上記先に提案しているサイクル制御装置を用いて、同一の電源に並列に接続された複数の負荷、例えばヒータに供給する電力を制御して温度制御を行うような場合において、温度制御の開始時には、複数のヒータが同時に全ONとなるために、その間の電力消費が著しく大きくなり、また、その大きな電力消費に耐え得る大きな電流源やトランス等が必要になり、その分、大きな設置スペースを確保する必要があるとともに、コストも高くつくといった難点がある。このため、ピークにおける消費電力を抑制できるようにすることが望まれる。
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、高調波の発生を抑制し、高精度な制御が可能であって、しかも、ピーク電力を制限できる電力制御方法、電力制御装置並びに温度調節器を提供することを目的としている。
(1)本発明の電力制御方法は、複数の入力電力指令値に基づく複数の出力電力指令値を用いて、同一電源から複数の負荷への電力供給ラインに設けられた複数のスイッチング手段のON/OFF制御を行って前記各負荷に個別的に対応する各チャンネルの電力を制御する方法において、前記入力電力指令値と前記出力電力指令値との差を出力誤差値として累積し、閾値と比較して閾値を上回るときには、ONに対応する前記出力電力指令値を設定して前記スイッチング手段をON制御する一方、前記閾値を下回るときには、OFFに対応する前記出力電力指令値を設定して前記スイッチング手段をOFF制御する処理を、各チャンネル毎に行うとともに、所定周期毎に全チャンネルについて行うものであって、前記複数の入力電力指令値の総和が、出力電力指令値の総和の制限値を上回るときには、前記出力電力指令値の設定を制限してその総和が前記制限値を上回らないようにする一方、前記出力誤差累積値を制限するものである。
「入力電力指令値」とは、負荷に供給する電力を制御するために与えられる指令値をいい、例えば、調節計やPLC(プログラマブルロジックコントローラ)などから与えられる操作量などをいい、例えば、0%〜100%の値をとる。
「出力電力指令値」とは、入力電力指令値に基づいて得られる指令値であって、スイッチング手段をONまたはOFFに制御するのに用いられる指令値をいい、ONまたはOFFに対応して、例えば、100%または0%の値をとる。
「スイッチング手段」とは、ON/OFFして負荷への電力の供給/遮断を行う手段をいい、例えば、SSR、トライアック、サイリスタやパワートランジスタなどのスイッチング素子から構成される。
「所定周期」とは、電力制御を行うために定めた周期をいい、応答速度を高めるためには、短い周期であるのが好ましい。
「所定周期毎に全チャンネルについて行う」とは、所定周期毎に全チャンネルの処理が行われること、すなわち、所定周期内で全てのチャンネルの処理が行われることをいう。
出力電力指令値の総和の制限値は、ユーザが任意に設定できるようにするのが好ましい。
閾値は、0%以上100%以下の範囲にあるのが好ましく、速応性の観点からは小さいのが好ましい。
本発明によると、出力電力指令値の設定を制限して全チャンネルの出力電力指令値の総和が制限値を上回らないようにするとともに、出力電力指令値を制限するのに伴って出力誤差累積値が累積されてオーバーフローすることがないように、出力誤差累積値も制限しているので、高調波の発生を抑制し、高精度な制御を可能としながら、ピーク電力を制限することができる。
(2)本発明の電力制御方法の一つの実施形態では、前記入力電力指令値と前記出力電力指令値との差を、出力誤差値として演算する演算ステップと、前記出力誤差値を累積して出力誤差累積値とする出力誤差累積ステップと、前記出力誤差累積値と前記入力電力指令値とを加算して判定値とする加算ステップと、前記判定値と前記閾値とを比較して、前記判定値が前記閾値を上回るときに、前記ON制御する一方、前記判定値が前記閾値を下回るときには、前記OFF制御する制御ステップとを含む処理を、各チャンネル毎に行うとともに、前記所定周期毎に全チャンネルについて行うものであって、前記所定周期毎に、前記制御ステップにおける前記出力電力指令値の設定を、前記出力誤差累積値の大きいチャンネルの順に行わせるとともに、前記ONに対応する前記出力電力指令値の設定を行うと前記制限値を上回ることになるチャンネルについては、強制的に前記OFFに対応する前記出力電力指令値を設定させて出力電力指令値を制限する一方、前記制限値を上回る入力電力指令値に応じて、前記出力誤差累積値を制限する制限ステップを含むものである。
強制的に前記OFFに対応する前記出力電力指令値を設定させるとは、制御ステップにおいては、本来、判定値と閾値との比較結果に応じて、出力電力指令値が設定されるのであるが、この比較結果によらず、OFFに対応する出力電力指令値を設定することをいう。
判定値は、出力誤差累積値と入力電力指令値とを加算したものであるので、出力誤差累積値の大きいチャンネルの順は、判定値の大きいチャンネルの順としてもよい。
出力誤差累積値が等しい場合には、予め定めたチャンネルの順に出力電力指令値の設定を行えばよい。
この実施形態によると、出力誤差累積値の大きいチャンネルが優先されてONに対応する出力電力指令値の設定が許容されるので、出力誤差累積値が特定のチャンネルに偏ることがなく、各チャンネルの入力電力指令値に応じた出力電力指令値が得られることになる。
(3)上記(2)の実施形態において、前記制限ステップでは、前記複数の各入力電力指令値に対して可変の係数を乗算または除算して前記出力誤差累積値を制限し、前記演算ステップおよび前記加算ステップでは、前記係数が乗算または除算された入力電力指令値を用いて演算および加算を行うようにしてもよい。
可変の係数は、複数の入力電力指令値の総和が、出力電力指令値の総和の制限値を上回るときに、その上回る指令値に応じて変化する係数であるのが好ましい。
乗算または除算は、係数として逆数を用いるか否かに応じて選択されるものである。
この実施形態によると、入力電力指令値に対して、係数を乗算または除算することにより、制限値を上回る入力電力指令値に応じて、出力誤差累積値を制限して出力誤差累積値がオーバーフローするのを防止することができる。
(4)上記(2)の実施形態において、前記制限ステップでは、前記演算ステップで用いられる前記出力電力指令値に可変の係数を乗算または除算して前記出力誤差累積値を制限してもよい。
この実施形態によると、出力電力指令値に係数を乗算または除算することにより、制限値を上回る入力電力指令値に応じて、出力誤差累積値を制限して出力誤差累積値がオーバーフローするのを防止することができる。
(5)上記(3)または(4)の実施形態において、前記係数を、前記複数の入力電力指令値の総和と出力電力指令値の総和の制限値との比としてもよい。
前記比は、入力電力指令値の総和の出力電力指令値の総和の制限値に対する比であってもよいし、入力電力指令値の総和に対する出力電力指令値の総和の制限値の比であってもよい。
この実施形態によると、制限される入力電力指令値の大きさに応じた係数を用いて各チャンネルの出力誤差累積値を制限できるので、各チャンネルの入力電力指令値に応じた比率で各チャンネルの出力電力指令値を得ることができる。
(6)上記(1)〜(5)の実施形態において、前記電源を交流電源とし、前記所定周期を、交流の半サイクルの整数倍の周期としてもよい。
この実施形態によると、先に提案しているサイクル制御装置と同様に、高調波の発生を抑制し、高精度な制御が可能となる。
(7)本発明の電力制御装置は、複数の入力電力指令値に基づく複数の出力電力指令値を用いて、同一電源から複数の負荷への電力供給ラインに設けられた複数のスイッチング手段のON/OFF制御を行って前記各負荷に個別的に対応する各チャンネルの電力を制御する装置において、各チャンネルに個別的に対応して、前記入力電力指令値と前記出力電力指令値との差を出力誤差値として累積し、閾値と比較して閾値を上回るときには、ONに対応する前記出力電力指令値を設定して前記スイッチング手段をON制御する一方、前記閾値を下回るときには、OFFに対応する前記出力電力指令値を設定して前記スイッチング手段をOFF制御する処理を、所定周期毎に行う複数の制御手段と、前記所定周期毎に、前記複数の入力電力指令値の総和が、前記複数の出力電力指令値の総和の制限値を上回るときには、前記出力電力指令値の設定を制限してその総和が前記制限値を上回らないようにする一方、前記出力誤差累積値を制限する制限手段とを備え、
前記制御手段で設定される前記各チャンネルについての前記出力電力指令値を用いて、前記各スイッチング手段のON/OFF制御を行なうものである。
本発明によると、出力電力指令値の設定を制限して全チャンネルの出力電力指令値の総和が制限値を上回らないようにするとともに、出力電力指令値を制限するのに伴って出力誤差累積値が累積されてオーバーフローすることがないように、出力誤差累積値も制限しているので、高調波の発生を抑制し、高精度な制御を可能としながら、ピーク電力を制限することができる。
(8)本発明の電力制御装置の一つの実施形態において、前記制御手段は、前記入力電力指令値と前記出力電力指令値との差を出力誤差値とする演算を、前記所定周期毎に全チャンネルについて行う演算部と、前記出力誤差値を累積して出力誤差累積値とする累積処理を、前記所定周期毎に全チャンネルについて行う出力誤差累積部と、前記出力誤差累積値と前記入力電力指令値とを加算して判定値とする加算処理を、前記所定周期毎に全チャンネルについて行う加算部と、前記判定値と閾値とを比較し、前記判定値が前記閾値を上回るときに、前記ONに対応する前記出力電力指令値を設定する一方、前記出力誤差累積値が前記閾値を下回るときには、前記OFFに対応する前記出力電力指令値を設定する処理を、前記所定周期毎に全チャンネルについて行う制御部とを備え、前記制限手段は、前記制御部における前記出力電力指令値の設定を、前記出力誤差累積値の大きいチャンネルの順に行わせるとともに、前記ONに対応する前記出力電力指令値の設定を行うと前記制限値を上回ることになるチャンネルについては、強制的に前記OFFに対応する前記出力電力指令値を設定させて出力電力指令値を制限する出力電力指令値制限部と、前記制限値を上回る入力電力指令値に応じて、前記出力誤差累積値を制限する出力誤差累積値制限部とを備えるようにしてもよい。
この実施形態によると、出力誤差累積値の大きいチャンネルが優先されてONに対応する出力電力指令値の設定が許容されるので、出力誤差累積値が特定のチャンネルに偏ることがなく、各チャンネルの入力電力指令値に応じた出力電力指令値が得られることになる。
(9)上記(8)の実施形態において、前記出力誤差累積値制限部は、複数の各入力電力指令値に対して可変の係数を乗算または除算し、前記制御手段の前記演算部および前記加算部では、前記係数が乗算または除算された入力電力指令値を用いて演算および加算を行うようにしてもよい。
この実施形態によると、入力電力指令値に対して、係数を乗算または除算することにより、制限値を上回る入力電力指令値に応じて、出力誤差累積値を制限して出力誤差累積値がオーバーフローするのを防止することができる。
(10)上記(8)の実施形態において、前記出力誤差累積値制限部は、前記演算部で用いられる前記出力電力指令値に可変の係数を乗算または除算して出力誤差累積値を制限してもよい。
この実施形態によると、出力電力指令値に係数を乗算または除算することにより、制限値を上回る入力電力指令値に応じて、出力誤差累積値を制限して出力誤差累積値がオーバーフローするのを防止することができる。
(11)上記(9)または(10)の実施形態において、前記係数を、前記複数の入力電力指令値の総和と出力電力指令値の総和の制限値との比としてもよい。
この実施形態によると、制限される入力電力指令値の大きさに応じた係数を用いて各チャンネルの出力誤差累積値を制限できるので、各チャンネルの入力電力指令値に応じた比率で各チャンネルの出力電力指令値を得ることができる。
(12)上記(7)〜(11)の実施形態において、前記電源を交流電源とし、前記所定周期を、交流の半サイクルの整数倍の周期としてもよい。
この実施形態によると、先に提案しているサイクル制御装置と同様に、高調波の発生を抑制し、高精度な制御が可能となる。
(13)上記(7)〜(12)の実施形態において、前記入力電力指令値が、温度調節器から与えられるものとしてもよい。
この実施形態によると、温度調節器から与えられる入力電力指令値に応じて負荷の通電を制御して温度制御することができる。
(14)本発明の温度調節器は、本発明の電力制御装置を内蔵したものである。
この温度調節器は、各チャンネルに対応するユニットおよびそれらを制御するユニットを連結する構成であってもよい。
本発明によると、ピーク電力を制限して温度制御を行うことが可能となり、特に多点の温度調節器に好適である。
本発明によれば、出力電力指令値の設定を制限して全チャンネルの出力電力指令値の総和が制限値を上回らないようにするとともに、出力電力指令値を制限するのに伴って出力誤差累積値が累積されてオーバーフローすることがないように、出力誤差累積値も制限しているので、高調波の発生を抑制し、高精度な制御を可能としながら、ピーク電力を制限することができる。したがって、ユーザが希望する総使用電力内で装置を使用することが可能となる。
以下、図面によって、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る電力制御装置を備える温度制御システムの要部の概略構成を示すブロック図である。
この実施の形態の電力制御装置1は、温度調節器、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)あるいはPC(パーソナルコンピュータ)などの上位コントローラ2からの複数チャンネル、この例では、3チャンネルch1〜ch3の入力電力指令値(入力操作量)が与えられる電力制御演算部5と、この電力制御演算部5の出力電力指令値(出力操作量)に応答して、同一の交流電源3に並列接続された負荷としての3つのヒータ41〜43に対する電力の供給遮断を行うSSR等の複数のスイッチング素子61〜63とを備えている。
この実施形態では、ユーザが希望する使用電力を超えないようにピーク電力を制限できる、すなわち、3チャンネルch1〜ch3の出力電力指令値(出力操作量)の総和を制限できるものであり、上位コントローラ2あるいは図示しない設定部からユーザが、3チャンネルch1〜ch3の出力電力指令値(出力操作量)の総和の制限値、例えば、200%を設定できるものである。
このため、電力制御演算部5は、図2のブロック図に示されるように、各チャンネルに個別的に対応して、各スイッチング素子61〜63のON/OFFを制御する3つの制御手段71〜73と、3チャンネルch1〜ch3の入力電力指令値(入力操作量)の総和が、電力制御演算部5から出力される出力電力指令値(出力操作量)の総和の制限値を上回るときに、制限処理を行う制限手段8とを備えている。
各制御手段71〜73は、制限手段8を介して与えられる入力電力指令値(入力操作量)と出力電力指令値(出力操作量)との出力誤差を算出する出力誤差演算部9と、出力誤差演算部9で求めた出力誤差を累積する出力誤差累積部10と、除算された入力電力指令値と出力誤差累積値とを加算して判定値とする加算部11と、判定値と閾値とを比較し、閾値以上のときに、ONに対応する100%の出力電力指令値を設定してスイッチング素子61〜63をそれぞれON制御する一方、閾値未満ときに、OFFに対応する0%出力電力指令値を設定してスイッチング素子61〜63をOFF制御する制御部12とを備えており、所定周期、例えば、交流の半サイクル毎に処理を行うものである。
制限手段8は、各制御部12における出力電力指令値の設定を、出力誤差累積値の大きいチャンネルの順に行わせるとともに、ONに対応する出力電力指令値の設定を行うと出力電力指令値の総和の制限値を上回ることになるチャンネルについては、強制的にOFFに対応する出力電力指令値を設定させて出力電力指令値を制限する出力電力指令値制限部13と、制限値を上回る入力電力指令値に応じて、出力誤差累積値を制限する出力誤差累積値制限部とを備えている。
出力誤差累積値制限部は、上位コントローラ2からの各チャンネルch1〜ch3の入力電力指令値(入力操作量)の総和を算出する加算部14と、この加算部14で算出された入力電力指令値の総和に応じて、係数Kを算出する係数算出部15と、算出された係数Kの逆数を、各チャンネル毎の入力電力指令値にそれぞれ乗算する乗算部16とを備えている。
係数算出部15では、各チャンネルの入力電力指令値の総和が、例えば、ユーザが設定した制限値を超えたときには、係数Kを次式に従って算出して乗算部16に設定する一方、入力電力指令値の総和が、制限値以下であるときには、係数K=1として乗算部16に設定する。
K=入力電力指令値(入力操作量)の総和/出力電力指令値(出力操作量)の総和の制限値
この制限手段8は、所定周期、例えば、交流の半サイクル毎に制限処理を行う。
以上の構成を有する電力制御演算部5は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
次に、この実施の形態の動作を、図3のフローチャートおよび表1の数値例に基づいて詳細に説明する。
表1では、サンプル周期1〜8の各周期において、出力操作量(出力電力指令値)の総和の制限値、各チャンネルch1〜ch3の入力操作量(入力電力指令値)、入力操作量(入力電力指令値)の総和、係数K、各チャンネルch1〜ch3の出力誤差累積値、各チャンネルch1〜ch3の判定値、後述するチャンネル順位、閾値、各チャンネルch1〜ch3の出力操作量(出力電力指令値)、合計の出力操作量が示されている。この表1の例では、制限値は200%、入力される各チャンネルch1〜ch3の操作量が全て100%である例を示している。
以下、最初の数サンプル周期を例にとって動作を説明する。
図3を参照して、先ず初回処理であるか否かを判断し(ステップn1)、初回処理であるので、各チャンネルch1〜ch3の出力誤差累積値、出力操作量を0%に初期化する(ステップn2)。
全チャンネルの操作量(入力電力指令値)の総和が、制限値である200%より大きいか否かを判断する(ステップn3)。表1に示すように、サンプル周期1では、各チャンネルch1〜ch3の入力操作量は、いずれも100%であるから操作量の総和300%は制限値200%を上回り、係数Kを、300/200=1.5とし(ステップn4)、ステップn6に移る。操作量(入力電力指令値)の総和が、制限値を上回っていないときには、係数Kを1としてステップn6に移る(ステップn5)。
ステップn6では、チャンネル番号nを1とし、チャンネルch1の今回の出力誤差累積値を、前回の出力誤差累積値+前回操作量/K−前回出力操作量から算出してステップn8に移る(ステップn7)。このように前回操作量と前回出力操作量とを用いて出力誤差累積値を算出しているので、図2の出力誤差累積部10は、1周期遅らせるZ−1回路を含んでいると考えることもできる。表1に示すサンプル周期1では、最初の周期であるから、何れも初期値0%であり、チャンネルch1の出力誤差累積値は、表1に示すように0%となる。
ステップn8では、チャンネルch1の判定値を、出力誤差累積値+チャンネルch1の今回の操作量/Kから算出してステップn9に移る。表1に示すように、チャンネルch1の今回の操作量は、100%であり、係数Kは、1.5であるからチャンネルch1の判定値は、表1に示すように、66.67%となる。
ステップn9では、全てのチャンネルについて、終了したか否かを判断し、終了していないので、チャンネル番号に1を加えて新たなチャンネル番号とし(ステップn10)、ステップn7に戻り、チャンネルch2についても同様に処理し(ステップn7〜n8)、更に、チャンネルch3についても同様に処理する(ステップn7〜n8)。
ステップn9において、全てのチャンネルch1〜ch3について終了したときには、ステップn11に移り、判定値の大きい順にソート(並べ替え)し、チャンネル番号を、チャンネル順位に代入する。例えば、チャンネルch1の判定値が50%、チャンネルch2の判定値が100%、チャンネルch3の判定値が70%であるとすると、判定値が最も大きいチャンネルch2がチャンネル順位(1)となり、次に判定値が大きいチャンネルch3がチャンネル順位(2)となり、判定値が最も小さいチャンネルch1がチャンネル順位(3)となる。
なお、判定値の大きい順でなく、出力誤差累積値の大きい順としてもよい。
サンプル周期1では、表1に示すように、いずれも判定値が、66.67%であるので、この場合には、予め定めた順位であるチャンネル番号の順番、すなわち、チャンネル順位(1)がチャンネルch1、チャンネル順位(2)がチャンネルch2、チャンネル順位(3)がチャンネルch3となる。
次に、出力操作量の総和である合計操作量を0%にするとともに、チャンネル順位を1に設定し(ステップn12)、チャンネル順位(1)のチャンネルの判定値が、閾値(この例では50%)以上であるか否かを判断する(ステップn13)。サンプル周期1では、表1に示すように、チャンネル順位(1)のチャンネルch1の判定値は、66.67%であって、閾値50%以上であるので、チャンネルch1の出力操作量(出力電力指令値)を100%とし(ステップn14)、合計操作量を、合計操作量+チャンネル順位(1)の出力操作量から算出し(ステップn16)、ステップn17に移る。 チャンネルch1の出力操作量を100%としたので、合計操作量は、100%となる。なお、ステップn13において、判定値が閾値未満であるときには、出力操作量を0%としてステップn16に移る(ステップn15)。
ステップn17では、合計操作量が制限値である200%を超えたか否かを判断し、制限値を超えていないので、全てのチャンネルについて終了したか否か判断し(ステップn20)、終了していないので、チャンネル順位に1を加えて新たなチャンネル順位(2)としてステップn13に戻る(ステップn18)。
サンプル周期1では、チャンネル順位(2)であるチャンネルch2の判定値は、閾値以上であるので、チャンネルch2の出力操作量は100%となり、合計操作量は、それまでの合計操作量100にチャンネルch2の出力操作量を加えて200%となる。
ステップn17では、合計操作量が制限値である200%を超えていないので、全てのチャンネルについて終了したか否か判断し(ステップn20)、終了していないので、チャンネル順位に1を加えて新たなチャンネル順位(3)としてステップn13に戻る(ステップn18)。
サンプル周期1では、チャンネル順位(3)であるチャンネルch3の判定値は、閾値以上であるので、チャンネルch3の出力操作量は100%となり、合計操作量は、それまでの合計操作量200%にチャンネルch3の出力操作量を加えて300%となる。
これによって、ステップn17では、合計操作量が制限値である200%を超えるので、ステップn18に移り、チャンネル順位(3)であるチャンネルch3の出力操作量を強制的に0%に設定し、残りのチャンネルchがある場合には、そのチャンネルchの出力操作量を強制的に0%に設定して次の処理に移行する。
すなわち、出力操作量(出力電力指令値)の総和である合計操作量が、制限値である200%に達するまでの上位のチャンネル順位のチャンネルch1,2は、表1に示すように、スイッチング素子のON制御に対応する出力操作量100%が設定され、制限値に達したチャンネルch3および存在する場合には、その他のチャンネルは、スイッチング素子のOFF制御に対応する出力操作量0%が強制的に設定されることになり、出力操作量の総和が、制限値に制限されることになる。
なお、各スイッチング素子61〜63は、ステップn14,15,18,19で設定された出力操作量に応じて、次のサンプル周期でON/OFF制御される。
次に、サンプル周期2では、初回処理ではないので、ステップn3に移り、全チャンネルの入力操作量の合計が、制限値である200%より大きいか否かを判断する。表1に示すように、サンプル周期2では、各チャンネルch1〜ch3の入力操作量は、いずれも100%であるから合計操作量300%は制限値200%を上回り、係数Kを、300/200=1.5とし(ステップn4)、ステップn6に移る。
ステップn6では、チャンネル番号nを1とし、チャンネルch1の今回の出力誤差累積値を、前回の出力誤差累積値+前回操作量/K−前回出力操作量から算出してステップn8に移る(ステップn7)。表1に示すように、チャンネルch1の前回(サンプル周期1)の出力誤差累積値は、0%であり、前回操作量/Kは、100/1.5=66.67%であり、前回の出力操作量は、100%であるので、出力誤差累積値は、−33.3%になる。
ステップn8では、チャンネルch1の判定値を、出力誤差累積値+チャンネルch1の今回の操作量/Kから算出してステップn9に移る。表1に示すように、チャンネルch1の今回操作量は、100%であり、係数Kは、1.5であるからチャンネルch1の判定値は、表1に示すように、33.33%となる。同様に、チャンネルch2の判定値も33.33%となる。
チャンネルch3は、ステップn7における出力誤差累積値が、前回の出力誤差累積値+前回操作量/K−前回出力操作量から0−100/1.5−0=66.67%となり、したがって、ステップn8における判定値が、出力誤差累積値+チャンネルch3の今回操作量/Kから66.67+100/1.5=133.3%となる。
次に、ステップn11では、判定値の大きい順にソートする。このサンプル周期2では、チャンネルch1,2の判定値が33.33%であり、チャンネルch3の判定値が133.3%であるので、判定値が最も大きいチャンネルch3がチャンネル順位(1)となり、判定値が同じch1,2は、チャンネル番号通り、チャンネルch1がチャンネル順位(2)となり、チャンネルch2がチャンネル順位(3)となる。
次に、合計操作量を0%にするとともに、チャンネル順位を1に設定し(ステップn12)、チャンネル順位(1)のチャンネルch3の判定値が、閾値以上であるか否かを判断する(ステップn13)。チャンネルch3の判定値は、133.3%であって、閾値50以上であるので、チャンネルch3の出力操作量を100%とし(ステップn14)、合計操作量を、合計操作量+チャンネル順位(1)の出力操作量から算出し(ステップn16)、ステップn17に移る。
ステップn17では、合計操作量が制限値である200%を超えていないので、チャンネル順位に1を加えて新たなチャンネル順位(2)としてステップn13に戻る。
チャンネル順位(2)のチャンネルch1の判定値は、33.33%であって、閾値未満であるので、チャンネルch1の出力操作量を0%とし(ステップn15)、合計操作量は、100%となる。
同様に、チャンネル順位(3)であるチャンネルch2の判定値は、閾値未満であるので、チャンネルch2の出力操作量は0%となり、合計操作量は、100%のままとなる。
ステップn17では、合計操作量が制限値である200%を超えていないので、ステップn20に移り、全チャンネルが終了したので、次の処理に移行する。
このサンプル周期2では、出力誤差累積値の最も大きかったチャンネルch3のみ出力操作量100%となり、チャンネルch1,2は、出力操作量0%となる。
次に、サンプル周期3では、ステップn3において、全チャンネルの入力操作量の合計が、制限値である200%より大きいか否かを判断する。表1に示すように、サンプル周期3では、各チャンネルch1〜ch3の入力操作量は、いずれも100%であるから合計操作量300%は制限値200%を上回り、係数Kを、300/200=1.5とし(ステップn4)、ステップn6に移る。
ステップn6では、チャンネル番号nを1とし、チャンネルch1の今回の出力誤差累積値を、前回の出力誤差累積値+前回操作量/K−前回出力操作量から算出してステップn8に移る。表1に示すように、チャンネルch1の前回の出力誤差累積値は、−33.3%であり、前回操作量/Kは、100/1.5=66.67%であり、前回出力操作量は、0%であるので、出力誤差累積値は、33.33%になる。
ステップn8では、チャンネルch1の判定値を、出力誤差累積値+チャンネルch1の今回操作量/Kから算出してステップn9に移る。表1に示すように、チャンネルch1の今回操作量は、100%であり、係数Kは、1.5であるからチャンネルch1の判定値は、表1に示すように、100%となる。同様に、チャンネルch2の判定値も100%となる。
チャンネルch3は、ステップn7における出力誤差累積値が、前回の出力誤差累積値+前回操作量/K−前回出力操作量から66.67+100/1.5−100=33.33%となり、したがって、ステップn8における判定値が、出力誤差累積値+チャンネルch3の今回操作量/Kから33.33+100/1.5=100%となる。
次に、ステップn11では、判定値の大きい順にソートする。このサンプル周期3では、いずれも判定値が、100%であるので、この場合には、予め定めた順位であるチャンネル番号の順番、すなわち、チャンネル順位(1)がチャンネルch1、チャンネル順位(2)がチャンネルch2、チャンネル順位(3)がチャンネルch3となる。
次に、合計操作量を0にするとともに、チャンネル順位を1に設定し(ステップn12)、チャンネル順位(1)のチャンネルch1の判定値が、閾値以上であるか否かを判断する(ステップn13)。チャンネルch1の判定値は、100%であって、閾値以上であるので、チャンネルch1の出力操作量を100%とし(ステップn14)、合計操作量を、合計操作量+チャンネル順位(1)の出力操作量から算出し(ステップn16)、ステップn17に移る。同様に、チャンネル順位(2)のチャンネルch2の判定値は、100%であって、閾値以上であるので、チャンネルch2の出力操作量を100%とし(ステップn14)、合計操作量は、200%となる。
ステップn17では、合計操作量が制限値である200%を超えたか否かを判断し、制限値を超えていないので、チャンネル順位に1を加えて新たなチャンネル順位(3)としてステップn13に戻る。
チャンネル順位(3)であるチャンネルch3の判定値は、閾値以上であるので、チャンネルch3の出力操作量は100%となり、合計操作量は、300%となる。
これによって、ステップn17では、合計操作量が制限値である200%を超えるので、ステップn18に移り、チャンネル順位(3)であるチャンネルch3の出力操作量を強制的に0%に設定し、残りのチャンネルchがある場合には、そのチャンネルchの出力操作量を強制的に0%に設定して次の処理に移行する(ステップn19)。
このサンプル周期3では、チャンネルch1,2が出力操作量100%となり、チャンネルch3は、出力操作量0%となる。
以下、各周期について同様の処理を行うものである。
図4は、この実施形態の電力制御装置に入力される入力操作量(入力電力指令値)を示し、図5は、その入力に対応する出力操作量(出力電力指令値)を示すものであり、各図において、(a)〜(c)はチャンネルch1〜ch3を示し、(d)は全チャンネルの総和を示している。各図において、横軸はサンプル周期を示し、縦軸は操作量を示しており、平均の操作量を破線で併せて示している。なお、操作量は、実際は100%または0%であるが、直線で結んだので便宜上このような形になっている。
図4(d)に示すように、全チャンネルch1〜ch3の操作量の総和は、制限値である200%を超えているのであるが、この実施形態によれば、図5(d)に示すように、全チャンネルch1〜ch3の出力操作量の総和は、制限値である200%に制限されていることが分かる。
また、図4では、チャンネルch1およびチャンネルch2の操作量は、100%であり、チャンネルch3の平均の操作量は60%であるのに対して、図5では、チャンネルch1およびチャンネルch2の平均の操作量は、77.0%および76.3%であり、チャンネルch3の平均の操作量は46.1%であり、その比率は、100.0:99.1:59.8となり、各チャンネルの操作量の比率が入力と出力とでほぼ一致していることが分かる。
以上のように、この実施形態によると、ユーザが設定した総使用電力を超えないようにしながら各チャンネルの出力操作量を最適化することが可能となる。
(実施形態2)
図6は、本発明の他の実施形態の図2に対応する構成図であり、対応する部分には、同一の参照符を付す。
上述の実施形態では、係数Kの逆数を、入力電力指令値(操作量)に乗算したのに対して、この実施形態では、制御部12から出力誤差演算部9へフィードバックされる出力電力指令値(出力操作量)に係数Kを乗算部17で乗算するようにしており、その他の構成は、上述の実施形態と同様である。
次に、この実施の形態の動作を、図7のフローチャートおよび表2の数値例に基づいて詳細に説明する。
図7を参照して、先ず初回処理であるか否かを判断し(ステップn1)、初回処理であるので、各チャンネルch1〜ch3の出力誤差累積値、出力操作量を0%に初期化するとともに、係数Kを1に設定する(ステップn2)。ステップn3では、チャンネル番号nを1とし、チャンネルch1の今回の出力誤差累積値を、前回の出力誤差累積値+前回操作量−前回出力操作量×Kから算出してステップn6に移る(ステップn4)。表2に示すサンプル周期1では、最初の周期であるから、何れも初期値0%であり、チャンネルch1の出力誤差累積値は、表2に示すように0となる。
ステップn6では、チャンネルch1の判定値を、出力誤差累積値+チャンネルch1の今回操作量から算出してステップn7に移る。表2に示すように、チャンネルch1の今回操作量は、100%であり、チャンネルch1の判定値は、表2に示すように、100%となる。
ステップn7では、全てのチャンネルについて、終了したか否かを判断し、終了していないので、チャンネル番号に1を加えて新たなチャンネル番号とし(ステップn5)、ステップn4に戻り、チャンネルch2についても同様に処理し(ステップn4〜n6)、更に、チャンネルch3についても同様に処理する(ステップn4〜n6)
ステップn7において、全てのチャンネルch1〜ch3について終了したときには、ステップn8に移り、判定値の大きい順にソートする。サンプル周期1では、表2に示すように、いずれも判定値が、100%であるので、この場合には、予め定めた順位であるチャンネル番号の順番、すなわち、チャンネル順位(1)がチャンネルch1、チャンネル順位(2)がチャンネルch2、チャンネル順位(3)がチャンネルch3となる。
次に、合計操作量を0%にするとともに、チャンネル順位を1に設定し(ステップn9)、チャンネル順位(1)のチャンネルの判定値が、閾値以上であるか否かを判断する(ステップn10)。サンプル周期1では、表2に示すように、チャンネル順位(1)のチャンネルch1の判定値は、100%であって、閾値以上であるので、チャンネルch1の出力操作量を100%とし(ステップn11)、合計操作量を、合計操作量+チャンネル順位(1)の出力操作量から算出し(ステップn13)、ステップn14に移る。チャンネルch1の出力操作量を100%としたので、合計操作量は、100%となる。
ステップn14では、合計操作量が制限値である200%を超えたか否かを判断し、制限値を超えていないので、全てのチャンネルについて終了したか否か判断し(ステップn21)、終了していないので、チャンネル順位に1を加えて新たなチャンネル順位(2)としてステップn10に戻る(ステップn15)。
サンプル周期1では、チャンネル順位(2)であるチャンネルch2の判定値は、閾値以上であるので、チャンネルch2の出力操作量は100%となり、合計操作量は、それまでの合計操作量100%にチャンネルch2の出力操作量を加えて200%となる。
ステップn14では、合計操作量が制限値である200%を超えていないので、全てのチャンネルについて終了したか否か判断し(ステップn21)、終了していないのでチャンネル順位に1を加えて新たなチャンネル順位(3)としてステップn10に戻る。
サンプル周期1では、チャンネル順位(3)であるチャンネルch3の判定値は、閾値以上であるので、チャンネルch3の出力操作量は100%となり、合計操作量は、それまでの合計操作量100%にチャンネルch3の出力操作量を加えて300%となる。
これによって、ステップn14では、合計操作量が制限値である200%を超えるので、ステップn16に移り、チャンネル順位(3)であるチャンネルch3の出力操作量を強制的に0%に設定し、残りのチャンネルchがある場合には、そのチャンネルchの出力操作量を強制的に0%に設定してステップn18に移る(ステップn17)。
ステップn18では、全チャンネルの入力操作量の合計が、制限値である200%より大きいか否かを判断する。表1に示すように、サンプル周期1では、各チャンネルch1〜ch3の入力操作量は、いずれも100%であるから合計操作量300%は制限値200%を上回り、係数Kを、300/200=1.5とし(ステップn19)、次の処理へ移行する。ステップn18において、合計の入力操作量が、制限値を上回っていないときには、係数Kを1として次の処理へ移行する(ステップn20)。
このサンプル周期1では、チャンネルch1,2は、出力操作量100%となり、チャンネルch3は、出力操作量0%となる。
次に、サンプル周期2では、ステップn3において、チャンネル番号nを1とし、チャンネルch1の今回の出力誤差累積値を、前回の出力誤差累積値+前回操作量−前回出力操作量×Kから算出してステップn6に移る。表2に示すように、チャンネルch1の前回(サンプル周期1)の出力誤差累積値は、0%であり、前回操作量は、100%であり、前回出力操作量×Kは、100×1.5であるので、出力誤差累積値は、−50%になる。
ステップn6では、チャンネルch1の判定値を、出力誤差累積値+チャンネルch1の今回操作量から算出してステップn7に移る。表2に示すように、チャンネルch1の今回操作量は、100%であり、チャンネルch1の判定値は、表2に示すように、50%となる。同様に、チャンネルch2の判定値も50%となる。
チャンネルch3は、ステップn4における出力誤差累積値が、前回の出力誤差累積値+前回操作量−前回出力操作量×Kから0+100−0=100%となり、したがって、ステップn6における判定値が、出力誤差累積値+チャンネルch3の今回操作量から100+100=200%となる。
次に、ステップn8では、判定値の大きい順にソートする。このサンプル周期2では、チャンネルch1,2の判定値が50%であり、チャンネルch3の判定値が200%であるので、判定値が最も大きいチャンネルch3がチャンネル順位(1)となり、判定値が同じch1,2は、チャンネル番号通り、チャンネルch1がチャンネル順位(2)となり、チャンネルch2がチャンネル順位(3)となる。
次に、合計操作量を0%にするとともに、チャンネル順位を1に設定し(ステップn9)、チャンネル順位(1)のチャンネルch3の判定値が、閾値以上であるか否かを判断する(ステップn10)。チャンネルch3の判定値は、200%であって、閾値以上であるので、チャンネルch3の出力操作量を100%とし(ステップn11)、合計操作量を、合計操作量+チャンネル順位(1)の出力操作量から算出し(ステップn13)、ステップn14に移る。同様に、チャンネル順位(2)のチャンネルch1の判定値は、50%であって、閾値以上であるので、チャンネルch1の出力操作量を100%とし(ステップn11)、合計操作量は、200%となる。
ステップn14では、合計操作量が制限値である200%を超えたか否かを判断し、制限値を超えていないので、全てのチャンネルについて終了したか否か判断し(ステップn21)、終了していないので、チャンネル順位に1を加えて新たなチャンネル順位(3)としてステップn10に戻る。
サンプル周期2では、チャンネル順位(3)であるチャンネルch2の判定値は、閾値以上であるので、チャンネルch2の出力操作量は100%となり、合計操作量は、300%となる。
これによって、ステップn14では、合計操作量が制限値である200%を超えるので、ステップn16に移り、チャンネル順位(3)であるチャンネルch2の出力操作量を強制的に0%に設定し、残りのチャンネルchがある場合には、そのチャンネルchの出力操作量を強制的に0%に設定し(ステップn17)、全チャンネルの入力操作量の合計が、制限値である200%より大きいか否かを判断する(ステップn18)。表2に示すように、サンプル周期2では、各チャンネルch1〜ch3の入力操作量は、いずれも100%であるから合計操作量300%は制限値200%を上回り、係数Kを、300/200=1.5とし(ステップn19)、次の処理へ移行する。
このサンプル周期2では、チャンネルch1,3は、出力操作量100%となり、チャンネルch2は、出力操作量0%となる。
次に、サンプル周期3では、ステップn3において、チャンネル番号nを1とし、チャンネルch1の今回の出力誤差累積値を、前回の出力誤差累積値+前回操作量−前回出力操作量×Kから算出してステップn6に移る。表2に示すように、チャンネルch1の前回の出力誤差累積値は、−50%であり、前回操作量は、100であり、前回出力操作量×Kは、100×1.5であるので、出力誤差累積値は、−100%になる。
ステップn6では、チャンネルch1の判定値を、出力誤差累積値+チャンネルch1の今回操作量から算出してステップn7に移る。表2に示すように、チャンネルch1の今回操作量は、100%であり、チャンネルch1の判定値は、表2に示すように、0%となる。
チャンネルch2は、ステップn4における出力誤差累積値が、前回の出力誤差累積値+前回操作量−前回出力操作量×Kから−50+100−0=50%となり、したがって、ステップn6における判定値が、出力誤差累積値+チャンネルch2の今回操作量から50+100=150%となる。
チャンネルch3は、ステップnにおける出力誤差累積値が、前回の出力誤差累積値+前回操作量−前回実操作量×Kから100+100−150=50%となり、したがって、ステップnにおける判定値が、出力誤差累積値+チャンネルch3の今回操作量から50+100=150%となる。
次に、ステップn8では、判定値の大きい順にソートする。このサンプル周期3では、チャンネルch2,3の判定値が150%であり、チャンネルch1の判定値が0%であるので、判定値が同じch2,3は、チャンネル番号通り、チャンネルch2がチャンネル順位(1)となり、チャンネルch3がチャンネル順位(2)となり、判定値が最も小さいチャンネルch1がチャンネル順位(3)となる。
次に、合計操作量を0%にするとともに、チャンネル順位を1に設定し(ステップn9)、チャンネル順位(1)のチャンネルch2の判定値が、閾値以上であるか否かを判断する(ステップn10)。チャンネルch2の判定値は、150%であって、閾値以上であるので、チャンネルch2の出力操作量を100%とし(ステップn11)、合計操作量を、合計操作量+チャンネル順位(1)の出力操作量から算出し(ステップn13)、ステップn14に移る。同様に、チャンネル順位(2)のチャンネルch3の判定値は、150%であって、閾値以上であるので、チャンネルch3の出力操作量を100%とし(ステップn11)、合計操作量は、200%となる。
ステップn14では、合計操作量が制限値である200%を超えたか否かを判断し、制限値を超えていないので、全てのチャンネルについて終了したか否か判断し(ステップn21)、チャンネル順位に1を加えて新たなチャンネル順位(3)としてステップn10に戻る。
サンプル周期3では、チャンネル順位(3)であるチャンネルch1の判定値は、閾値未満であるので、チャンネルch1の出力操作量は0%となり、合計操作量は、200%となる。
ステップn14では、合計操作量が制限値である200%を超えていないので、ステップn21に移り、全チャンネルが終了したので、ステップn18に移る。ステップn18では、全チャンネルの入力操作量の合計が、制限値である200%より大きいか否かを判断する。表2に示すように、サンプル周期3では、各チャンネルch1〜ch3の入力操作量は、いずれも100%であるから合計操作量300%は制限値200%を上回り、係数Kを、300/200=1.5とし、次の処理へ移行する。
このサンプル周期3では、チャンネルch2,3は、出力操作量100%となり、チャンネルch1は、出力操作量0%となる。
以下、各周期について同様の処理を行うものである。
図8は、この実施形態の電力制御装置に入力される入力操作量(入力電力指令値)を示し、図9は、その入力に対応する出力操作量(出力電力指令値)を示すものであり、上述の図4および図5に対応するものである。
図8(d)に示すように、全チャンネルch1〜ch3の操作量の総和が、制限値である200%を超えている期間があるが、この実施形態によれば、図9(d)に示すように、全チャンネルch1〜ch3の出力操作量の総和は、制限値である200%に制限されていることが分かる。
また、図8では、チャンネルch1〜ch3の平均の操作量は、10%、20%、60%であるのに対して、図9では、チャンネルch1〜ch3の操作量の平均値は、9.9%、19.7%、60.7%であり、その比率は、10.0:20.0:60.7であり、各チャンネルの操作量の比率が入力と出力とでほぼ一致していることが分かる。