JP2013038979A - グロメット - Google Patents

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Abstract

【課題】より安定して止水性能を確保すること。
【解決手段】グロメット20は、バーリング部14を含む立ち壁部を有するワイヤーハーネス1挿通用の貫通孔部12において止水を図るための部材である。グロメット20は、ワイヤーハーネス1を挿通可能且つワイヤーハーネス1の外周部に密着可能な筒部32と、筒部32の先端側に設けられ、バーリング部14の内周部に密着可能なシール部36とを有するシール部材30と、シール部36をバーリング部14の内周部に押し付け可能な筒状のシール押付部52と、シール押付部52の外周側に設けられ、立ち壁部に対して貫通孔部12の貫通方向に係止可能な係止部56とを有し、シール部材30に取り付けられる固定部材50とを備える。
【選択図】図3

Description

自動車の金属パネル等に形成されたワイヤーハーネス挿通用の貫通孔における止水技術に関する。
特許文献1には、ワイヤーハーネス挿通用の壁部に形成された貫通孔における止水を行うためのグロメットが開示されている。特許文献1で対象とする貫通孔は、バーリング部を有するバーリング孔である。このグロメットは、弾性材料からなるアウター部材と、剛性材料からなるインナー部材とを備えている。アウター部材は、一方を開口端、他方を閉鎖端とした短円筒状の大径筒部と、大径筒部の開口端の端縁の全周に径方向外向きに突出する楕円環状のリップ部と、リップ部の基端部付近から径方向内向きに突出する楕円環状の孔端当接部と、閉鎖端と孔端当接部との間に形成された嵌合溝を有している。また、インナー部材は、直線凹部と半円凹部とを有する楕円環状に形成され、直線凹部及び半円凹部の全周に径方向外向きに突出する楕円環状のリップ押え部と、直線凹部の両端近傍に壁部に当接する係止面を有する固定用係止爪と直線凹部における固定用係止爪の間隔部分及び半円凹部に設けられた補助係止爪とを有している。固定用係止爪及び補助係止爪は、径方向内側に撓むように形成されている。
インナー部材は、リップ押え部が嵌合溝に嵌め込まれることによりアウター部材に組み付けられる。そして、インナー部材を貫通孔に挿入することにより、固定用係止爪及び補助係止爪が径方向内側に撓んでからもとの形状に復帰して壁部に係止し、リップ部が壁部に押し付けられると共に、孔端当接部がバーリング部に押し付けられている。
特開平9−63385号公報
しかしながら、特許文献1のグロメットは、貫通孔部に対する取り付け方向にリップ部及び孔端当接部を弾性変形させることにより密着させて止水性を確保しているため、アウター部材及びインナー部材の製造時の製品誤差に加え、貫通孔部に対する押し付け力、固定用係止爪及び補助係止爪の係止態様等の取り付け態様による取り付け方向における誤差の影響により、リップ部及び孔端当接部の弾性変形量が比較的変化しやすい。このため、グロメットによる止水性能にばらつきが生じる恐れがあった。
そこで、本発明は、より安定して止水性能を確保することを目的とする。
第1の態様は、筒状壁部を含む立ち壁部を有するワイヤーハーネス挿通用の貫通孔部において止水を図るためのグロメットであって、前記ワイヤーハーネスを挿通可能且つ前記ワイヤーハーネスの外周部に密着可能な筒部と、前記筒部の先端側に設けられ、前記筒状壁部の内周部又は外周部に密着可能なシール部とを有するシール部材と、前記シール部を前記筒状壁部の内周部又は外周部に押し付け可能な筒状のシール押付部と、前記シール押付部の外周側又は内周側に設けられ、前記立ち壁部に対して前記貫通孔部の貫通方向に係止可能な係止部とを有し、前記シール部材に取り付けられる固定部材とを備える。
第2の態様は、第1の態様に係るグロメットであって、前記係止部は、前記シール押付部の周方向複数箇所に設けられている。
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るグロメットであって、前記係止部は、前記立ち壁部の前記筒状壁部の先端部から先端側に突出する突出壁部に形成された前記係止用穴部に嵌合可能な係止凸部を有している。
第4の態様は、第3の態様に係るグロメットであって、前記係止部は、前記突出壁部を挿入可能な枠部を有し、前記係止凸部は、前記枠部の内周部から突出する形状に形成され、前記枠部内に挿入される前記突出壁部の前記係止用穴部に嵌合する。
第5の態様は、第1〜第4のいずれか一態様に係るグロメットであって、前記シール部材は、前記固定部材に対して前記筒部における基端側から接触する規制部をさらに有している。
第6の態様は、第1〜第5のいずれか一態様に係るグロメットであって、前記シール部は、外周側又は内周側に突起し且つ周方向に沿って延在するシール凸部を有している。
第7の態様は、第1〜第6のいずれか一態様に係るグロメットであって、前記シール部は、前記筒部の外周側に設けられると共に前記筒状壁部の内周部に密着可能に設けられ、前記シール押付部は、前記シール部を前記筒状壁部の内周部に押し付け可能に設けられている。
第1の態様に係るグロメットによると、シール部材に取り付けられる固定部材の係止部が立ち壁部に対して貫通孔部の貫通方向に係止した状態で、シール部材のシール部が固定部材のシール押付部により筒状壁部の内周部又は外周部に押し付けられるため、グロメットの貫通孔部に対する取り付け態様により取り付け方向における誤差が生じたとしても、止水性能は影響されず、より安定して止水性能を確保することができる。
第2の態様に係るグロメットによると、係止部がシール押付部の周方向複数箇所に設けられているため、取り付け状態における安定性を向上させることができる。
第3の態様に係るグロメットによると、係止部が突出壁部に形成された係止用穴部に嵌合可能な係止凸部を有しているため、貫通孔部に対する貫通方向の位置決めをより確実に行うことができる。
第4の態様に係るグロメットによると、枠部内に挿入される突出壁部の係止用穴部内に係止凸部が嵌合することにより、係止部が立ち壁部に対して前記貫通孔部の貫通方向に係止するため、より確実に貫通孔部に対する取り付け状態を維持することができる。
第5の態様に係るグロメットによると、シール部材が、固定部材に対して筒部における基端側から接触する規制部を有しているため、固定部材に対するシール部材の位置決めがより確実にされ、貫通孔部に対する止水位置を安定させることができる。
第6の態様に係るグロメットによると、シール部は、外周側又は内周側に突起し且つ周方向に沿って延在するシール凸部を有しているため、より止水性能を向上させることができる。
第7の態様に係るグロメットによると、シール部が筒部の外周側に設けられると共に筒状壁部の内周部に密着可能に設けられているため、突出壁部の係止用穴部に係止する係止部は筒部の外周側に位置し、外周側から係止部の位置を確認しつつ貫通孔部に対する取り付け、取り外し作業を行えるため、作業性の向上を図ることができる。
グロメットの取り付け位置を示した貫通孔部の正面図である。 立ち壁部の斜視図である。 図1のIII−III線断面図である。 図1のIV−IV線断面図である。 シール部材の側断面図である。 固定部材の側断面図である。 係止前の係止部とブラケットとを示す側面図である。 係止状態の係止部とブラケットとを示す側面図である。
以下、実施形態に係るグロメット20について説明する(図1参照)。このグロメット20は、ワイヤーハーネス1挿通用の貫通孔部12において止水を図るためのものである。
ワイヤーハーネス1は、複数の電線(一本の場合もある)を配索経路に沿って結束して構成された部材である。ワイヤーハーネス1には、電線束の外周部にテープ、シート等の巻き付けが施されている部分もある。
<貫通孔部>
説明の便宜上、対象となる貫通孔部12について説明しておく(図1〜図3参照)。対象となる貫通孔部12は、自動車の車体における金属パネル等のパネル10に形成されるものである。この貫通孔部12は、立ち壁部を有する形状の孔部である。より具体的には、貫通孔部12の立ち壁部は、貫通孔の開口縁部に立設された筒状壁部としてのバーリング部14と、バーリング部14の先端部から突出する突出壁部としてのブラケット16とを有している。ここでは、ブラケット16は、バーリング部14の周方向において中心軸を挟んで対向する2箇所に設けられている(図1参照)。このブラケット16は、バーリング部14と略同じ厚さでバーリング部14から突出する略矩形板状に形成されている(図3参照)。また、ブラケット16には、バーリング部14の内外方向に開口する係止用穴部18が形成されている。ここでは、係止用穴部18は、略三角形状に開口し、バーリング部14の内外方向に貫通する貫通孔である(図2参照)。より具体的には、係止用穴部18は、ブラケット16の先端側に先端部に沿った直線状の内周部を有している。ここでは、貫通孔部12は、略円形に形成されている例で説明する。すなわち、バーリング部14は、略円筒形状に形成されている。
ここでは、貫通孔部12は、パネル10に貫通孔を形成した後に、バーリング加工により前記貫通孔の開口縁部を立ち上げてバーリング部14が形成されると共に、バーリング部14の先端部に溶接によりブラケット16が設けられている。もっとも、貫通孔部12は、立ち壁部全体が貫通孔の開口縁部に溶接して構成されていてもよい。
この貫通孔部12には、ワイヤーハーネス1が挿通配索される。そして、パネル10を挟んだ両領域間で止水を図るため、貫通孔部12とワイヤーハーネス1との隙間をグロメット20により塞ぐ。
<グロメット>
グロメット20は、シール部材30と、シール部材30に取り付けられる固定部材50とを備えている(図3、図4参照)。
シール部材30は、貫通孔部12とワイヤーハーネス1とに対して密着して、その隙間を塞ぐ部材である。このシール部材30は、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、エラストマー等の比較的弾性変形しやすい(対象に密着し易い)材料によって形成されている。シール部材30は、全体として略筒状に形成され、筒部32と、接続部35と、シール部36と、規制部38とを有している(図5参照)。
筒部32は、ワイヤーハーネス1を挿通可能且つ挿通方向において部分的にワイヤーハーネス1の外周部に密着可能に形成されている。この筒部32は、シール部材30の基端部から先端部に亘って延在する部分である。ここでは、筒部32は、略円筒形状に形成され、小径部33と大径部34とを有している。
小径部33は、シール部材30の基端部に位置する部分であり、挿通されるワイヤーハーネス1の外周部に密着する部分である。この小径部33は、ワイヤーハーネス1の外径と同じかそれより小さい内径に設定されている。そして、小径部33を拡げてワイヤーハーネス1を通し、小径部33がワイヤーハーネス1の外周部に密着した状態で、小径部33とそこから延出するワイヤーハーネス1との外周部に水密性を有するテープ(図示省略)を巻きつけること等により、このワイヤーハーネス1と小径部33との間の止水をより確実にしておくとよい。また、ワイヤーハーネス1における電線束の外周部と小径部33との間において止水剤又は止水シート等により止水処理が施されることもある。この場合も、電線束に止水剤が塗布又は止水シートが取り付けられたワイヤーハーネス1に対して、小径部33が密着すると言うものとする。
大径部34は、小径部33の先端部からグロメット20の先端部に亘って延在する部分であり、小径部33より大径に形成されている。ここでは、大径部34は、小径部33から先端側に向けて徐々に大径になった後、挿通方向に沿って延在する形状に形成されている。なお、大径部34は、挿通方向の一部分に蛇腹形状の部分を含んでいてもよい。
また、大径部34の先端側部分における外周側には円筒形状のシール部36が設けられている。大径部34とシール部36とは、シール部材30の先端側における端部同士で接続部35により間隔をあけて接続されている。そして、大径部34、シール部36及び接続部35の内側には、シール部材30の基端側に向けて開口する環状の凹部39が形成されている。この凹部39は、後述する固定部材50のシール押付部52を収容可能な内部空間を有している。より具体的には、凹部39の内部空間は、上記固定部材50のシール押付部52の外部形状と略同じ大きさに設定されている。
シール部36は、バーリング部14の内周部に対して内周側から密着可能な環状に形成された部分である。すなわち、シール部36は、グロメット20の貫通孔部12に対する取り付け状態において、バーリング部14の内周側に配置される(図3、図4参照)。このシール部36は、シール部材30における挿通方向一部分において、外周側に突起し且つ周方向に沿って延在するシール凸部37を有している。このシール凸部37は、先端部(外周側端部)の径がバーリング部14の内径より大きく(ここでは僅かに大きく)設定されている。ここでは、シール凸部37は、周方向に直交する断面視において、先端部に半円状部分を有している。また、シール凸部37は、グロメット20の貫通孔部12に対する取り付け状態において、シール部材30の挿通方向においてバーリング部14の内側に配置される部分に設けられている。そして、シール部36は、主としてシール凸部37の先端部がバーリング部14の内周部に密着することにより止水機能を果たす。
もっとも、シール部36において、シール凸部37は省略されてもよく、この場合、シール部の内周面がバーリング部14の外周部に密着するように構成されていればよい。
規制部38は、シール部材30に対して取り付けられる固定部材50に対して、シール部材30の挿通方向基端側から接触して、固定部材50の該基端側へのずれを規制する部分である。この規制部38は、筒部32(大径部34)の外周部から張り出す形状に形成されている。より具体的には、規制部38は、接続部35に対して、シール部材30の挿通方向において凹部39内に配設されるシール押付部52の寸法と略同じ間隔をあけた位置に設けられている。ここでは、規制部38は、扁平な円環鍔状に形成されている。
固定部材50は、貫通孔部12のブラケット16に固定され、該貫通孔部12に対してシール部材30の挿通方向における位置を固定する部材である。この固定部材50は、PP(ポリプロピレン)、PU(ポリウレタン)樹脂等の樹脂材料により成型される比較的剛性の高い(少なくともシール部材30より弾性変形し難い)樹脂成型品である。固定部材50は、全体として円環状に形成され、シール押付部52と、接続部54と、係止部56とを有する(図6参照)。
シール押付部52は、シール部36をバーリング部14の内周部に対して押し付け可能な部分である(図3参照)。このシール押付部52は、筒状(ここでは円筒状)に形成され、シール部36の内周側に隣接して配設される。ここでは、シール押付部52は、シール部材30の凹部39内に配設される。シール押付部52は、シール部36の内径と同じかそれより僅かに大きい外径に設定されている。
接続部54は、後述する係止部56をシール押付部52の外周側に間隔をあけて接続する部分である。この接続部54は、シール押付部52の基端部において外周部から外周側に張り出す円環鍔状に形成されている。もっとも、接続部54は、シール押付部52の周方向において係止部56が設けられる箇所のみに断続的に設けられていてもよい。また、固定部材50がシール部材30に取り付けられた状態で、接続部54は、規制部38とシール部36の端部との間に配設される。
係止部56は、ブラケット16の係止用穴部18に対して、貫通孔部12の貫通方向において係止可能な部分である(図3、図8参照)。この係止部56は、固定部材50の周方向において、貫通孔部12の各ブラケット16に対応した位置で接続部54の外周部に複数設けられている。すなわち、各係止部56は、各ブラケット16に対してそれぞれ係止可能に設けられる。ここでは、係止部56は、固定部材50の中心軸を挟んで2箇所に設けられている。係止部56は、枠部57と、係止凸部58とを有している。
枠部57は、ブラケット16を挿入可能な部分である(図7参照)。より具体的には、枠部57は、全体として略直方体を成し、固定部材50の中心軸方向先端側に向けて開口し、ここでは、該中心軸方向に沿って貫通する形状に形成されている。また、枠部57は、シール押付部52の基端側部分の外周側の位置に設けられている。この枠部57とシール押付部52との間には、シール部36の端部側部分を配設可能な内部空間を有する凹部が形成され、固定部材50がシール部材30に取り付けられた状態では、前記凹部内にシール部36の端部側部分(シール凸部37より端部側の部分)が配設される。
また、固定部材50は、図7、図8に示すように、周方向において、枠部57の内周側の壁部の側端部から延出して各係止部56間全体に亘って延在する周壁部59を有している。この周壁部59とシール押付部52との間にも、シール押付部52と係止部56との間の内部空間と連通する内部空間を有する凹部が形成される。もっとも、周壁部59は省略されてもよい。
係止凸部58は、枠部57の内周部から突出する形状に形成され、枠部57内に挿入されるブラケット16の係止用穴部18内に嵌まり込む部分である(図3、図8参照)。ここでは、係止凸部58は、枠部57における外周側の壁部の内周部から内周側壁部に向けて突出する形状に形成されている。より具体的には、係止凸部58は、固定部材50の先端側から基端側に向けて徐々に突出寸法が大きくなる形状に形成され、その基端側に係止面を有している。図6に示す例では、係止凸部58は、固定部材50の周方向に直交する断面視において直角三角形状を成し、先端側に傾斜面を有している。
そして、固定部材50の先端側から枠部57内にブラケット16が挿入されると、ブラケット16の先端部が係止凸部58の先端側の傾斜面に当接する。ブラケット16が係止凸部58を押圧して枠部57内にさらに挿入されると、枠部57の外周側壁部及び内周側壁部(ここでは主として外周側壁部)が相対的に離間した形状に弾性変形する。係止凸部58が係止用穴部18に対向する位置までブラケット16が枠部57内に挿入されると、枠部57が元の形状に復帰すると共に係止凸部58が係止用穴部18内に嵌まり込む。これにより、係止部56が係止用穴部18に対して貫通孔部12の貫通方向において係止した状態となる。
上記固定部材50をシール部材30に対して取り付ける際には、固定部材50のシール押付部52を、シール部材30における規制部38とシール部36の端部との間を通じて凹部39内に挿入する。この際、シール部36の端部側部分は、シール押付部52と係止部56との間及びシール押付部52と周壁部59との間の凹部内に挿入される。また、規制部38は、固定部材50の基端部(ここではシール押付部52の基端部及び接続部54)に接触した状態となる。これにより、シール部材30と固定部材50とを備えるグロメットが構成される。
また、グロメット20を貫通孔部12に取り付ける際には、各係止部56の枠部57内に各ブラケット16が挿入されるように、グロメット20を貫通孔部12に対して押し付ける(図7、図8参照)。これにより、ブラケット16が枠部57内に配設されると共に、係止凸部58が係止用穴部18に対して嵌まり込んで、係止部56は係止用穴部に対して係止する。また、シール部36は、バーリング部14の内周側に隣接して貫通孔部12内に挿入される。このとき、シール部36は、シール凸部37の先端部(外周側端部)がバーリング部14の内径より大きい径に設定されているため、内周側に逃げようとする。このシール部36は、その内周側に隣接して設けられているシール押付部52により規制され、バーリング部14の内周部に対して押し付けられ、弾性変形して密着した状態となる。以上により、グロメット20が貫通孔部12に対して取り付けられる。
なお、ワイヤーハーネス1は、グロメット20が貫通孔部12に取り付けられた後に挿通されてもよいし、固定部材50が取り付けられたシール部材30及び第2固定部62の組み合わせ前に、各部材及び貫通孔部12に対して予め挿通されていてもよい。
これまで、グロメット20が、円形の貫通孔部12に対応して全体として円環状に形成されている例で説明したが、貫通孔部12が楕円形又は多角形に形成されている場合にはその形状に対応して楕円環状又は多角形の環状に形成されていてもよい。
また、貫通孔部12について、バーリング部14の周方向2箇所からブラケット16が突出する形状の例で説明したが、ブラケット16は1箇所又は3以上の複数箇所に設けられてもよい。この場合、固定部材50の係止部56は、周方向においてブラケット16に対応して1箇所又は3以上の複数箇所に設けられているとよい。もっとも、ブラケット16及び係止部56は、グロメット20の貫通孔部12に対する取り付け状態の安定性の観点からいうと、貫通孔部12又は固定部材50の周方向複数箇所に設けられていることが好ましい。また、立ち壁部として、全体として筒状を成し、その周方向に間隔をあけて複数の係止用穴部18が形成されている形状を採用することもできる。この場合、係止部は、外周側壁部と内周側壁部とが基端部で接続され、固定部材の周方向全体に亘って突出壁部を挿入可能な溝状に形成された枠部と、枠部の内周部から突出する係止凸部とを有しているとよい。なお、この係止部の形状は、ブラケット16がバーリング部14の周方向において断続的に設けられている場合にも適用可能である。
さらに、係止部56は、上述した変形例に係る形状の他にも、立ち壁部に対して貫通孔部12の貫通方向に係止可能な種々の構成を採用することができる。
また、係止部56は、ブラケット16に形成される係止用穴部が有底の穴部である場合にも係止可能である。さらに、係止部56は、ブラケットにバーリング部14における内外方向に突起する凸部が形成されている場合において、前記凸部に係止可能に構成されていてもよい。例えば、係止部は、枠部の内周部で開口し、枠部内に挿入されたブラケットの凸部を配設可能な凹部を有する構成とすることができる。
また、規制部38は、筒部32の周方向において断続的に張り出す形状に形成されていてもよい。また、規制部38は、扁平な鍔状に限られず、例えば、周方向に直交する断面視において、シール部材30の挿通方向基端側から先端側に向けて徐々に張り出し寸法が大きくなる略直角三角形を成す形状に形成されていてもよい。この場合、シール部材30の基端側に斜面を有すると共に先端部(外周側端部)が薄肉な形状であるため、シール押付部52を凹部39内に挿入する際の挿入作業性を向上させることができると考えられる。
また、係止凸部58について、外周側の壁部から内周側に向けて突出する形状である例で説明したが、内周側の壁部から外周側に突出する形状を採用してもよい。
また、グロメット20は、シール部材のシール部がバーリング部14の外周部に密着可能に形成され、固定部材のシール押付部がシール部をバーリング部14の外周部に押し付け可能に形成されていてもよい。すなわち、この場合、シール部材は、筒部の内周側に接続部を介してシール部を有しているとよい。また、固定部材は、係止部56の外周側に接続部を介してシール押付部を有しているとよい。
実施形態に係るグロメット20によると、シール部材30に取り付けられる固定部材50の係止部が立ち壁部に対して貫通孔部12の貫通方向に係止した状態で、シール部材30のシール部36が固定部材50のシール押付部52によりバーリング部14の内周部に押し付けられるため、グロメット20の貫通孔部12に対する取り付け態様により取り付け方向における誤差が生じたとしても、止水性能は影響されず、より安定して止水性能を確保することができる。
また、係止部56がシール押付部52の周方向複数箇所に設けられている構成によると、取り付け状態における安定性を向上させることができる。
また、係止部56がブラケット16に形成された係止用穴部18に嵌合可能な係止凸部58を有している構成によると、貫通孔部12に対する貫通方向の位置決めをより確実に行うことができる。また、ブラケット16より軟質な固定部材50に凸形状の係止凸部58が設けられているため、係止凸部58がブラケット16に対して摺動する際の傷付きを抑制することができる。さらに、比較的複雑な形状を形成しやすい樹脂成形品である固定部材50に凸形状の係止凸部58が設けられているため、より係止状態を維持可能な形状に形成することができる。
また、枠部57内に挿入されるブラケット16の係止用穴部18内に係止凸部58が嵌合することにより、係止部56が立ち壁部に対して貫通孔部12の貫通方向に係止する構成によると、より確実に貫通孔部12に対する取り付け状態を維持することができる。
また、シール部材30が、固定部材50に対して基端側から接触する規制部38を有している構成によると、固定部材50に対するシール部材30の位置決めがより確実にされ、貫通孔部12に対する止水位置を安定させることができる。
また、シール部36は、外周側に突起し且つ周方向に沿って延在するシール凸部37を有している構成によると、より止水性能を向上させることができる。
また、シール部36が筒部32の外周側に設けられると共にバーリング部14の内周部に密着可能に設けられている。すなわち、ブラケット16の係止用穴部18に係止する係止部56はシール部材30(筒部32)より外周側に位置し、外周側から係止部56の位置を確認しつつ貫通孔部12に対する取り付け、取り外し作業を行えるため、作業性の向上を図ることができる。
また、上述したシール部がバーリング部14の外周部に密着する構成においても、より安定して止水性能を確保することができる。
1 ワイヤーハーネス
12 貫通孔部
14 バーリング部
16 ブラケット
18 係止用穴部
20 グロメット
30 シール部材
32 筒部
36 シール部
37 シール凸部
38 規制部
50 固定部材
52 シール押付部
56 係止部
57 枠部
58 係止凸部

Claims (7)

  1. 筒状壁部を含む立ち壁部を有するワイヤーハーネス挿通用の貫通孔部において止水を図るためのグロメットであって、
    前記ワイヤーハーネスを挿通可能且つ前記ワイヤーハーネスの外周部に密着可能な筒部と、前記筒部の先端側に設けられ、前記筒状壁部の内周部又は外周部に密着可能なシール部とを有するシール部材と、
    前記シール部を前記筒状壁部の内周部又は外周部に押し付け可能な筒状のシール押付部と、前記シール押付部の外周側又は内周側に設けられ、前記立ち壁部に対して前記貫通孔部の貫通方向に係止可能な係止部とを有し、前記シール部材に取り付けられる固定部材と、
    を備えるグロメット。
  2. 請求項1に記載のグロメットであって、
    前記係止部は、前記シール押付部の周方向複数箇所に設けられている、グロメット。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のグロメットであって、
    前記係止部は、前記立ち壁部の前記筒状壁部の先端部から先端側に突出する突出壁部に形成された前記係止用穴部に嵌合可能な係止凸部を有している、グロメット。
  4. 請求項3に記載のグロメットであって、
    前記係止部は、前記突出壁部を挿入可能な枠部を有し、
    前記係止凸部は、前記枠部の内周部から突出する形状に形成され、前記枠部内に挿入される前記突出壁部の前記係止用穴部に嵌合する、グロメット。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のグロメットであって、
    前記シール部材は、前記固定部材に対して前記筒部における基端側から接触する規制部をさらに有している、グロメット。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のグロメットであって、
    前記シール部は、外周側又は内周側に突起し且つ周方向に沿って延在するシール凸部を有している、グロメット。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のグロメットであって、
    前記シール部は、前記筒部の外周側に設けられると共に前記筒状壁部の内周部に密着可能に設けられ、
    前記シール押付部は、前記シール部を前記筒状壁部の内周部に押し付け可能に設けられている、グロメット。
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