本発明は、上述の先に提案しているサイクル制御装置の改良に係り、構成の簡素化を図って直流電源の電力制御にも適用できるようにすることを目的としている。
また、先に提案しているサイクル制御装置を用いて、同一の電源に並列に接続された複数の負荷に電力を供給する場合には、複数の負荷の制御周期が同期していることによって、負荷に電力を供給するタイミングが一致し、ピーク電流が大きくなる。または、大きなピーク電流を出力する頻度が多くなり、その結果、このピーク電流に応じて電源容量が大きくなるという難点がある。
そこで、本発明の更なる目的は、同一の電源に並列に接続される複数の負荷に電力を供給する場合に、ピーク電力またはピーク電流値を抑制できるようにすることである。
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
すなわち、本発明の電力制御方法は、入力電力指令値に基づく出力電力指令値を用いて、直流電源から負荷への電力供給ラインに設けられたスイッチング手段のON/OFF制御を行って前記負荷に供給する電力を制御する方法であって、前記入力電力指令値と前記出力電力指令値との差を、出力誤差値として演算処理する演算ステップと、前記演算ステップで演算処理された出力誤差値を累積処理して出力誤差累積値とする出力誤差累積ステップと、前記出力誤差累積ステップで累積処理された前記出力誤差累積値と閾値とを比較する比較ステップと、前記比較ステップで前記出力誤差累積値が前記閾値を上回るときに、ONに対応する前記出力電力指令値を設定して前記スイッチング手段をON制御する一方、前記出力誤差累積値が前記閾値を下回るときには、OFFに対応する前記出力電力指令値を設定して前記スイッチング手段をOFF制御する制御ステップとを含む処理を、所定周期毎に行うものである。
ここで、入力電力指令値とは、負荷に供給する電力を制御するために与えられる指令値をいい、例えば、調節計やPLC(プログラマブルロジックコントローラ)などから与えられる操作量などをいい、例えば、0%〜100%の値をとる。
出力電力指令値とは、入力電力指令値に基づいて得られる指令値であって、スイッチング手段をONまたはOFFに制御するのに用いられる指令値をいい、ONまたはOFFに対応して、例えば、100%または0%の値をとる。
閾値とは、スイッチング手段をON制御するための出力電力指令値を設定するための限界値をいい、例えば、50%である。
スイッチング手段とは、ON/OFFして負荷への電力の供給/遮断を行う手段をいい、例えば、トライアック、サイリスタ、SSRやパワートランジスタなどのスイッチング素子から構成される。
所定周期とは、電力制御を行なうために定めた周期をいい、応答速度を高めるためには、短い周期であるのが好ましい。
本件出願人が先に提案している上述のサイクル制御装置では、出力誤差値の演算、出力誤差値の累積、入力指令値と出力誤差累積値との加算、この加算値と閾値との比較といった処理を行うのに対して、本発明によると、入力指令値と出力誤差累積値との加算といった処理を不要とし、構成の簡素化を図ることができるとともに、直流電源の電力制御に適用することができる。
また、本発明の電力制御方法は、複数の入力電力指令値に基づく複数の出力電力指令値を用いて、同一電源から複数の負荷への電力供給ラインに設けられた複数のスイッチング手段のON/OFF制御を行って前記各負荷に個別的に対応する各チャンネルの電力を制御する方法であって、前記入力電力指令値と前記出力電力指令値との差を、出力誤差値として演算処理する演算ステップと、前記演算ステップで演算処理された出力誤差値を累積処理して出力誤差累積値とする出力誤差累積ステップと、前記出力誤差累積ステップで累積処理された前記出力誤差累積値と閾値とを比較する比較ステップと、前記比較ステップで前記出力誤差累積値が前記閾値を上回るときに、ONに対応する前記出力電力指令値を設定して前記スイッチング手段をON制御する一方、前記出力誤差累積値が前記閾値を下回るときには、OFFに対応する前記出力電力指令値を設定して前記スイッチング手段をOFF制御する制御ステップとを含む処理を、各チャンネル毎に行うとともに、所定周期毎に全チャンネルについて行うものであって、或るチャンネルの前記出力電力指令値を、前記ONに対応する出力電力指令値に設定するときには、他のチャンネルの前記閾値を増加させて前記ONに対応する出力電力指令値の設定を抑制し、増加させた閾値を、一定周期でリセットするものである。
ここで、所定周期毎に全チャンネルについて行うとは、所定周期毎に全チャンネルの処理が行われること、すなわち、所定周期内で全てのチャンネルの処理が行われることをいう。
また、増加させた閾値をリセットする前記一定周期は、全チャンネルについての処理が行われる周期である前記所定周期と一致させるのが好ましいが、閾値を増加させたことによって抑制された出力電力指令値は、その後の処理によって、出力誤差累積値として累積されていずれ解消されるので、前記一定周期は、前記所定周期よりも長い周期であってもよい。
本発明によると、本件出願人が先に提案している上述のサイクル制御装置に比べて少ない処理となり、構成の簡素化を図ることができるとともに、直流電源の電力制御にも適用することができる。
さらに、或るチャンネルの出力電力指令値を、ONに対応する出力電力指令値に設定してスイッチング手段をON制御して負荷に電力を供給したときには、他のチャンネルの前記閾値を増加させるので、他のチャンネルのONに対応する出力電力指令値の設定が抑制される、すなわち、他のチャンネルの負荷への電力の供給が抑制されることになり、これによって、各チャンネルの負荷への電力供給のタイミングをずらすことができる。また、増加させた閾値は、一定周期でリセットされるので、他のチャンネルについても、抑制された出力電力指令値が出力誤差累積値として累積処理され、この出力誤差累積値が、閾値を越えたときには、ONに対応する出力電力指令値を設定できるので、出力電力指令値が抑制されたことによる誤差も解消できる。
また、本発明の電力制御方法は、複数の入力電力指令値に基づく複数の出力電力指令値を用いて、同一電源から複数の負荷への電力供給ラインに設けられた複数のスイッチング手段のON/OFF制御を行って前記各負荷に個別的に対応する各チャンネルの電力を制御する方法であって、前記入力電力指令値と前記出力電力指令値との差を、出力誤差値として演算処理する演算ステップと、前記演算ステップで演算処理された出力誤差値を累積処理して出力誤差累積値とする出力誤差累積ステップと、前記出力誤差累積ステップで累積処理された前記出力誤差累積値と閾値とを比較する比較ステップと、前記比較ステップで前記出力誤差累積値が前記閾値を上回るときに、ONに対応する前記出力電力指令値を設定して前記スイッチング手段をON制御する一方、前記出力誤差累積値が前記閾値を下回るときには、OFFに対応する前記出力電力指令値を設定して前記スイッチング手段をOFF制御する制御ステップとを含む処理を、各チャンネル毎に順番に行うとともに、所定周期毎に全チャンネルについて行うものであって、先に処理されるチャンネルの前記出力電力指令値を、前記ONに対応する出力電力指令値に設定するときには、後に処理されるチャンネルの前記閾値を増加させて前記ONに対応する出力電力指令値の設定を抑制し、増加させた閾値を、一定周期でリセットするものである。
ここで、先に処理されるチャンネルとは、所定周期内で順番に処理される複数の全チャンネルの内で処理が先に行われるチャンネルをいい、後に処理されるチャンネルとは、前記先に処理されるチャンネルよりも処理が後に行われるチャンネルをいう。また、先あるいは後に処理されるチャンネルの数は、単数であっても複数であってもよい。
例えば、チャンネル数が、3チャンネルであって、チャンネル1〜3の順番で処理される場合には、チャンネル1は、チャンネル2,3との関係では、先に処理されるチャンネルとなり、チャンネル2,3は、後に処理されるチャンネルとなる。また、チャンネル2は、チャンネル3との関係では、先に処理されるチャンネルとなり、チャンネル3は、後に処理されるチャンネルとなる。
本発明によると、本件出願人が先に提案している上述のサイクル制御装置に比べて少ない処理となり、構成の簡素化を図ることができるとともに、直流電源の電力の制御にも適用することができる。
さらに、所定周期内で、順番に処理される複数の全チャンネルの内、先に処理されるチャンネルの出力電力指令値を、ONに対応する出力電力指令値に設定してスイッチング手段をON制御して負荷に電力を供給したときには、後に処理されるチャンネルの前記閾値を増加させるので、後に処理されるチャンネルのONに対応する出力電力指令値の設定が抑制される、すなわち、後に処理されるチャンネルの負荷への電力の供給が抑制されることになり、これによって、各チャンネルの負荷への電力供給のタイミングをずらすことができる。また、増加させた閾値は、一定周期でリセットされるので、後に処理されるチャンネルについても、抑制された出力電力指令値が出力誤差累積値として累積処理され、この出力誤差累積値が、閾値を越えたときには、ONに対応する出力電力指令値を設定できるので、出力電力指令値が抑制されたことによる誤差も解消できる。
本発明の一実施態様においては、前記閾値を増加させる量を、負荷の容量に比例させ、増加させた閾値をリセットする前記一定周期を、前記所定周期とするものである。
この実施態様によると、閾値の増加量を、負荷の容量に比例させるので、負荷の容量が大きくてピーク電流値やピーク電力値が大きい場合には、他のチャンネルあるいは後に処理されるチャンネルの閾値の増加量も大きくなり、したがって、他のチャンネルあるいは後に処理されるチャンネルの負荷への電力供給のタイミングを、確実に、あるいは、大きくずらして電力供給のタイミングが重なるのを抑制できることになる。
本発明の更に他の実施態様においては、負荷の容量が大きいチャンネルの順に、各チャンネル毎の前記処理を行うものである。
この実施態様によると、負荷の容量の大きいチャンネルの順に、処理が行われるので、先に処理される負荷の容量の大きなチャンネルに、ONに対応する出力電力指令値が設定されて負荷に電力が供給されると、後に処理されるチャンネルの閾値が増加されて負荷に電力が供給されるタイミングがずらされることになり、上述のように、その増加量を、負荷の容量に比例させることにより、ピーク電流値またはピーク電力値の大きなチャンネルの負荷に電力を供給するときには、後のチャンネルの負荷への電力供給のタイミングを、確実に、あるいは、大きくずらしてタイミングが重なるのを一層効果的に抑制できることになる。
本発明の好ましい実施態様においては、前記各チャンネルを、複数の組に区分し、各組毎に前記処理、前記閾値の増加およびそのリセットを行うものである。
この実施態様によると、チャンネル数が多いような場合には、複数の組に区分して、各組毎に、負荷に電力が供給されるタイミングをずらして電力供給のタイミングが重なるのを効果的に抑制できることになる。
本発明の他の実施態様においては、前記電源が交流電源であって、前記所定周期が、交流の半サイクルの整数倍の周期である。
この実施態様によると、本件出願人が先に提案している上述のサイクル制御装置と同様に、交流の電力制御において、ゼロボルトスイッチングによって電気的ノイズの発生を抑制するとともに、従来のサイクル制御装置に比べて高精度な制御が可能になる。
本発明の更に他の実施態様においては、前記電源が直流電源である。
この実施態様によると、直流電源の電力制御に好適に実施できる。
本発明の電力制御装置は、入力電力指令値に基づく出力電力指令値を用いて、直流電源から負荷への電力供給ラインに設けられたスイッチング手段のON/OFF制御を行って前記負荷に供給する電力を制御する装置であって、所定周期毎に、前記入力電力指令値と前記出力電力指令値との差を、出力誤差値として演算処理する演算手段と、前記所定周期毎に、前記演算手段で演算処理された出力誤差値を累積処理して出力誤差累積値とする出力誤差累積手段と、前記所定周期毎に、前記出力誤差累積手段で累積処理された前記出力誤差累積値と閾値とを比較し、前記出力誤差累積値が前記閾値を上回るときに、ONに対応する前記出力電力指令値を設定し、前記出力誤差累積値が前記閾値を下回るときには、OFFに対応する前記出力電力指令値を設定する比較手段とを備え、前記比較手段で設定される前記出力電力指令値を用いて、前記スイッチング手段のON/OFF制御を行なうものである。
本発明によると、本件出願人が先に提案している上述のサイクル制御装置、すなわち、出力誤差値の演算手段、出力誤差値の累積手段、入力指令値と出力誤差累積値との加算手段、および、この加算手段と閾値との比較手段を備えるサイクル制御装置に比べて、入力指令値と出力誤差累積値との加算手段といった手段を不要とし、構成の簡素化を図ることができるとともに、直流電源の電力制御に適用することができる。
また、本発明の電力制御装置は、複数の入力電力指令値に基づく複数の出力電力指令値を用いて、同一電源から複数の負荷への電力供給ラインに設けられた複数のスイッチング手段のON/OFF制御を行って前記各負荷に個別的に対応する各チャンネルの電力を制御する装置であって、前記入力電力指令値と前記出力電力指令値との差を出力誤差値とする演算処理を、各チャンネル毎に行うとともに、所定周期毎に全チャンネルについて行う演算手段と、前記演算手段で演算処理された出力誤差値を累積処理して出力誤差累積値とする前記累積処理を、前記各チャンネル毎に行うとともに、所定周期毎に全チャンネルについて行う出力誤差累積手段と、前記出力誤差累積手段で累積処理された前記出力誤差累積値と閾値とを比較し、前記出力誤差累積値が前記閾値を上回るときに、ONに対応する前記出力電力指令値を設定する一方、前記出力誤差累積値が前記閾値を下回るときには、OFFに対応する前記出力電力指令値を設定する処理を、前記各チャンネル毎に行うとともに、前記所定周期毎に全チャンネルについて行う比較手段と、或るチャンネルの前記出力電力指令値を、前記ONに対応する出力電力指令値に設定するときには、他のチャンネルの前記閾値を増加させて前記ONに対応する出力電力指令値の設定を抑制し、増加させた閾値を、一定周期でリセットする閾値変更手段とを備え、前記比較手段で設定される前記各チャンネルについての前記出力電力指令値を用いて、前記各スイッチング手段のON/OFF制御を行なうものである。
本発明によると、本件出願人が先に提案している上述のサイクル制御装置に比べて、構成の簡素化を図ることができるとともに、直流電源の電力制御にも適用できる。
さらに、或るチャンネルの出力電力指令値を、ONに対応する出力電力指令値に設定してスイッチング手段をON制御して負荷に電力を供給したときには、他のチャンネルの前記閾値を増加させるので、他のチャンネルのONに対応する出力電力指令値の設定が抑制される、すなわち、他のチャンネルの負荷への電力の供給が抑制されることになり、これによって、各チャンネルの負荷への電力供給のタイミングをずらすことができる。また、増加させた閾値は、一定周期でリセットされるので、他のチャンネルについても、抑制された出力電力指令値が出力誤差累積値として累積処理され、この出力誤差累積値が、閾値を越えたときには、ONに対応する出力電力指令値を設定できるので、出力電力指令値が抑制されたことによる誤差も解消できる。
また、本発明の電力制御装置は、複数の入力電力指令値に基づく複数の出力電力指令値を用いて、同一電源から複数の負荷への電力供給ラインに設けられた複数のスイッチング手段のON/OFF制御を行って前記各負荷に個別的に対応する各チャンネルの電力を制御する装置であって、前記入力電力指令値と前記出力電力指令値との差を出力誤差値とする演算処理を、各チャンネル毎に順番に行うとともに、所定周期毎に全チャンネルについて行う演算手段と、前記演算手段で演算処理された出力誤差値を累積処理して出力誤差累積値とする前記累積処理を、前記各チャンネル毎に順番に行うとともに、所定周期毎に全チャンネルについて行う出力誤差累積手段と、前記出力誤差累積手段で累積処理された前記出力誤差累積値と閾値とを比較し、前記出力誤差累積値が前記閾値を上回るときに、ONに対応する前記出力電力指令値を設定する一方、前記出力誤差累積値が前記閾値を下回るときには、OFFに対応する前記出力電力指令値を設定する処理を、前記各チャンネル毎に順番に行うとともに、前記所定周期毎に全チャンネルについて行う比較手段と、先に処理されるチャンネルの前記出力電力指令値を、前記ONに対応する出力電力指令値に設定するときには、後に処理されるチャンネルの前記閾値を増加させて前記ONに対応する出力電力指令値の設定を抑制し、増加させた閾値を、一定周期でリセットする閾値変更手段とを備え、前記比較手段で設定される前記各チャンネルについての前記出力電力指令値を用いて、前記各スイッチング手段のON/OFF制御を行なうものである。
本発明によると、本件出願人が先に提案している上述のサイクル制御装置に比べて構成の簡素化を図ることができるとともに、直流電源の電力制御にも適用できる。
さらに、所定周期内で、順番に処理される複数の全チャンネルの内、先に処理されるチャンネルの出力電力指令値を、ONに対応する出力電力指令値に設定してスイッチング手段をON制御して負荷に電力を供給したときには、後に処理されるチャンネルの前記閾値を増加させるので、後に処理されるチャンネルのONに対応する出力電力指令値の設定が抑制される、すなわち、後に処理されるチャンネルの負荷への電力の供給が抑制されることになり、これによって、各チャンネルの負荷への電力供給のタイミングをずらすことができる。また、増加させた閾値は、一定周期でリセットされるので、後に処理されるチャンネルについても、抑制された出力電力指令値が出力誤差累積値として累積処理され、この出力誤差累積値が、閾値を越えたときには、ONに対応する出力電力指令値を設定できるので、出力電力指令値が抑制されたことによる誤差も解消できる。
本発明の電力制御装置は、複数の入力電力指令値に基づく複数の出力電力指令値の内の少なくとも一つの出力電力指令値を用いて、同一電源から複数の負荷への電力供給ラインに設けられた複数のスイッチング手段の少なくとも一つのスイッチング手段のON/OFF制御を行って前記各負荷に個別的に対応する各チャンネルの少なくとも一つのチャンネルの電力を制御する方法であって、前記入力電力指令値と前記出力電力指令値との差を出力誤差値とする演算処理を、各チャンネル毎に行うとともに、所定周期毎に全チャンネルについて行う演算手段と、前記演算手段で演算処理された出力誤差値を累積処理して出力誤差累積値とする前記累積処理を、前記各チャンネル毎に行うとともに、所定周期毎に全チャンネルについて行う出力誤差累積手段と、前記出力誤差累積手段で累積処理された前記出力誤差累積値と閾値とを比較し、前記出力誤差累積値が前記閾値を上回るときに、ONに対応する前記出力電力指令値を設定する一方、前記出力誤差累積値が前記閾値を下回るときには、OFFに対応する前記出力電力指令値を設定する処理を、前記各チャンネル毎に行うとともに、前記所定周期毎に全チャンネルについて行う比較手段と、或るチャンネルの前記出力電力指令値を、前記ONに対応する出力電力指令値に設定するときには、他のチャンネルの前記閾値を増加させて前記ONに対応する出力電力指令値の設定を抑制し、増加させた閾値を、一定周期でリセットする閾値変更手段とを備え、前記比較手段で設定される前記各チャンネルの少なくとも一つのチャンネルに対応する前記出力電力指令値を用いて、前記少なくとも一つのチャンネルに対応するスイッチング手段のON/OFF制御を行なうものである。
本発明によると、当該電力制御装置を複数台使用して各チャンネルの負荷に供給する電力をそれぞれ制御するような場合には、各電力制御装置が、他の電力制御装置の演算処理も併せて行うことにより、他の電力制御装置による他のチャンネルの電力制御の状態を互いに把握して各チャンネルのONに対応する出力電力指令値の設定のタイミング、すなわち、各チャンネルの負荷への電力供給のタイミングをずらすことができる。なお、当該電力制御装置は、1チャンネルに限らず、複数チャンネルの電力制御を行なってもよい。
本発明の他の実施態様においては、前記閾値変更手段は、前記閾値を増加させる量を、負荷の容量に比例させ、増加させた閾値をリセットする前記一定周期を、前記所定周期とするものである。
この実施態様によると、閾値の増加量を、負荷の容量に比例させるので、負荷の容量が大きくてピーク電流値やピーク電力値が大きい場合には、他のチャンネルあるいは後に処理されるチャンネルの閾値の増加量も大きくなり、したがって、他のチャンネルあるいは後に処理されるチャンネルの負荷への電力供給のタイミングを、確実に、あるいは、大きくずらして電力供給のタイミングが重なるのを抑制できることになる。
本発明の更に他の実施態様においては、前記演算手段、前記出力誤差累積手段および前記比較手段は、負荷の容量が大きいチャンネルの順に処理を行うものである。
この実施態様によると、負荷の容量の大きいチャンネルの順に、処理が行われるので、先に処理される負荷の容量の大きなチャンネルに、ONに対応する出力電力指令値が設定されて負荷に電力が供給されると、後に処理されるチャンネルの閾値が増加されて負荷に電力が供給されるタイミングがずらされることになり、上述のように、その増加量を、負荷の容量に比例させることにより、ピーク電流値またはピーク電力値の大きなチャンネルの負荷に電力を供給するときには、後のチャンネルの負荷への電力供給のタイミングを、確実に、あるいは、大きくずらしてタイミングが重なるのを一層効果的に抑制できることになる。
本発明の他の実施態様においては、前記負荷のインピーダンスの変動を補正する補正手段を備えている。
この補正手段は、負荷のインピーダンスに応じて演算処理を補正するものであり、例えば、負荷のインピーダンスに応じて、入力電力指令値を補正するようにしてもよい。
この実施態様によると、負荷のインピーダンスの変動を補正するので、例えば、温度によって抵抗が変化するヒータなどの負荷の場合に、負荷抵抗が小さい始動時における突入電流を抑制して過大な電力が生じないようにすることができる。
本発明の好ましい実施態様においては、前記電源が交流電源であって、前記所定周期が、交流の半サイクルの整数倍の周期である。
この実施態様によると、本件出願人が先に提案している上述のサイクル制御装置と同様に、交流の電力制御において、ゼロボルトスイッチングによって電気的ノイズの発生を抑制するとともに、従来のサイクル制御装置に比べて高精度な制御が可能になる。
本発明の他の実施態様においては、前記電源が直流電源である。
この実施態様によると、直流電源の電力制御に好適に実施できる。
以上のように本発明によれば、本件出願人が先に提案している上述のサイクル制御装置に比べて構成を簡素化できるとともに、直流電源の電力制御にも適用でき、さらに、複数チャンネルの電力制御において、各チャンネルの負荷への電力供給のタイミングの重なりを抑制できるので、ピーク電流またはピーク電力を抑制して電源容量を低く抑えることができる。
以下、図面によって、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る電力制御装置を備える温度制御システムの概略構成を示すブロック図である。
この実施の形態の電力制御装置1は、温度調節器、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)あるいはPC(パーソナルコンピュータ)などの上位コントローラ2からの複数チャンネル、この例では、3チャンネル(ch0〜ch2)の入力電力指令値(操作量)が与えられる電力制御演算部5と、この電力制御演算部5の出力に応答して、同一の交流電源または直流電源(交流を整流平滑化した直流も含む)である電源3に並列接続された負荷としての3つのヒータ40〜42に対する電力の供給遮断を行う複数のスイッチング手段としてのスイッチング素子60〜62とを備えている
電力制御演算部5は、入力電力指令値に基づいて、後述のように、スイッチング素子60〜62のONまたはOFFに対応する出力電力指令値を設定して内蔵のON/OFFトリガ回路を介して出力するものである。
スイッチング素子60〜62は、前記電源3が交流電源の場合は、トライアックやサイリスタなどであり、また、SSRなどでもよい。直流電源の場合は、パワートランジスタ、MOS−FETあるいはIGBTなどである。
この実施の形態の電力制御演算部5は、図2のブロック図に示されるように、上位コントローラ2からの各チャンネル毎の入力電力指令値(操作量)を所定周期の1周期保持するサンプル・ホールド部70〜72と、入力された電力指令値(操作量)と、Z−1回路80〜82を介して与えられる1周期前(1サンプリング前)の出力電力指令値(出力量)との差を出力誤差値として演算処理する出力誤差演算部90〜92と、出力誤差演算部90〜92で求めた出力誤差値を、それまでに累積された出力誤差累積値に累積処理する出力誤差累積部100〜102と、この出力誤差累積部100〜102で累積処理された出力誤差累積値と閾値とをそれぞれ比較し、出力誤差累積値が閾値以上のときには、ONに対応する100%の出力電力指令値(出力量)を設定してON/OFFトリガ回路110〜112に出力してスイッチング素子60〜62をONさせてヒータ40〜42へ電力を供給する一方、出力誤差累積値が閾値以上でないときには、OFFに対応する0%の出力電力指令値(出力量)を設定してON/OFFトリガ回路110〜112に出力してスイッチング素子60〜62をOFFさせてヒータ40〜42への電力を遮断する比較器120〜122とを備えており、例えば、マイクロコンピュータによって構成されている。
この電力制御演算部5では、各チャンネルch0〜ch2毎に、次のような処理が行われる。
例えば、チャンネルch0では、上位コントローラ2から与えられる0〜100%の入力電力指令値(操作量)が、所定周期毎に、サンプル・ホールド部70でサンプルホールドされる。このサンプルホールドされた入力電力指令値と、Z−1回路80を介して与えられる1周期前のONまたはOFFに対応する100%または0%の出力電力指令値との差が、出力誤差演算部90で出力誤差値として算出される。この出力誤差値が、出力誤差累積部100でそれまでに累積された出力誤差値に累積されて出力誤差累積値が算出される。
この算出された出力誤差累積値と閾値とが、比較器120で比較され、比較器120は、出力誤差累積値が閾値以上のときには、ONに対応する100%の出力電力指令値を設定してON/OFFトリガ回路110を介してスイッチング素子60をONさせてヒータ40へ電力を供給し、出力誤差累積値が閾値以上でないときには、OFFに対応する0%の出力電力指令値を設定してON/OFFトリガ回路110を介してスイッチング素子60をOFFさせてヒータ40への電力を遮断する。
このようにして所定周期毎に、入力電力指令値と出力電力指令値との出力誤差を累積し、累積した出力誤差累積値を閾値と比較してその比較結果に応じて、ONまたはOFFに対応する出力電力指令値を設定してスイッチング素子60〜62をON/OFF制御するものである。
これによって、電源3を交流電源とし、所定周期を交流の半サイクルとすると、上述の本件出願人が先に提案しているサイクル制御装置と同様に、ゼロボルトスイッチングによって電気的ノイズの発生を抑制することができるとともに、制御周期が固定であって、1サイクルを単位としてON/OFFを制御する従来のサイクル制御装置に比べて、出力応答が速く高精度な制御が可能となる。
しかも、先に提案しているサイクル制御装置は、出力誤差値の演算、出力誤差値の累積、入力指令値と出力誤差累積値との加算、この加算値と閾値との比較という処理を行うのに対して、この実施の形態では、入力指令値と出力誤差累積値との加算処理を行う必要がなく、構成が簡素化される。
さらに、この実施の形態では、各チャンネルch0〜ch2の3つのヒータ40〜42に電力を供給するタイミングが一致して合計のピーク電流が大きくなるのを抑制するために、次のように構成している。
すなわち、この実施の形態では、或るチャンネルの出力電力指令値(出力量)がONに対応する出力電力指令値に設定されて負荷に電力が供給されるときには、他のチャンネルの閾値を増加させて他のチャンネルの出力電力指令値がONに対応する出力電力指令値に設定されるのを抑制し、他のチャンネルの負荷への電力の供給を抑制し、増加させた閾値を一定周期でリセットする閾値変更部13を設けている。
この実施の形態では、各チャンネルch0〜ch2の処理は、順番に行われるのであるが、閾値変更部13では、先に処理されるチャンネルの出力電力指令値(出力量)がONに対応する出力電力指令値に設定されて負荷に電力が供給されるときには、後に処理されるチャンネルの閾値を増加させて後のチャンネルの負荷への電力の供給を抑制し、増加させた閾値を一定周期でリセットするようにしている。
すなわち、閾値変更部13は、チャンネルch0の比較器120で、出力誤差累積値が閾値以上となってONに対応する100%の出力電力指令値(出力量)が設定されてON/OFFトリガ回路110に出力されてヒータ40が通電されるときには、チャンネルch1の比較器121における閾値を増加させるとともに、チャンネルch2の比較器122における閾値を増加させるものであり、この結果、チャンネルch0のヒータ40が通電されるときには、チャンネルch1およびチャンネルch2のONに対応する100%の出力電力指令値(出力量)の設定が抑制されてヒータ41,42の通電が抑制されることになる。この増加した閾値は、一定周期、この実施の形態では、前記所定周期毎にリセットされる。
また、チャンネルch0の比較器120で、出力誤差累積値が閾値以上でなく、ONに対応する100%の出力電力指令値を設定しないときには、チャンネルch1の比較器121における閾値は増加されないので、この比較器121で出力誤差累積値が閾値以上となってONに対応する100%の出力電力指令値が設定されてヒータ41が通電されるときには、チャンネルch2の比較器122における閾値を増加させるものであり、この結果、チャンネルch1のヒータ41が通電されるときには、チャンネルch2のONに対応する100%の出力電力指令値の設定が抑制されることになる。
また、チャンネルch0の比較器120で、出力誤差累積値が閾値以上でなく、ONに対応する100%の出力電力指令値を設定せず、さらに、チャンネルch1の比較器121で出力誤差累積値が閾値以上でなく、ONに対応する100%の出力電力指令値を設定しないときには、チャンネルch2の閾値は増加しないので、チャンネルch2の比較器122で出力誤差累積値が閾値以上となったときには、ONに対応する100%の出力電力指令値を設定してヒータ42が通電されることになる。
すなわち、所定周期毎に、先のチャンネルであるチャンネルch0がONに対応する100%の出力電力指令値を設定してヒータ40に通電するときには、後のチャンネルであるチャンネルch1およびチャンネルch2の閾値を増加させてONに対応する出力電力指令値の設定を抑制し、チャンネルch0がONに対応する100%の出力電力指令値を設定しないときには、チャンネルch1の閾値を増加させず、先のチャンネルであるチャンネルch1がONに対応する100%の出力電力指令値を設定してヒータ41に通電するときには、後のチャンネルであるチャンネルch2の閾値を増加させてONに対応する出力電力指令値の設定を抑制し、先のチャンネルであるチャンネルch0およびチャンネルch1がONに対応する100%の出力電力指令値を設定しないときには、後のチャンネルであるチャンネルch2の閾値を増加させないようにするものである。
これによって、同一タイミングでONに対応する100%の出力電力指令値が設定されるのを抑制し、同一タイミングで各ヒータ40〜42が通電されるのを抑制するものである。
次に、この閾値変更部13を含む電力制御演算部5における処理を、図3のフローチャート、表1および図4に基づいて詳細に説明する。
表1は、所定周期毎の各チャンネルch0〜ch2の入力電力指令値(操作量)、出力誤差値、出力誤差累積値、閾値および出力電力指令値(出力量)をそれぞれ示している。また、図4(a)〜(d)は、各チャンネルch0〜ch2の出力電流および出力電流の合計を示しており、この図4においては、正の値で示している。
ここでは、各チャンネルch0〜ch2の負荷(ヒータ)容量が、2A、1A、0.5Aであり、各チャンネルの入力電力指令値(操作量)が、40%、60%、80%である場合を示している。
図3に示されるように、先ず初回処理であるか否かを判断し(ステップST1)、初回処理であるので、各チャンネルch0〜ch2のヒータ容量に対応する係数k(k0〜k2)を設定する(ステップST2)。この係数kは、ヒータ容量に対応して設定するものであり、全チャンネルch0〜ch2の負荷容量が同一である場合には、例えば、k(0)〜k(2)=1とし、チャンネルch0からチャンネルch2に順番に負荷容量が小さくなる場合には、例えば、k(0)=3、k(1)=2、k(2)=1とする。
ここでは、各チャンネルch0〜ch2のヒータ容量が、上述のように2A、1A、0.5Aであるので、ヒータ容量に比例するように、k0=2、k1=1、k2=0.5に設定している。
次に、初回処理であるので、各チャンネルch0〜ch2の出力誤差累積値を0%とし(ステップST3)、さらに、閾値の初期設定を、例えば、50%とし(ステップST4)、チャンネル番号nを、最初のチャンネルch0である0とする(ステップST5)。
次に、チャンネルch0の操作量(入力電力指令値)から出力量(出力電力指令値)を減算して出力誤差値を算出する(ステップST6)。表1の周期No.1に示されるように、チャンネルch0の操作量(入力電力指令値)は40%、出力量(出力電力指令値)は、初回であるのでOFFに対応する0%であり、チャンネルch0の出力誤差値は、40%となる。この出力誤差値を、それまでの出力誤差累積値に累積する(ステップST7)。チャンネルch0の出力誤差値は、40%であり、初回であるので、出力誤差累積値は0%であり、したがって、出力誤差累積値は、表1の周期No.1に示されるように、40%となる。
次に、この出力誤差累積値と閾値とを比較し、閾値以上であるか否かを判断する(ステップST8)。出力誤差累積値が、閾値以上であるときには、ONに対応する100%を今回の出力量、すなわち、出力電力指令値として設定してステップST11に移り(ステップST9)、出力誤差累積値が、閾値以上でないときには、OFFに対応する0%を今回の出力量、すなわち、出力電力指令値として設定してステップST11に移る(ステップST10)。
閾値は、ステップST4で設定したように50%であるので、出力誤差累積値40%は、閾値以上でなく、ステップST10に移り、表1の周期No.1に示されるように、チャンネルch0の出力量(出力電力指令値)がOFFに対応する0%となる。
ステップST11では、チャンネルch0の出力電力指令値(今回の出力量)が決定したので、次のチャンネルch1の閾値を、閾値+k×今回出力量として算出する。この場合、チャンネルch0の閾値は50%、チャンネルch0のkは2、今回出力量は0%であるので、チャンネルch1の閾値は、表1の周期No.1に示されるように、50%(=50+2×0)となる。
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch1とし(ステップST12)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST13)、終了していないので、ステップST6に戻り、チャンネルch1について、出力誤差値を算出する。この場合、チャンネルch1の出力量(出力電力指令値)は、初回であるのでOFFに対応する0%、操作量(入力電力指令値)は、60%であるので、出力誤差値は、表1の周期No.1に示されるように、60%となる。
この出力誤差値を、それまでの出力誤差累積値に累積する(ステップST7)。初回であるので、出力誤差累積値は0%であり、したがって、チャンネルch1の出力誤差累積値は、表1の周期No.1に示されるように、60%となる。
この出力誤差累積値は、上述のステップST11で算出したチャンネルch1の閾値50%以上であるので、表1の周期No.1に示されるように、チャンネルch1の今回出力量(出力電力指令値)をONに対応する100%に設定し(ステップST9)、次のチャンネルch2の閾値を、閾値+k×今回出力量として算出する(ステップST9)。この場合、チャンネルch1の閾値は50%、kは1、今回出力量(出力電力指令値)は100%であるので、チャンネルch2の閾値は、表1の周期No.1に示されるように、150%(=50+1×100)となる(ステップST11)。
すなわち、先のチャンネルであるチャンネルch1の出力電力指令値として、ONに対応する100%が設定されたので、後のチャンネルであるチャンネルch2の閾値が増加することになる。
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch2とし(ステップST12)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST13)、終了していないので、ステップST6に戻り、チャンネルch2について、出力誤差値を算出する。この場合、チャンネルch2の操作量(入力電力指令値)は80%であり、初回であるので出力量(出力電力指令値)は、OFFに対応する0%であり、出力誤差値は、表1の周期No.1に示されるように、80%となる。
この出力誤差値を、それまでの出力誤差累積値に累積する(ステップST7)。初回であるので、出力誤差累積値は0%であり、したがって、チャンネルch2の出力誤差累積値は、表1の周期No.1に示されるように、80%となる。
この出力誤差累積値は、上述のステップST11で算出したチャンネルch2の閾値150%以上でないので、表1の周期No.1に示されるように、チャンネルch2の今回出力量(出力電力指令値)をOFFに対応する0%とし(ステップST10)、次のチャンネルch3、この場合、次のチャンネルch3は、存在しないが、その閾値を、閾値+k×今回出力量として算出する(ステップST11)。
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch3とし(ステップST12)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST13)、終了したので、最初の周期No.1の処理を終了する。
この最初の周期No.1では、チャンネルch0がONに対応する100%の出力電力指令値(出力量)を設定しないので、チャンネルch1の閾値が50%のままで増加せず、これによって、チャンネルch1の出力誤差累積値が50%の閾値以上となってONに対応する100%の出力電力指令値(出力量)を設定し、チャンネルch2の閾値が、50%から150%に増加し、チャンネルch2からは、ONに対応する100%の出力電力指令値(出力量)が設定されないことになる。
この電力制御装置1の後段のスイッチング素子60〜62では、上述のステップST9のONに対応する100%の出力電力指令値(出力量)の設定に応じて、次の周期でON制御される。なお、図4においては、対応関係が明瞭となるように、出力は、次の周期ではなく、同じ周期で示している。
次の周期、すなわち、表1の周期No.2では、ステップST1に戻り、初回処理であるか否かを判断し、初回処理ではないので、閾値を、例えば、50%とし(ステップST4)、変更された閾値をリセットし、チャンネル番号nを0とする(ステップST5)。
次に、チャンネルch0の操作量(入力電力指令値)と出力量(出力電力指令値)との出力誤差値を算出する(ステップST6)。表1の周期No.1に示されるように、出力電力指令値(出力量)は、OFFに対応する0%であり、操作量(入力電力指令値)は、40%であるので、表1の周期No.2に示されるように、チャンネルch0の出力誤差値は、40%となる。
この出力誤差値を、それまでの出力誤差累積値に累積する(ステップST7)。チャンネルch0の出力誤差値は、40%であり、それまでの出力誤差累積値は、表1の周期No.1に示されるように、40%であるので、出力誤差累積値は、表1の周期No.2に示されるように、80%となる。
次に、この出力誤差累積値と閾値とを比較し、閾値以上であるか否かを判断する(ステップST8)。閾値は、ステップST4で設定したように50%であるので、出力誤差累積値80%は、閾値以上となり、ステップST9に移り、表1の周期No.2に示されるように、チャンネルch0の今回出力量(出力電力指令値)をONに対応する100%として設定し、次のチャンネルch1の閾値を、閾値+k×今回出力量として算出する(ステップST9)。この場合、チャンネルch0の閾値は50%、kはチャンネルch0のヒータ容量に比例した2、今回出力量(出力電力指令値)はONに対応する100%であるので、チャンネルch1の閾値は、表1の周期No.2に示されるように、250%(=50+2×100)となる(ステップST11)。
すなわち、先のチャンネルであるチャンネルch0の出力電力指令値として、ONに対応する100%が設定されたので、後のチャンネルであるチャンネルch1の閾値が増加することになる。
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch1とし(ステップST12)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST13)、終了していないので、ステップST6に戻り、チャンネルch1について、出力誤差値を算出する。この場合、チャンネルch1の出力量(出力電力指令値)は、表1の周期No.1に示されるようにONに対応する100%であり、操作量(入力電力指令値)は、60%であるので、出力誤差値は、表1の周期No.2に示されるように、−40%(=60−100)となる。
この出力誤差値を、それまでの出力誤差累積値に累積する(ステップST7)。それまでの出力誤差累積値は、表1の周期No.1に示されるように、60%であるので、チャンネルch1の出力誤差累積値は、表1の周期No.2に示されるように、20%(=60−40)となる。
この出力誤差累積値は、上述のステップST11で算出したチャンネルch1の閾値250%以上でないので、表1の周期No.2に示されるように、チャンネルch1の今回出力量(出力電力指令値)はOFFに対応する0%となり(ステップST10)、次のチャンネルch2の閾値を、閾値+k×今回出力量として算出する(ステップST9)。この場合、チャンネルch1の閾値は250%、kは1、今回出力量は0%であるので、チャンネルch2の閾値は、表1の周期No.2に示されるように、250%(=250+1×0)となる(ステップST11)。
すなわち、先のチャンネルであるチャンネルch0の出力電力指令値として、ONに対応する100%が設定されたので、後のチャンネルであるチャンネルch2の閾値が増加することになる。
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch2とし(ステップST12)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST13)、終了していないので、ステップST6に戻り、チャンネルch2について、出力誤差値を算出する。この場合、チャンネルch2の操作量(入力電力指令値)は80%であり、出力量(出力電力指令値)は、表1の周期No.1に示されるように、OFFに対応する0%であり、出力誤差値は、表1の周期No.2に示されるように、80%となる。
この出力誤差値を、それまでの出力誤差累積値に累積する(ステップST7)。それまでの出力誤差累積値は、表1の周期No.1に示されるように、80%であり、したがって、チャンネルch2の出力誤差累積値は、表1の周期No.2に示されるように、160%となる。
この出力誤差累積値は、上述のステップST11で算出したチャンネルch2の閾値250%以上でないので、表1の周期No.2に示されるように、チャンネルch2の今回出力量(出力電力指令値)はOFFに対応する0%となり(ステップST10)、次のチャンネル、この場合、次のチャンネルch3は、存在しないが、そのチャンネルch3の閾値を、閾値+k×今回出力量として算出する(ステップST11)。
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch3とし(ステップST12)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST13)、終了したので、周期No.2の処理を終了する。
この周期No.2の第2の周期では、チャンネルch0がONに対応する100%の出力電力指令値(出力量)を設定したので、チャンネルch1およびch2の閾値が、50%から250%に増加し、これによって、チャンネルch1およびチャンネルch2では、ONに対応する100%の出力電力指令値(出力量)が設定されないことになる。
さらに次の周期No.3の第3の周期では、ステップST1に戻り、初回処理であるか否かを判断し、初回処理ではないので、閾値を50%とし(ステップST4)、チャンネル番号nを0とする(ステップST5)。
次に、チャンネルch0の操作量(入力電力指令値)と出力量(出力電力指令値)との出力誤差値を算出する(ステップST6)。表1の周期No.2に示されるように、出力量(出力電力指令値)は、ONに対応する100%であり、操作量(入力電力指令値)は、40%であるので、表1の周期No.3に示されるように、チャンネルch0の出力誤差値は、−60%となる。
この出力誤差値を、それまでの出力誤差累積値に累積する(ステップST7)。チャンネルch0の出力誤差値は、−60%であり、それまでの出力誤差累積値は、表1の周期No.2に示されるように、80%であるので、出力誤差累積値は、表1の周期No.3に示されるように、20%となる。
次に、この出力誤差累積値と閾値とを比較し、閾値以上であるか否かを判断する(ステップST8)。閾値は、ステップST4で設定したように50%であるので、出力誤差累積値20%は、閾値以上ではなく、ステップST10に移り、表1の周期No.3に示されるように、チャンネルch0の今回出力量(出力電力指令値)をOFFに対応する0%とし、次のチャンネルch1の閾値を、閾値+k×今回出力量として算出する(ステップST9)。この場合、チャンネルch0の閾値は50%、kは2、今回出力量(出力電力指令値)は0%であるので、チャンネルch1の閾値は、表1の周期No.3に示されるように、50%(=50+2×0)となる(ステップST11)。
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch1とし(ステップST12)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST13)、終了していないので、ステップST6に戻り、チャンネルch1について、出力誤差値を算出する。この場合、チャンネルch1の出力量(出力電力指令値)は、表1の周期No.2に示されるようにOFFに対応する0%であり、操作量(入力電力指令値)は、60%であるので、出力誤差値は、表1の周期No.3に示されるように、60%となる。
この出力誤差値を、それまでの出力誤差累積値に累積する(ステップST7)。それまでの出力誤差累積値は、表1の周期No.2に示されるように、20%であるので、チャンネルch1の出力誤差累積値は、表1の周期No.3に示されるように、80%となる。
この出力誤差累積値は、上述のステップST11で算出したチャンネルch1の閾値50%以上であるので、表1の周期No.3に示されるように、チャンネルch1の今回出力量(出力電力指令値)としてONに対応する100%を設定し(ステップST9)、次のチャンネルch2の閾値を、閾値+k×今回出力量として算出する(ステップST9)。この場合、チャンネルch1の閾値は50%、kは1、今回出力量はONに対応する100%であるので、チャンネルch2の閾値は、表1の周期No.3に示されるように、150%(=50+1×100)となる(ステップST11)。
すなわち、先のチャンネルであるチャンネルch1の出力電力指令値として、ONに対応する100%が設定されたので、後のチャンネルであるチャンネルch2の閾値が増加することになる。
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch2とし(ステップST12)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST13)、終了していないので、ステップST6に戻り、チャンネルch2について、出力誤差値を算出する。この場合、チャンネルch2の操作量(入力電力指令値)は80%であり、出力量(出力電力指令値)は、表1の周期No.2に示されるように、OFFに対応する0%であり、出力誤差値は、表1の周期No.3に示されるように、80%となる。
この出力誤差値を、それまでの出力誤差累積値に累積する(ステップST7)。それまでの出力誤差累積値は、表1の周期No.2に示されるように、160%であり、したがって、チャンネルch2の出力誤差累積値は、表1の周期No.3に示されるように、240%となる。
この出力誤差累積値は、上述のステップST11で算出したチャンネルch2の閾値150%以上であるので、表1の周期No.3に示されるように、チャンネルch2の今回出力量(出力電力指令値)としてONに対応する100%を設定し(ステップST9)、次のチャンネル、この場合、次のチャンネルch3は、存在しないが、そのch3の閾値を、閾値+k×今回出力量として算出する(ステップST11)。
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch3とし(ステップST12)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST13)、終了したので、周期No.3の処理を終了する。
この周期No.3の第3の周期では、チャンネルch0がONに対応する100%の出力電力指令値(出力量)を設定しないので、チャンネルch1の閾値が50%のままであり、これによって、チャンネルch1の出力誤差累積値が閾値以上となってONに対応する100%の出力電力指令値(出力量)を設定し、チャンネルch2の閾値が、50%から150%に増加するものの、チャンネルch2の出力誤差累積値が増大して閾値以上となり、チャンネルch2からONに対応する100%の出力電力指令値(出力量)が出力される。
以降の各周期も以上同様の処理が為されることになり、図4の各チャンネルch0〜ch2の出力に示されるように、ピーク電流の重なりが抑制されることになる。
このように各チャンネルに電力を供給するタイミングをずらしてピーク電力またはピーク電流を抑制しているので、電源容量を低くできる。
また、ヒータ容量に比例した係数k0〜k2を用いて閾値を増加させるとともに、上述のように、ヒータ容量の大きなチャンネルから順番に演算処理することにより、容量の大きなヒータに電流が流れたときには、閾値の増加量が多くなって各チャンネルの電力供給のタイミングがより分散されることになり、それを大きなチャンネルの順で行うことにより、より確実に電力供給のタイミングが分散され、ピーク電流を抑制できることになる。
なお、上位コントローラ2からの入力電力指令値(操作量)が、例えば、100%といった高い値であるときには、結局、電力供給のタイミングは重なることになるのであるが、例えば、拡散炉、CVD装置、成形機などの各種の熱処理装置などの温度制御においては、最初の立ち上げ時には、100%といった高い操作量(入力電力指令値)が必要とされるけれども、目標温度に整定した後は、高くても20〜30%程度の操作量(入力電力指令値)となり、この期間が長く継続されるので、本発明によれば、この長い期間において、電力供給のタイミングの重なりを抑制して効果的にピーク電力またはピーク電流を抑制できることになる。
図5は、上述の図1の構成において、電源3を交流電源14とするとともに、スイッチング素子60〜62をトライアック150〜152とし、上述の所定周期を、交流の半サイクルの整数(この実施の形態では1)倍の周期とした電力制御装置の要部の構成図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
また、図6は、この交流の電力制御装置による電力の制御波形を示しており、同図(a)〜(c)は、各チャンネルch0〜ch2の波形を示し、同図(d)は、合計の波形を示している。この図6においては、各ch0〜ch2の操作量(入力電力指令値)は、上述と同様、すなわち、40%、60%、80%である。
図7は、上述の図1の構成において、電源3を直流電源16とするとともに、スイッチング素子60〜62をパワートランジスタ170〜172とし、所定周期を、例えば、1msecとした直流の電力制御装置の要部の構成図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
また、図8は、この直流の電力制御装置の電流波形を示しており、同図(a)〜(c)は、各チャンネルch0〜ch2の電流波形を示し、同図(d)は、合計の電流波形を示している。この図8においては、各ch0〜ch2の操作量(入力電力指令値)を33%とした場合を示している。
(実施の形態2)
図9は、本発明の他の実施の形態の要部の概略構成図であり、上述の図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
上述の実施の形態1では、電力制御装置1は、上位コントローラ2からの複数チャンネル、上述の例では、3チャンネル(ch0〜ch2)の入力電力指令値(操作量)に応じて、同一の電源3に並列接続された負荷としての3つのヒータ40〜42に供給する電力をスイッチング制御したけれども、この実施の形態では、各チャンネルch0〜ch2毎に、電力制御装置10〜12を個別に備えており、各電力制御装置10〜12毎に、各チャンネルch0〜ch2のスイッチング素子60〜62のON/OFF(スイッチング)制御を行うものである。
さらに、この実施の形態では、3つのヒータ40〜42に電力を供給するタイミングが一致して合計のピーク電流が大きくなるのを抑制するために、各電力制御装置10〜12には、他の電力制御装置の入力電力指令値も上位コントローラ2から与えられており、上述の実施の形態1と同様にして、他の電力制御装置についての出力電力指令値などの演算処理を行い、他の電力制御装置の出力電力指令値に基づいて、閾値の変更およびそのリセットを行うものである。
すなわち、各電力制御装置10〜12は、それぞれ上述の実施の形態1の電力制御装置1としての機能を有し、該当するチャンネルについてのみ、実際に出力電力指令値を設定してON/OFFトリガ回路を介してスイッチング素子60〜62を制御するものである。
表2は、上述の表1と同様に、所定周期毎の各チャンネルch0〜ch2の入力電力指令値(操作量)、出力誤差値、出力誤差累積値、閾値および出力電力指令値(出力量)をそれぞれ示すとともに、それらのデータが、チャンネルch0の電力制御装置10においてどのように使用されるかを示すものである。
この表2に示されるように、例えば、電力制御装置10では、チャンネルch0についての出力電力指令値によってスイッチング素子60のON/OFF制御を行い、チャンネルch1,2については、内部での演算に使用するものである。
同様に、電力制御装置11では、チャンネルch1についての出力電力指令値によってスイッチング素子61のON/OFF制御を行い、チャンネルch0,2については、内部での演算に使用し、また、電力制御装置12では、チャンネルch2についての出力電力指令値によってスイッチング素子62のON/OFF制御を行い、チャンネルch0,1については、内部での演算に使用するものである。
このように、各電力制御装置10〜12は、当該チャンネルの出力電力指令値のみならず、他のチャンネルの出力電力指令値も演算してその電力制御の状態を把握し、各電力制御装置10〜12の互いの電力供給のタイミングをずらすものである。
なお、この実施の形態では、各電力制御装置1
0〜1
2の動作の同期をとる必要があるが、例えば、上位コントローラ2から与えられる同期用のクロックによって各電力制御装置1
0〜1
2の同期がとられる。
また、上述の実施の形態では、電力制御装置1にスイッチング素子60〜62を内蔵させたけれども、この実施の形態では、電力制御装置10〜12外に、スイッチング素子60〜62を外付けしている。このように外付けする構成とすることにより、例えば、SSRなどを用いた場合には、その容量を自由に変更したり、故障時のメンテナンスが容易となる。
なお、本発明の他の実施の形態として、例えば、図10に示されるように、各電力制御装置10〜12を、RS485などのシリアル通信インターフェイスで接続し、上位コントローラ2からの入力電力指令値(操作量)などを、少ない配線で伝達するように構成してもよい。
以上のような構成によれば、各チャンネルchが独立した構成となるので、1チャンネルずつの増設が容易となり、ユーザのアプリケーションに応じたシステム構成が可能となる。
なお、この実施の形態2では、各電力制御装置10〜12は、各1チャンネルのみの電力制御を行なったけれども、1台の電力制御装置で複数のチャンネル、例えば、チャンネルch0,ch1の2チャンネルの電力制御を行うようにしてもよく、この場合には、2チャンネルの電力制御を行う電力制御装置と、1チャンネルのみの電力制御装置とによって、互いに電力供給のタイミングをずらしながら3チャンネルの電力制御を行なうことになる。
(実施の形態3)
図11は、本発明の他の実施の形態の概略構成図であり、上述の図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
この実施の形態の電力制御装置1−1は、CTなどによって負荷電流を計測する電流計測回路18と、電源電圧を計測する電圧計測回路19とを備えるとともに、電力制御演算部5−1は、計測値に基づいて負荷インピーダンスを演算して上位コントローラ2から与えられる入力電力指令値(操作量)を補正する機能を有しており、負荷インピーダンスの変動を補正している。
ハロゲンヒータなどの負荷では、ヒータの温度によって抵抗値が大きく変化し、始動時には、ヒータの温度が低く、抵抗値が小さいために、大きな突入電流が流れ、電力が過大になる場合がある。
そこで、この実施の形態では、負荷のインピーダンスを演算して入力電力指令値(操作量)を補正することによって、過大な電力とならないようにするものである。
ここで、1チャンネル分について説明すると、始動時の抵抗値が低いときのヒータの抵抗値をR1とし、電流計測回路18および電圧計測回路19による電流I1、電圧V1が計測されたとすると、抵抗負荷であるので、R1=V1/I1となる。
温度が安定したときの抵抗値をR0とし、このR0の具体的な値は、別途、電流計測回路18および電圧計測回路19で計測して求めておき、電力制御装置1−1に予め記憶させておく。
そして、始動時の出力演算を次のようにして行う。
上位コントローラ2からの入力電力指令値(操作量)をX(%)とし、このときの抵抗値R1であったとすると、入力電力指令値(操作量)を、
Y=X*(R1/R0)で補正する。例えば、R1が、R0の1/2の抵抗値であったとすると、Y=X/2となる。そして、入力電力指令値(操作量)を、Y(%)であるとして誤差演算を行うのである。
これによって、抵抗値が小さく、大きな電流が流れるときには、入力電力指令値(操作量)を小さくみなすように補正をすることにより、出力の間隔がまばらとなり、平均的な出力電力としては、過大にならないように制御することができる。
なお、この補正の頻度は、ヒータの温度変化の速度に応じて調整すればよい。
(その他の実施の形態)
上述の各実施の形態では、複数チャンネルの制御について説明したけれども、本発明は、図12に示されるように、一つのチャンネルの制御を行うものであってもよく、この場合には、他のチャンネルを考慮して電力供給のタイミングをずらす必要がなく、閾値変更手段は不要となる。すなわち、図12の電力制御演算部5−2は、上述の図2において、一つのチャンネルに対応するサンプル・ホールド部70、Z−1回路80、出力誤差演算部90、出力誤差累積部100、ON/OFFトリガ回路110および比較器120を備えており、比較器120の閾値は変更されない構成となっている。
上述の実施の形態では、閾値を増加させる係数k0〜k2を、ヒータ容量に比例させるとともに、ヒータ容量の大きな順番で演算処理したけれども、本発明の他の実施の形態として、係数k0〜k2を、ヒータ容量に比例させるだけで、ヒータ容量の大きな順番で演算処理しなくてもよい。この場合であっても、閾値の増加量がヒータ容量に比例することになり、電力供給のタイミングを分散させる上で有効となる。
上述の実施の形態では、各チャンネルの処理を順番に行ったけれども、本発明の他の実施の形態として、各チャンネルの出力誤差値の演算処理および出力誤差値の累積処理を並行して行うようにしてもよい。、
本発明は、増加させた閾値のリセットの周期、閾値およびその増加量も上述の実施の形態に限らないのは勿論である。
また、本発明の他の実施の形態として、電力制御装置を温度調節器に内蔵させる構成としてもよい。