JP2013069767A - パワーモジュール用基板およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】反り量が小さく、ヒートシンクとの接合が容易なパワーモジュール用基板を提供する。
【解決手段】セラミックス基板の両面に、それぞれろう材を介在させて回路層用金属板およびこの回路層用金属板よりも厚い放熱層用金属板を厚さ方向に積層してなる基板積層体を形成し、この基板積層体を、カーボン製板材からなる厚さ0.5mm以上5.0mm以下の第1挟装体と、厚さ0.2mm以上4.0mm以下のグラファイトシートおよびこのグラファイトシートを挟んで積層された厚さ0.5mm以上5.0mm以下の2枚のカーボン板からなる板状の第2挟装体とにより挟み、これらを加熱しながら積層方向に加圧することにより、前記基板積層体における前記セラミックス基板と各金属板とをろう付するパワーモジュール用基板の製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、パワーモジュール用基板およびその製造方法に関する。
一般に、電力供給のためのパワーモジュールは、発熱量が比較的高い半導体素子である。このパワーモジュール用基板としては、例えば、AlN、Al、Si、SiC等からなるセラミックス基板の両面に、アルミニウム板等の金属板をろう材を介して接合させたものが用いられる。セラミックス基板に接合された金属板の一方は、後工程のエッチング処理によって所望パターンの回路が形成されて回路層となり、電子部品(半導体チップ等のパワー素子)が搭載される。また、セラミックス基板に接合された金属板の他方(回路層)には、ヒートシンクが接合される。
電子部品およびヒートシンクが接合されてなるパワーモジュールにおいて、電子部品から発生する熱は、ヒートシンクによって放散される。従来、パワーモジュールにおいては回路層及び放熱層とも同じ板材で形成されるのが一般的であったが、近年では、放熱層の熱伸縮によってセラミックス基板に生じる熱応力を緩和するために、放熱層を肉厚に形成して緩衝機能を持たせることが検討されている。
回路層と放熱層とで、厚さや形状が異なる場合、ろう付けのための加熱処理を経由することにより、薄肉側(回路層側)を凸とする反りが生じる。特許文献1には、回路層の体積を放熱層の体積よりも大きくするなどの構成により、パワーモジュール用基板を任意の反り量で反らせ、セラミックス基板の割れを防止する技術が記載されている。
特開2002−252433号公報
パワーモジュール用基板とヒートシンクとを接合する際には、ヒートシンクの天板上にパワーモジュール用基板を載置して、ヒートシンクの天板とパワーモジュール用基板の放熱層とをろう付する方法が採用できる。しかしながら、パワーモジュール用基板が反っていると、ヒートシンクへの取り付けが阻害されるという問題が生じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、反り量が小さく、ヒートシンクとの接合が容易なパワーモジュール用基板を提供することを目的とする。
本発明は、セラミックス基板の両面に、それぞれろう材を介在させて回路層用金属板およびこの回路層用金属板よりも厚い放熱層用金属板を厚さ方向に積層してなる基板積層体を形成し、この基板積層体を、カーボン製板材からなる厚さ0.5mm以上5.0mm以下の第1挟装体と、厚さ0.2mm以上4.0mm以下のグラファイトシートおよびこのグラファイトシートを挟んで積層された厚さ0.5mm以上5.0mm以下の2枚のカーボン板からなる板状の第2挟装体との間に挟み、これらを加熱しながら積層方向に加圧することにより、前記基板積層体における前記セラミックス基板と各金属板とをろう付するパワーモジュール用基板の製造方法である。
この製造方法によれば、基板積層体を、第1挟装体と第2挟装体との間に挟んで、加熱しながら積層方向に加圧することによりろう付することにより、剛性の高い第1挟装体によって反りを抑えるとともに、弾性率の高い第2挟装体によって基板積層体の全面を均一に加圧できるので、反りを抑えながら確実に接合することができる。
また、本発明は、セラミックス基板の両面に、それぞれろう材を介在させて回路層用金属板およびこの回路層用金属板よりも厚い放熱層用金属板を厚さ方向に積層してなる基板積層体を形成し、この基板積層体を、カーボン製板材からなる厚さ0.5mm以上5.0mm以下の第1挟装体と、厚さ0.2mm以上4.0mm以下のグラファイトシートおよびこのグラファイトシートを挟んで積層された厚さ0.5mm以上5.0mm以下の2枚のカーボン板からなる板状の第2挟装体とを交互に介在させながら複数積層配置して、これらを加熱しながら積層方向に加圧することにより、各前記基板積層体における前記セラミックス基板と各金属板とをろう付する。
これにより、複数の基板積層体を、反りを抑えながら製造することができる。
これらの製造方法において、前記第1挟装体は、0.8mm以上3.0mm以下の厚さを有する1枚のカーボン板であることが好ましい。この場合、第1挟装体が十分な剛性を有するため、平面度の高いパワーモジュール用基板を得ることができる。
本発明のパワーモジュール用基板の製造方法によれば、セラミックス基板の両面に金属板をろう付することにより生じる反りを抑え、平面度が高いパワーモジュール用基板を提供できる。
本発明に係るパワーモジュール用基板を用いて製造されたパワーモジュールを示す断面図である。 基板積層体、カーボン板およびクッションシートを示す側面図である。 本発明にかかるパワーモジュール用基板の製造方法を示す側面図である。
以下、本発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法の実施形態について説明する。図1に示すパワーモジュール100は、パワーモジュール用基板10と、パワーモジュール用基板10の表面に搭載された半導体チップ等の電子部品20と、パワーモジュール用基板10の裏面に接合されたヒートシンク30とから構成されている。
ヒートシンク30は、たとえばアルミニウム合金の押し出し成形により形成され、その長さ方向に沿って冷却水を流通させるための多数の流路30aが形成されている。
パワーモジュール用基板10は、セラミックス基板11の両面にそれぞれ回路層用金属板12および放熱層用金属板13が厚さ方向に積層され、Alよりも低融点のろう材(好ましくはAl−Si系ろう材)によって接合されてなる。各部材の厚さは、たとえばセラミックス基板11が0.635mm、回路層用金属板12が0.6mm、放熱層用金属板13が1.6mmに設定される。このパワーモジュール用基板10において、(回路層用金属板12の厚さ)/(放熱層用金属板24の厚さ)の比率は、0.04〜0.875である。
セラミックス基板11は、厚さ0.5mm以上1.0mm以下のAlN,Si,Al等からなる。
回路層用金属板12は、厚さ0.1mm以上1.1mm以下の純アルミニウム板(好ましくは4N−Al板)からなる。パワーモジュール100においては、回路層用金属板12はエッチング等により所定の回路パターン状に成形されており、その上に電子部品20がはんだ材等によって接合されている。
放熱層用金属板13は、回路層用金属板12よりも厚く、厚さ0.1mm以上5.0mm以下の純度99.0mass%以上の純アルミニウム板からなる。パワーモジュール100においては、この放熱層用金属板13の表面13aにヒートシンク30がろう付等によって接合されている。ヒートシンク30がろう付される放熱層用金属板の表面13aには、ヒートシンクとのろう付時にフラックスを接合面間から流出させるための微細な溝13bが複数形成されている。
すなわち、セラミックス基板11の両面にろう付される金属板12,13は、厚さも形状も異なっている。このような部材を積層状態にろう付してなるパワーモジュール用基板10は、従来はろう付の際に反りが発生しやすく、その後のヒートシンク30との接合が困難となる場合があった。
本実施形態に係るパワーモジュール用基板10の製造方法においては、まず、セラミックス基板11の両面にそれぞれろう材を介在させて、回路層用金属板12および放熱層用金属板13を積層して、基板積層体40を形成する(図2参照)。
図3に示すように、この基板積層体40を、比較的剛性の高いカーボン製板材からなる第1挟装体(カーボン板)41とクッション性を有する板状の第2挟装体(クッションシート)42との間に挟み、加熱しながら厚さ方向に加圧することにより、パワーモジュール用基板10を製造する。このとき、基板積層体40はカーボン板41とクッションシート42との間に挟まれていればよく、回路層用金属板12および放熱層用金属板13のいずれがカーボン板41,クッションシート42のいずれに当接していてもよい。なお、接合後のパワーモジュール用基板10は、回路層側を上に凸状に反りが生じる。そのため、放熱層用金属板13と第1挟装体41とが当接し、回路層用金属板12と第2挟装体42とが当接するよう積層することが望ましい。
さらに、本実施形態では、図3に示すように、図面の上方より回路層用金属板12、セラミックス基板11、放熱層用金属板13の順序で積層しているが、放熱層用金属板13と第1挟装体41とを当接させ、回路層用金属板12と第2挟装体42とを当接させるように、基板積層体40が交互に逆方向になるように積層されているのがより望ましい。
カーボン板41は、厚さ0.5mm以上5.0mm以下(本実施形態では3mm)の1枚の平坦なカーボン製板材からなる。また、クッションシート42は、厚さ0.2mm以上4.0mm以下(本実施形態では1mm)のグラファイトシート42aおよびこのグラファイトシート42aを挟んで積層された厚さ0.5mm以上5.0mm以下(本実施形態では1mm)の2枚のカーボン板42bからなる。
クッションシート42を構成するグラファイトシート42aは、たとえば、旭グラファイト株式会社製T−5(熱伝導率:75.4W/mk、弾性率:11.4GPa)や、東洋炭素工業株式会社製黒鉛シートPF(圧縮率47%、復元率14%)などを用いることができる。
図3に示すように、これらカーボン板41とクッションシート42とを交互に複数積層し、その間に基板積層体40を配置することにより、複数の基板積層体40を同時にろう付することができる。
以上説明した本発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法において、基板積層体40を挟む挟装体を以下のように変化させて接合し、得られたパワーモジュール用基板10の反り量、ろう染み面積率および接合欠陥率を比較する実験を行った。パワーモジュール用基板の反り量は、Mitsutoyo製QuickScope(3次元測定器)を用いて、放熱層用金属板13の表面を16点測定することにより測定した。
ろう染みの評価は、ろう染みの面積率によって行った。具体的には、Mitsutoyo製Quick Scopeを用いて、回路層の端部からの延びているろう染み幅の平均値を算出し、それに回路層の一辺の長さを掛けてろう染みの面積を算出した。次に、ろう染み面積率を(ろう染み面積)/(回路層全面積)から算出した。
また、接合欠陥率は、次のように算出した。まず、電子スキャン方式の超音波検査装置を用いて、回路層金属板とセラミックス基板との接合不良個所を検出する。反射率の関係から接合不良部分は白く見えるので、画像処理により二値化して、その接合不良部分の面積を測定する。そして、この(接合不良部分の面積)/(回路層全面積)から、接合欠陥率を算出した。
(実施例1)
28mm×28mm、厚さ0.6mmの回路層金属板12、26mm×26mm、厚さ1.6mm放熱層用金属板13および30mm×30mm、厚さ0.635mmのセラミックス基板11を準備し、回路層金属板12とセラミックス基板11との間およびセラミックス基板11と回路層金属板12との間に厚さ15μmのAl−7.5wt%Siのろう箔を介装させて積層した基板積層体40について、図3に示すようにカーボン板41とクッションシート42との間で5.0〜6.0kg/cm(0.49〜0.58MPa)の荷重を加えながら温度645℃で加熱してろう付けした。接合後のパワーモジュール用基板10における放熱層用金属板13の反り量、ろう染み面積率、および接合欠陥率の結果を表1に示す。
(比較例1)
一方、剛性の高いカーボン板41を用いずに、従来のようにクッションシート42間に基板積層体を配置した他は実施例1と同様の条件で基板積層体を加圧接合した。接合後のパワーモジュール用基板10における反り量、ろう染み面積率および接合欠陥率の結果を表1に示す。
(比較例2)
さらに、クッションシート42を用いずに、剛性の高いカーボン板41間に基板積層体を配置した他は実施例1と同様の条件で基板積層体を加圧接合した。接合後のパワーモジュール用基板10における反り量、ろう染み面積率および接合欠陥率の結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1記載の27組の基板積層体40を、厚さ3mmのカーボン製板材1枚からなるカーボン板41およびクッションシート42を交互に介在させて積層し、実施例1と同様の条件でろう付接合した。接合後のパワーモジュール用基板10の反り量、ろう染み面積率および接合欠陥率の算術平均値の結果を表1に示す。
(比較例3)
一方、カーボン製板材を用いずに、厚さ1mmのグラファイトシートの両面に厚さ1mmのカーボン板で挟んだクッションシート42を介在させて27組の基板積層体40を積層し、実施例1と同様の条件でろう付接合した。接合後のパワーモジュール用基板10の反り量、ろう染み面積率および接合欠陥率の算術平均値の結果を表1に示す。
(比較例4)
さらに、クッションシート42を用いずに、すべて厚さ3mmのカーボン板を介在させて27組の基板積層体40を積層し、実施例1と同様の条件でろう付接合した。接合後のパワーモジュール用基板10の反り量、ろう染み面積率および接合欠陥率の算術平均値の結果を表1に示す。
Figure 2013069767
この実験結果から、第1挟装体の剛性が高い方が、パワーモジュール用基板10の平面度がより良好である反面、基板積層体40の両面を剛性の高いカーボン板で挟むとろう染みや接合欠陥率などが増加することが確認できた。
以上の結果を鑑み、複数の基板積層体40を挟むカーボン板41およびクッションシート42の枚数割合を変化させたところ、クッションシート42の割合が多いほど平面度が低下する一方で接合欠陥率が低下した。反面、カーボン板41の割合が多いほど平面度が向上する一方で接合欠陥率が増加した。つまり、カーボン板41とクッションシート42との枚数割合の変化において、平面度と接合欠陥率とはトレードオフの関係にあり、平面度と接合欠陥率とを鑑みて良品を多く得られたのはカーボン板41およびクッションシート42の枚数割合を1:1とした場合、すなわちこれらを交互に配置した場合であった。
以上の実験結果から、剛性の高いカーボン板41がパワーモジュール用基板10の平面度向上に寄与し、一方でクッションシート42がパワーモジュール用基板10の接合欠陥率の低下に寄与していることが確認できた。
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、剛性の高いカーボン板とクッション性を有するクッションシートとの間で加圧しながら基板積層体をろう付するので、平面度が良好であり、確実に接合されたパワーモジュール用基板を得ることができる。
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。たとえば、上述の実験のように、厚さ3mmの1枚のカーボン板の代わりに、複数枚の薄いカーボン製板材を積層したものを第1挟装体として用いてもよい。
10 パワーモジュール用基板
11 セラミックス基板
12 回路層用金属板
13 放熱層用金属板
13a 表面
13b 溝
20 電子部品
30 ヒートシンク
30a 流路
40 基板積層体
41 第1挟装体(カーボン板)
42 第2挟装体(クッションシート)
42a グラファイトシート
42b カーボン板
100 パワーモジュール

Claims (3)

  1. セラミックス基板の両面に、それぞれろう材を介在させて回路層用金属板およびこの回路層用金属板よりも厚い放熱層用金属板を厚さ方向に積層してなる基板積層体を形成し、
    この基板積層体を、カーボン製板材からなる厚さ0.5mm以上5.0mm以下の第1挟装体と、厚さ0.2mm以上4.0mm以下のグラファイトシートおよびこのグラファイトシートを挟んで積層された厚さ0.5mm以上5.0mm以下の2枚のカーボン板からなる板状の第2挟装体との間に挟み、
    これらを加熱しながら積層方向に加圧することにより、前記基板積層体における前記セラミックス基板と各金属板とをろう付することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
  2. セラミックス基板の両面に、それぞれろう材を介在させて回路層用金属板およびこの回路層用金属板よりも厚い放熱層用金属板を厚さ方向に積層してなる基板積層体を形成し、
    この基板積層体を、カーボン製板材からなる厚さ0.5mm以上5.0mm以下の第1挟装体と、厚さ0.2mm以上4.0mm以下のグラファイトシートおよびこのグラファイトシートを挟んで積層された厚さ0.5mm以上5.0mm以下の2枚のカーボン板からなる板状の第2挟装体とを交互に介在させながら複数積層配置して、
    これらを加熱しながら積層方向に加圧することにより、各前記基板積層体における前記セラミックス基板と各金属板とをろう付することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
  3. 前記第1挟装体は、0.8mm以上3.0mm以下の厚さを有する1枚のカーボン板であることを特徴とする請求項1または2に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
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