JP2013039621A - 圧延機制御装置、圧延機制御装置の制御方法及びそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧延機制御装置Sは、被圧延材hの製品仕様を記憶する製品仕様情報記憶手段42と、圧延機スタンド1、2の操業状態情報を取得する圧延機スタンド操業状態取得手段41と、溶接点の通過前後において圧延機スタンドを圧下または開放状態かを決定する溶接点通過方法決定手段44と、前記通過前後の作業ロール1w、2wの間隔の制御目標値を設定する溶接点通過時目標値設定手段46と、前記通過前後の作業ロールの開放及び締込みのタイミングを設定する溶接点通過処理タイミング設定手段45と、該開放又は締込みの際に圧延機スタンドの中から基準速度とする1つを決定する基準スタンド設定手段48と、各速度制御装置への速度指令を決定する速度指令発生手段49と、各圧下制御装置に開放又は締込み処理を指令する作業ロール圧下指令出力手段47とを備える。
【選択図】図2
Description
圧延中に作業ロールを開放、締込みをする場合の問題点としては、作業ロールの開放、締込みの過程で、作業ロールが被圧延材とスリップしたり、作業ロール及び被圧延材に傷が発生することが挙げられる。
また、本発明は、圧延機スタンドが単数または複数の圧延機を制御する圧延機制御装置の制御方法を含む。
また、本発明は、圧延機スタンドが単数または複数の圧延機を制御する圧延機制御装置の制御方法を、コンピュータで実行するためのプログラムを含む。
まず、図1を参照し、実施形態の圧延機制御装置S(図2参照)を適用する連続圧延設備の概要について説明する。
図1は、タンデム圧延機を用いた連続圧延設備200の概容説明図である。
連続圧延設備200は、被圧延材hを連続的に圧延可能なように、被圧延材hを繰り出す入側設備110と、被圧延材hの表面や硬度を調整するための中央設備120と、実際に被圧延材hの圧延が行われる出側設備130とを具備し構成される。
なお、被圧延材hは、製品コイルとするため、出側設備130を何回か循環させる場合もある。
図2は、実施形態の圧延機制御装置Sを適用する連続圧延設備(タンデム圧延機)の一例の2スタンド連続圧延機Tおよびこれを制御する圧延機制御装置Sを示す概念的構成図である。
2スタンド連続圧延機Tは、図1の連続圧延設備200において、#1スタンド圧延機(圧延機スタンド)1、#2スタンド圧延機(圧延機スタンド)2を2台連続して並べたものであり、被圧延材hを#1・#2スタンド圧延機1、2に通し圧延することにより、シングルスタンド圧延機での2パス分の圧延を1回で行うことができる。
また、巻出中の被圧延材hが終了したら巻出しを停止し、溶接機112(図1参照)にて、巻出中の被圧延材(先行材)hの後端縁に次の被圧延材(後行材)hの先端部を溶接して接合し、被圧延材hを連続的に#1・#2スタンド圧延機1、2に送り込む。
また、巻取装置のテンションリール133(図1参照)についても、2台設け、例えば、一方の巻取装置のテンションリール133にて被圧延材hを巻取っている状態で、他方の巻取装置のテンションリール133から巻取った被圧延材hを抜き出す処理を実施する。
一方、従来、溶接機112での先行材の後端部と後行材の先端部の溶接状態が悪い場合、#1・#2スタンド圧延機1、2にて被圧延材hをそのまま圧延すると溶接部(以下、図2の側方から見た場合に合わせて溶接点と称す)で板破断が発生する。
この溶接点通過に対し、従来のロール開放通板方法における被圧延材hと作業ロール1w、2wとの接触をなくす場合(以下、ロール開放と略記する)、または、接触を発生させる場合(以下、ロール締込みと略記する)場合において、本実施形態の2スタンド連続圧延機Tは、従来と異なり、#1・#2スタンド圧延機1、2における圧延荷重を、被圧延材hが弾性変形状態になるように設定し圧下し、被圧延材hを保持状態で実施する。この被圧延材hの弾性変形状態においては、ロール開放またはロール締込み前に、#1・#2スタンド圧延機1、2の入側及び出側の被圧延材hの板速度または張力を等しい状態にしておく必要がある。
なお、例示した40%の値は、被圧延材hまたはその製品仕様、溶接点の状態等に左右されるもので、40%の値に限定されるものではない。
しかしながら、操業効率の観点から溶接点通過処理は迅速に実施する必要がある。そのため、ある程度の速度差や張力差が有って被圧延材hと作業ロール1w、2w間にスリップが発生した場合でも、作業ロール1w、2wに傷が発生しないような極めて低い速度においてロール開放、締込み処理を実施している。これは、後記の図2に示す張力検出器13A、13B、13Cや速度検出器12A、12B、12Cの検出誤差対策としても有効である。
次に、図2に示す実施形態の2スタンド連続圧延機Tの構成について説明する。
2スタンドの連続圧延機Tは、2つの#1スタンド圧延機1、#2スタンド圧延機2を具備し、出側ルーパ122(図1参照)から供給される被圧延材hを#1・#2スタンド圧延機1、2に繰り出す入側のブライドルロール3と、圧延後の被圧延材hを巻取機のテンションリール133(図1参照)に向けて繰り出す出側のピンチロール4とを備えている。
また、#1スタンド圧延機1は、上下作業ロール1wu、1wsの速度を制御するロール速度制御装置23と、上下作業ロール1wu、1wsの間の間隔を制御するための上ロール位置制御装置21Uおよび下ロール位置制御装置21Lと、上下作業ロール1wu、1wsの被圧延材hへの圧下荷重P1を検出する荷重検出装置18とを有している。
また、#2スタンド圧延機2は、上下作業ロール2wu、2wsの速度を制御するロール速度制御装置24と、上下作業ロール2wu、2wsの間の間隔を制御するための上ロール位置制御装置22Uおよび下ロール位置制御装置22Lと、上下作業ロール2wu、2wsの被圧延材hへの圧下荷重P2を検出する荷重検出装置28とを有している。
また、2スタンド連続圧延機Tの入側には、#1スタンド圧延機1の入側張力を与えるための入側のブライドルロール3及びその速度を制御するための速度制御装置25が設置されている。また、2スタンド連続圧延機Tの出側には、#2スタンド圧延機2の出側張力を与えるための出側のピンチロール4及びその速度を制御するための速度制御装置26が設置されている。
次に、#1・#2スタンド圧延機1、2の被圧延材hの溶接点の通過について詳述する。
2スタンド連続圧延機Tにおいて、被圧延材hの溶接点を通過させる場合、溶接点前後の被圧延材hの板幅、板厚、材質等が大幅に異なるケースでは、作業ロール1w、2wが被圧延材hと接触しない状態で溶接点を通過させるためのロール開放及びロール締込み処理が必要となる。また、圧延操業を継続しながらの作業ロール1w、2wの交換(走間ロール組替)や、製品仕様に従って最適な圧延機スタンド数で圧延する(走間スタンド数変更)といったことを実施するのにも、ロール開放及びロール締込み処理は必須の技術となる。
さらに、連続圧延時は、被圧延材hの製品仕様がコイル毎に変化し、ロール組替実施時は該当する#1・#2スタンド圧延機1、2を開放し、終了後は締込む処理が必要となる。
これらの問題点は、本2スタンド連続圧延機Tにおいては、次のようにすることで解決している。
1).被圧延材hの板上の同一点で各圧延機スタンド(#1・#2スタンド圧延機1、2)のロール開放処理を実施する。その場合、各圧延機スタンド(#1・#2スタンド圧延機1、2)におけるロール開放及びロール締込みに必要なロールギャップ変更量を予測して、最も変更時間が長いスタンドの被圧延材hの板上の変更長さ(変更量から予測する)で開放処理または締込み処理を実施する。
その場合、前後被圧延材h(先行材と後行材)の圧延スケジュール及び操業状態(例えば、次の溶接点通過処理時に特定スタンド(例えば、#1・#2スタンド圧延機1、2の何れか)を開放する、または圧下する等)に応じて圧下変更量等を予測する。
そして、ロール開放するスタンド(例えば、#1・#2スタンド圧延機1、2の何れか)のロール速度と板速が、同期するように、ロール開放するスタンドの前後段スタンド(例えば、ロール開放するスタンドが#1スタンド圧延機1の場合は#2スタンド圧延機2、或いは、ロール開放するスタンドが#2スタンド圧延機2の場合は#1スタンド圧延機1)の速度をロール開放に合わせてフィードフォワード的に操作する。
ここで、(速度基準となるスタンドを変化させる)制御で、ロール開放を実施するスタンドの速度を変える場合、作業ロールが空転することとなるので開放処理を実施する板上の位置が合わなくなるので注意が必要である。
以上を実施するためには、図2に示す圧延機制御装置Sを具備している。
<2スタンド連続圧延機Tを制御する圧延機制御装置Sの構成>
圧延機制御装置Sの各機能は、PLC(Programmable Logic Controller)等のコンピュータでプログラムを実行することや、回路等を用いて具現化されるが、所定の機能を果たせれば、その実現形態は限定されないのは勿論である。
圧延機状態監視部41には、#1・#2スタンド圧延機1、2の各ロール速度制御装置23、24からの上下作業ロール1w、2wの速度VR1、VR2の検出信号、各荷重検出装置18、28からの圧下荷重P1、P2の検出信号、および、#1スタンド圧延機1の作業ロール1wu、1wsの間のギャップ(距離)S1の検出信号、#2スタンド圧延機2の作業ロール2wu、2wsの間のギャップ(距離)S2の検出信号、および、速度制御装置25からのブライドルロール3の速度VBRの検出信号、溶接点検出器14からの被圧延材hの溶接点の検出信号tPOFF等が入力され、圧延機状態監視部41では、これらの検出信号をコンピュータ処理に適合した情報としている。
その結果、使用可能な圧延機スタンド数と、必要圧延機スタンド数から予め定めた溶接点通過方法(開放処理での通過または被圧延材hが弾性変形する通過)の何れを用いて溶接点通過処理を実施するか決定する。
ロール開放・締込処理部47においては、ロール開放またはロール締込が必要な圧延機スタンド(#1・#2スタンド圧延機1、2)において、圧延状態を、被圧延材hを圧下する塑性変形状態と、被圧延材hと作業ロール1w、2wが完全に非接触状態となるロール開放状態とを、と作業ロール1w、2wが被圧延材hに接触して圧下し被圧延材hが弾性変形状態となる状態を経て切り換える処理を実施する。
図3(a)〜(d)に、2スタンドタンデム圧延機Tの圧延機スタンド(#1・#2スタンド圧延機1、2)の使用方法について示す。
#1・#2スタンド圧延機1、2の使用状態としては、作業ロール1w、2wと被圧延材hが接触し、被圧延材hが塑性加工されている圧延状態と、作業ロール1w、2wと被圧延材hが非接触状態となっている開放状態の2種類がある。その他、ロール開放、締込み実施時に、被圧延材hを弾性変形状態とする場合があるが、これは過渡的な状態であり、定常的には圧延状態または開放状態となる。
被圧延材hの製品仕様によっては、圧延機スタンドを2基用いて2回圧延する必要がない場合もあり、その場合は#1スタンド圧延機1または#2スタンド圧延機2を用いて1基の圧延機スタンドにより被圧延材hを1回圧延する操業が行われる。この間に圧延操業を実施しながら、開放状態の圧延機スタンドについては、作業ロール1w(1wu、1ws)、2w(2wu、2ws)、や中間ロール1c(1cu、1cs)、2c(2cu、2cs)の交換が実施可能であり、操業効率の向上が可能となる。
溶接点通過方法80は、各ケース(80a)について、溶接点通過時に各圧延機スタンドの#1・#2スタンド圧延機1、2をどのように操作する(80b、80d)か、溶接点通過前後で2スタンドタンデム圧延機Tの使用方法がどのように変化する(80f、80g)かを示している。
なお、80c、80eの欄は、それぞれ#1・#2スタンド(1、2)が圧延する場合に、丸を付けて示している。また、80f、80gの欄は、溶接点通過前後の#1・#2スタンドの様子を図3に示すA〜D状態で示している。
図5〜図7において、溶接点通過前に圧延機を通過する被圧延材hを先行材、溶接点通過後に圧延機を通過する被圧延材hを後行材という。また、図5〜図7において、原板板厚を細破線で示し、#1スタンド出側板厚を太実線で示し、#2スタンド出側板厚を中太破線で示している。
<圧延機制御装置Sの溶接点通過方法設定部44の動作概要>
図8を用いて、溶接点通過方法設定部44(図2参照)の動作概要を説明する。なお、図8は、圧延機制御装置Sの溶接点通過方法設定部44の機能ブロック図である。
圧延長判定部44bは、圧延速度と圧延時間から各圧延機スタンド(1、2)の作業ロール1w、2wにて圧延した被圧延材hの長さを計算し、予め設定した作業ロールの交換が必要な圧延長より大きい場合、当該圧延機スタンドの作業ロール1w、2wの交換が必要となる。作業ロール1w、2wの交換は、圧延機スタンド(1、2)を開放状態にして実施する必要があるが、作業ロール1w、2wの交換が不要な圧延機スタンド(1、2)は使用可能である。
図8に示す溶接点通過方法設定部44の必要スタンド数決定部44aにおいては、被圧延材hの製品仕様を満足するために必要な圧延機スタンド数を決定する。
図9に示す製品仕様テーブル81には、被圧延材hの種類81a、被圧延材hの原板板厚81b、および圧延回数毎の出側板厚81cが記憶されている。
必要スタンド数決定部44aは、予め設定してある図9に示す製品仕様テーブル81、図10に示す通板順番テーブル82Aを用いて、2スタンドタンデム圧延機Tの入側における被圧延材hの状態と製品仕様から、何回の圧延が必要であるか、決定する。
本実施形態での2スタンドタンデム圧延機Tは、種類AAA、BBB、CCCの被圧延材hのみ生産しているとすると、必要スタンド数決定部44aは、図10の通板順番テーブル82Aのような被圧延材hを圧延する順番を決定するテーブルを作成し記憶する。
コイルNo.1は、種類AAAであるため、図9の製品仕様テーブル81の圧延回数から、5回の圧延が必要である。そのため、圧延順番82gの1と4と8に、コイルNo.1の被圧延材hが入っており、圧延順番82gが1においては、原板板厚3.2mmを入側板厚とし、圧延2回目の出側板厚1.6mmが2スタンド目の出側板厚となる。圧延順番82gが4においては、圧延順番82gの1で2回圧延しているため、圧延順番82gが1の出側板厚2(82f)1.6mmが入側板厚82dとなり、出側板厚2(82f)は0.9mmとなる。さらに、圧延順番82gが8においては、入側板厚82dが、圧延順番82gが4の出側板厚2(82f)の0.9mmであり、出側板厚1(82e)が0.6mmとなる。
図8に示す溶接点通過方法設定部44のロール開放スタンド決定部44eにおいては、使用可能スタンド判定部44dからの使用可能な圧延機スタンドの情報と、必要スタンド数決定部44aからの情報を基に、ロール開放状態とする圧延機スタンド(#1・#2スタンド圧延機1、2)を決定する。使用可能スタンド判定部44dから、#1スタンド圧延機1、#2スタンド圧延機2が共に使用可能であるとされていても、必要スタンド数決定部44aにおいて、図10に示す圧延順番82gが8の被圧延材hを圧延する場合は圧延機スタンド1基のみ必要であることから、ロール開放スタンド決定部44eは、#1スタンド圧延機1または#2スタンド圧延機2の何れかを開放状態とする。通常は、各圧延機(1、2)の作業ロール1w、2wの実績圧延長が短い方で圧延し、実績圧延長が長い方を開放状態とする。
これを行うのが図8に示す圧延順番設定部43である。
そこで、コイル検索部43a(図8参照)が圧延機スタンド1基を必要圧延機スタンドとする被圧延材hを、図10の通板順番テーブル82Aから検索する。この場合、圧延順番82gが8番目のコイルNo.1の被圧延材hが圧延機スタンド1基を必要としているため、圧延順番82g(図10参照)が7と、圧延順番82gが8及び圧延順番82gが9の被圧延材hを入れ替える。圧延順番8及び圧延順番9は同じ種類AAAであるため、連続して圧延したほうが効率が良いからである。
この場合、通板順番テーブル82Aは、図12に示す通板順番テーブル82Cのように変更される。なお、図12は、通板順番テーブル82AのコイルNo.3を修正後の通板順番テーブル82Cを示す図である。図12において、圧延順番82gを変更した箇所を網掛けで示している。
図8に示す溶接点通過方法選択部44fにおいては、ロール開放スタンド決定部44eにて決定された、圧延機を開放状態とする圧延機スタンド(1、2)の情報と、現在の圧延機スタンド使用状態を基に、図4に示す溶接点通過方法80のケース1〜9の何れを用いて溶接点通過を実施するかを決定する。この時、圧延機スタンド(1、2)の使用状態のみでなく、先行材と後行材の被圧延材hの仕様も確認する。
以上述べたようにして、図8に示す溶接点通過方法設定部44と圧延順番設定部43を用いて、圧延機状態及び被圧延材製品仕様データベース42に記憶する被圧延材製品仕様より図4に示す溶接点通過方法80の何れを用いて溶接点通過処理を実施するか決定する。
図13は、溶接点通過設定値演算部46が設定する設定値を示す図である。
必要となる設定値としては、図13に示すように、先行材及び後行材それぞれの圧延荷重P1、P2、軽圧下荷重Pe1、Pe2、非圧延または圧延に移行する際の経過時間の圧下変更時間(以下では、単に変更時間と称す)Δt1、Δt2、軽圧下保持時間ΔtPe1、ΔtPe2及び、ロール開放量Sopen、ロール開放時間Δtopenがある。なお、軽圧下荷重とは、被圧延材hが弾性変形状態に移行した際の荷重をいう。
ここで、入側及び出側の張力tf、tbについては、引っ張り試験等の実験的手段で求めた変形抵抗値に、操業の安定性からあらかじめ設定した比率をかけたものが用いられる。また、一般に圧延荷重Pの計算値は、実績圧延荷重から学習することが行われており、公知の学習係数Zpが用いられる。
なお、圧延荷重Pについては、ここに示した以外にも種々の計算式があり、何れを用いて圧延荷重P及び軽圧下荷重Peの設定値を計算してもよい。
ロール開放量Sopenについては、図15(b)に示すようにして求める。
すなわち、ロール開放量Sopenについては、軽圧下荷重状態から予め設定した固定値S0(例えば、1mm程度)だけ開放する。ただし、FGC(走間板厚変更)点通過の場合は、後行材の板厚HIIが前行材の板厚HIより厚くなる場合のみ、その分(HII―HI)を加算して開放する。
これは、後行材の板厚が先行材より厚くなる場合は、後行材が作業ロール1w、2wと接触する可能性があるため、その分加算して開放するものである。
変更時間Δt1、Δt2は、5秒程度の固定値を操業の安定性の観点から設定するが、2スタンド分の圧下開放が必要となることから、各圧延機スタンド(1、2)の圧下制御装置の上・下ロール位置制御装置21U、21L、22U、22Lにはそれぞれ動作量制限があるため、それを考慮して変更量が大きい場合は変更時間Δt1、Δt2を予め定めた固定値より長くする必要がある。
そのため、
(1パス目(#1スタンド圧延機1)の変更時間(Δt1)内の出側長さl1)=
(次パス(#2スタンド圧延機2)の変更時間(Δt1)内の入側長さl2)
を条件とする。
ここで、被圧延材hの圧延機入側速度Ve、圧延機出側速度Voとすると、時間tでVeからVoに速度が変化する場合の時間Δtでの速度Vは、下記の式(7)で表せ、Vを時間で積分することで、時間Δtで進む被圧延材hの長さlが式(8)のように求められる。
式(8)より、#1スタンド(1)の変更時間Δt1に進む被圧延材hの出側長さl1は、次の式(9)となる。
#2スタンド(2)における変更時間Δt2における被圧延材hの板厚変動の入側長さl2は、#2スタンド(2)の先進率をf2とすると、次の式(10)で求められる。
#1スタンド(1)の変更時間Δt1でのl1=
#2スタンド(2)の変更時間Δt2でのl2
の関係より、下記の式(11)の変更時間Δt1と変更時間Δt2の関係が求められる。これにより、変更時間Δt1、Δt2が決定される。
なお、図18は、溶接点通過処理時の圧延速度の設定方法の説明するための図であり、(a)は、2スタンドタンデム圧延機Tの概略側面図、(b)は、(a)に対応した#1スタンド圧延機1の圧延荷重を示した図であり、(c)は、(a)に対応した#2スタンド圧延機2の圧延荷重を示した図である。
L#1STD +L#2STD < L12(スタンド間距離)
を満たすVR1を求める。
以上で求めた、溶接点通過設定値及び処理タイミングを用いて、図2に示すロール開放・締込処理部47においては、ロール開放及び締込み処理を各圧延機スタンド(1、2)において実施する。
図2に示す2スタンド連続圧延機Tにおいて、圧延実績と、張力制御、板厚制御等の制御出力より、基準スタンド設定部48にて、最も各圧延機スタンドに対する速度補正出力量が小さくなるような基準速度操作端を基準スタンドとして選択する。速度指令発生部49(図2参照)おいては、基準圧延機スタンドに応じて、各圧延機スタンド(入側のブライドルロール3、出側のピンチロール4を含む)に対する速度指令を決定して出力する。
基準スタンド設定部48において、入側張力、圧延機(1、2)のスタンド間張力、出側張力からファジィ推論により、#2スタンド圧延機が基準の度合いを求める。入側張力検出器13Aの出力である入側張力、スタンド間張力検出器13Bの出力であるスタンド間張力、出側張力検出器13Cの出力である出側張力から、各張力の設定値を引き算して各々、入側張力偏差、スタンド間張力偏差、出側張力偏差を求める。そして、それらの結果より確信度演算部481にて、図19に示されるようなメンバーシップ関数を用いて、各張力に対する確信度を求める。
EM:入側張力が設定より小さい
EP:入側張力が設定より大きい
SM:圧延機スタンド間張力が設定より小さい
SP:圧延機スタンド間張力が設定より大きい
DM:出側張力が設定より小さい
DP:出側張力が設定より大きい
をとる。
IF(EM AND SP)THEN #2圧延機スタンド基準(i)
IF(EM AND SM AND DP)THEN #1圧延機スタンド基準(i+1)
IF(EP AND SM)THEN #2圧延機スタンド基準(i+2)
以上が、基準スタンド設定部48の通常の処理概要である。
なお、図20は、溶接点通過処理時の作業ロール1w、2wの開放・締付け処理の際の基準速度とするスタンド番号の変化の推移を示す説明図であり、(a)は、2スタンドタンデム圧延機Tの模式図、(b)は、#1スタンド圧延機1の圧延荷重の推移を示す図、(c)は、#2スタンド圧延機2の圧延荷重の推移を示す図、(d)は、基準速度設定のために選択された基準スタンドの番号の変化を実線で示す図である。
#2スタンド圧延機2においても同様の考えで、軽圧下状態からロール開放状態までの場合、#1スタンド圧延機1を基準スタンドとする。
図2に示す速度指令発生部49においては、前記した基準スタンドを基に、各速度操作端である入側のブライドルロール3、#1スタンド圧延機1、#2スタンド圧延機2、出側のピンチロール4への速度指令を決定する。
なお、本実施形態においては、2スタンドタンデム圧延機Tにおいて、ロール開放通板処理を実施する場合について説明したが、任意のスタンド数のタンデム圧延機において同様の方法が適用可能である。
1w 作業ロール
2 #2スタンド圧延機(圧延機スタンド)
2w 作業ロール
23 ロール速度制御装置(圧延機スタンド速度制御装置)
24 ロール速度制御装置(圧延機スタンド速度制御装置)
25 速度制御装置(入側速度制御装置)
26 速度制御装置(出側速度制御装置)
41 圧延機状態監視部(圧延機スタンド操業状態取得手段)
42 被圧延材製品仕様データベース(製品仕様情報記憶手段)
43 圧延順番設定部(圧延順番変更手段)
44 溶接点通過方法設定部(溶接点通過方法決定手段)
45 溶接点通過処理タイミング設定部(溶接点通過処理タイミング設定手段)
46 溶接点通過設定値演算部(溶接点通過時目標値設定手段)
47 ロール開放・締込処理部(作業ロール圧下指令出力手段)
48 基準スタンド設定部(基準スタンド設定手段)
49 速度指令発生部(速度指令発生手段)
21L 下ロール位置制御装置(圧下制御装置)
21U 上ロール位置制御装置(圧下制御装置)
22L 下ロール位置制御装置(圧下制御装置)
22U 上ロール位置制御装置(圧下制御装置)
h 被圧延材
S 圧延機制御装置
T 2スタンド連続圧延機(タンデム圧延機)
Claims (15)
- 圧延機スタンドの作業ロールの間隔を制御する圧下制御装置と、前記作業ロールの速度を制御する圧延機スタンド速度制御装置と、前記圧延機スタンドの入側の被圧延材の速度を制御する入側速度制御装置と、前記圧延機スタンドの出側の前記被圧延材の速度を制御する出側速度制御装置とを備え、複数の前記圧延機スタンドを連続的に並べたタンデム圧延機を制御する圧延機制御装置であって、
溶接で連結された被圧延材である先行材及び後行材のそれぞれの製品仕様を記憶する製品仕様情報記憶手段と、
前記複数の圧延機スタンドそれぞれの操業状態の情報を取得する圧延機スタンド操業状態取得手段と、
前記取得された操業状態の情報と前記記憶された今後圧延する被圧延材の製品仕様とに基づき、前記被圧延材の圧延に使用する圧延機スタンドを決定するとともに、前記被圧延材の溶接点が前記使用する圧延機スタンドを通過する前後における当該圧延機スタンドの作業ロールの開放及び締込みの処理過程の類型を決定する溶接点通過方法決定手段と、
前記製品仕様情報記憶手段に記憶された前記先行材と後行材の被圧延材の製品仕様に基づき、前記被圧延材の溶接点が前記使用する圧延機スタンドを通過する前後における当該圧延機スタンドの作業ロールの間隔の制御目標値を設定する溶接点通過時目標値設定手段と、
前記被圧延材の溶接点が前記使用する圧延機スタンドを通過する前後における当該圧延機スタンドに対して前記決定された作業ロールの開放及び締込みの処理過程の類型に従って、その作業ロールの開放又は締込みの処理タイミングを設定する溶接点通過処理タイミング設定手段と、
前記使用する圧延機スタンドにおける前記作業ロールの開放又は締込みの際に、前記複数の圧延機スタンドのそれぞれが開放状態であるか否かに応じて、前記被圧延材の張力を維持制御するために、前記複数の圧延機スタンド速度制御装置の何れか又は前記入側速度制御装置及び前記出側速度制御装置のうちの何れかを基準速度操作装置として決定するとともに、その基準速度操作装置が制御する速度を基準速度として決定する基準速度操作装置設定手段と、
前記基準速度操作装置設定手段にて決定された前記基準速度を基に、前記圧延機スタンド速度制御装置、前記入側速度制御装置、及び前記出側速度制御装置それぞれへの速度指令を決定する速度指令発生手段と、
前記溶接点通過時目標値設定手段により設定された前記作業ロールの間隔の制御目標値、並びに、前記溶接点通過処理タイミング設定手段により設定された前記作業ロールの開放又は締込みの処理タイミングに基づいて前記各圧下制御装置に対して前記作業ロールの開放又は締込みの処理を指令する作業ロール圧下指令出力手段と、を備え、
前記被圧延材の溶接点が前記圧延機スタンドを通過するとき、当該圧延機スタンドの作業ロールを制御する前記圧下制御装置は、前記作業ロール圧下指令出力手段からの前記作業ロールの開放又は締込みの処理の指令に基づいて前記作業ロールの間隔を制御するとともに、前記圧延機スタンド速度制御装置は、前記速度指令発生手段からの前記速度指令に基づいて前記作業ロールの速度を制御することで、前記被圧延材の圧延を制御することを特徴とする圧延機制御装置。 - 前記溶接点通過処理タイミング設定手段は、前記作業ロールの開放及び締込みの処理を、前記圧延機スタンドにおける前記被圧延材の送り方向のその板上の位置に基づいて設定することを特徴とする請求項1に記載の圧延機制御装置。
- 前記溶接点通過時目標値設定手段は、前記作業ロールの開放及び締込みの処理を、前記複数の圧延機スタンドで同時に行わないように前記作業ロールの間隔の制御目標値を設定することを特徴とする請求項1に記載の圧延機制御装置。
- 前記溶接点通過方法決定手段において、前記被圧延材の製品仕様が、使用可能な圧延機スタンドで達成不可と判断された場合に、前記被圧延材の先行材及び後行材それぞれの圧延順番を変更する圧延順番変更手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧延機制御装置。
- 前記溶接点通過方法決定手段において、前記被圧延材の前記製品仕様を、その時点における操業状態の前記圧延機スタンドで達成不可能と判断された場合、
前記各圧下制御装置は、全ての前記圧延機スタンドの作業ロールを開放し、前記被圧延材を未加工の状態で通過させることを特徴とする請求項1に記載の圧延機制御装置。 - 圧延機スタンドの作業ロールの間隔を制御する圧下制御装置と、前記作業ロールの速度を制御する圧延機スタンド速度制御装置と、前記圧延機スタンドの入側の被圧延材の速度を制御する入側速度制御装置と、前記圧延機スタンドの出側の前記被圧延材の速度を制御する出側速度制御装置とを備え、1基の前記圧延機スタンドの圧延機を制御する圧延機制御装置であって、
溶接で連結された被圧延材である先行材及び後行材のそれぞれの製品仕様を記憶する製品仕様情報記憶手段と、
前記圧延機スタンドの操業状態の情報を取得する圧延機スタンド操業状態取得手段と、
前記取得された操業状態の情報と前記記憶された今後圧延する被圧延材の製品仕様とに基づき、前記被圧延材の溶接点が前記圧延機スタンドを通過する前後における当該圧延機スタンドの作業ロールの開放及び締込みの処理過程の類型を決定する溶接点通過方法決定手段と、
前記製品仕様情報記憶手段に記憶された前記先行材と後行材の被圧延材の製品仕様に基づき、前記被圧延材の溶接点が前記圧延機スタンドを通過する前後における当該圧延機スタンドの作業ロールの間隔の制御目標値を設定する溶接点通過時目標値設定手段と、
前記被圧延材の溶接点が前記圧延機スタンドを通過する前後における当該圧延機スタンドに対して前記決定された作業ロールの開放及び締込みの処理過程の類型に従って、その作業ロールの開放又は締込みの処理タイミングを設定する溶接点通過処理タイミング設定手段と、
前記圧延機スタンドにおける前記作業ロールの開放又は締込みの際に、前記圧延機スタンドが開放状態であるか否かに応じて、前記被圧延材の張力を維持制御するために、前記圧延機スタンド速度制御装置、前記入側速度制御装置及び前記出側速度制御装置のうちの何れかを基準速度操作装置として決定するとともに、その基準速度操作装置が制御する速度を基準速度として決定する基準速度操作装置設定手段と、
前記基準速度操作装置設定手段にて決定された前記基準速度を基に、前記圧延機スタンド速度制御装置、前記入側速度制御装置、及び前記出側速度制御装置それぞれへの速度指令を決定する速度指令発生手段と、
前記溶接点通過時目標値設定手段により設定された前記作業ロールの間隔の制御目標値、並びに、前記溶接点通過処理タイミング設定手段により設定された前記作業ロールの開放又は締込みの処理タイミングに基づいて前記圧下制御装置に対して前記作業ロールの開放又は締込みの処理を指令する作業ロール圧下指令出力手段と、を備え、
前記被圧延材の溶接点が前記圧延機スタンドを通過するとき、当該圧延機スタンドの作業ロールを制御する前記圧下制御装置は、前記作業ロール圧下指令出力手段からの前記作業ロールの開放又は締込みの処理の指令に基づいて前記作業ロールの間隔を制御するとともに、前記圧延機スタンド速度制御装置は、前記速度指令発生手段からの前記速度指令に基づいて前記作業ロールの速度を制御することで、前記被圧延材の圧延を制御することを特徴とする圧延機制御装置。 - 前記溶接点通過処理タイミング設定手段は、前記圧延機スタンドにおける前記作業ロールの圧下開放及び締込みのタイミングを、同一の前記製品仕様の被圧延材を以前に圧延したときの設定値又は実績により決定することを特徴とする請求項6に記載の圧延機制御装置。
- 圧延機スタンドの作業ロールの間隔を制御する圧下制御装置と、前記作業ロールの速度を制御する圧延機スタンド速度制御装置と、前記圧延機スタンドの入側の被圧延材の速度を制御する入側速度制御装置と、前記圧延機スタンドの出側の前記被圧延材の速度を制御する出側速度制御装置とを備え、複数の前記圧延機スタンドを連続的に並べたタンデム圧延機を制御する圧延機制御装置の制御方法であって、
製品仕様情報記憶手段は、溶接で連結された被圧延材である先行材及び後行材のそれぞれの製品仕様を記憶し、
圧延機スタンド操業状態取得手段は、前記複数の圧延機スタンドそれぞれの操業状態の情報を取得し、
溶接点通過方法決定手段は、前記取得された操業状態の情報と前記記憶された今後圧延する被圧延材の製品仕様とに基づき、前記被圧延材の圧延に使用する圧延機スタンドを決定するとともに、前記被圧延材の溶接点が前記使用する圧延機スタンドを通過する前後における当該圧延機スタンドの作業ロールの開放及び締込みの処理過程の類型を決定し、
溶接点通過時目標値設定手段は、前記製品仕様情報記憶手段に記憶された前記先行材と後行材の被圧延材の製品仕様に基づき、前記被圧延材の溶接点が前記使用する圧延機スタンドを通過する前後における当該圧延機スタンドの作業ロールの間隔の制御目標値を設定し、
溶接点通過処理タイミング設定手段は、前記被圧延材の溶接点が前記使用する圧延機スタンドを通過する前後における当該圧延機スタンドに対して前記決定された作業ロールの開放及び締込みの処理過程の類型に従って、その作業ロールの開放及び締込みの処理タイミングを設定し、
基準速度操作装置設定手段は、前記使用する圧延機スタンドにおける前記作業ロールの開放又は締込みの際に、前記複数の圧延機スタンドのそれぞれが開放状態であるか否かに応じて、前記被圧延材の張力を維持制御するために、前記複数の圧延機スタンド速度制御装置の何れか又は前記入側速度制御装置及び前記出側速度制御装置のうちの何れかを基準速度操作装置として決定するとともに、その基準速度操作装置が制御する速度を基準速度として決定し、
速度指令発生手段は、前記基準速度操作装置設定手段にて決定された前記基準速度を基に、前記圧延機スタンド速度制御装置、前記入側速度制御装置、及び前記出側速度制御装置それぞれへの速度指令を決定し、
作業ロール圧下指令出力手段は、前記溶接点通過時目標値設定手段により設定された前記作業ロールの間隔の制御目標値、並びに、前記溶接点通過処理タイミング設定手段により設定された前記作業ロールの開放又は締込みの処理タイミングに基づいて前記各圧下制御装置に対して前記作業ロールの開放又は締込みの処理を指令し、
前記被圧延材の溶接点が前記圧延機スタンドを通過するとき、当該圧延機スタンドの作業ロールを制御する前記圧下制御装置は、前記作業ロール圧下指令出力手段からの前記作業ロールの開放又は締込みの処理の指令に基づいて前記作業ロールの間隔を制御するとともに、前記圧延機スタンド速度制御装置は、前記速度指令発生手段からの前記速度指令に基づいて前記作業ロールの速度を制御することで、前記被圧延材の圧延を制御することを特徴とする圧延機制御装置の制御方法。 - 前記溶接点通過処理タイミング設定手段は、前記作業ロールの開放及び締込みの処理タイミングを、前記圧延機スタンドにおける前記被圧延材の送り方向のその板上の位置に基づいて設定することを特徴とする請求項8に記載の圧延機制御装置の制御方法。
- 前記溶接点通過時目標値設定手段は、前記作業ロールの開放及び締込みの処理を、前記複数の圧延機スタンドで同時に行わないように前記作業ロールの間隔の制御目標値を設定することを特徴とする請求項8に記載の圧延機制御装置の制御方法。
- 前記溶接点通過方法決定手段において、前記被圧延材の製品仕様が、使用可能な圧延機スタンドで達成不可と判断された場合、
圧延順番変更手段は、前記被圧延材の先行材及び後行材それぞれの圧延順番を変更することを特徴とする請求項8に記載の圧延機制御装置の制御方法。 - 前記溶接点通過方法決定手段が、前記被圧延材の前記製品仕様を、その時点における操業状態の前記圧延機スタンドで達成不可能と判断した場合、
前記各圧下制御装置は、全ての前記圧延機スタンドの作業ロールを開放し、前記被圧延材を未加工の状態で通過させることを特徴とする請求項8に記載の圧延機制御装置の制御方法。 - 圧延機スタンドの作業ロールの間隔を制御する圧下制御装置と、前記作業ロールの速度を制御する圧延機スタンド速度制御装置と、前記圧延機スタンドの入側の被圧延材の速度を制御する入側速度制御装置と、前記圧延機スタンドの出側の前記被圧延材の速度を制御する出側速度制御装置とを備え、1基の前記圧延機スタンドの圧延機を制御する圧延機制御装置の制御方法であって、
製品仕様情報記憶手段は、溶接で連結された被圧延材である先行材及び後行材のそれぞれの製品仕様を記憶し、
圧延機スタンド操業状態取得手段は、前記圧延機スタンドの操業状態の情報を取得し、
溶接点通過方法決定手段は、前記取得された操業状態の情報と前記記憶された今後圧延する被圧延材の製品仕様とに基づき、前記被圧延材の溶接点が前記圧延機スタンドを通過する前後における当該圧延機スタンドの作業ロールの開放及び締込みの処理過程の類型を決定し、
溶接点通過時目標値設定手段は、前記製品仕様情報記憶手段に記憶された前記先行材と後行材の被圧延材の製品仕様に基づき、前記被圧延材の溶接点が前記圧延機スタンドを通過する前後における当該圧延機スタンドの作業ロールの間隔の制御目標値を設定し、
溶接点通過処理タイミング設定手段は、前記被圧延材の溶接点が前記圧延機スタンドを通過する前後における当該圧延機スタンドに対して前記決定された作業ロールの開放及び締込みの処理過程の類型に従って、その作業ロールの開放又は締込みの処理タイミングを設定し、
基準速度操作装置設定手段は、前記圧延機スタンドにおける前記作業ロールの開放又は締込みの際に、前記圧延機スタンドが開放状態であるか否かに応じて、前記被圧延材の張力を維持制御するために、前記圧延機スタンド速度制御装置、前記入側速度制御装置及び前記出側速度制御装置のうちの何れかを基準速度操作装置として決定するとともに、その基準速度操作装置が制御する速度を基準速度として決定し、
速度指令発生手段は、前記基準速度操作装置設定手段にて決定された前記基準速度を基に、前記圧延機スタンド速度制御装置、前記入側速度制御装置、及び前記出側速度制御装置それぞれへの速度指令を決定し、
作業ロール圧下指令出力手段は、前記溶接点通過時目標値設定手段により設定された前記作業ロールの間隔の制御目標値、並びに、前記溶接点通過処理タイミング設定手段により設定された前記作業ロールの開放又は締込みの処理タイミングに基づいて前記圧下制御装置に対して前記作業ロールの開放又は締込みの処理を指令し、
前記被圧延材の溶接点が前記圧延機スタンドを通過するとき、当該圧延機スタンドの作業ロールを制御する前記圧下制御装置は、前記作業ロール圧下指令出力手段からの前記作業ロールの開放又は締込みの処理の指令に基づいて前記作業ロールの間隔を制御するとともに、前記圧延機スタンド速度制御装置は、前記速度指令発生手段からの前記速度指令に基づいて前記作業ロールの速度を制御することで、前記被圧延材の圧延を制御することを特徴とする圧延機制御装置の制御方法。 - 前記溶接点通過処理タイミング設定手段は、前記圧延機スタンドにおける前記作業ロールの開放及び締込みのタイミングを、同一の前記製品仕様の被圧延材を以前に圧延したときの設定値又は実績により決定することを特徴とする請求項13に記載の圧延機制御装置の制御方法。
- 請求項8から請求項14の何れか一項に記載の圧延機制御装置の制御方法を、コンピュータで実行するためのプログラム。
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