JP2013019191A - 防水扉のシール機構及び防水扉装置 - Google Patents

防水扉のシール機構及び防水扉装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な構成で大きな押圧力を得て防水扉の間を確実にシールする。
【解決手段】隣接する防水扉3,3の端縁に、起立位置で所定の隙間をおいて互いに近接する突条部21,21をそれぞれ形成する一方、突条部21,21の背面側に、突条部21,21に沿って立設する起立姿勢と、倒伏位置の防水扉3より下方で倒伏する倒伏姿勢との間で回転可能で、起立姿勢で一対の突条部21,21に跨って当接する止水ゴム29を備えたアーム部材24を設け、アーム部材24に、当該アーム部材24の起立姿勢で突条部21,21と係止させてアーム部材24を突条部21,21側へ付勢し、止水ゴム29を突条部21,21の全長に亘って押圧させる押圧手段(リンクプレート30、操作レバー34、ストッパボルト36等)を設けた。
【選択図】図6

Description

本発明は、建物や駐車場等の出入口からの浸水を防止するために設置される防水扉装置において、隣接する防水扉間の隙間をシールするために設けられるシール機構と、そのシール機構を備えた防水扉装置に関する。
防水扉装置は、起伏動作可能な複数の防水扉を直線状或いはコーナーではL字状に併設してなり、隣接する防水扉間には、起立状態の防水扉間の隙間をシールするためのシール機構が設けられる。このシール機構として、特許文献1には、V字状のパッキンを、ガイドブラケットと扇形カムとからなる駆動機構を介して押圧する構造が開示されている。また、特許文献2には、棒状のゴムブロックを含む隙間閉鎖部材と、その隙間閉鎖部材を防水扉の起伏動作に連動して隙間に対して出し入れさせるリンクを用いた連動機構とを備えた構造が開示されている。この構造は、L字状に隣接した防水扉間のシールにも用いられている。
同様に、コーナー部のシール機構として、特許文献3には、防水パネルの端面にゴムジョイントを一体に設け、そのゴムジョイントをコーナー部に設けた柱の溝内に挿入することで、防水パネルと柱との間をシールする構造が開示されている。
特開2005−120594号公報 特開2007−138698号公報 特開2003−120070号公報
しかし、上記従来のシール機構は、カムやリンク機構を用いることで大きな押圧力を得にくく、隣接する防水扉間に厚み方向の段差や隙間のバランスのずれが生じたりするとシール性が低下する。よって、部品の製作精度を上げる必要があってコストアップに繋がってしまう。また、シール機構の押圧力の調整が必要となるが、現場での調整が難しいため、事前に水密試験を行って押圧力を調整することになる上、現場では水密試験時を再現した組付けが必要となって、多大な手間とコストとが発生していた。
さらに、特許文献1のシール機構のように、シール機構のために防水扉を起立させる順番が制限されてしまうため、迅速な起立の妨げになる問題もあった。
そこで、本発明は、簡単な構成で大きな押圧力が得られて確実なシールが可能となり、而も現場での押圧力の調整も容易で手間やコストが掛からない上、迅速な起立も確保できる防水扉のシール機構及び防水扉装置を提供することを目的としたものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、倒伏位置と起立位置との間で起伏動作可能な複数の防水扉を併設してなる防水扉装置において、隣接する防水扉の間をシールするシール機構であって、
隣接する防水扉の端縁に、起立位置で所定の隙間をおいて互いに近接する突条部をそれぞれ形成する一方、近接する両突条部の背面側に、両突条部に沿って立設する起立姿勢と、倒伏位置の防水扉より下方で倒伏する倒伏姿勢との間で回転可能で、起立姿勢で両突条部に跨って当接する止水部材を備えたアーム部材を設け、アーム部材に、当該アーム部材の起立姿勢で突条部と係止させてアーム部材を両突条部側へ付勢し、止水部材を両突条部の全長に亘って押圧させる押圧手段を設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、押圧手段は、アーム部材の側面へ一端が回転可能に連結されるリンク部材と、そのリンク部材の他端へ中間部が回転可能に連結され、一端に、突条部の側面に設けられた被係止部へ係脱可能なフックを備え、フックを被係止部へ係止させた状態で他端を下方へ押し下げ操作することで、リンク部材を介してアーム部材を突条部側へ付勢する操作レバーと、アーム部材の側面でリンク部材の一端の連結位置よりも下方に設けられて押し下げ操作した操作レバーが当接し、その当接状態で、操作レバーの中心線をリンク部材の一端の連結位置よりも下方へ位置させるストッパ部材と、を含んでなることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、アーム部材の背面に、操作レバーをアーム部材に沿った姿勢で保持する保持機構を設けたことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成において、保持機構を、アーム部材の背面に設けられて操作レバー側へ突設されるボールを、リンク部材の他端と操作レバーの中間部とを連結するボルトの頭部に嵌合させて形成したことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、アーム部材を起立姿勢へ回転付勢する付勢手段を設けたことを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、後方への倒伏位置と前方への起立位置との間で起伏動作する複数の防水扉を併設してなる防水扉装置であって、隣接する防水扉の間に、請求項1乃至5の何れかに記載の防水扉のシール機構を設けたことを特徴とするものである。
請求項1及び6に記載の発明によれば、簡単な構成で大きな押圧力が得られて確実なシールが可能となる。また、現場での押圧力の調整も容易に行えるため、余計な手間やコストが掛からない。さらに、シール機構は防水扉とは別体のアーム部材に専ら設けられるため、防水扉を起立させる順序を規制しない。よって、防水扉の迅速な起立も確保できる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、押圧手段を簡単に形成できると共に、押圧力の調整も容易に行え、製作精度を上げる必要がない。よって、コストの低減に繋がる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、保持機構の採用により、操作レバーの操作がしやすくなる上、防水扉の倒伏時に操作レバーやリンク部材等が破損するおそれも低減される。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加えて、リンク部材と操作レバーとを連結するボルトを利用して保持機構が簡単に形成できる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかの効果に加えて、付勢手段の採用により、アーム部材を防水扉の起立と共に自動的に起立させることができ、迅速な設営が可能となる。また、押圧手段を解除した際にアーム部材が自重で倒伏することも防止できる。
防水扉装置の平面図である(防水扉は倒伏位置)。 防水扉装置の平面図である(防水扉は起立位置)。 図2のA−A線断面図である。 図2のB−B線断面図である。 図3のC−C線断面図である。 図3のD−D線断面図である。 シール機構の一部を示す斜視図である。 シール機構の断面説明図である。 図8のストッパボルト部分での断面説明図である。 操作レバーを保持させた状態の断面説明図である。 (a)〜(e)はシール機構の操作手順を示す説明図である。 ストッパボルトのカラーを変更した例を示す説明図である。 押圧手段の変更例の説明図である。 防水扉装置の変更例の平面図である(防水扉は起立位置)。 (a)は図14のE部拡大図、(b)はF部拡大図である。 防水扉装置の変更例の平面図である(防水扉は倒伏位置)。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜5に防水扉装置の一例を示す。この防水扉装置1は、地面に埋設される左右方向に横長で箱状のケース2と、そのケース2内の前端(図1,2の上側を前方とする。)で基端部が左右一対のヒンジ軸4,4によって軸着される左右一対の防水扉3,3とを備える。防水扉3は、ヒンジ軸4を中心として、ケース2の上端で水平姿勢となる倒伏位置と、ケース2の前端で垂直姿勢となる起立位置との間で倒伏可能となっている。5,5は、ケース2上に設けられてヒンジ軸4を支持するヒンジ台、6,6は、ケース2の前端左右に立設される当接枠で、各防水扉3において当接枠6に隣接する端縁には、起立位置で当接枠6の背面に当接するシール部材7が設けられている。
防水扉3は、起立位置でケース2の前壁2aより後方に位置する基端部8と、その基端部8の上端から前方へL字状に折曲されて前壁2aより前方に位置する扉部9とからなる。よって、防水扉3の倒伏位置では、ケース2の上面よりも下方に基端部8が没入することになるが、この倒伏位置では図1に示すように、基端部8の上方を塞いで扉部9と面一となる蓋部材10,10・・が設けられている。
また、基端部8の前面には、図6,7に示すように、下端に沿って接着され、端部で上向きに立ち上がって扉部9の下面に当接する帯状の下シール部材11が設けられている。各下シール部材11の立ち上がり部の前面には、扉部9,9の隙間と略同じ間隔をおいて板状の前シール部材12が接着されている。この下シール部材11の立ち上がり部及び前シール部材12は、防水扉3の起立位置で前壁2aの上端裏面に設けた裏シール部材13に圧接するものである。
さらに、防水扉3の背面とケース2の底面との間には、保持機構であるチェーン14とロックアーム15とが設けられている。まずチェーン14は、図4に示すように、一端が防水扉3の背面に、他端がケース2の底面にそれぞれ連結されて、防水扉3の前方への回転を規制している。チェーン14は、両防水扉3,3の隣接する端部寄りで一つずつ設けられている。
一方、ロックアーム15は、各防水扉3に左右一対ずつ設けられ、図5に示すように、中間部が軸17によって回転可能に連結される一対のアーム16,16からなる。ロックアーム15は、一方のアーム16の上端を防水扉3の背面に、他方のアーム16の下端をケース2に軸着して、防水扉3の起立位置では、直線状となって防水扉3の姿勢を保持し、防水扉3の倒伏位置では、軸17を中心に二つ折りとなってケース2の底面に沿って収納される。18は、上側のアーム16に設けられた取手で、防水扉3を倒伏させる際には取手18によって持ち上げながらロックアーム15を屈曲させて突っ張りを解除する。
さらに、防水扉3の背面とケース2の底面との間には、図3にも示すように、ガススプリング19,19・・が架設されている。このガススプリング19は、伸長方向へ付勢されて防水扉3の起立動作を補助するもので、ここでは防水扉3の背面への取付位置とケース2の底面への取付位置との何れかを互いに異ならせた3つのガススプリング19,19・・の群を、各防水扉3に左右一対ずつ設けている。
そして、防水扉装置1には、起立位置で両防水扉3,3の間をシールするシール機構20が設けられている。以下、シール機構20について詳細に説明する。
図6〜8にも示すように、まず両防水扉3,3の扉部9には、隣接する端縁に沿って突条部21,21が一体に固着されている。この突条部21は、扉部9よりやや低い位置から、扉部9の下端に達する長さを有する平面視矩形状の棒状体で、後面は、防水扉3の起立位置でケース2の前壁2aの背面の延長上に位置している。また、突条部21,21の相対向する側面の間隔は、扉部9,9の間の隙間よりもやや広くなっている。さらに、各突条部21の対向面と逆側の側面には、ネジ孔22が直交状に形成されて、右側のネジ孔22には、被係止部としての六角ボルト23が螺合されている。
一方、両防水扉3,3の間でケース2の底面には、アーム部材24が連結されている。このアーム部材24は、ケース2の底面上に突設した支持台25に、左右方向の支軸26によって軸着される棒状体である。また、アーム部材24は、倒伏位置の防水扉3より下方で横向きとなる倒伏姿勢(図6の二点鎖線位置)と、起立位置の両防水扉3,3の間の後方で立ち上がる起立姿勢(図6の実線位置)との間で回転可能で、その背面と支持台25の背面との間に架設された付勢手段としてのガススプリング27により、起立姿勢側へ付勢されている。この起立状態で、アーム部材24の上端は突条部21と略同じ高さとなる。
さらに、アーム部材24の前面には、平面視コ字状の保持具28を介して止水部材としての止水ゴム29が保持されている。この止水ゴム29は、前面が保持具28よりも前方へ突出する横断面矩形状で、上端は突条部21の上端と略一致し、下端は、突条部21の下端を越えて防水扉3の基端部8の下端まで達する長さとなっている。
加えて、アーム部材24の側面において、起立姿勢で突条部21の六角ボルト23より上方位置には、図8に示すように、リンク部材としてのリンクプレート30の一端が、外側から挿入されるピン31によって回転可能に軸着されている。32は、アーム部材24の背面から螺合されてピン31に抜け止め係止される止めネジである。
リンクプレート30の他端でその外側には、内側から圧入されるリーマボルト33によって操作レバー34の中間部が回転可能に軸着されている。この操作レバー34は、リンクプレート30よりも長い棒状体で、一端には、突条部21に螺合させた六角ボルト23に係止可能なフック35を備えている。
さらに、アーム部材24の側面で六角ボルト23よりも下方位置には、図9に示すように、カラー37を外装させたストッパ部材としてのストッパボルト36が螺合されている。このストッパボルト36は、六角ボルト23にフック35を係止させた操作レバー34の下限位置を規制するストッパとなる。
一方、アーム部材24の背面には、図10に示すように、プランジャ39を収容したブロック38がボルトで固着されている。このプランジャ39は、先端に設けたボール40をブロック38の側面から突出させた状態で保持されるもので、操作レバー34をアーム部材24に沿って起立させた際、ボール40にリーマボルト33の頭部に設けた六角孔33aが嵌合して、図11(a)にも示すように操作レバー34の起立姿勢を保持するようになっている。なお、リンクプレート30には、操作レバー34が起立姿勢となる際にストッパボルト36との干渉を防止する切欠き41が形成されている。
以上の如く構成された防水扉装置1においては、防水扉3,3を使用しない状態では、シール機構20の操作レバー34をアーム部材24に沿った姿勢として、前述のようにプランジャ39のボール40にリーマボルト33の六角孔33aを嵌合させる。よって、防水扉3,3の倒伏位置では、図6に二点鎖線で示すように、操作レバー34が邪魔になることがなく、アーム部材24も防水扉3の下方で倒伏姿勢となる。
ここから防水扉3,3を使用する際には、蓋部材10を取り外して防水扉3,3の上端を引き上げるようにして起立させる。すると、チェーン14及びロックアーム15が伸長して防水扉3,3が起立位置で保持されると共に、防水扉3,3の外側端縁のシール部材7が当接枠6に当接する。
防水扉3,3が起立すると、図11(a)に示すように、ガススプリング27の付勢によってアーム部材24が起立し、止水ゴム29を突条部21,21の背面に跨って当接させる。但しここでは、アーム部材24が突条部21と平行となる鉛直姿勢で、突条部21,21の背面と保持具28の前端との間の水平距離は、保持具28から突出する止水ゴム29の突出量よりも小さく設定されているため、アーム部材24の起立姿勢では、止水ゴム29の下方部分が先に突条部21,21に当接し、アーム部材24はやや後方へ傾いた状態となる。
ここで操作レバー34をボール40から外してフック35を前方に向けて回転させ、図11(b)(c)に示すように六角ボルト23に上方から係止させる。この状態で操作レバー34は後方斜め上方へ突出する傾斜姿勢となり、リンクプレート30も上端をアーム部材24の後方へ突出させる傾斜姿勢となる。
ここから操作レバー34の後端を下方へ押し下げると、図11(d)に示すように操作レバー34が六角ボルト23を中心に回転し、リーマボルト33を下方へ移動させてリンクプレート30を回転させる。六角ボルト23とリーマボルト33との間の距離は変化しないので、リンクプレート30のピン31側の端部が前方へ移動してアーム部材24を前方へ押圧することになる。よって、止水ゴム29が両突条部21,21に押圧されて圧縮され、上下全長に亘って両突条部21,21へ圧接してアーム部材24は鉛直姿勢となる。この押圧力は、図11(d)に示すように操作レバー34とリンクプレート30とが同一直線上に重なる状態で最大となる。
さらに操作レバー34を下方へ押し下げて、ストッパボルト36に当接すると、図11(e)に示すように、操作レバー34は後端が前端よりもやや下がった傾斜姿勢で停止する。このときリンクプレート30は、ピン31側の端部が操作レバー34の中心線よりも上方に位置して操作レバー34よりも角度の大きい下向き傾斜姿勢となるため、操作レバー34の上方への回転が規制される。なお、この位置でも止水ゴム29が上下全長に亘って両突条部21,21に圧接する状態は変わらないため、両突条部21,21間の隙間は止水ゴム29によってシールされることになる。
なお、この押圧力は、リンクプレート30の長さを変えたり、ストッパボルト36に外装させるカラー37の径を変えたりすることで容易に調整できる。図12はカラー37の径を大きくした例で、この場合、押し下げ操作する操作レバー34の下限位置が図11(e)よりも上方となり、リンクプレート30と重なる図11(d)の姿勢へ近づくため、押圧力は大きくなる。逆にカラー37の径を小さくすれば押圧力は小さくなる。リンクプレートの場合は長くすると押圧力が大きくなる。
一方、扉部9の下側で止水ゴム29は、前シール部材12,12及び裏シール部材13に跨って前壁2aの背面を押圧するため、両扉部9,9と前壁2aとの間はシールされる。
そして、シールを解除する場合は、上記手順と逆に、操作レバー34の後端を上方へ押し上げてアーム部材24の押圧を解除し、フック35を六角ボルト23から取り外せばよい。
続いて防水扉3,3を倒伏させる場合は、操作レバー34をアーム部材24に沿った保持姿勢にした後、ロックアーム15の伸長を解除して防水扉3,3を後方へ倒せば、アーム部材24もガススプリング27の付勢に抗して突条部21,21に押されて倒伏姿勢へ回転することになる。
このように、上記形態の防水扉3,3のシール機構20及び防水扉装置1によれば、防水扉3,3の端縁に、起立位置で所定の隙間をおいて互いに近接する突条部21,21をそれぞれ形成する一方、突条部21,21の背面側に、突条部21,21に沿って立設する起立姿勢と、倒伏位置の防水扉3より下方で倒伏する倒伏姿勢との間で回転可能で、起立姿勢で一対の突条部21,21に跨って当接する止水ゴム29を備えたアーム部材24を設け、アーム部材24に、当該アーム部材24の起立姿勢で突条部21,21と係止させてアーム部材24を突条部21,21側へ付勢し、止水ゴム29を突条部21,21の全長に亘って押圧させる押圧手段(リンクプレート30、操作レバー34、ストッパボルト36等)を設けたことで、簡単な構成で大きな押圧力が得られて確実なシールが可能となる。また、現場での押圧力の調整も容易に行えるため、余計な手間やコストが掛からない。さらに、シール機構20は防水扉3,3とは別体のアーム部材24に専ら設けられるため、防水扉3,3を起立させる順序を規制しない。よって、防水扉3,3の迅速な起立も確保できる。
特にここでは、押圧手段を、アーム部材24の側面へ一端が回転可能に連結されるリンクプレート30と、そのリンクプレート30の他端へ中間部が回転可能に連結され、一端に、突条部21の側面に設けられた六角ボルト23へ係脱可能なフック35を備え、フック35を六角ボルト23へ係止させた状態で他端を下方へ押し下げ操作することで、リンクプレート30を介してアーム部材24を突条部21側へ付勢する操作レバー34と、アーム部材24の側面でリンクプレート30の一端の連結位置よりも下方に設けられて押し下げ操作した操作レバー34が当接し、その当接状態で、操作レバー34の中心線をリンクプレート30の一端の連結位置よりも下方へ位置させるストッパボルト36と、を含んでなる構成としているので、押圧手段を簡単に形成できると共に、押圧力の調整も容易に行え、製作精度を上げる必要がない。よって、コストの低減に繋がる。
また、アーム部材24の背面に、操作レバー34をアーム部材24に沿った姿勢で保持する保持機構を設けたことで、操作レバー34の操作がしやすくなる上、防水扉の倒伏時に操作レバー34やリンクプレート30等が破損するおそれも低減される。
さらに、保持機構を、アーム部材24の背面に設けられて操作レバー34側へ突設されるボール40を、リンクプレート30の他端と操作レバー34の中間部とを連結するリーマボルト33の頭部に嵌合させて形成したことで、リーマボルト33を利用して保持機構が簡単に形成できる。
そして、アーム部材24を起立姿勢へ回転付勢する付勢手段(ガススプリング27)を設けたことで、アーム部材24を防水扉3の起立と共に自動的に起立させることができ、迅速な設営が可能となる。また、押圧手段を解除した際にアーム部材24が自重で倒伏することも防止できる。
なお、上記形態では、左右一対の防水扉を備えた防水扉装置において適用したシール機構を説明しているが、防水扉が3つ以上併設されるものや、防水扉の長さが異なるものであっても、隣接する各防水扉の間にシール機構を設ければよい。
また、押圧手段の構成も、突条部の反対側の側面に設けるのは勿論、被係止部としてボルト以外にピンや突起を採用したり、ストッパ部材をカム形状にして、カムの向きの変更によって操作レバーの下限位置を変更して押圧力の調整を可能としたり等、適宜変更可能である。
勿論リンク部材や操作レバーの採用に限らず、他の構造も採用できる。例えば図13は、上端にクランプレバー44を設けた別体のアーム部材24を用いる例を示している。このアーム部材24は、ケース2内で突条部21,21の下方に設けた支点ピン42に、下端に設けた支点溝43を後方斜め上から嵌合させることで、アーム部材24を支点ピン42を中心に前後へ揺動可能としている。クランプレバー44は、一端が保持具28の側面へ回転可能に連結されるコ字状のクランプ部45と、そのクランプ部45から突設されるレバー部46とからなる鍵状となっている。
よって、この構造では、二点鎖線で示すように別体のアーム部材24を支点ピン42に結合させて前方へ倒し、止水ゴム29を突条部21(ここでの突条部21は防水扉3よりも高く形成されている)に当接させた状態で、レバー部46を把持してクランプレバー44を前方へ倒すと、クランプ部45内に突条部21,21が嵌合して止水ゴム29が突条部21,21の背面に押圧される。クランプ部45の他端には、倒した状態で突条部21,21の前面に当接するローラ47が設けられる一方、突条部21,21の上端前面には、ローラ47の移動を案内する面取部48が形成されている。
このように、図13の例においても、簡単な構成で大きな押圧力が得られて確実なシールが可能となる。
一方、防水扉が同じ方向に併設される防水扉装置に限らず、起立位置で平面視が直交状となるように防水扉が設置されてコーナー部を形成する場合でも本発明は適用可能である。図14はその一例を示すもので、ここでは建物のコーナー部に形成される出入口50に対し、出入口50に対向する1つの防水扉3Aと、当該防水扉3Aに直交する3つの防水扉3B〜3Dとからなる平面視L字状の防水扉装置1Aが設置されている。51は、建物側に設けられた当接枠である。
このうち防水扉3B〜3Dの間に生じる2つの隙間は、先の形態と同じ構造のシール機構20が適用されるが、互いに直交する防水扉3Aと3Bとの隙間では、図15(a)に示すように、防水扉3Aの背面に、防水扉3Bを越えて当該防水扉3Bの後方へ突出する突条部21Aが固着されて、防水扉3Bの背面に設けた突条部21と隣接している。この一対の突条部21A,21に対してシール機構20を設けることで、止水ゴム29によって突条部21A,21の隙間を閉塞することができる。一方、当接枠51と隣接する防水扉3Dにおいては、同図(b)に示すように、防水扉3Dの背面に、当接枠51と面一となる突条部21が連結されて、突条部21と当接枠51とに対してシール機構20を設けることで、止水ゴム29によって突条部21と当接枠51との隙間を閉塞することができる。
このように、図14,15のような防水扉装置1Aによれば、コーナー部においても簡単な構成で大きな押圧力が得られて確実なシールが可能となる。
なお、直交状となる防水扉の設置は、図14,15のような1箇所に限らない。例えば図16に示すような建物の風除室52に対して設置する場合は、防水扉3A〜3Eをコ字状に配置して、コーナー部を形成する防水扉3A,3Bと、防水扉3D,3Eとの間のシールは、図14,15のように一方の突条部21Aを延設して他方の突条部21に近接させることで、シール機構が適用できる。
1,1A・・防水扉装置、2・・ケース、2a・・前壁、3,3A〜3E・・防水扉、4・・ヒンジ軸、8・・基端部、9・・扉部、11・・下シール部材、12・・前シール部材、13・・裏シール部材、14・・チェーン、15・・ロックアーム、20・・シール機構、21,21A・・突条部、23・・六角ボルト、24・・アーム部材、26・・支軸、27・・ガススプリング、28・・保持具、29・・止水ゴム、30・・リンクプレート、31・・ピン、33・・リーマボルト、34・・操作レバー、35・・フック、36・・ストッパボルト、37・・カラー、40・・ボール、42・・支点ピン、43・・支点溝、44・・クランプレバー。

Claims (6)

  1. 倒伏位置と起立位置との間で起伏動作可能な複数の防水扉を併設してなる防水扉装置において、隣接する前記防水扉の間をシールするシール機構であって、
    前記隣接する前記防水扉の端縁に、前記起立位置で所定の隙間をおいて互いに近接する突条部をそれぞれ形成する一方、
    前記近接する両突条部の背面側に、前記両突条部に沿って立設する起立姿勢と、前記倒伏位置の前記防水扉より下方で倒伏する倒伏姿勢との間で回転可能で、前記起立姿勢で前記両突条部に跨って当接する止水部材を備えたアーム部材を設け、
    前記アーム部材に、当該アーム部材の起立姿勢で前記突条部と係止させて前記アーム部材を前記両突条部側へ付勢し、前記止水部材を前記両突条部の全長に亘って押圧させる押圧手段を設けたことを特徴とする防水扉のシール機構。
  2. 前記押圧手段は、前記アーム部材の側面へ一端が回転可能に連結されるリンク部材と、そのリンク部材の他端へ中間部が回転可能に連結され、一端に、前記突条部の側面に設けられた被係止部へ係脱可能なフックを備え、前記フックを前記被係止部へ係止させた状態で他端を下方へ押し下げ操作することで、前記リンク部材を介して前記アーム部材を前記突条部側へ付勢する操作レバーと、前記アーム部材の側面で前記リンク部材の一端の連結位置よりも下方に設けられて押し下げ操作した前記操作レバーが当接し、その当接状態で、前記操作レバーの中心線を前記リンク部材の一端の連結位置よりも下方へ位置させるストッパ部材と、を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の防水扉のシール機構。
  3. 前記アーム部材の背面に、前記操作レバーを前記アーム部材に沿った姿勢で保持する保持機構を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の防水扉のシール機構。
  4. 前記保持機構を、前記アーム部材の背面に設けられて前記操作レバー側へ突設されるボールを、前記リンク部材の他端と前記操作レバーの中間部とを連結するボルトの頭部に嵌合させて形成したことを特徴とする請求項3に記載の防水扉のシール機構。
  5. 前記アーム部材を前記起立姿勢へ回転付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の防水扉のシール機構。
  6. 後方への倒伏位置と前方への起立位置との間で起伏動作する複数の防水扉を併設してなる防水扉装置であって、
    隣接する前記防水扉の間に、請求項1乃至5の何れかに記載の防水扉のシール機構を設けたことを特徴とする防水扉装置。
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