JP2013014070A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】使用材料の数を増やすことなく、記録素子基板の電気接続部を保護する封止剤が所定領域にのみ塗布されたインクジェット記録ヘッドを実現する。
【解決手段】凹部120が形成された支持部材103、凹部120に収容された記録素子基板101および支持部材103に固定された電気配線部材102を有する記録ヘッドであって、電気配線部材102には、基板101が露出する開口部104の縁から該開口部104の内側へ向けて伸びて基板101の電極パッド204に接合されている電極リードと、開口部104の縁から該開口部104の内側へ向けて伸びており、先端が凹部底面108に接している突出部302とが設けられており、凹部底面108、これに対向する突出部302の裏面、基板101の側面、これに対向する凹部内側面110によって囲まれた空間に、電極パッド204と電極リード105の接合部を被覆する封止剤130が充填されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、記録紙等の被記録媒体に対してインクを吐出するインクジェット記録ヘッドとその製造方法に関する。
インクジェット記録ヘッド(以下「記録ヘッド」と呼ぶ場合もある。)は、電気熱変換素子やインク室等が設けられた記録素子基板と、該記録素子基板と記録装置本体とを電気的に接続するフレキシブルフィルム配線基板とを有する。さらに、記録素子基板やフレキシブル配線基板を支持するための支持部材も有する。一般的に、記録素子基板やフレキシブル配線基板は、支持部材に貼り付けられ、該支持部材によって支持される。さらに、フレキシブルフィルム配線基板から伸びている複数の電極リードが記録素子基板に設けられている電極パッドに重ねられて接合されており、その接合部を含む電極リードおよび電極パッドは封止剤により封止されている。
従来、電極リードの表面側と裏面側は異なる封止剤で封止されている。具体的には、支持部材に形成されている凹部の内面と、該凹部内に収容されている記録素子基板の側面との間の隙間に、第一の封止剤が充填されている。この第一の封止剤は、電極リードの裏面側などの狭い隙間にも入り込むことが可能な流動性を持つ一方、硬化後には弾性を有する。このような第一の封止剤を充填することで、電極リードの裏面側が被覆される。さらに、電極パッドとの接合部を含む電極リードの表面側には、第二の封止剤が塗布されている。この第二の封止剤は、硬化後に強固な接着力を有し、かつ硬く、また塗布形状を保持する。このような第二の封止剤を塗布することで、ワイピング等の外力から電極リード、電極パッドおよびそれらの接合部を保護することができる。以下の説明では、電極リード、電極パッドおよびそれらの接合部を「電気接続部」と総称する場合がある。
ただし、記録素子基板の外周部のうち、電気接続部以外の部分には、封止剤がなるべく接触していない方が好ましい。換言すれば、記録素子基板外周部の所定領域にのみ封止剤が塗布されていることが好ましい。その理由の一つは、環境変化等によって封止剤が膨張したり収縮したりすると、記録素子基板に無用な外力が作用するからである。特に、記録ヘッドを小型化するために記録素子基板のサイズを縮小すると、上記外力によって記録素子基板が変形したり、インクの吐出不良が発生したり、インク滴の着弾位置精度が低下したりすることが懸念される。
ここで、電気接続部の封止に、上記第一の封止剤のような流動性の高い封止剤を用いると、所定領域以外の領域に封止剤が流出してしまう。一方、上記第二の封止剤のような粘度の高い封止剤を用いると、電気接続部を完全に被覆することができない。
そこで、特許文献1には、流動性を有する封止剤を用いつつ、所定領域以外の領域への封止剤の流出を回避すべく、接着剤で壁を作る方法が開示されている。具体的には、記録素子基板外周部のうち、電気接続部が形成されている領域とそれ以外の領域との間に、両者を隔てる壁を形成した上で、封止剤を塗布することが開示されている。
米国特許第7240991号明細書
特許文献1に開示されている技術では、封止剤とは別の接着剤を用いて封止剤の流出を防止するための壁を形成する必要があるので、使用材料の数が増える。また、接着剤を塗布する工程や塗布した接着剤を硬化させる工程が必要になるので、製造工程数が増加し、製造コストがアップする懸念もある。
そこで本発明の目的は、使用材料の数を増やすことなく、記録素子基板の電気接続部を保護する封止剤が所定領域にのみ塗布されたインクジェット記録ヘッドおよびその製造方法を提供することである。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、支持部材に形成された凹部の底面上に配置されている記録素子基板が、前記支持部材の前記凹部が形成されている面に接合されている電気配線部材の開口部から露出しているインクジェット記録ヘッドにおいて、前記記録素子基板の少なくとも一辺に、該一辺に沿って配置された複数の電極パッドと、前記電極パッドが配置されている前記記録素子基板の前記一辺に対向する前記電気配線部材の前記開口部の一辺から伸びており、前記電極パッドにそれぞれ接続されている複数の電極リードと、前記電極リードが伸びている前記開口部の前記一辺または他の辺から、前記記録素子基板の前記電極パッドが配置されていない辺と該辺に対向する前記凹部の内側面との間の隙間に伸びている突出部とを有する。そして、前記突出部の先端は、前記凹部の前記底面に接しており、前記凹部の前記底面、該底面に対向する前記突出部の裏面、前記凹部の前記内側面および該内側面に対向する前記記録素子基板の側面によって囲まれた空間に、前記電極パッドと前記電極リードの接合部を被覆する第一の封止剤が充填されている。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、支持部材に形成された凹部の底面上に配置されている記録素子基板が、前記支持部材の前記凹部が形成されている面に接合されている電気配線部材の開口部から露出しているインクジェット記録ヘッドの製造方法である。そして、前記記録素子基板の少なくとも一辺に該一辺に沿って配置されている複数の電極パッドに、前記電極パッドが配置されている前記記録素子基板の前記一の辺に対向する前記電気配線部材の前記開口部の一辺から伸びている複数の電極リードをそれぞれ接合する工程と、前記電極リードが伸びている前記開口部の前記一辺または他の辺から、前記記録素子基板の前記電極パッドが配置されていない辺と該辺に対向する前記凹部の内側面との間の隙間に伸びている突出部を、該突出部の先端が前記凹部の前記底面に接するように曲げる工程と、前記凹部の前記底面、該底面に対向する前記突出部の裏面、前記凹部の前記内側面および該内側面に対向する前記記録素子基板の側面によって囲まれた空間に第一の封止剤を充填して前記電極パッドと前記電極リードの接合部を被覆する工程とを有する。
本発明によれば、従来に比べて使用材料の数を増やすことなく、封止剤が所定領域にのみ塗布されたインクジェット記録ヘッドを提供することができる。その結果、記録素子基板に封止剤の膨張や収縮による無用な外力が作用する可能性が低減し、インク吐出不良や記録素子基板の機械的破壊が防止される。また、従来と比較して使用する封止剤の量が減少するため、コストも低減される。
第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドカートリッジの斜視図である。 第1の実施形態に係る記録素子基板の平面図である。 第1の実施形態に係る記録素子基板およびその近傍の模式図である。 第1の実施形態に係る電気配線部材の模式図である。 第1の実施形態に係る電気配線部材の突出部およびその近傍を示す模式的断面図である。 第1の実施形態に係る電気配線部材の突出部を示す模式図である。 第2の実施形態に係る記録素子基板およびその近傍を示す模式図である。 第3の実施形態に係る電気配線部材の突出部およびその近傍を示す模式的断面図である。
(第1の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、インクジェット記録ヘッドとインク容器とが一体化された形態について説明するが、記録ヘッドに対してインク容器が着脱可能であってもよい。
図1(a)は、本発明が適用されたインクジェット記録ヘッドカートリッジ100の斜視図である。図1(b)は、インクジェット記録ヘッドカートリッジ100の記録ヘッド部分を分解して示す斜視図である。なお、以下の説明中では、インクジェット記録ヘッドカートリッジを「ヘッドカートリッジ」と略して呼ぶ場合もある。
図2(a)は、記録ヘッド部分を構成する記録素子基板101の表面を示す平面図であり、図2(b)は、記録素子基板101の裏面を示す平面図である。
図2に示すように、記録素子基板101は、シリコン(Si)材料よりなる厚さ0.625mmの略長方形の板状部材である。記録素子基板101の表面には、インクを吐出するためのエネルギーを発生する素子として、複数の電気熱変換素子(不図示)が設けられている。記録素子基板101の表面には、少なくとも一辺(本実施形態では対向する2つの短辺)に沿って複数の電極パッド204が配置されている。さらに、各電極パッド204と各電気熱変換素子を電気的に接続し、それぞれの電気熱変換素子に電力を供給するアルミニウム(Al)等の電気配線(不図示)も設けられている。これら、電気熱変換素子、電極パッド204および電気配線は、成膜技術により形成されている。また、本実施形態では、電気熱変換素子としてヒーターが用いられている。
さらに、記録素子基板101の表面側には、各電気熱変換素子に対応する複数のインク流路(不図示)と複数のインク吐出口201が形成された流路形成部材202が、フォトリソグラフィ技術により形成されている。また、各インク流路にインクを供給するための共通のインク供給口203も開口されている。インク供給口203は、記録素子基板101の長手方向に沿って開口しており、記録素子基板101を貫通している。
電気配線部材102は、記録素子基板101が組み込まれる略長方形の開口部(デバイスホール)104と、記録素子基板101に設けられている電極パッド204に接続される複数の電極リード105を備えている。電極リード105は、開口部104の辺(縁)から開口部104の内側へ向けて伸びている。より具体的には、電極パッド204が配置されている記録素子基板101の2つの短辺に対向する各短辺から開口部104の内側へ向けて複数の電極リード105がそれぞれ伸びている。
さらに、電気配線部材102は、不図示の記録装置本体から出力された駆動制御信号が入力される外部信号入力端子106も備えている。この外部信号入力端子106と電極リード105が、銅箔配線を介して接続されて、可撓性を有する電気配線部材102が形成されている。電気配線部材102の一例としてTAB(Tape Automated Bonding)方式のテープが挙げられる。
電気配線部材102の各電極リード105は、記録素子基板101の電極パッド204にそれぞれ接合されており、その接合部は、該接合部をインク等の液体や外力から保護するための封止剤130によって被覆されている。
記録ヘッド部を構成している筐体の一部である支持部材103は、樹脂成形により形成されており、本実施形態においては、変性ポリフェニレンエーテルによって成形されている。さらに、支持部材103の形状的剛性を向上させるべく、ガラスフィラーが35質量%混合された樹脂材料が使用されている。この支持部材103には、インク貯留部からのインク供給を受けるためのインク供給路107が形成されている。支持部材103と記録素子基板101は、熱硬化型接着剤によって接合されている。両者を接合する際には、例えば、支持部材103の上の所定位置に熱硬化型接着剤を塗布した後、接着剤が塗布されている上記所定位置に記録素子基板101を位置合わせして載置する。また、支持部材103には、接着剤によって電気配線部材102も固定されており、電気配線部材102の開口部104から記録素子基板101が露出している。
図3(a)は、図1(a)に示す記録素子基板101およびその近傍を示す模式的に示す拡大図である。図3(b)は、図3(a)のA−A断面図、図3(c)は、図3(a)のB−B断面図である。図3に示すように、記録素子基板101は、支持部材103に形成された凹部120の底面上に配置されている。具体的には、支持部材103の面109には、記録素子基板101が配置される凹部120が形成されており、該凹部120の底面108の上に記録素子基板101が配置されている。また、凹部120を取り囲む面109に電気配線部材102が接着固定され、凹部120内に配置された記録素子基板101が電気配線部材102の開口部104から露出している。電気配線部材102が接合されている面109よりも一段低い凹部底面108上に記録素子基板101を配置するのは、電極リード105と電極パッド204をほぼ同じ高さにして、両者の電気的接続の信頼性を向上させるためである。なお、凹部120の内面は、底面108と該底面108の各辺から立ち上がる内側面110とによって形成されていることは図面から明らかである。
図3(a)に示すように、電気配線部材102の開口部104の四隅には突出部302がそれぞれ設けられている。換言すれば、電極リード105が伸びている開口部104の辺(縁)と同一の辺(縁)から突出部302がそれぞれ伸びている。具体的には、2つの突出部302が開口部104の一方の短辺から開口部104の内側へ向けて伸びており、他方の短辺から別の2つの突出部302が開口部104の内側へ向けて伸びている。また、各突出部302は、記録素子基板101の電極パッド204が配置されていない辺(長辺)と該長辺に対向する凹部内側面110との間の隙間に伸びている。換言すれば、各突出部302は、記録素子基板101の長辺側の側面とこれに対向する凹部内側面110との間の隙間に伸びている。
さらに、図3(b)に最も明確に示されているように、各突出部302は、開口部104の開口面に沿って伸びる平坦部302aと、平坦部302aの端から支持部材103の凹部底面108に向けて折り曲げられた屈曲部302bとを有する。加えて、突出部302の先端(屈曲部302bの先端)は、凹部底面108に接している。
図3(b)(c)に示すように、突出部302の裏面を含む電気配線部材102の裏面、記録素子基板101の側面および支持部材103の凹部120の内面によって囲まれた空間には第一の封止剤としての封止剤130が充填されている。この封止剤130により、電極リード105の表裏面、電極パッド204およびこれらの接合部、すなわち電気接続部が被覆されている。なお、上記空間を形成している凹部120の内面とは、凹部底面108および凹部内側面110の一部の領域であることは図面から明らかである。なお、突出部302は、上記空間を形成するように、記録素子基板101の側面とこれに対向する凹部内側面110との間の隙間に伸びている限り、開口部104の短辺ではなく、長辺から伸びていてもよく、短辺と長辺の双方から伸びていてもよい。
次に、本発明の製造方法の一部である封止剤130の充填工程について説明する。まず電気配線部材102の電極リード105と記録素子基板101の電極パッド204を接合させる。その後、記録素子基板101を支持部材103の凹部底面108上に位置合わせし、記録素子基板101を凹部底面108に接着固定する。同時に、電気配線部材102を支持部材103の面109およびこれに連なる側面に接着固定する。なお、突出部302の屈曲部302bを形成する折り曲げ工程は、電気配線部材102と記録素子基板101を接合する前に行ってもよく、記録素子基板101を支持部材103に接合する際に同時に行ってもよい。また、記録素子基板101を支持部材103に接合した後に行ってもよい。
いずれにしても、支持部材103に記録素子基板101および電気配線部材102を接合した後、凹部120内に封止剤130を充填して電気接続部を被覆する。具体的には、各電極リード105の間から支持部材103の凹部内へ流入した封止剤130が上記空間を満たし、さらに、電気接続部を覆うまで封止剤130を充填する(図3(c)参照)。よって、封止剤130には、粘度が極端に高いものではなく、各電極リード105の間から支持部材103の凹部内へ流入可能な程度の粘度のものを用いる。
その後、封止剤130を硬化させる。電極リード105と電極パッド204の接合部をより強固に保護するために、接合部を被覆している封止剤130の上に、より高粘度の第二の封止剤を重ねて塗布してもよい。また、封止剤130と同一の封止剤を第二の封止剤として重ねて塗布してもよい。
図4(a)は、屈曲部302bが形成される前の突出部302を示す模式図であり、図4(b)は、屈曲部302bが形成された後の突出部302を示す模式図である。図5(a)に示すように、突出部302は、その先端側の一部が支持部材103の凹部底面108に接するように折り曲げられている。このとき、突出部302の折り曲げ位置(平坦部302aと屈曲部302bの境界)から突出部302(屈曲部302b)の先端までの距離(長さ)をL1、支持部材103の凹部120の深さをL2とすると、L1≧L2の関係が成り立つ。かかる関係が成立することにより、突出部302の先端と凹部底面108との間の隙間が非常に小さくなり、封止剤130が記録素子基板101の周囲へ流出することを防ぐことができる。一方、図5(b)の示すように、L1<L2の関係が成り立つ場合には、突出部302の先端と凹部底面108との間の隙間が大きくなり、その隙間から封止剤が流出してしまう。
さらに、図5(c)に示すように、記録素子基板304の長手方向の側面(端面)に対向する凹部内側面110から、該内側面110の上を通って伸びる突出部320の先端と凹部底面108との接点までの距離をL3とする。また、上記の凹部内側面110から該内側面110に最も近接しているインク供給口203の縁までの距離をL4とする。ここで、距離L3および距離L4は、凹部底面108に沿った直線距離である。このとき、L3≦L4の関係が成り立つように、突出部302の形状や大きさが設定されている。これには二つ理由がある。一つ目の理由は、封止剤130の膨張・収縮による無用な外力が記録素子基板101に作用することを防止するためである。記録素子基板101のインク供給口203が設けられている部分は、他の部分に比べて機械的強度が弱い。よって、図5(c)に示す距離L4が記録素子基板101のインク供給口203の縁を越えて伸びていると、封止剤130の膨張・収縮による無用な外力が記録素子基板101に作用してしまう。これでは、記録素子基板101が変形してインク吐出不良や機械的破壊が生じるリスクが、記録素子基板101の外周全体に封止剤が存在している場合とほぼ同程度に高まってしまうので、これを防止するのが一つ目の理由である。もう一つの理由は、封止剤の使用量を抑制することである。
加えて、突出部302の形状を図6(a)に示すような形状とすることで、封止剤がさらに流出し難い構成となる。図6(a)に示す突出部302では、屈曲部302bの幅W1が、記録素子基板101の幅方向の側面(長辺側の側面)と該側面に対向する凹部内側面(不図示)との間の隙間の幅W2(図6(b))よりも若干広くなっている。このため、図6(b)に示すように、屈曲部302bの一部が記録素子基板101の幅方向側面に密接し、封止剤の流出がより確実に防止される。
また、記録素子基板101と電気配線部材102の接合は、電極パッド204や電極リード105の位置を基準として行われが、これらの位置には多少の公差が存在する。しかし、屈曲部302bの幅W1が上記のように拡大されているので、公差が存在する場合であっても、屈曲部302bが記録素子基板101の幅方向側面に確実に接触し、封止剤の流出がより確実に防止される。
(第2の実施形態)
図7を参照して本発明の実施形態の他例について説明する。図7(a)は、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドにおける記録素子基板近傍を模式的に示す拡大図である。図7(b)は、図7(a)のC−C断面図である。
図7(a)(b)に示すように、支持部材103の凹部底面108上であって、記録素子基板101の周囲に4つの突起701が設けられている。具体的には、記録素子基板101の幅方向側面と該側面に対向する支持部材103の凹部内側面との間に、突起701が設けられている。そして、電気配線基板102の各突出部302の先端(屈曲部302bの先端)が対応する突起701に突き当てられて係止されている。よって、突出部302の弾性が比較的弱い場合にも、突出部302の裏側に充填された封止剤130を確実に堰き止めることができる。
なお、突起701は支持部材103の成形時に同時成形されるため、部品数や工程数が増えることはない。突起701の形状は、図7に示すような直方体に限らずどのような形状でもあってもよい。また、大きさについても、幅が図6(b)に示す幅W2よりも狭く、高さが記録素子基板101よりも低ければよい。
また、図7(c)に示すように、突出部302を完全に折り曲げず、その先端を突起701に突き当てることによって形状を保持してもよい。この場合、突出部302に屈曲部302bを形成する折り曲げ工程を省略することができる。なお、突出部302を図7(b)に示すように湾曲させる工程は、記録素子基板101を支持部材103の凹部底面108に接合する工程と同時に、治具を用いて行えばよい。
(第3の実施形態)
図8を参照して本発明の実施形態の他例について説明する。図8(a)は、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドにおける記録素子基板近傍を模式的に示す拡大図である。
図8(a)に示すように、支持部材103の凹部底面108上であって、記録素子基板101の周囲に4つの溝801が設けられている。具体的には、記録素子基板101の幅方向側面と該側面に対向する支持部材103の凹部内側面との間に、溝801が設けられている。そして、電気配線基板102の各突出部302の先端が対応する溝801に嵌合されて係止されている。よって、突出部302の弾性が比較的弱い場合にも、突出部302の裏側に充填された封止剤130を確実に堰き止めることができる。なお、溝801は、支持部材103の成形時に同時成形されるため、部品数や工程数が増えることはない。
本実施形態では、突出部302の先端が溝801に確実に嵌合されるように、突出部302の先端に、図8(c)に示すような凸部802が形成されている。なお、溝801の形状は図示されている形状に限らずどのような形状でもよい。また、大きさについても、幅が図6(b)に示す幅W2よりも狭ければよい。
なお、本実施形態においても、突出部302の幅W1を図6(b)に示す幅W2よりも若干広くすることができる。
さらに、図8(b)に示すように、突出部302を完全に折り曲げず、その先端を溝801に嵌合させることによって形状を保持してもよい。この場合、突出部302に、屈曲部302bを形成する折り曲げ工程を省略することができる。なお、突出部302を図8(b)に示すように湾曲させる工程は、記録素子基板101を支持部材103に接合する工程と同時に、治具を用いて行えばよい。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、一般的なプリンターのほか、複写機、通信手段を備えたファクシミリ、印刷手段を備えたワードプロセッサ、あるいは、これらの装置を複合した多機能記録装置等に適用することができる。
100 インクジェット記録ヘッド
101 記録素子基板
102 電気配線部材
103 支持部材
104 開口部
105 電極リード
108 凹部底面
109 面
110 凹部内側面
120 凹部
130 封止剤
204 電極パッド
302 突出部
701 突起
801 溝

Claims (12)

  1. 支持部材に形成された凹部の底面上に配置されている記録素子基板が、前記支持部材の前記凹部が形成されている面に接合されている電気配線部材の開口部から露出しているインクジェット記録ヘッドにおいて、
    前記記録素子基板の少なくとも一辺に、該一辺に沿って配置された複数の電極パッドと、
    前記電極パッドが配置されている前記記録素子基板の前記一辺に対向する前記電気配線部材の前記開口部の一辺から伸びており、前記電極パッドにそれぞれ接続されている複数の電極リードと、
    前記電極リードが伸びている前記開口部の前記一辺または他の辺から、前記記録素子基板の前記電極パッドが配置されていない辺と該辺に対向する前記凹部の内側面との間の隙間に伸びている突出部と、を有し、
    前記突出部の先端は、前記凹部の前記底面に接しており、
    前記凹部の前記底面、該底面に対向する前記突出部の裏面、前記凹部の前記内側面および該内側面に対向する前記記録素子基板の側面によって囲まれた空間に、前記電極パッドと前記電極リードの接合部を被覆する第一の封止剤が充填されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記凹部の前記底面に、前記突出部の前記先端が係止される突起または溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記突出部は、前記開口部の開口面に沿って伸びる平坦部と、該平坦部の端から前記凹部の前記底面に向けて折り曲げられた屈曲部とを有し、
    前記平坦部と前記屈曲部の境界から前記突出部の前記先端までの長さをL1、前記凹部の深さをL2としたとき、L1≧L2の関係が成立することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記突出部の一部が、前記記録素子基板の前記側面に接していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記第一の封止剤の上に第二の封止剤が重ねて塗布されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 前記第一の封止剤と前記第二の封止剤が同一の封止剤であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 前記第二の封止剤が、前記第一の封止剤よりも高粘度の封止剤であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. 前記記録素子基板には、該記録素子基板の長手方向に沿って開口したインク供給口が形成されており、
    前記記録素子基板の長手方向の側面に対向する前記凹部の内側面から前記突出部の前記先端までの、前記凹部の前記底面に沿った距離をL3、
    前記記録素子基板の長手方向の側面に対向する前記凹部の前記内側面から該内側面に最も近接している前記インク供給口の縁までの、前記凹部の前記底面に沿った距離をL4としたとき、
    L4≧L3の関係が成立することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  9. 支持部材に形成された凹部の底面上に配置されている記録素子基板が、前記支持部材の前記凹部が形成されている面に接合されている電気配線部材の開口部から露出しているインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    前記記録素子基板の少なくとも一辺に該一辺に沿って配置されている複数の電極パッドに、前記電極パッドが配置されている前記記録素子基板の前記一の辺に対向する前記電気配線部材の前記開口部の一辺から伸びている複数の電極リードをそれぞれ接合する工程と、
    前記電極リードが伸びている前記開口部の前記一辺または他の辺から、前記記録素子基板の前記電極パッドが配置されていない辺と該辺に対向する前記凹部の内側面との間の隙間に伸びている突出部を、該突出部の先端が前記凹部の前記底面に接するように曲げる工程と、
    前記凹部の前記底面、該底面に対向する前記突出部の裏面、前記凹部の前記内側面および該内側面に対向する前記記録素子基板の側面によって囲まれた空間に第一の封止剤を充填して前記電極パッドと前記電極リードの接合部を被覆する工程とを有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  10. 前記第一の封止剤を充填した後に、該第一の封止剤の上に第二の封止剤を重ねて塗布する工程を有することを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  11. 前記突出部を曲げる工程では、前記開口部の開口面に沿って伸びる平坦部と、該平坦部の端から前記凹部の前記底面に向けて伸びる屈曲部とが形成されるように、前記突出部を折り曲げることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  12. 前記平坦部と前記屈曲部の境界から前記突出部の先端までの長さをL1、前記凹部の深さをL2としたとき、L1≧L2の関係が成立するように、前記突出部を折り曲げることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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