JP6464804B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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Description
一方、エンジン駆動の発電機による発電電力とバッテリの蓄電電力とを併用して電動機(車両駆動用モータ)を駆動するハイブリッド車両では、バッテリ温度の低温時に発電電力を電動機の駆動電力に宛がうことができる。そこで、発電機の発電電力を利用して車両を走行させつつ、バッテリを昇温させる技術が提案されている。
例えば、発電電力を電動機と電気ヒータとに供給して、バッテリを昇温させながら車両を走行させることが考えられる。あるいは、バッテリの充放電に伴って発生するジュール熱を利用して、バッテリを昇温させることも考えられる(特許文献1参照)。これらの手法を用いることで、車両の走行性を維持しつつバッテリを昇温させることができる。
一方、低温のバッテリを電気回路から電気的に切断することによって、充放電ができない状態を形成すれば、このようなバッテリの劣化は防止される。しかしこの場合、電気回路上からバッテリが切り離されることになるため、バッテリのバッファ効果(電力変動の抑制効果)を利用することができなくなり、車両の走行性が低下しうる。例えば、車両の加速時に電動機の目標出力が発電機の発電出力を上回ると、電力不足により加速度が小さくなる。同様に、車両の減速時に電動機の目標出力が発電機の発電出力を下回ると、電力が過剰な状態となり減速度が小さくなる。
しかしながら、ヒータの消費電力はヒータ自体の温度に応じて変動しうる。特に、温度が上昇するほど抵抗が増大する特性を持ったPTCヒータを用いた場合には、ヒータ温度が上昇するに連れてヒータでの消費電力(すなわちヒータ出力)が減少し、ヒータで吸収できる電力変動幅が小さくなる。これにより、電気回路上の電動機,発電機,コンバータ,インバータ類が負荷変動の影響を直接的に被ることになり、動作不良を招くおそれがある。
本制御装置は、前記高電圧回路の電力で作動し前記バッテリを昇温させるヒータと、前記ヒータの温度を検出する温度センサとを備える。また、本制御装置は、前記温度センサで検出された前記温度に基づいて前記ヒータの最大出力を算出するとともに、前記最大出力に所定比率を乗じた値を目標出力として前記ヒータを制御するヒータ制御部を備える。
なお、前記変圧器は、前記高電圧回路と前記中電圧回路との間での昇圧,降圧を行うものであり、アップ・ダウンコンバータ(アップ・ダウンバータ)とも呼ばれる。
また、前記ヒータは、温度が上昇するほど抵抗が増大する特性〔PTC(Positive Temperature Coefficient)特性〕を持つものであることが好ましい。
(3)前記ヒータ制御部が、前記発電機の発電電力と前記電動機の消費電力との出力差に関する変動特性に基づき、前記所定比率を設定することが好ましい。
例えば、前記出力差が正方向に増加しやすい場合には、前記所定比率を小さめに設定することが好ましい。反対に、前記出力差が負方向に増加しやすい場合には、前記所定比率を大きめに設定することが好ましい。
(4)前記ヒータ制御部が、前記所定比率を0.5に設定することが好ましい。この場合、前記目標出力は前記最大出力の半分となる。
(6)前記ヒータ制御部が、前記発電機の発電電力と前記電動機の消費電力との出力差と前記目標出力との合算値を用いて前記変調器を制御することが好ましい。
本実施形態の制御装置は、図1に示す車両10に適用される。この車両10はシリーズ式ハイブリッド自動車であり、パワートレーンにモータ1(電動機),ジェネレータ2(発電機)及びエンジン11を搭載する。エンジン11は、ジェネレータ2を駆動して発電させる原動機であり、必要に応じて、エンジン効率の高い回転数領域で運転を継続するように制御される。ジェネレータ2で生成される発電電力は、高電圧回路6を介してモータ1へと直接的に供給可能であり、アップ・ダウンバータ4(変圧器)を介して駆動用バッテリ3(バッテリ)へと充電可能でもある。
電子制御装置9(制御装置)は、パワートレーン内の各種装置を総合的に制御するコンピュータであり、例えばマイクロプロセッサやROM,RAMなどを集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスである。本実施形態では低温時制御及びヒータ冷却制御について説明する。低温時制御におけるおもな制御対象は、モータ1,ジェネレータ2,エンジン11,アップ・ダウンバータ4,ダウンバータ5,PWMコントローラ17であり、それぞれの作動状態はバッテリ温度センサ15で取得されたバッテリ温度に応じて制御される。
また、発電機制御部9Bは、ジェネレータ2で実際に生成された実発電電力を算出する機能を持つ。実発電電力は、前回の演算周期で算出された発電電力やジェネレータ2の実回転速度,実トルク,エンジン11の実回転速度,実トルクなどに基づいて算出される。発電電力及び実発電電力の算出手法には、公知の各種手法を適用することができる。
車両10の加速時にモータ1の実モータ消費電力が増加し、これに遅れてジェネレータ2の実発電電力が増加したとき、実モータ消費電力と実発電電力との出力差に相当する電力が高電圧回路6で不足する。同様に、車両10の減速時には、実モータ消費電力と実発電電力との出力差に相当する電力が高電圧回路6で過多となる。
一方、実モータ消費電力の変化速度が実発電電力の変化速度と比較して小さい場合には、加速時の不足電力が相対的に小さくなり、減速時の過多電力が相対的に大きくなる。反対に、実発電電力の変化速度が実モータ消費電力の変化速度と比較して小さい場合には、加速時の不足電力が相対的に大きくなり、減速時の過多電力が相対的に小さくなる。つまり、電力の過不足量はモータ1,ジェネレータ2の特性によって変化する。
反対に、減速時の過多電力が相対的に大きい場合(すなわち、実モータ消費電力に対する実発電電力の出力差が正方向に増加しやすい場合)には、比率Rの値を小さく設定すればよい。これにより、図3中での目標出力PTGTのグラフが下方に移動することになり、過多電力を相殺するための出力調整代(ヒータ出力の増加分)が増加する。
このように、モータ1,ジェネレータ2の出力差の変動特性に応じて、最大出力PMAXに対する目標出力PTGTの比率を設定することで、出力調整代の増加分と減少分とを適正化することができ、加速,減速の何れの場合であっても、ヒータ16の容量を有効に活用できるようになる。
図4は、低温時制御の手順を例示するフローチャートである。図4のフローは、各種接続機器の目標となる出力を算出し、制御を実施するフローである。このフローは、例えば車両10のメイン電源がオンのときに繰り返し実施される。エンジン11は、始動している状態であるものとする。まず、電動機制御部9Aでは、目標とするモータ出力(実モータ消費電力)が算出され(ステップA1)、降圧器制御部9Dでは、各種電装品の要求出力がダウンバータ出力として算出される(ステップA2)。
図8(A),(B)に示すように、高電圧回路6における電力の過不足は、モータ1で消費される実モータ消費電力とジェネレータ2で生成される実発電電力との大小関係に応じて決定される。例えば、運転者がアクセルペダルを踏み込んだときに、ジェネレータ2の応答がモータ1よりも遅れると、実発電電力が実モータ消費電力よりも小さくなり、電力が不足する。反対に、運転者がアクセルペダルを踏み戻したときには、実発電電力が実モータ消費電力よりも大きくなり、電力に余剰が生じる。これらの電力の過不足は、ヒータ16での消費電力を増減させることによって吸収,相殺される。しかし、ヒータ16で吸収できる電力の大きさは、必ずしも一定ではない。例えば、通電時間が長引くに連れてヒータ温度Tが上昇し、ヒータ16の最大出力PMAXが低下する。そのため、通電時間が経過するほど、ヒータ16によるバッファ効果が弱まり、図8(B)に示す出力変動の過不足を吸収しにくくなる。
(1)上記の電子制御装置9では、高電圧回路6の電力を利用してバッテリ3を昇温させるヒータ16を、高電圧回路6の電力バッファとして機能させることができ、モータ1及びジェネレータ2の負荷変動に伴う高電圧回路6の電圧変動を抑制することができる。
また、ヒータ制御部9Eでは、ヒータ温度Tに基づいてヒータ16の最大出力PMAXが算出され、最大出力PMAXに所定の比率Rを乗じた値が目標出力PTGTとして設定される。したがって、その時点で使用可能な総バッファ容量(その時点でのヒータ16の電力バッファ能力)を考慮してヒータ16の消費電力を制御することができ、ヒータ16のバッファ容量を有効に活用することができる。したがって、バッテリ3及び接続機器の保護性を向上させつつ、車両10の走行性を確保することができる。
さらに、低温時制御の実施中であっても、バッテリ3が中電圧回路7から切断された状態にはならないため、中電圧回路7のバッファ効果を確保することができ、アップ・ダウンバータ4やダウンバータ5の保護性を向上させることができる。
(3)また、実モータ消費電力と実発電電力との出力差に関する変動特性に基づいて比率Rを設定すれば、電力不足に対するバッファ容量と電力過多に対するバッファ容量とをともに適正化することができ、ヒータ16のバッファ容量をより有効活用することができる。例えば、比率Rの値を大きく設定すれば、加速時の不足電力をより確実に補填することができる。また、比率Rの値を小さく設定すれば、減速時の過多電力をより確実に相殺することができる。
(5)上記の電子制御装置9では、高電圧回路6の直流電流をPWMコントローラ17でパルス信号に変調してヒータ16に供給している。これにより、ヒータ16での消費電力を自在に変更可能となり、電力バッファを容易に調節することができる。したがって、高電圧回路6の電圧変動を抑制しやすくすることができる。
上述の実施形態では、ヒータ16に供給される電流(電力)をPWMコントローラ17で制御するものを例示したが、これに代えて(あるいは加えて)PAM(Pulse Amplitude Modulation)方式で出力を制御するPAMコントローラや、PPM(Pulse Position Modulation)方式で出力を制御するPPMコントローラなどを用いることができる。少なくとも、高電圧回路6内の高電圧の電力をヒータ16の抵抗値に適合するように変調するものであれば、任意のコントローラ,電子回路,半導体装置などを適用することができる。
2 ジェネレータ(発電機)
3 バッテリ
4 アップ・ダウンバータ(変圧器)
6 高電圧回路
9 電子制御装置
9A 電動機制御部
9B 発電機制御部
9C 変圧器制御部
9D 降圧器制御部
9E ヒータ制御部
9F 冷却風制御部
10 車両
11 エンジン
15 バッテリ温度センサ
16 ヒータ
17 PWMコントローラ(変調器)
18 ファン
19 ヒータ温度センサ
20 電池パック
21 熱交換器
22 バルブ
23 車外ファン
24 車速センサ
31 第一通路
32 第二通路
Claims (6)
- 車両駆動用の電動機とエンジンに駆動される発電機とを高電圧回路に配し、車両駆動用のバッテリを前記高電圧回路よりも低い電位の中電圧回路に配するとともに、前記高電圧回路と前記中電圧回路との間に変圧器を介装した車両の制御装置において、
前記高電圧回路の電力で作動し前記バッテリを昇温させるヒータと、
前記ヒータの温度を検出する温度センサと、
前記温度センサで検出された前記温度に基づいて前記ヒータの最大出力を算出するとともに、前記最大出力に所定比率を乗じた値を目標出力として前記ヒータを制御するヒータ制御部と、
を備えたことを特徴とする、車両の制御装置。 - 前記ヒータ制御部は、前記ヒータの温度が高温であるほど、前記最大出力を小さい値として算出する
ことを特徴とする、請求項1記載の車両の制御装置。 - 前記ヒータ制御部が、前記発電機の発電電力と前記電動機の消費電力との出力差に関する変動特性に基づき、前記所定比率を設定する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両の制御装置。 - 前記ヒータ制御部が、前記所定比率を0.5に設定する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の制御装置。 - 前記ヒータと前記高電圧回路とを接続する回路上に介装され、前記高電圧回路の直流電流をパルス信号に変調して前記ヒータへと出力する変調器を備える
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の車両の制御装置。 - 前記ヒータ制御部が、前記発電機の発電電力と前記電動機の消費電力との出力差と前記目標出力との合算値を用いて前記変調器を制御する
ことを特徴とする、請求項5記載の車両の制御装置。
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