JP2013059828A - トップロール研磨装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨時における研磨ロール自体に起因する異物の発生を低減し、研磨ロールから剥離した異物により発生する異物欠陥を低減することができるトップロール研磨装置を提供する。
【解決手段】連続溶融金属メッキラインに設けられたトップロール8の表面を研磨ロール11で研磨するトップロール研磨装置(ポリッシャー)10において、研磨ロール11として、研磨ロール11の直径Dに対する研磨ロール11の羽長さ(研磨布11bの長さ)Lの比である羽長さ比Rが0.15以下である形状を有するものを適用する。また、コントローラ20によって、研磨ロール11の回転速度が19m/s以上となるように駆動モータ12を制御する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、連続溶融金属メッキラインを走行する鋼帯の方向変更のために設けられる、所謂トップロールの表面を研磨するトップロール研磨装置に関する。
例えば、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造する場合、連続溶融金属メッキラインに設けられた合金化炉トップロールには、亜鉛メッキされた鋼板が高温の状態で通板されるため、トップロールの表面に亜鉛粉末等の異物が付着しやすい。この異物は製品である鋼板に押疵状の表面欠陥をつけ、製品の品質を劣化させる。そこで、従来、このような表面欠陥の発生を低減するために、研磨ロールでトップロールの表面を研磨している。
従来のトップロールの研磨装置としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、研磨ロールを回転させるモータの負荷に応じて、研磨ロールのトップロールへの押込み量を調整するものである。これにより、研磨ロールをトップロールの軸方向の全体にわたり適切な力で接触させ、トップロールの表面に付着している異物を適切に除去するようにしている。
また、研磨不足や不均一研磨の抑制を目的としたロール研磨装置としては、例えば特許文献2に記載の技術がある。この技術は、異物を研削除去する回転ブラシの損耗状態を検知し、この検知結果に応じて、使用初期から末期に至るまで、ロールに対する回転ブラシ押付け量を実質的に一定に維持するように制御するものである。さらに、ここでは、ロールにより搬送されるメッキ鋼帯の搬送速度に応じて、回転ブラシのロール軸方向の移動速度を制御している。
ところで、トップロールの研磨に際し、研磨ロールが研磨を行うことによって発生した屑(トップロールから除去された異物等)が鋼帯に付着すると、異物欠陥となり製品の品質が劣化する。
そこで、このような異物欠陥の発生を低減するものとして、例えば特許文献3に記載の技術がある。この技術は、トップロールに付着した異物を研磨ロールによって研磨・除去した後、その際に発生した研磨粉を、研磨ロールの下方に配置されたブレードとバキューム装置とで回収・吸引するものである。
特開2003−117782号公報 特開平4−308069号公報 特開2010−94790号公報
ところで、研磨ロールとして、例えば表面にアルミナ系研磨材が塗布された多数枚の研磨布紙を周方向に並べて配置した構成のものを適用した場合、研磨ロールが研磨を行うことによって上記研磨材が剥離するなど、研磨ロール自体に起因して発生した屑が鋼帯に付着するおそれがあり、このような異物も鋼帯に付着すると、異物欠陥となり製品の品質が劣化する。
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の従来装置にあっては、トップロールの表面に付着している異物を適切に除去して表面欠陥の発生を低減することのみを目的としているため、研磨時に発生した屑が鋼帯に付着することで発生する異物欠陥については低減することができない。
また、上記特許文献3に記載の従来装置にあっては、研磨時に発生した屑を回収・吸引する方法が提案されているだけで、研磨時に研磨ロール自体に起因して発生する屑ついては考慮されていない。そのため、上記従来装置では、研磨ロール自体に起因して発生した屑が鋼板に付着することで異物欠陥が発生するおそれがある。
そこで、本発明は、研磨時における研磨ロール自体に起因する異物の発生を低減し、研磨ロールから剥離した異物により発生する異物欠陥を低減することができるトップロール研磨装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明に係るトップロール研磨装置は、連続溶融金属メッキラインに設けられたトップロールの表面を研磨ロールで研磨するトップロール研磨装置であって、前記研磨ロールは、ロール芯の外周面に多数枚の研磨布紙を放射状に接着して構成されており、前記研磨ロールの直径に対する前記研磨布紙の長さの比が、0.15以下に設定されていることを特徴としている。
これにより、研磨ロールでトップロールの表面を研磨した際に、研磨ロール自体に起因して屑(異物)が発生するのを抑制することができる。その結果、このような異物が鋼板に付着するのを抑制することができる。このように、研磨ロールの形状を適切に設定することで、異物欠陥の発生を抑制することができる。
また、上記において、前記研磨ロールの回転速度を19m/s以上に制御する速度制御手段を備えることを特徴としている。
これにより、研磨ロールでトップロールの表面を研磨した際に、研磨ロール自体に起因して屑(異物)が発生するのを抑制することができる。その結果、このような異物が鋼板に付着するのを抑制することができる。このように、研磨ロールの回転速度を適切に設定することで、異物欠陥の発生を抑制することができる。さらに、研磨ロールの回転速度(周速)を19m/s以上と比較的速く設定することで、研磨ロール自体の磨耗を少なくすることができ、耐久性を向上させることができる。
本発明によれば、研磨ロールの形状や回転速度を適切に設定することで、研磨時における研磨ロール自体に起因する異物の発生を低減することができるので、このような異物が操業中に研磨ロールから剥離して鋼板に付着する率を低減することができる。したがって、研磨ロールから剥離した異物によって発生する異物欠陥を低減し、製品の品質低下を抑制することができる。
連続溶融金属メッキラインの工程を示す図である。 本発明に係るトップロール研磨装置の構成を示す側面図である。 本発明に係るトップロール研磨装置の構成を示す正面図である。 研磨ロールの形状を示す図である。 研磨ロールの羽長さ比と異物混入率との関係を示す図である。 研磨ロールの回転速度と異物混入率との関係を示す図である。 研磨ロールの回転速度の違いによる研磨ロールの磨耗状況の違いを示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、連続溶融金属メッキラインの工程を示す図である。
連続溶融金属メッキラインでは、図示しない焼鈍炉で加熱された鋼帯1が、溶融金属めっき(めっき浴)2を保持したポット3内に連続的に供給される。そして、ポット3内に供給された鋼帯1は、めっき浴2内に設けられた浸漬ロール4によって進行方向を鉛直にし、ポット3を出てそのまま上昇する。このとき、鋼帯1の表面には溶融金属めっきが付着されている。
溶融金属めっきが付着した鋼帯1は、めっき付着量がワイピングと称するガスの吹き付けで調整された後、必要に応じ加熱装置5で加熱され、めっき層を合金化する。その後、鋼帯1は冷却装置6,7で冷却される。
このような連続溶融金属メッキラインでは、鉛直上昇した鋼帯1は、互いに離隔して設けられた2個のトップロール8によって進行方向を反転させ、下降するようになっている。なお、図1では、鋼帯1の上昇側に冷却装置6、下降側に冷却装置7を設置している。このように、冷却装置は、建家の高さの制約から、通常、鋼帯1の上昇側と下降側との2箇所に分けて設置される。その後、鋼帯1は、図示しないスキンパス圧延工程等の後工程を経てテンションリールに巻き取られる。
ところで、トップロール8は、操業中に300℃〜400℃の温度を有する鋼帯1と接触する。このように高温の鋼帯1と接触すると、トップロール8の表面に亜鉛粉末等の異物が付着しやすい。この異物は、製品である鋼板に押疵状の表面欠陥をつけ、製品の品質を劣化させる。
そこで、トップロール8の表面に付着した異物を除去するために、トップロール8の近傍には、トップロール8の表面を研磨するトップロール研磨装置が設けられている。以下、トップロール研磨装置の構成について具体的に説明する。
図2は、本発明に係るトップロール研磨装置の構成を示す側面図、図3は本発明に係るトップロール研磨装置の構成を示す正面図である。図中符号10は、トップロール研磨装置としてのポリッシャーである。ポリッシャー10は、2つのトップロール8とほぼ同じ高さの位置にそれぞれ配置されている。
ポリッシャー10は、回転しながらトップロール8の表面と接触し、その表面を研磨する研磨ロール11を備える。研磨ロール11は、駆動モータ12によってベルトを介してトップロール8とは反対方向に回転駆動される。駆動モータ12はコントローラ(速度制御手段)20によって制御可能となっており、コントローラ20が駆動モータ12を制御することで、研磨ロール11の回転速度(回転数)が制御される。これら研磨ロール11及び駆動モータ12は、横行フレーム13上に載設される。
横行フレーム13は、図3にも示すように、トップロール8の軸方向(横方向)に延在するガイドレール14上を摺動可能に構成されている。横行フレーム13の横方向への移動は、横行モータ31により例えばボールねじで構成される移動軸32を介して行う。なお、この横方向の移動は、手動ハンドル33によって作業者が手動で行うこともできる。
ガイドレール14は縦走行フレーム15上に載置されており、縦走行フレーム15は、図2に示すように、トップロール8の軸直方向(縦方向)に延在するガイドレール34上を摺動可能に構成されている。縦走行フレーム15の縦方向への移動は、縦走行フレーム15の後方(トップロール8とは反対側)に配置されたシリンダ16によって行う。ここで、シリンダ16は、油圧または空気圧を利用したシリンダが好適である。
また、研磨ロール11は、その周方向に長方形の研磨布(若しくは研磨紙)を多数(例えば800枚程度)並べて構成されている。すなわち、図4に示すように、研磨ロール11は、ロール芯11aと、ロール芯11aの外周に放射状に接着される多数枚の研磨布11bとを備える。例えば、研磨布11bとしては、太綾織布を合成樹脂加工して表面にアルミナ系研磨材を塗布したものを用いる。
また、図4に示すように、研磨ロール11の直径をD[mm]、研磨布11bの長さ(羽長さ)をL[mm]としたとき、研磨ロール11の形状を、研磨ロール11の直径Dに対する羽長さLの比(羽長さ比)R(=L/D)が0.15以下になるようにする。さらに、コントローラ20は、研磨ロール11の回転速度が19m/s(回転数で1050rpm)以上となるように、駆動モータ12を制御するものとする。
本発明者らは、研磨ロールの羽長さ比Rの違いが、研磨ロールの異物の混入状態に及ぼす影響を調査するために、以下の条件で操業実験を行った。ここで、異物の混入状態は、次式で定義される異物混入率により評価するものとする。次式における異物の発生個数は、製造ラインに設置された鋼板の表面疵検査装置によって、鋼板表面上の異物として検出された欠陥の個数であり、入側コイル長は欠陥の個数を検出した際の検査に供した鋼板長さである。表面疵検査装置によって検出される異物の個数は、研磨ロール屑(研磨ロール自体に起因して発生する屑)による異物欠陥の個数とよく一致するために、研磨ロール屑による異物の混入状態を表すものとして、次式の算出に用いた。すなわち、次式に示すように、異物混入率は、鋼板の単位長さあたりの異物の発生個数に比例する数値である。
異物混入率[%]=(異物の発生個数[個])/(入側コイル長[m])×100 ………(1)
なお、研磨ロール自体に起因して発生する屑(異物)としては、例えば、研磨布紙の表面に塗布されたアルミナ系研磨材が剥離するなどにより発生する屑(異物)が挙げられる。
鋼帯としては軟鋼材を用い、研磨ロールの回転数を1050rpmに制御した状態で操業を行った。そして、この操業を、羽長さ比Rが異なる研磨ロールを用いてそれぞれ行い、異物混入率の違いを調査した。その結果を図5に示す。
図5の横軸はトップロールの駆動源の電流負荷[A]、縦軸は異物混入率[%]であり、図中、折れ線aは羽長さ比R=0.20、折れ線bは羽長さ比R=0.17、折れ線cは羽長さ比R=0.15の研磨ロールを用いた場合についてそれぞれ示している。
この図5に示すように、電流負荷が4.8A程度まではいずれの場合も異物混入率は比較的低い値(0.4%前後)を示すが、電流負荷が4.8Aを超えたあたりから、羽長さ比R=0.20(折れ線a)の場合と、羽長さ比R=0.17(折れ線b)の場合とで、異物混入率が増加傾向を示す。そして、この増加傾向は、羽長さ比Rが大きいほど大きい。一方、羽長さ比R=0.15(折れ線c)の場合は、電流負荷の大きさによらず、異物混入率は0.4%程度のほぼ一定値で推移する。
なお、発明者らは、このよう状況が、少なくとも電流負荷6.5Aまで維持することを確認している。
以上により、羽長さ比Rが0.15以下の形状を有する研磨ロールを適用することで、トップロールの駆動源の電流負荷によらずに異物混入率を低減できることがわかった。
そこで、本実施形態では、直径Dに対する羽長さLの比である羽長さ比Rが0.15以下となる形状を有する研磨ロール11を適用している。
なお、羽長さ比Rは、あまりに小さいと研磨ロールの磨耗による研磨ロールの交換頻度が高くなるため、0.10以上とすることが好ましい。
また、本発明者らは、研磨ロールの回転速度の違いが、研磨ロールの異物の混入状態に及ぼす影響を調査するために、以下の条件で操業実験を行った。
鋼帯としては軟鋼材を用い、研磨ロールとしては羽長さ比R=0.15の形状のものを用いて操業を行った。そして、この操業を、研磨ロールの回転速度(回転数)を異ならせてそれぞれ行い、異物混入率の違いを調査した。その結果を図6に示す。
図6の横軸はトップロールの駆動源の電流負荷[A]、縦軸は異物混入率[%]であり、図中、折れ線Aは研磨ロールの回転速度V=11m/s、折れ線Bは回転速度V=16.5m/s、折れ線Cは回転速度V=19m/sの場合についてそれぞれ示している。なお、回転速度V=11m/sは研磨ロールの回転数で600rpm、回転速度V=16.5m/sは研磨ロールの回転数で900rpm、回転速度V=19m/sは研磨ロールの回転数で1050rpmに相当する。
この図6に示すように、回転速度V=11m/s(折れ線A)の場合と、回転速度V=16.5m/s(折れ線B)の場合とで、電流負荷が大きくなるにつれて異物混入率が増加傾向を示す。そして、この増加傾向は、回転速度Vが速いほど大きい。一方、回転速度V=19m/s(折れ線C)の場合は、電流負荷の大きさによらず、異物混入率は0.4%程度のほぼ一定値で推移する。
さらに、このとき、本発明者らは、研磨ロールの回転速度Vの違いによる研磨ロールの磨耗状況の違いを調査した。この調査は、研磨ロールの回転速度Vを異ならせて所定期間ずつ操業を行った後の研磨ロールの状況を、目視検査することで行った。その結果を図7に示す。
図7は、研磨ロールを軸直方向から見た図であり、図7(a)は回転速度V=11m/sで所定期間操業を行った後の研磨ロールの状況、図7(b)は回転速度V=19m/sで所定期間操業を行った後の研磨ロールの状況を示している。
この調査では、回転速度Vが速い方が、明らかに研磨ロールの磨耗が少ないことが確認できた。したがって、研磨ロールの回転速度を上げた方が、研磨ロールの長期使用が可能だと推測される。
以上により、研磨ロールの回転速度Vを19m/s以上に制御することで、トップロールの駆動源の電流負荷によらずに異物混入率を低減できると共に、研磨ロールの耐久性を向上することができることがわかった。
そこで、本実施形態では、研磨ロール11の回転速度が19m/s以上となるように、コントローラ20によって駆動モータ12を制御している。
なお、研磨ロールの回転速度は、速くしすぎると駆動モータ12と研磨ロール11との間を介するベルトの磨耗など、モータ周辺機器の劣化が起こりやすくなるため、30m/s以下程度とすることが好ましい。
なお、発明者らは、このよう状況が、少なくとも電流負荷6.5Aまで維持することを確認している。
このように、羽長さ比Rが0.15以下となる形状を有する研磨ロール11を適用すると共に、当該研磨ロール11の回転速度を19m/s以上とすることで、研磨ロール11でトップロール8の表面を研磨した際の研磨ロール自体に起因する屑(異物)の発生を効果的に抑制することができる。
したがって、研磨ロール11から剥離した異物が鋼帯1に付着することに起因して発生する異物欠陥を低減させることができ、製品の品質低下を抑制することができる。また、研磨ロール11の形状や回転速度を適切に設定するだけであるため、特別な装置や複雑な制御を必要とせず、比較的容易に実現可能である。
さらに、研磨ロール11の回転速度を19m/s以上とすることで、研磨ロール11自体が磨耗するのを抑制することができ、研磨ロール11の長期使用が可能となる。
なお、上記本実施形態においては、ポリッシャー10に、研磨ロール11のトップロール8への押込み量を調整するなど、異物除去能力を向上させる公知の技術を適用することもできる。これにより、研磨ロール11から剥離した異物によって発生する異物欠陥に加えて、トップロール8の表面に付着した異物が鋼板に押し付けられることで発生する押疵状の表面欠陥も効果的に低減することができる。したがって、より適切に製品の品質低下を抑制することができる。
1…鋼帯、2…溶融金属めっき(めっき浴)、3…ポット、4…浸漬ロール、5…加熱装置、6,7…冷却装置、8…トップロール、10…ポリッシャー(トップロール研磨装置)、11…研磨ロール、11a…ロール芯、11b…研磨布、12…駆動モータ、13…走行フレーム、14…ガイドレール、15…縦走行フレーム、16…シリンダ、20…コントローラ(速度制御手段)、31…横行モータ、32…移動軸、33…手動ハンドル、34…ガイドレール

Claims (2)

  1. 連続溶融金属メッキラインに設けられたトップロールの表面を研磨ロールで研磨するトップロール研磨装置であって、
    前記研磨ロールは、ロール芯の外周面に多数枚の研磨布紙を放射状に接着して構成されており、
    前記研磨ロールの直径に対する前記研磨布紙の長さの比が、0.15以下に設定されていることを特徴とするトップロール研磨装置。
  2. 前記研磨ロールの回転速度を19m/s以上に制御する速度制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のトップロール研磨装置。
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