JP2013032549A - フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンなどのフェノール性水酸基を有する特定のフルオレン類(A1)で少なくとも構成されたフェノール類(A)と、二官能性エポキシ化合物(例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂など)とを反応させる。前記フェノール類(A)において、前記フルオレン類(A1)の割合は、フェノール類(A)全体に対して80モル%以上であってもよい。
【選択図】なし
Description
-[CH2CHOR1CH2OAr1O]p-[CH2CHOR2CH2OAr2O]q-[CH2CHOHCH2OAr3O]r-
(式中、Ar1およびAr2は、それぞれ相互に同じでも異なっていてもよい2価芳香族フェノール残基を示し、Ar3はAr1またはAr2であり、R1は、アリル基、プロパルギル基およびビニルベンジル基から選ばれる1種または2種以上の重合性不飽和炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基およびアラルキル基から選ばれる飽和炭化水素基を示し、p、q、rは各々の構造単位のモル分率(%)を示し、10≦p≦100、0≦q≦80、0≦r≦10かつp+q+r=100である)。そして、この文献には、2価芳香族フェノール残基に対応する二価フェノールとして、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが例示されている。
前記式(1)において、環Z1および環Z2がベンゼン環又はナフタレン環であってもよい。代表的には、前記フルオレン類(A1)は、フルオレン類(A1)は、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン(例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど)、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン、および9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンから選択された少なくとも1種であってもよい。特に、前記フルオレン類(A1)は、9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレンであってもよい。前記フェノール類(A)において、前記フルオレン類(A1)の割合は、フェノール類(A)全体に対して80モル%以上であってもよく、実質的にフルオレン類(A1)のみで構成してもよい。
フェノール性水酸基を有するフルオレン類(単に、フルオレン類などということがある)は、フェノール性水酸基およびフルオレン骨格を有している限り、特に限定されないが、通常、下記式(1)で表される化合物であってもよい。
上記式(1)において、環Z1および環Z2で表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環(詳細には、少なくともベンゼン環を含む縮合多環式炭化水素環)などが挙げられる。縮合多環式芳香族炭化水素環に対応する縮合多環式芳香族炭化水素としては、縮合二環式芳香族炭化水素(例えば、インデン、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素)、縮合三環式芳香族炭化水素(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)などの縮合2乃至4環式芳香族炭化水素などが挙げられる。好ましい縮合多環式芳香族炭化水素としては、ナフタレン、アントラセンなどが挙げられ、特にナフタレンが好ましい。なお、環Z1およびZ2は同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
(1a)9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類には、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレンなど]が含まれ、通常、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類又は9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類、特に9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類を好適に使用できる。
9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は6,6−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール))、9,9−ビス[1−(6−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は5,5−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール))、9,9−ビス[1−(5−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は5,5−(9-フルオレニリデン)−ジ(1−ナフトール))、9,9−ビス[1−(6−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフチル)]フルオレン[又は5,5’−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール)]など]などの置換基を有していてもよい9,9−ビス(モノヒドロキシナフチル)フルオレン}、これらの9,9−ビス(モノヒドロキシナフチル)フルオレン類に対応する9,9−ビス(ポリヒドロキシナフチル)フルオレン類(例えば、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシナフチル)フルオレン類)などが挙げられる。
本発明のフェノキシ樹脂は、前記フルオレン類(A1)で少なくとも構成されたフェノール類(A)を重合成分(フェノール成分)として、慣用のフェノキシ樹脂と同様にして製造できる。例えば、本発明のフェノキシ樹脂は、前記フェノキシ樹脂(i)〜(iii)に対応する方法、すなわち、(1)前記フェノール類(A)とエピクロロヒドリンとを反応(重合)させる方法、(2)前記フェノール類(A)と二官能性エポキシ化合物とを反応させる方法、(3)前記フェノール類(A)のジグリシジルエーテルと、ジオール成分とを反応させる方法などにより製造できる。
試料(フェノキシ樹脂)を含むテトラヒドロフラン溶液(1重量%溶液)を作成し、ゲル透過型クロマトグラフ(TOSOH製、「HLC−8020」)により、室温において、ポリスチレン換算で、重量平均分子量(Mw)を測定した。
示差走査熱量計(DSC、SII製、「DSC6220」)により、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCF、大阪ガスケミカル株式会社製)415重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「エピコート828」、エポキシ当量179)145重量部、および触媒としてのテトラメチルアンモニウムブロマイド2.9重量部を混合し、180℃にて攪拌しながら4時間反応させた。得られたフェノキシ樹脂の分子量を測定したところ、数平均分子量Mn=3720、重量平均分子量Mw=13599、分子量分布Mw/Mn=3.6であった。また、得られたフェノキシ樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定した結果、135℃であり、耐熱性に優れた樹脂であることがわかった。
実施例1において、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン145重量部に代えて、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製)145重量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂を得た。得られたフェノキシ樹脂の分子量を測定したところ、数平均分子量Mn=2932、重量平均分子量Mw=10520、分子量分布Mw/Mn=3.6であった。また、得られたフェノキシ樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定した結果、152℃であり、耐熱性に優れた樹脂であることがわかった。
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン145重量部に代えて、6,6’−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール)(又は6,6’−(9−フルオレニリデン)−ビス(2−ナフトール)、大阪ガスケミカル株式会社製、「ビスナフトールフルオレン」)177重量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂を得た。得られたフェノキシ樹脂の分子量を測定したところ、数平均分子量Mn=3401、重量平均分子量Mw=12610、分子量分布Mw/Mn=3.7であった。また得られたフェノキシ樹脂のガラス転移温度を測定した結果、196℃であり、耐熱性に優れた樹脂であることがわかった。
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン145重量部に代えて、9,9−ビス(3−フェニルー4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製)193重量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂を得た。得られたフェノキシ樹脂の分子量を測定したところ、数平均分子量Mn=2713、重量平均分子量Mw=10592、分子量分布Mw/Mn=3.8であった。また得られたフェノキシ樹脂のガラス転移温度を測定した結果、190℃であり、耐熱性に優れた樹脂であることがわかった。
Claims (11)
- 式(1)において、環Z1および環Z2がナフタレン環である請求項1記載のフェノキシ樹脂。
- フルオレン類(A1)が、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンである請求項1記載のフェノキシ樹脂。
- フルオレン類(A1)の割合がフェノール類(A)全体に対して80モル%以上である請求項1記載のフェノキシ樹脂。
- フルオレン類(A1)の割合がフェノール類(A)全体に対して95モル%以上である請求項1記載のフェノキシ樹脂。
- フェノール類(A)と二官能性エポキシ化合物との反応物である請求項1記載のフェノキシ樹脂。
- 二官能性エポキシ化合物が、ビスフェノール型エポキシ樹脂である請求項6記載のフェノキシ樹脂。
- 二官能性エポキシ化合物のエポキシ当量が、140〜500g/eqである請求項6記載のフェノキシ樹脂。
- 請求項1記載のフェノール類(A)と二官能エポキシ化合物とを反応させる請求項6記載のフェノキシ樹脂の製造方法。
- 二官能性エポキシ化合物の使用割合が、フェノール類(A)1重量部に対して、0.1〜10重量部である請求項9記載のフェノキシ樹脂の製造方法。
- 請求項1記載のフェノキシ樹脂で形成された成形体。
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