以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、一実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。同図の画像形成装置は、複数(4つ)の画像形成部を並列に配し、かつ中間転写方式を採用した電子写真方式の複写機であり、カラー画像を形成するカラー複写機である。なお本実施の形態では、画像形成装置として電子写真方式のカラー複写機を採用したが、これに限らず、電子写真方式のファクシミリ、電子写真方式のプリンタ、またはこれらを複合した複合機など、いずれを採用してもよい。
本実施の形態の電子写真方式のカラー複写機(以下、単に「カラー複写機」と言う。)は、画像読取部1Rおよび画像出力部1Pを有する。
画像読取部1Rは、原稿画像を光学的に読み取り、電気信号に変換して、画像出力部1Pに送信する。
画像出力部1Pは、4つ並設された画像形成部10a〜10dと、給紙ユニット20と、中間転写ユニット30と、定着ユニット40と、クリーニングユニット50とを有する。
画像形成部10a〜10dはそれぞれ、同様に構成されている。各画像形成部10a〜10dでは、感光体としての感光ドラム11a〜11dが回転自在に軸支され、矢印A方向に回転駆動される。各感光ドラム11a〜11dの回りには、一次帯電器12a〜12d、レーザスキャナユニット13a〜13d、折り返しミラー16a〜16d、現像装置14a〜14d、およびクリーニング装置15a〜15dが配置されている。
一次帯電器12a〜12dはそれぞれ、感光ドラム11a〜11dの各表面上に均一な帯電量の電荷を与える。レーザスキャナユニット13a〜13dは、画像読取部1Rからの画像信号に応じて変調した、例えばレーザビームなどの光を、折り返しミラー16a〜16dを介して感光ドラム11a〜11d上に露光する。これにより、感光ドラム11a〜11d上に静電潜像が形成される。
感光ドラム11a〜11d上の静電潜像は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色の現像剤をそれぞれ収納した現像装置14a〜14dにより、トナー像として可視化される。感光体上に現像された複数色のトナー像は、1次転写領域Ta〜Tdにおいて、中間転写ユニット30を構成する転写体としての中間転写ベルト31に転写される。中間転写ユニット30については、後述する。
1次転写領域Ta〜Tdの各下流側に設けられたクリーニング装置15a〜15dは、中間転写ベルト31に転写されずに感光ドラム11a〜11d上に残されたトナーを掻き落として、感光ドラム11a〜11dの表面の清掃を行う。
以上説明した画像形成プロセスにより、各色トナーによる転写体上への画像形成、すなわち中間転写ベルト31上への画像形成が順次行われる。
給紙ユニット20は、カセット21a,21b及び手差しトレイ27と、ピックアップローラ22a,22b,26と、搬送ローラ対23と、レジストローラ25a,25bとを備えている。
カセット21a,21b及び手差しトレイ27には、シートSが収納される。ピックアップローラ22a,22b,26はそれぞれ、カセット21a,21b及び手差しトレイ27からシートSを1枚ずつ送り出す。搬送ローラ対23は、ピックアップローラ22a,22b,26によって送り出されたシートSをさらに搬送する。レジストローラ25a,25bは、各画像形成部10a〜10dの画像形成タイミングに合わせてシートSを2次転写領域Teへ送り出す。
次に、中間転写ユニット30について説明する。
中間転写ベルト31は、感光ドラム11a〜11dの表面に当接されるように配置され、複数の張架ローラ32〜34によって張架されて、矢印Bの方向へ回転する。張架ローラ32は、中間転写ベルト31の駆動ローラである。張架ローラ33は、ばね(図示せず)の付勢によって中間転写ベルト31に適度なテンションを与えるテンションローラであり、中間転写ベルト31の回動に従動する。張架ローラ34は、2次転写ローラ36用の対向ローラである。駆動ローラ(張架ローラ)32と張架ローラ33との間に1次転写平面Pが形成される。
中間転写ベルト31の材料としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPVDF(登録商標)(ポリフッ化ビニリデン)などが用いられる。
駆動ローラ32は、金属ローラの表面に数mm厚のゴム(ウレタンまたはクロロプレン)がコーティングされ、中間転写ベルト31とのスリップを防いでいる。駆動ローラ32は、パルスモータ(不図示)によって回転駆動される。
1次転写領域Ta〜Tdの、中間転写ベルト31の裏側には、1次転写用帯電器35a〜35dが配置されている。一方、張架ローラ34に対向して2次転写ローラ36が配置され、中間転写ベルト31とのニップによって2次転写領域Teが形成される。2次転写ローラ36は、中間転写ベルト31に対して適度に加圧する。
また、中間転写ベルト31の2次転写領域Teの下流には、中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングするためのクリーニングユニット50が配置されている。クリーニングユニット50は、中間転写ベルト31上のトナーを除去するためのクリーニングブレード51と、除去されたトナーを収納する回収トナーボックス52とを備えている。
定着ユニット40は、内部にハロゲンヒーターなどの熱源を備えた定着ローラ41aと、定着ローラ41aによって加圧されるローラ41b(このローラ41bにも熱源が備えられる場合がある)とを備えている。さらに定着ユニット40は、定着ユニット40内の熱を内部に閉じ込めるための定着断熱カバー46,47を備えている。
画像出力部1Pは、定着ローラ対41a,41bのニップ部へシートSを導くための搬送ガイド43と、定着ローラ対41a,41bから排出されてきたシートSをさらに装置外部に導き出すための内排紙ローラ44及び外排紙ローラ45を備えている。また、画像出力部1Pは、シートSを積載する排紙トレイ48などを備えている。
次に、本実施の形態のカラー複写機の動作について説明する。
本実施の形態のカラー複写機の動作は全て、システムコントローラ101(その詳細は、図3に基づいて後述する)によって制御される。システムコントローラ101により画像形成の開始信号が発せられると、その画像形成を行うシートのサイズなどに応じて選択された給紙段から給紙が開始される。
例えば、上段の給紙段、即ちカセット21aから給紙される場合、まず、ピックアップローラ22aにより、シートSがカセット21aから1枚ずつ送り出される。そして、シートSは、給紙ローラ対23によって給紙ガイド24内を案内されて、レジストローラ25a,25bまで搬送される。このとき、レジストローラ25a,25bは停止されているので、シートSの先端は、レジストローラ25a,25bのニップ部に突き当たる。その後、画像形成部10a〜10dが画像形成を開始するタイミングに合わせて、レジストローラ25a,25bは回転を開始する。この回転開始タイミングは、シートSと、画像形成部10a〜10dによって中間転写ベルト31上に1次転写されたトナー像とが2次転写領域Teにおいて一致するように設定されている。
一方、画像形成部10a〜10dは、画像形成の開始信号が発せられると、画像形成プロセスにより中間転写ベルト31上(像担持体上)に画像形成を行う。具体的には、一番上流にある感光ドラム11d上に形成されたトナー像が、高電圧が印加された1次転写用帯電器35dによって1次転写領域Tdにおいて中間転写ベルト31上に1次転写される。1次転写されたトナー像は、次の1次転写領域Tcまで搬送される。画像形成部10cでは、トナー像が画像形成部10dで形成されてから1次転写領域Tcまで搬送される時間だけ遅延して画像形成が行われている。このため、中間転写ベルト31の前トナー像の上にレジストレーションが合わされて、その次のトナー像が転写される。これと同様の工程が繰り返され、4色のトナー像が中間転写ベルト31上に1次転写される。
その後、シートSが2次転写領域Teに進入し、中間転写ベルト31に接触すると、シートSの通過タイミングに合わせて2次転写ローラ36に高電圧が印加される。これにより、画像形成プロセスにより中間転写ベルト31上に形成された4色のトナー像がシートSの表面に転写される。その後、シートSは、搬送ガイド43によって定着ローラ対41a,41bのニップ部まで正確に案内される。そして、定着ローラ対41a,41bの熱及びニップ部の圧力によってトナー像がシートSの表面に定着される。トナー像の定着されたシートSは、内排紙ローラ44及び外排紙ローラ45により機外に排出され、排紙トレイ48上に積載される。
図2は、レーザスキャナユニット13aの概略構成を示す図である。なお、他のレーザスキャナユニット13b〜13dも、レーザスキャナユニット13aと同様に構成されている。
レーザ発光部310は、感光ドラム11aに潜像を形成するためにレーザビームを射出する。射出されたレーザビームは、コリメータレンズ311を通って平行光に変換される。このレーザビームはさらに、シリンドリカルレンズ312によってポリゴンミラー313上で結像される。
ポリゴンミラー313は、回転多面鏡の一例であり、入射されたレーザビームを偏向する。ポリゴンミラー313は、ポリゴンモータ321(図4参照)と一体化され、ポリゴンモータ321を回転駆動することによって図中、矢印C方向へ回転する。
ポリゴンミラー313から反射されたレーザビームは、画像形成のために感光ドラム11aへ向かうとともに、ビームディテクトセンサ(以下、「BDセンサ」という)314へも向かう。BDセンサ314は、ポリゴンミラー313によって偏向されたレーザビームが感光ドラム11aを走査する方向である主走査方向の書き出しタイミングを制御するための主走査同期信号s12(図4参照)を生成する。
アナモフィックレンズ315は、ポリゴンミラー313からの反射光をBDセンサ314に結像させるレンズである。
fθレンズ316は、レンズの周辺部と中心部とで走査速度が一定になるようにするレンズである。fθレンズ316を通ったレーザビームは、折り返しミラー16aによって反射され、感光ドラム11a上に結像する。
図3は、システムコントローラ101とその周辺の構成を示すブロック図である。
システムコントローラ101は、CPU(central processing unit)101aを有する。CPU101aは、本実施の形態のカラー複写機を統括的に制御する。CPU101aは主として、本実施の形態のカラー複写機内の各負荷の駆動、センサ類の情報収集・解析、操作部102とのデータの交換などを行う。
システムコントローラ101はさらに、ROM(read only memory)101b、RAM(random access memory)101cおよびタイマ回路101dを有する。
ROM101bには制御プログラムが格納されており、CPU101aは、この制御プログラムを実行することにより、予め決められた各種画像形成シーケンスを実行する。RAM101cは、その際に一次的または恒久的に保存することが必要な書換可能なデータを格納する。なおRAM101cには、例えば、高圧制御部105への高圧設定値、各種データ、操作部102からの画像形成指令情報などが保存される。タイマ回路101dは、位置検出用パターン204(図6参照)の間隔を計測したり、画像書き出しタイミングをカウントしたりする。
本実施の形態のカラー複写機は、装置内部の各所にモータ、クラッチ/ソレノイド等のDC負荷及び、フォトインタラプタやマイクロ電源スイッチ等のセンサを配置している。つまり、モータの駆動や各DC負荷を適宜駆動させることで、シートSの搬送や各ユニットの駆動を行っており、各種センサはその動作を監視する。
そこでCPU101aは、各種センサ類109からの信号に基づいて、モータ制御部107を介して各モータを制御させるとともに、DC負荷制御部108を介してクラッチ/ソレノイドを動作させて、画像形成を円滑に進めている。またCPU101aは、高圧制御部105に各種高圧制御信号を出力することで、高圧ユニット106を構成する各種帯電器に適切な高圧を印加する。定着ユニット40の定着ローラ対41a,41bには、各ローラを加熱するための定着ヒータ111が内蔵されており、定着ヒータ111は、ACドライバ110によってON/OFF制御されている。また定着ローラ対41a,41bには、その温度を測定するためのサーミスタ104が設けられている。サーミスタ104の抵抗値は、定着ローラ対41a,41bの温度変化に応じて変化する。サーミスタ104の抵抗値は、電圧値に変換された後、A/D(analog-to-digital)コンバータ103に入力される。A/Dコンバータ103は、入力されたアナログ電圧値をデジタル電圧データに変換して、システムコントローラ101に出力する。CPU101aは、このデジタル電圧データ、つまり温度データに基づいて、ACドライバ110を制御する。
システムコントローラ101には、ハードディスク112が接続されている。ハードディスク112には、画像読取部1Rから送信されてきた画像データが保存される。また、ハードディスク112に保存されたデータは、操作部102からの操作によって読み出され、印刷等に使用される。
操作部102は、ユーザ操作に応じて選択された複写倍率や濃度設定値などの情報を入力するとともに、本実施の形態のカラー複写機の状態、例えば画像形成枚数や画像形成中か否か、ジャムの発生やその箇所等の情報を受信し、ユーザに示すために表示する。
さらにシステムコントローラ101には、レーザビームのON/OFFやレーザ光量などを制御するレーザ制御部113と、濃度調整用パターン203および位置検出用パターン204を検知するパターン検知部114が接続されている。
図4は、システムコントローラ101とレーザ制御部113との間で送受信される各種信号を説明するための図である。
システムコントローラ101は、ポリゴンモータ321から回転数に応じて周波数が変化する回転検知信号s14を受信し、受信した回転検知信号s14から現在のポリゴンモータ321の回転数を算出する。そして、システムコントローラ101は、算出された回転数が目標回転数になるような加減速信号s13を生成し、ポリゴンモータ321に出力する。これにより、ポリゴンモータ321の回転数は目標回転数に制御される。
ポリゴンモータ321が予め設定された速度(回転数)範囲内に制御されると、システムコントローラ101は、レーザ駆動回路320を駆動させて、レーザ発光部310からレーザビームを射出する。システムコントローラ101は、これに応じてBDセンサ314が生成した主走査同期信号s12を受信する。システムコントローラ101は、主走査同期信号s12に同期して、画像読取部1Rから送信されたデータに基づいて生成された画像信号s10をレーザ駆動回路320へ送信する。
またシステムコントローラ101は、レーザビームの光量を設定するための光量信号s11をレーザ駆動回路320へ送信する。レーザ駆動回路320は、画像信号s10に同期して、光量信号s11に基づいて設定される光量のレーザビームをレーザ発光部310から射出させる。
図5は、システムコントローラ101とパターン検知部114との間でやり取りされる各種信号を説明するための図である。
フォトセンサ60a,60bは、後述する図6に示すように、本実施の形態のカラー複写機の主走査方向(図中、矢印Bの方向に直交する方向)における手前側と奥側の2箇所に設けられている。したがって、各フォトセンサ60a,60bを制御するための信号も2系統設けられている。
本実施の形態では、フォトセンサ60bを用いて濃度調整用パターン203におけるイエローとマゼンタのパターンを検出し、フォトセンサ60aを用いて濃度調整用パターン203におけるシアンとブラックのパターンを検出する。
また、位置検出用パターン204は、主走査方向に対して所定角度で傾斜した色パターンを組み合わせたものであり、位置検出用パターン204における各色パターンの濃度は、フォトセンサ60a及び61bによって検出される。
検知信号s1aと検知信号s1bの各作用およびLEDオン信号s2aとLEDオン信号s2bの各作用はいずれも同様であるので、以下、フォトセンサ60aに関係する信号s1a,s2aについてのみ説明する。
システムコントローラ101は、濃度調整時及び色ずれ補正時において、発光回路331aへLEDオン信号s2aを送信する。発光回路331aは、このLEDオン信号s2aに基づいてフォトセンサ60aを点灯させる。
フォトセンサ60aが濃度調整用パターン203もしくは位置検出用パターン204を読み取ると、その読み取り結果に応じた信号を受光回路330aへ送信する。これに応じて受光回路330aは、検知信号s1aを生成して、システムコントローラ101へ送信する。
検知信号s1aは、濃度に応じてレベルが変化するアナログ信号であり、濃度補正時及び色ずれ補正時に用いられる。
フォトセンサ60a,60bは、中間転写ベルト31上に形成される濃度調整用パターン203及び位置検出用パターン204を検出する。従って、フォトセンサ60a,60bは、中間転写ベルト31のトナー像が転写される側の面に対向して配置される。
図6は、図1のフォトセンサ60a,60bと中間転写ユニット30を矢印Y方向から見た図である。
中間転写ベルト31上には、濃度調整用パターン203および位置検出用パターン204が形成される。この状態で、フォトセンサ60a,60bは、中間転写ベルト31上に光を照射し、濃度調整用パターン203および位置検出用パターン204からの反射光を検出する。システムコントローラ101は、フォトセンサ60a,60bの出力、つまり反射光に応じた出力に基づいて、濃度情報や位置ずれ(トナー像間の相対位置関係のずれ)情報を取得する。
次に、フォトセンサ60a,60bを用いて位置検出用パターン204を検出し、位置ずれを検知する原理を説明する。
図7は、フォトセンサ60aの構成を示す図である。フォトセンサ60a,60bは、同一の構成である。
フォトセンサ60aは、発光部901及び受光部902を有する。発光部901としては、例えばLED(light emitting diode)が用いられ、受光部902としては、例えばフォトダイオードが用いられる。
発光部901から射出された光は、中間転写ベルト31上に入射される。このとき、中間転写ベルト31上に位置検出用パターン204が形成されていた場合には、図7に示すように、トナーに当たった入射光は四方八方に散乱する。これらの散乱光のうち、受光部902に到達した光が電気信号に変換され、図5の受光回路330aによって電圧値の変化として検出される。
図8は、受光回路330aによって検出される電圧値の変化の一例を示す図である。
図8(a)〜(c)は、位置検出用パターン204と発光部901からの入射光のスポット901aとの位置関係を変えたときの様子を示している。図8(a)は、位置検出用パターン204が入射光のスポット901a内に入っていない状態を示している。図8(b)は、位置検出用パターン204が入射光のスポット901aに半分入っている状態を示している。図8(c)は、位置検出用パターン204が入射光のスポット901aの全てを満たしている状態を示している。ここでは、位置検出用パターン204は四角形内に均一の濃度で形成されているものとする。
図8(d)は、図8(a)〜(c)のそれぞれの状態において検出された電圧値の一例を示している。図8(a)の状態では、位置検出用パターン204は入射光のスポット901a内に入っておらず、中間転写ベルト31の表面(下地)からの乱反射光しか得られないため、あまり出力が上がらない。図8(b)の状態では、位置検出用パターン204は入射光のスポット901aの半分に入っているので、ある程度乱反射光が得られて、出力が上がってくる。図8(c)の状態では、位置検出用パターン204が入射光のスポット901aの全てを満たしているので、得られる乱反射光が多くなり、大きな出力が得られる。このようにして、位置検出用パターン204が入射光のスポット901aを通過すると、乱反射検知出力(電圧値)が変化する。これにより、位置検出用パターン204のエッジ位置(エッジ部)を検出することができる。
図9は、位置検出用パターン204および濃度調整用パターン203の一例を示す図である。同図(a)が濃度調整用パターン203を示し、同図(b)が位置検出用パターン204を示している。
濃度調整用パターン203は、図9(a)に示すように、四角形状のパターン(パッチ)によって形成される。濃度調整用パターン203は、中間転写ベルト31上、副走査方向(図9中、矢印Bの方向)に一定間隔で並べて2列形成される。図9中、矢印B方向(上方向)が中間転写ベルト31の進行方向、つまり副走査方向である。2列の濃度調整用パターン203のうちの一方、つまり左側には、イエロー(Y)およびマゼンタ(M)のパッチが形成され、もう一方には、シアン(C)およびブラック(Bk)のパッチが形成される。異なる色のパッチを2列に分けて配列することで、パッチ検出にかかる時間を短縮化している。各色毎に各々5つのパッチが形成される。5つのパッチは、レーザ駆動回路320(図4参照)に供給する光量信号s11を変化させて、レーザ発光部310から射出されるレーザビームの光量を変化させることで、それぞれ異なる濃度で形成される。この光量信号s11の値は、RAM101c(図3参照)に予め格納されている。
パッチからの反射光は、フォトセンサ60a,60bによって受光され、受光回路330a,330bへ送信される。これに応じて受光回路330a,330bは、検知信号s1a,s1bを生成し、システムコントローラ101に送信する。システムコントローラ101は、受信した検知信号s1a,s1bをデジタルデータに変換し、一旦RAM101cに格納する。CPU101aは、フォトセンサ60a,60bの出力とレーザビームの光量との関係から、目標濃度を実現する光量を算出し、算出した光量に応じた光量信号s11を生成して、レーザ駆動回路320に送信する。これに応じてレーザ駆動回路320は、レーザ発光部310を駆動させて発光させる。
位置検出用パターン204は、図9(b)に示すように、平行四辺形状のパターン(パッチ)によって形成される。位置検出用パターン204は、中間転写ベルト31上、副走査方向に並べて2列形成される。主走査方向に対し鏡面対称となる形状の2種類のパッチを並べることで、対応するパッチ同士のずれの関係から副走査方向および主走査方向の両方の色ずれを検出可能にしている。また各々のパッチは、測定色のイエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)のカラーパターンを下地として、下地上に基準色であるブラック(Bk)のパターンが重畳して形成される。フォトセンサ60a,60bとして乱反射検出型のものを用いた場合には、ブラック(Bk)のトナーは、フォトセンサ60a,60bのLEDから射出された光を吸収してしまうため、十分に検出することができない。そのため、カラーパターンの上にブラック(Bk)のパターンを重畳することによって、ブラック部分とカラー部分との出力差を利用してブラック部分の検出を可能としている。即ち、カラーパターンの上にブラックのパターンを重畳した位置検出用パターンにおいては、後述する図12(a)のように、中間転写ベルト31の表面(下地)部分は乱反射出力が低く、カラー部分は乱反射出力が高くなる。また、ブラック(Bk)部分は乱反射出力が中間転写ベルト31の表面部分よりも高いが、カラー部分よりもかなり低くなる。従って、乱反射出力が高いカラー部分に挟まれた乱反射出力が低いブラック部分を正確に検出することができる。そして、カラー部分とブラック(Bk)部分の相対的な位置関係が本来あるべき関係からどれだけずれているかを検出することで、主走査方向および副走査方向の各々の色ずれを検知することができる。
次に、位置検出用パターン204の検出時に発生する、検出タイミングのずれについて説明する。
本実施の形態では、フォトセンサ60a,60bの出力(センサ出力)がスレッショルド電圧を超えたタイミングで位置検出用パターンを検出したと判定する。このため、センサ出力の立ち上がり/立ち下がりが遅い場合には、センサ出力が立ち上がり/立ち下がり始めてからスレッショルド電圧を超える/下回るまでに時間がかかり、位置検出用パターンの検出タイミングにずれが生じる可能性がある。なお、以下の説明は、フォトセンサ60a,60bのいずれについても同様であるので、フォトセンサ60aを代表させて説明する。
図10は、位置検出用パターン204をフォトセンサ60aにより検出した場合の理想的なセンサ出力波形の一例を示す図である。ここでの理想的なセンサ出力とは、中間転写ベルト31の表面(下地)またはブラック(Bk)パッチの検出時にはロー(Lo)レベルとなり、カラーパッチの検出時にはハイ(Hi)レベルとなり、さらに出力変化にかかる時間が十分に短いものをいう。センサ出力が理想的である場合には、センサ出力が立ち上がり/立ち下がり始めてからスレッショルド電圧を超える/下回るまでの時間が十分に短いため、検出タイミングのずれは生じない。
しかし実際には、センサ出力の立ち上がり/立ち下がり速度は、中間転写ベルト31の回転速度や位置検出用パターンの濃度、フォトセンサ60aの光学的特性などに依存するため、出力変化を検知するにはある程度の時間がかかる。
図11は、フォトセンサ60aの理想的なセンサ出力波形と実際のセンサ出力波形とを対比させた図である。同図(a)が理想的なセンサ出力を示し、同図(b)が実際のセンサ出力を示している。また同図(c)は、同図(a)の波形と同図(b)の波形を重ね合わせ、検出タイミングのずれを示したものである。
図11(b)に示すように、実際のセンサ出力では、中間転写ベルト31の表面(下地)とブラック(Bk)パッチの各反射特性が異なることから、検出電圧レベルも異なっている。また、フォトセンサ60aの特性上、センサ出力の立ち上がり速度と立ち下がり速度も異なる。したがって、中間転写ベルト31の表面(下地)の検出からカラーパッチの検出に移るときのセンサ出力の立ち上がり、カラーパッチの検出からブラック(Bk)パッチの検出に移るときのセンサ出力の立ち下がりの各々の傾きが異なる。また、ブラック(Bk)パッチの検出からカラーパッチの検出に移るときのセンサ出力の立ち上がり、カラーパッチの検出から中間転写ベルト31の表面(下地)の検出に移るときのセンサ出力の立ち下がりの各々の傾きも異なる。各々の傾きが異なると、各々の検出タイミングのずれ量も異なる。
図11(c)に示すように、センサ出力が立ち上がってスレッショルド電圧を超えるまでにかかる時間Ta1と時間Tb1も、センサ出力が立ち下がってスレッショルド電圧を下回るまでにかかる時間Ta2と時間Tb2も、それぞれ異なっている。このため、各パッチを検出するタイミングは、それぞれ異なる検出ずれを持っている。
ただし、検出ずれが生じたとしても、そのずれ量がそれぞれ等しければ、カラー間における色ずれの検出には影響しない。
図12は、位置検出用パターン204において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の濃度が等しい場合((a))と等しくない場合((b))のフォトセンサ60aのセンサ出力波形の一例を示す図である。
図12(a)に示すように、各色の濃度が等しい場合には各パッチの検出電圧レベルも等しくなるため、カラー各色毎に等しい検出ずれが生じることになる。カラー各色が全てブラック(Bk)に対して等しい検出ずれを持つため、相対的に見るとカラー間においては検出ずれによる色ずれ検出精度は低下しない。
一方、図12(b)に示すように、各色の濃度に差がある場合には、濃度が薄い色と濃度が濃い色とでフォトセンサ60aの出力レベルに差が生じる結果、検出ずれ量も異なる。
図13は、濃度差のある2つの位置検出用パターン204をフォトセンサ60aによって検出して得られた2つのセンサ出力を重ね合わせた図である。
同図に示すように、各カラーパッチを検出する際のフォトセンサ60aの出力レベルが異なるため、センサ出力の立ち上がり/立ち下がりにかかる時間も異なる。このため、センサ出力が立ち上がって/立ち下がってからスレッショルド電圧を超える/下回るまでにかかる時間には、各濃度間でずれ、つまり時間差Ta1,Ta2,Tb1,Tb2が生ずる。よって、濃度が濃いパッチと薄いパッチとでは、検出結果にずれが生じてしまい、色ずれ検出精度が低下してしまう。
図14は、濃度が薄くてもカラー間で濃度差がない位置検出用パターン204をフォトセンサ60aによって検出して得られたセンサ出力の一例を示す図である。
同図に示すように、濃度が薄い状態でもカラー間の濃度が統一されていれば、フォトセンサ60aの出力レベルが等しくなるため、相対的に見るとカラー間での検出ずれは生じない。このように、カラー間の検出ずれの影響を低減するためには、位置検出用パターン204を形成するときにカラー間の濃度を統一することが重要となる。
しかし、「発明が解決しようとする課題」欄で前述したように、カラー間の濃度を統一して位置検出用パターン204を形成しようとしても、装置の耐久状態や環境条件によっては、位置検出用パターン204の後端部の濃度が濃くなることがある。この後端部の濃度が濃くなる現象を、以下「後端掃き寄せ」という。
図15は、後端掃き寄せのあるパッチをフォトセンサ60aによって検出して得られたセンサ出力の一例を示す図である。同図(a)は、後端掃き寄せのあるパッチ(位置検出用パターン204の一部)を示し、同図(b)は、同図(a)のパッチをフォトセンサ60aによって読み取ったときの出力波形を示し、同図(c)は、同図(b)の一部拡大図を示している。同図(b),(c)中、破線は、後端掃き寄せのないパッチをフォトセンサ60aによって検出して得られた出力波形を示している。
フォトセンサ60aが、位置検出用パターン204の後端掃き寄せ部分からの乱反射光を検出すると、センサ出力レベルは、図15(b)のように上昇する。この結果、センサ出力は、通常のレベル、つまり破線で示すレベルより高いレベルから低下する。中間転写ベルト31は、所定方向に回転し、該中間転写ベルト31上に形成された位置検出用パターン204は中間転写ベルト31の回転に伴って所定方向に移動する。中間転写ベルト31の回転速度、つまり位置検出用パターン204の移動速度は一定であるので、図15(c)に示すように、センサ出力の立下り波形の傾きが変わる。このため、センサ出力がスレッショルド電圧レベルを下回るまでにかかる時間は増大する。つまり、位置検出用パターン204の検出幅が実際の幅よりも太く検知されるので、太く検知された量に比例して位置検出用パターン204の位置を誤検知することになる。なお、位置検出用パターン204における位置検出は、パターンの先端側と後端側との中点を位置検出パターンの形成位置として特定する。
次に、後端掃き寄せの発生メカニズムについて説明する。
図16は、ベタ画像の移動方向後端部(以下、単に「後端部」という。)付近の感光ドラム11a上の電位状況の一例を示す図である。
同図に示すように、ベタ部γの電位は、潜像電位VLであり、ベタ部γに隣接する白地部εの電位は、暗電位VDである。ここで、現像装置14aの現像スリーブ14a1(図17参照)の電位は、現像電源により電位Vdcである。後端掃き寄せは、感光ドラム11a上に形成された静電潜像においてベタ画像を形成した際に、ベタ画像の後端部において、感光ドラム11aの表面移動方向で上流に形成されたベタ部γと下流に形成された白地部εとの境界付近で発生する。
図17は、感光ドラム11aの回転方向と現像スリーブ14a1の回転方向が逆方向であるカウンタ現像方式を用いて現像した様子を示す図である。
同図に示すように、現像装置14aは、感光ドラム11aと現像スリーブ14a1との対向部近傍の電気的な現像領域(現像ニップ)Zにおいて、感光ドラム11a上に形成された静電潜像に対して非磁性トナーを現像する。また、現像領域Zの現像スリーブ14a1の回転方向上流端部を“A”とし、下流端部を“B”とする。上流端部Aでは、まだ現像作業が行われていないトナー濃度の高い現像剤が、現像容器(図示せず)から現像スリーブ14a1に担持され搬送されてきる。そして、現像スリーブ14a1に印加された現像バイアスの交流成分により、現像剤中の磁性キャリアから非磁性トナーが遊離する状態になる。ここで、特定の状態でトナーが現像領域Zの上流端部Aに搬送されてくると、磁性キャリアから遊離したトナーが白地部εよりベタ部γへ移動するように電界がかかっているので、ベタ部γと白地部εの境界ではベタ部γのエッジにトナーが集中しやすくなる。特定の状態とは、感光ドラム11aの回転方向により現像領域Zを通過して潜像電位VLと現像スリーブ14a1の電位Vdcとの差分である現像コントラストVcont(図16参照)に対して、トナーの現像が不十分な状態をいう。トナーの現像が不十分な状態とは、現像スリーブ14a1の電位がVdcまで達しない状態をいう。
このようにして、位置検出用パターン204の後端部に濃度が濃くなる現象が発生し得るが、この現象は、装置の耐久条件や環境の変動によって影響度が異なる。その結果、色ずれ補正の精度も変動する。そこで本実施の形態は、後端掃き寄せのある位置検出用パターン204をフォトセンサ60a,60bによって検出して得られた歪みのあるセンサ出力の歪みの影響を相殺したセンサ出力が得られるように補正した補正後の位置検出用パターン204を形成する。
以下、この制御方法について説明するが、この制御方法では、フォトセンサ60a,60bからの検知信号s1a,s1bのいずれに対しても同じ制御を行うため、フォトセンサ60aからの検知信号s1aに対する制御についてのみ説明する。
図18は、この制御方法を説明するための図である。同図(a)は、後端掃き寄せのある位置検出用パターン204をフォトセンサ60aによって検出して得られたセンサ出力の一例を示す図である。この出力波形は、受光回路330a(図5参照)からの検知信号s1aをデジタルデータに変換して、システムコントローラ101のRAM101cに格納したものを時系列に並べたものである。以下、検知信号s1aをデジタルデータ(デジタル信号)に変換したものを「検知データs1a」という。
検知データs1aは、所定のサンプリング周期でサンプリングした検出値をA/D変換したデータであり、サンプリング周波数を上げることで、出力波形の特徴、本実施の形態では、後端掃き寄せによる波形の歪みを高精度に検出することができる。
フォトセンサ60aが中間転写ベルト31の表面(下地)の検出から位置検出用パターン204の移動方向の先端(以下、単に「先端」という。)、つまり最初のカラーパッチの先端の検出に移ると、検知データs1aのレベルが上昇を開始する。CPU101aは、検知データs1aのレベルがほぼ安定した部分を、位置検出用パターン204の先端smpF(0)と判定する。
そして、フォトセンサ60aが最初のカラーパッチの移動方向の後端(以下、単に「後端」という。)の検出からブラックパッチの先端の検出に移ると、検知データs1aのレベルは下降を開始する。CPU101aは、検知データs1aのレベルが下降する直前の部分を最初のカラーパッチの後端smpF(n)と判定する。
ここで、smpF(0)が検出されてからsmpF(n)が検出されるまでに、サンプリングは、例えば一定周期毎に、n回実施されるものとしている。例えば、smpF(0)からsmpF(n)までの範囲がフォトセンサ60aの検知面を通過する時間を10msとし、サンプリング間隔を10μsとすると、smpF(0)からsmpF(n)までに1000ポイントのデータが取得されることになる。
さらに、フォトセンサ60aがブラックパッチの後端の検出から2番目、つまり最後のカラーパッチの先端の検出に移ると、検知データs1aのレベルは再度上昇を開始する。CPU101aは、検知データs1aのレベルがほぼ安定した部分を、位置検出用パターン204の最後のカラーパッチの先端smpR(0)と判定する。
そして、フォトセンサ60aが最後のカラーパッチの後端の検出から中間転写ベルト31の表面(下地)の検出に移ると、検知データs1aのレベルは再度下降を開始する。CPU101aは、検知データs1aのレベルが下降する直前の部分を最後のカラーパッチの後端smpR(n)と判定する。
なお本実施の形態では、検知データs1aのレベルがほぼ安定する部分と、検知データs1aのレベルが下降する直前の部分は、検知データs1aの各値を順次比較し、その変動値が所定値以下または所定値以上になるかどうかで判定している。もちろん、この方法に限定されず、適切な方法を用いて判定すればよい。
図18(a)中、斜線で示す領域Mは、位置検出用パターン204の後端部の濃度が高くなった部分である。この濃度が高くなった部分の検出電圧値を“Vp”と表している。一方、位置検出用パターン204の後端の濃度が高くなっていない部分の検出電圧値を“Va”と表している。
smpR(0)からsmpR(n)までのサンプリング値(レベル)がいずれも、ほぼ電圧値Vaに近ければ、高精度の色ずれ補正が可能となる。しかし、設定濃度よりも濃度が高くなった部分が位置検出用パターン204の後端部に存在して、検出値VpがsmpR(0)からsmpR(n)までの後端部に存在すると、前述した理由により、色ずれ補正の精度が低下する。
そこで、本実施の形態では、図18(b)のようなパターン、すなわち位置検出用パターン204の後端部に発生した高濃度部分とほぼ一致するような高濃度部分を位置検出用パターン204の先端部に生成して、色ずれ補正の精度を向上させている。
即ち、中間転写ベルト31上に形成された位置検出用パターンにおける測定出力が、その移動方向の先端部と後端部の中点を基準として対称となるように補正された補正後の位置検出用パターンを形成し、該位置検出用パターンを用いて色ずれを補正するようにした。
即ち、フォトセンサ60aが先端部に高濃度部分が形成された位置検出用パターン204を検出すると、そのセンサ出力の、当該先端部に対応する波形の立ち上がりが速くなる。これにより、位置検出用パターン204の後端部の高濃度部分による波形の立下りの遅延が相殺(解消)される。ここで、位置検出用パターン204の後端部の濃くなった部分の濃度を下げるようなパターンを再形成するのではなく、先頭部分を濃くするパターンを再形成する理由は、後端掃き寄せによる高濃度部の濃度を制御することは困難だからである。
図18(b)は、位置検出用パターン204の先頭部に形成する波形comp(0)〜comp(n)を示す図である。
この波形comp(0)〜comp(n)は、smpR(n)からsmpR(0)までのデータから、smpF(0)からsmpF(n)を減算したものである。ただし、smpF(0)からsmpF(n)までのサンプリング数とsmpR(0)からsmpR(n)までのサンプリング数は通常、異なるため、両サンプリング数のうちの少ない方を基準のサンプリング数として用いる。
例えば、smpF(0)からsmpF(n)までのサンプリング数が1050個であり、smpR(0)からsmpR(n)までのサンプリング数が950個であったときには、算出に用いる基準のサンプリング数を950個として、以下の計算を行う。
comp(0) =smpR(949)−smpF(0)
comp(1) =smpR(948)−smpF(1)
comp(2) =smpR(947)−smpF(2)
・・・
comp(949)=smpR(0)−smpF(949)
ここで、comp(n)=0であれば、位置検出用パターン204の濃度補正値は“0”であり、comp(n)の値が大きいほど、位置検出用パターン204の先端部の濃度を濃くする補正を実施する。位置検出用パターン204の先端部の濃度を濃くするために、本実施の形態では、レーザ光量を変化させる。
図19は、レーザ光量とパターン濃度の特性の一例を示す図である。
同図では、例えば、パターン濃度の検出値が“Va”となるレーザ光量をPw_aとしたときに、これより濃度の濃い検出値Vpにするにはレーザ光量をPw_pにする必要がある。
前記計算の結果、comp( )=Vp−Va=Δdであったとすると、パターン濃度をΔdだけ高めるために、レーザ光量をΔp=Pw_p−Pw_aだけ高めるように設定する。
具体的には、位置検出用パターン204に対応する静電潜像の移動方向先端部を形成する際の露光装置の露光量を、当該先端部以外の部分を形成する際の露光装置の露光量よりも、例えばΔPだけ大きくして位置検出用パターン204を形成する。これによって、位置検出用パターン204の後端部に生じる高濃度部分に対応する高濃度部分を先端部に形成した補正後の位置検出用パターンを形成することができる。
図18(c)は、フォトセンサ60aが中間転写ベルト31上に形成された補正後の位置検出用パターン204を検出して得られた出力波形を示している。同図(c)の出力波形の先端部には、同図(a)の位置検出用パターン204の後端部の領域Mに相当する波形が形成されており、出力波形は、先端部と後端部の中点を基準として対称になっている。
なお、位置検出用パターンの後端部の濃度が濃くなっていても、その濃度変動の度合いによって色ずれ補正結果への影響度は異なる。すなわち、図18(a)における電圧値Vaと電圧値Vpの差分値が小さければ、色ずれ補正結果への影響度は少ない。
そこで本実施の形態では、電圧値Vaと電圧値Vpの差分値が所定値を超える場合には、図18(a)中の領域Mと同様の高濃度部分を位置検出用パターン204の先端部に形成して位置検出用パターンを補正する。そして、補正後の位置検出用パターンに基づいて色ずれ補正を実行する。一方、電圧値Vaと電圧値Vpの差分値が所定値以下の場合には、補正前の、検出された位置検出用パターンをそのまま使用して色ずれ補正を実行する。
これにより、色ずれの補正時間を一律に長くなることを防止するとともに、色ずれの補正精度を向上させることが可能となる。
図20は、本実施の形態のカラー複写機、特にCPU101aが実行する画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
スリープ又はスタンバイ状態からプリントジョブが指示されると、CPU101aは、画像形成動作に先立って、画像形成時における色ずれ検出処理を実施すべきタイミングであるかどうかを判定する(ステップS1)。ここで、画像形成時における色ずれ量は、前回の色ずれ検出処理からの累積印刷枚数や、本実施の形態のカラー複写機の設置されている環境の変動等によって変動する。したがって、本実施の形態では、前回の色ずれ検出処理からの累積印刷枚数と画像形成動作からの経過時間に基づいて、画像形成時における色ずれ検出処理を実施すべきタイミングか否かを判定している。
ステップS1の判定の結果、色ずれ検出処理を実施すべきタイミングであるときには、CPU101aは、レーザ制御部113(図3参照)に濃度調整用パターン203の形成開始を指示する(ステップS2)。これにより、図9(a)のように、レーザ光量を変えて複数段階に濃度を変化させた濃度調整用パターン203が中間転写ベルト31上に形成される。
次にCPU101aは、パターン検知部114にLEDオン信号s2a,s2bを出力し、フォトセンサ60a,60bをオンする。これにより、フォトセンサ60a,60bが濃度調整用パターン203を検出すると、発光回路331a,331bは、検知信号s1a,s1bを生成して出力する。CPU101aは、発光回路331a,331bから検知信号s1a,s1bを受信し、デジタルの検知データs1a,s1bに変換した後、RAM101cに格納する(ステップS3)。
CPU101は、検知データs1a,s1bに基づいて演算を行い、その演算結果から位置検出用パターン204を形成する際の形成条件(レーザ光量など)を決定して設定する(ステップS4)。例えば、初期設定されている目標濃度が“1.40”であり、検出した濃度調整用パターン203のうち、濃度を“1.25”までしか出すことができない色があったとする。この場合には、CPU101aは、全ての色の目標濃度を“1.25”に統一するというように、検出した濃度に基づいて目標濃度の再設定を行う。なお、ブラック(Bk)は、濃度が濃い程検出した際のフォトセンサの出力レベルが低くなるため、できるだけ濃度を濃くすることで、ダイナミックレンジを確保するようにする。
次にCPU101aは、レーザ制御部113に、ステップS4で設定された形成条件で、最低限(例えば、図9(b)に示される個数)の位置検出用パターン204の形成開始を指示する(ステップS5)。これにより、図9(b)のように、当該形成条件で位置検出用パターン204が中間転写ベルト31上に形成される。
次にCPU101aは、サンプリング周波数を上げて精度を上げる(ステップS6)。そしてCPU101aは、ステップS3と同様にして、位置検出用パターン204をフォトセンサ60a,60bで検出する(ステップS7)。
次にCPU101a(判定手段)は、フォトセンサ60a,60bの検出結果に基づいて、図18を用いて説明した差分値(=Vp−Va)を算出し、当該差分値が所定値以下であるかどうかを判定する(ステップS8)。この判定の結果、当該差分値が所定値以下である場合には、CPU101a(検出手段)は、フォトセンサ60a,60bが位置検出用パターン204を検出して得られた結果をそのまま用いて、各色間の色ずれ量を算出する(ステップS12)。
そして、CPU101a(補正手段)は、この算出された各色間の色ずれ量に基づいて色ずれ補正量を算出し(ステップS13)、算出された色ずれ補正量に基づいて画像形成時の書き出しタイミングを補正する(ステップS14)。
さらにCPU101aは、補正された書き出しタイミングで画像形成を開始し(ステップS15)、所定の画像形成動作が終了すると、画像形成を終了し(ステップS16)、本画像形成処理を終了する。
一方、ステップS8の判定の結果、当該差分値が所定値を超えた場合には、CPU101aは、図18を用いて説明した制御処理を実行する。つまりCPU101a(制御手段)は、位置検出用パターン204の後端掃き寄せの影響を相殺するような補正後の位置検出用パターンを形成すべく、レーザスキャナユニットを制御してレーザ光量の調整を行う。そして調整後のレーザ光量によって補正後の位置検出用パターンを中間転写ベルト31上に形成する(ステップS9〜ステップS11)。その後CPU101aは、処理をステップS8へ戻す。なお、ステップS9〜S11の処理は、ステップS8の判定において、補正後の位置検出用パターンに基づいて算出された差分値が所定値以下となるまで、何度も繰り返して行うようにしてもよいし、1回に限定してもよい。
一方、ステップS1の判定の結果、色ずれ補正を実施すべきタイミングでないときには、CPU101aは、通常の画像形成を実施した(ステップS17,S18)後、本画像形成処理を終了する。
図20の画像形成処理によれば、位置検出用パターンに後端掃き寄せが発生し、後端部の濃度が濃くなった場合にも、フォトセンサがその位置検出用パターンを検出して得られた出力波形の歪みの影響を相殺するような補正後の位置検出用パターンが形成される。従って、形成された補正後の位置検出用パターンに基づいて色ずれ補正を行うことによって、色ずれを高精度に補正することができる。