JP2013018797A - 眼科用剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期保存においても光安定性の高いプラノプロフェン含有眼科用剤を提供する。
【解決手段】プラノプロフェン及びクロモグリク酸ナトリウムを含む水溶液に、エデト酸塩類、クエン酸、クエン酸塩からなる群から選ばれる1種以上を添加することによって、プラノプロフェンの光安定性を向上させた眼科用剤を提供する。長期保存においても光劣化による着色や濁りが発生しない、安定した品質を保つ眼科用剤を提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、プラノプロフェン及びクロモグリク酸ナトリウムを含有する眼科用剤に関し、更に詳しくはエデト酸塩類及びクエン酸又はその塩を含有する眼科用剤に関する。
プラノプロフェンはプロピオン酸系の酸性非ステロイド系抗炎症化合物であり、眼科用としては外眼部及び前眼部における角結膜炎等の炎症疾患に対して有用で、点眼剤の形態で実用に供されている。例えば、クロモグリク酸を配合することによってプラノプロフェンの抗炎症作用を増強させる方法(特許文献1参照)が提案されている。
また、プラノプロフェンは水溶液状態では、不安定であり、特に光に対しては長期保存中に徐々に分解されてしまうという問題がある。この光安定性の低さを改善するために種々の試みがなされている。例えば、酸化防止剤を配合する方法(特許文献2参照)や、サルファ剤を配合し光劣化を抑制する方法(特許文献3参照)や、容器を遮光容器にする方法(非特許文献1参照)等が提案されている。
特開2002−193805号公報 特許第3021312号公報 国際公開第01/87303号公報
医薬品研究,vol.7,No2,200−210,1976
特許文献1に記載の発明はプラノプロフェンの抗炎症効果を増強することができるが、プラノプロフェンの安定性については言及されていない。
本発明者らによる研究の結果、クロモグリク酸を配合することによって、プラノプロフェンの安定性を高め、光劣化による沈殿を抑制する効果があることがわかった。しかし、クロモグリク酸のみでは十分な安定性を確保することができず、光により着色してしまうという知見も得られている。
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、プラノプロフェンを含有した眼科用剤において、プラノプロフェンをより安定な状態で存在させることが可能な眼科用剤を提供することを目的とする。
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) プラノプロフェンと、クロモグリク酸ナトリウムと、を含む眼科用剤であって、上記眼科用剤は、エデト酸塩類、クエン酸、クエン酸塩からなる群から選ばれる1種以上を含む眼科用剤(但し、ソルビン酸又はその塩0.001w/v%から2w/v%、及び非イオン界面活性剤0.001w/v%から2w/v%を配合した場合を除く)。
(2) 上記エデト酸塩類は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム又はエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムである(1)に記載の眼科用剤。
(3) 上記プラノプロフェンを0.005w/v%から0.2w/v%、クロモグリク酸ナトリウムを0.05w/v%から3.0w/v%、エデト酸塩類を0.0001w/v%から0.15w/v%、クエン酸又はその塩を0.005w/v%から1.0w/v%含有する(1)又は(2)に記載の眼科用剤。
本発明の眼科用剤によれば、プラノプロフェン及びクロモグリク酸ナトリウムを含む水溶液にエデト酸塩類及びクエン酸又はその塩を添加させることによって、プラノプロフェンの光安定性を向上させることが可能となった。これによって長期保存においても一定の品質を保つ眼科用剤を提供することが可能となった。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明に係る眼科用剤は「プラノプロフェン」を含有する。「プラノプロフェン」とは、α−メチル−5H−〔1〕ベンゾピラノ〔2,3−b〕ピリジン−7−酢酸といい、下記の構造式で示される。プラノプロフェンは、インドメタシンに代表される非ステロイド性鎮痛消炎剤の1つであり、シクロオキシゲナーゼを阻害し、炎症の原因物質プロスタグランジンの生成を抑制することで炎症部位の消炎鎮痛作用を示す物質である。また、プロピオン酸系の非ステロイド性抗炎症剤であり、インドメタシン等に比べて副作用の少ないのが特長である。医療用としては、ニフラン(登録商標)の販売名で市販されている。
本発明に係る点眼液の主薬であるプラノプロフェンの使用濃度は症状に応じて適宜選択することができるが、0.005〜0.2w/v%であることが好ましく、0.025〜0.1w/v%であることが更に好ましい。
Figure 2013018797
また、本発明に係る眼科用剤は「クロモグリク酸ナトリウム」を含有する。「クロモグリク酸ナトリウム」とは、抗アレルギー薬の1つで生薬成分のケリンを原型物質として開発されたものであり、下記の構造式で示される。IgE型抗原抗体反応による肥満細胞からのヒスタミン、セロトニン等の化学媒介物質の放出を特異的に抑制することによって作用を発現している。経口的には吸収されないため、ぜん息、アレルギー性鼻炎に際しては粉末状の薬剤を直接吸入するという方法が採られている。
Figure 2013018797
クロモグリク酸ナトリウムの使用濃度は症状に応じて適宜選択することができるが、0.05〜3.0w/v%であることが好ましく、0.01〜2.0w/v%であることが更に好ましい。
更にまた、本発明に係る眼科用剤は「エデト酸塩類」を含有する。「エデト酸塩類」とは、エチレンジアミンテトラアセタト錯体の1種であり、本発明においてはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム又はエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムをいう。
エチレンジアミンテトラアセタト錯体は、エチレンジアミン四酢酸(配位子としての記号edta)又はそのイオンHedta(4−n)−(n=0〜4)を配位子とする錯体をいう。1価イオンを除くほとんどすべての金属イオンで安定な錯体を形成するため、ゴムやアスコルビン酸(ビタミンC)の酸化防止や、ペプチドの加水分解を防ぐ目的で、ゴム製品、織物、医薬品等の添加剤に用いられている。
エデト酸塩類の使用濃度は必要に応じて適宜選択することができるが、0.0001〜0.15w/v%であることが好ましく、0.001〜0.1w/v%であることが更に好ましい。また、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム(以下、EDTA−2Na)を形成する。なお、EDTA−2Naは下記の構造式で示される。
Figure 2013018797
更にまた、本発明に係る眼科用剤は「クエン酸又はその塩」を含有する。「クエン酸」とは、ヒドロキシトリカルボン酸の1つをいい、下記の構造式で示される。シトロン、ダイダイ、ミカン等の果実中に遊離して存在し、これから抽出及び製造される。クエン酸は主として清涼飲料水に使用されるが、生理的にはトリカルボン酸サイクル(TCAサイクル)を構成する物質の1つである。
クエン酸の塩には、正塩(M)の他、水素塩(MHC,MH)が知られている。アルカリ金属塩は水に可溶であり、カリウム塩やナトリウム塩が広く用いられている。本発明における「クエン酸の塩」は特に限定されないが、ナトリウム塩であるクエン酸ナトリウムを用いることが好ましい。
Figure 2013018797
クエン酸又はその塩の使用濃度は必要に応じて適宜選択することができるが、0.005〜1.0w/v%であることが好ましく、0.01〜0.5w/v%であることが更に好ましい。
本発明に係る眼科用剤には更に緩衝剤、等張化剤、溶解補助剤、保存剤、粘稠剤、pH調整剤のような各種の添加剤を適宜添加してもよい。
緩衝剤としては、例えばリン酸塩緩衝剤(リン酸二水素ナトリウム−リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム−水酸化カリウム)、ホウ酸緩衝剤(ホウ酸−ホウ砂)、酒石酸塩緩衝剤(酒石酸−酒石酸ナトリウム)、アミノ酸(グルタミン酸ナトリウム、イプシロンアミノカプロン酸)等が挙げられる。
等張化剤としては、ソルビトール、グルコース、マンニトール等の糖類、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール類、塩化ナトリウム、ホウ砂等の塩類、ホウ酸等が挙げられる。
溶解補助剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等の第四級アンモニウム塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、ソルビン酸及びそれらの塩、チメロサール、クロロブタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム等が挙げられる。
粘稠剤としては、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそれらの塩等が挙げられる。
pH調整剤としては、塩酸、リン酸、酢酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明に係る眼科用剤は、点眼剤、洗眼剤等として使用される。点眼剤として用いる場合、pHは5.0〜8.5であることが好ましく、5.0〜7.0であることが更に好ましい。また洗眼剤として用いる場合、pHは5.5〜8.0であることが好ましく、5.5〜7.0であることが更に好ましい。
本発明に係る眼科用剤は、従来の方法で点眼剤又は洗眼剤として調製することができる。点眼剤は1日数回、1回1滴から数滴投与することができる。また、洗眼剤は1日数回、目の洗浄をすることができる。
以下に、本発明に係る眼科用剤の製剤処方例を示すが、これらの例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
〔実施例1〕
以下に本発明に係る眼科用剤の製造工程を示す。なお、本実施例では点眼剤として用いている。
精製水(85mL)にホウ砂、ポリソルベート80、プラノプロフェンを溶解後、クロモグリク酸ナトリウム及びEDTA−2Na他各成分を添加し、溶解させ、希塩酸でpHを5.8に調節した後、全量を100mLとした。このときの水溶液の外観は無色透明であった。
〔実施例2〕
実施例1の眼科用剤に添加したEDTA−2Naの代わりにクエン酸及びクエン酸ナトリウムを添加させた眼科用剤を本実施例における眼科用剤とした。
〔比較例1〕
本発明の比較例として、プラノプロフェンのみを添加させた眼科用剤を作成した。
〔比較例2〕
また比較例2として、比較例1のプラノプロフェンの代わりにクロモグリク酸ナトリウムのみを添加させた眼科用剤を作成した。
〔比較例3〕
また比較例3として、比較例1にクロモグリク酸ナトリウムを添加させた眼科用剤を作成した。
〔比較例4〕
また比較例4として、比較例1にEDTA−2Na、ホウ酸、塩化ベンザルコニウムを添加させた眼科用剤を作成した。
〔実施例3〕
上記の眼科用剤を無色のガラス瓶に入れ、3000ルクスのもと6日間放置し、その外観観察を行なった。このときの結果を表1に示す。
Figure 2013018797

Claims (3)

  1. プラノプロフェンと、クロモグリク酸ナトリウムと、を含む眼科用剤であって、
    前記眼科用剤は、エデト酸塩類、クエン酸、クエン酸塩からなる群から選ばれる1種以上を含む眼科用剤(但し、ソルビン酸又はその塩0.001w/v%から2w/v%、及び非イオン界面活性剤0.001w/v%から2w/v%を配合した場合を除く)。
  2. 前記エデト酸塩類は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム又はエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムである請求項1に記載の眼科用剤。
  3. 前記プラノプロフェンを0.005w/v%から0.2w/v%、クロモグリク酸ナトリウムを0.05w/v%から3.0w/v%、エデト酸塩類を0.0001w/v%から0.15w/v%、クエン酸又はその塩を0.005w/v%から1.0w/v%含有する請求項1又は2に記載の眼科用剤。
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