JP2013060929A - 車両用ファン装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンを冷却するためのファンを駆動することによって得られる制動力を増大させた車両用ファン装置を提供する。
【解決手段】エンジン11の出力軸11aにファンクラッチ13を介して連結されて、エンジン11へ向かう空気流を形成するファン14と、車両に搭載された補助ブレーキが作動状態にあるときに、ファン14が出力軸11aに連結され続けるようにファンクラッチ13を制御する制御装置20と、を備え、さらにエンジン11に対するファン14の反対側に該エンジン11を覆うように配置される開閉機構16を備える。開閉機構16は、ファン14が形成する空気流15の通過を許容する開状態と、ファン14が形成する空気流15の通過を遮断する閉状態とに制御装置20によって切り替えられ、制御装置20は、補助ブレーキが作動状態にあるときに開閉機構16を閉状態に制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載されたエンジンの出力軸にファンクラッチを介して連結されたファンを備える車両用ファン装置であって、特に、車両に搭載された補助ブレーキが作動している期間に、エンジンの出力軸とファンとが連結され続ける車両用ファン装置に関する。
従来から、車両用のエンジンには、一般に、エンジンを冷却する冷却液の冷却効率を高めるため、エンジンの出力軸にファンクラッチを介してファンが連結されている。こうしたファンでは、通常、冷却液の冷却が不要なときにまでファンが作動すると、エンジンへの負荷が増大するばかりか、冷却液の温度が過度に低下して燃費の向上が妨げられることとなる。そのため、ファンの駆動される態様としては、冷却液の温度等に基づいて該冷却液の冷却が必要なときにだけ駆動されることが望ましい。
そこで、特許文献1には、ファンクラッチの制御方法として、冷却液の温度等に基づいて該冷却液の冷却が必要なときにだけファンが駆動される方法が提案されている。また、特許文献2には、ファンクラッチの制御方法として、冷却液の冷却が必要なときにだけファンが駆動されることに加えて、ファンが駆動されることによってエンジンへの負荷が増大することを利用して、排気ブレーキやリターダ等の補助ブレーキが作動している期間に出力軸とファンとが連結され続ける方法が提案されている。
特開2005−3131号公報 特開2006−322384号公報
ところで、上記排気ブレーキでは、通常、排気配管に配設された排気絞り弁の開度が小さくなることで制動力が得られているため、排気量の大きいエンジンほど大きな制動力が得られることになる。しかし、近年では、排気が環境に与える影響を低減すべく、車両に搭載されるエンジンの排気量が小さくなる傾向にあるため、上記排気ブレーキによって得られる制動力も小さくなりつつある。
一方、上記リターダには、プロペラシャフトに接続された回転体に流体による回転抵抗が与えられることによって制動力が得られる流体式と、該回転体に生じた渦電流の電磁力による回転抵抗が与えられることによって制動力が得られる電磁式とが知られている。こうしたリターダでは、制動力を得るうえで発熱がともなうため、該リターダによって得られる制動力が大きくなるほどその発熱量も大きくなる。そのため、リターダの温度が所定の温度を超えると、発熱量を抑えるために制動力が抑えられるという保護機能がリターダには備わっている。
このように、排気ブレーキやリターダ等の補助ブレーキによる制動力に限りがあるため、上記ファンの駆動によって得られる制動力が大きくなる方策が強く望まれている。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジンを冷却するためのファンを駆動することによって得られる制動力を増大させた車両用ファン装置を提供することにある。
本発明の態様の一つは、車両に搭載されたエンジンの出力軸に電子制御式のファンクラッチを介して連結されて前記エンジンに向けて空気流を送るファンと、前記エンジンに対する前記ファンの反対側にて、前記空気流の通過を許容する開状態と、前記空気流の通過を遮断する閉状態とを有する開閉機構と、前記車両に搭載された補助ブレーキが作動状態にあるときに、前記ファンを駆動するとともに前記開閉機構を前記閉状態にする制御部とを有する車両用ファン装置である。
本発明の態様の一つによれば、エンジンに対するファンの反対側には、空気流の通過を許容あるいは遮断する開閉機構が配設されており、補助ブレーキが作動状態にあるときには該開閉機構が閉状態に制御される。そのため、ファンの回転によって形成された空気流がエンジン周辺から流出しにくくなり、該ファンの背圧が高められて該ファンが回転しにくくなる。それゆえに、ファンを回転させるために必要となるトルクが増大することから、上記開閉機構を有していない車両用ファン装置に比べて、ファンを回転させることによって得られる制動力を増大させることができる。
本発明の態様の一つにおいて、前記制御部は、前記車両のアクセル開度を検出するアクセル開度検出部から入力される検出信号と、前記補助ブレーキを作動状態と非作動状態とに切り替える切替部から入力される切替信号とに基づいて、前記アクセル開度が0であり、且つ前記補助ブレーキが作動状態であることを条件として、前記開閉機構を閉状態にする。
本発明の態様の一つのように、制御部は、アクセル開度検出部及び切替部からの検出信号に基づいて、アクセル開度が0であり、且つ補助ブレーキが作動可能状態にあることを条件として、開閉機構を閉状態に制御することができる。
本発明の態様の一つにおいて、前記制御部は、前記エンジンを冷却する冷却液の温度を検出する温度検出部から入力される検出信号に基づいて、前記冷却液の温度が前記エンジンの冷却を優先すべき閾値を超える場合には、前記開閉機構を前記開状態にする。
本発明の態様の一つによれば、たとえアクセル開度が0であり、且つ補助ブレーキが作動可能状態にあったとしても、冷却液の温度がエンジンの冷却を優先すべき閾値を超える場合には、開閉機構が開状態に制御される。それゆえに、アクセル開度が0であり、且つ補助ブレーキが作動可能状態にあるときに開閉機構が閉状態にのみ制御される場合に比べて、冷却液の温度が過度に上昇することを抑えることができる。
本発明の態様の一つにおいて、前記制御部は、前記車両の運転状態を推定する運転状態推定部と、前記エンジンを冷却する冷却液の温度と前記ファンの駆動量とが対応付けられた制御マップを前記運転状態ごとに記憶する記憶部と、前記運転状態推定部の推定した前記運転状態に対応する前記制御マップと前記冷却液の温度とから前記ファンの回転速度を演算する回転速度演算部とを備え、前記運転状態推定部は、前記補助ブレーキが作動状態にあるときに、前記車両の運転状態を制動状態と推定し、前記制動状態に対応する前記制御マップには、前記出力軸と前記ファンとを連結し続けることを示す駆動量が対応付けられている。
本発明の一態様によれば、記憶部には、車両の運転状態に対応付けられた制御マップが記憶されており、運転状態推定部によって推定された運転状態に対応する制御マップに基づいてファンの回転速度が設定される。そのため、車両の運転状態が、補助ブレーキが作動状態にある制動状態とは異なる運転状態であっても、その時々における車両の運転状態に応じた回転速度でファンを回転させることができる。
本発明の態様の一つにおいて、前記運転状態推定部は、前記制動状態の他、前記冷却液における温度の上昇が相対的に大きい運転状態である高負荷状態、前記冷却液における温度の上昇が相対的に小さい運転状態である通常状態、前記車両が発進して加速している運転状態である発進・加速状態のうちのいずれか1つに推定するものであり、前記記憶部には、前記高負荷状態に対応する前記制御マップである高負荷マップと、前記通常状態に対応する前記制御マップである通常マップと、前記発進・加速状態に対応する前記制御マップである発進・加速マップとがさらに記憶されており、前記高負荷マップには、前記冷却液の温度が前記閾値よりも低い第1設定温度以上の範囲で前記ファンの駆動量が対応付けられており、前記通常マップには、前記冷却液の温度が前記第1設定温度よりも高く、且つ前記閾値よりも低い第2設定温度以上の範囲で前記ファンの駆動量が対応付けられており、前記発進・加速マップには、前記冷却液の温度の全範囲で、前記ファンの停止、若しくは、前記高負荷マップ及び前記通常マップにおいて同じ温度に対応付けられている駆動量以下の駆動量が対応付けられている。
本発明の態様の一つによれば、制動状態とは異なる車両の運転状態ごとの制御マップと冷却液の温度とからファンの回転速度が設定される。その結果、制動状態とは異なる運転状態において、冷却液の温度の上昇に見合った回転速度でファンを回転することが可能である。しかも、開閉機構が開状態にあるため、エンジン周辺の空気の流れも円滑なものとなる。そのため、制動状態とは異なる運転状態において、エンジンの冷却に必要とされる回転速度以上の回転速度でファンが駆動される場合に比べて、ファンの駆動にともなうエンジン出力の損失を抑えること、ひいてはエンジンの温度を所定の範囲内に保ちつつ燃費の向上を図ることが可能となる。また、冷却液が高温に維持されると共に、エンジンオイルも高温に維持されやすくなることから、エンジンフリクションによるエンジン出力の損失を抑えることが可能にもなる。
また、発進・加速状態は、通常、低速高負荷状態にあるため、単に負荷状態に応じて運転状態が推定されるとなれば、このような発進・加速状態に対しても、高負荷状態と同様の制御マップが利用されることになる。この点、上述した態様であれば、発進・加速状態と高負荷状態に対して各別の制御マップが利用されることになる。それゆえに、上述した効果がより顕著なものとなる。また、発進・加速状態は、エンジンの出力が特に必要とされる運転状態でもある。この点、上述した態様によれば、こうした発進・加速状態では、ファンの回転が停止若しくは抑えられているため、燃費の向上が図られることに加え、ファンの駆動にともなうエンジン出力の損失が低減されることから、車両の加速性能が低下することを抑えることが可能でもある。
本発明の一実施形態における車両用ファン装置の概略構成をエンジンとともに示す概略構成図であって、開閉機構が開状態にある状態を示す図。 同実施形態の車両用ファン装置が実行する駆動処理の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において、開閉機構が閉状態にあるときにおけるエンジン周辺の空気の流れを模式的に示す図。
以下、本発明の車両用ファン装置を具体化した一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
[車両用ファン装置の構成]
図1に示されるように、エンジン11は、車両に設けられたエンジンコンパートメント5に配置されている。エンジンコンパートメント5は、通常、運転席を有するキャビンやボンネットの下方に配置されており、エンジン11の振動にともなう騒音を低減すべく、車両の進行方向に対する側方が閉じられた空間となっている。また、車両には、排気ブレーキやリターダ等の図示されない補助ブレーキが搭載されている。この補助ブレーキは、運転者がアクセルを踏んでおらず、且つ後述する補助ブレーキを作動可能状態にするスイッチ37がON状態にあるときに作動するようになっている。
エンジン11と該エンジン11の前方に配置されたラジエーター12との間には、電子制御式のファンクラッチ13を介してエンジン11の出力軸11aに接続されたファン14が配設されている。ファンクラッチ13の接続と切断とは、ファン制御装置20(以下、単に制御装置20という)によってPWM制御(Pulse Width Modulation:パルス幅変調制御)される。そして、ファン14とエンジン11の出力軸11aとが接続されている間、出力軸11aの回転力がファン14に伝達されて出力軸11aとともにファン14が回転する。そして、ファン14の回転によって形成される空気流15は、エンジン11の周辺を通って該ファン14の反対側であるエンジン11の後方へと流れ込む。
エンジン11の後方には、該エンジン11におけるファン14の反対側を覆うように開閉機構16が配設されている。開閉機構16は、例えば、矩形状の筐体に対し、複数の板状の遮蔽部材17が図1の紙面に対する鉛直方向を軸として回転可能に支持されている。そして、開閉機構16は、図1に示す開状態においては、ファン14によって形成された空気流15の通過を許容する回転位置に上記遮蔽部材17が配置されて、該空気流15がエンジン11の後方から流出しやすくする。一方、開閉機構16は、閉状態においては、ファン14によって形成された空気流15の通過が遮断される回転位置に上記遮蔽部材17が配置されて、該空気流15がエンジン11の後方から流出しにくくする。開閉機構16の開閉動作は、制御装置20によって制御される。なお、車両用ファン装置は、ファンクラッチ13、ファン14、開閉機構16、制御装置20によって構成されている。
制御装置20は、図示されないCPU、各種制御プログラムや各種データが格納されたROM、各種データが一時的に格納されるRAM等によって構成され、ROMに格納された各種制御プログラムに基づいて各種処理を実行する。
制御装置20の入力部21には、エンジン冷却液の現在の温度T(以下、冷却液温度Tという)を示す検出信号が温度検出部としての温度検出センサー31から入力され、また、燃料噴射量Qを示す検出信号が燃料噴射量センサー32から所定の制御周期で入力される。また、入力部21には、アクセル開度Acを示す検出信号がアクセル開度検出部としてのアクセル開度センサー33から入力され、また、エンジン11が搭載された車両の車速vを示す検出信号が車速センサー34から入力され、さらにまたエンジン回転速度Neを示す検出信号がエンジン回転速度センサー35から所定の制御周期で入力される。
また、入力部21には、車両の運転者によって操作される切替部としての補助ブレーキスイッチ37(以下、単にスイッチ37とよぶ)からの検出信号が所定の制御周期で入力される。スイッチ37は、車両に搭載された補助ブレーキを作動可能状態あるいは非作動状態に切り替えるスイッチである。スイッチ37は、ON状態に操作されることによって補助ブレーキを作動可能状態にするとともに補助ブレーキが作動可能状態であることを示す検出信号を出力する。また、スイッチ37は、OFF状態に操作されることによって補助ブレーキを非作動状態にするとともに、補助ブレーキが非作動状態であることを示す検出信号を出力する。
制御装置20の主制御部22は、運転状態推定部を構成するとともに、入力部21に入力された冷却液温度T、燃料噴射量Q、アクセル開度Ac、車速v、エンジン回転速度Ne、スイッチ37からの検出信号、これら6つの情報に基づいて、車両の運転状態を推定したうえでファン14の回転速度を制御するとともに、開閉機構16の開閉動作を制御するファン駆動処理を実行する。なお、主制御部22は、車両の運転状態が下記4つの運転状態のいずれであるかを推定する。
・冷却液の温度上昇が相対的に小さい運転状態である通常状態
・冷却液の温度上昇が相対的に大きい運転状態である高負荷状態
・発進あるいは加速している運転状態である発進・加速状態
・補助ブレーキが作動状態にある運転状態である制動状態
制御装置20の記憶部23には、ファン14の回転速度であるファン回転速度FSのエンジン回転速度Neに対する比率である駆動比率Rと、冷却液温度Tとを関連付けた制御マップが、上述した3つの運転状態の各々に対して各別に記憶されている。すなわち、記憶部23には、通常状態に対応する通常マップ24a、高負荷状態に対応する高負荷マップ24b、及び発進・加速状態に対応する発進・加速マップ24c、制動状態に対応する制動マップ24dが記憶されている。制御マップに設定された駆動比率Rは、エンジン冷却液が目標温度になる際のファン14のファン回転速度FSに基づく値であって、各種の実験結果やシミュレーション結果に基づいて上述した運転状態と冷却液温度Tごとに規定された値である。
通常マップ24aでは、冷却液温度Tが増えるに連れて駆動比率Rが段階的に増えるように、互いに異なる6つの駆動比率Rが、下記6つの温度範囲の各々に対して設定されている。
・冷却液温度Tが第2設定温度である90℃未満:駆動比率R=0.0%
・冷却液温度Tが90℃以上92℃未満:駆動比率R=32.5%
・冷却液温度Tが92℃以上94℃未満:駆動比率R=45.0%
・冷却液温度Tが94℃以上95℃未満:駆動比率R=60.0%
・冷却液温度Tが95℃以上96℃未満:駆動比率R=90.0%
・冷却液温度Tが96℃以上:駆動比率R=100%
高負荷マップ24bでは、これもまた冷却液温度Tが増えるに連れて駆動比率Rが段階的に増えるように、互いに異なる5つの駆動比率Rが、下記5つの温度範囲の各々に対して設定されている。また、高負荷マップ24bでは、駆動比率Rが0.0%よりも大きくなる冷却液温度Tが、通常マップ24aと比べて低く、同じ冷却液温度Tにて、通常マップ24aと同じ駆動比率R、あるいは通常マップ24aよりも高い駆動比率Rが設定されている。
・冷却液温度Tが第1設定温度T1である89℃未満:駆動比率R=0.0%
・冷却液温度Tが89℃以上91℃未満:駆動比率R=35.0%
・冷却液温度Tが91℃以上93℃未満:駆動比率R=50.0%
・冷却液温度Tが93℃以上95℃未満:駆動比率R=60.0%
・冷却液温度Tが95℃以上96℃未満:駆動比率R=90.0%
・冷却液温度Tが96℃以上:駆動比率R=100%
また、発進・加速マップ24cでは、冷却液温度Tに関わらず、駆動比率Rが0.0%に設定されており、また、制動マップ24dでは、冷却液温度Tに関わらず、駆動比率が100%に設定されている。
制御装置20の主制御部22は、駆動量選択部として、運転状態推定処理にて選択した運転状態の制御マップと冷却液温度Tとに基づいて駆動比率Rを選択する。そして、主制御部22は、回転速度演算部として、該主制御部22の選択した駆動比率Rとエンジン回転速度Neとに基づいて、ファン回転速度FSの目標値である目標回転速度TFSを算出し、該算出した目標回転速度TFSをPWM制御部25に出力する。
PWM制御部25には、上記目標回転速度TFSの他、ファン14の現在の回転速度を示す検出信号がファン回転速度検出センサー36から所定の制御周期で入力される。PWM制御部25は、ファン14の現在の回転速度と目標回転速度TFSとに基づくフィードバック制御によりデューティ比を演算し、該演算したデューティ比に基づく駆動信号をファンクラッチ13に出力する。
また、制御装置20の主制御部22は、開閉機構制御部として、開閉機構16に対して駆動信号を出力して該開閉機構16の開閉動作を制御する。主制御部22は、下記に示す条件が満たされたときに開閉機構16に対して閉状態を示す駆動信号を出力する一方、下記に示す条件が満たされないときには開閉機構16に対して開状態を示す駆動信号を出力する。
・車両の運転状態が制動状態に推定され、且つ冷却液温度Tが該冷却液の冷却を優先すべき閾値T4以下、例えば93℃以下であること。
[ファン制御装置の作用]
次に、制御装置20が実行するファン駆動処理の処理手順について図2を参照して説明する。なお、ファン駆動処理は、運転状態が上述した4つの運転状態のいずれであるかを推定したうえでファン14の回転速度を制御するとともに、開閉機構16の開閉動作を制御する処理であって、所定の制御周期ごとに繰り返して実行される。
まず、主制御部22は、アクセル開度Acが0であるか否かを判断する(ステップS11)。アクセル開度Acが0であると判断された場合(ステップS11:YES)、主制御部22は、スイッチ37がON状態であるか否か、すなわち補助ブレーキが作動可能状態であるか否かを判断する(ステップS12)。
スイッチ37がON状態であると判断された場合(ステップS12:YES)、主制御部22は、車両の運転状態が制動状態にあるものと推定して、ファン14の回転速度を制御する制御マップとして制動マップ24dを選択し、該制動マップ24dに基づいてファン14を回転させる(ステップS13)。
すなわち、主制御部22は、アクセル開度が0であり、且つスイッチ37がON状態にあるいときに、ファン14とエンジン11の出力軸11aとを連結し続ける。
続いて主制御部22は、冷却液温度Tと冷却液の冷却を優先すべき冷却液の温度である閾値T4とを比較し、冷却液温度Tが閾値T4以下であるか否かを判断する(ステップS14)。
冷却液温度Tが閾値T4以下であった場合(ステップS14:YES)、主制御部22は、開閉機構16に対して閉状態を示す駆動信号を出力し、該開閉機構16を閉状態に制御して(ステップS15)一連の処理を終了する。
一方、冷却液温度Tが閾値T4を超えていた場合(ステップS14:NO)、主制御部22は、冷却液の冷却を優先すべきと判断し、開閉機構16に対して開状態を示す駆動信号を出力し、該開閉機構16を開状態に制御して(ステップS16)一連の処理を終了する。
すなわち、主制御部22は、車両の運転状態が制動状態にあるものと推定され、且つ冷却液温度Tが閾値T4以下であるときに、ファン14と出力軸11aとを連結し続けるとともに開閉機構16を閉状態にする。
他方、ステップS11においてアクセル開度が0より大きいと判断された場合(ステップS11:NO)、ステップS12においてスイッチ37がOFF状態であると判断された場合(ステップS12:NO)、主制御部22は、開閉機構16を開状態に制御したのち(ステップS17)、ステップS18の処理を実行する。
ステップS18において、主制御部22は、予め設定された第1設定車速v1、例えば20km/hと車速vとを比較し、車速vが第1設定車速v1以上であるか否かを判断する。車速vが第1設定車速v1未満であると判断された場合(ステップS18:NO)、主制御部22は、予め設定された第1設定開度Ac1、例えば10%とアクセル開度Acとを比較し、アクセル開度Acが第1設定開度Ac1以上であるか否かを判断する(ステップS19)。
アクセル開度Acが第1設定開度Ac1以上であると判断された場合(ステップS19:YES)、主制御部22は、予め設定された第3設定温度T3、例えば93℃と冷却液温度Tとを比較し、冷却液温度Tが第3設定温度T3以下であるか否かを判断する(ステップS20)。そして、冷却液温度Tが第3設定温度T3以下であると判断された場合(ステップS20:YES)、主制御部22は、車両の運転状態が発進・加速状態であると推定(ステップS21)して一連の処理を終了する。
一方、車速vが第1設定車速v1以上であると判断された場合(ステップS18:YES)、また、ステップS19においてアクセル開度Acが第1設定開度Ac1未満であると判断された場合(ステップS19:NO)、主制御部22は、ステップS22の処理を進める。すなわち、主制御部22は、予め設定された設定回転速度Ne1、例えば1300rpmとエンジン回転速度Neとを比較し、エンジン回転速度Neが設定回転速度Ne1以下であるか否かを判断する。
エンジン回転速度Neが設定回転速度Ne1よりも大きいと判断された場合(ステップS22:NO)、主制御部22は、上記第1設定車速v1よりも大きく予め設定された第2設定車速v2、例えば50km/hと車速vとを比較し、車速vが第2設定車速v2以下であるか否かを判断する(ステップS23)。車速vが第2設定車速v2以下であると判断された場合(ステップS23:YES)、主制御部22は、予め設定された第2設定開度Ac2、例えば70%とアクセル開度Acとを比較し、アクセル開度Acが第2設定開度Ac2以下であるか否かを判断する(ステップS24)。そして、アクセル開度Acが第2設定開度Ac2以下であると判断された場合(ステップS24:YES)、主制御部22は、ステップS20の処理を進める。
他方、エンジン回転速度Neが設定回転速度Ne1以下であると判断された場合(ステップS22:YES)、また、ステップS23において車速vが第2設定車速v2よりも大きいと判断された場合(ステップS23:NO)、主制御部22は、ステップS25の処理を進める。また、ステップS24においてアクセル開度Acが第2設定開度Ac2よりも大きいと判断された場合、また、ステップS20において冷却液温度Tが第3設定温度T3よりも大きいと判断された場合にも(ステップS20:NO)、主制御部22は、ステップS25の処理を進める。
ステップS25にて、主制御部22は、予め設定された設定噴射量Q1、例えば10cc/secと燃料噴射量Qとを比較し、燃料噴射量Qが設定噴射量Q1以上である状態が一定期間FP、例えば10sec以上継続しているか否かを判断する。設定噴射量Q1以上である状態が一定期間FP継続していると判断された場合(ステップS25:YES)、主制御部22は、車速vと第1設定車速v1とを比較し、車速vが第1設定車速v1以上であるか否かを判断する(ステップS26)。
車速vが第1設定車速v1以上であると判断された場合(ステップS26:YES)、主制御部22は、第3設定温度T3よりも小さく予め設定された第2設定温度T2、例えば89℃と冷却液温度Tとを比較し、冷却液温度Tが第2設定温度T2以上であるか否かを判断する(ステップS27)。そして、冷却液温度Tが第2設定温度T2以上であると判断された場合(ステップS27:YES)、主制御部22は、車両の運転状態を高負荷状態と推定(ステップS28)して一連の処理を終了する。
一方、設定噴射量Q1以上である状態が一定期間FP継続していないと判断された場合(ステップS25:NO)、また、ステップS26にて車速vが第1設定車速v1未満であると判断された場合(ステップS26:NO)、主制御部22は、ステップS29の処理を進める。ステップS29にて主制御部22は、一定期間FPにおける冷却液温度Tの上昇幅ΔTが予め設定された設定上昇幅ΔT1、例えば2℃以上であるか否かを判断する。
上昇幅ΔTが設定上昇幅ΔT1以上であると判断された場合(ステップS29:YES)、主制御部22は、ステップS27の処理を進める。そして、温度上昇幅ΔTが設定上昇幅ΔT1未満であると判断された場合(ステップS29:NO)、また、ステップS27において冷却液温度Tが第1設定温度T1未満であった場合(ステップS27:NO)、主制御部22は、車両の運転状態を通常状態と推定して一連の処理を終了する(ステップS30)。
上述したように制御装置20は、冷却液温度T、燃料噴射量Q、アクセル開度Ac、車速v、エンジン回転速度Ne、補助ブレーキが作動可能状態であるか否か、これら65つの情報に基づいて、エンジン11を搭載した車両の運転状態を推定する。そして、制御装置20は、アクセル開度が0であり、且つスイッチ37がON状態にあるとき、車両の運転状態が制動状態にあるものと推定し、制動マップ24dに基づいてファン14と出力軸11aとを連結し続ける。そして、冷却液温度Tが閾値T4以下であるとき、開閉機構16を閉状態に制御する。
図3に示されるように、開閉機構16を閉状態にすると、ファン14の回転によって形成された空気流15は、エンジン11の後方から流出しにくくなるため、その一部がエンジン11周辺に滞留してファン14の背圧が高められることとなる。その結果、ファン14を回転させるために必要なトルクが増大することから、開閉機構16を有していない場合に比べて、ファン14を回転させることによって得られる制動力を増大させることができる。
また、制御装置20は、推定された運転状態に関連付けられた制御マップと上記冷却液温度Tとに基づいて駆動比率Rを決定する。制御装置20は、決定された駆動比率Rと上記エンジン回転速度Neとに基づいて、ファン14の目標回転速度TFSを算出する。そして、制御装置20は、算出された目標回転速度TFSとファン14の現在の回転速度とに基づくフィードバック制御によりファン回転速度FSを制御する。これにより、ファン14は、車両の運転状態及び冷却液温度Tに応じた回転速度で駆動される。
以上説明したように、本実施形態の車両用ファン装置によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)エンジン11に対するファン14の反対側には空気流15の通過を許容あるいは遮断する開閉機構16が配設されており、補助ブレーキが作動状態にあるときには該開閉機構16が閉状態に制御される。そのため、ファン14の回転によって形成された空気流15がエンジン11の周辺から流出しにくくなり、該ファン14の背圧が高められて該ファン14が回転しにくくなる。それゆえに、ファン14を回転させるために必要となるトルクが増大しエンジン11への負荷が増大することから、上記開閉機構16を有していない車両用ファン装置に場合に比べて、ファン14を回転させることによって得られる制動力を増大させることができる。
(2)車両の運転状態が制動状態と推定されるとき、開閉機構16は、冷却液温度Tが閾値T4以下である場合には閉状態に制御され、冷却液温度Tが閾値T4を超えている場合には開状態に制御される。開閉機構16が閉状態にあるとき、ファン14の背圧が高められることで該ファン14の風量、すなわちラジエーター12を通過する空気量が減少されるため冷却液の冷却効率が低下する。そのため、冷却液温度Tが閾値T4を超えている場合に開閉機構16を閉状態にするとなれば、冷却液温度Tが過度に上昇してしまう虞がある。
この点、上述した態様であれば、冷却液温度Tが閾値T4を超えている状態、すなわちエンジンの冷却を優先すべき状態にあるときには、開閉機構16が開状態に制御される。その結果、車両の運転状態が制動状態と推定されたときに開閉機構16が常時閉状態に制御される場合に比べて、冷却液温度Tが過度に上昇することを抑えることができる。
(3)車両の運転状態ごとの制御マップと冷却液温度Tとからファン14のファン回転速度FSが設定される。その結果、エンジン冷却液の温度の上昇に見合った回転速度でファン14を回転することが可能である。そのため、エンジン11の冷却に必要とされる回転速度以上の回転速度でファンが駆動される場合に比べて、ファン14の駆動にともなうエンジン出力の損失を抑えること、ひいてはエンジン11の温度を所定の範囲内に保ちつつ燃費の向上を図ることが可能となる。
(4)しかも、エンジン11の冷却に必要とされる回転速度以上の回転速度でファン14が駆動される場合に比べて、冷却液温度Tが高温に維持されやすくなると共に、エンジンオイルも高温に維持されやすくなることから、エンジンフリクションによるエンジン出力の損失も抑えることができる。
(5)また、車両が発進して加速している発進・加速状態では、冷却液温度Tが他の運転状態と比べて、十分に低い場合が少なくない。一方、このような発進・加速状態とは、通常、低速高負荷状態にあるため、単に負荷状態に応じて運転状態が推定されるとなれば、このような発進・加速状態に対しても、高負荷状態と同様の制御マップが利用されることになる。この点、上述した実施形態であれば、発進・加速状態と高負荷状態に対して各別の制御マップが利用されることになる。それゆえに、上述した(3)(4)に記載した効果がより顕著なものとなる。
(6)各運転状態に応じた制御マップが予め記憶されていることから、たとえ冷却液温度Tが同じであっても、通常状態、高負荷状態、発進・加速状態、制動状態に応じたファン回転速度FSでファン14を回転させることができる。
(7)通常マップ24aと高負荷マップ24bとを比較すると、高負荷マップ24bでは、より低い温度でファン14が駆動されるとともに、同じ温度であっても通常マップ24aにおける駆動比率R以上の駆動比率Rが設定されている。こうした構成によれば、高負荷状態におけるエンジン11の冷却と通常状態における燃費の向上とを、より高い確率で実現することが可能である。
(8)車両が発進して加速している運転状態では、冷却液温度Tが他の運転状態と比べて、十分に低い場合が少なくなく、また、エンジンの出力が特に必要とされる運転状態でもある。この点、上述したように、発進・加速状態では、ファン14が停止されているため、燃費の向上が図られることに加え、車両の加速性能が低下することを抑えることが可能でもある。
(9)しかも、冷却液温度Tが第3設定温度T3より大きな場合(ステップS20:NO)には、たとえ車両が加速中であっても、発進・加速状態を選択しない。そのため、発進・加速時におけるファン14の停止によりエンジン冷却液が過度に上昇することを抑えつつ、車両の加速性能が低下することを抑えることができる。
(10)設定噴射量Q1以上である状態が一定期間FP継続する場合、あるいは一定期間FPにおける冷却液温度Tの上昇幅ΔTが設定上昇幅ΔT1以上である場合に、該運転状態が高負荷状態と推定される。こうした条件を設定することにより、制御マップが頻繁に切り替わることを抑えることが可能である。
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・発進・加速マップには、高負荷マップ及び前記通常マップにおいて同じ冷却液温度Tに対応付けられている駆動比率R以下の駆動比率Rが対応付けられていてもよい。すなわち、上記運転状態推定処理にて運転状態が発進・加速状態であると推定された場合に、ファン14の回転が高負荷状態及び通常状態よりも抑えられる構成であってもよい。こうした構成であっても、運転状態が高負荷状態あるいは通常状態である場合に比べてファンの回転が抑えられることから、上記(1)〜(7)に準じた効果に加え、上記(8)に準じた効果を得ることは可能である。
・通常マップ24a及び高負荷マップ24bには、同じ冷却液温度Tからファン14が駆動されるように駆動比率Rが設定されていてもよい。また、通常マップ24aにおいてファン14が駆動される開始温度が、高負荷マップ24bにおいてファン14が駆動される開始温度よりも高い構成であって、通常マップ24aにおける駆動比率Rが、高負荷マップ24bにおける駆動比率Rよりも低い構成であってもよい。要は、通常状態で通常マップ24aが利用されることにより燃費の向上を図ることが可能な構成であればよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(6)に準じた効果を得ることは可能である。
・上記実施形態では、運転状態推定処理によって、複数の運転状態の中から制動状態が推定された場合に、記憶部23に記憶された制動状態に対応する制御マップである制動マップ24dを用いてファン14と出力軸11aとが連結され続ける。しかし、制動状態と推定される条件が満たされているときにファン14と出力軸11aとが連結され続ければよく、これを具現化する構成は、車両の運転状態を推定したうえで制御マップを選択するものに限られるものではない。こうした構成であっても、上記(1)(2)に準じた効果を得ることができる。
・各運転状態に複数の制御マップが対応付けられていてもよい。例えば、高負荷状態における制御マップが第1高負荷マップ、第2高負荷マップで構成されているとき、エンジン回転速度Neに閾値を設けて、この閾値を境に第1高負荷マップ、第2高負荷マップが切り替わるようにしてもよい。こうした構成によれば、エンジン冷却液をより高精度に制御することができることから、さらなる燃費の向上が見込まれる。
・また、各運転状態に複数の制御マップが対応付けられているとき、制御マップに規定される駆動量は、駆動比率Rに限らず、目標回転速度TFSそのものであってもよい。
・上記ファン駆動処理において、ステップ14〜ステップ16が割愛されてもよい。すなわち、車両の運転状態が制動状態と推定されるときには、開閉機構16を常時閉状態とするようにしてもよい。こうした構成であっても、上記(1)に準ずる効果を得ることができる。
・補助ブレーキが作動状態であるか否かを判断する方法は、アクセル開度センサー33からの検出信号及びスイッチ37からの検出信号に基づいて判断する態様だけではなく、例えば補助ブレーキが作動している否かを直接検知して、その検知結果を示す信号が入力される態様であってもよい。
・車両には、通常、エンジン11の排気通路に該エンジン11からの排気を浄化する排気浄化装置に配設されている。これに関連し、制御装置20は、該排気浄化装置に配設された触媒の温度を検出するセンサーからの検出信号に基づいて、上記ファン駆動処理を次のように実行してもよい。すなわち、ファン駆動処理において、ステップS11に先行して、上記触媒の温度が活性化温度以下であるか否かを判断し、触媒の温度が活性化温度以下であると判断される場合には、ステップS14の処理を進めるようにしてもよい。
・開閉機構16は、エンジン11の後方へと流出する空気流を遮蔽可能に構成されていればよく、例えば、一対の格子板を重畳させるように配設し、一方の格子板に対して他方の格子板がスライド移動することによって、開状態と閉状態とに切り替えられる構成であってもよい。
・上記車両用ファン装置は、エンジンとモーターとモーターとを組み合わせたハイブリッド車に適用されてもよい。ハイブリッド車においては、モーターを駆動する電力がバッテリーに充電されており、該バッテリーは、制動状態にある車両から回生エネルギーを得ることにより充電される。この際、運動エネルギーの一部が電気エネルギーに変換されることから、車両への制動力が得られる。そのため、上記車両用ファン装置がハイブリッド車に搭載された場合には、例えば、バッテリーの充電が完了した後の制動状態において、ファン14と出力軸11aを連結し続けるとともに開閉機構16を閉状態にするとよい。
・ファン14は、補助ブレーキが作動している間に回転していればよく、該ファン14と出力軸11aとが連結され続ける態様にかぎられるものではない。
・補助ブレーキが作動していると判断された場合、ファン14の回転の制御と開閉機構16の開閉動作の制御は、同時に行なわれる態様であってもよいし、いずれか一方が先行して行なわれる態様であってもよい。
Ac…アクセル開度、Ac1…第1設定開度、Ac2…第2設定開度、FP…一定期間、FS…ファン回転速度、TFS…目標回転速度、Ne…エンジン回転速度、Ne1…設定回転速度、Q…燃料噴射量、Q1…設定噴射量、R…駆動比率、T…冷却液温度、T1…第1設定温度、T2…第2設定温度、T3…第3設定温度、T4…閾値、ΔT…温度上昇幅、ΔT1…設定上昇幅、v…車速、v1…第1設定車速、v2…第2設定車速、5…エンジンコンパートメント、11…エンジン、11a…出力軸、12…ラジエーター、13…ファンクラッチ、14…ファン、15…空気流、16…開閉機構、17…遮蔽部材、20…ファン制御装置、21…入力部、22…主制御部、23…記憶部、24a…通常マップ、24b…高負荷マップ、24c…発進・加速マップ、24d…制動マップ、25…PWM制御部、31…温度検出センサー、32…燃料噴射量センサー、33…アクセル開度センサー、34…車速センサー、35…エンジン回転速度センサー、36…ファン回転速度検出センサー、37…補助ブレーキスイッチ。

Claims (5)

  1. 車両に搭載されたエンジンの出力軸に電子制御式のファンクラッチを介して連結されて前記エンジンに向けて空気流を送るファンと、
    前記エンジンに対する前記ファンの反対側にて、前記空気流の通過を許容する開状態と、前記空気流の通過を遮断する閉状態とを有する開閉機構と、
    前記車両に搭載された補助ブレーキが作動状態にあるときに、前記ファンを駆動するとともに前記開閉機構を前記閉状態にする制御部と
    を有する車両用ファン装置。
  2. 前記制御部は、
    前記車両のアクセル開度を検出するアクセル開度検出部から入力される検出信号と、前記補助ブレーキを作動状態と非作動状態とに切り替える切替部から入力される切替信号とに基づいて、
    前記アクセル開度が0であり、且つ前記補助ブレーキが作動状態であることを条件として、前記開閉機構を閉状態にする
    請求項1に記載の車両用ファン装置。
  3. 前記制御部は、
    前記エンジンを冷却する冷却液の温度を検出する温度検出部から入力される検出信号に基づいて、
    前記冷却液の温度が前記エンジンの冷却を優先すべき閾値を超える場合には、前記開閉機構を前記開状態にする
    請求項2に記載の車両用ファン装置。
  4. 前記制御部は、
    前記車両の運転状態を推定する運転状態推定部と、
    前記エンジンを冷却する冷却液の温度と前記ファンの駆動量とが対応付けられた制御マップを前記運転状態ごとに記憶する記憶部と、
    前記運転状態推定部の推定した前記運転状態に対応する前記制御マップと前記冷却液の温度とから前記ファンの回転速度を演算する回転速度演算部とを備え、
    前記運転状態推定部は、
    前記補助ブレーキが作動状態にあるときに、前記車両の運転状態を制動状態と推定し、
    前記制動状態に対応する前記制御マップには、
    前記出力軸と前記ファンとを連結し続けることを示す駆動量が対応付けられている
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用ファン装置。
  5. 前記運転状態推定部は、
    前記制動状態の他、
    前記冷却液における温度の上昇が相対的に大きい運転状態である高負荷状態、
    前記冷却液における温度の上昇が相対的に小さい運転状態である通常状態、
    前記車両が発進して加速している運転状態である発進・加速状態のうちのいずれか1つに推定するものであり、
    前記記憶部には、
    前記高負荷状態に対応する前記制御マップである高負荷マップと、
    前記通常状態に対応する前記制御マップである通常マップと、
    前記発進・加速状態に対応する前記制御マップである発進・加速マップとがさらに記憶されており、
    前記高負荷マップには、前記冷却液の温度が前記閾値よりも低い第1設定温度以上の範囲で前記ファンの駆動量が対応付けられており、
    前記通常マップには、前記冷却液の温度が前記第1設定温度よりも高く、且つ前記閾値よりも低い第2設定温度以上の範囲で前記ファンの駆動量が対応付けられており、
    前記発進・加速マップには、前記冷却液の温度の全範囲で、前記ファンの停止、若しくは、前記高負荷マップ及び前記通常マップにおいて同じ温度に対応付けられている駆動量以下の駆動量が対応付けられている
    請求項4に記載の車両用ファン装置。
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