JPH08176769A - 連続溶融金属めっき設備における浴上支持ロール装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 浴上支持ロールの表面に付着した異物の除去
作業を機械化して安全かつ確実に行う。 【構成】 一対の浴上支持ロール６を鋼帯１のパスライ
ンに対して流体シリンダ17により水平方向に進退自在に
配設し、浴上支持ロール６が前進しパスラインで鋼帯１
を支持しているとき無駆動により回転支承され、後退し
退避位置にあるときに駆動モータ12により駆動して回転
支承すると共に流体シリンダ15を用いて研磨材13を前進
させ浴上支持ロール６の表面に研磨材13を接触させてロ
ール表面に付着した異物を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、溶融金属めっき浴の上
方に配置されたガスワイピングノズルと合金化処理炉と
の間で鉛直なパスラインを走行するめっき鋼帯を支持す
る一対の浴上支持ロールを備えた連続溶融金属めっき設
備における浴上支持ロール装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、鋼帯に連続的に溶融亜鉛めっきを
施す場合に、一般的には図５に示すように鋼帯１を一旦
溶融亜鉛めっき浴２内に引入れた後、浴中ロール３によ
って方向転換させ、さらに対向して配置された浴中支持
ロール４で鋼帯１を支持して、振動抑制や幅方向の反り
の矯正を図りながら鉛直に引き上げる。

【０００３】鋼帯１の表面に付着して上がってきた溶融
亜鉛の余剰分を浴上に設けられた一対のワイピングノズ
ル５から噴射される高圧ガスによって吹き落とし、所要
のめっき厚に仕上げる。そしてワイピングノズル５と合
金化処理炉30との間には一対の浴上支持ロール６が配設
されており、浴上支持ロール６により鋼帯１を支持する
ことによって合金化処理炉30に導かれた鋼帯１が振動す
るのを抑制し、安定したパスラインを保持しながら合金
化処理することができるようになっている。

【０００４】この浴上支持ロール６は、走行する鋼帯１
との接触によって生じる摩擦力によって回転する無駆動
方式としているのが一般的である。このように浴上支持
ロール６を無駆動としてあるのは、駆動装置を用いる駆
動方式とした場合、通常のラインロールと異なり、鋼帯
１の走行速度とロール周速との間に微小な速度差がある
と、鋼帯１にバタツキを生じてめっき付着量のばらつき
が大きくなるからである。

【０００５】また鋼帯１と浴上支持ロール６間にスリッ
プを生じることにより、半溶融状態であるめっき層が剥
離して表面疵発生の原因となり製品歩止まりの低下を招
くことになる。このように鋼帯１の走行速度に対してロ
ール周速度の等速性が要求されるため、一般的には無駆
動ロールが採用されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前述のように一対の浴
上支持ロールは、溶融亜鉛めっき浴より引き上げられた
直後の鋼帯、すなわち表面めっき層が半凝固状態にある
鋼帯と直接接触することになるため、時折、ロール表面
にめっき層より部分的に剥離した亜鉛片等の異物が付着
することがある。このようにして浴上支持ロールに付着
した異物は、鋼帯の製品表面に転写され押し疵となった
り、鋼帯表面に再付着することにより表面欠陥となった
りすることがある。

【０００７】従来、鋼帯の表面に付着した亜鉛片等の異
物が付着した浴上支持ロールは、作業者が手作業で研磨
材を用いて定期的にロール表面を研磨することによって
付着した異物を除去していた。ロール表面の研磨作業を
人手によって行っているため、次のような問題があっ
た。

【０００８】ロール全面均一に研磨するのが困難であ
るため、付着物の残りが発生し、製品表面欠陥による歩
止まり低下を余儀なくされていた。 ロール全面を研磨するためにロールを鋼帯に接触さ
せ、回転状態で研磨材をロールに押し当てて研磨するた
め、ロールの回転抵抗が増加し、鋼帯との間でスリップ
を生じ製品疵を生じることがあった。

【０００９】研磨作業を行うときには、ライン速度が
高速であると危険であるため、ライン速度を落とさざる
を得ず、稼働能率の低下を招いていた。 高熱環境で、しかも鋼帯が走行している直近で作業を
行わざるを得ないため、危険作業となっていた。 本発明は、浴上支持ロールに付着する亜鉛片等の異物に
より金属めっき鋼帯が表面欠陥のある製品になるのを防
止するため、ロール表面に付着した異物を機械化により
除去することができる連続溶融めっき設備における浴上
支持ロール装置を提供することを目的とするものであ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の請求項１記載の本発明は、溶融金属めっき浴の上方に
配設されたガスワイピングノズルと合金化処理炉との間
で鉛直なパスラインを走行するめっき鋼帯を支持する一
対の浴上支持ロールを備えた連続溶融金属めっき設備に
おける浴上支持ロール装置において、前記一対の浴上支
持ロールをパスラインに対し水平方向に進退自在に配設
し、該浴上支持ロールが前進して走行する鋼帯を支持す
るパスラインにあるとき無駆動により回転支承される一
方、後退して退避位置にあるとき駆動により回転支承さ
れ、当該退避位置で駆動により回転支承されている浴上
支持ロールの表面に研磨材を押し付けて付着した異物を
除去する前後進自在なロール研磨装置を配設したことを
特徴とする連続溶融金属めっき設備における浴上支持ロ
ール装置である。

【００１１】請求項２記載の本発明は、回転支承される
浴上支持ロールを無駆動と駆動とに切替えるため該ロー
ル軸の一端側に一方向クラッチを配設したことを特徴と
する請求項１記載の連続溶融金属めっき設備における浴
上支持ロール装置である。請求項３記載の本発明は、一
対の支持ロールが、それぞれ駆動装置を用いてレール上
を前後進自在なシフトフレーム上に搭載されていること
を特徴とする請求項１または２記載の連続溶融金属めっ
き設備における浴上支持ロール装置である。

【００１２】請求項４記載の本発明は、ロール研磨装置
が、研磨材を取付けた取付けフレームと、この取付けフ
レームの背面に配設された支持フレームと、この支持フ
レームをピンを介して回動させるレバーと、このレバー
に連結された前後回動駆動装置とからなることを特徴と
する請求項１、２または３記載の連続溶融金属めっき設
備における浴上支持ロール装置である。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の構成および作用を実施例に基
いて説明する。図１は本発明の一実施例を示す装置の平
面図であり、図２は図１のＡ−Ａ矢視を示す側面図であ
る。また図３は図２の左側半分を示す部分拡大図であ
り、図４は図１のＢ−Ｂ矢視を示す部分正面図である。

【００１４】図１〜図４に示すように、鋼帯１を支持す
る一対の浴上支持ロール６は、それぞれレール16上を前
後進自在に移動するシフトフレーム８上に軸受７を介し
て支持されている。浴上支持ロール６のシャフト21の一
端部には従動側ベルトプーリ９が取り付けてあり、また
シフトフレーム８上に設置された駆動モータ12には主動
側ベルトプーリ11が取り付けてある。従動側ベルトプー
リ９と主動側ベルトプーリ11に駆動ベルト10が掛け渡さ
れている。

【００１５】そして従動側ベルトプーリ９は、図４に示
すように一方向クラッチ９ａおよびプーリ９ｂを組み合
わせた構成となっており、一方向クラッチ９ａは、浴上
支持ロール６の回転方向が鋼帯１の進行方向に連れ回る
場合（図３の“Ｘ”方向）には無駆動により自由回転
し、その逆回転方向（図３の“Ｙ”方向）に回転する場
合（ロール表面の研磨時）には、一方向クラッチ９ａが
プーリ９ｂに噛み合って駆動モータ12の動力を伝達する
ようになっている。

【００１６】また、各々のシフトフレーム８の後部両端
部にはそれぞれ流体シリンダ17が連結されており、両流
体シリンダ17を同調して伸縮することによりシフトフレ
ーム８がレール16上を前後進され、これによってシフト
フレーム８上の軸受７に支持された浴上支持ロール６が
鋼帯１を支持するパスライン位置および退避位置に移動
できるようになっている。

【００１７】浴上支持ロール６の異物を研磨して除去す
るための研磨材13を取付けてある取付フレーム14の背面
には支持フレーム18が配設されており、この支持フレー
ム18に固設されると共に軸受22に支持された軸19の中央
部にレバー20が取付けてある。さらにこのレバー20には
流体シリンダ15が連結されている。流体シリンダ15を伸
縮するとレバー20が前方または後方に回動され、これに
よって軸19および支持フレーム18を介して取付フレーム
14が研磨材13と一体的に前後に回動して移動する。

【００１８】次に本発明による装置の作用について説明
する。通常のめっき鋼帯製造時においては、図１および
図２に示すように鋼帯１のパスラインを安定化させるべ
く、流体シリンダ17を用いてシフトフレーム８上の軸受
７に支持されている浴上支持ロール６を鋼帯１に押し付
けて使用する。この時、浴上支持ロール６は無駆動のフ
リー状態になっているので、鋼帯１の走行速度と同一周
速度で進従しながら回転される。なお、この時ロール研
磨装置の研磨材13は浴上支持ロール６から離れた退避位
置にある。

【００１９】浴上支持ロール６の表面に付着した異物を
研磨材13により研磨して除去する場合には、流体シリン
ダ17の収縮作動によりシフトフレーム８上の軸受７に支
持されている浴上支持ロール６を反鋼帯側へ移動させ、
鋼帯１への押し付けを開放する退避位置に位置させる。
次に駆動モータ12を回転駆動し、主動側ベルトプーリ1
1、駆動ベルト10、従動側ベルトプーリ９およびシャフ
ト21を介して浴上支持ロール６を、図３に示す“Ｙ方
向”に回転させる。それと共に流体シリンダ15を伸長作
動させ、レバー20、軸19および支持フレーム18を介して
取付フレーム14を研磨材13と一体的に前方に回動させ、
研磨材13を図３に示すように浴上支持ロール６の表面に
押し付けることにより、研磨を行い付着した異物を除去
する。

【００２０】このようにして浴上支持ロール６を研磨す
ることにより付着した異物の除去を確認したら、流体シ
リンダ15を収縮作動させ、研磨材13を浴上支持ロール６
から離脱させた後、再び流体シリンダ17を伸長作動させ
ることにより、浴上支持ロール６を前進させ、元のパス
ライン位置に戻す。これにより、異物の付着していない
浴上支持ロール６を用いて鋼帯１を支持しながらめっき
処理を行う正常な状態に復帰することができる。

【００２１】ロール表面研磨を実施するタイミングとし
ては、付着物による製品欠陥が発生した場合はその都度
実施することになるが、通常においては、処理替え、お
よびパス替え等によるライン停止時、および製造条件調
整時等のように製品を製造していないタイミングで実施
すればよい。なお前記実施例では、装置構成において従
動側ベルトプーリ９に一方向クラッチを組み込むことに
よって、通常の使用状態においては無駆動ロール、ま
た、研磨時には駆動ロールとなるようにしているが、駆
動モータ12と浴上支持ロール６との動力伝達経路に、例
えば電磁クラッチ等を設け、動力の伝達、遮断を行うよ
うにしてもよい。また、図示した装置においては、浴上
支持ロールと研磨装置とを分離して設置するようにして
いるが、シフトフレーム８上に研磨装置を設置するよう
にしてもよい。

【００２２】本発明の装置により浴上支持ロールの異物
を機械化により研磨するようにしたので、浴上支持ロー
ルに起因する格落ち率が従来の手作業による場合、 0.3
％であったのを 0.1％に低減することができた。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、従来は高熱環境
で、しかも鋼帯が走行する直近で手作業により浴上支持
ロールの異物除去を行わざるを得ない危険作業であった
のに対し、本発明によれば、機械的にしかも遠隔作業に
より確実なロール表面の研磨が可能となり安全に作業を
遂行することができる。

【００２４】また本発明によれば、浴上支持ロールの確
実な研削により浴上支持ロールに起因する格落ち量が低
減され、歩止まり向上が達成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の装置を示す平面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視を示す側面図である。

【図３】図２の左側半分を示す部分拡大側面図である。

【図４】図１のＢ−Ｂ矢視を示す部分正面図である。

【図５】従来の溶融亜鉛めっき装置の模式的な縦断側面
図である。

【符号の説明】

１ 鋼帯 ６ 浴上支持ロール ７ 軸受 ８ シフトフレーム ９ 従動側ベルトプーリ 10 駆動ベルト 11 主動側ベルトプーリ 12 駆動モータ 13 研磨材 14 取付フレーム 15 流体シリンダ 16 レール 17 流体シリンダ 18 支持フレーム 19 軸 20 レバー 21 シャフト 22 軸受 30 合金化処理炉

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶融金属めっき浴の上方に配設されたガ
   スワイピングノズルと合金化処理炉との間で鉛直なパス
   ラインを走行するめっき鋼帯を支持する一対の浴上支持
   ロールを備えた連続溶融金属めっき設備における浴上支
   持ロール装置において、前記一対の浴上支持ロールをパ
   スラインに対し水平方向に進退自在に配設し、該浴上支
   持ロールが前進して走行する鋼帯を支持するパスライン
   にあるとき無駆動により回転支承される一方、後退して
   退避位置にあるとき駆動により回転支承され、当該退避
   位置で駆動により回転支承されている浴上支持ロールの
   表面に研磨材を押し付けて付着した異物を除去する前後
   進自在なロール研磨装置を配設したことを特徴とする連
   続溶融金属めっき設備における浴上支持ロール装置。
2. 【請求項２】 回転支承される浴上支持ロールを無駆動
   と駆動とに切替えるため該ロール軸の一端側に一方向ク
   ラッチを配設したことを特徴とする請求項１記載の連続
   溶融金属めっき設備における浴上支持ロール装置。
3. 【請求項３】 一対の支持ロールが、それぞれ駆動装置
   を用いてレール上を前後進自在なシフトフレーム上に搭
   載されていることを特徴とする請求項１または２記載の
   連続溶融金属めっき設備における浴上支持ロール装置。
4. 【請求項４】 ロール研磨装置が、研磨材を取付けた取
   付けフレームと、この取付けフレームの背面に配設され
   た支持フレームと、この支持フレームを軸を介して回動
   させるレバーと、このレバーに連結された前後回動駆動
   装置とからなることを特徴とする請求項１、２または３
   記載の連続溶融金属めっき設備における浴上支持ロール
   装置。