JP2013073227A - コネクタおよびコネクタの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】端子挿入孔の延びる方向と交差する方向に型開きする成形金型でありがなら、端子挿入口の周縁部に誘い込み構造を成形し、端子を端子挿入孔に誘い込んで挿入できるようにする。
【解決手段】フェルール20を後方から挿入する端子挿入孔34を有する合成樹脂製のハウジング本体30を備えたコネクタであって、端子挿入孔34にフェルール20を挿入する側である端子挿入口34Aの周縁部には、前方に配された撓み空間41に向かって弾性変形可能な弾性部42が形成されているところに特徴を有する。
【選択図】図14

Description

本発明は、コネクタおよびコネクタの製造方法に関する。
例えば、合成樹脂製のコネクタハウジングに設けられた端子挿入孔に後方から端子が挿入されたコネクタとして、特許文献1に記載のものが知られている。このコネクタには、コネクタハウジングにおける端子挿入孔の後側の後端開口縁部に、端子挿入孔の後側から前側に向かうほど先細り状となる誘い込み部が形成されている。この誘い込み部は、前後方向に型開きする成形金型によって成形されており、端子挿入孔に端子を挿入する際に、必要に応じて端子が誘い込み部によって端子挿入孔に誘い込まれて挿入されるようになっている。
特開2007−122923号公報
ところで、端子収容口の周縁部を成形する成形金型を端子挿入孔の延びる方向である前後方向に型開きすることができず、端子挿入孔の延びる方向と交差する方向に型開きする成形金型を用いる場合には、端子挿入口の周縁部に誘い込み構造を成形する構成に苦慮することになる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子挿入孔の延びる方向と交差する方向に型開きする成形金型でありがなら、端子挿入口の周縁部に誘い込み構造を成形し、端子を端子挿入孔に誘い込んで挿入できるようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として本発明は、端子を後方から挿入する端子挿入孔を有する合成樹脂製のコネクタハウジングと、前記端子挿入孔の前記端子が挿入される側の端子挿入口の周縁部に形成され、前記端子の挿入方向に弾性変形可能な弾性部とを備えるところに特徴を有する。
このような構成のコネクタによると、端子の先端部分が端子挿入孔の軸心からずれた状態で端子を端子挿入孔に挿入する場合に、端子の先端部分が弾性部に当接することで、弾性部が端子の挿入方向に弾性変形し、端子を端子挿入孔に誘い込んで挿入することができる。
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
前記弾性部には、前記端子挿入孔の軸心から径方向に延びる切り込みが形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、弾性部に切り込みを入れることで、端子の挿入方向に弾性部をより弾性変形し易くすることができる。
前記端子挿入口の周縁部よりも前記端子の挿入方向前方には、前記弾性部が弾性変形可能な撓み空間が前記端子の挿入方向と交差する方向に開口して形成されている構成としてもよい。
端子挿入口の周縁を成形する成形金型を端子挿入孔の延びる方向である前後方向に型開きすることができず、端子挿入孔の延びる方向と交差する方向に型開きする成形金型を用いる場合には、前後方向に型開きすることで、端子挿入口の周縁部に誘い込み構造を設けることができなくなってしまう。ところが、上記の構成によると、前方に撓み空間を有する弾性部が端子挿入口の周縁部に形成されており、端子挿入口の周縁部には、端子の挿入方向前方に凹んだ型抜き溝が形成されているので、端子をさらに端子挿入孔に誘い込み易くすることができる。
また、弾性部の前方に撓み空間を形成するために、前方に開口した撓み空間を形成すると、端子挿入孔を径方向に大きくする必要があり、端子挿入孔内に挿入された端子が端子挿入孔内においてがたつく虞がある。ところが、上記のような構成によると、端子挿入孔の延びる方向と交差する方向に型開きする成形金型に形成された撓み空間成形ピンを端子挿入孔の延びる方向と交差する方向に引き抜くことによって弾性部の前方に撓み空間形成することができる。これにより、端子挿入孔を径方向に大きくすることなく撓み空間を形成することができる。
前記弾性部には、前記端子の挿入方向前方に凹んで、前記撓み空間の開口方向と同一方向に開口する型抜き溝が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、弾性部に端子の挿入方向前方に凹んだ型抜き溝が形成されているので、端子を端子挿入孔にさらに誘い込んで挿入し易くすることができる。また、型抜き溝が撓み空間の開口方向と同一方向に開口しているので、撓み空間を成形する際に、型抜き溝を容易に形成することができる。
また、本発明は、端子を後方から挿入する端子挿入孔を有する合成樹脂製のコネクタハウジングと、前記端子挿入孔の前記端子が挿入される側の端子挿入口の周縁部に形成され、前記端子挿入口の周縁部よりも前記端子の挿入方向前方に前記端子の挿入方向と交差する方向に開口して形成された撓み空間に弾性変形可能な弾性部とを備えたコネクタの製造方法であって、前記端子挿入口の周縁部を成形する成形金型に形成された撓み空間成形ピンを前記撓み空間の開口方向に抜き取ることで、前記撓み空間を成形するところに特徴を有する。
このような製造方法によると、撓み空間が端子挿入孔の延びる方向と交差する方向に開口しているので、成形金型に設けられた撓み空間成形ピンを撓み空間の開口方向に引き抜くことによって、端子挿入口の周縁部よりも前方に弾性部の撓み空間を形成することができる。すなわち、端子挿入孔の延びる方向と交差する方向に型開きする成形金型でありがなら、弾性部を端子の挿入方向である前方に弾性変形させることができる。これにより、端子が弾性部を前方に弾性変形させることで、端子の先端部を端子挿入孔に誘い込んで挿入させることができる。
本発明によれば、端子挿入孔の延びる方向と交差する方向に型開きする成形金型でありがなら、端子挿入口の周縁部に誘い込み構造を成形し、端子を端子挿入孔に誘い込んで挿入できるようにすることができる。
光コネクタの平面図 光コネクタの側面図 光コネクタの背面図 図3のIV−IV線断面図 図3のV−V線断面図 ハウジング本体の側面図 ハウジング本体の背面図 図6のVIII−VIII線断面図 カバーの側面図 カバーの内側を下方からみた底面図 ハウジング本体にフェルールを組み付ける前の状態を示す斜視図 ハウジング本体にフェルールを組み付けた後の状態を示す平面図 ハウジング本体にフェルールを組み付ける前の状態を示す要部拡大断面図 ハウジング本体にフェルールを組み付ける際に、フェルールが弾性部によって端子挿入孔に誘い込まれている状態を示す要部拡大断面図 成形金型内においてハウジング本体を成形した状態を示す断面図 成形金型を型開きした状態を示す断面図
<実施形態>
本発明の実施形態について図1乃至図16を参照して説明する。
本実施形態は、光ケーブルWの端末に接続される光コネクタ(本発明の「コネクタ」の一例)10を例示している。
光コネクタ10は、図示しない相手側光コネクタと嵌合可能に形成されており、図1乃至図5に示すように、光ケーブルWの端末に接続されるフェルール(本発明の「端子」の一例)20と、フェルール20を内部に収容するハウジング本体(本発明の「コネクタハウジング」の一例)30と、ハウジング本体30に上方から組み付けられるカバー50とを備えて構成されている。
フェルール20は、図4及び図5に示すように、光ケーブルWの保護材W1を皮剥ぎすることで露出された光ファイバ心線W2の端末に接続されている。また、光ケーブルWの保護材W1の端末には、金属製のかしめリングRがかしめ付けられており、かしめリングRが装着された部分の外径寸法は、光ケーブルWの外径寸法よりも大きくなっている。
フェルール20は、円筒状のキャピラリ21と、キャピラリ21の後端部に一体に形成されたフランジ部22とを備えて構成されている。
キャピラリ21の内部には、光ファイバ心線W2の被覆材を剥ぐことで露出した図示しない光ファイバが挿通されておリ、キャピラリ21の先端に相手側光コネクタに設けられた図示しない相手側フェルールの先端が当接することで光ファイバと、相手側フェルールの相手側光ファイバとが光学的に接続されるようになっている。
キャピラリ21の外側には、円筒状のスリーブ23がキャピラリ21を覆うように装着されている。スリーブ23の内部には、キャピラリ21及び相手側フェルールの図示しない相手側キャピラリの双方が収容され、互いの光ファイバが芯ずれすることなく当接するようになっている。
フランジ部22は、前方から後方に向かってフェルール20の軸心から離れるように拡幅した後、フェルール20の軸心に沿って後方に延びて、その後端部がフェルール20の軸心と直交するようにフェルール20の軸心に向かって延びた後、更に後方に延びた形態に形成されている。
ハウジング本体30は、合成樹脂製であって、図4乃至図6に示すように、前方に向かって開口する嵌合部31と、嵌合部31の奥壁と一体に形成されたキャピラリ収容部32と、キャピラリ収容部32の後方に形成されたフランジ収容部33とを備えて構成されている。
嵌合部31は、嵌合方向前方(図1における左方)に開口した形態をなし、嵌合部31の内部には、図示しない相手側光コネクタハウジングが嵌合可能とされている。
キャピラリ収容部32は、嵌合部31の内部空間に突出した形態で嵌合部31の奥部に形成されている。キャピラリ収容部32の内部には、スリーブ23が装着されたキャピラリ21が適合して挿入される一対の端子挿入孔34が幅方向に並んで形成されており、両端子挿入孔34は、キャピラリ収容部32を前後方向に貫通して形成されている。また、両端子挿入孔34は、図7及び図8に示すように、キャピラリ収容部32の後端部に開口した形態とされ、端子挿入孔34の後端開口は、後方からフェルール20が挿入される端子挿入口34Aとされている。
フランジ収容部33は、図4、図11及び図12に示すように、キャピラリ収容部32の後面32Aと、キャピラリ収容部32の幅方向両端部から後方に真っ直ぐ延びる側壁33Aと、両側壁33Aの後端部を幅方向に連結する後壁33Bとによって四方を囲まれた形態をなし、上方に向かって開口している。また、フランジ収容部33における両側壁33Aの外面には、2つのロック突起35がそれぞれ形成されている。
フランジ収容部33の前端部には、図5に示すように、キャピラリ21を端子挿入孔34に挿入した状態のフェルール20が配置され、上方からカバー50を組み付けることで、フェルール20のフランジ部22がフランジ収容部33の内部に保持されるようになっている。
カバー50は、図9および図10に示すように、フランジ収容部33の上面を覆う天井壁51と、天井壁51の幅方向両側縁から下方に延びて形成された複数のロック片52とを備えて構成されている。
天井壁51は、図1及び図10に示すように、略矩形状をなし、天井壁51の内側には、天井壁51の内面から下方(図10の紙面手前側)に向かって突出するフェルール保持部53が形成されている。
フェルール保持部53には、フェルール20のフランジ部22の外形形状に沿って形成された嵌合凹部54が幅方向に2つ並んで形成されており、カバー50がハウジング本体30の上部に組み付けられると、図4に示すように、各嵌合凹部54内にフェルール20のフランジ部22がそれぞれ嵌合され、フランジ収容部33内において2つのフェルール20が保持されるようになっている。
ロック片52は、天井壁51の幅方向両側縁にそれぞれ2つずつ形成されている。また、各ロック片52は、フランジ収容部33のロック突起35と対応する位置に配されることで、天井壁51の幅方向両側において、互いに対向した形態に形成されている。
ロック片52には、ロック片52を板厚方向に貫通する係止孔52Aが形成されており、この係止孔52Aにフランジ収容部33のロック突部35が収容されて、ロック突部35とロック片52とが係止することで、カバー50がハウジング本体30に組み付け固定されるようになっている。
カバー50及びフランジ収容部33の後部には、光ケーブルWを保持するケーブル保持部36が形成されている。
このケーブル保持部36は、図4及び図5に示すように、光ケーブルWのかしめリングRを収容する上下一対の収容溝37と、かしめリングRを後方に抜け止めする抜け止め部38とを備えて構成されている。また、上下一対の収容溝37は、幅方向に2つ並んで形成されている。
上下一対の収容溝37のうち、下側に位置する収容溝37がフランジ収容部33における底壁の内面に、フランジ収容部33の後壁33Bの前面に沿うように凹状に形成され(図5及び図11を参照)、上側に位置する収容溝37がカバー50における天井壁51の内面に凹状に形成されている(図5及び図10を参照)。フランジ収容部33側の収容溝37内に光ケーブルWのかしめリングRの下端部を収容し、フランジ収容部33にカバー50を組み付けて、カバー50側の収容溝37にかしめリングRの上端部が収容されることで、光ケーブルWが後方に抜け止めされた状態に保持されるようになっている。
抜け止め部38は、図3及び図7に示すように、かしめリングRから後方に引き出された光ケーブルWの外面に沿うようにフランジ収容部33の後壁33Bを上端から下方に向かって凹んだ形態に形成されている。また、抜け止め部38の前方に臨んだ位置には、図7に示すように、端子挿入孔34の端子挿入口34Aの周縁部が配されており、図5に示すように、キャピラリ収容部32の後面と抜け止め部38の前面とが対向した配置となっている。また、抜け止め部38の前面は、図4及び図5に示すように、光ケーブルWのかしめリングRの後端面を後方から係止可能に形成されており、抜け止め部38の前面とかしめリングRの後端面とが係止することで、光ケーブルWが抜け止め部38により後方に抜け止めされている。これにより、光ケーブルWは、ケーブル保持部36によって、後方に抜け止めされている。
さて、端子挿入口34Aの周縁部における下半分には、図13及び図14に示すように、誘い込み面39が形成されており、端子挿入口34Aの周縁部における上半分には、前方に配された撓み空間41に向かって弾性変形可能な弾性部42が形成されている。また、誘い込み面39の上方には、弾性部42の後面とキャピラリ収容部32の後面とによって形成された型抜き溝(本発明の「誘い溝」の一例)40が形成されている。
誘い込み面39は、キャピラリ収容部32の後面32Aから前方に向かうほど、端子挿入孔34の軸心に近づくように先細り状に傾斜した形態をなし、図8に示すように、端子挿入口34Aを周方向に囲むように形成されている。
型抜き溝40は、図12及び図13に示すように、端子挿入孔34の幅寸法よりも幅広で、かつ、キャピラリ収容部32の後面32Aから前方に向かって凹んだ形態をなし、キャピラリ収容部32の上面から誘い込み面39まで端子挿入孔34と直交するように延びて形成されている。また、型抜き溝40は、キャピラリ収容部32の後面32Aから前方に向かうほど幅方向の寸法が小さくなるように形成されており、型抜き溝40の前面40Aの断面形状は円弧状になっている。また、型抜き溝40におけるキャピラリ収容部32の後面32Aから幅狭に傾斜した部分(図12を参照)は、誘い込み面39における上端縁(端子挿入孔34の軸心を通るように誘い込み面39を幅方向に切断した断面)における傾斜した部分(図4を参照)の形状と同一であって、型抜き溝40は、誘い込み面39の上端縁における傾斜した部分の形状をキャピラリ収容部32の上面まで連続させた形態とされている。
撓み空間41は、図1及び図13に示すように、上方に開口して、かつ、端子挿入孔34の上端に連通して形成されており、撓み空間41の前後方向の長さ寸法は、弾性部42の板厚よりも大きく設定されている。また、撓み空間41の後面は、幅方向中央部が前方に張り出した円弧状をなしている。また、撓み空間41の上方には、撓み空間41の上端縁の形状をハウジング本体30の上端まで連続させた型抜き路43が形成されている。
弾性部42は、図13に示すように、型抜き溝40の前面40Aと撓み空間41の後面とによって構成され、弾性部42の前後方向の板厚は、薄く形成されている。これにより、弾性部42は、フェルール20の挿入方向である前方に向かって弾性変形可能となっている。また、弾性部42の断面は、円弧状をなし、弾性部42の後面は、端子挿入孔34の軸心に向かって幅寸法が小さくなるように前方に凹んだ形態とされている。また、弾性部42には、図7及び図8に示すように、端子挿入孔34の軸心から径方向である上方に延びる切り込み44が形成されている。切り込み44は、端子挿入孔34に沿うように前後方向に延びて端子挿入孔34及び撓み空間41に連通して形成されている。これにより、端子挿入口34Aの周縁部で、かつ、切り込み44の周縁部である弾性部42は、フェルール20の挿入方向である前方に向かってさらに弾性変形し易くなっている。
すなわち、フェルール20のキャピラリ21に装着されたスリーブ23の軸心が端子挿入孔34の軸心よりも下半分に僅かにずれた状態でスリーブ23が端子挿入孔34に挿入されると、誘い込み面39がスリーブ23の先端を端子挿入孔34に誘い込んで挿入させることができ、スリーブ23の先端部分が端子挿入孔34の軸心から僅かに上方にずれた状態でフェルール20を端子挿入孔34に挿入されると、スリーブ23の先端部分が弾性部42に当接して、弾性部42が前方に弾性変形することで、フェルール20を端子挿入孔34に誘い込んで挿入させることができるようになっている。
本実施形態の光コネクタ10は、上記のような構成であって、続いてハウジング本体30の成形方法の一例を説明する。
ハウジング本体30は、図15および図16に示すように、上下に型開きする上型61及び下型62と、前方に型開きするスライド型63とを備えた成形金型60によって成形される。
まず、成形金型60を型閉じした状態で、成形金型60内に溶融した樹脂を射出し、図15に示すように、ハウジング本体30を成形する。
成形金型60内に射出された樹脂が冷却されて硬化したところで、図16に示すように、各金型61,62,63を型開きして、ハウジング本体30を成形金型60から取り出すことでハウジング本体30が完成する。
ところで、本実施形態のように、端子挿入口34Aの周縁部の後方に、ケーブル保持部36などを形成する場合には、端子挿入孔34の延びる方向である前後方向と交差する方向である上下方向に型開きする成形金型60を用いてハウジング本体30が成形される。このため、従来のように、成形金型を前後方向に型開きして、端子挿入口34Aの周縁部にフェルール20を誘い込むための誘い込み構造を形成することができない。だからといって、端子挿入口34Aの周縁部に誘い込み構造を形成するために、端子挿入口34Aとケーブル保持部36との間に前後方向にスライドさせる専用金型を設けて、専用金型を後方にスライドさせた後、専用金型を上方に引き抜くことで、端子挿入口の周縁部に誘い込み構造を成形すると、光コネクタ10の製造コストが高くなってしまう。
ところが、本実施形態によると、光コネクタ10を成形する成形金型60の上型61には、図15及び図16に示すように、端子挿入孔34の延びる方向と交差する方向である上下方向に延びる撓み空間成形ピン64が形成されており、この撓み空間成形ピン64を、上型61及び下型62を型開きする際に、型抜き路43を通して上方に引き抜くことで、端子挿入口34Aの周縁部よりも前方に撓み空間41を成形することができる。すなわち、成形金型60に誘い込み構造を成形するための誘い込み構造専用金型を設けることなく、撓み空間41に向かって弾性変形可能な弾性部42を端子挿入口34Aの周縁部に成形することができ、製造コストが高くなることを抑制することができる。
また、上型61には、撓み空間成形ピン64から僅かに後方に離れた位置に、撓み空間成形ピン64と同一方向である上下方向に延びて、下端部が前方に向かって先細り状に突出する誘い込み成形部61Aが形成されている。この誘い込み成形部61Aは、上型61及び下型62を型開きする際に、撓み空間成形ピン64と同様に、誘い込み成形部61Aを上方に引き抜くことで、端子挿入口34Aの周縁部に誘い込み面39及び型抜き溝40を容易に成形することができるようになっている。すなわち、フェルール20を端子挿入孔34にさらに誘い込み易くするための型抜き溝40を弾性部42の後面に容易に成形することができるようになっている。
次に、光コネクタ10の組み付け手順を簡単に説明し、ハウジング本体30にフェルール20を組み付ける際の作用効果を説明する。
まず、ハウジング本体30と、光ファイバ心線W2の端末に接続されたフェルール20を用意し、フェルール20のキャピラリ21にスリーブ23を装着する。
次に、スリーブ23の軸心をハウジング本体30の端子挿入孔34の軸心に合わせて、スリーブ23を端子挿入孔34に挿入し、フェルール20をフランジ収容部33の前端部に配置する。ここで、スリーブ23の軸心が端子挿入孔34の軸心よりも上半分に僅かにずれた状態でスリーブ23を端子挿入孔34に挿入すると、図14に示すように、弾性部42がスリーブ23の先端に押圧されて撓み空間41に向かって弾性変形し、スリーブ23の先端部が端子挿入孔34に誘い込まれて挿入される。これにより、ハウジング本体30に対するフェルール20の組み付け作業の効率を向上させることができる。
そして、スリーブ23が装着された2つのフェルール20がキャピラリ収容部32に組み付けられた後、フランジ収容部33の収容溝37に光ケーブルWのかしめリングRを収容し、カバー50をフランジ収容部33の上方から組み付けることで光ケーブルWがハウジング本体30及びカバー50によって保持固定され、光コネクタ10が完成する。
以上のように、本実施形態によると、成形金型60の上型61及び下型62を型開きする際に、上型61の撓み空間成形ピン64を上方に引き抜くことで、端子挿入口34Aの周縁部に容易に撓み空間41を形成することができる。すなわち、端子挿入孔34の延びる方向と交差する上下方向に型開きする成形金型60でありがなら、端子挿入口34Aの周縁部に撓み空間41に向かって弾性変形可能な弾性部42を成形することができる。これにより、フェルール20に装着されたスリーブ23を弾性部42によって端子挿入孔34に誘い込み易くすることができ、端子挿入口の周縁部に誘い込み構造が設けられていない光コネクタに比べて、フェルール20の組み付け作業の効率を向上させることができる。
また、本実施形態によると、弾性部42に切り込み44が形成されているので、端子挿入口34Aの周縁部で、かつ、切り込み44の周縁部である弾性部42がより前方に向かって弾性変形し易くなっていることから、スリーブ23の先端部を端子挿入孔34により誘い込み易くすることができる。
また、本実施形態によると、弾性部42の後面が型抜き溝40の前面として端子挿入孔34の軸心に向かって先細り形状となっているので、フェルール20を端子挿入孔34にさらに誘い込み易くすることができる。
さらに、本実施形態のように、誘い込み成形部61Aを上方に引き抜くことで、端子挿入口34Aの周縁部における下半分に誘い込み面39を成形する場合には、誘い込み面39の上方に型抜き溝40を形成する必要があり、端子挿入口34Aの周縁部における上半分に誘い込み面39と同様の誘い込み構造を設けることができない。ところが、本実施形態によると、端子挿入口34Aの周縁部における上半分にも誘い込み構造である弾性部42を設けることができるので、端子挿入口34Aの周縁部に誘い込み構造を形成する上で、非常に有効である。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、光コネクタ10における端子挿入口34Aの周縁部に弾性部42を構成した例を示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、端子金具を内部に保持するコネクタにおける端子挿入口の周縁部に弾性部を構成してもよい。
(2)上記実施形態では、上方に延びる切り込み44が形成された弾性部42を構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、端子挿入孔34の軸心から斜め上方に向かって延びる切り込みを形成した弾性部を構成してもよい。
(3)上記実施形態では、端子挿入口34Aの周縁部の後方にケーブル保持部36を設けた構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、端子挿入口34Aの周縁部の後方に端子挿入孔34と対向する背面壁を設けたハウジング本体にも適用できる。
(4)上記実施形態では、撓み空間41が上方に開口した形態に構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、撓み部が左右方向に延びる撓み空間成形ピンによって成形されることで、左方もしくは右方のどちらか一方に開口した形態に形成されてもよい。
(5)上記実施形態では、ハウジング本体30に別体のカバー50を上方から装着する構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、ハウジング本体とカバーとが一体に形成されていてもよい。
20:フェルール(端子)
34:端子挿入孔
30:ハウジング本体(コネクタハウジング)
34A:端子挿入口
42:弾性部
44:切り込み
41:撓み空間
40:型抜き溝(誘い溝)
64:撓み空間成形ピン

Claims (5)

  1. 端子を後方から挿入する端子挿入孔を有する合成樹脂製のコネクタハウジングと、
    前記端子挿入孔の前記端子が挿入される側の端子挿入口の周縁部に形成され、前記端子の挿入方向に弾性変形可能な弾性部とを備えることを特徴とするコネクタ。
  2. 前記弾性部には、前記端子挿入孔の軸心から径方向に延びる切り込みが形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
  3. 前記端子挿入口の周縁部よりも前記端子の挿入方向前方には、前記弾性部が弾性変形可能な撓み空間が前記端子の挿入方向と交差する方向に開口して形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
  4. 前記弾性部には、前記端子の挿入方向前方に凹んで、前記撓み空間の開口方向と同一方向に開口する型抜き溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のコネクタ。
  5. 端子を後方から挿入する端子挿入孔を有する合成樹脂製のコネクタハウジングと、
    前記端子挿入孔の前記端子が挿入される側の端子挿入口の周縁部に形成され、前記端子挿入口の周縁部よりも前記端子の挿入方向前方に前記端子の挿入方向と交差する方向に開口して形成された撓み空間に弾性変形可能な弾性部とを備えたコネクタの製造方法であって、
    前記端子挿入口の周縁部を成形する成形金型に形成された撓み空間成形ピンを前記撓み空間の開口方向に抜き取ることで、前記撓み空間を成形することを特徴とするコネクタの製造方法。
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