JP6652097B2 - 走間板厚変更方法および走間板厚変更装置 - Google Patents

走間板厚変更方法および走間板厚変更装置 Download PDF

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Description

本発明は、複数のスタンドを有するタンデム圧延機での冷間連続圧延工程における走間板厚変更方法および走間板厚変更装置に関する。
一般に、冷間連続圧延工程では、複数のスタンドを有するタンデム圧延機の入側で先行材の尾端部と後行材の先端部とを溶接し、先行材と後行材とを一つの連続した金属帯としてタンデム圧延機で連続的に圧延する。そして、タンデム圧延機の出側において圧延が完了した金属帯を製品単位の位置で切断し、切断された金属帯をテンションリールで順次に巻き取る。
このような冷間連続圧延工程において、先行材と後行材とが溶接点で接合された被圧延材を、複数のスタンドを有するタンデム圧延機で冷間連続圧延する際、硬度、母板厚及び仕上げ厚のうちのいずれかが先行材と後行材とで異なる場合、先行材と後行材とをそれぞれ目標の板厚に圧延するとともに、ライン停止を可及的に少なくしつつ歩留まりを向上させるために、連続圧延中に溶接点の前後で圧延条件を変化させる「走間板厚変更」が実施されている。通常、走間板厚変更は、溶接点を通過するときに一回のみ行われる(例えば特許文献1ないし2参照)。
例えば、特許文献1に記載の技術では、溶接点前後での板厚変更量が大きい場合であっても、歩留りを低下させないために、各スタンドのロール周速およびロールギャップを制御して走間板厚変更を実施している。また、特許文献2では、溶接点前後の板厚精度を向上させるために、各スタンドの圧延荷重および先進率を用いて張力変動を抑制した走間板厚変更を実施している。
ところで、近年では、要求される製品の板厚がより薄くなっているところ、金属帯の板厚が薄くなるにつれ、溶接点における破断リスクや、テンションリールへの巻付不良リスクなどが上昇するという問題がある。そこで、このような問題を発生させないために、連続圧延中に、溶接点の前後に厚み付け(以下、「厚引き」ともいう)が行われている。
厚引きをすることで、溶接点通過時の圧延荷重を下げて破断リスクを低減することができるとともに、リール巻付時の先端形状も安定するので、巻付不良トラブルも抑止できる。特に、厚引きは、定常部の板厚が薄く且つ溶接点の前後で鋼帯の圧延条件が変化する場合に、高効率で安定して金属帯を製造する上で好適である。
しかし、このような厚引きを行う場合、溶接点とその前後とを含めた3点を走間板厚変更点(以下、「走変点」ともいう)とし、複数のスタンドの圧延条件をきめ細かく制御する必要がある。そのため、特許文献1ないし2に記載の技術のように、溶接点の一点のみを走変点とする走間板厚変更方法では、高効率で安定して金属帯を製造することが困難になりつつあり、被圧延材の破断等のトラブルを防止または抑制する上で不十分である。
ここで、例えば特許文献3に記載の技術では、溶接部前後および耳割れ部での破断を防止するために、溶接部や耳割れ部等の検出部の前後で厚引きが行われている。つまり、同文献記載の技術では、2つの走変点を設定し、走間板厚変更を2回行う厚引きを実施している。しかし、厚引きを実施した厚引区間はオフゲージとなる。そのため、厚引区間(切り捨て長さ)が長大化すると歩留りの低下を招くという問題がある。そこで、厚引きを実施するに際し、オフゲージ部を最小限にするためには、複数の走変点全てがミル内に入る場合や、2つの走変点が同一のスタンド間に入る場合であっても、各スタンドのロール周速およびロールギャップを確実に制御して所期の走間板厚変更を実施することが望ましい。
一方、走間板厚変更を複数回行う場合、全スタンド間のマスフロー変動および走変点通過スケジュール計算がより複雑となる。特に、上述したように、オフゲージ部を最小限にするためには、複数の走変点全てがミル内(開始スタンド〜最終スタンド間)に入る場合や、2つの走変点が同一のスタンド間に入る場合の検討が重要であるところ、特許文献3に記載の技術では、ミル内に走変点が2点入る場合の検討がなされていない。そのため、同文献記載の技術は、厚引区間(切り捨て長さ)の長大化による歩留りが悪化するという問題を解決する上で不十分である。
これに対し、特許文献4では、溶接点前後の切り捨て量を削減するために、溶接点前後を薄くする薄引き技術が開示されている。同文献に開示される薄引き方法は、特許文献3記載の技術と違い、複雑なマスフロー計算およびスケジュール計算の実行により、ミル内に2つの走変点を入れる事を可能にしており、この技術は厚引きにも応用可能である。
同文献記載の技術では、トラッキングの結果に応じ、走間板厚変更の開始前にロールギャップおよびロール周速の変更量を全て算出し、2つの走変点が4つのスタンドを通過する順番に従って順次に制御の変更量を出力している。そのため、同文献記載の技術においては、走間板厚変更の開始前に、複数のスタンドに対応する複数の走変点の通過順序を全て把握している必要があり、同文献では、2つの走変点が4つのスタンドを通過する順序を場合分けで事前に求めている。
しかし、同文献記載の技術は、溶接点の前後で鋼帯の圧延条件が変化しない場合における2点の走間板厚変更に関する技術である。また、同文献記載の技術は、同一の圧延スタンド間には同時に2つの走変点が入らない場合を前提とする技術である。そのため、互いに相違する先行材と後行材とが溶接点で接合された被圧延材に対し、相互の溶接点前後で鋼帯の圧延条件を変化させるという、3つの走変点による走間板厚変更に対応する上では不十分である。
つまり、同文献記載の技術の適用により、溶接点とその前後で先行材と後行材相互の圧延条件を変化させようとする場合、3つの走変点全てがミル内に入る場合や同一スタンド間に2つの走変点が入る場合を含めた処理を実行しようとすると、場合分けの数とそれに対応するスケジュール計算が非常に複雑且つ膨大になる。そのため、機器側の応答速度によって制約される時間内に、必要なマスフロー計算およびスケジュール計算を完了することが困難となる。よって、同文献記載の技術も、走間板厚変更の開始前にトラッキングの結果に応じた変更量を応答可能な時間内に出力する上では未だ検討の余地が残される。
特開2014−12294号公報 特開2009−90348号公報 特開2006−224119号公報 特開2013−35061号公報
このように、特許文献1ないし4に開示される従来の走間板厚変更方法は、複数のスタンドに対する1ないし2点の走変点の位置関係が変化したときに、走間板厚変更処理の直前に、出力すべきロールギャップ値やロール周速値等の変更量を計算する。そのため、スタンド数や走変点の数がより多くなることで、複数のスタンドに対する複数の走変点の通過順序がより複雑に遷移するような走間板厚変更を行うためには、煩雑な計算や場合分けの処理を機器側の応答可能時間内に処理することがより困難となるのである。
特に、互いに相違する先行材と後行材とが溶接点で接合された被圧延材に対し、溶接点の前後で鋼帯の圧延条件が変化する場合において、溶接点とその前後の3つの走変点を設定した走間板厚変更処理を実施するときに、ミル内に3つの走変点が全て入る遷移パターンや、2つの走変点が同一のスタンド間に入る遷移パターンまでも想定するには、機器側の応答可能時間内に所期の処理を完了するという問題がより顕著となる。
つまり、機器側の応答可能時間内に所期の処理が完了できなければ、算出された走変点通過タイミングと実際の走変点通過タイミングとにずれが生じ、各スタンドにそれぞれ出力する変更量が実状を反映しないものになる。また、応答時間に余裕を持たせると、厚引区間(オフゲージ部)が長くなるので、歩留りを向上させることができないことになる。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、互いに相違する先行材と後行材とが溶接点で接合された被圧延材に対して溶接点の前後で鋼帯の圧延条件が変化する場合であっても、被圧延材の破断等のトラブルを防止または抑制するとともに、オフゲージ部を可及的に少なくして歩留まりをより向上させ得る走間板厚変更方法および走間板厚変更装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る走間板厚変更方法は、先行材と後行材とが溶接点で接合された被圧延材を複数のスタンドを有するタンデム圧延機で連続圧延する際に、溶接点とその前後の板厚を定常部の板厚と異なる板厚に圧延する走間板厚変更方法であって、オフラインで行われる制御テーブル設定工程と、オンラインで行われる制御テーブル参照工程とを含み、溶接点および連続圧延中に定常部の板厚と異なる板厚に圧延条件を変える位置を走変点とよぶとき、前記制御テーブル設定工程は、複数のスタンドに対する複数の走変点の各存在位置が遷移することに対応するタンデム圧延機内での位置関係の複数の遷移パターンを設定する遷移パターン設定工程と、各遷移パターンに対する各スタンド毎の圧延条件の制御値を算出するとともにその算出された制御値を各遷移パターンに紐付けされた制御テーブルとして設定する制御情報設定工程とを含み、前記制御テーブル参照工程は、現在走行中の溶接点をトラッキングして随時の溶接点情報を取得するトラッキング工程と、得られた随時の溶接点情報から対応する遷移パターン情報を算出する遷移パターン情報算出工程と、前記遷移パターン情報の算出値の変化を監視し、前記遷移パターン情報の算出値が変化したときに、予め設定されている前記制御テーブルを参照して当該遷移パターン情報に対応する遷移パターンに紐付けされた各スタンド毎の圧延条件の制御値に各スタンドを制御するスタンド制御工程とを含むことを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る走間板厚変更装置は、先行材と後行材とが溶接点で接合された被圧延材を複数のスタンドを有するタンデム圧延機で連続圧延する際に、溶接点とその前後の板厚を定常部の板厚と異なる板厚に圧延する走間板厚変更装置であって、オフラインで制御テーブル設定処理を実行する制御テーブル設定手
段と、オンラインで制御テーブル参照処理を実行する制御テーブル参照手段とを備え、溶接点および連続圧延中に定常部の板厚と異なる板厚に圧延条件を変える位置を走変点とよぶとき、前記制御テーブル設定手段は、複数のスタンドに対する複数の走変点の各存在位置が遷移することに対応するタンデム圧延機内での位置関係の複数の遷移パターンを設定する遷移パターン設定手段と、各遷移パターンに対する各スタンド毎の圧延条件の制御値を算出するとともにその算出された制御値を各遷移パターンに紐付けされた制御テーブルとして設定する制御情報設定手段とを有し、前記制御テーブル参照工程は、現在走行中の溶接点をトラッキングして随時の溶接点情報を取得するトラッキング手段と、得られた随時の溶接点情報から対応する遷移パターン情報を算出する遷移パターン情報算出手段と、前記遷移パターン情報の算出値の変化を監視し、前記遷移パターン情報の算出値が変化したときに、予め設定されている前記制御テーブルを参照して当該遷移パターン情報に対応する遷移パターンに紐付けされた各スタンド毎の圧延条件の制御値に各スタンドを制御するスタンド制御手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、制御テーブルの設定はオフラインで行われるので、機器側の応答時間とは無関係に、煩雑な計算や場合分けの処理を予め行うことができる。そして、オンラインでは、現在走行中の溶接点をトラッキングして遷移パターン情報を算出するとともに、遷移パターン情報の算出値の変化を監視し、遷移パターン情報の算出値が変化したときに、予め設定されている制御テーブルを参照して当該遷移パターン情報に対応する遷移パターンに紐付けされた各スタンド毎の圧延条件の制御値に各スタンドを制御する。
そのため、オンラインの処理では、走変点の通過順序やそれに対応する複数のスタンドの制御値を直前に決定するような煩雑な処理が不要である。よって、煩雑な計算や場合分けなしに、複数回の走間板厚変更を迅速に行うことができる。そのため、本発明によれば、複数のスタンドに対する複数の走変点の通過順序がより複雑に遷移するような走間板厚変更処理であっても、機器側の応答時間内に所望の制御を行うことができる。したがって、本発明によれば、互いに相違する先行材と後行材とが接合された被圧延材に対し、溶接点の前後で鋼帯の圧延条件が変化する場合であっても、被圧延材の破断等のトラブルを防止または抑制するとともに、オフゲージ部を可及的に少なくして歩留まりをより向上させることができる。
上述したように、本発明によれば、被圧延材の破断等のトラブルを防止または抑制するとともに、オフゲージ部を可及的に少なくして歩留まりをより向上させることができる。
本発明の一態様に係る走間板厚変更装置を備える冷間連続圧延設備の一実施形態を示す模式図である。 複数のスタンドに対する被圧延材の厚引き開始点、溶接点および厚引き終了点の3つの走変点で走間板厚変更を行うイメージを示す模式図である。 3つの走変点が6台のスタンドを通過する際の遷移パターン(ミル内における複数の走変点の随時の存在位置)の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態において、遷移パターンに対応するフラグセット(遷移パターン情報)の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る走間板厚変更装置がオフラインで実行する制御テーブル設定処理のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る走間板厚変更装置がオンラインで実行する制御テーブル参照処理のフローチャートである。 オンラインで実行する制御テーブル参照処理の処理イメージを説明する図((a)〜(c))である。 図1の冷間連続圧延設備でのシミュレーション結果を示すグラフ((a)〜(c))であって、同図(a)は、走間板厚変更を3回行った場合のユニット張力変動を示し、同図(b)および(c)は走変点とその近傍での荷重と出側仕上げ厚さを示している。 図1の冷間連続圧延設備でのシミュレーション結果を示すグラフであって、同図は、スタンド間に2つの走変点を入れる制御を行ったときの仕上げ厚さを示している。 本発明の一実施形態に係る走間板厚変更装置の実施例において、溶接点とその前後における3つの走変点での厚引き実施時の最終スタンドにおける圧延速度、板厚偏差および各スタンド間張力の実績値を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
本実施形態の冷間連続圧延設備の構成を図1に示す。なお、同図では、設備に附帯する他の装置(例えば、入側の巻戻機、溶接機およびルーパ、並びに出側の切断機および巻取機等の装置)については図示を省略している。
同図に示すように、この冷間連続圧延設備は、タンデム圧延機10と、そのタンデム圧延機10を制御する圧延制御コンピュータ12と、圧延制御コンピュータ12を含む冷間連続圧延設備を管理する上位コンピュータ11とを備える。
タンデム圧延機10は、通板方向の入側から順に、第一から第六スタンド1〜6を有する連続式冷間タンデム圧延機である。本実施形態の例では、隣接するスタンド間の距離は4mであり、全スタンド数が6スタンドなので、タンデム圧延機10の全長は20mある。
各スタンド1〜6には、速度検出器7と、ワークロールのロール速度を変更する電動機であるロール速度制御機8と、ロールギャップを変更するロールギャップ制御機9とがそれぞれ設置されている。本実施形態では、上位コンピュータ11は、後述する制御テーブルCTをオフラインで設定し、圧延制御コンピュータ12は、上位コンピュータ11から取得した制御テーブルCTに基づき、各スタンド1〜6のロール速度制御機8および各スタンド1〜6のロールギャップ制御機9を制御する処理をオンラインで実行する。
各スタンド1〜6の速度検出器7は、各スタンド1〜6のロールギャップ現在値(ロールギャップのフィードバック値)Tpを圧延制御コンピュータ12にフィードバックする。そして、各スタンド1〜6のロール速度制御機8は、圧延制御コンピュータ12からのロール周速指令Csに応じて各スタンド1〜6のロール速度を制御する。
また、各スタンド1〜6のロールギャップ制御機9は、各スタンド1〜6のロールギャップ現在値(ロールギャップのフィードバック値)Tpを圧延制御コンピュータ12にフィードバックするとともに、圧延制御コンピュータ12からのロールギャップ指令Cpに応じて各スタンド1〜6のロールギャップを制御する。
ここで、このタンデム圧延機10には、図2に厚引き部分のイメージを示すように、先行材Maと後行材Mbとが溶接点Wで接合された被圧延材Mが通板される。本実施形態では、厚引きする部分に対し、溶接点Wの前後に設定する各走変点B、Eと溶接点Wとの走変点間距離(厚引区間)Sa、Sbは、タンデム圧延機10の入側でそれぞれ2mに設定される。圧延後の各走変点間距離Sa、Sbは、タンデム圧延機10の出側で20m程度になる。
厚引きに際しては、同図に示す、厚引き開始点B〜溶接点W〜厚引き終了点Eがこの順に第一から第六スタンド1〜6に通板されるときに、各スタンド1〜6に対して、各走変点B、W、Eが存在する位置に応じた各スタンド1〜6のロールギャップ値およびロール周速値を適切に変更する必要がある。
そのため、本実施形態では、走間板厚変更処理において、厚引きによって複数のスタンド1〜6に対する複数の走変点B、W、Eが存在する全ての遷移状態に対応する遷移パターンを設定する。厚引き圧延を行う場合の複数のスタンドと複数の走変点の位置関係の遷移パターンP1〜Pn(但し、nは、必要に応じて設定される遷移パターンの総数)の一例を示すように、6つのスタンド1〜6で3回の走間板厚変更を行う場合には、多数の遷移パターンを経ることになる。図3に示す例では、合計18の遷移パターンP1〜P18(n=18)を経るイメージを示している。
以下、上記冷間連続圧延設備で実行される走間板厚変更処理について詳しく説明する。本実施形態では、上位コンピュータ11と圧延制御コンピュータ12とにより走間板厚変更装置が構成され、後述する走間板厚変更処理が実行される。
まず、上位コンピュータ11が実行する制御テーブル設定処理のフローチャートを図5に示す。本実施形態の上位コンピュータ11は、圧延制御コンピュータ12の管理を含む圧延設備管理処理および制御テーブル設定処理を実行する第一計算機である。上位コンピュータ11は、先行材Maの圧下スケジュールから後行材Mbの圧下スケジュールへの変更に際し、厚引きのために必要な、各スタンド1〜6に対して想定される3つの走変点B、W、Eの全ての遷移パターンP1〜Pnに応じたロールギャップ値およびロール周速値の制御情報Ctを予めスケジュール計算し、その結果を制御テーブルCTとして格納する。本実施形態の制御テーブル設定処理が、「課題を解決するための手段」に記載する、制御テーブル設定工程および制御テーブル設定手段に対応する。
詳しくは、上流工程で先行材Maと後行材Mbとが溶接点Wで溶接により接合されて、設備内に通板される被圧延材Mが入側上流で決定されると、上位コンピュータ11では、制御テーブル設定処理がオフラインで実行される。制御テーブル設定処理が実行されると、図5に示すように、まず、ステップS11に移行して、圧延が予定される先行材Maと後行材Mbの被圧延材情報を取得する。続くステップS12では、先行材Maと後行材Mbそれぞれに応じた圧下スケジュール計算に必要な圧延条件情報を取得する。被圧延材情報および圧延条件情報は、上位コンピュータ11の記憶装置に予め格納されている。
続くステップS13に処理が移行すると、厚引きに際し、上述した、複数のスタンド1〜6に対する3つの走変点B、W、Eの各存在位置に対応する全ての遷移パターンP1〜Pnを設定する(遷移パターン設定工程)。本実施形態においては、スタンド間に2つの走変点が入る場合も遷移パターンとして設定される(図3参照)。
そして、ステップS14では、各遷移パターンP1〜Pnに対応する各スタンド1〜6の制御情報Ctを、圧延実績等のデータに基づくシミュレーションの結果から予め計算する。本実施形態では、各遷移パターンP1〜Pnについて、被圧延材Mに対応する各スタンド1〜6のロールギャップ値およびロール周速値の制御情報Ctをオフラインで計算する。
つまり、ステップS14に処理が移行すると、複数の遷移パターンP1〜Pnのうち、計算対象とされている遷移パターンPkについて、従来の手順同様に圧下スケジュール計算を行って、各スタンド1〜6毎の圧延条件の制御情報Ct(ロールギャップ値およびロール周速値)をそれぞれ算出する。なお、圧下スケジュール計算における、ロールギャップ値およびロール周速値の演算方法に関しては、例えば特許文献4(特開2013−35061号公報)に記載の技術同様の手順で演算できる。
続くステップS15では、ステップS14で算出された制御情報Ctを遷移パターンPkに紐付けして制御テーブルCTとして設定する。そして、ステップS16では、次の遷移パターンPk(Pk=Pk+1)の有無を確認し、次の遷移パターンPkがあればステップS14に処理を戻して他の遷移パターンPkについてステップS14〜ステップS15の処理を繰り返し、次の遷移パターンPkがなければ(Pk=Pn)ステップS17に移行する。ステップS17では、全ての遷移パターンPkについてそれぞれ紐付けされた圧延条件の制御情報Ctを完成された制御テーブルCTとして格納して処理を終了する(制御情報設定工程)。
次に、圧延制御コンピュータ12がオンラインで実行する制御テーブル参照処理について、図6に示すフローチャートを参照しつつ説明する。本実施形態の制御テーブル参照処理が、「課題を解決するための手段」に記載する、制御テーブル参照工程および制御テーブル参照手段に対応する。
圧延制御コンピュータ12は、設備内に通板される被圧延材Mが入側上流の所定位置に達すると制御テーブル参照処理を実行する第二計算機である。圧延制御コンピュータ12で制御テーブル参照処理が実行されると、図6に示すように、まず、ステップS21に移行して、上位コンピュータ11で予め設定されている制御テーブルCTの内容を記憶領域に格納する。続くステップS22では、現在走行中の溶接点Wのトラッキングを開始して随時の溶接点情報Dtを取得する(トラッキング工程)。
ここで、本実施形態では、溶接点Wにおける溶接部分の搬送方向での長さは、入側で数センチ程度であり、溶接点Wに対応する位置に、トラッキングのためにセンサ検出用の貫通穴が被圧延材Mに穿孔される。本実施形態では、前後二つの走変点B、Eについては、圧延条件から板厚の実績値等のデータを用いて前後二つの走変点B、Eの位置情報を算出する。なお、前後二つの走変点B、Eについても、各走変点B、Eに対応する位置に、トラッキングのためにセンサ検出用の貫通穴を被圧延材Mに穿孔し、溶接点Wと同様にトラッキングを行ってもよい。
溶接点Wのトラッキング方法としては、例えば光学式や磁気式などの検出センサを用いることができる。光学センサは、鋼板の上面または下面から投光器にて光を投光し、溶接点Wに対応して穿孔された検出孔を通過した光を反対の面に設置したカメラなどの受光器にて検出できる。また、磁気センサとしては、例えば渦流式センサなどを設置し、溶接点Wである検出孔が通過したときの磁界の乱れを検出する。圧延制御コンピュータ12は、溶接点Wの検出孔通過情報を溶接点情報Dtとして取得する。
続くステップS23では、得られた随時の溶接点情報Dtから対応する遷移パターン情報Fsを算出する(遷移パターン情報算出工程)。遷移パターン情報Fsは、溶接点Wのトラッキング結果に応じた各スタンドの設定フラグに基づき「フラグセット」として算出される。図4にフラグセットの算出結果の一例を示す。
圧延制御コンピュータ12は、第一スタンド1から第六スタンド6にそれぞれ対応するカウンタを有しており、3つの走変点B、W、Eがいずれか一のスタンドの中心位置を通過する毎に、対応するカウンタをカウントアップするように構成されている。本実施形態では、圧延制御コンピュータ12は、溶接点Wのトラッキング結果に基づいて、3つの走変点B、W、Eの随時の位置情報を演算する。そして、3つの走変点B、W、Eの位置情報と、全スタンド1〜6の中心位置との相対位置を判断する。3つの走変点B、W、Eの位置情報は、各スタンド1〜6のロール周速と先進率を用いて算出できる。なお、全スタンド1〜6の中心位置の設定は、機器側の応答速度等を考慮して、スタンドを通過する直前位置が設定される。
圧延制御コンピュータ12は、上記相対位置の判断により、いずれか一の走変点の位置情報といずれか一のスタンドの中心位置とが一致したときに、当該いずれか一のスタンドの固有フラグのビットをカウントアップする。これにより、3つの走変点B、W、Eの位置情報と全スタンド1〜6の中心位置との相対位置の関係は、全スタンド1〜6のカウンタの値の組み合わせを「フラグセット」として、全スタンド1〜6に対する3つの走変点B、W、Eの位置関係と1対1に対応した値として取得できる。圧延制御コンピュータ12で算出したフラグセットの値は、遷移パターン情報Fsとして記憶領域に格納される。
続くステップS24では、遷移パターン情報Fsの変化が監視される。つまり、フラグセットの値が変化していないときはステップS22に処理を戻し、フラグセットの値が変化したときは、ステップS25に移行する。ステップS25では、予め設定されている制御テーブルCTを参照し、当該遷移パターン情報Fsに対応する遷移パターンPsに紐付けされた各スタンド1〜6毎の圧延条件の制御情報Ctが呼び出される。
続くステップS26では、制御情報Ctとして呼び出されたロールギャップ値およびロール周速値のデータからロールギャップ現在値Tpおよびロール周速度現在値Tsをそれぞれ差分することで必要な変更量を求め、続くステップS27では、6台のスタンド1〜6それぞれのロール速度制御機8とロールギャップ制御機9に対して対応する変更量をそれぞれロール周速指令Csおよびロールギャップ指令Cpとして出力して処理をステップS22に戻す(スタンド制御工程)。
次に、本実施形態の冷間連続圧延設備での走間板厚変更装置の連続圧延中の動作について説明する。
本実施形態の冷間連続圧延設備において、タンデム圧延機10にて被圧延材Mの通板が開始されると、圧延制御コンピュータ12は、上位コンピュータ11からの指令により、制御テーブル参照処理をオンラインで実行する。
圧延制御コンピュータ12は、予め設定されている制御テーブルCTの情報を取得するとともに、現在走行中の溶接点Wのトラッキングを開始する。そして、連続圧延中の被圧延材Mの動きに伴なう溶接点Wの位置に基づき、3つの走変点B、W、Eの随時の位置を算出して遷移パターン情報Fsを生成する。さらに、その遷移パターン情報Fsの算出値の変化を監視する。
そして、遷移パターン情報Fsの算出値が変化したときに、制御テーブルCTを参照し、当該遷移パターン情報Fsに対応する遷移パターンPsに紐付けされた各スタンド1〜6毎の圧延条件の制御情報Ctを呼び出す。遷移パターン情報Fsは、いずれか一の走変点が各スタンド1〜6を通過する度に変化するため、それに応じて、各スタンド1〜6のロールギャップ値およびロール周速値が制御テーブルCTから呼び出される。
そして、圧延制御コンピュータ12は、ロールギャップ現在値Tpおよびロール周速度現在値Tsとの差異から、制御すべき差分量として、ロールギャップ変更量およびロール速度変更量を算出し、各スタンド1〜6毎のアクチュエータであるロール速度制御機8とロールギャップ制御機9とに変更量の制御指令である、ロール周速指令Csおよびロールギャップ指令Cpを出力する。ロール速度制御機8は、圧延制御コンピュータ12からロール周速指令Csを受けるとそれに従ってロール周速を変更する。また、ロールギャップ制御機9は、圧延制御コンピュータ12からロールギャップ指令Cpを受けるとそれに従ってロールギャップ値を変更する。
ここで、圧延制御コンピュータ12がオンラインで実行する制御テーブル参照処理の処理イメージを図7に示す。同図は、図3において、遷移パターンP9から遷移パターンP10に遷移する際のイメージを例に示しており、随時の遷移パターンに対し(同図(a))、トラッキングに基づくフラグセットである遷移パターン情報Fsを算出し(同図(b))、その算出結果に対して対応する遷移パターンPsに紐付けられたロールギャップ値およびロール周速値の制御情報Ctが、予め設定されている制御テーブルCTから呼び出される(同図(c))、という一連の処理の対応関係のイメージを示している。
つまり、本実施形態では、同図に示すように、溶接点Wのトラッキング結果により、6台のスタンド1〜6に対し、いずれか一の走変点がいずれか一のスタンドを通過したと判定されたときに、対応するスタンド(この例では第二スタンド2)の固有フラグがカウントアップ(この例では2→3)してフラグセットがFs9からFs10に更新される。そして、フラグセットが更新されたときに、予め格納された制御テーブルCTから、更新後のフラグセットFs10に対応する遷移パターン10に紐付けされたロールギャップ値およびロール周速値の制御情報Ctが直ちに呼び出されるのである。
これにより、圧延制御コンピュータ12は、呼び出されたロールギャップ値およびロール周速値の制御情報Ctから、ロールギャップ現在値Tpおよびロール周速度現在値Tsをそれぞれ差分することで必要な変更量を求め、6台のスタンド1〜6それぞれのロール速度制御機8とロールギャップ制御機9に対して対応する変更量を迅速に出力することができる。
[実施例]
上記実施形態の走間板厚変更装置によって、溶接点Wを含む3回の走間板厚変更を行うことが可能であることを示すために、シミュレーション計算を行った。
シミュレーション条件としては、先行材Maとして、母板厚さが1.8mm、変形抵抗(l=63.2m=0.270n=0.0337)、後行材Mbとして、母板厚さが1.8mm、変形抵抗(l=67.7m=0.270n=0.0340)の条件を用い、厚引き中の厚引区間Sの仕上げ厚さを0.2mm、厚引き時以外の定常部Ra、Rbの仕上げ厚さを0.15mmとしてシミュレーション計算を行った。なお、本シミュレーションでは、先行材Maおよび後行材Mbの母板厚さおよび仕上げ厚さは不変だが、先行材Maおよび後行材Mb相互の変形抵抗が異なるので、溶接点Wでの走間板厚変更を含む3回の走間板厚変更が必要である。
図8に、上記実施形態の走間板厚変更装置を用いた走間板厚変更方法で行った走間板厚変更中の張力変化および仕上げ厚を示す。なお、同図は、3回の走間板厚変更において、スタンド間に1つの走変点のみが位置する場合の例である。
同図に示すように、上記実施形態の走間板厚変更装置を用いた走間板厚変更方法によれば、先行材Maと後行材Mbとが異なる材料であっても、各スタンド間の動きにおいて、グラフに急峻な動作が無く張力が安定していることがわかる(同図(a))。また、同様に、第六スタンド6での圧下荷重を示すグラフにおいても、グラフに急峻な動作が無く、圧下荷重の制御結果も安定していることがわかる(同図(b))。
そして、同図(c)は、厚引き部分とその近傍での板厚の結果であり、同図から、先行材Maと後行材Mbとが異なる材料であっても、3つの走変点B、W、Eによる走変点制御により、所期の厚引き(板厚0.15→0.2→0.15とする厚引き)が、安定した張力条件下および圧下条件下にて行えていることがわかる。このように、上記実施形態の走間板厚変更装置を用いた走間板厚変更方法によれば、張力変動を抑制しつつ、仕上げ厚さを目標値に制御できていることから、3回の走間板厚変更が可能なことがわかる。
次に、図9に、図8に示した結果をもたらしたロールギャップ値およびロール周速値において、スタンド間に2つの走変点を入れた変更パターンの結果を示す。同図から、走変点がスタンドを通過するタイミングで、フラグセットに対応する遷移パターンに応じたロールギャップ値およびロール周速値の変更量をロール速度制御機8およびロールギャップ制御機9に出力できていることがわかる。
つまり、同図からわかるように、スタンド間に2つの走変点を入れた場合であっても、3回の走間板厚変更が可能であり、また、スタンド間に1つの走変点のみが位置する場合は、厚引き長が120[m]となってしまうのに対し(図8(c)参照)、スタンド間に2つの走変点を入れることで、厚引き長さを半分の60[m]まで削減できていることがわかる。
図10は、実機において、仕上厚さ0.188mm(厚引き厚さ0.220mm)から仕上厚さ0.172mm(厚引き厚0.210mm)まで、溶接点Wの前後における3つの走変点に亘る厚引区間において、厚引き実施時の最終スタンド6における圧延速度、板厚偏差および各スタンド間張力の実績値を示すグラフである。同図からわかるように、本実施形態の走間板厚変更装置およびこれによる走間板厚変更方法が、実機において、複数回行う走間板厚変更を煩雑な計算や場合分けなしで、安定した制御を迅速に行えることが確認できた。
次に、本実施形態の走間板厚変更装置およびこれによる走間板厚変更方法の作用効果について説明する。
上述したように、本実施形態によれば、複数の走間板厚変更点B、W、Eの位置情報をトラッキングにより取得し、当該トラッキング結果から走変点B、W、Eが各スタンド1〜6を通過する直前に、予め計算で求めていた制御テーブルCTを参照し、ロールギャップ変更量と周速変更量を算出して、制御値を変更する制御指令Cs、Cpを迅速に出力できる。よって、本実施形態によれば、冷間連続圧延設備において、溶接点前後で異なる板厚や変形抵抗を持つ被圧延材同士を接合し、かつ溶接点近傍で定常圧延部と異なる板厚設定を行うことができる。
また、本実施形態によれば、一つの溶接点Wに対し最大3回まで走間板厚変更が可能であり、且つ3つの走変点B、W、E全てがミル内(開始スタンド1〜最終スタンド6間)に入る場合や、2つの走変点が同一スタンド間に入る場合であっても走間板厚変更制御が可能なので、被圧延材Mの破断等のトラブルを防止または抑制するとともに、オフゲージ部を可及的に少なくして歩留まりをより向上させることができる。
特に、本実施形態と従来の走間板厚変更方法との最大の違いは、現在走行中の溶接点Wをトラッキングし、そのトラッキング結果に応じて随時の3つの走変点B、W、Eの位置から遷移パターン情報Fsを生成し、遷移パターン情報Fsの算出値であるフラグセットの値が変化したときに、予め設定されている制御テーブルCTを参照して、フラグセットに対応する遷移パターンPsに紐付けされた各スタンド毎の圧延条件の制御値に各スタンドを制御する点にある。
つまり、従来の走間板厚変更方法では、走間板厚変更の開始前の時点にて、走変点の通過順序をオンラインで把握して、各スタンドを制御する変更量を算出するため、順序把握のための演算や場合分けが非常に煩雑なものとなり、6つのスタンドで3回の走間板厚変更を行うような、複雑な走間板厚変更処理が実現困難であった。
これに対し、本実施形態の走間板厚変更装置およびこれを用いた走間板厚変更方法では、上位コンピュータ11がオフラインで各スタンド1〜6と3つの走変点B、W、Eの全ての位置関係を遷移パターンP1〜Pnとして設定しておいて、各遷移パターンP1〜Pnに対しロールギャップ値とロール周速値とを予め制御情報Ctとして算出した制御テーブルCTを設定し、各遷移パターンP1〜Pnと制御情報Ctの算出結果とを紐付けている。
そして、圧延制御コンピュータ12は、オンラインで、現在走行中の溶接点Wのトラッキング結果に応じ、遷移パターン情報Fsであるフラグセットが変化したら、そのフラグセットに対応する遷移パターンPsに紐付けられている制御情報Ctを呼び出し、そこからロールギャップ現在値Tpおよびロール周速度現在値Tsのフィードバック量を差分し、その差分結果をロールギャップ指令Csおよびロール周速指令Cpとしてロールギャップ制御機9およびロール速度制御機8に迅速に出力できる。
よって、本実施形態によれば、制御テーブルCTの設定はオフラインで行われるので、機器側の処理応答時間とは無関係に、煩雑な計算や場合分けの処理を予め行うことができる。そして、オンラインでは、現在走行中の溶接点Mをトラッキングして遷移パターン情報Fsを算出するとともに、遷移パターン情報Fsの算出値の変化を監視し、遷移パターン情報Fsの算出値が変化したときに、予め設定されている制御テーブルCTを参照して対応する遷移パターンPsに紐付けされた各スタンド毎の圧延条件の制御値に各スタンドを制御するため、オンラインの処理では、走変点の通過順序やそれに対応する複数のスタンドの制御値を直前に決定するような煩雑な処理が不要となる。
したがって、本実施形態によれば、煩雑な計算や場合分けなしに、複数回の走間板厚変更を迅速に行うことができる。そのため、複数のスタンド1〜6に対する複数の走変点B、W、Eの通過順序がより複雑に遷移するような走間板厚変更処理であっても、機器側の処理応答時間内に所望の制御を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、互いに相違する先行材Maと後行材Mbとが接合された被圧延材Mに対して溶接点Wの前後で鋼帯の圧延条件が変化する場合であっても、被圧延材Mの破断等のトラブルを防止または抑制するとともに、オフゲージ部を可及的に少なくして歩留まりをより向上させることができるのである。
また、本実施形態の走間板厚変更装置および走間板厚変更方法では、オンラインで事前に走変点の通過順を指定しないので、機器側の応答速度が遅いシステムに適用する場合であっても、実際の走変点通過順序と変更量出力順序がずれることを防ぐ効果もある。よって、被圧延材の破断等のトラブルを防止または抑制するとともに、オフゲージ部を可及的に少なくして歩留まりをより向上させる上で優れている。
なお、本発明に係る走間板厚変更装置および方法は、厚引きを行う場合に限定されず、薄引き圧延や2段階走間板厚変更等を行う場合にも適用可能であり、複数の走変点をトラッキングして複数のスタンドに対する制御量を出力する種々の圧延プロセスに広く適用することができる。
1 第一スタンド
2 第二スタンド
3 第三スタンド
4 第四スタンド
5 第五スタンド
6 第六スタンド
7 速度検出器
8 ロール速度制御機(電動機)
9 ロールギャップ制御機
10 タンデム圧延機
11 上位コンピュータ(第一計算機)
12 圧延制御コンピュータ(第二計算機)
Ct 制御情報(圧延条件の制御値)
Cs ロール周速指令
Cp ロールギャップ指令
CT 制御テーブル
Dt トラッキング情報(溶接点情報)
B 厚引き開始点(走変点)
E 厚引き終了点(走変点)
S 厚引区間
Sa 先行材の厚引区間
Sb 後行材の厚引区間
Ra 先行材の定常部
Rb 後行材の定常部
W 溶接点(走変点)
Fs フラグセット(遷移パターン情報)
Ps フラグセットに対応する遷移パターン
M 被圧延材
Ma 先行材
Mb 後行材
P1〜P18〜Pn 遷移パターン
Ts ロール周速度現在値
Tp ロールギャップ現在値

Claims (5)

  1. 先行材と後行材とが溶接点で接合された被圧延材を複数のスタンドを有するタンデム圧延機で連続圧延する際に、溶接点とその前後の板厚を定常部の板厚と異なる板厚に圧延する走間板厚変更方法であって、
    オフラインで行われる制御テーブル設定工程と、オンラインで行われる制御テーブル参照工程とを含み、
    溶接点および連続圧延中に定常部の板厚と異なる板厚に圧延条件を変える位置を走変点とよぶとき、
    前記制御テーブル設定工程は、複数のスタンドに対する複数の走変点の各存在位置が遷移することに対応するタンデム圧延機内での位置関係の複数の遷移パターンを設定する遷移パターン設定工程と、各遷移パターンに対する各スタンド毎の圧延条件の制御値を算出するとともにその算出された制御値を各遷移パターンに紐付けされた制御テーブルとして設定する制御情報設定工程とを含み、
    前記制御テーブル参照工程は、現在走行中の溶接点をトラッキングして随時の溶接点情報を取得するトラッキング工程と、得られた随時の溶接点情報から対応する遷移パターン情報を算出する遷移パターン情報算出工程と、前記遷移パターン情報の算出値の変化を監視し、前記遷移パターン情報の算出値が変化したときに、予め設定されている前記制御テーブルを参照して当該遷移パターン情報に対応する遷移パターンに紐付けされた各スタンド毎の圧延条件の制御値に各スタンドを制御するスタンド制御工程とを含むことを特徴とする走間板厚変更方法。
  2. 前記複数の走変点は、一つの溶接点に対して3点まで設定可能であり、
    前記遷移パターンおよびこれに対応する前記遷移パターン情報は、3点の走変点全てが開始スタンドから最終スタンドまでに位置するパターンと、3点のうちの2点の走変点が同一のスタンド間に入るパターンとを含むものである請求項1に記載の走間板厚変更方法。
  3. 前記遷移パターン情報算出工程では、前記一つの溶接点をトラッキングすることにより、各スタンドのロール周速と先進率を用いて前記3つの走変点の位置を算出し、
    前記スタンド制御工程では、複数のスタンドと3つの走変点の位置関係が変化する直前に、前記制御テーブルから各スタンドのロールギャップ値とロール周速値の制御値を呼び出し、その制御値となるように各スタンドを制御する請求項2に記載の走間板厚変更方法。
  4. 前記制御テーブルは、複数のスタンドと3つの走変点の位置関係が取り得る全ての遷移パターンにおけるロールギャップ値およびロール周速値が予め算出されて格納されており、
    前記スタンド制御処理工程は、前記トラッキングの結果に基づき生成された前記遷移パターン情報と前記制御テーブル内の遷移パターンとを比較して、前記制御テーブル内の対応する遷移パターンに応答するロールギャップ値およびロール周速値からそれらの現在値を差分して求めた変更量を各スタンドに出力する請求項1〜3のいずれか一項に記載の走間板厚変更方法。
  5. 先行材と後行材とが溶接点で接合された被圧延材を複数のスタンドを有するタンデム圧延機で連続圧延する際に、溶接点とその前後の板厚を定常部の板厚と異なる板厚に圧延する走間板厚変更装置であって、
    オフラインで制御テーブル設定処理を実行する制御テーブル設定手段と、オンラインで制御テーブル参照処理を実行する制御テーブル参照手段とを備え、
    溶接点および連続圧延中に定常部の板厚と異なる板厚に圧延条件を変える位置を走変点とよぶとき、
    前記制御テーブル設定手段は、複数のスタンドに対する複数の走変点の各存在位置が遷移することに対応するタンデム圧延機内での位置関係の複数の遷移パターンを設定する遷移パターン設定手段と、各遷移パターンに対する各スタンド毎の圧延条件の制御値を算出するとともにその算出された制御値を各遷移パターンに紐付けされた制御テーブルとして設定する制御情報設定手段とを有し、
    前記制御テーブル参照工程は、現在走行中の溶接点をトラッキングして随時の溶接点情報を取得するトラッキング手段と、得られた随時の溶接点情報から対応する遷移パターン情報を算出する遷移パターン情報算出手段と、前記遷移パターン情報の算出値の変化を監視し、前記遷移パターン情報の算出値が変化したときに、予め設定されている前記制御テーブルを参照して当該遷移パターン情報に対応する遷移パターンに紐付けされた各スタンド毎の圧延条件の制御値に各スタンドを制御するスタンド制御手段とを有することを特徴とする走間板厚変更装置。
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