JP5975107B2 - 電力制御装置及び電力制御方法 - Google Patents
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Description
この電力制御装置では、電源波形の半サイクルの整数倍に相当する時間(以下、「単位時間」と称する)毎に、負荷に供給する電力の入切(オン/オフ)を切り換える制御を行うものであり、電力を供給する時間であるオン時間と、電力を供給しない時間であるオフ時間との時間的割合を制御することで、PID調節計から出力される操作信号(目標値)に比例する電力を負荷に供給している。
以下、この電力制御装置による電力の制御方式を「時分割出力制御方式」と称する。
図6は16個のチャンネルが時分割出力制御方式によって電力制御が実施された場合の各チャンネルのオンオフ状況の一例を示す説明図である。
図6からも明らかなように、16個のチャンネルの全てがオフである場合や、16個のチャンネルの全てがオンである場合があり、同時にオンになるチャンネルの数は、0〜16の範囲のいずれかとなる。
このため、例えば、電力上限値が、温度制御の安定に必要な電力量の合計値と近い値に設定されている場合、図8のB部に示すように、総目標電力値(各々のチャンネルの目標電力値の合計)が大きな値になっても(例えば、昇温、設定変更や外乱などの影響によって、総目標電力値が大きな値になることがある)、総出力電力値が電力上限値以下に抑制されるが、目標温度に到達するまでに長い時間を要して、制御性が損なわれてしまう課題があった。また、外乱応答が遅くなるため、最適な温度制御を行うことができない課題があった。
一方、図8のA部に示すように、電力上限値と比べて、総目標電力値が必要以上に小さな値になると、各単位時間において、総出力電力値の最大値と最小値の差が大きくなって、電源電圧のフリッカが大きくなる課題があった。
また、使用者による上限値設定の手間を省くことができる効果がある。
図1はこの発明の実施の形態1による電力制御装置を示す構成図である。
図1の電力制御装置では、M(Mは2以上の整数)個の制御対象に対する電力の供給を時分割で制御する例を説明する。
即ち、図1の電力制御装置は、電源波形の半サイクルの整数倍に相当する時間(以下、「単位時間」と称する)毎に、制御対象に供給する電力を入切(オン/オフ)する制御を行うものであり、電力を供給する時間であるオン時間と、電力を供給しない時間であるオフ時間との時間的割合を制御することで、PID調節計から出力される操作信号(目標値)に比例する電力を制御対象に供給するものである。
以下、単位時間毎に制御対象に供給する電力を入切(オン/オフ)する制御を繰り返すサイクルを「制御サイクル」と称する。
調節計2−1〜2−Mは電力制御装置の外部機器であり、制御サイクルn毎に、負荷1−mに供給する電力の出力目標値Amnを電力制御装置に出力する機器である。
ただし、mは制御対象の負荷1−1〜1−Mを特定する番号であり、m=1,2,・・・,Mである。
また、nは負荷1−1〜1−Mに供給する制御サイクルを特定する番号であり、1つの制御サイクルの時間は、上記の単位時間と一致する。ただし、n=1,2,・・・である。
目標電力値算出部11の出力目標値入力部12は調節計2−1〜2−Mに対するインタフェース機器であり、調節計2−mから出力された出力目標値Amnを入力する処理を実施する。
基準電力値記憶部13は例えばRAMなどのメモリから構成されており、負荷1−mの基準電力値qm(例えば、負荷1−mの定格電力)を記憶している。
目標電力値算出処理部14−1〜14−Mは例えば乗算器などから構成されており、制御サイクルn毎に、制御サイクルnの冒頭で出力目標値入力部12により入力された出力目標値Amnを基準電力値記憶部13により記憶されている基準電力値qmに乗算することで、負荷1−mの目標電力値xmnを算出する処理を実施する。
図1では、出力電力値として、“〜”の記号が上部に付されているqmnを表記しているが、電子出願の関係上、明細書の文章中では、“〜”の記号をqmnの上部に付することができないため、「qmnチルダ」のように表記している。
制御サイクルn毎に、出力電力値算出部16から、制御サイクルnの冒頭でピーク電力抑制演算部21に出力される値は、前回の制御サイクル(n−1)で算出された出力電力値qm(n−1)チルダとなる。
補正値算出部19は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、総目標電力値算出部18により算出された目標電力値x1n〜xMnの総和Σxnに加算する補正値Hnを算出する処理を実施する。
なお、総目標電力値算出部18、補正値算出部19及び上限値算出部20から上限値算出手段が構成されている。
中間積算電力値算出部22は減算器22a−1〜22a−M、加算器22b−1〜22b−M及び値を1制御サイクル分時間シフトすることを意味するバッファ(Z−1)22c−1〜22c−Mから構成されており、前回の制御サイクル(n−1)で算出している中間積算電力値Sm(n−1)ハットから出力電力値算出部16により算出された出力電力値qm(n−1)チルダを減算することで、前回の制御サイクル(n−1)での電力差積算値sm(n−1)(=sm(n−1)ハット−qm(n−1)チルダ)を算出するとともに、その電力差積算値Sm(n−1)と目標電力値算出処理部14−mにより算出された目標電力値xmnを加算とを加算して、その加算値である最新の中間積算電力値smnハットを算出する処理を実施する。なお、中間積算電力値算出部22は中間積算電力値算出手段を構成している。
図1では、中間積算電力値として、“^”の記号が上部に付されているSmnを表記しているが、電子出願の関係上、明細書の文章中では、“^”の記号をSmnの上部に付することができないため、「smnハット」のように表記している。
例えば、電力制御装置の全部をコンピュータで構成する場合、目標電力値算出部11、電力供給オンオフ機器15−1〜15−M、出力電力値算出部16、オン電力推定部17、総目標電力値算出部18、補正値算出部19、上限値算出部20、中間積算電力値算出部22及びオンオフ機器制御部23の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1による電力制御装置の処理内容を示すフローチャートである。
また、図3はこの発明の実施の形態1による電力制御装置のオンオフ機器制御部23の処理内容を示すフローチャートである。
従来のピーク電力抑制制御を行う電力制御装置では、上述したように、各単位時間において、複数のチャンネルの総出力電力値が予め設定された電力上限値以下に抑制されるが、その電力上限値は、予め設定された固定値であり、適宜、自動的に設定が変更されるものではない。
この実施の形態1の電力制御装置では、使用者が手動で設定することなく、自動的に適正な電力上限値PLIMを算出するものである。
これにより、詳細は後述するが、総目標電力値の変化に伴う制御性の損失を防止することができるとともに、電源電圧のフリッカを抑制することができる。
また、電力供給オンオフ機器15−m(m=1,2,・・・,M)は、ピーク電力抑圧演算部20のオンオフ機器制御部23の指示の下、負荷1−mに供給する電力の入切(オン/オフ)を制御するが、n回目の制御サイクルの処理で、負荷1−mの電力供給オンオフ機器15−mに対するオンオフ機器制御部23の指示がオンであれば、n回目の制御サイクル中、負荷1−mに電力が供給される。
一方、n回目の制御サイクルの処理で、負荷1−mの電力供給オンオフ機器15−mに対するオンオフ機器制御部23の指示がオフであれば、n回目の制御サイクル中、負荷1−mには電力が供給されない。
即ち、出力電力値算出部16は、例えば、負荷1−mに印加された電圧Vm(n−1)を計測する電圧測定手段と、負荷1−mに流れている電流Im(n−1)を計測する電流測定手段とを備えている場合、(n−1)回目の制御サイクルにおいて、前記電圧測定手段により計測された電圧Vm(n−1)と、前記電流測定手段により計測された電流Im(n−1)とから、負荷1−mに供給された電力の値である出力電力値qm(n−1)チルダをn回目の制御サイクルの冒頭で算出する。
また、オン電力推定部17は、n回目の制御サイクルにおいて、その記憶している出力電力値に基づいて、n回目の制御サイクルの単位時間中に、負荷1−mに電力が供給された場合の電力値をn回目の制御サイクルの冒頭で推定し、その電力推定値qmonチルダをオンオフ機器制御部23に出力する(ステップST2)。
また、例えば、(n−1)回目の制御サイクルで負荷1−mに電力が供給されていないが、(n−2)回目の制御サイクルで負荷1−mに電力が供給されている場合、(n−1)回目の制御サイクルの冒頭で算出された出力電力値qm(n−2)チルダを負荷1−mの電力推定値qmonチルダとしてオンオフ機器制御部23に出力する。
目標電力値算出部11の目標電力値算出処理部14−mは、n回目の制御サイクルにおいて、出力目標値入力部12から出力目標値Amnを受けると、その出力目標値Amnを対して、基準電力値記憶部13により記憶されている基準電力値qmを乗算することで、負荷1−mの目標電力値xmnを算出し、その目標電力値xmnをピーク電力抑制演算部21及び総目標電力値算出部18に出力する(ステップST4)。ここでは、基準電力値qmが、負荷1−mの定格電力であるものを想定しているが、負荷1−mの定格電力に限るものではない。
xmn=Amn×qm (3)
Σxn=x1n+x2n+・・・+xMn (5)
補正値算出部19による補正値Hnの算出処理の詳細については後述するが、目標電力値x1n〜xMnの総和Σxnに適正な補正値Hnを加算した値を電力上限値PLIMとすれば、単位時間毎の総出力電力値の最大値と最小値の差を小さくして、制御性の損失や、電源電圧のフリッカを抑制することができる(詳細は後述する)。
PLIM=Σxn+Hn (6)
以下、図3のフローチャートを参照しながら、ピーク電力抑制演算部21のオンオフ機器制御部23の処理内容を具体的に説明する。
ピーク電力抑制演算部21のオンオフ機器制御部23は、制御サイクル毎に初期化処理として、後述する総電力推定値Σqonをクリアする(図3のステップST21)。
即ち、未だ制御対象に設定されていない負荷1−mの中で、最も中間積算電力値smnハットが大きい負荷1−mを制御対象に設定する(ステップST22)。
例えば、負荷の数が3個であるとき、中間積算電力値s1nハット>中間積算電力値s2nハット>中間積算電力値s3nハットであれば、制御対象を「負荷1−1」→「負荷1−2」→「負荷1−3」の順番に設定する。
また、例えば、中間積算電力値s3nハット>中間積算電力値s1nハット>中間積算電力値s2nハットであれば、制御対象を「負荷1−3」→「負荷1−1」→「負荷1−2」の順番に設定する。
また、オンオフ機器制御部23は、制御対象を負荷1−mに設定すると、その負荷1−mの中間積算電力値smnハットが所定の閾値sthより大きく(ステップST23)、かつ、オンオフ判断用総電力推定値Σqon’が上限値算出部20により算出された電力上限値PLIMより高くならない電力供給条件を満足しているか否かを判定する(ステップST25)。即ち、下記の式(7)(8)が成立しているか否かを判定する。
オンオフ機器制御部23は、式(7)または式(8)の少なくとも一方が成立しない場合、上記の電力供給条件を満足していないので、その負荷1−mの電力供給オンオフ機器15−mを切り状態(オフ)に制御する(ステップST27)。これにより、負荷1−mには電力が供給されない。
オンオフ機器制御部23は、値が大きい中間積算電力値に係る負荷1−mから順番に制御対象に設定して、全ての負荷1−mに対する制御が完了するまで上記の制御処理(ステップST22〜ST28の処理)を繰り返し実施する(ステップST29)。
この実施の形態1では、総電力推定値Σqonが上限値算出部20により算出された電力上限値PLIMより高くならない電力供給条件を満足する場合に、負荷1−mの電力供給オンオフ機器15−mを入り状態(オン)に制御することで、各々の制御サイクルの単位時間において、出力電力値qmnチルダの総和が電力上限値PLIM以下になるように抑制しているが、従来の時分割出力制御と異なり、適正な電力上限値PLIM(目標電力値x1n〜xMnの総和Σxnに適正な補正値Hnを加算した値)を自動的に算出するようにしているので、総目標電力値の変化に伴う制御性の損失を防止することができるとともに、電源電圧のフリッカを抑制することができる効果が得られる。
以下、上記の効果が得られる理由を説明する。
図1の電力制御装置では、負荷1−mの中間積算電力値smnハットが閾値sthを越えることで電力供給条件を満足すると、負荷1−mの電力供給オンオフ機器15−mがオンになり、負荷1−mの中間積算電力値smnハットから出力電力値qmnチルダが減算されるため、負荷1−mの電力差積算値smnは、閾値sthから出力電力値qmnチルダが減算された値と、その閾値sthとの間の有限な値になる。
一方、負荷1−mの電力差積算値smnは、目標電力値xmnの積算値と、出力電力値qmnチルダの積算値とに分けることができるが、オンオフ機器制御部23によるオンオフ処理が繰り返され、その繰り返し回数nが十分に大きな値になると、目標電力値xmnの積算値及び出力電力値qmnチルダの積算値が非常に大きな値になる。
この結果、目標電力値xmnの積算値及び出力電力値qmnチルダの積算値と比較して、電力差積算値smnは十分小さな値になるため、目標電力値xmnの積算値と出力電力値qmnチルダの積算値とはほぼ等しい値になる。
例えば、目標電力値が負荷の定格電力の30%に設定されている場合、図5(a)を示すように、実電力値(出力電力値)の平均値が30%に制御されていることが分かる。
また、目標電力値が負荷の定格電力の55%に設定されている場合、図5(b)を示すように、実電力値(出力電力値)の平均値が55%に制御されていることが分かる。
よって、複数の負荷を時分割出力制御方式で制御した場合には、全負荷の目標電力積算値の合計値(以下、「総目標電力積算値」と称する)と、全負荷の出力電力積算値の合計値(以下、「総出力電力積算値」と称する)との差(以下、「総電力差積算値」と称する)は、全負荷の閾値を加算した値(以下、「総閾値」と称する)より小さく、総閾値から全負荷に電力を供給したときの電力の合計値(以下、「総オン電力値」と称する)を減算した値より大きい範囲の値となる。
図7は電力上限値が設定されない場合の総電力差積算値の一例を示す説明図であり、上記の様子を表している。
以下、動作原理を分かり易く説明するために閾値がゼロである場合で説明するが、閾値がゼロである必要はない。
一方、温度調節計等から送られてくる出力目標値は、PID演算等で算出される連続的な値であるため、その出力目標値から算出した目標電力値も連続的な値である。よって、目標電力値を全チャンネル分合計した値である総目標電力値も連続的な値である。
以上の理由により、総目標電力値と総出力電力値は例外的な場合を除いて一致することはない。例えば、図6及び図8においても、総出力電力値は総目標電力値に対して、大きな値である状態と小さな値である状態を繰り返すが、総出力電力積算値と総目標電力積算値はほぼ一致するように制御されている。
図8では、16チャンネルの制御対象をピーク電力抑制制御した場合の各チャンネルのオンオフ状況の一例を示している。
図8の例では、総出力電力値がばらついており、総てのチャンネルがオフしている状態や、電力上限値に近い電力値の状態もある。
このことから、単位時間毎の総出力電力値の最大値と最小値の差を小さくするためには、電力上限値は、出来るだけ総目標電力値に近い値にすればよいことが分かる。
ただし、総出力電力値は離散的な値であり、かつ、例外的な場合を除き総出力電力値は電力上限値未満の値になるため、電力上限値を総目標電力値に近づけ過ぎると、ピーク電力抑制制御の動作によって、目標電力積算値を負荷に供給することができなくなる。
図8のB部における総電力差積算値の変化を示している図9のB部は、前記状態を示す一例である。電力上限値を総目標電力値に近づけ過ぎた場合や、電力上限値が総目標電力値より小さい場合には、総目標電力値を出力できないため、時分割出力制御方式の動作原理によって、総電力差積算値が単調増加する。図9のB部は、電力上限値を総目標電力値に近づけ過ぎた場合や、電力上限値が総目標電力値より小さい時に総電力差積算値が単調増加する様子を示している。
以下、適正な電力上限値の算出方法を明示する。
図10は方法Aで電力上限値が設定された場合の各チャンネルのオンオフ状況の一例を示す説明図である。
また、図11は方法Aで電力上限値が設定された場合の総電力差積算値の一例を示す説明図である。
適正な電力上限値は、各負荷1−mの定格電力のバラツキや、調節計2−mなどから送られてくる電力目標値によって変化する値であるため、その定格電力や電力目標値に応じて所定の範囲内の任意の値に設定する必要がある。
例えば、n回目の制御サイクルでは、負荷1−mに供給された出力電力値qm(n−1)チルダを補正値Hnとしてもよいし、負荷1−mに電力が供給されているときの出力電力値の平均値、最小値又は最大値を補正値Hnとしてもよい。
また、その平均値、最小値又は最大値に対して適正な係数を乗算した結果を補正値Hnとしてもよい。
これにより、電力上限値PLIMは、総目標電力値〜(総目標電力値+補正値Hn)の範囲内の値になる。
このことより、単位時間毎の総出力電力値の最大値と最小値の差を更に小さくできる点で改善の余地はあるが、方法Aで設定された電力上限値PLIMは、限界値(総出力電力値の最大値)に対して余裕があるため、目標電力値xmnに対する出力電力値qmnチルダの遅れが小さくなって、温度制御への影響が小さくなるメリットがある。
図10に示すように、方法Aで設定された電力上限値PLIMは、総目標電力値の変化に応じて変動しているため、単位時間毎の総出力電力値のバラツキが小さくなり、結果として、総出力電力値の最大値も小さくなっている。
また、固定の電力上限値の場合、図8のB部に示すように、総目標電力値が電力上限値以上になると、総目標電力値を出力することができなくなる問題があるが、方法Aで電力上限値PLIMが設定される場合、総目標電力値の変化に応じて変動するため、総目標電力値が電力上限値PLIM以上になることがなく、上記のような問題が発生しない。
図12は方法Bで電力上限値が設定された場合の各チャンネルのオンオフ状況の一例を示す説明図である。
また、図13は方法Bで電力上限値が設定された場合の総電力差積算値の一例を示す説明図である。
この場合、方法Bは、「負荷1−1〜1−Mの電力差積算値の総和に所定の係数を乗算し、その乗算結果を補正値Hnとして、総目標電力値に加算することで、電力上限値PLIMを算出する」方法となる。
なお、上記の所定の係数の逆数は、PID制御において、一般的に積分時間と言われる値に相当する値であるため、所定の係数を乗算することは、積分時間で除算することと同義である。
図9は固定の電力上限値が設定された場合の総電力差積算値の一例を示す説明図であるが、図9のA部が上記の状況に相当する。
一方、ピーク電力抑制機能によって、負荷1−mに電力が供給されない場合、(n−1)回目の制御サイクルまでの電力差積算値sm(n−1)は増加する。図9のB部が上記の状況に相当する。
このため、方法Bによって、負荷1−1〜1−Mの電力差積算値s1(n−1)〜sM(n−1)の総和Σs(n−1)を積分時間で除算し、その除算結果を補正値Hnとして、目標電力値x1n〜xMnの総和Σxnに加算することで、電力上限値PLIMを算出すると、以下のようになる。
一方、電力上限値PLIMが大きく、十分な総出力電力値を出力できる状況下では、総電力差積算値がマイナスの値(総閾値より小さい値)になるため、電力上限値PLIMが徐々に小さな値になり、いずれ必要以上に大きな電力上限値PLIMの状態が解消される。
以上より、方法Bで電力上限値が設定された場合、図12に示すように、電力上限値PLIMが適正な値で平衡状態になる。
図14は方法Cで電力上限値が設定された場合の各チャンネルのオンオフ状況の一例を示す説明図である。
また、図15は方法Cで電力上限値が設定された場合の総電力差積算値の一例を示す説明図である。
上限値算出部20は、補正値算出部19から補正値Hnを受けると、総目標電力値(総目標電力値算出部18により算出された目標電力値x1n〜xMnの総和Σxn)に対して、その補正値Hnを加算することで、供給電力値の電力上限値PLIMを算出する(上記の式(6)を参照)。
このため、方法A又は方法Bを用いる場合よりも、図15に示すように、総目標電力積算値と総出力電力積算値との一致性を改善することが可能になる。
また、使用者による電力上限値PLIMの設定の手間を省くことができる効果を奏する。
Claims (8)
- 各々の制御対象に供給する電力の入切を所定の単位時間毎に切り換える複数のスイッチング制御手段と、
前記各々の制御対象に供給する電力の目標値である目標電力値を算出する目標電力値算出手段と、
前記各々の制御対象に供給された電力の値である出力電力値を算出する出力電力値算出手段と、
前記各々の制御対象毎に、電力が供給されているときに前記出力電力値算出手段により算出された出力電力値から、次の制御サイクルの単位時間中に制御対象に電力を供給した場合の電力値を推定する電力推定手段と、
前記目標電力値算出手段により算出された各々の制御対象の目標電力値の総和に基づいて、単位時間当りの総ての制御対象に対する供給電力値の上限値を算出する上限値算出手段と、
前記各々の制御対象毎に、前記目標電力値算出手段により算出された目標電力値の加算と前記出力電力値算出手段により算出された出力電力値の減算を制御サイクル毎に繰り返すことで電力差積算値を算出し、前回の制御サイクルまでの電力差積算値と前記目標電力値算出手段により算出された次の制御サイクルの目標電力値とを加算して、その加算値である最新の中間積算電力値を算出する中間積算電力値算出手段と、
前記各々の制御対象の中で、前記中間積算電力値算出手段により算出された中間積算電力値が大きい制御対象から順番に、当該制御対象の中間積算電力値が所定の閾値より大きく、かつ、当該制御対象に対する電力の供給を行うとした場合に、前記電力推定手段により推定された当該制御対象の電力値と、前記電力推定手段により推定された電力値であって、次の制御サイクルで電力の供給を行うことを決定している他の制御対象の電力値との総和が前記上限値算出手段により算出された上限値より高くならない電力供給条件を満足すれば、当該制御対象のスイッチング制御手段を入り状態に制御し、前記電力供給条件を満足しなければ、当該制御対象のスイッチング制御手段を切り状態に制御する処理を繰り返し行い、総ての制御対象について次の制御サイクルにおける前記スイッチング制御手段の入切を制御する電力制御手段と
を備えた電力制御装置。 - 前記上限値算出手段は、前記目標電力値算出手段により算出された各々の制御対象の目標電力値の総和に対して所定の補正値を加算することで、供給電力値の上限値を算出することを特徴とする請求項1記載の電力制御装置。
- 前記上限値算出手段は、前記目標電力値算出手段により算出された各々の制御対象の目標電力値の総和に対して所定の係数を乗算することで、供給電力値の上限値を算出することを特徴とする請求項1記載の電力制御装置。
- 前記上限値算出手段は、前記中間積算電力値算出手段により算出された各々の制御対象の電力差積算値の総和を所定の積分時間で除算し、その除算結果を補正値として、前記目標電力値算出手段により算出された各々の制御対象の目標電力値の総和に加算することで、供給電力値の上限値を算出することを特徴とする請求項1記載の電力制御装置。
- 前記上限値算出手段は、前記中間積算電力値算出手段により算出された各々の制御対象の電力差積算値の総和と、前記各々の制御対象における閾値の総和との差分を所定の積分時間で除算し、その除算結果を補正値として、前記目標電力値算出手段により算出された各々の制御対象の目標電力値の総和に加算することで、供給電力値の上限値を算出することを特徴とする請求項1記載の電力制御装置。
- 前記上限値算出手段により加算される補正値は、零値から、当該制御対象に供給される電力の最大値に至る範囲内の値であることを特徴とする請求項2記載の電力制御装置。
- 前記上限値算出手段は、零値から、当該制御対象に供給される電力の最大値に至る範囲内にある補正値、または、所定の積分時間で除算した除算結果である補正値のいずれか一方を前記目標電力値算出手段により算出された各々の制御対象の目標電力値の総和に加算することで、供給電力値の上限値を算出することを特徴とする請求項4または請求項5記載の電力制御装置。
- 複数のスイッチング制御手段が、各々の制御対象に供給する電力の入切を所定の単位時間毎に切り換える複数のスイッチング処理ステップと、
目標電力値算出手段が、前記各々の制御対象に供給する電力の目標値である目標電力値を算出する目標電力値算出処理ステップと、
出力電力値算出手段が、前記各々の制御対象に供給された電力の値である出力電力値を算出する出力電力値算出処理ステップと、
電力推定手段が、前記各々の制御対象毎に、電力が供給されているときに前記出力電力値算出処理ステップで算出された出力電力値から、次の制御サイクルの単位時間中に制御対象に電力を供給した場合の電力値を推定する電力推定処理ステップと、
上限値算出手段が、前記目標電力値算出処理ステップで算出された各々の制御対象の目標電力値の総和に基づいて、単位時間当りの総ての制御対象に対する供給電力値の上限値を算出する上限値算出処理ステップと、
中間積算電力値算出手段が、前記各々の制御対象毎に、前記目標電力値算出処理ステップで算出された目標電力値の加算と前記出力電力値算出処理ステップで算出された出力電力値の減算を制御サイクル毎に繰り返すことで電力差積算値を算出し、前回の制御サイクルまでの電力差積算値と前記目標電力値算出処理ステップで算出された次の制御サイクルの目標電力値とを加算して、その加算値である最新の中間積算電力値を算出する中間積算電力値算出処理ステップと、
電力制御手段が、前記各々の制御対象の中で、前記中間積算電力値算出処理ステップで算出された中間積算電力値が大きい制御対象から順番に、当該制御対象の中間積算電力値が所定の閾値より大きく、かつ、当該制御対象に対する電力の供給を行うとした場合に、前記電力推定処理ステップで推定された当該制御対象の電力値と、前記電力推定処理ステップで推定された電力値であって、次の制御サイクルで電力の供給を行うことを決定している他の制御対象の電力値との総和が前記上限値算出処理ステップで算出された上限値より高くならない電力供給条件を満足すれば、当該制御対象のスイッチング制御手段を入り状態に制御し、前記電力供給条件を満足しなければ、当該制御対象のスイッチング制御手段を切り状態に制御する処理を繰り返し行い、総ての制御対象について次の制御サイクルにおける前記スイッチング制御手段の入切を制御する電力制御処理ステップと
を備えた電力制御方法。
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