以下、本発明の実施の形態による露光制御装置の一例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態による露光制御装置の一例が用いられる画像形成装置の一例を概略的に示す断面図である。
図1を参照すると、図示の画像形成装置は、電子写真プロセスを用いたカラー複写機である。図示の画像形成装置は、画像読取部1R及び画像出力部1Pを有している。画像読取部1Rは、原稿上の画像を光学的に読み取って得られた光学信号を電気信号に変換して画像出力部1Pに送る。
画像出力部1Pは、複数の画像形成部(図示の例では、4つの画像形成部10a〜10d)を有している。さらに、画像形成部1Pは、給紙ユニット20、中間転写ユニット30、定着ユニット40、クリーニングユニット50、フォトセンサ60、及び制御ユニット80を備えている。
中間転写ユニット30は中間転写体(中間転写ベルト)31を有しており、画像形成部10a〜10dは中間転写ベルト)31の回転方向に沿って配列されている。図示の例では、画像形成部10aが中間転写ベルト31の回転方向下流側に配置されている。
画像形成部10a〜10dは、それぞれ像担持体である感光ドラム11a〜11dを有している。そして、これら感光ドラム11a〜11dは、図中実線矢印で示す方向に回転駆動される。感光ドラム11aの周囲には、一次帯電器12a、露光系(光走査部)13a、現像装置14a、及びクリーニング装置15aが配置されている。
同様に、感光ドラム11b、11c、及び11dの周囲には、それぞれ一次帯電器12b、12c、及び12d、露光系(光走査部)13b、13c、及び13d、現像装置14b、14c、及び14d、及びクリーニング装置15b、15c、及び15dが配置されている。
感光ドラム11a〜11dは、それぞれ中間転写ベルト30を介して一次転写ローラ35a〜35dに対面している。中間転写ベルト31は、駆動ローラ32、従動ローラ33、及び二次転写対ローラ34に架設され、駆動ローラ32の回転駆動によって図中実線矢印の方向に駆動される。
従動ローラ33は、ばね(図示せず)によって付勢され、中間転写ベルト31に適度なテンションを与えるテンションローラとして用いられる。そして、駆動ローラ32と従動ローラ33の間に一次転写平面Mが形成される。
中間転写ベルト31の材料として、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)又はPVdF(ポリフッ化ビニリデン)等が用いられる。また、駆動ローラ32は、金属ローラの表面に数ミリメートル厚のゴム(ウレタン又はクロロプレン)がコーティングされており、これによって、駆動ローラ32と中間転写ベルト31とのスリップを防止している。
なお、図示の例では、駆動ローラ32は、DCブラシレスモータ(図示せず)によって回転駆動される。
ここで、画像形成部10dに注目して、感光ドラム11dの表面が一次帯電器12dによって均一に帯電された後、光走査部13dが画像データに応じて感光ドラム11dを露光・走査して、感光ドラム11d上に静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像装置14dによって現像されて、トナー像とされる。そして、このトナー像は、一次転写ローラ35dによって規定される画像転写領域Tdで、中間転写ベルト31上に一次転写像として転写される(一次転写)。
一次転写の後、感光ドラム11dに残留した残留トナーは、クリーニング装置15dによって除去される。そして、再び、感光ドラム11dの表面が一次帯電器12dによって均一に帯電されて、画像形成プロセスが行われる。
同様にして、画像形成部10a〜10cにおいて、画像形成プロセスが行われて、感光ドラム11a〜11c上のトナー像が一次転写像として中間転写ベルト31に転写される。
図示の例では、現像装置14a、14b、14c、及び14dにはそれぞれイエロー(Y)トナー、シアン(C)トナー、マゼンタ(M)トナー、及びブラック(BK)トナーが収納されている。そして、感光ドラム11d〜11a上のトナー像(各色トナー像)が順次中間転写ベルト31上に転写されて、中間転写ベルト31上にはカラートナー像が形成されることになる。
図示の例では、給紙ユニット20は、給紙カセット21を有し、この給紙カセット21には多数の記録用紙Pが収納されている。給紙カセット21に収納された記録用紙Pは、ピックアップローラ22によって一枚ずつピックアップされる。そして、ピックアップされた記録用紙Pは、搬送ローラ対23によって給紙経路24を通ってレジストローラ対25まで送られる。
レジストローラ対25は画像形成のタイミング、つまり、中間転写ベルト31の駆動に同期して、記録用紙Pを二次転写領域Teへ送り出すためのローラである。二字転写領域Teでは、中間転写ベルト31を介して、二次転写対向ローラ34に対向して二次転写ローラ36が配置されている。つまり、二次転写ローラ36と中間転写ベルト31とのニップ部によって二次転写領域Teが形成されている。なお、二次転写ローラ36は、中間転写ベルト31に対して適度な圧力で加圧されている。
中間転写ベルト31上のカラートナー像は、二次転写領域Teにおいて、記録用紙Pに二次転写像として転写される(二次転写)。
二次転写領域Teの下流には、中間転写ベルト31をクリーニングするためのクリーニングユニット50が配置されている。クリーニングユニット50はクリーニングブレード51及び廃トナーボックス52を有している。そして、二次転写の後、中間転写ベルト31に残留した残留トナーは、クリーニングブレード51によって廃トナーとして除去され、廃トナー廃トナーボックス52に廃棄される。
前述のようにして、二次転写像が転写された記録用紙Pは、搬送経路43を介して定着ユニット40に送られる。図示の例では、定着ユニット40は、定着ローラ41a及び加圧ローラ41bを有しており、定着ローラ41a内にはハロゲンヒーター等の熱源が備えられている。加圧ローラ41bは定着ローラ41aを所定の圧力で加圧しており(加圧ローラ41bにも熱源が備えられることもある)。
上記の定着ローラ41a及び加圧ローラ41bは、定着断熱カバー46及び47内に収容され、定着断熱カバー46及び47によって熱がその内部に閉じ込められる。記録用紙Pは定着ローラ41aと加圧ローラ41bとのニップ部に搬送され、ここで、記録用紙P上のカラートナー像(二次転写像)が加熱・定着される。
加熱・定着後、記録用紙Pは内排紙ローラ44及び外排紙ローラ45によって搬送されて、排紙トレイ48に排出される。
ところで、フォトセンサ60は、中間転写ベルト31上のトナー像の濃度を計測するための濃度センサである。図示のように、フォトセンサ60は、最下流に位置する感光ドラム11aと駆動ローラ32の間に位置する。このフォトセンサ31は、例えば、濃度補正制御を行う際に用いられる。
図2は、図1に示すフォトセンサ60と中間転写ベルト31上に形成される濃度補正用トナー像(パッチ画像)とを示す図である。
濃度補正制御の際には、図2に示すように、中間転写ベルト31にその搬送方向に沿って互いに濃度の異なる濃度補正用トナー像(パッチ画像)A〜Eを有するトナー像61が形成される。そして、このトナー像の濃度をフォトセンサ(濃度センサ)60で検出して、濃度検出信号を得る。
続いて、濃度検出信号が示す検出濃度に応じて、光走査部(光走査装置ともいう)13a〜13dから出射される光ビーム(例えば、レーザ光)の光量が制御される。
図3は、図1に示す光走査装置13a〜13dで用いられる光学系の一例を説明するための図である。
図3を参照すると、図示の例では、説明の便宜上1つの感光ドラムに対する光学系のみが示されている。そして、図3においては、感光ドラムには、符号11が付されている。また、図1に示す例では、画像形成装置は、光走査装置13a〜13dを有しているが、ここでは、1つの光走査装置のみを示し、符号13を付す。
光走査装置13は、少なくとも基準電圧生成部111及びレーザ駆動部104を有しており(他の制御要素は図3には示されていない)。そして、基準電圧生成部111から出力される基準電圧が制御ユニット80及びレーザ駆動部104に与えられる。
制御ユニット80は基準電圧に応じて、後述するようにして、レーザ制御信号をレーザ駆動部104に与える。レーザ駆動部104は基準電圧及びレーザ制御信号に応じた駆動電流をレーザ(例えば、半導体レーザ)105に与える。
半導体レーザ(光源)105は、複数のレーザ素子(発光素子:図示せず)を備えている。これらレーザ素子の各々は、印加される駆動電流によって駆動され、駆動電流の値に応じた光量を有するレーザ光(光ビームともいう)を出力する。
ここでは、レーザ素子の各々は、発散光をレーザ光として出力する。これらレーザ光の各々は、コリメータレンズ112及びシリンドリカルレンズ113等の光学系を介してポリゴンミラー107aに入射することになる。
ポリゴンミラー107aは、スキャナモータ(図3には示さず)によって回転駆動されており、スキャナモータは制御ユニット80によって制御されている。レーザ光は、ポリゴンミラー107aの反射面(ポリゴン面)上で反射・偏向されて、トーリックレンズ114及び反射ミラー115を介して感光ドラム(像担持体)11上で結像する。ここでは、感光ドラム11の表面が被露光面である。
コリメータレンズ112は、レーザ素子から出射されたレーザ光を略平行光束に変換する。シリンドリカルレンズ113は、副走査方向にのみ所定の屈折力を有している。シリンドリカルレンズ113は、レーザ光を副走査断面内において、ポリゴンミラー107aの反射面に結像させる。そして、ポリゴンミラー107aは、その反射面上に結像したレーザ光を偏向走査する。
なお、感光ドラム11において画像領域外の光走査領域(以下、画像領域外と呼ぶ)には、ビーム検出センサ(BDセンサ)106が配置されている。
ポリゴンミラー107aによって偏光走査されたレーザ光は、その一部がBDセンサ106の受光面上に入射する。このBDセンサ106は、入射したレーザ光を検出して、BD検出信号を出力する。そして、このBD検出信号は、制御ユニット80に与えられる。制御ユニット80は、BD検出信号に応じて、つまり、レーザ光が検出されたビーム検出タイミングに応じて、感光ドラム408の露光タイミングを制御する。
図4は、図3に示す制御ユニット(制御装置)80及び光走査装置13の制御系の一例を示すブロック図である。なお、図4においては、図1に示す光走査装置13a〜13dの1つを符号13で表して代表させている。
図4を参照して、制御ユニット(光量制御手段)80は、CPU(中央演算装置)101、画像データ生成部102、光走査装置制御部103、補正値演算部(ASIC)109、補正値格納部(ROM:格納手段)108、及び光量決定部(ASIC)110を有している。そして、CPU101に、前述のフォトセンサ60から濃度検出信号S13が与えられる。
補正値格納部108には、後述する補正値(光走査装置データ又は補正係数ともいう)が格納されている。また、画像データ生成部102、光走査装置制御部103、及び補正値演算部109には、前述のBDセンサ109からBD検出信号が与えられる。
一方、光走査装置13は、レーザ駆動部(発光素子駆動手段)104、半導体レーザ(レーザチップ)105、BDセンサ106、スキャナモータ107(ポリゴンミラーを含む)、及び基準電圧生成部111を有している。図示の例では、半導体レーザ105は2つのレーザ素子(発光素子)LDA及びLDBを有しているが、レーザ素子の数は2つに限られず、複数のレーザ素子を有していればよい。
画像形成を行う際には、CPU101は画像データ生成部102に対して画像形成動作開始信号S1を送る。さらに、CPU101は光走査装置制御部103に対して光走査装置駆動開始信号S3を送る。また、CPU101は、後述する光量設定値S10を光量決定部110に送る。
ここで、光量補正を行わない場合の画像形成について説明する。CPU101は、濃度検出信号S13に基づいて光量設定値を得る。つまり、CPU101は濃度検出信号S13が示す検出濃度に応じた光量設定値を求める。そして、CPU101は、光量決定部110に対して光量設定値S10を送る。
光走査装置制御部103は、光走査装置駆動開始信号S3に応答して、レーザ駆動部104にレーザ制御信号S5を出力する。さらに、光走査装置制御部103はスキャナモータ107に対してスキャナモータ制御信号S6を送る。
レーザ駆動部104はレーザ制御信号S5に応じてレーザ素子LDA及びLDBに加える駆動電流を制御して、光量制御を行う。また、スキャナモータ107はスキャナモータ制御信号S6に応じて回転制御され、これによって、スキャナモータ107を安定的に回転させる。
光量決定部110は、光量設定値S10に基づいて光量値S11を決定して、この光量値S11を補正値演算部109に与える。光量補正を行わない場合には、補正値演算部109は、補正値格納部108に格納された光走査装置データ(補正係数)S8を考慮することなく、光量値S11に応じてレーザ素子電圧値S12A及びS12Bを出力する。
前述のように、基準電圧生成部111は、制御ユニット80に基準電圧値S13を与えており、この基準電圧値S13は補正値演算部109に入力される。例えば、基準電圧生成部111は、レーザ素子LDA及びLDBの光量の最大値に対応する基準電圧値S13を補正値演算部109に与える。そして、補正値演算部109は、基準電圧S13を基準として、前述の光量値S11に応じてレーザ素子電圧値S12A及びS12Bをレーザ駆動部104に出力する。
これによって、レーザ駆動部104はレーザ素子LDA及びLDBに対してそれぞれレーザ素子電圧値S12A及びS12Bに応じた駆動電流値S4A及びS4Bを出力することになる。そして、レーザ素子LDA及びLDBはそれぞれ駆動電流値S4A及びS4Bに応じた光量でレーザ光を発光する。図3には示されていないが、スキャナモータ107に備えられたポリゴンミラーによって、これらレーザ光が走査される。
図示のBDセンサ106は、例えば、感光ドラム(図4には示さず)の書き出し位置相当の位置に配置されており、レーザ光は、図示しない光学系によってBDセンサ106にも導かれる。
図3に関連して説明したように、BDセンサ106はレーザ光を受光すると、露光開始のタイミングを示すBD検出信号S7を出力する。そして、このBD検出信号は、前述のように、画像データ生成部102、光走査装置制御部103、及び補正値演算部109に与えられる。
光走査装置制御部103は、BD検出信号S7を受けると、当該BD検出信号の周期に応じてスキャナモータ107を安定的に回転駆動するため、前述のスキャナモータ制御信号S6をスキャナモータ107に与える。
画像データ生成部102は、BD検出信号S7が入力するタイミングに応じて画像データS2をレーザ駆動部104に与えて、レーザ駆動部104は画像データに応じてレーザ素子LDA及びLDBを駆動することになる。
つまり、レーザ駆動部107は、基準電圧値S13、レーザ素子電圧値S12A及びS12B、画像データS2、及びレーザ制御信号S5に応じてレーザ素子LDA及びLDBを駆動制御することになる。
そして、レーザ素子LDA及びLDBからの発光されたレーザ光に応じて感光ドラム11a〜11dが露光・走査されて、感光ドラム11a〜11d上に静電潜像が形成される。その後、前述したようにして、中間転写ベルト31上のカラートナー像が記録用紙Pに転写される。そして、記録用紙P上の二次転写像は定着ユニット40で定着されて、記録用紙Pは排紙される。
続いて、光量補正を行った場合の画像形成について説明する。光量補正を行わない場合と同様に、CPU101は画像データ生成部102に対して画像形成動作開始信号S1を送るとともに、光走査装置制御部103に光走査装置駆動開始信号S3を送る。さらに、CPU101は光量決定部110に、濃度検出信号S13に応じて得られた光量設定値S10を与える。
光走査装置制御部103はレーザ駆動部104に対してレーザ制御信号S5を与えて、レーザ105の光量制御を行う。さらに、光走査装置制御部103はスキャナモータ107にスキャナモータ制御信号S6を与えて、スキャナモータ107を安定的に回転駆動する。
光量決定部110は、前述のように、光量値S11を補正値演算部109に与える。CPU101は、補正値演算部109に対して補正値読み出し命令信号S9を与えている。補正値演算部109は、補正値読み出し命令信号S9に応答して、補正値格納部108から光走査装置データ(補正係数)S8を読み出す。そして、補正値演算部109は、光量値S11と光走査装置データS8とに基づいて光量補正値を求める。
なお、補正値演算部109は、光量補正値を求める際、光走査装置データS8について線形補間を行う。
補正値演算部109は、光量補正値に応じて基準電圧S13を補正して、補正後の基準電圧S13を基準として、光量値S11に応じてレーザ素子電圧値S12A及びS12Bをレーザ駆動部104に出力する。この際、補正値演算部109は、BD検出信号S7が入力されるタイミングに同期して、レーザ素子電圧値S12A及びS12Bをレーザ駆動部104に与える。
これによって、レーザ駆動部104はレーザ素子LDA及びLDBに対してそれぞれレーザ素子電圧値S12A及びS12Bに応じた駆動電流値S4A及びS4Bを出力する。そして、レーザ素子LDA及びLDBは、駆動電流値S4A及びS4Bに応じた光量でレーザ光を発光する。前述のように、レーザ光は、ポリゴンミラーによって、偏向・走査されて、感光ドラム11(図3)を露光する。
図5は、図4に示す露光制御装置において、光量補正の実施前後における感光ドラム面上の光量分布とレーザチップ面の光量との関係を模式的に示す図である。そして、図5(a)は、光量補正実施前において感光ドラムの軸方向に沿った光量分布を示す図である。また、図5(b)は光量補正実施後において感光ドラムの軸方向に沿った光量分布を示す図である。さらに、図5(c)は、図5(a)に対応するレーザチップ面における光量分布を示す図である。図5(d)は、図5(b)に対応するレーザチップ面における光量分布を示す図である。
なお、図5(a)及び(b)においては、感光ドラムの軸方向において、画像形成領域の中心を像高0とし、±160mmの範囲が画像形成領域である。また、図5(c)及び(d)においては、図5(a)及び(b)に対応付けて、像高0を基準として光量分布を示している。
図5(a)に示すように、光量補正前においては、感光ドラム面最大必要光量と感光ドラム面最低必要光量とが像高に応じて変化していることが分かる。そして、像高がゼロの際、感光ドラム面最大必要光量と感光ドラム面最低必要光量が最も高くなり、光量分布が一定していないことが分かる。
一方、図5(b)に示すように、光量補正後においては、感光ドラム面最大必要光量と感光ドラム面最低必要光量とも像高に関係なく、一定であることが分かる。つまり、光量分布は像高に関係なく一定である。
なお、図5(b)に示す感光ドラム面最大必要光量及び感光ドラム面最低必要光量は、それぞれ図5(d)に示す感光ドラム面最大必要光量及び感光ドラム面最低必要光量をそれぞれ照射したものである。
また、図5(c)に示すように、光量補正前においては、半導体レーザ105から出力されるレーザ光は、感光ドラムの像高に拘わらず、光量分布が一定である。
一方、図5(d)に示すように、光量補正後においては、半導体レーザ105から出力されるレーザ光は、感光ドラム面最大必要光量と感光ドラム面最低必要光量とがトナー像の高さ(像高)によって変化していることが分かる。
そして、像高がゼロの際、感光ドラム面最大必要光量と感光ドラム面最低必要光量が最も低くなる。つまり、光量補正後においては、図5(d)に示す光量分布は、図5(a)に示す光量分布と逆の形状となっていることが分かる。
なお、図5(d)に符号Fで示す部分は、半導体レーザ105のチップ面における光量のうち最も低い光量を示したものであり、Fで示す部分は、レーザ素子LDBのみが発光している状態である。
さらに、図5(d)に符号Gで示した部分は、半導体レーザ105のチップ面における光量のうち最も高い光量を示したものであり、Gで示す部分は、レーザ素子LDA及びLDBがともに最大光量で発光した状態である。
なお、図示の例では、レーザ素子LDBの光量を常に一定とし、レーザ素子LDAについて光量補正を行っている。
続いて、光量補正を行った際の補正値演算部109によるレーザ素子電圧値S12Aの算出について詳細に説明する。
まず、感光ドラム11(図3)が必要とする光量の決定手順について説明する。最初に感光ドラム11に数種類のパッチ画像を形成する。そして、図2に関連して説明したように、トナー像61が中間転写ベルト31に転写される。フォトセンサ60はトナー像61に光を照射して、その反射光のレベルを検知して、濃度検出信号S13(図4)を出力する。
図6は、図3に示すフォトセンサ60による濃度検出結果を示す図である。そして、図6(a)は第1の濃度検出結果を示す図であり、図6(b)は第2の濃度検出結果を示す図である。なお、図6(a)及び(b)において、パッチNo.A〜Eは、図2に示すパッチ画像A〜Eに対応している。
図4及び図6を参照して、いま、パッチ画像61を検出した際、図6(a)に示す第1の濃度検出結果を得たとする。この場合、CPU101は、例えば、第1の濃度検出結果を基準値としてその値を“100”とする。そして、現在の光量設定値S10が最大光量に対して50%の光量であると、CPU101は光量設定値S10を2倍の100%に設定する。
また、パッチ画像61を検出した際、図6(b)に示す第2の濃度検出結果を得たとする。この場合、CPU101は、例えば、第2の濃度検出結果を基準値としてその値を“100”とするとする。そして、現在の光量設定値S10が最大光量に対して100%の光量であると、CPU101は、光量設定値S10を1/2倍の50%に設定する。つまり、CPU101は、濃度検出信号に応じて光量設定値を変更することになる。
光量決定部110は、光量設定値S10を8ビットの値に変換して、光量値S11として補正値演算部109に与える。例えば、光量設定値S10が100%の光量であると、光量決定部110は、光量設定値S10を“FFh”に変換する。また、光量設定値S10が50%の光量であると、光量決定部110は、光量設定値S10を“80h”に変換する。このようにして、光量決定部110は光量値S11を決定して、感光ドラム11(図3)が必要とする光量とする。
ここで、補正値格納部108に格納された補正値(光走査装置データ)について説明する。
図7は、図3に示す感光ドラム面上の画像形成領域に関して、所定の間隔で2つのレーザ素子からのレーザ光を合成した合成光量分布と1つのレーザ素子からのレーザ光による光量分布の一例を示す図である。なお、図7においては、画像形成領域は像高0を中心として、副走査方向に長さ±160mmである。
図7に示す光量分布は、例えば、図3に示す反射ミラー(折り返しミラー)115等の光学部品の光学特性によって生じる。図示の光量分布に係る特性は、例えば、工場のラインにおいて光走査装置13毎に測定され、測定データ(測定結果)とされる。
図8は、図7に示す光量分布を測定した結果得られた測定データと当該測定データから得られた補正値(補正係数)の一例を示す図である。
図8を参照すると、測定データは、像高(mm)に応じた合成光量(μW:レーザ素子LDA及びLDB)とレーザ素子LDBのみによる光量(μW)である。この測定データに対して、像高に応じて光量値S11=”FFh”における補正値(第1の補正値:レーザ素子電圧値S12Aの係数)を得る。また、像高に応じて光量値S11=”80h”における補正値(第2の補正値:レーザ素子電圧値S12A)を得る。
そして、像高に応じた第1及び第2の補正値が光走査装置データとして図4に示す補正値格納部108に格納される。なお、図示の例では、像高は、20mm刻みであるが、像高の刻みは任意とすることができる。
補正値演算部109は、ROM(補正値格納部)108に格納された光走査装置データS8と光量決定部110から与えられた光量値S11とに応じて、補正後のレーザ素子電圧値S12Aを求める。
いま、光量決定部110から与えられる光量値S11が“FFh”であるとする。また、基準電圧S13を2Vとして、レーザ素子電圧値S12A及びS12Bを補正した後の目標光量が画像形成領域の光量分布の最低光量である100μWとする。
ここでは、レーザ素子LDBを一定の光量で発光させることを考慮して、像高0の補正値(第1の補正値:レーザ素子電圧値S12A係数)を算出すると、下記の式(1)のようになる。
第1の補正値(電圧値S12Aの係数)=(目標光量×光量値S11/FFh)/(合成光量−LDB光量)−LDB光量/(合成光量−LDB光量)=(100μW×FFh/FFh)/(120μW−40μW)−40μW/(120μW−40μW)=100/80−40/80=0.75 (1)
その他の像高についても同様にして、第1の補正値(電圧値S12Aの係数)を算出すると、図8に示す結果が得られる。そして、図8に示す第1の補正値に応じて、像高0の際の電圧値S12Aを算出すると、式(2)で示す電圧値S12Aが得られる。
第1の補正値のときのレーザ素子電圧値S12A=第1の補正値(電圧値S12Aの係数)×基準電圧S13=0.75×2V=1.5V (2)
そして、像高0のタイミングで補正値演算部109は式(2)で示すレーザ素子電圧値S12Aをレーザ駆動部104に出力する。
同様にして、補正値演算部109は、補正値格納部108に格納された第1の補正値(図8)に応じて、図8に示す各像高におけるレーザ電圧値S12Aを算出して、レーザ駆動部104に与える。
このレーザ電圧値S12Aは、基準電圧S13の比率に応じて変化し、これによって、光量がする。例えば、2Vを出力すると、100%光量となり、1Vを出力すると、50%光量となる。
なお、同様にして、光量値S11が“80h”の際の第2の補正値(レーザ素子電圧値S12Aの係数)に応じて、補正値演算部109は、第2の補正値におけるレーザ素子電圧値S12Aを、像高に応じて算出する(図8参照)。
このようにして、補正値演算部109は、補正値(第1又は第2の補正値)に応じて、各像高におけるレーザ素子電圧値S12Aを算出する。そして、補正値演算部109は、BD検出信号S7の入力タイミングに応じて、像高に対応したレーザ素子電圧値S12A及びS12Bをレーザ駆動部104に出力する。
これによって、レーザ素子LDAに加えられる駆動電流S4Aの値が変更される。この際、レーザ素子LDBに加えられる駆動電流S4Bの値は一定値とされる。そして、レーザ素子LDAに加える駆動電流の値を変化させて、画像形成を行う。これによって、図9に関連して説明したように、図9(a)に符号I及びKで示す光パルスの波形で多重露光を行うことができる。その結果、図9(b)に実線で示す光パルスの波形(I+K)で感光ドラム11(図3)の表面が露光・走査される。つまり、多重露光を行う際に、階調性を滑らかにして、適切な画像濃度を得ることができる。
なお、上述の例では、光走査装置13毎にその特性を補正する例について説明したが、感光ドラムにおける感度ムラを示す感度ムラデータを補正値として補正値格納部108に格納するようにしてもよい。そして、この感度ムラデータに応じてレーザ105の光量補正をするようにしてもよい。これによって、感光ドラムの感度ムラの影響に起因する濃度ムラを抑制することができる。
なお、上述の説明から明らかなように、制御ユニット80において、補正値格納部108を除く各構成要素が駆動制御手段として機能することになる。
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
例えば、上記の実施の形態の機能を露光制御方法として、この露光制御方法を、制御ユニット80を構成するコンピュータに実行させるようにしてもよい。
さらに、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを露光制御プログラムとして、この露光制御プログラムを、制御ユニット80を構成するコンピュータに実行させるようにしてもよい。
また、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータに読み取り可能な記録媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理ようにしてもよい。