JP2013008079A - 無効電力補償装置の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置容量を超える無効電力に応じて無効電力固定分を制限し、無効電力変動分に起因する電圧フリッカを力率低下と並行して補償する。
【解決手段】負荷の無効電力検出回路10と、無効電力を固定分、変動分に分離する分離演算器21と、変動分に最適補償ゲイン11を乗じた信号に基づきサイリスタ5の駆動信号を生成するための点弧角制御回路12と、変動分に互いに異なる補助ゲイン111〜113を乗じた結果に基づき複数の電圧フリッカを演算する手段121〜123,…,161〜163と、複数の電圧フリッカから最小値に対応する補助ゲインを最適補償ゲイン11に設定する最小値選択回路17と、装置容量と無効電力最大値との比率を演算する除算器26と、前記比率を固定分に乗じて固定分を装置容量以下に制限する上下限器28、乗算器29と、制限後の固定分をゲイン11,111〜113の出力に加算する加算器24,221〜223と、を備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、アーク炉負荷等によって発生する無効電力を補償して電力系統の電圧フリッカを抑制するための技術に関するものである。
図5は、負荷の無効電力を補償するための無効電力補償装置の使用状態を示している。図5において、無効電力補償装置1は、電力系統2の系統インピーダンス3と負荷4との間に設置され、アーク炉負荷等の負荷4が発生する無効電力、ひいてはこの無効電力に起因した電圧フリッカを補償するものであり、サイリスタ5、リアクトル6及びコンデンサ7からなる補償装置本体1’と、サイリスタ5を導通制御するための制御装置13とによって構成されている。
無効電力補償装置1は、電圧フリッカを補償するために、負荷4が発生する無効電力を補償する。すなわち、図5に示すように、負荷4が発生する無効電力をQ、補償装置本体1’の無効電力をQ、電力系統2の無効電力をQとすると、Q=Qとなるように補償装置本体1’を制御すれば、電力系統2の無効電力はQ=0となり、系統電圧の変動ひいては電圧フリッカを抑制できることになる。
次に、前記制御装置13の構成及び動作を図6に基づいて説明する。図6において、図5と同一の構成要素には同一の番号を付してある。
図6に示す制御装置13は、例えば特許文献1の第6図に記載されているものであり、この制御装置13は、無効電力検出回路10、ゲイン11、点弧角制御回路12によって構成されている。無効電力検出回路10は、CT9により検出した負荷電流IとPT8により検出した系統電圧Vとから、図5における負荷4の無効電力Qを演算する。この無効電力Qにゲイン11としての値Kを乗じてK×Qを求め、後続の点弧角制御回路12により演算した点弧角αに従って補償装置本体1’のサイリスタ5を導通させ、無効電力Qを発生させる。
ここで、無効電力検出回路10は負荷電流Iと系統電圧Vとから無効電力Qを予測する回路であるため、負荷4がアーク炉負荷等であって負荷電流Iが急峻かつランダムに変化した場合に、無効電力Qに予測誤差が生じる。このため、図6の従来技術では、予め設定されたゲイン11を無効電力Qに乗算することで、予測演算結果を補正している。
なお、電圧フリッカはΔV10とも呼ばれており、図5に示すようにフリッカメータ18によって測定される。電圧フリッカΔV10は、電気学会技術報告書II部72号によると、電圧変動を1分間について周波数分析した結果得られる変動周波数fの電圧変動成分の変動幅をΔV、変動周波数fに対応する視感度係数をaとすると、以下の数式1によって定義され、視感度係数aは図7のように定義されている。
Figure 2013008079
一方、負荷4に応じて無効電力補償効果が最も高くなるように、前述した予測誤差補正用のゲイン11は、その値を少しずつ変えて調整することが行われている。つまり、ゲインを変えては補償効果を測定し、測定結果に応じてゲインを再度変える操作を繰り返すため、ゲイン11を最適補償ゲインとするための調整動作に多くの時間を要している。
そして、ゲイン11の調整によっては補償効果が上がらないこともあり、その場合には無効電力補償装置1の容量を大きくせざるを得なくなる。
このような問題に対しては、例えば図8に示すように、無効電力検出回路10による検出値に複数のゲインを乗じて得た信号に種々の演算を行って複数の電圧フリッカを算出し、その中から最適補償ゲインを決定する方法が提供されており、この従来技術は、特許文献2の図1に記載されている。
図8において、13Aは制御装置、111〜113はゲイン、121〜123は点弧角制御回路、141〜143は無効電力補償装置モデル、151〜153は系統モデル、161〜163は電圧フリッカ検出回路、17は最小値選択回路、201〜203は加算器であり、その他の構成要素は図6と同一の番号を付してある。なお、図8において、α〜αは点弧角、It1〜It3は補償電流、V〜Vは電圧変動量を示す。
ここで、無効電力補償装置モデル141〜143は、点弧角α〜αに従って図5のサイリスタ5を駆動したときの補償電流It1〜It3を演算する機能を有し、系統モデル151〜153は、負荷電流Iに補償電流It1〜It3がそれぞれ重畳されたときの系統の電圧変動量V〜Vを演算する機能を有している。
この制御装置13Aでは、ゲイン111の現状値をK1とすると、ゲイン112,113がそれぞれK1+ΔG,K1−ΔGに設定されており、点弧角制御回路121〜123は無効電力Qと上記各ゲインとの乗算結果から点弧角α〜αをそれぞれ演算する。
補償装置モデル141〜143は点弧角α〜αに応じた補償電流It1〜It3を演算し、加算器201〜203にて負荷電流Iと加算した値を系統モデル151〜153に入力して電圧変動量V〜Vを求める。電圧フリッカ検出回路161〜163はフリッカメータと同様の機能を持ち、電圧変動量V〜Vから電圧フリッカをそれぞれ演算する。最小値選択回路17は、電圧フリッカ検出回路161〜163から出力される電圧フリッカの中から最小値を選択し、これを最適補償ゲインとしてゲイン11に設定する。
すなわちこの従来技術では、ゲインが異なる複数の補償装置モデルによって補償量をそれぞれ演算し、このうち補償量が最も小さくなるときの制御量を実際の補償装置の制御量として採用することにより、短時間で最適な無効電力補償制御を実現可能としている。
ここで、無効電力補償装置は、負荷が発生する電圧フリッカを抑制する目的と無効電力による力率補償を行う目的とを持っている。つまり、無効電力補償装置としては、負荷無効電力の変動分に起因する電圧フリッカを抑制し、かつ、負荷無効電力の固定分に起因する力率低下を補償することが求められる。
このため、図8に示したように電圧フリッカ検出値のみに応じてゲイン11を設定する方法によると、負荷無効電力の固定分に起因した力率低下を十分に補償できないという問題がある。
上記の問題を、図9に従って説明する。
いま、図8におけるゲイン11の前段の無効電力をQ(図8ではQと表記)、ゲイン11の後段の無効電力をQとする。ここで、無効電力Qは無効電力固定分Q1Aと無効電力変動分Q1Bとに分解され、また、無効電力Qは無効電力固定分Q2Aと無効電力変動分Q2Bとに分解されるものであり、無効電力固定分Q1A,Q2Aは力率低下を、無効電力変動分Q1B,Q2Bは電圧フリッカを引き起こすことになる。
例えば、無効電力固定分Q1A及び無効電力変動分Q1Bが図9(a)のように表される場合、図8に示した従来技術によってゲイン11の値がそれまでの値の1/2になったとすると、図9(b)に示すように、ゲイン11の後段の無効電力固定分Q2A、無効電力変動分Q2Bは、何れも無効電力固定分Q1A、無効電力変動分Q1Bの1/2になる。
従って、電圧フリッカをある程度抑制することができたとしても、力率低下は半分程度しか補償できなくなってしまう。
このため、力率低下の補償機能を高めるためには、負荷無効電力を無効電力固定分と無効電力変動分とに分離し、無効電力変動分に対してのみ図8に示したような方法で最適なゲイン11を乗算し、その結果を無効電力固定分に加算することで無効電力を補償することが考えられる。
特公平7−104739号公報(第2頁左欄第6行〜第39行、第6図等) 特開2004−336948号公報(段落[0008]〜[0013]、図1等)
前述したように、無効電力変動分にゲイン11を乗算し、その結果を無効電力固定分に加算することで無効電力を補償する方法は、力率低下の補償を優先した補償方法ということができる。しかしながら、この方法では、負荷無効電力が補償装置の容量を超えた場合に、電圧フリッカの補償能力が著しく低下してしまうことが懸念される。
つまり、図10(a)に示すように、補償装置の容量を超える負荷無効電力Qが発生した場合、補償装置の容量を超えた分の補償はできないことから、図10(b)に示す負荷無効電力Qcompが補償対象となる。このため、装置容量を超えた分の無効電力変動分を補償できなくなり、結果として電圧フリッカの補償能力が低下することになる。
そこで、本発明の解決課題は、補償装置の容量を超える無効電力に対しては、超えた分に応じて無効電力固定分を制限することで、無効電力変動分に起因する電圧フリッカの補償を力率低下の補償と並行して実現可能にした無効電力補償装置の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、電力系統に連系され、かつ、電力系統に接続される負荷の無効電力の変動分に起因した電圧フリッカを少なくとも補償する無効電力補償装置であって、前記電力系統との間で無効電力を授受するように動作する半導体素子を最適補償ゲインに基づく駆動信号によって制御するようにした無効電力補償装置において、
負荷の無効電力を検出する手段と、
検出した無効電力を無効電力固定分と無効電力変動分とに分離する手段と、
前記無効電力変動分に前記最適補償ゲインを乗じて得た信号に基づいて前記駆動信号を生成する手段と、
前記無効電力変動分に互いに異なる補助ゲインを乗じた結果に基づいて各補助ゲインに対応する複数の電圧フリッカを演算する手段と、
演算された複数の電圧フリッカの中の最小値に対応する前記補助ゲインを選択して前記最適補償ゲインに設定する手段と、
前記補償装置の容量と負荷の無効電力の最大値との比率を演算する手段と、
前記比率を前記無効電力固定分に乗じることにより前記無効電力固定分を前記補償装置の容量以下に制限する手段と、
制限後の前記無効電力固定分を前記最適補償ゲインの出力及び前記補助ゲインの出力にそれぞれ加算する手段と、を備えたものである。
本発明によれば、電圧フリッカ補償及び力率低下補償を並行して行うことができると共に、負荷無効電力が補償装置の容量を超える範囲においては、超えた分の無効電力固定分を制限することで、電圧フリッカ補償能力の低下を回避することができる。
本発明の実施形態を示す構成図である。 図1における分離演算器の構成図である。 本発明の実施形態における最適補償ゲイン11の前後の無効電力固定分及び無効電力変動分の説明図である。 本発明の実施形態における負荷無効電力Q、最大値検出値Qmax、無効電力固定分Q、比率Gbaseを示す図である。 無効電力補償装置の使用状態を示す図である。 図5における制御装置の構成図である。 視感度係数aの説明図である。 特許文献2に記載された従来技術の構成図である。 図8におけるゲイン11の前後の無効電力固定分及び変動分の説明図である。 従来技術の問題点を説明するための負荷無効電力等の波形図である。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、この実施形態に係る制御装置13Bの構成を示しており、図8と同一の構成要素には同一の番号を付して説明を省略し、以下では図8と異なる部分を中心に説明する。
図1において、無効電力検出回路10により演算された負荷無効電力Qは、分離演算器21により無効電力固定分Qと無効電力変動分Qとに分離される。ここで、分離演算器21は、図2に示すように、負荷無効電力Qの演算結果を一次遅れフィルタ21aに入力して演算した結果を無効電力固定分Qとして出力し、また、減算器21bにより負荷無効電力Qから無効電力固定分Qを減算した結果を無効電力変動分Qとして出力する。
再び図1において、分離演算器21から出力された無効電力変動分Qにゲイン11(以下では、ゲイン11を最適補償ゲインという。また、この最適補償ゲイン11と区別するために、ゲイン111〜113を補助ゲインというものとする)を乗算した結果と乗算器29の出力とを加算器24にて加算し、その結果を点弧角制御回路12に入力することにより図5のサイリスタ5に対する点弧角αを演算する。ここで、乗算器29は、無効電力固定分Qと後述する上下限器28からの比率Gbaseとを乗算するものである。
無効電力変動分Qには、補助ゲイン111(現状の最適補償ゲイン11の値K1)、補助ゲイン112(K1+ΔG)、補助ゲイン113(K1−ΔG)がそれぞれ乗算され、これらの乗算結果に、加算器221,222,223にて乗算器29の出力、つまり無効電力固定分Qと比率Gbaseとの積がそれぞれ加算される。加算器221,222,223の出力は点弧角制御回路121,122,123に加えられており、以降の構成及び作用は図8と同様である。
すなわち、点弧角制御回路121〜123は入力信号(加算器221,222,223の出力)に基づいて点弧角α〜αをそれぞれ演算する。補償装置モデル141〜143は点弧角α〜αに応じた補償電流It1〜It3を演算し、加算器201〜203にて負荷電流Iと加算した値を系統モデル151〜153に入力して電圧変動量V〜Vを求める。電圧フリッカ検出回路161,162,163は、前記補助ゲイン111,112,113(K1,K1+ΔG,K1−ΔG)に対応する3種類の電圧フリッカを演算し、これらの電圧フリッカの中から最小値選択回路17により最小値を求め、その最小値の電圧フリッカを最適補償ゲイン11の値として更新する。
一方、無効電力検出回路10により演算された負荷無効電力Qは最大値検出器25に入力され、無効電力最大値Qmaxが検出される。また、設定器27による設定値(例えば無効電力補償装置の容量を設定値100%とする)が除算器26に入力され、前記設定値が無効電力最大値Qmaxにより除算されてその結果が上下限器28に入力されている。
上下限器28は、比率Gbase=100%/Qmax(ただし100%が最大値)を演算し、この比率Gbaseを乗算器29に出力する。乗算器29では、比率Gbaseと無効電力固定分Qとを乗算し、その結果を加算器24,221〜223に出力する。
ここで、図3(a)は図1における最適補償ゲイン11の前段の無効電力Q,図3(b)は最適補償ゲイン11の後段の無効電力Qを示している。本実施形態によれば、最適補償ゲイン11は無効電力変動分Qにしか作用しないので、仮に最適補償ゲイン11の値がそれまでの値の1/2になったとしても、図3(a)→図3(b)に示すように、最適補償ゲイン11の後段の無効電力変動分Q2Bだけが前段の無効電力変動分Q1Bの1/2になり、無効電力固定分Q2Aは無効電力固定分Q1Aと変わらない。
このため、無効電力変動分に起因する電圧フリッカを最適補償ゲイン11によって抑制可能であると共に、無効電力固定分に起因する力率低下も充分に補償することができる。
また、図4は、本実施形態における負荷無効電力Q、最大値検出値Qmax、無効電力固定分Q、比率Gbaseを示している。
負荷無効電力Qが図4(a)に示すように補償装置の容量を超えているとすると、まず、最大値検出器25によって図示のように無効電力最大値Qmaxが検出される。設定器27による設定値を補償装置容量の100%とすると、除算器26により100%/Qmaxが演算され、図3(b)のように100%を上限値とする比率Gbaseが上下限器28から出力される。
このため、乗算器29からは、無効電力固定分Qに100%以下の比率Gbaseを乗算した値が出力されることになり、装置容量を超える無効電力に対しては、装置容量を超えた分だけ制限された無効電力固定分Qが、加算器24において最適補償ゲイン11乗算後の無効電力変動分Qに加算され、また、加算器221〜223において補助ゲイン111〜113乗算後の無効電力変動分Qに加算される。
従って、無効電力固定分Qについては、補償装置の容量を超えた分を制限する形で力率補償を行い、無効電力変動分Qについては最小値選択回路17により選択した最適補償ゲイン11を用いて電圧フリッカを抑制することができる。ここで、上下限器28では無効電力固定分Qの下限値を任意に設定可能であり、例えば、下限値を補償装置容量の50%や70%などに設定すれば、最小限の力率補償を確保しながら電圧フリッカ補償を行うことが可能である。
1 無効電力補償装置
2 電力系統
3 系統インピーダンス
4 負荷
5 サイリスタ
6 リアクトル
7 コンデンサ
8 PT
9 CT
10 無効電力検出回路
11 ゲイン(最適補償ゲイン)
12 点弧角制御回路
13,13A,13B 制御装置
17 最小値選択回路
18 フリッカメータ
111〜113 ゲイン(補助ゲイン)
121〜123 点弧角制御回路
141〜143 無効電力補償装置モデル
151〜153 系統モデル
161〜163 電圧フリッカ検出回路
201〜203 加算器
21 分離演算器
21a 一次遅れフィルタ
21b 減算器
221〜223 加算器
24 加算器
25 最大値検出器
26 除算器
27 設定器
28 上下限器
29 乗算器

Claims (1)

  1. 電力系統に連系され、かつ、電力系統に接続される負荷の無効電力の変動分に起因した電圧フリッカを少なくとも補償する無効電力補償装置であって、前記電力系統との間で無効電力を授受するように動作する半導体素子を最適補償ゲインに基づく駆動信号によって制御するようにした無効電力補償装置において、
    負荷の無効電力を検出する手段と、
    検出した無効電力を無効電力固定分と無効電力変動分とに分離する手段と、
    前記無効電力変動分に前記最適補償ゲインを乗じて得た信号に基づいて前記駆動信号を生成する手段と、
    前記無効電力変動分に互いに異なる補助ゲインを乗じた結果に基づいて各補助ゲインに対応する複数の電圧フリッカを演算する手段と、
    演算された複数の電圧フリッカの中の最小値に対応する前記補助ゲインを選択して前記最適補償ゲインに設定する手段と、
    前記補償装置の容量と負荷の無効電力の最大値との比率を演算する手段と、
    前記比率を前記無効電力固定分に乗じることにより前記無効電力固定分を前記補償装置の容量以下に制限する手段と、
    制限後の前記無効電力固定分を前記最適補償ゲインの出力及び前記補助ゲインの出力にそれぞれ加算する手段と、
    を備えたことを特徴とする無効電力補償装置の制御装置。
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