JP2013020130A - ハードコートフィルム及びこれを用いたタッチパネル - Google Patents

ハードコートフィルム及びこれを用いたタッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】薄くて耐衝撃性に優れるハードコートフィルム及びこれを用いたタッチパネルの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のハードコートフィルムは、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする透明な基材層と、この基材層の一方の面側に積層されるハードコート層とを有し、上記基材層の平均厚さが5μm以上50μm以下である。上記基材層の光弾性係数は40×10−12/Pa以下であるとよい。また、当該ハードコートフィルムは、上記基材層の他方の面に積層される粘着層をさらに備えているとよい。上記粘着層を構成する粘着剤の主成分がアクリル樹脂系粘着剤であるとよい。当該ハードコートフィルムは、ヘイズ値が2%以下であるとよく、可視光線透過率が87%以上であるとよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置に好適に使用されるハードコートフィルム及びこれを用いたタッチパネルに関する。
液晶表示モジュール(LCD)は、薄型、軽量、低消費電力等の特徴を活かしてフラットパネルディスプレイとして多用されており、その用途は携帯電話、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ、テレビなどの情報用表示デバイスとして年々拡大している。近年、液晶表示モジュールに要求される特性としては、用途により様々であるが、明るい(高輝度化)、見やすい(広視野角化)、省エネルギー化、薄型軽量化、大画面化等が挙げられる。
このような液晶表示モジュールとしては、視認者の操作容易性、迅速性等を向上させるべくタッチパネルが搭載されているものもある。そして、このようなタッチパネルが搭載された液晶表示モジュールは、一般的には、タッチパネル、液晶表示素子、各種光学シート及びバックライトが表面側から裏面側にこの順で重畳された構造を有している。
このようなタッチパネルとしては、静電容量方式、抵抗膜方式、電磁誘導方式等が存在している。このような静電容量方式としては、互いに交差する方向に電極を延在させて、指などが接触した際に電極間の静電容量が変化することを検知して入力位置を検出するものや(特開2011−76386号公報参照)、透光性導電膜の両端に同相、同電位の交流を印加し、指が接触又は近接してキャパシタが形成される際に流れる微弱電流を検知して入力位置を検出するもの等が存在している。
しかしながら、かかるタッチパネルは、視認者がガラス基板を強く押下した際や落下した際に、ガラス基板等が破損して、これらの破片が飛散するおそれがある。そして、飛散した破片がタッチパネルの裏面側に重畳される液晶表示素子等を損傷させるおそれもある。このようなガラス基板等の破損や、破損した場合における破片の飛散を防止するフィルムとして二軸延伸されたPETフィルムがタッチパネル表面に接着されている。しかし、PETフィルムは強度が十分ではなく、タッチパネルが受ける様々な衝撃に対して十分な強度を保持しようとすると、厚みが増し、薄型化の要請に反してしまう。また、PETフィルムはリタデーション値(Re)が高く複屈折により位相差が生じる。このため、いわゆる3D映像のように液晶パネルから出光する偏光を見る際には、位相差変化による光学的干渉模様が発生することにより映像が不鮮明となるおそれがある。このような問題は、抵抗膜方式、電磁誘導方式等他のいずれの方式のタッチパネルにおいても同様に存在している。
特開2011−76386号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、薄くても耐衝撃性に優れるハードコートフィルム及びこれを用いたタッチパネルの提供を目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
ポリカーボネート系樹脂を主成分とする透明な基材層と、
この基材層の一方の面側に積層されるハードコート層と
を有し、
上記基材層の平均厚さが5μm以上50μm以下であるハードコートフィルムである。
当該ハードコートフィルムは、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする透明な基材層を備えているため、薄くても耐衝撃性に優れる。当該ハードコートフィルムは、基材層の一方の面側にハードコート層が積層されているため、タッチパネルのガラス基板等に貼着後は、被貼着物の製造時や運搬時等の傷つきを防止することができ、取扱容易性を向上させることができる。また、当該ハードコートフィルムは、上記基材層の平均厚さが5μm以上50μm以下であるため、タッチパネル等に貼着した場合は、十分な耐衝撃性を付与するとともに被粘着物を薄型化させることができる。
当該ハードコートフィルムは、上記基材層の光弾性係数が40×10−12/Pa以下であるとよい。上記基材層の光弾性係数を上記範囲とすることによって、応力がかかった場合でも複屈折が助長されにくい。その結果、いわゆる3D映像のように、液晶パネルから出光する偏光を見る場合であっても、位相差の変化による光学的干渉模様が発生し難く、精細な映像を見ることができる。
当該ハードコートフィルムは、上記基材層の他方の面に積層される粘着層をさらに備えているとよい。当該ハードコートフィルムがこのような粘着層をさらに備えていることにより、例えば、タッチパネルのガラス基板等に貼着することで、ガラス基板等が破損した場合であっても、破片の飛散を効果的に防止することができる。
当該ハードコートフィルムは、上記粘着層を構成する粘着剤の主成分としてアクリル樹脂系粘着剤が用いられているとよい。アクリル樹脂系粘着剤は、基材層の主成分であるポリカーボネートとの相性に優れるため、粘着層と隣接して積層される基材層の劣化を抑制することができる。その結果、当該ハードコートフィルムの耐久性を高めることができる。
当該ハードコートフィルムは、ヘイズ値が2%以下であるとよい。このように、ヘイズ値を上記範囲とすることで、映像の視認性の低下を抑制することができ、タッチパネルのガラス基板等に貼着後は、ハードコートフィルムの裏面側に配設される液晶パネルに表示される映像をクリアに表示することができる。
当該ハードコートフィルムは、可視光線透過率が87%以上であるとよい。このように可視光線透過率を上記範囲とすることで、可視光線を十分に透過させることができる。その結果、タッチパネルのガラス基板等に貼着後は、光源から発せられる光を十分に透過させ、表示される映像の視認性を向上させることができる。
当該ハードコートフィルムは面内リタデーション値(Ro)が100nm以下であり、且つ厚さ方向リタデーション値(Rth)が200nm以下であるとよい。このように面内リタデーション値及び厚さ方向リタデーション値(Rth)を上記範囲とすることによって、光線が透過する際に変化が生じにくく、他の光学部材の光学的機能を阻害するおそれを防止することができる。
当該ハードコートフィルムは、上記粘着層によりタッチパネルのガラス基板表面及び/又は裏面に貼着されるとよい。これにより、ガラス基板破損時等には、発生する破片の飛散を効果的に防止することができるとともに、タッチパネルの裏面側に重畳される液晶パネル等の損傷を防止することができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、
ガラス基板と、このガラス基板の表面及び/又は裏面に粘着層により貼着される当該ハードコートフィルムとを備えるタッチパネルである。
当該タッチパネルは、ガラス基板に貼着されるハードコートフィルムがポリカーボネート系樹脂を主成分とする透明な基材層を備えているため、薄くても耐衝撃性に優れる。また、当該タッチパネルはハードコートフィルムの基材層の一方の面にハードコート層が積層されているため、ガラス基板の裏面に貼着した際は、当該タッチパネルの製造時や運搬時等の傷つきを有効に防止することができ、作業者の取扱容易性を向上させることができる。また、当該タッチパネルに用いられるハードコートフィルムは所定の薄さで構成されているため、十分な耐衝撃性を有しつつ、タッチパネルの薄型化を実現させている。
なお、本発明において、「ポリカーボネート系樹脂」とは、カーボネート結合(−O−R−O−CO−)を主鎖にもつ重合体(ポリマー)をいう。「平均厚さ」とは、10cmのフィルム平面において、その各角部を含む10点以上のポイントで測定したフィルム厚さの平均値を意味する。「光弾性係数」とは、外力による複屈折の変化の生じやすさを表す係数で、C[/Pa]=Δn/σ、Δn=nx−nyで求められる値である(式中、C:光弾性係数、σ:伸張応力[Pa]、Δn:応力付加時の複屈折、nx:伸張方向と平行な方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な方向の屈折率)。光弾性係数の値がゼロに近いほど外力による複屈折の変化が小さいことを意味する。
また、「面内リタデーション値(Ro)」は、Ro=(Ny−Nx)×dで求められる値であり、「厚さ方向リタデーション値(Rth)」は、Rth=((Nx+Ny)/2−Nz)×dで求められる値である(ここで、Nxはフィルムの進相軸(面方向と平行な軸)の屈折率であり、Nyはフィルムの遅相軸(面方向と平行でかつ進相軸と垂直な軸)の屈折率であり、Nzは厚み方向(面方向と垂直な方向)でのフィルムの屈折率であり、dはフィルムの厚みである)。「ヘイズ値」はJIS K7136に準じた値である。「可視光線透過率」はJIS K7361−1に準じた値である。
以上説明したように、本発明のハードコートフィルムは、薄くても耐衝撃性に優れる。そのため、これを用いたタッチパネルは、耐衝撃性を有しつつ、より薄型化を実現することができる。
本発明の一実施形態に係るハードコートフィルムを示す模式的断面図である。 本発明の一実施形態に係るタッチパネルを示す模式的断面図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
図1のハードコートフィルム1は、基材層2と、ハードコート層3と、粘着層4とを有している。本発明の実施形態のひとつは、例えば、タッチパネルを搭載した液晶表示装置において粘着層4をタッチパネルのガラス基板の裏面に貼着させてガラス基板に積層されるタッチパネル用ハードコートフィルムである。
<基材層>
基材層2は、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする透明な層である。ポリカーボネート系樹脂は優れた光学的透明性を有しており、光線を良好に透過させることができる。また、ポリカーボネート系樹脂は優れた耐衝撃性を有している。このような基材層2から構成される当該ハードコートフィルム1は透明で、優れた耐衝撃性を有し、例えばタッチパネルのガラス基板等に貼着されることで、タッチパネルのガラス基板等の耐衝撃性を高めることができる。
基材層2を形成するポリカーボネート系樹脂としては、直鎖ポリカーボネート系樹脂及び/又は分岐ポリカーボネート系樹脂を含むポリカーボネート系樹脂とするとよい。本発明で使用される直鎖ポリカーボネート系樹脂及び分岐ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されるものではなく、また、直鎖ポリカーボネート系樹脂のみ、又は分岐ポリカーボネート系樹脂のみから基材層2を形成することもできる。
直鎖ポリカーボネート系樹脂は、公知のホスゲン法または溶融法によって製造された直鎖の芳香族ポリカーボネート系樹脂であり、カーボネート成分とジフェノール成分とからなる。カーボネート成分を導入するための前駆物質としては、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。また、ジフェノールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジフェニルプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4−チオジフェノール、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジクロロジフェニルエーテル、4,4−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。このような直鎖ポリカーボネート系樹脂は、例えば、米国特許第3989672号に記載されている方法等で製造され、その屈折率は1.57以上1.59以下のものが好ましい。
分岐ポリカーボネート系樹脂は、分岐剤を用いて製造したポリカーボネート系樹脂であり、分岐剤としては、例えば、フロログルシン、トリメリット酸、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。
このような分岐ポリカーボネート系樹脂は、例えば特開平3−182524号公報に記載されているように、芳香族ジフェノール類、上記分岐剤およびホスゲンから誘導されるポリカーボネートオリゴマー、芳香族ジフェノール類および末端停止剤を、これらを含む反応混合液が乱流となるように撹拌しながら反応させ、反応混合液の粘度が上昇した時点で、アルカリ水溶液を加えると共に反応混合液を層流として反応させる方法により製造することができる。
基材層2は、上記分岐ポリカーボネート系樹脂をポリカーボネート系樹脂中に5重量%以上80重量%以下の範囲で含有することが好ましく、10重量%以上60重量%以下の範囲で含有することがより好ましい。これは、分岐ポリカーボネート系樹脂が5重量%未満では、伸長粘度が低下し押出成形での成形が困難となるためであり、80重量%を超えると、樹脂の剪断粘度が高くなり成形加工性が低下するためである。
基材層2は他の任意成分を含んでよいが、上記直鎖ポリカーボネート系樹脂及び/又は分岐ポリカーボネート系樹脂を好ましくは90質量%以上含み、さらに好ましくは98質量%以上含むとよい。ここでの任意成分としては、例えば紫外線吸収剤、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、位相差低減剤、艶消し剤、抗菌剤、防かび等が挙げられる。但し、基材層2は、光線を透過させる必要があるため透明に形成されることが好ましく、特に無色透明に形成されることが好ましい。
基材層2の平均厚さは、特に限定されないが、例えば5μm以上50μm以下が好ましく、9μm以上48μm以下がより好ましく、15μm以上46μm以下がさらに好ましく、18μm以上45μm以下が特に好ましい。基材層2の厚みが上記範囲未満であると強度、耐衝撃性等の特性が低下するおそれがある。その結果、基材層2を用いたハードコートフィルム1をタッチパネルのガラス基板等に貼着した場合、タッチパネルの強度、耐衝撃性等の特性が不十分となるおそれがある。一方、基材層2の厚みが上記範囲を超えると、透光性が低下してしまうおそれがあり、また薄型化の要求に反することにもなる。基材層2の平均厚さを上記範囲とすることにより、当該ハードコートフィルム1は、透光性の低下を抑制しつつ、薄くても十分な強度及び耐衝撃性を備えることができる。つまり、当該ハードコートフィルム1は、基材層2の平均厚さを上記範囲とすることによって、従来のポリエチレンテレフタラート(PET)製のフィルムと同等以上の耐衝撃性を有しつつ、更なる薄型化を図ることができ、ひいては当該ハードコートフィルム1の被貼着物となる携帯電話等をより薄型化することができる。
基材層2の光弾性係数は、特に限定されないが、例えば、40×10−12/Pa以下が好ましく、30×10−12/Pa以下がより好ましく、20×10−12/Pa以下が更に好ましく、10×10−12/Pa以下が特に好ましい。基材層2の光弾性係数が上記範囲を超えると、わずかな応力がかかった場合でも位相差の変化が大きくなり、視認性が低下するおそれがあるためである。基材層2の光弾性係数を上記範囲とすることによって、応力がかかった場合の位相差の変化による光学的干渉模様を低減することができ、結果として、基材層2を用いたハードコートフィルム1を有するタッチパネル画面の視認性の低下を抑制し、精細な画像表示を行うことができる。
基材層2としては、通常、算術平均表面粗さ(Ra)が0.02μm以上0.06μm以下のものを用いることができる。また、基材層2には、透明性を損なわない限りにおいて、必要に応じてマット処理を行うことができる。マット処理を施した基材層2の算術平均表面粗さ(Ra)は、好ましくは0.07μm以上2μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上1μm以下とすることができる。基材層2の表面粗さをこのような範囲に制御することによって、基材層2と後述する粘着層4との接着強度が増すと共に、基材層2のフィルム原反製造後の処理における傷付きが防止され、取扱い性が向上する。また、一般的に、製造されたフィルム原反の巻取りを行う際には、フィルムの幅方向の両端をエンボス加工(ナーリング処理)してブロッキングを防止する必要がある。フィルムにナーリング処理を行った場合、フィルムの両端の処理箇所は使用できなくなるため、その部分は裁断・廃棄しなければならない。また、フィルムの巻取り作業においては、傷付きを防止するために保護膜によってマスキングを行う場合もある。しかし、基材層2の算術平均表面粗さを上記のような所定の範囲とすることによって、ナーリング処理を行わずにブロッキングを防止することができるので、製造工程が簡略化され、フィルム幅方向の両端部分も使用可能になるとともに、フィルムの故障を生じることなく、長尺にわたる巻取りを行うことができる。また、基材層2が適度な表面粗さを有することによって、巻取り時の傷付きが効果的に抑制され、上記のようなマスキングも不要となる。
基材層2の製造方法としては、例えば溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など公知の方法が挙げられる。これらの中でも、特開2003−82131号公報に記載の製造方法が、リタデーション値を小さくかつ任意の値に制御することができる点で好ましい。
具体的には、原料となるポリカーボネート系樹脂の溶融非晶質ポリマーをシート体に形成するシート加工工程と、このシート体を同時に加熱及び加圧する加熱加圧工程とを有する製造方法が好ましい。
シート加工工程は、ポリカーボネートの非晶質ポリマーを押出シート成形により形成する工程である。この押出シート成形とは、非晶質ポリマーを溶融させて、この溶融非晶質ポリマーをシート状に押し出すものであり、具体的にはTダイ法、インフレーション法等の公知の方法がある。
Tダイ法とは、横長のダイから溶融非晶質ポリマーを一対の冷却ロール(キャスティングロール)間に押し出し、急冷固化させる方法である。このTダイ法は成形速度が速く、品質のコントロールにも優れている。
インフレーション法とは、チューブラー法ともいい、環状のダイから溶融非晶質ポリマーを押し出し、その中に空気を吹き込んで膨脹させ、薄膜状の円筒シートに急冷固化させる方法である。この方法は成形速度及び厚みムラなどに問題があるが、後述する加熱加圧工程によって厚みの均一化が図られるため上記問題が低減される。
加熱加圧工程は、上記シート加工工程で形成された非晶質ポリマーのシート体を同時に加熱及び加圧する工程である。この加熱加圧工程において、シート体を同時に加熱及び加圧する方法としては、例えば双ベルト加圧加熱装置のように、シート体の表面を加圧しつつ加熱する装置等が挙げられる。
加熱加圧工程において、シート体の表面を加圧する具体的な圧力としては、0.5MPa以上10MPa以下が好ましく、1.5MPa以上5MPa以下が特に好ましい。この程度の圧力でシート体の表面を押圧することで、加熱によりシート体の変形を防止し、かつ、シート体の表面の平滑性及び厚みの均一化を促進することができる。
加熱加圧工程において、シート体を加熱する具体的な温度としては、原料である非晶質ポリマーのTg以上Tm以下が好ましい。このように、非晶質ポリマーをTg以上に加熱すると、分子の配向が乱れ、リタデーション値を例えば10nm未満の格段に小さい値まで低減することができる。ここで、「Tg」とはガラス転移点を意味し、「Tm」とは融点(融解開始点)を意味する。
一方、上記シート加工工程において、上記押出シート成形時に延伸等を行い、シート体に応力を負荷することでシート体のリタデーション値を増大させておき、その後加熱加圧工程において、シート体の加熱及び加圧条件を非晶質ポリマーのTm以下の適当な温度及び0.1MPa以上20MPa以下の適当な圧力に制御することも可能である。このように、加熱加圧工程におけるシート体の加熱温度及び圧力を制御することで、リタデーション値が押出シート成形後の比較的大きい値からTg以上に加熱した格段に小さい値の範囲で任意に調整された基材層2を製造することができる。例えば、10nm以上350nm以下のリタデーション値の基材層2を製造することができる。
上記製造方法によって製造した基材層2は、加熱加圧工程におけるシート体の加熱温度をポリカーボネートのTg以上Tm以下とし、加圧圧力を0.5MPa以上10MPa以下とすると、リタデーション値を10nm未満とすることができる。一方、加熱加圧工程におけるシート体の加熱温度をTm以下の適当な温度に制御し、加圧圧力を0.1MPa以上20MPa以下の適当な圧力に制御すると、リタデーション値を10nm以上350nm以下の範囲で任意に調整することができる。
<ハードコート層>
ハードコート層3は、基材層2の一方の面に積層される。ハードコート層3は、透明性、傷付き防止性、耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性、防汚性、指紋付着防止性を有するものが好ましく、例えば、熱硬化性樹脂や、活性エネルギー線硬化樹脂等が挙げられる。なかでも硬化時間が短く、省エネルギーで製造可能な活性エネルギー線硬化樹脂が好ましい。
上記熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系樹脂、ビニルエステル樹脂、メタクリル酸メチル(MMA)樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂、アクリルシロップ樹脂、熱硬化エチレン酢酸ビニル共重合体、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、DAP(ジアリールフタレート)樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂はいずれも常温もしくは加熱下で硬化するものである。
上記活性エネルギー線硬化樹脂とは、例えば紫外線、可視光線、電子線、X線、α線、β線、γ線等の照射により硬化するものであり、活性エネルギー線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基を有するものであれば特に限定されず、なかでも紫外線、電子線又は放射線重合性のものが好ましく、紫外線重合性官能基を有するものが特に好ましい。紫外線重合性官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和の重合性官能基等を挙げることができる。
紫外線重合性官能基を有する紫外線重合性多官能モノマーとしては、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ポリエステル類;2、2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても構わない。
なお、上記活性エネルギー線硬化樹脂には、必要に応じて光重合開始剤、架橋剤等の添加剤等が配合されていてもよい。
光重合開始剤としては、紫外線により活性化され、紫外線硬化成分の反応を生じさせることが可能な光重合開始剤であれば特に制限されない。このような光重合開始剤として具体的には、例えばアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾインアルキルエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤等を用いることができる。光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えばベンゾインなどが挙げられる。
また、ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。ベンゾインアルキルエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤としては、例えばチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。
また、上記架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、メラミン樹脂、尿素樹脂、アジリジン系化合物、エポキシ系架橋剤(エポキシ樹脂など)、カルボキシル基を複数有する低分子化合物やその無水物、ポリアミン、カルボキシル基複数有するポリマーなどを用いることができる。
ハードコート層3の厚み(平均厚さ)は、特に限定されないが、例えば、1μm以上25μm以下とすることができる。ハードコート層3の厚みが上記範囲未満であると傷付き防止機能、強度、撓み防止性等の特性が低下するおそれがある。その結果、ハードコートフィルム1として形成し、タッチパネルのガラス基板等に貼着した場合には、十分な傷付き防止機能を有さないため、製造作業時の取扱容易性が低下したり、タッチパネルのガラス基板破損時等には、発生する破片の飛散防止機能が低下するおそれがある。一方、ハードコート層3の厚みが上記範囲を超えると、透明性が低下し、薄型化の要求に反することになる。ハードコート層3の平均厚さを上記範囲とすることにより、薄くても傷付き防止機能、強度、透明性等に優れるハードコートフィルム1を提供することができる。
ハードコード層3の製造方法は、特に限定されないが、例えば基材層2の一方の面に活性エネルギー線硬化樹脂を塗布し、乾燥させ、活性エネルギー線照射させることにより製造することができる。活性エネルギー線硬化樹脂の塗布方法としては、基材層2の一方の面に活性エネルギー線硬化樹脂を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されず、例えばスピンコート法、スプレー法、スライドコート法、ディップ法、バーコート法、ロールコーター法、スクリーン印刷法等、種々の方法を挙げることができる。また、ハードコート層3の製造にあたっては、必要に応じて、前処理として、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下におけるプラズマ処理等の処理を、基材層2のハードコート層を積層する面に行ってもよい。
<粘着層>
粘着層4は、上記基材層2の他方の面に積層される。粘着層4は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の公知の粘着性樹脂を用いて形成することができる。粘着層4に用いられる粘着性樹脂としては、粘着力、保持力、耐久性、耐候性に優れ、安価に入手可能であり、上記基材層2の主成分であるポリカーボネートとの相性に優れるアクリル樹脂系粘着剤が好ましい。当該ハードコートフィルム1は、粘着層4にこのような粘着剤を用いることによりポリカーボネート系樹脂を主成分とする基材層2の劣化を抑制することができ、その結果、当該ハードコートフィルム1の耐久性を高めることができる。また、当該ハードコートフィルム1は、粘着層4にこのような粘着剤を用いることにより、ガラス等の被粘着物が破損した場合は、破片の飛散を効果的に防止することができる。なお、上記粘着層4には離形紙が付されていてもよい。
上記アクリル樹脂系粘着剤を構成するモノマーとしては特に限定されないが、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル基としては例えば炭素数1〜20のもの);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(ヒドロキシアルキル基としては、例えば炭素数1〜20のもの);アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸;酢酸ビニル;これらの組み合わせ等が挙げられる。中でも、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが、モノマーとして用いることにより粘着力、保持力、タック力などの粘着特性が良好となるため好ましい。これらのモノマーを、重合開始剤の存在下で、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等により重合することによって上記アクリル樹脂系粘着剤を製造することができる。特に乳化重合にて得られたエマルジョン型のアクリル系粘着剤は、主たる重合溶剤として水を用いており、粘着層4の製造時の安全性や地球環境への負荷低減が図れることから好ましい。
粘着層4は、粘着剤溶液を基材層2の他方の面側に塗布して乾燥させることによって基材層2に積層することができる。また、粘着層4は、粘着剤溶液を予めセパレータの片面に塗布して乾燥させておいたうえ、基材層2と貼り合わせることにより基材層2に積層することもできる。
粘着層4の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、1μm以上25μm以下とすることができる。粘着層4の厚みが上記範囲未満であると十分な粘着性が得られないおそれがある。一方、粘着層4の厚みが上記範囲を超えると薄型化の要求に反することになる。粘着層4の厚みを上記範囲とすることにより、薄くても十分な粘着性を有するハードコートフィルム1を提供することができる。
なお、粘着層4を構成する上記粘着剤には、必要に応じて他の助剤を添加してもよい。他の助剤としては、例えば、増粘剤、pH調整剤、タッキファイヤ、接着性微粒子、消泡剤、防腐防黴剤、顔料、無機充填剤、安定剤、濡れ剤、湿潤剤等が挙げられる。
<ハードコートフィルムの製造方法>
当該ハードコートフィルム1の製造方法としては、例えば、上記基材層2の一方の面に活性エネルギー線硬化樹脂等を、例えばスピンコート法等の公知の方法で塗布し、紫外線等を照射して固化させることによりハードコート層3を形成し、さらに、上記基材層2の他方の面に上記粘着剤溶液を塗布して乾燥させることによって粘着層4を形成する方法を挙げることができる。
<ハードコートフィルム>
上記ハードコートフィルム1は、上述のように基材層2の片方の面にハードコート層3が積層され、他方の面には粘着層4が積層されている。当該ハードコートフィルム1は、粘着層4をタッチパネルのガラス基板の裏面側に貼着させて、ガラス基板の裏面側に積層されることにより、タッチパネルの強度を高め、また、タッチパネル破損時には、破片等の飛散を効果的に防止することができる。
当該ハードコートフィルム1のヘイズ値としては、2%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。ヘイズ値が上記範囲を超えると、当該ハードコートフィルム1の裏面側に配設されている液晶パネルに表示される映像の視認性が低下するおそれがあるためである。当該ハードコートフィルム1は、ヘイズ値を上記範囲とすることにより、タッチパネルのガラス基板裏面に貼着した場合でも、液晶パネルに表示される映像の鮮明度を保つことができる。
当該ハードコートフィルム1の可視光線透過率としては、特に限定されないが、87%以上が好ましく、90%以上がさらに好ましい。当該ハードコートフィルム1の可視光線透過率が上記範囲未満であると、可視光線を十分に透過させることができず、視認性を低下させるおそれがあるためである。当該ハードコートフィルム1の可視光線透過率を上記範囲とすることにより、可視光線を十分に透過させることができ、タッチパネルのガラス基板裏面に貼着した場合でも、液晶パネルに表示される映像の視認性を向上させることができる。
当該ハードコートフィルム1の面内リタデーション値(Ro)は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、15nm以下がさらに好ましく、5nm以下が特に好ましい。また、ハードコートフィルム1の厚さ方向リタデーション値(Rth)は、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましく、10nm以下が特に好ましい。当該ハードコートフィルム1の面内リタデーション値(Ro)及び厚さ方向リタデーション値(Rth)を上記範囲とすることにより、透過光線の変換作用を抑制し、他の光学部材の光学的機能を阻害するおそれを防止することができる。
<タッチパネル>
図2に示すタッチパネル11は、ガラス基板12、14と、電極層13と、ハードコートフィルム1とを有している。ガラス基板12は、表面側の略中央領域が指先による入力が行われる入力領域として形成されている。ガラス基板12の裏面には、粘着層4が貼着されることでハードコートフィルム1が積層されている。電極層13は、透明導電膜であり、互いに交差する方向に第一電極と第二電極とが延在されている。電極層13はガラス基板14の表面側に積層されている。ガラス基板14の裏面には、粘着層4が貼着されることでハードコートフィルム1が積層されている。タッチパネル11は、ガラス基板12の入力領域に手指等が触れる前後で静電容量が変化する。タッチパネル11は、上記第一電極及び第二電極が静電容量の変化を検出し、タッチ位置を特定するように構成されている。
当該タッチパネル11は、ハードコートフィルム1がポリカーボネート系樹脂を主成分とする透明な基材層2を備えているため、光線透過率が高く、薄くても優れた耐衝撃性を有する。また、当該タッチパネル11は、粘着層4を介してハードコートフィルム1をガラス基板の裏面に貼着することにより、タッチパネルの強度を高め、ガラス基板等が破損した場合には、破片の飛散を効果的に防止することができる。また、当該タッチパネル11はハードコートフィルム1の基材層2の一方の面にハードコート層3が積層されているため、製造時や運搬時等の傷つきを有効に防止することができ、取扱容易性を向上させることができる。
なお、本発明のハードコートフィルム及びタッチパネルは上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、当該ハードコートフィルムは、ハードコート層が2層以上の層から形成されていてもよい。また、当該ハードコートフィルムは、ハードコート層上に他の層(例えば、UV吸収層、帯電防止層及び反射防止層等)が積層されてもよい。当該ハードコートフィルムは、基材層とハードコート層、又は基材層と粘着層が、他の層を介して積層されていてもよい。当該ハードコートフィルムは、タッチパネルのガラス基板の裏面以外にも種々の光学部材に貼着させることにより、これらの部材の飛散防止性を向上させることができる。当該ハードコートフィルムは、タッチパネルのガラス基板の表面側に貼着されてもよく、またタッチパネルの表面側及び裏面側に貼着されてもよい。特に、当該ハードコートフィルムは、タッチパネルの電極層の裏面側に積層されるガラス基板の裏面に貼着されることにより、タッチパネルの製造時や運搬時等の傷つけ防止機能を効果的に高めることができ、タッチパネルの取扱容易性を好適に向上させることができる。当該ハードコートフィルムは、静電容量方式、抵抗膜方式、電磁誘導方式等、種々のタッチパネルに使用することができる。当該ハードコートフィルムは、例えば携帯電話、携帯ゲーム機、カーナビ、キャッシュディスペンサー、発券機などのタッチパネルの他、立体映像表示装置等、種々の液晶表示モジュール、防犯用窓ガラスフィルム等に使用することができる。
以上のように、本発明のハードコートフィルムは、透明で、薄いにもかかわらず十分な耐衝撃性を有する。そのため、高い透過性と、より薄型で優れた耐衝撃性が要求されるタッチパネル用ハードコートフィルムとして好適に用いることができる。
1 ハードコートフィルム
2 基材層
3 ハードコート層
4 粘着層
11 タッチパネル
12 ガラス基板
13 電極層
14 ガラス基板

Claims (9)

  1. ポリカーボネート系樹脂を主成分とする透明な基材層と、
    この基材層の一方の面側に積層されるハードコート層と
    を有し、
    上記基材層の平均厚さが5μm以上50μm以下であるハードコートフィルム。
  2. 上記基材層の光弾性係数が40×10−12/Pa以下である請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 上記基材層の他方の面に積層される粘着層をさらに備えている請求項1又は請求項2に記載のハードコートフィルム。
  4. 上記粘着層を構成する粘着剤の主成分がアクリル樹脂系粘着剤である請求項3に記載のハードコートフィルム。
  5. ヘイズ値が2%以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
  6. 可視光線透過率が87%以上である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
  7. 面内リタデーション値(Ro)が100nm以下であり、且つ厚さ方向リタデーション値(Rth)が200nm以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
  8. 上記粘着層によりタッチパネルのガラス基板表面及び/又は裏面に貼着される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
  9. ガラス基板と、このガラス基板の表面及び/又は裏面に粘着層により貼着される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のハードコートフィルムとを備えるタッチパネル。
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