察券から情報が取得される。また、受付票発行部としてプリンタが利用され、診察の受け付けが完了すると、患者が診察のために向かうべき診察室の場所や受付番号等が印字された受付票が発行される。
第1自動受付端末11は、主に再診患者の診察を受け付けるために利用される。病院10に来院した患者が操作部31を操作して再診を希望すると、制御部30によって、再診を受け付けるために必要な操作内容が表示部32に表示される。表示部32に表示された操作内容に従って診察券受付部33に診察券が挿入されると、診察券から情報が取得され、この情報が通信部34からネットワーク21を介して情報管理端末16及び窓口受付端末13に向けて送信される。
第1自動受付端末11によって再診の申し込みを受け付けた後、保険証及び医療証の受付作業や窓口での確認作業が不要である場合には、制御部30によって受付票発行部35から受付票が発行される。受付票の発行に伴って再診受付の処理が完了する。
これに対して、保険証及び医療証の受付作業が必要である場合には、制御部30によって、第2自動受付端末12へ患者を誘導する画面が表示部32に表示される。また、窓口での確認作業が必要である場合には、制御部30によって、受付窓口へ患者を誘導する画面が表示部32に表示される。再診患者は、表示部32の表示に従って、診察券受付部33から排出された診察券を抜き取って、第2自動受付端末12又は受付窓口へ向かう。
例えば、前回の診察で保険証や医療証を確認してから所定期間が経過していた場合に、保険証及び医療証の内容を再確認するために、再診患者が第2自動受付端末12に誘導される。また、保険証及び医療証の内容に関して患者に詳細を確認する必要がある場合等に、受付窓口へ誘導される。
次に、第2自動受付端末12について説明する。第2自動受付端末12は、初診患者からの診察の申し込みを受け付けると共に、再診患者からの保険証及び医療証を受け付ける機能を有する。図2(B)は、第2自動受付端末12の概要を示すブロック図である。第2自動受付端末12は、図2(A)に示した第1自動受付端末11の構成に加えて、患者から保険証を受け付けるための保険証受付部36と、医療証を受け付けるための医療証受付部37とを有している。
保険証受付部36及び医療証受付部37として、例えばスキャナが利用され、挿入口から受け付けた保険証及び医療証の画像が生成される。また、この画像を利用してOCR技術により保険証及び医療証に印字された情報が取得される。なお、カード又は紙媒体から情報を取得するための機能部である診察券受付部33、保険証受付部36及び医療証受付部37は、各々が独立して設けられる態様の他、これらのいずれか2つ又は3つ全てが1つの構成部によって実現されても構わない。
第2自動受付端末12による初診患者の受付処理について説明する。第2自動受付端末12では、病院10に来院した初診患者が操作部31を操作して診察を希望すると、制御部30によって、初診受付のために保険証を受け付ける必要があることを示す情報と、これに必要な操作内容が表示部32に表示される。表示部32に表示された操作内容に従って、保険証受付部36に保険証が挿入されると、保険証画像が生成されると共に、保険証画像から保険証情報が取得される。保険証画像と、この画像から取得された保険証情報は、通信部34からネットワーク21を介して情報管理端末16及び窓口受付端末13に向けて送信される。
また、表示部32には、医療証を所持している場合には医療証を受け付ける必要があることを示す情報と、これに必要な操作内容が表示部32に表示される。医療証を所持している患者が、保険証の場合と同様に、医療証受付部37に医療証を挿入すると、医療証受付部37では、医療証画像が生成されると共にこの画像から医療証情報が取得され、通信部34からネットワーク21を介して情報管理端末16及び窓口受付端末13に向けて送信される。
第2自動受付端末12による再診患者の受付処理について説明する。第1自動受付端末11によって再診の申し込みを行って第2自動受付端末12に誘導された再診患者が、操作部31によって再診受付であることを示す操作を行うと、制御部30によって、診察券を診察券受付部33に挿入し保険証を保険証受付部36に挿入するよう指示する画面が表示部32に表示される。また、再診患者が医療証を所持している場合には医療証を挿入するように指示する画面が表示部32に表示される。こうして、初診患者の場合と同様に、保険証及び医療証から画像生成と情報取得が行われ、通信部34からネットワーク21を介して情報管理端末16及び窓口受付端末13に向けて送信される。これに加えて、再診患者の場合には、診察券受付部33によって取得された診察券情報が情報管理端末16及び窓口受付端末13に向けて送信される。
初診患者又は再診患者のいずれの場合も、第2自動受付端末12によって保険証及び医療証から画像が生成され情報が取得された後、窓口での確認作業が不要である場合には、制御部30によって受付票発行部35から受付票が発行される。受付票の発行に伴って受付処理が完了する。これに対して、窓口での確認作業が必要である場合には、制御部30によって、受付窓口へ患者を誘導する画面が表示部32に表示される。
なお、第2自動受付端末12は、医療証発行条件を管理して、この条件に基づいて患者に医療証の提示を求める処理を行うための機能も有しているが、この機能についての詳細は後述する。
次に、窓口受付端末13について説明する。窓口受付端末13は、ネットワーク21に接続されたコンピュータ装置とスキャナ14によって構成されている。窓口受付端末13は、病院10の窓口で受付担当者によって操作される。窓口受付端末13は、自動受付端末11及び12によって診察券、保険証又は医療証から情報を取得できなかった場合に、窓口担当者が情報を確認して入力するために利用される。
具体的には、例えば、自動受付端末11及び12の処理で、画像が正常に生成されない等のエラーが発生した場合には、患者が窓口へ誘導される。窓口受付端末13を操作する病院10の受付担当者は、窓口に誘導された患者から診察券、保険証又は医療証を受け取って、窓口受付端末13によって受付処理を行う。診察券受付時にエラーが発生した場合には、診察券から取得されるべき診察券番号等の情報が窓口受付端末13から入力される。保険証又は医療証の受付時にエラーが発生し、画像が正常に生成されていない場合には、窓口受付端末13の備えるスキャナ14を利用して画像が生成され、OCR技術による画像からの情報取得が行われる。
窓口受付端末13では、第2自動受付端末12又はスキャナ14によって生成された画像から取得された情報の確認及び修正が行われる。窓口受付端末13の備える表示装置上には、保険証又は医療証の画像と、この画像から取得された文字情報とが表示される。受付担当者は、表示された画像上の文字とOCRによって認識された文字情報とを比較して、文字情報の抜けや誤り、内容変更がある場合等にはこれを修正する操作を行う。
次に、情報管理端末16について説明する。情報管理端末16は、コンピュータ装置によって構成され、内部に健康保険情報データベース17を有している。情報管理端末16は、健康保険情報データベース17を利用して、患者から受け付けた保険証や医療証に関する情報を管理する機能を有する。
具体的には、例えば、初診患者から保険証や医療証を受け付けたときには、新たにこの初診患者に関するデータを作成する。また、再診患者に対して保険証や医療証の情報入力を求める指示を第2自動受付端末12や窓口受付端末13上に表示して、保険証や医療証に関する情報が入力されると、入力情報が過去に作成したデータと一致するか否かを確認する。入力情報が過去のデータと一致しない場合には、必要に応じて、保険証や医療証情報の確認及び修正を行ったり、過去のデータから変更された内容がある場合には入力情報を承認することを指示する画面を窓口受付端末13に表示する。そして、保険証情報及び医療証情報の更新や修正がなされた場合には、修正履歴を残してデータベースを更新する。情報管理端末16では、データの修正や更新が行われた際に、その履歴を保存し、後に問題が発生した場合には過去の履歴を確認してデータの再修正を行う等の対応ができるようになっている。
健康保険情報データベース17には、各患者に関する基本情報と、保険証に関する情報と、医療証に関する情報とが含まれている。患者には、各患者を識別するための管理番号が割り当てられ、各情報がこの管理番号と関連付けて保存されている。情報管理端末16上で、管理番号を指定することによって、例えば図3〜図5に示す情報を確認することができる。なお、管理番号については、患者を受け付けた順に管理番号を割り当てる場合の他、診察券番号を管理番号として利用することもできる。また、情報管理端末16を独立した端末として示したが、本実施例がこれに限定されるものではなく、例えば、窓口受付端末13、精算窓口や事務部門で利用されている既存の端末を利用して情報管理端末16の機能を実現してもよい。
図3は、患者に関する基本情報として保存されているデータの一部を示したものである。このように、診察券番号、氏名及び住所等の患者の連絡先関連情報、診察日等の受診関連情報等のデータが、管理番号に関連付けて管理されている。
図4は、保険証情報として保存されているデータの一部を示したものである。保険証から取得できる情報は保険証の種類によって異なる場合がある。保険証から取得するべき情報は予め設定されている。自動受付端末11及び12や窓口受付端末13では、この設定に基づいて保険証画像からの全ての情報の取得を試みて、その結果取得できた情報が保険証情報として管理される。例えば、図4(A)に示すように、保険証番号、氏名等の被保険者関連情報、保険者番号等の保険者関連情報等が、管理番号に関連付けて管理される。また、図4(B)に示すように、同図(A)の保険証情報を取得した保険証画像が同じく管理番号に関連付けて管理されている。
図5は、医療証情報として保存されているデータの一部を示したものである。医療証についても、取得できる情報は医療証の種類によって異なるが、予め設定された全ての情報取得を試みて、その結果取得できた情報が医療証情報として管理される。図5(A)に示すように、医療証番号、氏名等の被保険者関連情報、負担者番号等の負担者関連情報等が、管理番号に関連付けて管理される。また、図5(B)に示すように、同図(A)の医療証情報を取得した医療証の画像が同じく管理番号に関連付けて管理されている。
保険証や医療証には様々な形式のものが存在するため、保険証画像や医療証画像を利用して記載事項を目視確認しようとすると、その情報が画像上のどこにあるのかを探す必要がある。このため、保険証及び医療証から抽出した情報を図4(A)及び図5(A)に示すようにデータベースとして保持することで、情報管理端末16上で必要な情報を容易に把握できるようになっている。また、図4(B)及び図5(B)に示すように、データベースには、テキスト形式のデータに加えて保険証画像及び医療証画像が保存されているので、例えばOCRによる文字認識や受付担当者による入力に誤りがあった場合には、これを画像上で目視確認して修正することができる。健康保険情報データベース17に含まれるデータは、ネットワーク21に接続された窓口受付端末13等の各端末上で確認できるようになっている。
なお、情報管理端末16は、医療証発行条件を管理して、この条件に基づいて医療証情報の取得を促したり、既に登録済みの医療証情報の削除を促すための機能も有している。医療証発行条件は情報管理端末16によって管理されているが、情報管理端末16の内部で利用される他、ネットワーク21に接続された第2自動受付端末12等の他の端末上で利用することも可能である。医療証発行条件に関する処理の詳細は後述する。
次に、電子カルテデータベース15について説明する。電子カルテデータベース15は、患者の診察を行う際に各種情報を入力して生成された電子カルテを保存するデータベースである。健康保険情報管理システム1は、電子カルテデータベース15から独立した健康保険情報データベース17を有している。しかし、従来から電子カルテデータベース15を利用してきた病院10では、電子カルテデータベース15内に保険証や医療証に関するデータが含まれている場合がある。本システム1では、過去に情報が蓄積された電子カルテデータベース15から、健康保険情報データベース17に利用可能な情報を抽出して利用することができる。
例えば、既に電子カルテデータベース15が存在する病院10に、本システム1が導入された場合、自動受付端末11及び12や窓口受付端末13から再診患者の保険証情報が入力されると、情報管理端末16は、入力された保険証情報に関するデータを新たに作成する。また、これと同時に電子カルテデータベース15を参照して、再診患者によって入力された情報が過去に電子カルテに記録された保険証情報と一致するか否かを確認する。情報が一致しない場合には患者を窓口へ誘導して窓口受付端末13による情報確認を指示する。そして、必要に応じて電子カルテデータベース15を更新する。このように既存の電子カルテデータベース15を利用しながら、新たに導入された健康保険情報データベース17用のデータが生成される。また、電子カルテデータベース15と健康保険情報データベース17との整合性を維持するための処理が行われる。
また、本システム1では、再診患者の来院を待たずに電子カルテデータベース15から健康保険情報データベース17を作成することもできる。具体的には、例えば、本システム1が新たに導入されると、情報管理端末16は、電子カルテデータベース15を参照して、過去に受診した患者の電子カルテに含まれている保険証及び医療証に関する情報を抽出して、各患者に関する健康保険情報データベース17用のデータを作成する。健康保険情報データベース17として管理されるデータのうち電子カルテに含まれない情報、すなわち不足するデータは、次に患者が診察を受ける際に保険証や医療証から取得される。また、再診患者に関する情報に変更があった場合には、健康保険情報データベース17及び電子カルテデータベース15の両方のデータが更新され、2つのデータベース15及び17との整合性が維持されるようになっている。
このように、病院10内に、新たに本システム1が導入された場合でも、過去に蓄積された電子カルテデータベース15を活用すると共に、本システム1の導入後も従来から利用してきた電子カルテデータベース15を継続して利用することができる。
次に、保険証データベース41及び医療証データベース42について説明する。保険証データベース41は、保険者が被保険者に関する情報を管理するデータベースである。保険証データベース41では、例えば、図4(A)に示す情報のうち、保険証番号や氏名等の被保険者関連情報に対応する保険証発行情報が管理されている。医療証データベース42は、負担者が被保険者に関する情報を管理するデータベースである。医療証データベース42では、例えば、図5(A)に示す情報のうち、医療証番号や氏名等の被保険者関連情報に対応する医療証発行情報が管理されている。なお、本システム1では、同様の情報が管理されるデータベースであれば、保険者及び負担者によって管理されるデータベースに限定されず、例えば保険者や負担者から外部委託された専門業者によって管理されるデータベースを利用することもできる。
病院10内に設置された情報管理端末16は、ネットワーク20及び21を介して保険証データベース41及び医療証データベース42にアクセスすることができる。情報管理端末16は、患者から新たに受け付けた保険証情報及び医療証情報や、健康保険情報データベース17に保存済みの保険証情報及び医療証情報が、保険者の保険証データベース41で管理されている保険証情報及び負担者の医療証データベース42で管理されている医療証情報と一致するか否かを確認する。
例えば、第2自動受付端末12や窓口受付端末13で医療証から図5(A)に示す医療証情報が取得され、この医療証情報が情報管理端末16に送信されると、情報管理端末16は、この医療証情報に含まれる医療証番号や負担者番号等を利用して、受け付けた医療証について問い合わせを行うべき医療証データベース42を特定する。そして、特定した医療証データベース42から、患者から受け付けた医療証番号に対応する医療証情報を取得して、患者から受け付けた医療証情報と照合する。その結果、両者の情報が一致する場合には、ここで図4(A)に示す情報最終確認日が更新されると共に、情報最終確認日の更新履歴も保存される。
患者から受け付けた医療証情報と、負担者が管理する医療証情報とが一致しなかった場合には、一致しなかった情報とこれについて確認を指示する情報とが情報管理端末16又は窓口受付端末13上に表示される。続いて、例えば窓口受付端末13上では、一致しなかった情報と図4(B)に示す医療証画像とが表示される。受付担当者は、医療証画像上で情報を確認し、OCRによる文字認識や受付担当者による入力に誤りがあった場合には情報を修正する。医療証情報が修正されると図4(A)に示す情報最終確認日が更新される。医療証画像を確認した受付担当者が患者から受け付けた医療証に問題があると判断した場合には、患者や負担者に詳細を確認する作業が行われる。これらと同様の作業が保険証についても行われる。
健康保険情報データベース17によって管理される保険証情報及び医療証情報と、保険者及び負担者によって管理される保険証データベース41及び医療証データベース42とのデータ照合は、第2自動受付端末12又は窓口受付端末13によって患者の受付を行った際に行われる場合の他、定期的に行われる場合もある。
例えば、病院10での診察時間の終了後に毎回データ照合を行ってもよいし、予め設定された所定の曜日や日付にデータ照合を行ってもよい。また、例えば15日毎等の所定間隔でデータ照合を行ってもよい。データ照合の対象となるデータについても、例えば、前回のデータ照合後に新たに追加された保険証及び医療証に関するデータについてのみデータ照合を行ってもよいし、全てのデータについてデータ照合を行ってもよい。
データ照合を行うタイミングや、照合対象となるデータの指定は、情報管理端末16上で設定できるようになっている。設定された情報に基づいて、所定のタイミングで所定データに関するデータ照合が行われる。
また、データ照合を行うか否かについても、設定によって変更することが可能である。例えば、保険証データベース41及び医療証データベース42にアクセスするためのネットワーク20に障害が発生しているような場合には、予めデータ照合を行わないように設定することで、関連する処理を省略し、ネットワークエラーの発生等を回避することができる。このとき、データ照合を完全に行わない設定とする他、ネットワークエラーを検知した場合にのみ自動的にデータ照合を省略するように設定することもできる。さらに、ネットワーク20及び21における通信負荷や、情報管理端末16での処理負荷に応じて、データ照合を省略する設定とすることもできる。データ照合を常に行うか、常に省略するか、各部の処理負荷等に応じて一時的に省略するか等については、利用者の運用に応じて設定できるようになっている。
なお、図1では、保険証データベース41及び医療証データベース42を各1つしか示していないが、ネットワーク20に接続された複数の保険者及び負担者の有する各データベース41及び42を利用することができる。情報管理端末16では、各保険者の有する保険証データベース41にアクセスするために必要な情報と、各負担者の有する医療証データベース42にアクセスするために必要な情報とが管理されている。具体的には、例えば、各データベースのネットワーク20上でのアドレス情報、データベースにアクセスするための認証情報、データの送受信を行うための暗号化方式に関する情報等が管理されており、情報管理端末16は、これらに基づいて保険証データベース41や医療証データベース42にアクセスし、必要な保険証情報及び医療証情報を取得して健康保険情報データベース17に保存されている情報とのデータ照合を行う。
次に、上記構成を有する健康保険情報管理システム1について、各端末で行われる処理を図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、初診患者を受け付ける際に行われる処理の概要を示すフローチャートである。また、図7は再診患者を受け付ける際に行われる処理の概要を示すフローチャートである。
まず、図6に示す初診患者の受け付けを行う際の処理について説明する。病院10に来院した初診患者が第1自動受付端末11を操作しようとした場合には、表示部32に第2自動受付端末12の利用を促す画面が表示される。第2自動受付端末12に誘導された初診患者が、表示部32に表示された情報に従って操作部31を操作し、初診受付を選択すると(ステップS1)、表示部32には保険証を保険証受付部36へ、医療証を医療証受付部37へ挿入するよう指示する画面が表示される(ステップS2)。
初診患者は、表示部32の表示に従い、所持している保険証を保険証受付部36へ挿入し、医療証を所持している場合にはこれを医療証受付部37へ挿入する(ステップS3)。
保険証受付部36に保険証が挿入されると、保険証画像が生成され、この保険証画像からOCR処理によって保険証番号等の保険証情報が取得される(ステップS4)。
同様に、医療証受付部37に医療証が挿入された場合には、医療証画像が生成され、この医療証画像から医療証情報が取得される。第2自動受付端末12には、医療証を所持する患者を判定するための医療証発行条件が記憶されている。制御部30は、先に取得した保険証情報が医療証発行条件を満たすにも拘わらず、所定時間内に医療証受付部37に医療証が挿入されなかった場合には、初診患者に対して医療証の挿入を促す画面を表示部32に表示する。なお、第2自動受付端末12は、ネットワーク21を介して情報管理端末16で設定された医療証発行条件を取得して利用する。
具体的には、例えば、乳幼児や高齢者を対象に年齢が所定条件を満たせば医療証を発行する地方自治体がある場合には、年齢と地方自治体の管轄する住所に関する情報が医療証発行条件として第2自動受付端末12内に記憶されている。第2自動受付端末12では、保険証受付部36から取得した保険証情報に含まれる患者の住所及び年齢が、医療証発行条件を満たすか否かが判定される。医療証発行条件を満たすと判定された場合には、患者が医療証を有する可能性が高いので、表示部32に具体的な地方自治体の名称や医療証の種類を表示して、患者に対して医療証の受け付けを促す画面を表示する。
このように、第2自動受付端末12では、初診受付を開始した際に表示部32に医療証の受け付けを促す表示がされるので、初診患者が医療証を出し忘れることを防止することができる。また、医療証発行条件を満たす場合には、さらに具体的な情報を表示して医療証の受け付けを促すことによって、より確実に医療証の受け付けを行うことができる。
第2自動受付端末12で取得された保険証画像及び保険証情報と、医療証画像及び医療証情報は、窓口受付端末13へ送信される(ステップS6)。そして、窓口受付端末13を操作する受付担当者によって、第2自動受付端末12で取得された保険証情報及び医療証情報の確認作業が行われる。具体的には、例えば、画像が正常に生成されていることや、OCRによって正確に文字認識されたことの確認作業が行われる。この確認作業は、受付担当者が全件を目視確認する場合の他、画像や情報の正当性が自動的に判断され問題があると判断された場合にのみ、これらの画像や情報が受付端末13に表示され確認作業が行われる態様であってもよい。例えば、保険証画像及び医療証画像のデータ容量や色分布等から画像の異常を判断したり、OCRによって取得された文字情報から文字種の異常を判断したり、保険証及び医療証からの取得が予測される文字列が登録された辞書との比較によって文字認識のエラーの可能性を判断する。なお、これらの処理は窓口受付端末13で行う態様の他、情報管理端末16で行う態様であっても構わない。
第2自動受付端末12で取得された画像及び情報に異常があると判断された場合には(ステップS8;No)、窓口受付端末13から第2自動受付端末12へ窓口誘導通知が送信される(ステップS9)。第2自動受付端末12は、窓口誘導通知を受信すると、患者に対して、窓口へ向かうよう指示する画面を表示部32に表示する(ステップS10)。
一方、第2自動受付端末12で取得された画像及び情報に問題が無いと判断された場合には(ステップS8;Yes)、保険証画像及び保険証情報と、医療証画像及び医療証情報とを含む保険情報が情報管理端末16へ送信される(ステップS11)。
情報管理端末16では、受信した保険情報が、新規データとして健康保険情報データベース17に登録される(ステップS12)。また、受信した保険情報から、保険証情報の問い合わせ先である保険証データベース41と、医療証情報の問い合わせ先である医療証データベース42とが特定され、情報の問い合わせが行われる(ステップS13)。具体的には、保険証データベース41に保険証番号を送信して、この保険証番号に関する保険証情報を要求する。同様に、医療証データベース42に医療証番号を送信して医療証情報を要求する。
保険証データベース41では、情報管理端末16からの情報要求を受信すると、受信した保険証番号が検索される(ステップS14)。そして、該当する保険証番号に関する被保険者情報が情報管理端末16へ送信される(ステップS15)。同様に、医療証データベース42でも医療証番号が検索され(ステップS14)、被保険者情報が情報管理端末16へ送信される(ステップS15)。
情報管理端末16では、保険証データベース41及び医療証データベース42から被保険者情報を受信すると、これらの情報と患者から受け付けた情報との照合が行われる(ステップS16)。
照合の結果、患者から受け付けた情報と保険者及び負担者が管理する被保険者情報とが一致しない場合には(ステップS17;No)、情報管理端末16から窓口受付端末13へ不一致情報通知が送信される(ステップS18)。不一致情報通知を受信した窓口受付端末13では、端末上に、一致しないと判断された情報と情報確認を促す表示がなされ、受付担当者による保険情報の確認及び修正処理が行われる(ステップS19)。
この結果、例えば、医療証画像を確認することによりOCRによる文字認識エラーが原因で情報に誤りがあったことが判明した場合には、端末上で医療証情報が修正される。こうして、受付担当者が窓口受付端末13で情報の不一致を修正できた場合には(ステップS20;Yes)、先に保存された健康保険情報データベース17の内容が正しく修正された情報に置き換えられる(ステップS12)。
一方、不一致情報を確認した受付担当者が、自身による修正では対応できず患者へ確認する必要があると判断した場合には(ステップS20;No)、窓口受付端末13から第2自動受付端末12へ向けて窓口誘導通知が送信される(ステップS9)。この場合には、第2自動受付端末12で患者に対して窓口へ向かうよう指示する画面が表示される(ステップS10)。患者が窓口へ誘導されると、以降の処理は、窓口受付端末13を利用して受付担当者と患者との間で進められる。
照合の結果、患者から受け付けた情報と、保険者及び負担者が管理する被保険者情報とが一致すると判断された場合には(ステップS17;Yes)、保険証情報及び医療証情報を利用して電子カルテが新規作成される(ステップS21)。保険証情報及び医療証情報から、図3に示すような患者の基本情報を抽出して作成された電子カルテは、電子カルテデータベース15に保存される。そして、この電子カルテが診察時に利用される。
続いて、情報管理端末16から、窓口受付端末13に向けて受付完了通知が送信される(ステップS22)。また、この受付完了通知は、第2自動受付端末12でも受信される(ステップS23)。
第2自動受付端末12では、受付完了通知を受信すると、表示部32に受付が完了したことを示す画面を表示すると共に、受付票発行部35から次に患者が取るべき行動や患者が向かうべき診察室等の情報を印字した受付票を発行する(ステップS24)。
こうして、初診受付の処理を完了すると、受け付けた保険証及び医療証に関する情報が健康保険情報データベース17に保存された状態となる。この中には、患者、保険者及び負担者の医療費の負担割合に関する情報が含まれている。このため、ネットワーク21に接続された精算窓口の端末では、健康保険情報データベース17を参照して患者の負担する医療費を容易かつ正確に決定することができる。また、保険者や負担者へ負担分の医療費を請求するレセプト請求を行う端末でも、ネットワーク21を介して健康保険情報データベース17を参照することにより、容易かつ正確にレセプト請求を行うことができる。病院10でのレセプト請求は、例えば月に一回、複数患者の医療費に係る処理をまとめて行うことが多い。しかし、本システム1では、容易にレセプト請求を行うことができるので、患者毎、診察日毎又は一週間毎のように予め設定されたタイミングでレセプト請求を行うことも可能である。
このように、患者から保険証及び医療証を受け付けた際に、得られた情報を発行元である保険者や負担者に問い合わせることにより、保険証及び医療証に基づく患者の医療費負担割合が明確となるので、患者に請求する医療費を容易かつ正確に決定することができる。患者から医療証が提示された場合でも、この医療証が有効であるか否かを負担者への問い合わせによって確認できるので、後にレセプト請求として病院10から負担者へ医療費の負担分を請求する際に、医療証が無効であり負担者から医療費が支払われないという事態を回避することができる。
また、保険証及び医療証の受け付けを自動化することにより短時間で受付処理を完了することができる。受付担当者による確認が必要になった場合にのみ、患者を窓口へ誘導して必要な処理を行うこととしたので、受付担当者の負担を軽減することができる。
また、窓口受付端末13では、スキャナ14を利用して第2自動受付端末12と同様の機能を実現することができるので、端末の操作ができない患者等の受付を窓口受付端末13を利用して行うことができる。
これにより、初診受付を第2自動受付端末12によって受け付ける態様に限らず、例えば、全ての初診受付を窓口受付端末13によって行うことも可能である。また、例えば、第2自動受付端末12で所定時間を超えて操作がされない場合には、表示部32に情報を表示して患者を窓口に誘導して受付担当者が患者の受付処理を行うこともできる。
自動受付端末11及び12は、予め設定された設定内容に基づいて動作する他、窓口受付端末13や情報管理端末16から遠隔操作により動作させることもできる。例えば、第2自動受付端末12の前に受付を待つ患者の行列が出来ているような場合には、窓口受付端末13からの遠隔操作により第2自動受付端末12の表示部32に患者を窓口へ誘導する画面を表示して、一部の患者を窓口へ誘導して受け付けることもできる。このように、自動受付端末11及び12での患者の受付処理を監視することによって、必要に応じて患者を窓口に誘導することができるので、患者の受付処理を滞りなく行うことができる。
また、健康保険情報データベース17には保険証画像及び医療証画像が保存されるので、保険証及び医療証から読み取られた情報に問題があった場合でも、画像を確認して、情報を容易に修正することができる。
次に、図7に示した再診患者の受け付けを行う際の処理について説明する。再診患者には病院10の診察券が発行されており、健康保険情報データベース17では患者に関して過去に取得された図3〜図5に示す各情報が保存された状態にある。
来院した再診患者が第1自動受付端末11上で表示部32に表示された情報に従って操作部31を操作し、再診受付を選択すると(ステップS31)、表示部32には診察券を診察券受付部33へ挿入するよう指示する画面が表示される(ステップS32)。
再診患者は、表示部32の表示に従い、所持している診察券を診察券受付部33へ挿入する(ステップS33)。第1自動受付端末11の診察券受付部33に診察券が挿入されると、診察券番号等の診察券情報が取得される(ステップS34)。
第1自動受付端末11で取得された診察券情報は、情報管理端末16へ送信される(ステップS35)。情報管理端末16では、受信した診察券情報から健康保険情報データベース17が検索され、この患者に関する情報として、図4に示す保険証情報及び図5に示す医療証情報が読み出される(ステップS36)。また、図3に示す基本情報が読み出される(ステップS37)。そして、読み出された情報から、前回の診察から所定期間が経過している場合やその月初めての診察の場合等、予め設定された保険情報確認条件を満たし、患者の所持する保険証や医療証に関する情報を再取得する必要があると判断された場合には(ステップS38;No)、保険情報要求通知が第1自動受付端末11に送信される。
第1自動受付端末11では、保険情報要求通知を受信すると、患者を第2自動受付端末12へ誘導する画面が表示部32に表示される。第2自動受付端末12に誘導された患者が、表示部32に表示された情報に従って操作部31を操作し、診察券受付部33に診察券を挿入すると、患者の所持する保険証及び医療証の情報を取得する処理が開始される(ステップS40)。これらの処理は、初診患者に対して行われる図6に示すステップS3以降の処理と同様の処理であるため説明を省略する。初診患者に対する処理と同様に保険証及び医療証の情報を取得する処理がなされ、健康保険情報データベース17のデータが更新されると、受付票が発行されて再診患者の受付処理が完了する。
一方、例えば前回保険証及び医療証に関する情報を取得してから短期間しか経過しておらず、保険証及び医療証から情報を再取得する必要が無いと判断された場合には(ステップS38;Yes)、情報管理端末16は、健康保険情報データベース17から読み出した情報に基づいて、保険証情報及び医療証情報を保険者及び負担者に問い合わせる処理を行う(ステップS41)。具体的には、保険証データベース41に保険証番号を送信して保険証情報を要求し、医療証データベース42に医療証番号を送信して医療証情報を要求する。
保険証データベース41では、情報管理端末16からの情報要求を受信すると、受信した保険証番号が検索される(ステップS42)。そして、該当する保険証番号に関する被保険者情報が情報管理端末16へ送信される(ステップS43)。同様に、医療証データベース42では医療証番号が検索され(ステップS42)、被保険者情報が情報管理端末16へ送信される(ステップS43)。
情報管理端末16では、保険証データベース41及び医療証データベース42から被保険者情報を受信すると、これらの情報と健康保険情報データベース17から読み出された情報との照合が行われる(ステップS44)。
照合の結果、健康保険情報データベース17から読み出した情報と保険者及び負担者が管理する被保険者情報とが一致しない場合には(ステップS45;No)、情報管理端末16から第1自動受付端末11へ窓口誘導通知が送信される(ステップS46)。窓口誘導通知S46を受信した第1自動受付端末11では、患者を窓口へ誘導する画面が表示される(ステップS47)。
受付窓口では、受付担当者が、窓口受付端末13に誘導された患者の診察券番号を入力する。このとき既に、情報管理端末16から窓口受付端末13に対して、照合の結果一致しないと判断された情報と、この情報について確認作業が必要になったことを示す情報とが送信されている。これらの情報は、対応する診察券情報が窓口受付端末13に入力されると端末上に表示されるようになっている。受付担当者は、この表示に基づいて保険情報を確認し、必要に応じて情報を修正する(ステップS48)。保険情報が修正されると、健康保険情報データベース17の内容が、正しく修正された情報に置き換えられ、再度保険情報を問い合わせる処理が実行される(ステップS41)。
一方、健康保険情報データベース17から読み出された情報と、保険証データベース41及び医療証データベース42から受信した被保険者情報とを照合した結果、両者が一致した場合には(ステップS45;Yes)、電子カルテデータベース15及び健康保険情報データベース17に保存済みのデータが更新される。具体的には、例えば、図4に示す保険証情報及び図5に示す医療証情報の中に、前回取得された情報から変更された情報がある場合には、これらの情報が修正されうる。なお、図4及び図5に示す情報最終確認日は、保険証及び医療証に関する情報が変更されたか否かによらず、データベース41又は42とのデータ照合を行った日時に更新される。
続いて、情報管理端末16から第1自動受付端末11に受付完了通知が送信される(ステップS50)。第1自動受付端末11では、受付完了通知を受信すると、表示部32に受付が完了したことを示す画面を表示すると共に、受付票発行部35から次に患者が取るべき行動や患者が向かうべき診察室等の情報を印字した受付票を発行する(ステップ51)。
こうして、再診受付の処理を完了すると、最新の保険証及び医療証に関する情報が健康保険情報データベース17に保存された状態となる。これにより、初診受付の場合と同様に、精算窓口の端末では、健康保険情報データベース17を参照して患者の負担する医療費を容易かつ正確に決定することができる。また、保険者や負担者に対してレセプト請求を行う端末でも、容易かつ正確にレセプト請求を行うことができる。
窓口受付端末13では、スキャナ14を利用して第1自動受付端末11と同様の機能を実現することができるので、端末の操作ができない患者等の受付を窓口受付端末13を利用して行うことも可能である。このため、必要に応じて患者を窓口に誘導して、患者の受付処理を滞りなく行うことができる。
健康保険情報管理システム1では、所定の保険情報確認条件を満たす場合には保険証及び医療証の情報を再取得して、健康保険情報データベース17に保存された保険証情報及び医療証情報を更新すると共に、発行元である保険者や負担者に問い合わせることにより情報に誤りがないことを確認することができる。これにより患者の医療費負担割合が明確となり、患者に請求する医療費を容易かつ正確に決定することができる。
具体的には、例えば、過去に医療証を提示した患者の再診を受け付ける場合でも、この医療証が現在も有効であるか否かを負担者への問い合わせによって確認できるので、後に病院10から負担者へ医療費の負担分を請求する際に、医療証が無効であり負担分の支払がされないという事態を回避することができる。
保険証及び医療証の情報を取得するために患者に対して保険証及び医療証の提示を求める保険情報確認条件には、図8に示す保険証情報確認条件と、図9に示す医療証情報確認条件とが含まれている。これらの条件は、情報管理端末16で管理されており、病院10での保険証及び医療証に関する運用に合わせて設定できるようになっている。保険情報確認条件は、ネットワーク21に接続された他の端末からも利用することができる。
保険証に関する条件設定を行う場合には、情報管理端末16上に、図8に示す設定画面が表示される。設定画面で表示された条件を有効にすると、自動受付端末11及び12や窓口受付端末13でこの条件を満たすと判断された場合に、保険証情報の取得を促す画面が表示され保険証情報を取得するための処理が開始される。
例えば、図8に示す設定画面の1つ目の条件は、保険証情報を取得してから所定期間経過している場合に情報の再取得を行うための設定であり、ここでは前回の情報取得から何日経過した後に情報の再取得を行うかを指定する日数を任意の数字に変更することができる。例えば、図7に示すステップS38で、この条件を満たすか否かが判定される。また、図8に示す設定画面の3つ目の条件は、健康保険情報データベース17に保存された保険証情報と、保険証を発行した保険者の管理する被保険者情報とが一致しない場合を情報再取得の条件とするもので、例えば、図7に示すステップS45で、この条件を満たすか否かが判定される。
また、保険証情報の再取得、すなわち保険証情報の確認を促す通知を行う通知対象についても情報管理端末16で管理されており、病院10での運用に合わせて設定できるようになっている。図8に示す設定画面下段の情報通知対象がこれに該当し、例えば、「自動端末」及び「受付窓口」を情報通知対象として選択した場合には、図6及び図7に示したように、保険証情報確認条件を満たすと判定されると、保険証情報の再取得が必要であることを示す情報が各端末11〜13上に表示され、患者又は受付担当者に通知される。
例えば、自動受付端末11及び12の設置台数が少なく、ここでの処理が長引くと受付が混雑するような場合には、自動受付端末を情報通知対象から外すこともできる。この場合は、保険証情報の再取得が必要な場合でも、自動受付端末11及び12から患者に通知されることなく患者の受付処理が完了する。一方、保険情報の再取得が必要であることを示す情報は窓口受付端末13へ通知され、通知を受けた窓口受付端末13の受付担当者は、自動受付端末11及び12での受付処理を終えた患者を呼び出して、保険証情報を再取得する処理を実行する。
その他、保険証情報の再取得が必要であることを示す通知対象として、診察窓口や精算窓口に備えられた端末を選択することもできる。保険証情報の再取得が必要であることを示す通知情報は、保険証情報の再取得が行われるまで維持されるようになっている。例えば、患者が受付窓口の呼び出しに気付かずに診察窓口に向かった場合には、端末上の通知情報を確認した診察窓口の担当者が、患者から保険証を受け取って保険証情報の再取得処理を行ったり、患者を受付窓口へ再誘導することによって保険証情報の再取得処理が行われる。また、診察窓口でも情報の再取得が行われなかった場合には、精算窓口の担当者が端末上の通知情報を確認して、患者から保険証を受け取って保険証情報の再取得処理を行うことができる。このように、情報通知対象として複数の端末を選択可能とすることによって、患者の医療費を決定する迄の間に、保険証に関する情報を確実に確認することができる。
医療証情報確認条件についても、図9に示す設定画面上で条件を選択して設定することができる。医療証は保険証と異なり、負担者の規定する条件を満たさなくなった場合には無効となるので、保険証よりも厳しい条件で頻繁に情報を再取得するように、保険証情報確認条件と独立して医療証情報確認条件を管理できるようになっている。また、医療証については、ここで設定された条件が情報の再取得に限らず、新たに医療証情報を登録する場合や登録済みの医療証情報を削除する場合にも利用される。
例えば、図9に示す設定画面の1つ目の条件を有効にすると、保険証情報や電子カルテデータに含まれる情報に基づいて、情報管理端末16で管理されている医療証発行条件を満たすか否かが判定される。そして、新たに医療証発行条件を満たすことになった患者については、新たに医療証情報を取得して健康保険情報データベース17に登録するための処理が開始される。また、医療証発行条件を満たしていた患者が、条件を満たさなくなった場合には、健康保険情報データベース17からこの患者の医療証情報を削除するための処理が開始される。
具体的には、例えば、ある市に居住していた患者が隣りの市に移ったり、条件を満たす年齢に達したことによって、新たに医療証発行の対象者となる場合がある。このような場合に対応できるよう、情報管理端末16では、年齢及び住所を対象とした医療証発行条件が設定されている。情報管理端末16が、保険証情報等に含まれる患者の年齢や住所の情報と医療証発行条件とを比較することによって、この患者が新たに医療証発行条件を満たす状態になったことを認識すると、端末11〜13上に医療証の受け付けを促す画面が表示され、医療証情報を取得するための処理が開始される。また、これとは逆に、過去に医療証を有していた患者が、例えば住所変更によって医療証発行条件を満たさなくなった場合、年齢が医療証発行条件を満たさなくなった場合、医療証に設定された期限が過ぎている場合等には、端末11〜13上に医療証が無効になったか否かの確認を促す画面が表示され、医療証情報を削除するための処理が開始される。
医療証情報確認条件を満たすか否かを判定する処理は、例えば、図6及び図7に示す各条件判断ステップ(S8、S17、S20、S38及びS45)で行われる。そして、新たに医療証発行条件を満たすようになった場合や、過去に満たしていた医療証発行条件が新たに満たされなくなった場合には、端末11〜13上にこれを報知する情報が表示される。報知された情報に従って医療証の有効性を確認する処理が行われ、例えば窓口受付端末13によって健康保険情報データベース17への医療証情報の新規登録又は登録済みデータの削除が行われる。
医療証情報の取得や削除を促す通知を行う通知対象についても、保険証情報確認条件の場合と同様に端末を選択して設定できるようになっている。医療証については、例えば特定疾患が医療証発行条件とされている場合があるので、通知対象として選択きる端末の中に、診察室で利用される端末も含まれている。
例えば、受付時に医療証を提示しなかった患者の診察時に、端末上の電子カルテに、患者が医療証発行条件を満たす特定疾患であることを示す情報が入力されると、この端末上には、この患者が医療証発行条件を満たしながら医療証の受け付けを行っていないことを示す画面が表示される。例えば、医師や看護婦が、この情報を確認して、患者が既に医療証を有している場合には医療証の受け付けを行うよう促したり、医療証を有していない場合には医療証の発行対象者であることを患者に説明することができる。また、これとは逆に、患者が医療証発行条件を満たさなくなった場合にも、情報通知対象として選択された各端末にこれを報知することができる。
受付窓口から精算窓口に至る間に利用される各端末で、医療証に関する情報を共有することができるので、患者の医療費を決定する迄の間に医療証の有無を確認し、医療費を決定することが可能となる。
このように、保険証情報や医療証情報の確認が必要となる条件を選択して設定することができるので、病院10での運用に応じて、予め設定された条件を判定し、予め設定されたタイミングで情報確認が必要であることを報知することができる。また、情報確認が必要であることを報知する対象を選択して設定することができるので、病院10での運用に合わせて柔軟に対応することができる。
また、情報確認の必要性を判定する条件について、保険証に関する設定と独立して医療証に関する設定を行うことができるので、保険証に比べて発行条件が限定されている医療証の特徴に応じた運用が可能となる。また、情報管理端末16で医療証発行条件を管理することによって、新たに医療証が発行されたり医療証が無効になった可能性がある場合に、これを端末11〜13に通知して、医療証に関する最新情報の確認作業を行うことができる。このため、患者に請求する医療費を容易かつ正確に決定することができ、医療証の提示を忘れた患者に医療費返還手続きを行う必要が生じたり、負担者による医療費負担分が病院10に支払われないという事態を回避することができる。
なお、図1では、大規模な病院10を例に説明したが、本実施例がこれに限定されるものではない。例えば、小規模な病院であれば、図10に示すように、病院10内に、健康保険情報データベース17を管理する情報管理端末16のみを設置して利用することもできる。情報管理端末16に電子カルテデータベース15とスキャナ14を接続することによって、情報管理端末16を窓口受付端末13としても機能させることができる。情報管理端末16をネットワーク20を介して保険証データベース41及び医療証データベース42と接続すれば、図10に示すシステムによって、図1を参照しながら上述した処理を実現し同様の効果を得ることが可能である。この場合には、病院10内に導入するシステム規模が小さいので導入コストを抑えることができる。
また、図11に示すように、病院10内にはスキャナ14が接続された窓口受付端末13のみを設置して利用することもできる。例えば、情報管理端末16及び電子カルテデータベース15の管理を専門業者40に外部委託して、病院10から離れた場所にある情報管理端末16と病院10の窓口受付端末13とをネットワーク21を介して接続する。これにより、図11に示すシステムによって、図1を参照しながら上述した処理を実現し同様の効果を得ることが可能である。この場合には、専門業者40に電子カルテデータベース15及び健康保険情報データベース17の管理を委託する費用が必要となるが、病院10内にデータベースの管理者を設ける必要がなく、システムの導入コストも抑えることができる。また、電子カルテデータベース15及び健康保険情報データベース17の管理を専門家に委託することによって確実なデータ管理が可能となる。
上述してきたように、本実施例によれば、保険証情報に加えて医療証情報を管理することができる。また、保険証及び医療証の画像生成、生成した画像からの情報抽出、抽出した文字情報の管理を自動化することにより、病院10での受付処理を迅速に行うと共に、受付処理に関する労力を軽減することができる。また、保険証及び医療証に記載された情報に加えて、保険証及び医療証の画像もデータベースに保存して管理することができるので、保険証情報及び医療証情報に問題が生じた場合でも、保険証及び医療証の実物を確認するのと同様に画像上で内容を確認して情報を修正することができる。
また、保険証と異なり所定の発行条件を満たす一部の患者にしか発行されず有効期限も限られている医療証を、保険証の管理条件とは独立した条件で管理することにより、保険証とは異なる周期で確認作業を行う等、医療証の特徴に合わせた適切な管理を行うことができる。
また、医療証情報の確認が必要となる患者の年齢や住所等の条件を設定すると共に、保険証等から得られる情報が設定条件を満たすか否かを判定し、新たに医療証が発行されたり医療証が無効になった可能性がある場合に、これを報知して医療証に関する確認作業が行われるようにしたので、必要に応じて医療証情報を更新して、患者に請求する医療費を容易かつ正確に決定することができる。
また、保険証情報及び医療証情報を、保険証を発行した保険者や医療証を発行した負担者に問い合わせて確認する処理が自動的に行われるので、病院10から保険者及び負担者にレセプト請求を行った際に、保険証や医療証が無効であったために医療費の負担分が病院10に支払われないという事態を回避することができる。