JP4192444B2 - 電力制御方法および電力制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力の制御方法および制御装置に関し、更に詳しくは、交流電圧のサイクル制御を行う電力制御方法および電力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ヒータ等の温度制御システムには、図8に示すように、温度調節器1より所定の入力電力指令値をサイクル制御装置2に与え、サイクル制御装置2では、入力された電力指令値に応じ、所定の周期、例えば0.2〔sec〕毎に1ないし数サイクルの出力をゼロクロス機能付きSSR3に与え、前記所定の周期毎の何サイクルをヒータ4に与えてON/OFFし、そのヒータ4の温度を温度センサ5で検出し、温度調節器1にフィードバックし、サイクル制御を繰り返すことにより、ヒータ4の温度を入力電力指令値に応じた値となるように制御するものである。
【0003】
サイクル制御装置2は、図9に示すように温度調節器1で100%が出力されていると、電源周波数が50Hzの場合、この出力値100%を受け、0.2secの制御周期の10サイクルがフル出力される。温度調節器1の出力が75%であるとサイクル制御装置2からは10サイクル中、7.5サイクル分がONで出力される。同様に、温度調節器1の出力が50%の場合、サイクル制御装置2からは10サイクル中5サイクルがONで出力される。以下25%の温度調節器出力の場合は、10サイクル中、2.5サイクル分がONされる。0%の温度調節器出力では、出力も10サイクルすべてOFFである。
【0004】
なお、0.2secで50Hzの全サイクルは10回となるが、図9は様式的なものであり、全サイクルを4回としている。
【0005】
温度制御には、周期毎の数サイクル分中のオンサイクル比率を設定値に応じて変える上記サイクル制御の他に、設定値に応じて各サイクルにおける点弧角を制御する位相制御が採用されることもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のサイクル制御では、制御周期が固定であり、かつ1サイクルを単位としてON/OFF制御するので、出力分解能が低く、制御精度が悪く、出力応答も遅い。また、ON状態が時間的に偏るため、制御対象の寿命に悪影響、例えば制御対象がヒータの場合、熱ストレスが大きいという問題がある。
【0007】
一方、位相制御では、高精度の制御が可能であるが点孤角を制御するものであるから、基本波成分以外に高調波が発生するという問題がある。さらに高速処理が必要であるため、装置全体が高価になるという問題がある。
【0008】
そこで、本件出願人は、平成12年3月15日提出の「サイクル制御装置、電力調整装置、温度調節器および温度制御装置」(特願2000−71642号)において、高調波を発生せず、しかも従来のサイクル制御に比べて、高精度な制御が可能なサイクル制御装置を提案している。
【0009】
以下、この先に提案したサイクル制御装置の概要について説明する。
【0010】
図10は、このサイクル制御装置を備えた温度制御システムの概略構成を示すブロック図である。この温度制御システムは、温度調節器1と、サイクル制御装置20と、ゼロクロス機能付きSSR3と、ヒータ4と、温度センサ5とから構成されている。サイクル制御装置20以外は、図8に示したものと同様である。
【0011】
サイクル制御装置20は、温度調節器1からの電力指令値Xを半サイクル間保持するサンプル・ホールド部21と、入力された電力指令値Xと実際の出力値Yの出力誤差Eを算出する出力誤差演算部22と、出力誤差演算部22で求めた出力誤差Eを累積する出力誤差累積部23と、入力された電力指令値Xと出力誤差累積値とを加算する加算部(補正部)24と、加算部24の出力を受け、その入力値と所定の閾値とを比較し、入力値が閾値より大なる場合に100〔%〕出力、入力値が閾値より小なる場合に0%出力とする比較部25とを備えている。
【0012】
次に、図11に示すフロー図により、サイクル制御装置20の動作を中心に説明する。動作の開始にあたり、先ず初期処理が実施される(ステップST1)。例えば、比較部25の閾値Sの設定(ステップST11)、変数nをクリア(ステップST12)、パラメータ初期値を設定し、累積用レジスタΣ(n)をクリアする(ステップST13)。
【0013】
初期処理に続いて、変数nを1インクリメントする(ステップST2)。処理開始で先ずn=1とされる。そして、第1番目(n=1)のオン比率入力X1を取り込む。(ステップST3)。続いて前回までの出力誤差累積Σ(n−1)に今回の入力指令値Xnを加算し、補正出力値Y(n)を求める(ステップST4)。
【0014】
最初の半サイクルの処理ではΣ(n−1)は0〔%〕であり、Xn=X1である。したがって、入力電力指令値を40%に設定したとすると、X1=40〔%〕であり、Yi1も40〔%〕である。比較部25で入力された補正出力値Yi1と閾値Sが比較され(ステップST5)、補正出力値Yi1が閾値S以上であると出力を100〔%〕とする(ステップST6)。逆に補正出力値Yi1が閾値Sよりも小さいと出力を0〔%〕とする(ステップST7)。
【0015】
続いて今回の入力指令値X1と出力Y1の偏差、出力誤差E←X1−Y1を求める(ステップST8)とともに、それまでの出力誤差累積値に今回の出力誤差E1を加算して、出力誤差累積を更新する(ステップST9)。これにより、最初の半サイクルに係る処理を終了する。
【0016】
その後ステップST2に戻り、変数nを1インクリメント(n=2)し、2回目の半サイクルの処理を実行する。ステップST2からステップST9の処理は制御周期間にわたり繰り返され、次の制御周期に入ると、再度変数n及びΣ(n)をクリアして,同様の処理を繰り返す。
【0017】
上記した処理動作を具体的な数値を例に上げて説明する。以下の説明では入力電力指令値X=40〔%〕、閾値S=50〔%〕とし、50〔Hz〕の交流信号を制御するものとする。50〔Hz〕の半サイクル期間は10〔msec〕であるから、10〔msec〕毎に、図11に示すフロー図の処理を実行する。入力電力指令値Xは40〔%〕であるから、制御周期は半サイクル期間×5と決定される。
【0018】
最初の半サイクル(周期1)では、図12に示すように、入力電力指令値40〔%〕、この入力電力指令値40〔%〕と出力誤差累積Σ(0)の加算で補正出力Yi1が40〔%〕、この補正出力Yi1が40〔%〕と閾値S=50〔%〕との比較で閾値Sの方が大であるから、出力0〔%〕、電力指令値X1=40〔%〕とこの出力0〔%〕の偏差より、出力誤差E1=40〔%〕、同時に累積誤差Σ(1)=40〔%〕である。
【0019】
第2番目の半サイクルでは、同じく図12に示すように、入力電力指令値は変わらず40〔%〕、この電力指令値40〔%〕と前回までの累積値Σ(1)=40〔%〕の加算で、補正出力Yi2が80〔%〕、この補正出力Yi2が80〔%〕と閾値S=50〔%〕の比較で閾値Sよりも補正出力Yi2の方が大であるから、出力を100〔%〕とする。電力指令値X2=40〔%〕と出力100〔%〕との偏差より、出力誤差E2=−60〔%〕、前回までの出力累積誤差Σ(2)=−20〔%〕である。
【0020】
第3番目の半サイクル(周期3)では、入力電力指令値は変わらず40〔%〕、この電力指令値40〔%〕と前回までの累積値Σ(2)=−20〔%〕の加算で、補正出力Yi3が20〔%〕、この補正出力Yi3が20〔%〕と閾値S=50〔%〕の比較で閾値Sの方が大きいので、出力を0〔%〕とする。指令値X3=40〔%〕と出力0〔%〕の偏差で、出力誤差E3=40〔%〕、前回までの累積値Σ(2)=−20〔%〕を加算して、出力誤差累積Σ(3)=20〔%〕である。
【0021】
第4番目の半サイクル(周期4)では、入力指令値X4は40〔%〕、この指令値40〔%〕と前回までの累積値Σ(3)=20〔%〕の加算で、補正出力Yi4が60〔%〕、この補正出力Yi4=60〔%〕と閾値S=50〔%〕の比較で閾値Sよりも補正出力Yi4の方が大きいので、出力を100〔%〕とする。電力指令値X4=40〔%〕と出力100〔%〕の偏差で、出力誤差E4=−60〔%〕、前回までの累積値Σ(3)=20〔%〕に出力誤差−60〔%〕を累積して、出力誤差累積Σ(4)=−40〔%〕である。
である。
【0022】
第5番目の半サイクル(周期5)では、入力電力指令値X5は40〔%〕、この指令値40〔%〕と前回までの累積値−40〔%〕の加算で、補正出力Yi5=0〔%〕、この補正出力Yi5と閾値S=50〔%〕の比較では明らかに閾値Sの方が大なので、出力を0〔%〕とする。電力指令値X5=40〔%〕と出力0〔%〕の偏差で、出力誤差E5=40〔%〕、前回までの累積値Σ(4)=−40〔%〕を加算して、出力誤差累積Σ(5)=0〔%〕である。
【0023】
以上5回の半サイクルで制御周期が終了し、次の制御周期に移る。1制御周期の中では電力指令値40〔%〕に対し、出力100〔%〕の半サイクルが2回あり、5回の半サイクル中に2回の100〔%〕出力で他の3回のサイクルが出力0%であるから、電力指令値に対応した出力となる。
【0024】
同様に、例えば、入力電力指令値が、50%であった場合には、2回の半サイクルを制御周期として、一方の半サイクルが出力100%、他方の半サイクルが出力0%となる。また、例えば、入力電力指令値が、60%であった場合には、5回の半サイクルを制御周期として、その内の3回の半サイクルが出力100%、2回の半サイクルが出力0%となる
かかるサイクル制御装置によれば、制御周期を決定し、半サイクル毎に出力補正し、電力指令値に応じて100〔%〕出力か、0〔%〕出力かを選択して出力するものであるから、従来のサイクル制御に比し、出力応答が速く、また、従来のサイクル制御に比し、ON状態が時間的に分散されるので、制御対象を長寿命化できる。従来の位相制御に比べて高速処理が必要ないため、装置が安価に実現できる。ゼロ電圧スイッチングであるため、電気ノイズが小さいなどの効果がある。
【0025】
しかしながら、このようなサイクル制御装置を用いて、同一の電源に並列に接続された複数の負荷に電力を供給する場合、例えば、同一の電源に並列に同一容量、例えば、1Aの3つのヒータ(ch0〜ch2)が接続されて各ヒータに電力を供給するような場合に、入力電力指令値が、例えば、33.0%であったようなときには、図13(a)〜(c)のピーク電流に示されるように、制御周期が同期していることによって、電力を出力するタイミングが一致し、同図(d)に示されるように合計したピーク電流が3Aと大きくなる。または大きなピーク電流を出力する頻度が多くなり、その結果、このピーク電流に応じて電源容量が大きくなるという難点がある。
【0026】
なお、図13においては、正弦波の電流波形を省略して各半サイクルにおけるピーク電流のみを示している。
【0027】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、高調波を発生せず、しかも従来のサイクル制御に比べて、高精度な制御が可能であって、同一の電源に並列に接続された複数の負荷に電力を供給する場合に、ピーク電力またはピーク電流値を抑制できる電力制御方法および電力制御装置を提供することを目的としている。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0029】
すなわち、本発明の電力制御方法は、入力電力指令値に応じて、同一電源に並列接続された複数の負荷に供給する電力をスイッチング制御するための出力電力指令値を、前記各負荷に個別的に対応する各チャンネル毎に出力する電力制御方法であって、半サイクル以上の所定サイクル毎に、前記入力電力指令値とそれまでに累積された出力誤差累積値とを加算する加算ステップと、加算ステップで加算された加算値と閾値とを比較して閾値を越えたときに、出力電力指令値を出力して負荷に電力を供給する出力ステップと、出力ステップで出力される出力電力指令値と前記入力電力指令値との出力誤差値を演算する演算ステップと、演算ステップで演算した出力誤差値を、それまでに累積された前記出力誤差累積値に累積する出力誤差累積ステップとを、前記各チャンネル毎に行うものであって、或るチャンネルの出力電力指令値が出力されたときには、他のチャンネルの前記閾値を増加させる一方、増加させた閾値を所定周期でリセットするものである。
【0030】
本発明によると、先に提案しているサイクル制御と同様に、出力応答が速く、ON状態が時間的に分散されるので、制御対象を長寿命化できる。特に、出力ステップで出力する出力電力指令値を用いて、次のサイクルのための出力誤差の演算処理およびそれに基づく出力誤差の累積処理を行うことができるので、例えば、出力ステップで出力された出力電力指令値によって、後段のSSR等の点弧をフィードバックして出力電力指令値を決定するための処理を行うといった構成に比べて、SSR等の点弧を待つ必要がなく、より簡便な構成が可能となる。
【0031】
さらに、或るチャンネルの出力電力指令値が出力されて対応する負荷に電力が供給されたときには、他のチャンネルの前記閾値を増加させるので、他のチャンネルの出力電力指令値の出力が抑制されて対応する負荷への電力の供給が抑制され、各チャンネルの出力電力指令値の出力タイミングをずらすことができる一方、増加させた閾値は、所定周期でリセットされるので、他のチャンネルについても、加算ステップで加算された値が、閾値を越えたときには、出力電力指令値を出力して抑制されたことによる累積誤差を補正できることになる。
【0032】
本発明の他の実施態様においては、前記閾値を、前記負荷に流れるピーク電流値またはピーク電力値に比例させて増加させるものである。
【0033】
本発明によると、負荷に流れるピーク電流値またはピーク電力値に比例させて閾値を増加させるので、ピーク電流値やピーク電力値が大きい場合には、閾値の増加量も大きくなり、したがって、他のチャンネルの出力電力指令値が出力されるタイミングを大きくずらして出力タイミングが重なるのを抑制できることになる。
【0034】
本発明の更に他の実施態様においては、負荷電流または負荷電力の大きいチャンネルの順に、前記各ステップを行うものである。
【0035】
本発明によると、負荷電流または負荷電力の大きいチャンネルの順に、各ステップの処理が行われるので、最も負荷電流または負荷電力の大きなチャンネルの出力電力指令値が出力されると、他のチャンネルの閾値が増加されて各チャンネルの出力電力指令値のタイミングがずらされることになり、上述のように、その増加量を、ピーク電流値またはピーク電力値に比例させることにより、
他のチャンネルの出力電力指令値が出力されるタイミングを大きくずらして出力タイミングが重なるのを一層効果的に抑制できることになる。
【0036】
本発明の電力制御装置は、入力電力指令値に応じて、同一電源に並列接続された複数の負荷に供給する電力をスイッチング制御するための出力電力指令値を、前記各負荷に個別的に対応する各チャンネル毎に出力する電力制御装置であって、
半サイクル以上の所定サイクル毎および前記各チャンネル毎に、前記入力電力指令値とそれまでに累積された出力誤差累積値とを加算する加算手段と、前記所定サイクル毎および前記各チャンネル毎に、前記加算手段からの加算値と閾値とを比較して閾値を越えたときに、出力電力指令値を出力して負荷に電力を供給する比較手段と、前記所定サイクル毎および前記各チャンネル毎に、前記比較手段から出力される出力電力指令値と前記入力電力指令値との出力誤差値を演算する演算手段と、前記所定サイクル毎および前記各チャンネル毎に、前記演算手段から出力誤差値を、それまでに累積された前記出力誤差累積値に累積する出力誤差累積手段と、前記所定サイクル毎に、或るチャンネルの出力電力指令値が出力されたときには、他のチャンネルの前記閾値を増加させる一方、増加させた閾値を所定周期でリセットする閾値変更手段とを備えている。
【0037】
本発明によると、先に提案しているサイクル制御と同様に、出力応答が速く、ON状態が時間的に分散されるので、制御対象を長寿命化できる。特に、出力ステップで出力する出力電力指令値を用いて、次のサイクルのための出力誤差の演算処理およびそれに基づく出力誤差の累積処理を行うことができるので、例えば、出力ステップで出力された出力電力指令値によって、後段のSSR等の点弧をフィードバックして出力電力指令値を決定するための処理を行うといった構成に比べて、SSR等の点弧を待つ必要がなく、より簡便な構成が可能となる。
【0038】
さらに、或るチャンネルの出力電力指令値が出力されて対応する負荷に電力が供給されたときには、他のチャンネルの前記閾値を増加させるので、他のチャンネルの出力電力指令値の出力が抑制されて対応する負荷への電力の供給が抑制され、各チャンネルの出力電力指令値の出力タイミングをずらすことができる一方、増加させた閾値は、所定周期でリセットされるので、他のチャンネルについても、加算ステップで加算された値が、閾値を越えたときには、出力電力指令値を出力して抑制されたことによる累積誤差を補正できることになる。
【0039】
本発明の他の実施態様においては、前記閾値変更手段は、前記閾値を、負荷に流れるピーク電流値またはピーク電力値に比例させて増加させるものである。
【0040】
本発明によると、負荷に流れるピーク電流値またはピーク電力値に比例させて閾値を増加させるので、ピーク電流値やピーク電力値が大きい場合には、閾値の増加量も大きくなり、したがって、他のチャンネルの出力電力指令値が出力されるタイミングを大きくずらして出力タイミングが重なるのを抑制できることになる。
【0041】
本発明の更に他の実施態様においては、前記加算手段、前記比較手段、前記演算手段、出力誤差累積手段および閾値変更手段は、負荷電力または負荷電流の大きいチャンネルの順に前記各処理をそれぞれ行うものである。
【0042】
本発明によると、負荷電流または負荷電力の大きいチャンネルの順に、各手段の処理が行われるので、最も負荷電流または負荷電力の大きなチャンネルの出力電力指令値が出力されると、他のチャンネルの閾値が増加されて各チャンネルの出力電力指令値のタイミングがずらされることになり、上述のように、その増加量を、ピーク電流値またはピーク電力値に比例させることにより、他のチャンネルの出力電力指令値が出力されるタイミングを大きくずらして出力タイミングが重なるのを一層効果的に抑制できることになる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0044】
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る電力制御装置を備える温度制御システムの要部の概略構成を示すブロック図である。
【0045】
この実施の形態の電力制御装置8は、温度調節器1からの複数チャンネル、この例では、3チャンネルの入力電力指令値(操作量)に応じて、同一の交流電源6に並列接続された負荷としての3つのヒータ40〜42に供給する電力をスイッチング制御するための出力電力指令値を内蔵のゼロクロストリガ回路に出力し、このゼロクロストリガ回路を介して各ヒータ40〜42に個別的に対応するトライアック等のスイッチング素子70〜72に点弧信号を出力するものである。
【0046】
この実施の形態では、電力制御装置8とスイッチング素子70〜72とによって、電力調整器9が構成されている。
【0047】
この実施の形態の電力制御装置8は、図2のブロック図に示されるように、温度調節器1からの各チャンネル毎の入力電力指令値Xを半サイクル間保持するサンプル・ホールド部210〜212と、入力された電力指令値Xと実際の出力値Yとの出力誤差Eを算出する出力誤差演算部220〜222と、出力誤差演算部220〜222で求めた出力誤差Eを累積する出力誤差累積部230〜232と、入力された電力指令値Xと出力誤差累積値とを加算する加算部(補正部)240〜242と、加算部240〜242の加算出力を受け、その入力値と閾値Sとを比較し 閾値を越えたときに、100%の出力電力指令値を出力してヒータへ電力を供給する比較部250〜252とを備えており、以上の構成は、先に提案しているサイクル制御装置の構成を、複数チャンネルに対応させたものである。なお、比較部250〜252からの出力電力指令値は、対応するゼロクロストリガ回路100〜102を介して対応するスイッチング素子70〜72に点弧信号として与えられる。
【0048】
この実施の形態では、3つのヒータ40〜42に電力を供給するタイミングが一致して合計のピーク電流が大きくなるのを抑制するために、次のように構成している。
【0049】
すなわち、この実施の形態では、或るチャンネルの出力電力指令値が出力されたときには、他のチャンネルの閾値を増加させる一方、増加させた閾値を所定周期でリセットする閾値変更部11を設けている。
【0050】
この実施の形態の閾値変更部11は、上述のサイクル制御装置と同様の周期である半サイクル毎に、チャンネルch0の比較部250で加算値が閾値を越えて100%の出力電力指令値が出力されてヒータ40が通電されるときには、チャンネルch1の比較部251における閾値を増加させるとともに、チャンネルch2の比較部252における閾値を増加させるものであり、この結果、チャンネルch0のヒータ40が通電されるときには、チャンネルch1およびチャンネルch2の100%の出力電力指令値が出力が抑制されることになる。
【0051】
この増加した閾値は、所定周期、この実施の形態では、半サイクル毎にリセットされ、次の半サイクルで、チャンネルch0が100%の出力電力指令値を出力しないときには、チャンネルch1の閾値は増加されないので、チャンネルch1の比較部251で加算値が閾値を越えて100%の出力電力指令値が出力されてヒータ41が通電されると、チャンネルch2の比較部252における閾値を増加させるものであり、この結果、チャンネルch1のヒータ41が通電されるときには、チャンネルch2の100%の出力電力指令値の出力が抑制されることになる。
【0052】
さらに、次の半サイクルで、チャンネルch0が100%の出力電力指令値を出力せず、また、チャンネルch1が100%の出力電力指令値を出力しないときには、チャンネルch2の閾値は増加しないので、チャンネルch2の比較部252で加算値が閾値を越えたときには、100%の出力電力指令値が出力されてヒータ42が通電されることになる。
【0053】
すなわち、半サイクル毎に、チャンネルch0が100%の出力電力指令値を出力するときには、チャンネルch1およびチャンネルch2の閾値を増加させて出力を抑制し、チャンネルch0が100%の出力電力指令値を出力しないときには、チャンネルch1の閾値を増加させず、チャンネルch1が100%の出力電力指令値を出力するときには、チャンネルch2の閾値を増加させて出力を抑制し、チャンネルch0およびチャンネルch1が100%の出力電力指令値を出力しないときには、チャンネルch2の閾値を増加させないようにするものである。
【0054】
これによって、同一タイミングでの100%の出力電力指令値の出力を抑制するものである。
【0055】
次に、この閾値変更部11における動作を、図3のフローチャートおよび図4に基づいて詳細に説明する。
【0056】
図4は、入力電力指令値(操作量)が33%である場合の各チャンネルch0〜ch2における入力電力指令値(操作量)、この操作量と出力誤差累積値である積算操作量との加算値である判定値、出力(出力電力指令値)、前記積算操作量、閾値および出力波形を、半周期毎に示したものである。なお、チャンネルch0の閾値は、常に0であるので省略している。
【0057】
図3に示されるように、先ず初回処理であるか否かを判断し(ステップST1)、初回処理であるので、各チャンネルch0〜ch2の負荷容量に対応する係数k(k0〜k2)を設定する(ステップST2)。ここでは、負荷であるヒータ40〜42の容量が同一の、例えば、1Aであるので、kは全て1としている。
【0058】
次に、各チャンネルch0〜ch2の積算操作量(出力誤差累積値)を0%とし(ステップST3)、さらに、閾値を0%とし(ステップST4)、チャンネル番号nを0とする(ステップST5)。
【0059】
次に、チャンネルch0の操作量(入力電力指令値)と積算操作量とを加算して判定値(加算値)とする(ステップST6)。図4に示されるように、操作量は、33%であるので、チャンネルch0の判定値は、33%となる。この判定値と閾値とを比較し、判定値が閾値以上であるか否かを判断する(ステップST7)。チャンネルch0の判定値は、33%であり、閾値は、ステップST3で設定したように0%であるので、判定値は、閾値以上となってステップST8に移り、図4の周期1に示されるように、チャンネルch0の出力(出力電力指令値)が100%となる。
【0060】
チャンネルch0の出力が100%となったので、次のチャンネルch1の閾値を、閾値+k×今回操作量として算出する(ステップST9)。この場合、閾値は0%、kは1、今回操作量は100%であるので、チャンネルch1の閾値は、図4の周期1に示されるように、100%となる。
【0061】
次に、チャンネルch0の積算操作量(出力誤差累積値)を、積算操作量+操作量−今回操作量として算出する(ステップST10)。この場合、積算操作量は0%、操作量は33%、今回操作量は100%であるで、チャンネルch0の積算操作量は、図4の周期1に示されるように、−67%となる。
【0062】
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch1とし(ステップST11)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST12)、終了していないので、ステップST6に戻り、チャンネルch1について、判定値を算出する。この場合、チャンネルch1の積算操作量は、初回であるので、0%、操作量は、33%であるので、判定値は、図4の周期1に示されるように、33%となる。この判定値は、上述のステップST9で算出した閾値100%以上でないので(ステップST7)、今回操作量を0%として出力せず(ステップST13)、次のチャンネルch2の閾値を、閾値+k×今回操作量として算出する(ステップST9)。この場合、閾値は100%、kは1、今回操作量は0%であるので、次のチャンネルch2の閾値は、図4の周期1に示されるように、100%となる。
【0063】
次に、チャンネルch1の積算操作量(出力誤差累積値)を、積算操作量+操作量−今回操作量として算出する(ステップST10)。この場合、積算操作量は0%、操作量は33%、今回操作量は0%であるで、チャンネルch1の積算操作量は、図4の周期1に示されるように、33%となる。
【0064】
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch2とし(ステップST11)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST12)、終了していないので、ステップST6に戻り、チャンネルch2について、判定値を算出する。この場合、チャンネルch2の積算操作量は、初回であるので、0%、操作量は、33%であるので、判定値は、図4の周期1に示されるように、33%となる。この判定値は、上述のステップST9で算出した閾値100%以上でないので(ステップST7)、今回操作量を0%として出力せず(ステップST13)、次のチャンネルch3、この場合、次のchは存在しないが、その閾値を、閾値+k×今回操作量として算出する(ステップST9)。
【0065】
次に、チャンネルch2の積算操作量(出力誤差累積値)を、積算操作量+操作量−今回操作量として算出する(ステップST10)。この場合、積算操作量は0%、操作量は33%、今回操作量は0%であるで、チャンネルch2の積算操作量は、図4の周期1に示されるように、33%となる。
【0066】
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch3とし(ステップST11)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST12)、終了したので、最初の半サイクルの処理を終了する。
【0067】
この最初の半サイクル(周期1)では、チャンネルch0が100%の出力電力指令値を出力したので、チャンネルch1およびch2の閾値が、0%から100%に増加し、これによって、チャンネルch1およびチャンネルch2からは、100%の出力電力指令値が出力されないことになる。
【0068】
この電力制御装置8の後段のスイッチング素子70〜72では、上述のステップST8の出力電力指令値に応じて、次の半サイクルで点弧される。なお、図4においては、対応関係が明瞭となるように、出力波形は、次の半サイクルではなく、同じ半サイクルで示している。
【0069】
次の半サイクル、すなわち、第2番目の半サイクル(周期2)では、ステップST1に戻り、初回処理であるか否かを判断し、初回処理ではないので、閾値を0%とし(ステップST4)、チャンネル番号nを0とする(ステップST5)。
【0070】
次に、チャンネルch0の操作量(入力電力指令値)と積算操作量とを加算して判定値(加算値)とする(ステップST6)。図4の周期1に示されるように積算操作量は−67%、操作量は、図4の周期2に示されるように33%であるので、チャンネルch0の判定値は、−67+33=−34%となる。この判定値と閾値とを比較し、判定値が閾値以上であるか否かを判断する(ステップST7)。チャンネルch0の判定値は、−34%であり、閾値は、ステップST3で設定したように0%であるので、判定値は、閾値以上ではなく、ステップST13に移り、図4の周期2に示されるように、チャンネルch0の出力(出力電力指令値)が0%となる。
【0071】
チャンネルch0の出力が0%であるので、チャンネルch1の閾値は、閾値+k×今回操作量として算出する(ステップST9)。この場合、閾値は0%、kは1、今回操作量は0%であるので、チャンネルch1の閾値は、図4の周期2に示されるように、0%となり、閾値の増加はない。
【0072】
次に、チャンネルch0の積算操作量(出力誤差累積値)を、積算操作量+操作量−今回操作量として算出する(ステップST10)。この場合、積算操作量は−67%、操作量は33%、今回操作量は0%であるで、チャンネルch0の積算操作量は、図4の周期2に示されるように、−34%となる。
【0073】
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch1とし(ステップST11)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST12)、終了していないので、ステップST6に戻り、チャンネルch1について、判定値を算出する。この場合、チャンネルch1の積算操作量は、図4の周期1に示されるように、33%であり、操作量は、33%であるので、判定値は、図4の周期2に示されるように、33+33=66%となる。この判定値は、上述のステップST9で算出した閾値0%以上であるので(ステップST7)、今回操作量を100%として出力し(ステップST8)、次のチャンネルch2の閾値を、閾値+k×今回操作量として算出する(ステップST9)。この場合、閾値は0%、kは1、今回操作量は100%であるので、チャンネルch2の閾値は、図4の周期2に示されるように、100%となる。
【0074】
次に、チャンネルch1の積算操作量(出力誤差累積値)を、積算操作量+操作量−今回操作量として算出する(ステップST10)。この場合、積算操作量は33%、操作量は33%、今回操作量は100%であるで、チャンネルch1の積算操作量は、図4の周期2に示されるように、−34%となる。
【0075】
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch2とし(ステップST11)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST12)、終了していないので、ステップST6に戻り、チャンネルch2について、判定値を算出する。この場合、チャンネルch2の積算操作量は、図4の周期1に示されるように、33%、操作量は、33%であるので、判定値は、図4の周期2に示されるように、66%となる。この判定値は、上述のステップST9で算出した閾値100%以上でないので(ステップST7)、今回操作量を0%として出力せず(ステップST13)、次のチャンネルch3、この場合、次のchは存在しないが、その閾値を、閾値+k×今回操作量として算出する(ステップST9)。
【0076】
次に、チャンネルch2の積算操作量(出力誤差累積値)を、積算操作量+操作量−今回操作量として算出する(ステップST10)。この場合、積算操作量は33%、操作量は33%、今回操作量は0%であるで、チャンネルch2の積算操作量は、図4の周期2に示されるように、66%となる。
【0077】
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch3とし(ステップST11)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST12)、終了したので、第2番目の半サイクル(周期2)の処理を終了する。
【0078】
この周期2では、チャンネルch0が100%の出力電力指令値を出力しないので、チャンネルch1の閾値が0%のままであり、これによって、チャンネルch1が100%の出力電力指令値を出力し、チャンネルch2の閾値が、0%から100%に増加し、チャンネルch2からは、100%の出力電力指令値が出力されないことになる。
【0079】
さらに次の半サイクル、すなわち、第3番目の半サイクル(周期3)では、ステップST1に戻り、初回処理であるか否かを判断し、初回処理ではないので、閾値を0%とし(ステップST4)、チャンネル番号nを0とする(ステップST5)。
【0080】
次に、チャンネルch0の操作量(入力電力指令値)と積算操作量とを加算して判定値(加算値)とする(ステップST6)。図4の周期2に示されるように、それまでの積算操作量は−34%、操作量は、図4の周期3示されるように33%であるので、チャンネルch0の判定値は、−34+33=−1%となる。この判定値と閾値とを比較し、判定値が閾値以上であるか否かを判断する(ステップST7)。チャンネルch0の判定値は、−1%であり、閾値は、ステップST3で設定したように0%であるので、判定値は、閾値以上ではなく、ステップST13に移り、図4の周期3に示されるように、チャンネルch0の出力(出力電力指令値)が0%となる。
【0081】
チャンネルch0の出力が0%であるので、チャンネルch1の閾値は、閾値+k×今回操作量として算出する(ステップST9)。この場合、閾値は0%、kは1、今回操作量は0%であるので、チャンネルch1の閾値は、図4の周期3に示されるように、0%となり、閾値の増加はない。
【0082】
次に、チャンネルch0の積算操作量(出力誤差累積値)を、積算操作量+操作量−今回操作量として算出する(ステップST10)。この場合、積算操作量は−34%、操作量は33%、今回操作量は0%であるで、チャンネルch0の積算操作量は、図4の周期3に示されるように、−1%となる。
【0083】
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch1とし(ステップST11)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST12)、終了していないので、ステップST6に戻り、チャンネルch1について、判定値を算出する。この場合、チャンネルch1の積算操作量は、図4の周期2に示されるように、−34%であり、操作量は、33%であるので、判定値は、図4の周期3に示されるように、−34+33=−1%となる。この判定値は、上述のステップST9で算出した閾値0%以上でなく(ステップST7)、ステップST13に移り、図4の周期3に示されるように、チャンネルch1の出力(出力電力指令値)が0%となる。次のチャンネルch2の閾値を、閾値+k×今回操作量として算出する(ステップST9)。この場合、閾値は0%、kは1、今回操作量は0%であるので、チャンネルch2の閾値は、図4の周期3に示されるように、0%となり、閾値の増加はない。
【0084】
次に、チャンネルch1の積算操作量(出力誤差累積値)を、積算操作量+操作量−今回操作量として算出する(ステップST10)。この場合、積算操作量は−34%、操作量は33%、今回操作量は0%であるで、チャンネルch1の積算操作量は、図4の周期3に示されるように、−1%となる。
【0085】
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch2とし(ステップST11)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST12)、終了していないので、ステップST6に戻り、チャンネルch2について、判定値を算出する。この場合、チャンネルch2の積算操作量は、図4の周期2に示されるように、66%、操作量は、33%であるので、判定値は、図4の周期3に示されるように、99%となる。この判定値は、上述のステップST9で算出した閾値0%以上であるので(ステップST7)、今回操作量を100%として出力し(ステップST8)、次のチャンネルch3、この場合、次のchは存在しないが、その閾値を、閾値+k×今回操作量として算出する(ステップST9)。
【0086】
次に、チャンネルch2の積算操作量(出力誤差累積値)を、積算操作量+操作量−今回操作量として算出する(ステップST10)。この場合、積算操作量は66%、操作量は33%、今回操作量は100%であるで、チャンネルch2の積算操作量は、図4の周期3に示されるように、−1%となる。
【0087】
次に、チャンネル番号nに1を加えて新たなチャンネルch3とし(ステップST11)、全チャンネルについて終了したか否かを判断し(ステップST12)、終了したので、第3番目の半サイクル(周期3)の処理を終了する。
【0088】
この周期3では、チャンネルch0およびチャンネルch1が100%の出力電力指令値を出力しないので、チャンネルch2の閾値が0%のままであり、これによって、チャンネルch2が100%の出力電力指令値を出力することになる。
【0089】
以降の各半サイクルも以上同様の処理が為されることになり、図4の各チャンネルch0〜ch2の出力波形に示されるように、半サイクル毎に順番に出力されることになる。
【0090】
したがって、この場合には、上述の図13の従来例に対応する図5に示されるように、各チャンネルch0〜ch2のピーク電流が重ならず、ピーク電流値も1Aと低く抑えられることになる。
【0091】
上述の例では、各ヒータ40〜42の容量が同一であったけれども、図6には、ヒータ40〜42の容量が、0.5A,1Aおよび2Aである場合の入力電力指令値が50%のときのピーク電流を示しており、上述の図3と同様にして出力タイミングを重ならないようにすることで、ピーク電流を、3.5Aではなく2.5Aに抑制できることになる。
【0092】
図7には、図6と同様に、ヒータ40〜42の容量が、0.5A,1Aおよび2Aである場合の入力電力指令値が50%のときのピーク電流を示しているが、この図7においては、上述の図3における各チャンネルの負荷容量に対応する係数k0〜k2を、ヒータ容量に比例するように、k0=2、k1=1、k2=0.5に設定し、ヒータ容量の大きな順番で演算処理されるように、チャンネルch0に、2Aの容量のヒータを、チャンネルch1に、1Aの容量のヒータを、チャンネルch2に、0.5Aの容量のヒータを割当てた、すなわち、接続したものである。
【0093】
このようにヒータ容量に比例した係数k0〜k2を設定するとともに、上述の図3のフローチャートに示されるように、ヒータ容量の大きなチャンネルから順番に演算処理することにより、容量の大きなヒータに電流が流れたときには、閾値の増加量が多くなって各チャンネルの出力のタイミングがより分散されることになり、それを大きなチャンネルの順で行うことにより、より確実に出力のタイミングが分散され、この図7に示されるように、ピーク電流を、2Aにまで抑制できることになる。
【0094】
このように各チャンネルに電力を供給するタイミングをずらしてピーク電力またはピーク電流を抑制しているので、電源容量を低くできる。
【0095】
なお、入力電力指令値が、例えば、100%といった高い値であるときには、結局、出力タイミングは重なることになるのであるが、例えば、拡散炉、CVD装置、成形機などの各種の熱処理装置などの温度制御においては、最初の立ち上げ時には、100%といった高い操作量が必要とされるけれども、目標温度に整定した後は、高くても20〜30%程度の操作量となり、この期間が長く継続されるので、本発明によれば、この長い期間において、出力タイミングの重なりを抑制して効果的にピーク電力またはピーク電流を抑制できることになる。
【0096】
上述の実施の形態では、負荷容量に対応する係数k0〜k2を、ヒータ容量に比例させるとともに、ヒータ容量の大きな順番で演算処理したけれども、本発明の他の実施の形態として、負荷容量に対応する係数k0〜k2を、ヒータ容量に比例させるだけで、ータ容量の大きな順番で演算処理しないようにしてもよい。この場合であっても、ヒータ容量に比例した閾値の増加量が増えることになり、出力タイミングを分散させる上で有効となる。
【0097】
上述の実施の形態では、増加させた閾値を、半サイクル毎にリセットさせたけれども、本発明は、半サイクルに限らず、所定の周期でリセットさせればよい。また、閾値やその増加量も上述の実施の形態に限らないのは勿論である。
【0098】
本発明の他の実施の形態として、電力制御装置を温度調節器に内蔵させる構成としてもよい。
【0099】
上述の実施の形態では、ゼロクロストリガ回路等を電力制御装置に内蔵されたけれども、本発明の他の実施の形態として、ゼロクロストリガ回路等は、後段のSSRとしてもよい。
【0100】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、入力電力指令値に応じて、例えば、半サイクル毎に出力電力指令値を補正するので、従来のサイクル制御に比べて、出力応答が速く、また、ON状態が時間的に分散されるので、制御対象を長寿命化できる。特に、後段のSSR等に出力する出力電力指令値を用いて、次のサイクルのための出力誤差の演算処理およびそれに基づく出力誤差の累積処理を行うことができるので、例えば、出力された出力電力指令値によって、後段のSSR等の点弧をフィードバックして出力電力指令値を決定するための処理を行うといった構成に比べて、SSR等の点弧を待つ必要がなく、より簡便な構成が可能となる。
【0101】
さらに、本発明によれば、複数チャンネルの電力制御において、各チャンネルの出力タイミングの重なりを抑制できるので、ピーク電流またはピーク電力を抑制して電源容量を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る温度制御システムの要部の概略構成図である。
【図2】図1の電力制御装置のブロック図である。
【図3】図1の実施の形態の動作説明に供するフローチャートである。
【図4】図1の実施の形態の半サイクル毎の動作を説明するための各部のレベル等の一例を示す図である。
【図5】図1の実施の形態のピーク電流を示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態の図5に対応するピーク電流を示す図である。
【図7】本発明の更に他の実施の形態の図5に対応するピーク電流を示す図である。
【図8】従来の温度制御システムの構成を示す概略構成図である。
【図9】従来のサイクル制御を説明するための図である。
【図10】先に提案したサイクル制御を説明するための概略構成図である。
【図11】先に提案したサイクル制御の動作説明に供するフローチャートである。
【図12】先に提案したサイクル制御の半サイクル毎の動作を説明するための各部のレベルの一例を示す図である。
【図13】先に提案したサイクル制御のピーク電流を示す図である。
【符号の説明】
1 温度調節器
40〜42 ヒータ
6 交流電源
70から72 スイッチング素子
8 電力制御装置
11 閾値変更部
22 出力誤差演算部
23 出力誤差累積部
24 加算部
25 比較部
Claims (6)
- 入力電力指令値に応じて、同一電源に並列接続された複数の負荷に供給する電力をスイッチング制御するための出力電力指令値を、前記各負荷に個別的に対応する各チャンネル毎に出力する電力制御方法であって、
半サイクル以上の所定サイクル毎に、
前記入力電力指令値とそれまでに累積された出力誤差累積値とを加算する加算ステップと、
加算ステップで加算された加算値と閾値とを比較して閾値を越えたときに、出力電力指令値を出力して負荷に電力を供給する出力ステップと、
出力ステップで出力される出力電力指令値と前記入力電力指令値との出力誤差値を演算する演算ステップと、
演算ステップで演算した出力誤差値を、それまでに累積された前記出力誤差累積値に累積する出力誤差累積ステップとを、前記各チャンネル毎に行うものであって、
或るチャンネルの出力電力指令値が出力されたときには、他のチャンネルの前記閾値を増加させる一方、増加させた閾値を所定周期でリセットすることを特徴とする電力制御方法。 - 前記閾値を、前記負荷に流れるピーク電流値またはピーク電力値に比例させて増加させる請求項1記載の電力制御方法。
- 負荷電流または負荷電力の大きいチャンネルの順に、前記各ステップを行う請求項1または2記載の電力制御方法。
- 入力電力指令値に応じて、同一電源に並列接続された複数の負荷に供給する電力をスイッチング制御するための出力電力指令値を、前記各負荷に個別的に対応する各チャンネル毎に出力する電力制御装置であって、
半サイクル以上の所定サイクル毎および前記各チャンネル毎に、前記入力電力指令値とそれまでに累積された出力誤差累積値とを加算する加算手段と、
前記所定サイクル毎および前記各チャンネル毎に、前記加算手段からの加算値と閾値とを比較して閾値を越えたときに、出力電力指令値を出力して負荷に電力を供給する比較手段と、
前記所定サイクル毎および前記各チャンネル毎に、前記比較手段から出力される出力電力指令値と前記入力電力指令値との出力誤差値を演算する演算手段と、前記所定サイクル毎および前記各チャンネル毎に、前記演算手段から出力誤差値を、それまでに累積された前記出力誤差累積値に累積する出力誤差累積手段と、
前記所定サイクル毎に、或るチャンネルの出力電力指令値が出力されたときには、他のチャンネルの前記閾値を増加させる一方、増加させた閾値を所定周期でリセットする閾値変更手段と、
を備えることを特徴とする電力制御装置。 - 前記閾値変更手段は、前記閾値を、負荷に流れるピーク電流値またはピーク電力値に比例させて増加させる請求項4記載の電力制御装置。
- 前記加算手段、前記比較手段、前記演算手段、出力誤差累積手段および閾値変更手段は、負荷電力または負荷電流の大きいチャンネルの順に前記各処理をそれぞれ行う請求項4または5記載の電力制御装置。
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