JP2013034476A - すぐ焼成できるバッターおよびその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】すぐ焼成できるバッターおよび製造方法を提供する。
【解決手段】前記方法は、クリームチーズ、クリーム、甘味料、および卵を混合して混合物を形成するステップと、混合物を少なくとも140°Fまで加熱して加熱混合物を作製するステップと、加熱混合物に不活性ガスを注入するステップと、加熱混合物に空気を混入するステップと、加熱混合物を冷却してバッターを形成するステップとを含む。前記バッターは、120日間にわたって保存した場合に安定であり、その結果、前記バッターを焼成すると、焼きたての一から作るケーキと同様のケーキが得られる。
【選択図】図1

Description

本出願は、焼成するだけで食べられるデザート製品およびその製造方法を対象とする。より具体的には、本出願は、冷蔵温度で長期間保存することができ、その後、直接流し込んで焼成して、高品質のチーズケーキデザートを製造することができるチーズケーキバッターに係る発明である。
軟らかく硬化していないチーズ(クリームチーズなど)、バター、卵、および砂糖を含めた成分を使用し、チーズケーキを一から作製することにより、高級な風味および食感を有する上質のデザートが提供される。しかし、そのようなチーズケーキの調製にはかなりの時間および労力が必要であるが、多くの消費者は、今日では、そのような時間および労力を望まないか、または費やすことができない。様々なすぐに食べられるタイプのチーズケーキ製品が知られており、それらは、消費者がより少ない時間およびより少ない労力でチーズケーキを調製することを可能にすることを意図したものである。しかし、これらの製品は、利便性のために品質をある程度犠牲にしている。品質の低下を補うために、消費者は、クリームチーズなどの主成分を添加して、一から作るチーズケーキにいっそう酷似している上質のチーズケーキを生成することが必要である。
ドライミックスも、確実な時間節約の利点を提供する。これらのミックスは、消費者がミックスに水を添加し焼成するだけとなるように作製されることが多い。これらのミックスは、周囲温度で長期間保存することができる。しかし、これらのミックス単独では、新鮮な成分の品質が得られない。実際、消費者が特定の成分を添加して品質を改善することが必要となり得る場合もある。しかし、消費者が成分を添加することにより、調製済みのミックスを使用する時間節約の利点が損なわれると同時に、消費者に必要とされる労力が増大する。
チーズケーキミックスは、また、低温固化チーズケーキを調製するために使用でき、それにより焼成を省けることが知られている。Eisfeldtに対して発行された特許文献1は、冷蔵温度で硬化する際にゲル化する常温保存できる流体製品を対象としている。この製品は、ゼラチン、デンプン、甘味剤、およびタンパク質源を含有し、これらは、製品の調製の間に相互作用して可逆的なゲルマトリックスを生成すると考えられている。消費者は、この製品を泡立てて製品に空気を取り入れ、次いで、製品を冷蔵し、製品をゲル化させ、チーズケーキを形成させる。
Wilsonに対して発行された特許文献2は、無糖のチーズケーキを調製するために使用することができるドライミックスを対象としている。このミックスに牛乳を添加し、次いで、戻したミックスを泡立てて各成分を混合すると同時にフィリングに空気を取り入れ、これは、最終製品の食感の軽さに影響を及ぼす。次いで、用意しておいたクラストにミックスを流し込み、数時間チルドしてミックスをゲル化させ、チーズケーキを形成させる。
これらの低温固化ミックスも、成分の構成および調製の方法が原因で、ある程度品質を犠牲にしている。低温固化チーズケーキは、一般に、ミックスへのゲル成分の添加が原因で、一から作る焼成チーズケーキ(baked−from−scratch cheesecake)の食感および口当たりを提供することはできない。さらに、低温固化法は焼成より容易ではあるが、焼成による食感および外観の利益は失われる。
消費者がデザートを冷蔵庫でゲル化させるのではなく焼成する場合に、品質が改善されたチーズケーキを調製するために使用することができるチーズケーキ製品が知られている。これらの製品は、完全な(またはほぼ完全な)ミックスを提供するので、やはり時間を節約するものである。そのようなすぐ焼成できるミックスの1つがNolteの特許文献3に開示されており、これは、泡立てて焼成すると上質のチーズケーキフィリングが生じる、すぐに食べられるチーズケーキフィリングミックスを開示している。このフィリングミックスは、その他の成分として、クリーム、砂糖、卵、牛乳、および脱脂粉乳を含有する。そのようなミックスは、冷蔵庫または冷凍庫温度で長期間保存できる。消費者は、泡立てによりこのフィリングミックスに空気を混入し、次いで、焼成する。このタイプのミックスからチーズケーキを調製することは、依然として消費者側の労力および時間を必要とする。さらに、フィリングミックスに十分に空気を混入することに失敗すると、余り望ましくない製品が生じる恐れがある。
さらに、先のチーズケーキバッターの多くは、保存寿命および安定性のために風味および食感を犠牲にしている。例えば、より長い保存寿命を有する成分が、一から作る調理法で伝統的に使用することができる成分を代替している。逆に、伝統的な一から作る調理法で使用される成分は、一般に、それほど長い保存寿命および安定性を有していない。この点において、保存寿命および安定性が増大した、伝統的な一から作る調理法の味および食感を有するチーズケーキバッターを有することが望ましいと考えられる。例えば、少なくとも120日間の保存寿命を有するチーズケーキバッターを有することが望ましいと考えられる。
米国特許第4,312,891号明細書 米国特許第4,594,255号明細書 米国特許第4,732,772号明細書
一形態において、すぐ焼成できるチーズケーキバッターおよびそのようなバッターの製造方法を提供する。これに関連して、前記バッターは、本物の「正真正銘の」脂肪分の高い一から作るチーズケーキを焼成するために使用することができる。
一形態において、前記バッターは、クリームチーズ、クリームおよび卵などの成分を含有し、冷蔵庫で長期間保存することができる。例えば、前記バッターは、冷蔵する場合に少なくとも120日間安定であることができる。
一形態において、チーズケーキを調製するためにさらなる成分をバッターに添加する必要はない。このバッターを使用すると、消費者は、一から作る焼成チーズケーキの品質および風味を有するチーズケーキを、容易で時間を節約できる方法で焼成することができる。
前記バッターは、使用するまで冷蔵温度で保存することができ、使用時には、消費者は、用意しておいたクラストにバッターを単純に流し込み、オーブンで焼成する。成分の添加、混合、および/または泡立ては必要とされない。前記バッターは、様々な風味および低脂肪バージョンで作製することができる。
一形態において、すぐ焼成できるバッターの調製方法を提供する。この方法は、クリームチーズ、クリーム、甘味料、および卵を混合して混合物を形成するステップと、混合物を少なくとも140°Fまで加熱して加熱混合物を作製するステップと、加熱混合物に不活性ガスを注入するステップと、加熱混合物に空気を混入するステップと、加熱混合物を冷却してバッターを形成するステップとを含む。
すぐ焼成できるバッターおよび製造方法を提供する。この方法は、クリームチーズ、クリーム、甘味料、および卵を混合して混合物を形成するステップと、混合物を少なくとも140°Fまで加熱して加熱混合物を作製するステップと、加熱混合物に空気を混入すると同時に冷却してバッターを形成するステップとを含む。さらに、空気混入および冷却ステップの開始時の加熱混合物の温度は少なくとも140°Fである。
すぐ焼成できるバッターおよび製造方法を提供する。この方法は、クリームチーズ、クリーム、甘味料、および卵を混合して混合物を形成するステップと、混合物を少なくとも140°Fまで加熱して加熱混合物を作製するステップと、かき取り表面熱交換器(scraped surface heat exchanger)中で加熱混合物に空気を混入し、冷却してバッターを形成するステップとを含む。さらに、卵の加熱調理を最小限にするために、加熱混合物の140°Fより高温での維持は20分未満とし、空気混入および冷却ステップの開始時の加熱混合物の温度は少なくとも140°Fである。
一形態において、空気混入ステップと冷却ステップは同時に実施する。
一形態において、空気混入ステップおよび冷却ステップはかき取り表面熱交換器中で実施する。
一形態において、クリームチーズおよびクリームは、それぞれ、卵と混合する前に予熱する。
一形態において、前記方法は、保存の前に60°F未満の温度で1個または複数の容器にバッターを低温充填するステップをさらに含む。
一形態において、甘味料は砂糖である。
一形態において、前記バッターは約55°F以下の温度で保存する場合に120日間にわたって安定である。
一形態において、不活性ガスは窒素であり、加熱混合物が少なくとも140°Fであるときに注入する。
一形態において、前記バッターは、120日間にわたって保存した場合に安定であり、その結果、バッターを焼成すると、焼きたての一から作るケーキと同様のケーキが生じる。
すぐ焼成できるチーズケーキバッターの1つの製造プロセスを例示するプロセスフロー図である。 熱いうちに泡立てたチーズケーキバッターの光学顕微鏡検査を示す図である。 冷たいうちに泡立てたチーズケーキバッターの光学走査顕微鏡検査を示す図である。 泡立てたクリームチーズの光学走査顕微鏡検査を示す図である。 泡立てずに高温で加工したチーズケーキバッターの光学走査顕微鏡検査を示す図である。 熱いうちに泡立てたチーズケーキバッターの共焦点レーザー走査顕微鏡検査を示す図である。 冷たいうちに泡立てたチーズケーキバッターの共焦点レーザー走査顕微鏡検査を示す図である。 泡立てたクリームチーズの共焦点レーザー走査顕微鏡検査を示す図である。 泡立てずに高温で加工したチーズケーキバッターの共焦点レーザー走査顕微鏡検査を示す図である。
本出願は、すぐ焼成できるチーズケーキバッターおよびそのようなバッターの製造方法に関する。一形態において、前記バッターは、クリームチーズ、クリームおよび卵などの新鮮な高品質成分を含有し、冷蔵庫で長期間保存することができる。一形態において、チーズケーキを調製するためにさらなる成分をバッターに添加する必要はない。前記バッターは、高温泡立て手順により、混合された成分が加熱調理され、次いで、冷却しながら空気を混入して泡立てられる。高温泡立てにより、脂肪および/またはタンパク質による不活性ガスの気泡のコーティングが促進されて、それにより、気泡の安定化が促進され、それにより保存寿命が改善されると仮定される。
このバッターを使用すると、消費者は、一から作る焼成チーズケーキの品質および風味を有するチーズケーキを、容易で時間が節約できる方法で焼成することができる。チーズケーキの風味を多様化することができる。「一から作る焼成チーズケーキ」とは、卵、クリーム、および砂糖などの新鮮な成分を混合し、各成分を一緒に泡立ててバッターを混合し空気を混入し、バッターをクラストに流し込み、オーブンで焼成する従来の方法で調製されるチーズケーキを意味している。
一形態において、前記チーズケーキバッターは、一般に、クリームチーズ、甘味料、クリーム、卵ならびに安定剤および風味剤などの他の任意選択の成分を含有する。この製品は、ベースとしての標準的クリームチーズ、および卵成分を使用して、焼成後に好ましい食感および風味を得る。
クリームチーズは、脂肪分の高いクリームチーズまたは低脂肪のクリームチーズでもよい。バッターにおいてクリームチーズおよびクリームを使用することにより、高級な品質のチーズケーキが得られる。脂肪分の高いクリームチーズ、低脂肪のクリームチーズ、Neufchatelチーズ等が挙げられるがこれらに限定されない様々な異なる形態のクリームチーズを使用することができることに留意されたい。これらの成分により、一から作るチーズケーキの品質がすぐに使用できるバッターに付与され、その結果、消費者は、クリームチーズを別個に購入する必要がない。一般に、チーズおよびクリームにより、所望の風味、食感、および粘度が付与される。
甘味料は、砂糖または他の天然もしくは加工甘味料でもよい。卵は、殺菌卵、卵代替品、デンプン等でもよい。保存剤としては、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、リン酸等を挙げることができる。好適な乳化剤としては、モノおよびジグリセリド等が挙げられる。風味剤としては、果実風味、チョコレート風味、クッキー風味などの任意の数の様々な風味およびテクスチャー付与剤(texturizing agent)等を挙げることができる。
加工の前、間および/または後にバッターが他の成分を含み得ることを理解されたい。例えば、バッターは、小麦粉、コーンスターチ、クリーム、サワークリーム、ならびに他の成分も含み得る。
標準的なニューヨークスタイルチーズケーキは、60〜63%のクリームチーズ、12〜15%の砂糖、1.0〜1.5%の小麦粉、0.2〜0.8%のバニラ抽出物、5〜13%のサワークリームまたはヘビークリームおよび10〜18%の卵を含む。一形態において、前記バッター中の成分には、標準的なニューヨークスタイルチーズケーキを作製するのに使用される、小麦粉以外の全ての成分が含まれる。
一形態において、前記チーズケーキバッターは、以下で表1に列挙している範囲の成分を含む。しかし、他の成分の範囲、さらには他の成分も利用し得ることを理解されたい。
バッターの製造プロセスの一形態を、図1を参照しながら説明する。一般に、このプロセスは、混合および均質化ステップ、ならびに微生物およびカビを駆除して保存寿命を改善するための加熱調理ステップを伴う。以下でより詳細に説明する通り、各成分は、様々な組合せおよび様々な順番で添加することができ、予熱された成分も含み得る。
一形態において、クリームチーズ、砂糖およびクリームは、クリームチーズの塊を低減し、砂糖を溶解するために最初に添加する。その後、卵、バニラおよびアスコルビン酸を添加することができる。各成分を異なる順番で添加してもよいことを理解されたい。さらに、一形態において、クリームチーズおよびクリームは予熱する。一形態において、クリームチーズおよびクリームは、160〜165°Fまで予熱することができる。
図1に示す通り、熱いクリーム、卵、砂糖、バニラおよびソルビン酸を含有するインプット20を、クリームチーズを含有するインプット22と混合する。インプット20、22をPfaudlerミキサーなどのブレンダーまたはミキサー24中で混合する。一般に、各成分は、再循環させながら1〜2分間混合することができる。次いで、合わされた成分を、約145°Fから約155°Fの温度範囲まで約1〜5分間加熱し、約1〜5分間保持する。一形態において、参照番号26で示す通り、蒸気を使用することができる。この点において、蒸気は、合わされた成分内の卵成分の加熱調理を最小限にしようと試みながら、合わされた成分を急速に加熱するために使用することができる。一形態において、卵を140°Fより高温に維持する時間は、20分未満とすべきである。別の形態において、卵を140°Fより高温に維持する時間は、10分未満とすべきである。一形態において、蒸気は、331°Fの飽和温度で40p.s.i.g.の圧力とすることができる。しかし、他の温度および圧力も使用できることを理解されたい。
次いで、加熱した、合わされた成分は、場合により、サージタンク28に移すか、または例えば1個もしくは複数のポンプ30を介してかき取り表面熱交換器32に直接移すことができる。さらに、加熱した、合わされた成分に、タンク34から窒素などの不活性ガスを添加することができる。一形態において、不活性ガスは、加熱した、合わされた成分が約145°Fより高い温度であるときに添加する。ポンプ30で添加するように示しているが、不活性ガスは、冷却およびパッケージングの前に、プロセスの間の他の箇所で添加することもできる。さらに、不活性ガスは、さらに、または代わりに、二酸化炭素、亜酸化窒素などの他のガスを含むことができる。
加熱された混合成分に、さらに空気を混入し、さらには冷却してチーズケーキバッターを作製するために、かき取り表面熱交換器32を使用することができる。この点において、空気の気泡が形成されるように、加熱した、合わされた成分に空気を混入し、冷却する。バッターが冷却すると、空気の気泡は、空気の気泡表面がタンパク質および/または脂肪の層で全体的に覆われ、それにより、空気の気泡の安定化が促進されると仮定される。一形態において、バッターは、約145°Fから約155°Fの温度でかき取り表面熱交換器32に入り、約45°Fから約65°Fなどのより低い温度で出る。
一般に、高温で泡立てたとは、約150°Fで泡立てたおよび/または空気を混入した成分を指し、その一方、低温で泡立てたとは、一般に、約50°F以下で泡立てたおよび/または空気を混入した成分を指す。さらに、低温泡立ては、バッターを冷却した後の不活性ガスの注入を伴うことができる。かき取り表面熱交換器以外に他の装置も使用することができる。一形態において、前記装置(複数可)は、冷却および/または各成分を泡立てるための剪断の実現に適しているべきである。
次いで、バッターを充填機36に移し、そこで、バッターを容器に入れることができる。バッターは約45°Fから約60°Fの温度範囲で各容器にパッケージングすべきであることに留意されたい。バッターをパッケージングの前にチルドしていない場合、かき取り表面熱交換器32などにおいて卵成分が加熱調理され続ける恐れがあり、その結果、バッターを焼成したときに望ましくないチーズケーキとなり得ることが見出された。例えば、バッターを1〜3日間、140°Fより高いままにすると、卵は凝固し、その結果、不十分な性能のバッターとなり得る。
図2A〜2Dは、様々な形態のチーズケーキバッター、さらにはクリームチーズの光学顕微鏡画像である。図2Aを参照すると、図1のプロセスで見られるものなどの、熱いうちに泡立てたバッターの画像が示されている。この画像において、バッターは、小さく一様に分散した飛沫である空気の気泡40、および空気の気泡の少量の凝集42を含む。これは、全体的に、脂肪が埋め込まれた安定な網状組織またはタンパク質ゲルを例示している。図2Bは、泡立ての前に最初に約50°Fまで冷却した同様のバッターを示している。図2Aと比較して、図2Bのバッターは、全体的に、より小さい気泡44、およびより多数の大きく凝集した気泡46を含む。図2Dは、加熱したが全く泡立てていないバッターを例示している。この試料において、空気の気泡48がかなり少ないことが分かる。図2Cは、泡立て、空気を混入したクリームチーズを例示している。図2Cから分かるように、かなりの数の様々なサイズの不規則な気泡50が存在している。
図3A〜3Dは、様々な形態のチーズケーキバッター、さらにはクリームチーズの共焦点レーザー走査顕微鏡画像であり、全体として、図2A〜2Dに見られるバッターおよびチーズケーキに対応する。図3Aに見られるように、空気の気泡54を安定化させるように脂肪およびタンパク質の層52が気泡表面に存在している。一方、図3Bは、空気の気泡56の表面での脂肪および/またはタンパク質の顕著な層化を全く含んでいないが、いくつかの粒子は含み得る。同様に、高温で加工したが泡立てていない図3Dに示しているバッターは、空気の気泡58の表面での脂肪および/またはタンパク質の顕著な層化を全く含んでおらず、どんなものであれ、わずかな空気の気泡を含む。図3Cに示している泡立てたクリームチーズは、空気の気泡62の表面に多少のタンパク質および脂肪60を含んでいるが、図3Aのバッターに見られるほどの層化はしてはいない。したがって、かき取り表面熱交換器などでの熱い混合物の泡立てにより、空気の気泡の表面にタンパク質および/または脂肪の独特な結合が生じ、それにより、空気の気泡の安定化が促進されると仮定される。一部のアプローチにおいて、空気の気泡は、約1〜約100ミクロンのサイズであり、実質的に空気の気泡全体、場合により空気の気泡全体を取り囲む脂肪および/またはタンパク質の層を有し得る。脂肪およびタンパク質の層は、約1〜約10ミクロンの厚さとすることができる。
一形態において、消費者は、焼成前に混合し、さらなる成分を添加して、または他の手段で、バッターを調製する必要がない。しかし、時として、バッターに空気を混入するための泡立ては望ましい可能性があるが、必要ではない。したがって、泡立てにより、一部の消費者が望ましいと感じる、特に軽くフワフワした食感が生じる。そのような泡立ては、例えば、泡立て器または従来の家庭のキッチン用のミキサーを使用して実施することができる。さらに、消費者は、チーズケーキの風味を好みに混合して変更するために他の成分を添加することを選択することができる。そのようなさらなる成分は、バッターに既に付与されている風味を強化するだけであり、本発明のバッターから上質のチーズケーキを調製するためには必要とされない。当然のことながら、所望であれば、そのような風味成分は、製造の間にバッターに添加することができる。
一般に、消費者は、バッターが保存されている容器を開け、用意しておいたクラストにバッターを流し込むか、または他の手段で用意しておいたクラストにバッターを入れ、次いで、焼成するだけでよい。バッターは、容器から容易に流し込むことができ、クラスト中で容易に広げることができる。全体的に、バッターは淡黄色からクリーム色であるが、所望であれば、他の着色剤を含むことができる。焼成すると、そのチーズケーキは、一から作る焼成チーズケーキと同様である。それは、淡黄色の内部と淡褐色の表面、ならびにはっきりしたクリームチーズ風味、わずかに甘く、滑らかな口当たりを有する。従来の家庭のキッチン用のミキサーのみを使用しても、得られるチーズケーキは、フワフワしており、約0.9という独特な比重を有する。さらに、バッターは、25.7°Fで約0.978の水分活性および約0.88〜0.90g/ccの密度を有する。
一部のアプローチにおいて、加熱調理後、混合物は、高温泡立てをすることができ、ある量の窒素をそこに添加して、約10〜25%のオーバーランを有するチーズケーキバッターを形成することができる。
前記バッターは、通常、冷蔵温度で保存する。許容される保存温度は、約35°Fから約45°Fの範囲である。これらの温度で保存すると、バッターは、一般に、4から6カ月の保存寿命を有する。
多数の代表的なプロセスを採用して組成物を調製し、多数の組成および加工変数を分析した。例えば、成分の種類ならびに成分の添加の順番を変更して、得られるバッターを比較した。さらに、様々な加工技術およびオーバーランを変更して、得られるバッターを比較した。
実施例1において、以下の配合を有する試料Aを調製した。
クリームチーズを160〜165°Fまで加熱することにより試料Aを調製した。混合物を回収し、加熱および蒸気注入しながらPfaudlerケトルに移した。撹拌および再循環させながら混合物をPfaudlerケトル内で維持した。混合物を160°Fに到達させ、その時点で卵を添加し、次いで、150°Fまで加熱し、約4.5分間保持した。混合した混合物に窒素を注入し、オーバーランを15%にするために泡立て、次いで、冷却した。混合物を約45〜55°Fの温度まで冷却し、次いで、パッケージングした。
試料Aの結果により、焼成されたチーズケーキが得られ、これは、対照の一から作るチーズケーキと同様に、加熱調理の間にバッターの膨張を示した。試料Aにより、また、加熱調理されたチーズケーキが得られ、これは、全体を通して持続的な食感を有し、対照チーズケーキと同様の外観および加熱調理後の高さを有していた。
実施例2において、様々な量のオーバーランを有する多数の異なる試料を調製した。各試料B〜Dは、一般に、以下の配合を有していた。
160〜165°Fの加熱したクリームチーズをPfaudlerクッキングケトルに移すことにより、試料B〜Dのそれぞれを調製した。160〜165°Fの温度の熱いクリームならびに砂糖をケトルに添加し、再循環させながら撹拌した。次いで、卵、バニラ抽出物およびソルビン酸を添加し、混合した。混合した成分に155°Fまで蒸気を注入し、4.5分間保持した。加熱した混合成分をサージケトルに移し、そこで、各試料CおよびDに窒素を注入し、その後、かき取り表面熱交換器に移した。バッターを冷却し、次いで、50〜58°Fでカップに充填した。
試料Bには窒素を注入しなかったが、空気は取り入れ、それにより、45%のオーバーランが生じた。試料Cには低レベルの窒素を注入し、それにより、約15%のオーバーランが生じた。試料Dには中レベルの窒素を注入し、それにより、約30%のオーバーランが生じた。
試料B〜Dにより、以下の属性を有するバッターが得られた。
対照の一から作るチーズケーキに最も近い、好ましい食感、味および外観を有していたので、試料Cが他の試料より好ましかった。試料Cを選択し、以下でさらに詳細に説明する、さらなる安定性試験を実施した。試料BおよびDにより、空気が混入しすぎ、対照チーズケーキほど高密度ではないチーズケーキが得られた。
実施例3において、試料E〜Hを調製して、成分の添加の順番およびオーバーランの量を試験した。一般に、試料E〜Hのそれぞれは、以下の配合を含んでいた。
一般に、試料Eは、卵および砂糖を最初に添加しながら調製して、バッターが凝固するかどうかを評価し、成分の添加の順番を比較した。熱いクリームおよび熱いクリームチーズの前に最初に卵を添加したため、卵は凝固し、その製品はパッケージングせず、さらなる試験は実施しなかった。
試料Fは、クリームチーズ、砂糖および熱いクリームを最初に添加しながら、窒素を注入せずに調製した。試料Gは、クリームチーズ、砂糖および熱いクリームを最初に添加し、10%のオーバーランを目標として窒素を注入ながら調製した。試料Hは、クリームチーズ、砂糖および熱いクリームを最初に添加し、15%のオーバーランを目標として窒素を添加しながら調製した。
全般に、加熱および蒸気注入を利用するPfaudlerケトルに各成分を上記の通り添加した。撹拌および再循環させながら各成分をPfaudlerケトル内で保持した。各成分を150°Fまで加熱し、4.5分間保持した。次いで、蒸気注入を使用して155°Fより高くまで加熱した。次いで、各試料に窒素を注入し、冷却し、それぞれの量のオーバーランとなるように泡立てた。
実施例3の間、パイロットプラントにおいて窒素レベルを制御することはいくぶん困難であった。試料F〜Hから生じたチーズケーキは、対照の一から作るチーズケーキと高さがほぼ同じであった。しかし、試料チーズケーキの食感は、窒素のレベルに応じて様々であった。試料Hは、より高密度でよりクリーミーな食感を有していた。
実施例4において、以下の配合を有する試料Iを調製した。
約470lbのクリームチーズを105lbの熱いクリームと混合した。次に、200lbの砂糖を添加した。次いで、この混合物を撹拌した。次に、クリームチーズの残りを添加し、次いで、撹拌した。次に、174lbの全卵、30lbの砂糖を混ぜた卵黄、1.4lbのバニラ抽出物および0.8lbのソルビン酸を添加した。次いで、この混合物を撹拌した。撹拌しながら、157°Fの蒸気を注入し、混合物が155°Fとなるように最低で108秒間保持した。次いで、表面かき取り式熱交換器(surface scraped heat exchanger)に、19.5s.c.f.hの窒素流と共に、加熱混合物を送った。次いで、冷却されたバッターを約50〜58°Fの温度の容器に低温充填した。
一般に、完成したバッターは、以下の性質を有するべきである。
焼成後、試料Iは、試料Cで見られたものと同様の味、食感および外観を有していた。対照の一から作るチーズケーキに最も近いため、これらの試料はいずれも好ましい。
試料の一部の安定性を分析して、バッターに対する加工および成分の違いを求めた。対照は、一から作る標準的なニューヨークスタイルチーズケーキについて上で説明した成分および方法を使用して調製した。この対照を試料Cと比較した。対照は45°Fで保存し、その一方、試料Cの一部分は45°Fで保存し、試料Cの別の部分は45°Fと55°Fの間で循環させ、この試料は30日毎に1週間55°Fで保持した。次いで、様々な保存時間後、各試料の各部分を325°Fで1時間20分加熱調理してチーズケーキとした。安定性試験の結果は、以下の安定性チャートで示している。
前述の説明および添付の図面に示した事柄は、例示のためだけに提供したものであり、限定のためのものではない。特定の実施形態を示し説明してきたが、出願人が貢献するより広い態様から逸脱することなく変更および修正をなし得ることは当業者に明白である。実際に求める保護の範囲は、以下の特許請求の範囲において、先行技術に基づいたその適切な観点から見る場合に定義されるよう意図される。

Claims (19)

  1. すぐ焼成できるバッターの調製方法であって、
    クリームチーズ、クリーム、甘味料、および卵を混合して混合物を形成するステップ、
    混合物を少なくとも140°F(60℃)まで加熱して加熱混合物を作製するステップ、
    加熱混合物に不活性ガスを注入するステップ、
    加熱混合物に空気を混入するステップ、および、
    加熱混合物を冷却してバッターを形成するステップ、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 空気を混入するステップおよび冷却してバッターを形成するステップを同時に実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 空気を混入するステップおよび冷却してバッターを形成するステップをかき取り表面熱交換器中で実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. クリームチーズおよびクリームを、それぞれ、卵と混合する前に予熱することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 保存の前に60°F(15.6℃)未満の温度で1個または複数の容器に前記バッターを低温充填するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 甘味料は、砂糖であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記バッターは、約55°F(12.8℃)以下の温度で保存する場合に120日間にわたって安定であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 不活性ガスは、窒素であり、
    加熱混合物が少なくとも140°F(60℃)であるときに、
    不活性ガスを注入することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. すぐ焼成できるバッターの調製方法であって、
    クリームチーズ、クリーム、甘味料、および卵を混合して混合物を形成するステップ、
    混合物を少なくとも140°F(60℃)まで加熱して加熱混合物を作製するステップ、
    加熱混合物に空気を混入すると同時に冷却してバッターを形成するステップであって、空気を混入するステップおよび冷却してバッターを形成するステップの開始時の加熱混合物の温度が少なくとも140°F(60℃)であるステップ、
    を含むことを特徴とする方法。
  10. 空気を混入すると同時に冷却してバッターを形成するステップをかき取り表面熱交換器中で実施することを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. クリームチーズおよびクリームを、それぞれ、卵と混合する前に予熱することを特徴とする請求項9に記載の方法。
  12. 保存の前に60°F(15.6℃)未満の温度で1個または複数の容器に前記バッターを低温充填するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  13. 前記バッターは、約55°F(12.8℃)以下の温度で保存する場合に120日間にわたって安定であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  14. 加熱混合物の温度が少なくとも140°F(60℃)であるときに加熱混合物に不活性ガスを注入するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  15. すぐ焼成できるバッターの調製方法であって、
    クリームチーズ、クリーム、甘味料、および卵を混合して混合物を形成するステップ、
    混合物を少なくとも140°F(60℃)まで加熱して加熱混合物を作製するステップ、
    かき取り表面熱交換器中で加熱混合物に空気を混入し、冷却してバッターを形成するステップであって、卵の加熱調理を最小限にするために加熱混合物の140°F(60℃)より高温での維持は20分未満とし、加熱混合物に空気を混入し、冷却してバッターを形成するステップの開始時の加熱混合物の温度は少なくとも140°F(60℃)であるステップ、
    を含むことを特徴とする方法。
  16. クリームチーズおよびクリームを、それぞれ、卵と混合する前に予熱することを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 保存の前に60°F(15.6℃)未満の温度で1個または複数の容器に前記バッターを低温充填するステップをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  18. 前記バッターは、約55°F(12.8℃)以下の温度で保存する場合に120日間にわたって安定であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  19. 加熱混合物の温度が少なくとも140°F(60℃)であるときに加熱混合物に不活性ガスを注入するステップをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
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