JP2013069616A - 固体酸化物形燃料電池用インターコネクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体酸化物形燃料電池用インターコネクタは、インターコネクタ本体10の表面に、薄層状の酸化抑制コーティング層12を備える。酸化抑制コーティング層12は、少なくともランタン・ストロンチウム・マンガンを含むランタン酸化物系導電材料とガラス系の結合材とで構成されている。
【選択図】図1
Description
(1)鉄−クロム系合金で形成された耐熱合金(ZMG232L,日立金属株式会社)で形成された試験片(厚み:0.5ミリメートル)を用いた。この耐熱合金は、鉄およびクロムを主要成分とするフェライト系ステンレス鋼である。この耐熱合金は、燃料電池(SOFC)の作動温度での良好な導電性、作動温度での長時間にわたる良好な耐酸化性、電解質膜(ジルコニア系セラミックス)に近い低熱膨張係数を有する。前処理として、試験片の表面における油分を洗浄した。
酸化抑制コーティング層における結合材として、バリウム酸化物(BaO)−ホウ素酸化物(B2O3)−シリコン酸化物(SiO2)系のガラス材料(粒子状)を用いた。このガラス材料の基本組成は、質量比で、BaOが54.7%、B2O3が19.1%、SiO2が19.1%、Al2O3が4.9%である(ICP分析)。この結合材は銀を含んでいない。更に、熱膨張係数(50〜350℃)は88〜89[×10−7/℃]、DTA転移点は614〜618℃であり、DTA軟化点は718〜723℃であり、中心粒径(D50)で1.2〜1.3μmであった。
実施例2は、実施例1と基本的には同様の手順、同様の配合でインターコネクタの試験片を形成した。但し、ランタン系酸化物導電材料(La0.8Sr0.2MnO3)と、ガラス系の結合材とを常温において比質量比で86:14で調合して混合させた。この場合、酸化抑制コーティング層12を100%とするとき、質量比で、ガラス材料は14.08%に相当する。酸化抑制コーティング層12の厚みtについて、電子顕微鏡で測定したところ、部位によって相違するが、一般的には3〜10μm程度であった。なお、酸化抑制コーティング層の厚みは3〜10μmの範囲に限られるものではない。
比較例として、酸化抑制コーティング層を形成していない耐熱合金(ZMG232L,日立金属株式会社,厚み:0.5ミリメートル)を、比較例に係る試験片とした。
各試験片について、4端子法(JISR1661に準拠)に基づいて、試験片の電気抵抗を測定した。酸化評価は大気雰囲気において800℃において500時間加熱保持した。但し、酸化抑制コーティング層12が被覆されていない比較例については、耐酸化性が劣ると予想されるため、100時間とした。試験結果を表1に示す。表1に示すように、電気抵抗の増加量(%)については、酸化抑制コーティング層12が積層されている実施例1,2は10%以下と極めて良好であり、酸化抑制コーティング層12が積層されていない比較例は58.0%であり、極めて悪かった。具体的には、酸化抑制コーティング層12が被覆されている実施例1,2の電気抵抗の増加量については、酸化抑制コーティング層12におけるガラス材料が占める割合が少ない実施例1は9.6%であり、酸化抑制コーティング層12におけるガラス材料が占める割合が多い実施例2は3.2%であった。
長期酸化試験として、同種の試験片を大気雰囲気において800℃で100時間曝露させて試験片を酸化させた。その後、試験片に生成された酸化皮膜の厚みを走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した。酸化皮膜は、主として、耐熱合金と酸化抑制コーティング層との間に生成される。この試験結果を表2に示す。表2に示すように、酸化抑制コーティング層12が形成されていない比較例では、生成された酸化皮膜の厚みは1.5μm程度であった。酸化抑制コーティング層12が形成されている実施例1では酸化皮膜の厚みは0.3μm程度であり、比較例に比較して20%程度の厚み(0.3/1.5=0.2)に低下していた。このように酸化抑制コーティング層12は薄層であっても、インターコネクタの耐酸化性を飛躍的に増加させることがわかった。
図3および図4は適用例1に係り、円筒縦縞型燃料電池(SOFC)の概念を示す。この燃料電池は、電解質膜101を厚み方向に挟むカソード102およびアノード103からなるセル100と、セル100同士を繋ぐインターコネクタ300とを備えている。図5および図6は適用例2に係り、円筒横縞型燃料電池(SOFC)の概念を示す。このものによれば、基体管200の上に、電解質膜101を厚み方向に挟むアノード103およびカソード102からなるセル100が設けられている。セル100同士はインターコネクタ300で繋がれている。図7は適用例3に係り、平板自立膜形燃料電池(SOFC)を示す。この燃料電池は、電解質膜101を厚み方向に挟むカソード102およびアノード103からなるセル100と、セル100を挟むインターコネクタ300とを備えている。固体酸化物形燃料電池は上記した構造に限定されるものではない。
本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。本明細書から次の技術的思想が把握される。
Claims (5)
- 電解質膜をアノードおよびカソードを挟んだセルを隣接する前記セルと電気的につなぐ固体酸化物形燃料電池用インターコネクタであって、
金属製のインターコネクタ本体の表面に、少なくともランタン・ストロンチウム・マンガンを含むランタン酸化物系導電材料とガラス系の結合材とで構成される薄層状の酸化抑制コーティング層を具備する固体酸化物形燃料電池用インターコネクタ。 - 請求項1において、前記酸化抑制コーティング層を100%とするとき、質量比で、前記ランタン酸化物系導電材料は40〜97%、ガラス系の結合材は3〜60%である固体酸化物形燃料電池用インターコネクタ。
- 請求項1または2において、前記ランタン酸化物系導電材料を形成する酸化物は、LaXSr1−XMnOy(x=0.1〜1,y=3〜3.1)の組成式を有する固体酸化物形燃料電池用インターコネクタ。
- 請求項1〜3のうちの一項において、前記結合材は、バリウム酸化物(BaO)−ホウ素酸化物(B2O3)−シリコン酸化物(SiO2)系である固体酸化物形燃料電池用インターコネクタ。
- 請求項1〜4のうちの一項において、前記インターコネクタ本体を構成する耐熱合金は、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金のうちの少なくとも1種で形成されている固体酸化物形燃料電池用インターコネクタ。
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