JP2013029801A - 管状体、管状体ユニット、中間転写体、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルキル基数9個以上13個以下の脂肪族ジアミンと、芳香環を有するジカルボン酸と、から誘導される繰り返し単位構造を少なくとも有する半芳香族ポリアミド樹脂と、カーボンブラックと、を含むポリアミド樹脂層の単層体で構成、又は当該ポリアミド層を少なくとも有する2層以上の積層体で構成された管状体10(無端ベルト10)である。
【選択図】図1
Description
また、特許文献2には、「ポリアミド樹脂に導電剤を配合する際に銅化合物を添加し導電剤の分散性を安定化させた中間転写ベルト」が提案されている。
また、特許文献3には、「脂肪族ポリアミド樹脂に電解質化合物を添加して抵抗の安定性を狙った中間転写ベルト」が提案されている。
また、特許文献5には、「結晶性熱可塑性樹脂を用いた中間転写ベルトであって、ナノインデンテーション法よる表面硬度を0.25GPa〜0.6GPaとして、膜を硬くすることで、外添剤等による表面の傷付きの抑制と屈曲性を両立した中間転写ベルト」が提案されている。
請求項1に係る発明は、
芳香族ジカルボン酸化合物とアルキル基数が9個以上13個以下の脂肪族ジアミン化合物とから誘導される繰り返し単位構造を少なくとも有する半芳香族ポリアミド樹脂と、カーボンブラックと、を含むポリアミド樹脂層の単層体で構成、又は当該ポリアミド層を少なくとも有する2層以上の積層体で構成された管状体。
前記脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が、9個以上12個以下である請求項1に記載の管状体。
前記ポリアミド樹脂層が、前記半芳香族ポリアミド樹脂100質量部に対して、前記カーボンブラック15質量部以上30質量部以下を含む請求項1又は2に記載の管状体。
前記カーボンブラックの平均一次粒子径が、25nm以下である請求項1〜3のいずれかに1項に記載の管状体。
前記ポリアミド樹脂層における、温度(T[℃])とせん断速度608(1/s)である溶融粘度(η[Pa・s])の常用対数(Log10η)との関係を示す曲線(T−Log10η曲線)が、Log10200以上Log101000以下のLog10η範囲に、傾き(ΔLog10η/ΔT)−0.010以上0以下である緩傾斜領域を有し、
かつ、前記緩傾斜領域の温度範囲が15℃以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の管状体。
前記半芳香族ポリアミド樹脂の結晶化度が、30%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の管状体。
請求項1〜6のいずれか1項に記載の管状体と、該管状体を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に対して脱着される管状体ユニット。
請求項1〜6のいずれか1項に記載の管状体からなる中間転写体。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体であって、請求項8に記載の中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備えた画像形成装置。
請求項2に係る発明によれば、半芳香族ポリアミドにおける脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が9個以上12個以下の範囲外の場合に比べ、電気抵抗の維持性に優れた管状体が提供できる。
請求項3に係る発明によれば、ポリアミド樹脂層が、カーボンブラックの含有量が上記範囲外の場合に比べ、クリーニング性の低下が抑制された管状体が提供できる。
請求項4に係る発明によれば、カーボンブラックの平均一次粒子径が上記範囲外の場合に比べ場合に比べ、クリーニング性の低下が抑制された管状体が提供できる。
請求項5に係る発明によれば、ポリアミド樹脂層の粘度特性が上記特性を満たさない場合に比べ、厚み及び抵抗率のバラツキが抑制されたポリアミド樹脂層を有する管状体が提供できる。
請求項6に係る発明によれば、半芳香族ポリアミド樹脂の結晶化度が上記範囲外の場合に比べ、クリーニング性の低下が抑制された管状体が提供できる。
請求項8、9に係る発明によれば、ポリアミド樹脂層が上記半芳香族ポリアミド樹脂を含まない管状体を適用した場合に比べ、クリーニング性の低下が抑制された中間転写体、及びそれを備える画像形成装置が提供できる。
図1は、実施形態に係る管状体を示す概略斜視図である。
そして、ポリアミド樹脂層は、芳香族ジカルボン酸化合物とアルキル基数が9個以上13個以下の脂肪族ジアミン化合物とから誘導される繰り返し単位構造を少なくとも有する半芳香族ポリアミド樹脂(以下、単に、「半芳香族ポリアミド樹脂」と称することがある)と、カーボンブラックと、を含んで構成されている。
しかしながら、ポリアミド樹脂は吸湿による機械的変化の影響が大きく、ポリアミド樹脂を用いた無端ベルトは吸湿による圧縮弾性率が低下し易い。
吸湿により圧縮弾性率が低下すると、無端ベルトの表面に付着した付着物(特に小径の粒状物)が埋まり込み易くなり、それが除去でき難く、クリーニング性に劣ってしまうのが現状である。
また、吸湿による圧縮弾性率の低下を抑制するために、充填材(例えばカーボンブラック)を配合することも考えられるが、十分抑制され難く、しかも、配合量を多くすると、、ベルト表面が粗れやすく、逆にクリーニング性が低下してしまうことや、耐屈曲性の低下を引き起こしてしまうのが現状である。
この理由は定かではないが、以下の理由によるものと考えられる。
一方、半芳香族ポリアミド樹脂の圧縮弾性率は、その分子内に芳香環濃度に依存すると考えられる。つまり、半芳香族ポリアミド樹脂の芳香環濃度が低すぎると、機械的強度が低下し、圧縮弾性率の低下が生じ易くなるものと考えられる。また、表面硬度自体も低下し易くなると考えられる。
一方、半芳香族ポリアミド樹脂の繰り返し単位構造を誘導する脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数を13個以下とすると、半芳香族ポリアミド樹脂の分子内の芳香環濃度の低下が抑えられ、芳香環濃度に起因する圧縮弾性率の低下が抑制されると考えられる。
特に、本実施形態に係る無端ベルト10では、例えば、環境変動(低湿環境下と高湿環境下での変動)による、圧縮弾性率の低下が抑制され、クリーニング性の低下が抑制されると考えられる。また、適切な剛性を持ち、繰返し変形による端部の亀裂や破断が抑制されるといった機械的特性を持った上で、クリーニング性の低下が抑制されると考えられる。
そして、本実施形態に係る無端ベルト10を画像形成装置用の無端ベルトとして適用すると、例えば、画像形成装置用の無端ベルトがトナーの外添剤等の付着物の埋まり込みが抑制され、クリーニング性の低下が抑制されることから、繰り返し使用して無端ベルトのクリーニング不良に起因する画像欠陥が抑制された画像形成装置が実現される。
つまり、半芳香族ポリアミド樹脂における脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数は、9個以上12個以下であることがよい。
この理由は定かではないが、以下の理由によるものと考えられる。
このポリアミド樹脂の結晶化が生じると、当該樹脂中からカーボンブラックが排除され易くなり、カーボンブラックが凝集体を形成すると考えられる。その結果、カーボンブラックが凝集体を形成すると、導電経路を形成すると考えられる。
これに対して、半芳香族ポリアミド樹脂として、アルキル基数が9個以上12個以下の脂肪族ジアミン化合物を用いた半芳香族ポリアミド樹脂を適用すると、上記冷却に伴う結晶化が抑えられ、当該樹脂中からのカーボンブラックの排除が抑制され、カーボンブラックの凝集体の生成が抑制されると考えられる。このため、得られるポリアミド層(無端ベルト10)中で、導電経路を形成することなく、カーボンブラックの形成する導電点が均一に点在した状態になると考えられる。
一方で、上記半芳香族ポリアミド樹脂は、その分子間凝集力が適度なものとなり、カーボンブラック自体の分散性が向上するものと考えられる。このため、これによっても、得られるポリアミド層(無端ベルト10)中で、導電経路を形成することなく、カーボンブラックの形成する導電点が均一に点在した状態になると考えられる。
具体的には、本実施形態に係る無端ベルト10では、例えば、ベルトの繰り返し使用による電気抵抗の維持性、及び、印加電圧の変動や環境変動による電気抵抗の維持性(つまり電気抵抗の安定性)が実現される。
そして、本実施形態に係る無端ベルト10を、画像形成装置用の無端ベルトとして適用すると、例えば、繰り返し使用、印加電圧の変動や環境変動に伴う無端ベルトの電気抵抗の変動に起因する画像欠陥が抑制された画像形成装置が実現される。
ところが、押出スクリューは、螺旋状構造を持つ為、何らかの脈動を溶融した樹脂組成物に与えると考えられる。特に、クロスヘッド方式では、押出ヘッドは押出スクリューに対し直角に樹脂組成物流動方向を変えるため、周方向の流路が均一にならず、樹脂組成物に与えられる熱的・動的履歴が周方向で異なると考えられる。ヘッドの周方向温度を一定にする手段を講じても、時間経過を含めて完全に温度を一定にでき難いため、周方向で樹脂組成物に温度差が生じ、結果として粘度差を生じることがある。これらが、ダイス出口での周方向粘度差、軸方向(時間経過)粘度差となり、周方向及び軸方向の膜厚が不均一になると考えられる。そして、膜厚が不均一となると抵抗率も不均一になると考えられる。
即ち、本実施形態に係る無端ベルト10では、樹脂組成物、つまり、これにより形成されるポリアミド樹脂層の粘度特性を上記特定の粘度特性とすると、ポリアミド樹脂層(樹脂組成物)の温度に対する溶融粘度変化が抑制された領域が押出成形条件の振れに対応するような範囲に存在するようになることから、ポリアミド樹脂層の厚み及び抵抗率のバラツキが抑制される。
ポリアミド樹脂層は、半芳香族ポリアミド樹脂と、カーボンブラックと、必要応じて、その他添加剤と、を含んで構成される。
半芳香族ポリアミド樹脂は、芳香族ジカルボン酸化合物とアルキル基数が9個以上12個以下の脂肪族ジアミン化合物とから誘導される繰り返し単位構造を少なくとも有する半芳香族ポリアミド樹脂である。
具体的には、半芳香族ポリアミド樹脂は、例えば、芳香族ジカルボン酸化合物と脂肪族ジアミン化合物との重縮合体等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸化合物として具体的には、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4―フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4‘−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4−ジカルボン酸、ジフェニルスルホンー4,4―ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルカルボン酸等が挙げられる。
これらの中も、例えば、経済性、ポリアミドの性能の観点からテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が望ましく、テレフタル酸がより望ましい。
ここで、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数とは、脂肪族ジアミン化合物において、2つのアミノ基が連結する脂肪族基(アルキル基)の炭素数を意味している。
一方、本アルキル基数が13個を超えると、半芳香族ポリアミド樹脂の芳香環濃度が低くなり、やはり、圧縮弾性率が低下し、剛性と共に表面硬度も低下すると考えられ、クリーニング性が低下してしまう。
その結果、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数を9個以上13個以下の範囲とすると、無端ベルト10のクリーニング性の低下が抑制される。
一方、本アルキル基数が12個を超えると、半芳香族ポリアミド樹脂中の芳香環濃度が低くなり、半芳香族ポリアミド樹脂の分子間凝集力が低下し、カーボンブラックの分散状態が損なわれてしまう。
その結果、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数を上記範囲とすると、無端ベルト10の電気抵抗の維持姓が向上する。
これらの中も、例えば、ポリアミド性能や環境保護等の観点から、1,10−デカンジアミン(デカメチレンジアミン)、1,11−ウンデカンジアミンが望ましく、1,10−デカンジアミン(デカメチレンジアミン)がより望ましい。
ここで、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体において、ポリエーテル鎖を構成するポリエーテルとしては、例えば、アルキレンの炭素数が2個以上6個以下(望ましくは2個以上4個以下)のポリアルキレングリコールが挙げられ、具体的には例えば、ポリテトラメチレングリコール(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、これらの共重合体(例えば、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体等)等が挙げられる。
本結晶化度が高すぎると、半芳香族ポリアミド樹脂の溶融後の冷却化に伴う結晶化により、半芳香族ポリアミド樹脂中からカーボンブラックが排除されて、カーボンブラックが凝集体を形成し易くなることがある。
このため、結晶化度は、低いほど、カーボンブラックの凝集体形成が抑制され、また、カーボンブラックが緻密かつ均一に分散されると考えられる。
一方で、半芳香族ポリアミド樹脂では、結晶部に由来する高強度部と、非晶部に由来する柔軟部がバランスを取ることにより、強度と靭性を確保すると考えられることから、半芳香族ポリアミド樹脂の結晶化度(その下限値)は、2%以上(望ましくは4%以上)であることがよい。
カーボンブラックとしては、例えば、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。
本平均一次粒子径を上記の範囲とすることにより、カーボンブラックによる導電点を微細かつ均一となり、ポリアミド樹脂層(無端ベルト10)表面での放電劣化による抵抗低下が抑制され易くなる。
なお、上記観点からは、カーボンブラックの平均一次粒子径は小さい程よいが、一次粒子径が小さすぐると嵩密度が小さくなり取り扱いが困難になることや表面積が大きくなるために分散物がチキソ性を示すようになることから、10nm以上(望ましくは12nm以上)であることがよい。
まず、得られたポリアミド樹脂層(無端ベルト10)から、ミクロトームにより切断して、100nmの厚さの測定サンプルを採取し、本測定サンプルをTEM(透過型電子顕微鏡)により観察する。そして、カーボンブラックの粒子50個の径を測定して、その平均値を平均一次粒子径とする。
カーボンブラックの揮発分を上記範囲とすることにより、ポリアミド樹脂への分散時において、カーボンブラックから発生する揮発ガスの対流の影響によって、カーボンブラック粒子の分散不良(分散密度低下、凝集等)や、ポリアミド樹脂層(無端ベルト10)の押出成形時の空隙(ボイド)の発生が抑制され易くなる。
カーボンブラックのpHを上記範囲とすることにより、結合力の大きいアミド基との親和性が高くなり、カーボンブラックのポリアミド樹脂中における分散性が向上するとともに、カーボンブラックとポリアミド樹脂の界面での結合力が増し、ポリアミド樹脂層(無端ベルト10)が繰返し変形しても、当該界面からの割れの発生(クラック発生)が抑制され易くなる。その結果、ポリアミド樹脂層(無端ベルト10)の電気特性の一層の安定化に加えて、強度特性の向上(高信頼化)が得られる易くなる。
カーボンブラックの含有量を上記範囲とすると、ポリアミド樹脂層(無端ベルト10)中のカーボンブラックによる導電点が高密度になり、ポリアミド樹脂層(無端ベルト10)表面の受ける放電エネルギーを分散させ易くなることから、劣化が抑制される。
カーボンブラックの含有量は、少なすぎると、ポリアミド樹脂層(無端ベルト10)中で上記高密度な導電点の形成ができ難くなり、多すぎると、電気抵抗が低くなり過ぎると共に、ポリアミド樹脂層(無端ベルト10)が脆くなる傾向となる。
その他添加剤としては、例えば、ポリアミド樹脂層の熱劣化を防止するための酸化防止剤や、流動性を向上させるための界面活性剤等、特に、画像形成装置の無端ベルトに配合される周知の添加剤が挙げられる。
本実施形態に係る無端ベルト10(ポリアミド樹脂層)は、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率が、7logΩ/□以上13logΩ/□以下であることがよく、特に、無端ベルト10を中間転写ベルトとして適用する場合、8logΩ/□以上12logΩ/□以下であることがよく、無端ベルトを記録媒体搬送転写ベルトとして適用する場合、9logΩ/□以上13logΩ/□以下であることがよい。
なお、本表面抵抗率は、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの測定値である。
本実施形態に係る無端ベルト10(ポリアミド樹脂層)は、低温低湿(温度10℃、湿度10RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、高温高湿(温度30℃、湿度85RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、の差が、1.0logΩ/□以下であることがよい。
無端ベルト10(ポリアミド樹脂層)における飽和吸湿時の圧縮弾性率が上記範囲であることは、吸湿による圧縮弾性率の低下が抑えられていることを意味し、これにより、クリーニング性(特に、環境変動による吸湿時のクリーニング性)の低下が抑制される。
無端ベルト10(ポリアミド樹脂層)におけるE1−E2の差が上記範囲であることは、環境変動(低湿環境下と高湿環境下での変動)による、圧縮弾性率の変化が少ないことを意味しており、これにより、環境変動(低湿環境下と高湿環境下での変動)によるクリーニング性の変動が少なくなる。
また、常湿時の圧縮弾性率は、無端ベルト10(ポリアミド層)から採取した測定試料を、そのまま、常温常湿(温度22度、湿度55RH%)の環境下で、島津製作所(株)製「ダイナミック微小硬度計」を用いて、圧縮深さ1μmまで圧縮荷重を掛けた後、除々に荷重を開放させ、そのときの荷重と伸びの変化量とから圧縮弾性率を求めた。
この特定の粘度特性を満たすことにより、無端ベルト10(ポリアミド樹脂層)の厚み及び抵抗率のバラツキが抑制される。
緩傾斜領域の温度範囲は、15℃以上であることがよいが、望ましくは20℃以上である。
具体的には、特定の粘度特性を満たすには、例えば、以下の条件とすることがよい。
・ポリアミド樹脂の種類:芳香族ジカルボン酸化合物とアルキル基数が9個以上13個以下の脂肪族ジアミン化合物とから誘導される繰り返し単位構造を少なくとも有する半芳香族ポリアミド樹脂
・ポリアミド樹脂の分子量:重量平均分子量30,000以上60,000以下(望ましくは40,000以上50,000以下)
・カーボンブラックの種類:ファーネスブラック又はチャンネルブラック
・カーボンブラックの配合量:半芳香族ポリアミド樹脂100質量部に対して15質量部以上30質量部以下(望ましくは20質量部以上25質量部以下)
・測定装置:「キャピログラフ1D」株式会社東洋精機製作所
・バレル寸法:径9.55mm、有効長さ250mm
・せん断速度:608(1/s)
・温度:275℃、300℃、315℃、330℃
本特性は、例えば、芳香族ジカルボン酸化合物とアルキル基数が9個以上13個以下の脂肪族ジアミン化合物とから誘導される繰り返し単位構造を少なくとも有する半芳香族ポリアミド樹脂と、カーボンブラックと、を含むポリアミド樹脂層であって、上記特定の粘度特性を満たすことにより実現される。
まず、例えば、半芳香族ポリアミド樹脂とカーボンブラックと必要に応じて他の添加剤とを、それぞれ目的とする配合量で混練、混合し、樹脂組成物のペレットを得る。
具体的には、例えば、樹脂組成物のペレットを、円筒状に溶融押出して、かつ延伸させながら引き取り、その円筒状に押出された樹脂組成物の内周面及び外周面を冷却することにより、円筒状の成形体を得る。このとき、押出機内の樹脂組成物流路を不活性ガスで置換することがよい。
押出成形を利用することにより、キャスト工法に比較して、工程が単純で安価で成形が実現される。
特に、押出成形において、円筒状に押出された樹脂組成物の内周面と外周面を同時に冷却させながら延伸すると、結晶化の均一性が確保され、かつ延伸により樹脂分子が配列して分子鎖が伸びることによる、樹脂層の緊張状態が得られると考えられ、表面の平滑性が得られると共に、表面強度が適度に向上する。
具体的には、例えば、本実施形態に係る無端ベルト10は、基材層とその外周面に表面層(表面離型層)との積層体で構成され、当該基材層及び表面層の少なくとも一方としてポリアミド樹脂層を適用した構成であってもよい。但し、ポリアミド樹脂層を表面層として適用する場合、離型材料(例えば、フッ素化合物(フッ素樹脂、又はその粒子等)等)を配合することがよい。
無論、基材層及び表面層の間に中間層を設けてもよいし、基材層自体が2層以上の積層体で構成させたものであってもよい。
図2は、本実施形態に係る管状体ユニットを示す概略斜視図である。
本実施形態に係る管状体ユニット130(以下、無端ベルトユニットと称する)は、図2に示すように、上記本実施形態に係る無端ベルト10を備えており、例えば、無端ベルト10は対向して配置された駆動ロール131及び従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている(以下、「張架」という場合がある。)。
ここで、本実施形態に係る無端ベルトユニット130は、無端ベルト10を中間転写体として適用させる場合、無端ベルト10を張架するロールとして、感光体(像保持体)表面のトナー像を無端ベルト10上に1次転写させるためのロールと、無端ベルト10上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に2次転写させるためのロールが配置される。
なお、無端ベルト10を張架するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。このような構成の無端ベルトユニット130は、装置に組み込まれて使用され、駆動ロール131,従動ロール132の回転に伴って無端ベルト10も張架した状態で回転する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体表面を帯電する帯電手段と、像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段と、を有し、転写手段が、上記本実施形態に係る無端ベルトを備えるものである。
図3は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
像保持体101a乃至101dとしては、公知の電子写真感光体が広く適用される。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
帯電装置102a乃至102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、帯電装置における「導電性」とは例えば体積抵抗率が107Ω・cm未満を意味する。)または半導電性(ここで、帯電装置における「半導電性」とは例えば体積抵抗率が107乃至1013Ωcmを意味する。)のローラ、ブラシ、フィルム、またはゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器が広く適用される。これらの中でも接触型帯電器が望ましい。
露光装置114a乃至114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a乃至101dの表面に、半導体レーザー光、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)光、または液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して定められた像様に露光し得る光学系機器など、公知の露光装置が広く適用される。
現像装置103a乃至103dとしては、目的に応じて選択され。例えば、一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、またはローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器などが挙げられる。
一次転写ロール105a乃至105dは単層或いは多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡または無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。
像保持体クリーニング装置104a乃至104dは、一次転写工程後の像保持体101a乃至101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
二次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆するコーティング層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。コーティング層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはパーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。二次転写ロール109の体積抵抗率は107Ωcm以下であることが望ましい。また、中間層を除いた2層構造としてもよい。
対向ロール108は、二次転写ロール109の対向電極を形成する。対向ロール108の層構造は、単層或いは多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。
定着装置110としては、例えば、熱ローラ定着器、加圧ローラ定着器、またはフラッシュ定着器など公知の定着器が広く適用される。
中間転写ベルトクリーニング装置112および113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
なお、「phr」は、樹脂100質量部に対する質量部を示す。
[実施例A1]
半芳香族ポリアミド樹脂(F2001〔ダイセルエボニック社製〕:芳香族ジカルボン酸化合物であるテレフタル酸と脂肪族ジアミン化合物である1,10−デカンジアミンとの縮合体:芳香族ジカルボン酸化合物が持つ芳香環がベンゼン環で、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が10個)に、カーボンブラック(Monark_M880、キャボットスペシャリティケミカルズ社製、一次粒子径15nm、揮発分1.5%、pH8.5)を22phrで配合し、二軸溶融混練機(パーカーコーポレーション社製)を用いて、バレル加熱温度を最下流位置(材料供給側)のバレルが270℃、そこから徐々に最大加熱温度が300℃となるようにバレル加熱温度を段階的に設定し、スクリューの回転トルク121Nmにて溶融混練を行い、混練機の排出口より排出された溶融状態のストランド(直径2mm程度のロープ状)を水槽内に通して冷却、冷却固化されたストランドをペレタイザーに挿入しカット後、長さ約5mm程度のカットサイズの混合樹脂ペレットを得た。
なお、「phr」とは樹脂の質量を100としたときの材料の質量を表す
半芳香族ポリアミド樹脂として、半芳香族ポリアミド樹脂(N1000D」(クラレ社製):芳香族ジカルボン化合物であるテレフタル酸と脂肪族ジアミン化合物である1−9ノナンジアミン/2メチル−1,8−オクタンジアミンとの縮合体:芳香族ジカルボン酸化合物が持つ芳香環がベンゼン環で、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が9個)を用いた以外は、実施例A1と同様にして押出ベルト(無端ベルト)を得た。
半芳香族ポリアミド樹脂として、半芳香族ポリアミド樹脂(芳香族ジカルボン化合物であるテレフタル酸と脂肪族ジアミン化合物である1,12−ドデカンジアミンとの縮合体;芳香族ジカルボン酸化合物が持つ芳香環がベンゼン環で、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が12個)を用いた以外は、実施例A1と同様にして押出ベルト(無端ベルト)を得た。
半芳香族ポリアミド樹脂として、半芳香族ポリアミド樹脂(芳香族ジカルボン化合物であるテレフタル酸と脂肪族ジアミン化合物である1,13−ジアミノトリデカンとの縮合体:芳香族ジカルボン酸化合物が持つ芳香環がベンゼン環で、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が13個)を用いた以外は、実施例A1と同様にして押出ベルト(無端ベルト)を得た。
カーボンブラック(Monark M880、キャボットスペシャリティケミカルズ社製、一次粒子径15nm、揮発分1.5%、pH8.5)の配合量を15phrとした以外は、実施例A1と同様にして押出ベルト(無端ベルト)を得た。
カーボンブラック(Monark_M880、キャボットスペシャリティケミカルズ社製、一次粒子径15nm、揮発分1.5%、pH8.5)の配合量を30phrとした以外は、実施例A1と同様にして押出ベルト(無端ベルト)を得た。
カーボンブラックとして、カーボンブラック(ELFTEX415、キャボットスペシャリティケミカルズ社製、一次粒子径25nm、揮発分1.0%、pH9.0)を用い、その配合量を23phrとした以外は、実施例A1と同様にして押出ベルト(無端ベルト)を得た。
カーボンブラック(Monark_M880、キャボットスペシャリティケミカルズ社製、一次粒子径15nm、揮発分1.5%、pH8.5)の配合量を13phrとした以外は、実施例A1と同様にして押出ベルト(無端ベルト)を得た。
カーボンブラック(Monark_M880、キャボットスペシャリティケミカルズ社製、一次粒子径15nm、揮発分1.5%、pH8.5)の配合量を33phrとした以外は、実施例A1と同様にして押出ベルト(無端ベルト)を得た。
半芳香族ポリアミド樹脂として、半芳香族ポリアミド樹脂(F1001:ダイセルエボニック社製:芳香族ジカルボン化合物であるテレフタル酸と脂肪族ジアミン化合物であるヘキサメチレンジアミンとの縮合体:芳香族ジカルボン酸化合物が持つ芳香環がベンゼン環で、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が6個)を用いた以外は、実施例A1と同様にして押出ベルト(無端ベルト)を得た。
半芳香族ポリアミド樹脂として、半芳香族ポリアミド樹脂(芳香族ジカルボン化合物であるテレフタル酸と脂肪族ジアミン化合物である1,14−ジアミノテトラデカンとの縮合体:芳香族ジカルボン酸化合物が持つ芳香環がベンゼン環で、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が14個)を用いた以外は、実施例A1と同様にして押出ベルト(無端ベルト)を得た。
半芳香族ポリアミド樹脂に代えて、脂肪族ポリアミド樹脂(ナイロン12(3030XA:宇部興産(株)製、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が12個)を用いた以外は、実施例A1と同様にして押出ベルト(無端ベルト)を得た。
(繰り返し使用特性)
各例Aで得られた無端ベルトを中間転写ベルトとして、画像形成装置「富士ゼロックス社製C2250」に搭載し、10℃/10%RHの低温低湿環境下(転写時における中間転写ベルト表面での用紙剥離にともなう放電が起きやすい環境下)で、連続、50,000枚の画像出力した後、ハーフトーン(マゼンダ30%)画像について画質評価を行った。
また、この連続、50,000枚の画像出力前後の無端ベルト(中間転写ベルト)の表面抵抗率(常温常湿(22℃55RH%)、印加電圧100V)を測定した。
ここで、画質評価は以下の基準で評価した。
A:画像濃度低下なし
B:わずかに画像濃度が低下
C:画像濃度低下あり(許容できないレベル)
各例で得られた無端ベルトについて、低温低湿(温度10℃、湿度10RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、高温高湿(温度30℃、湿度85RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、をそれぞれ測定し、その差を環境依存性として評価した。
各例で得られた無端ベルト(ポリアミド樹脂層)における、ポリアミド樹脂の結晶化度を以下の機器/測定条件にて調べた。
機器名:(株)島津製作所製 回折X線分析機 XRD6100
測定法:θ−2θ集中法
X線源:CuKα 40kV−40mA
走査範囲:2θ角度走査 10°〜35°
各例で得られた無端ベルトについて、常湿時の圧縮弾性率E1、飽和吸湿時の圧縮弾性率E2、その差分(E1−E2)について調べた。
各例で得られた無端ベルトを中間転写ベルトとして、画像形成装置「富士ゼロックス社製C2250」に搭載し、28℃/85%RHの高温高湿環境下で、連続、50,000枚の画像出力した後、ハーフトーン(マゼンダ30%)画像について、クリーニング不良の確認を行った。
ここで、クリーニング不良の発生は以下の基準で評価した。
A:クリーニング不良による白抜けの発生無し
B:クリーニング不良より僅かな白抜けの発生あり
C:クリーニング不良により顕著な白抜けが発生
各例で得られた無端ベルトを中間転写ベルトとして、画像形成装置「富士ゼロックス社製C2250」に搭載し、28℃/85%RHの高温高湿環境下で、連続、50,000枚の画像出力した後、中間転写ベルトから2mm×2mmの大きさの試料を切り出し、走査型電子顕微鏡(日立製作所(株)製「FE−SEM S−5500」)にて、試料の表面の観察を行い、外添剤の埋まり込みについて調べた。
った。
ここで、外添剤の埋まり込みは以下の基準で評価した。
A:外添剤の埋まり込み無し
B:僅かな外添剤の埋まり込みあり
C:外添剤の埋まり込みあり
D:酷い外添剤の埋まり込みあり
アルキル基数が6個以上12個以下の脂肪族ジアミン化合物を用いた半芳香族ポリアミド樹脂を適用した実施例A1〜A3、A5〜A9は、実施例A4、及び比較例Aに比べ、繰り返し使用特性、環境依存性、電圧依存性に優れていることがわかる。
[実施例B1]
半芳香族ポリアミド樹脂PA9T(クラレ社製「N1000D―H」:半芳香族ポリアミド樹脂=芳香族ジカルボン化合物であるテレフタル酸と脂肪族ジアミン化合物である1,9−ノナンジアミンと2−メチル-1,8-オクタンジアミンの共重合体との縮合体:脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が9個)100phrに、カーボンブラック(MonarkM880、キャボットスペシャリティケミカルズ社製、一次粒子径15nm、揮発分1.5%、pH8.5)を20phrとなるように、二軸溶融混練機(パーカーコーポレーション社製)を用いて、バレル加熱温度を最上流位置(材料供給側)のバレルが220℃、そこから徐々に最大加熱温度が300℃となるように段階的に設定し、スクリューの回転数250rpm、回転トルク140Nmにて溶融混練を行い、混練機の排出口より排出された溶融状態のストランド(直径2mm程度の紐状)を水槽内に通して冷却、冷却固化されたストランドをペレタイザーに挿入しカット後、長さ約5mm程度のカットサイズの混合樹脂ペレットを得た。
なお、「phr」とは樹脂の質量を100としたときの材料の質量を表す。
カーボンブラックの配合量を25phrとした以外は、実施例B1と同様の条件で、φ160mm、平均膜厚95μm、幅250mmの無端ベルトを得た。
カーボンブラックの配合量を22phrとした以外は、実施例B1と同様の条件で、φ160mm、平均膜厚100μm、幅250mmのベルトを得た。
半芳香族ポリアミド樹脂PA9Tに代えて、半芳香族ポリアミド樹脂PA10T(ダイセルエボニック社製:F2001:芳香族ジカルボン酸化合物であるテレフタル酸と脂肪族ジアミン化合物である1,10−デカンジアミンとの縮合体:芳香族ジカルボン酸化合物が持つ芳香環がベンゼン環で、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が10個)100phrとし、カーボンブラックの配合量、成形温度、押出し時冷却温度を表3に示した条件とした以外は、実施例B1と同様の条件で、φ160mm、表3に示す平均膜厚、幅250mmの無端ベルトをそれぞれ得た。
表3に示す押出時冷却温度以外は、実施例1と同様の条件で、φ160mm、表3に示す平均膜厚、幅250mmの無端ベルトを得た。
半芳香族ポリアミド樹脂PA9Tに代えて、脂肪族ポリアミド樹脂(ナイロン12(3030XA:宇部興産(株)製、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が12個)100phrとし、カーボンブラックの配合量、成形温度、押出し時冷却温度を表3に示す条件とした以外は、実施例B1と同様の条件で、φ160mm、表3に示す平均膜厚、幅250mmの無端ベルトを得た。
半芳香族ポリアミド樹脂PA9Tに代えて、ポリブチレンナフタレート樹脂(帝人化成TQB−OT)100phrとし、カーボンブラックの配合量、成形温度、押出し時冷却温度を表3に示した条件とした以外は、実施例B1と同様の条件で、φ160mm、表3に示す平均膜厚、幅250mmの無端ベルトを得た。
(粘度特性)
各例で得られた無端ベルトから試料(樹脂層)を採取し、温度(T[℃])とせん断速度608(1/s)である溶融粘度(η[Pa・s])の常用対数(Log10η)との関係を示す曲線(T−Log10η曲線)を調べた。
そして、得られた曲線(T−Log10η曲線)から、Log10200以上Log101000以下のLog10η範囲においての緩傾斜領域の有無、その傾き(ΔLog10η/ΔT)、及び緩傾斜領域の温度範囲(℃)を調べた。
測定装置:「キャピログラフ1D」株式会社東洋精機製作所
バレル寸法:径9.55mm、有効長さ250mm
せん断速度:608(1/s)
温度:270℃、285℃、300℃、315℃、330℃
各例で得られた無端ベルト(ポリアミド樹脂層)における、ポリアミド樹脂の結晶化度を以下の機器/測定条件にて調べた。
機器名:(株)島津製作所製 回折X線分析機 XRD6100
測定法:θ−2θ集中法
X線源:CuKα 40kV−40mA
走査範囲:2θ角度走査 10°〜35°
−表面抵抗率−
各例で得られた無端ベルト(ポリアミド樹脂層)の表面抵抗率を調べた。
表面抵抗率は、ベルト1本当たり軸方向3点、周方向8点測定し、その平均値、表面抵抗率最大値(対数値)と表面抵抗率最小値(対数値)との差を調べた。
各例で得られた無端ベルト(ポリアミド樹脂層)の膜厚を調べた。
膜厚は、マイクロメーターを用いて、ベルト1本当たり軸方向3点、周方向8点測定し、平均値(平均膜厚)、膜厚最大値と膜厚最小値の差を調べた。
各例で得られた無端ベルト(ポリアミド樹脂層)について、MIT折り曲げ回数を調べた。
MIT折り曲げ回数は、JIS K−8115に則り、MIT試験機(東洋精機製 耐折疲労試験機 530−MIT)、試験片寸法15.0mm×110mm、荷重9.8Nにて試験片の破断回数を求める。なお、1条件当りの試料数:N=5とした。
[実施例C1]
半芳香族ポリアミド樹脂(F2001〔ダイセルエボニック社製〕:芳香族ジカルボン酸化合物であるテレフタル酸と脂肪族ジアミン化合物である1,10−デカンジアミンとの縮合体:芳香族ジカルボン酸化合物が持つ芳香環がベンゼン環で、脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が10個)に、カーボンブラック(Monarch1100〔キャボットスペシャリティケミカルズ社製〕、一次粒子径14nm、揮発分2.0、pH7.0)を20phr配合し、二軸溶融混練機(パーカーコーポレーション社製)を用いて、バレル加熱温度を最下流位置(材料供給側)のバレルが270℃、そこから徐々に最大加熱温度が300℃となるようにバレル加熱温度を段階的に設定し、スクリューの回転トルク121Nmにて溶融混練を行い、混練機の排出口より排出された溶融状態のストランド(直径2mm程度のロープ状)を水槽内に通して冷却、冷却固化されたストランドをペレタイザーに挿入しカット後、長さ約5mm程度のカットサイズの混合樹脂ペレットを得た。
なお、「phr」とは樹脂の質量を100としたときの材料の質量を表す
半芳香族ポリアミド樹脂(F2001〔ダイセルエボニック社製〕)に、カーボンブラック(Monarch1000〔キャボットスペシャリティケミカルズ社製〕、一次粒子径15nm、揮発分9.0%、pH2.5)を20phr配合した以外は、実施例C1と同様にして、押出ベルト(無端ベルト)を得た。
半芳香族ポリアミド樹脂(F2001〔ダイセルエボニック社製〕)に、カーボンブラック(Printex−P〔エボニックデグサ社製〕、一次粒子径22nm、揮発分1.0%、pH10)を20phr配合した以外は、実施例C1と同様にして、押出ベルト(無端ベルト)を得た。
半芳香族ポリアミド樹脂(F2001〔ダイセルエボニック社製〕)に、カーボンブラック(SpecialBlack6〔エボニックデグサ社製〕、一次粒子径20nm、揮発分18.1%、pH2.5)が20phr配合した以外は、実施例C1と同様にして、押出ベルト(無端ベルト)を得た。
各例Cで得られた無端ベルトについて、繰り返し使用特性、環境依存性について、実施例Aと同様にして、評価した。
また、各例Cで得られた無端ベルトについて、MIT型試験機による折り曲げ回数について、実施例Bと同様にして調べた。但し、折り曲げ回数は、10,000回を上限として調べた。
また、各例Cで得られた無端ベルトについて、目視にて、表面性(外環)を調べた。
これらの結果を表6に示す。
101a乃至101d 像保持体
102a乃至102d 帯電装置
103a乃至103d 現像装置
104a乃至104d 像保持体クリーニング装置
105a乃至105d 一次転写ロール
106a乃至106d 支持ロール
107 中間転写ベルト
107b 管状体ユニット(ベルトユニット)
108 対向ロール
109 二次転写ロール
110 定着装置
111 駆動ロール
112 中間転写ベルトクリーニングブレード
113 中間転写ベルトクリーニングブラシ
114a乃至114d 像露光装置
115 記録媒体
116 二次転写ベルト
Claims (9)
- 芳香族ジカルボン酸化合物とアルキル基数が9個以上13個以下の脂肪族ジアミン化合物とから誘導される繰り返し単位構造を少なくとも有する半芳香族ポリアミド樹脂と、カーボンブラックと、を含むポリアミド樹脂層の単層体で構成、又は当該ポリアミド層を少なくとも有する2層以上の積層体で構成された管状体。
- 前記脂肪族ジアミン化合物のアルキル基数が、9個以上12個以下である請求項1に記載の管状体。
- 前記ポリアミド樹脂層が、前記半芳香族ポリアミド樹脂100質量部に対して、前記カーボンブラック15質量部以上30質量部以下を含む請求項1又は2に記載の管状体。
- 前記カーボンブラックの平均一次粒子径が、25nm以下である請求項1〜3のいずれかに1項に記載の管状体。
- 前記ポリアミド樹脂層における、温度(T[℃])とせん断速度608(1/s)である溶融粘度(η[Pa・s])の常用対数(Log10η)との関係を示す曲線(T−Log10η曲線)が、Log10200以上Log101000以下のLog10η範囲に、傾き(ΔLog10η/ΔT)−0.010以上0以下である緩傾斜領域を有し、
かつ、前記緩傾斜領域の温度範囲が15℃以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の管状体。 - 前記半芳香族ポリアミド樹脂の結晶化度が、30%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の管状体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の管状体と、該管状体を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に対して脱着される管状体ユニット。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の管状体からなる中間転写体。
- 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体であって、請求項8に記載の中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備えた画像形成装置。
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