JP5733225B2 - マルチチャンネル電力制御器 - Google Patents
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Description
以下の特許文献1に開示されている電力制御方法では、温調計等から出力された出力指令値に基づいて、例えば、SSR(Solid State Relay)などの電流オンオフ機器に対するスイッチング制御をゼロクロス点(交流電圧がゼロになる時点)で行うようにしている。以下、この制御を「ゼロクロス制御」と称する。
このように、ゼロクロス制御を実施することで、高周波ノイズが小さくなる利点が得られる。
また、この電力制御方法では、電源電圧の1サイクル毎に、電力出力をオン又はオフに制御する際、十分に長い時間に於けるオンとオフの比率(以下、「負荷率」と称する)が、温調計等から出力された出力指令値と比例するように、負荷に加わる電力を制御(以下、「時分割制御」と称する)することにより、温度制御のリップルが小さくなる利点が得られる。
時分割制御方式の電力制御器は、マルチチャンネルの構成にも適用され、例えば、以下の特許文献3,4には、複数のチャンネルの負荷を制御する際、同時にオンするチャンネル数を制限して、ピーク電力を抑制するマルチチャンネル電力制御器や、同時にオンするチャンネル数を制限して、ピーク電力を抑制する機能を内蔵している調節計が提案されている。
電源電圧の情報をフィードバックするには、負荷印加電圧(以下、「出力電圧」と称する)と、負荷電流(以下、「出力電流」と称する)とを測定する必要があるが、その出力電圧と出力電流から負荷抵抗を算出することができるため、負荷の断線や短絡の警報機能を容易に追加することができる利点が得られる。
ところが、時分割制御方式のマルチチャンネル電力制御器においては、詳細を後述する図4の出力状態(図4では、各チャンネルch1〜ch4のオン状態を黒塗りで、オフ状態を白抜きで示している)に示されているように、電力制御出力のオンオフパターンが不規則であるため、測定対象のチャンネルが、そのサイクルでオン状態であるとは限らない。
このため、特定のチャンネルについて、オン状態の出力電流を長期間測定できないことがあると、測定できない期間中に負荷の抵抗値が大きく変化してしまい、適切な出力電力値をフィードバックすることができないので、負荷抵抗の変化による出力電力の変動の影響を適切に補正することができなくなる問題点があった。
また、特定のチャンネルについて、オン状態の出力電流を長期間測定できない場合、負荷の劣化警報を発生するタイミングが大幅に遅れてしまうことがある問題点もあった。
しかし、上述した理由で、特定のチャンネルについて、オン状態の出力電流又はオフ状態の出力電流を長期間測定できないことがありうる。
このため、特許文献2には、「フィードフォワード的にAC負荷電力供給制御に反映させる」旨の記載があるが、両者は同じ内容を意味している。以下の文書中では、単に電力フィードバックと記載する。
図1はこの発明の実施の形態1によるマルチチャンネル電力制御器を示す構成図である。図1のマルチチャンネル電力制御器では、M個のチャンネルch1,ch2,・・・,chMの負荷に供給する電力を制御する例を示している。ただし、Mは2以上の整数である。
この実施の形態1では、マルチチャンネル電力制御器が時分割制御方式を採用している例を説明するが、M個のチャンネルch1,ch2,・・・,chMの負荷に供給する電力を制御するものであれば、時分割制御方式以外の制御方式(例えば、位相制御方式、サイクル制御方式)を採用するものであってもよい。
CT2はチャンネルch2の負荷(2)に流れる電流I2を検出する電流検出器である。
CT3はチャンネルch3の負荷(3)に流れる電流I3を検出する電流検出器である。
CTMはチャンネルchMの負荷(M)に流れる電流IMを検出する電流検出器である。
SCR2はチャンネルch2の負荷(2)に流れる電流I2をオン/オフ制御する電流オンオフ機器(スイッチング機器)である。
SCR3はチャンネルch3の負荷(3)に流れる電流I3をオン/オフ制御する電流オンオフ機器(スイッチング機器)である。
SCRMはチャンネルchMの負荷(M)に流れる電流IMをオン/オフ制御する電流オンオフ機器(スイッチング機器)である。
この実施の形態1では、電流オンオフ機器がSCRである例を示しているが、これに限るものではなく、例えば、SSRなどの電流オンオフ機器でもよい。
電圧測定部2は電源電圧値測定部3及び出力電圧値換算部4から構成されており、AC電源1により全チャンネルに印加される電源電圧を測定する電圧測定器である。なお、電圧測定部2は電源電圧測定手段を構成している。
電源電圧値測定部3は出力演算タイミング毎に、AC電源1による電源電圧Vを測定する処理を実施する。ここで、出力演算タイミングとしては、例えば、AC電源1の電源サイクル(電源1サイクル)毎に発生する例や、電源半サイクル(例えば、AC電源1による電源電圧Vのゼロクロス点)毎に発生する例が考えられるが、この実施の形態1では、出力演算タイミングとして、電源1サイクル毎に発生するものとして説明する。
出力電圧値換算部4は電源電圧値測定部3により前サイクルで測定された電源電圧Vから、予め設定された値として、例えば、オン状態であるときの各チャンネルのSCR1〜SCRMの電圧降下の標準的な値(例えば、SCR1〜SCRMの電圧降下分の平均値や中央値)を減算し、その減算結果を出力電圧値VOUTとして出力する処理を実施する。
したがって、AC電源1による電源電圧VからSCR1〜SCRMの電圧降下の標準的な値を減算した結果を出力電圧値VOUTとしても、電力フィードバックを計算する上で、十分な電力フィードバック精度が得られる。よって、1個の電源電圧測定部2で全チャンネルの出力電圧測定器を代用することができる。
また、SCR1〜SCRMの電圧降下分は、AC電源1による電源電圧Vと比較して十分に小さい値であるとともに、その変動幅は十分に小さいため、その電源電圧VからSCR1〜SCRMの電圧降下分を減算する処理を省略し、その電源電圧Vを出力電圧値VOUTとしても、電力フィードバックの演算を行っても実用上の問題がない場合が多い。
よって、電力フィードバックの演算を行っても実用上の問題がない場合には、電源電圧VからSCR1〜SCRMの電圧降下分を減算する処理を省略し、その電源電圧Vを出力電圧値VOUTとして出力するようにしてもよい。
電流測定チャンネル選択部6は測定対象のチャンネルが記録されているテーブル(例えば、図4に示す順位テーブル)を保持しており、出力演算タイミング毎に、そのテーブルを参照して、各チャンネルのCT1〜CTMの中から、測定対象のチャンネルのCTmを選択する処理を実施する。
例えば、サイクルC1では、チャンネルch1が最も優先順位が高く、その次にチャンネルch2の優先順位が高いが、チャンネルch1,ch2の出力状態がオフ状態であって、測定条件を満足していないので、チャンネルch2の次に測定条件を満足しているチャンネルch3のCT3が測定対象のCTmとして選択される。
なお、電流測定チャンネル選択部6は、選択チャンネルが一部のチャンネルに偏って、特定のチャンネルが長期間選択されない状況の発生を防止するため、測定条件を満足しているチャンネルの中で、最も電流測定の優先順位が高いチャンネルのCTmを選択すると、次のオン/オフ状態を切り換える周期では、そのチャンネルに対する電流測定の優先順位を最下位に再設定する。
出力電流値測定部8は電流測定チャンネル切換部7により切り換えられたCTmの検出信号Imを取り込み、その検出信号Imを電流値に変換して出力電流値IOUTとして出力する処理を実施する。
負荷抵抗値算出部10は電流測定部5から出力電流値IOUTが出力される毎に、その出力電流値IOUTと電圧測定部2より出力された出力電圧値VOUTから、電流測定チャンネル選択部6により選択されたチャンネルの負荷(m)の抵抗値Rmを算出し、負荷抵抗値記憶部9により記憶されている負荷(m)の抵抗値をRmに変更する抵抗値更新処理を実施する。なお、負荷抵抗値算出部10は抵抗値更新手段を構成している。
即ち、出力電力値算出部11はチャンネル毎に、当該チャンネルのSCRがオン状態であるのか、オフ状態であるのかを把握し、オン状態のチャンネルについては、電圧測定部2から出力された出力電圧値VOUTの2乗値を負荷抵抗値記憶部9により記憶されている当該チャンネルの負荷の抵抗値Rで除算した結果を出力電力推定値POUTとし、オフ状態のチャンネルについては、0を出力電力推定値POUTとする。
なお、出力電力値算出部11は出力電力推定値算出手段を構成している。
出力電力正規化部13は負荷定格電力設定部14及び出力電力正規化値算出部15から構成されており、出力電力値算出部11により算出された各チャンネルの出力電力推定値POUT1,POUT2,・・・,POUTMを正規化し、正規化後の各チャンネルの出力電力推定値rPOUT1,rPOUT2,・・・,rPOUTMを出力指令積算部18に出力する処理を実施する。
出力電力正規化値算出部15は負荷定格電力設定部14により設定された各チャンネルの負荷(1)〜(M)の定格電力PR1,PR2,・・・,PRMを用いて、出力電力値算出部11により算出された各チャンネルの出力電力推定値POUT1,POUT2,・・・,POUTMを正規化する処理を実施する。
出力指令積算部18は出力演算タイミング毎、即ち、各チャンネルのスイッチング機器のオンオフ状態を切り換える周期毎に、各チャンネルの出力指令積算値Σ1,Σ2,・・・,ΣMから出力電力正規化部13による正規化後の出力電力推定値rPOUT1,rPOUT2,・・・,rPOUTMを減算して、出力指令値出力部12から出力された出力指令値OP1,OP2,・・・,OPMを出力電力推定値減算後の各チャンネルの出力指令積算値Σ1,Σ2,・・・,ΣMに加算する処理を実施する。
SCR駆動信号出力部20は出力オンオフ判断部19により生成された各チャンネルの出力オンオフ指令値に対応するオンオフ駆動信号をSCR1〜SCRMに出力することで、SCR1〜SCRMのオン/オフ状態を切り換える処理を実施する。
なお、出力指令値出力部12、出力電力正規化部13及び時分割制御部17からスイッチング機器制御手段が構成されている。
また、図3はこの発明の実施の形態1によるマルチチャンネル電力制御器の電流測定部5の処理内容を示すフローチャートである。
マルチチャンネル電力制御器は、処理を開始する初期設定処理として、例えば、各チャンネルの負荷(1)〜(M)の抵抗値R1,R2,・・・,RM(例えば、所定温度における負荷(1)〜(M)の抵抗値)を負荷抵抗値記憶部9に格納する処理などを実施する(図2のステップST1)。
マルチチャンネル電力制御器は、初期設定処理を実施すると、出力演算タイミング毎に、以下の処理を実施する(ステップST2)。
電圧測定部2の出力電圧値換算部4は、電源電圧値測定部3により前サイクルで測定された電源電圧Vから、各チャンネルのSCR1〜SCRMの電圧降下の標準的な値(例えば、SCR1〜SCRMの電圧降下分の平均値や中央値)を減算し、その減算結果を出力電圧値VOUTとして、負荷抵抗値算出部10及び出力電力値算出部11に出力する(ステップST3)。
以下、電流測定部5の処理内容を具体的に説明する。
図4の順位テーブルには、出力演算タイミング毎、即ち、各チャンネルのSCRのオン/オフ状態を切り換える周期毎に、各チャンネルに対する電流測定の優先順位と、各チャンネルの測定条件(図4の例では、測定対象のチャンネルがオン状態であることを測定条件としている)とが記録されている。
図4では、説明の簡単化のために、チャンネル数が4個である例を示しており、例えば、サイクルC1では、チャンネルch1が最も優先順位が高く、その次にチャンネルch2の優先順位が高く、その次にチャンネルch3の優先順位が高く、チャンネルch4の優先順位が最も低くなっている。
図4の順位テーブルでは、測定対象のチャンネルがオン状態であることを測定条件としているので、オン状態であるチャンネルの中で、最も電流測定の優先順位が高いチャンネルのCTmを選択する。
例えば、サイクルC1では、チャンネルch1が最も優先順位が高く、その次にチャンネルch2の優先順位が高いが、チャンネルch1,ch2の出力状態がオフ状態であるため、チャンネルch1,ch2のCT1,CT2は測定対象のチャンネルのCTmとして選択しない。
チャンネルch2の次に優先順位が高いチャンネルch3の出力状態はオン状態であるため、チャンネルch3のCT3を測定対象のチャンネルのCTmとして選択する。
図4の例では、チャンネル数が4個(M=4)である例を示しているので、変数k,chの最大数は4である。
なお、変数kの値が小さい参照位置にあるチャンネルほど、電流測定の優先順位が高いチャンネルである。
サイクルC1の場合において、例えば、k=1のときに、ch=1であれば、図4における順位テーブルに示されるように、変数kが示すチャンネルとして、チャンネルch1を特定し、そのチャンネルch1の測定条件がオン状態であることを確認する。
また、変数ch=1が示すチャンネルとして、チャンネルch1を特定し、そのチャンネルch1の出力状態を確認する(この場合はオフ状態)。
上記の例では、変数kが示すチャンネルと変数chが示すチャンネルが共にチャンネルch1で一致するが、チャンネルch1の測定条件がオン状態であるのに対して、チャンネルch1の出力状態がオフ状態であるため、測定条件と出力状態が不一致であると判定され、チャネルch1の選択を行わない。
一方、変数chが最大数に到達していれば(ステップST24)、変数kを1インクリメント(1を加算)して(ステップST26)、ステップST22の処理に戻り、ステップST22〜ST24の処理を繰り返し実施する。
その後、k=3のときに、ch=3に設定されると、変数kが示すチャンネルと変数chが示すチャンネルが、共にチャンネルch3になって一致するとともに、測定条件と出力状態が一致する(チャンネルch3の測定条件がオン状態で、チャンネルch3の出力状態がオン状態であるため一致する)。
したがって、サイクルC1の場合、k=3のときに、ch=3になると、ステップST22〜ST26の繰り返し処理から抜け出して、測定条件と出力状態が一致するチャンネルch3を測定対象のチャンネルとして選択する(ステップST27)。
また、サイクルC5の場合、k=2のときに、ch=3であれば、変数kが示すチャンネルと変数chが示すチャンネルが、共にチャンネルch3になって一致するとともに、測定条件と出力状態が一致する(チャンネルch3の測定条件がオン状態で、チャンネルch3の出力状態がオン状態であるため一致する)。
例えば、サイクルC1では、チャンネルch3を選択しているので、サイクルC2では、チャンネルch3の優先順位を最下位(k=4の参照位置)に再設定している。このとき、最下位であったチャンネルch4の優先順位は1つ繰り上げられて、k=3の参照位置に再設定される。
その結果、サイクルC2では、チャンネルch1が最も優先順位が高く、その次にチャンネルch2の優先順位が高く、その次にチャンネルch4の優先順位が高く、チャンネルch3の優先順位が最も低くなっている。
また、サイクルC2では、チャンネルch1を選択しているので、サイクルC3では、チャンネルch1の優先順位を最下位(k=4の参照位置)に再設定している。このとき、チャンネルch2,ch4,ch3の優先順位は1つずつ繰り上げられ、それぞれk=1,2,3の参照位置に再設定される。
電流測定部5の出力電流値測定部8は、電流測定チャンネル切換部7により切り換えられたCTmの検出信号Imを取り込み、その検出信号Imから電流値を測定し、その測定結果を出力電流値IOUTとして、負荷抵抗値算出部10に出力する。
Rm=VOUT/IOUT (1)
負荷抵抗値算出部10は、負荷(m)の抵抗値Rmを算出すると、負荷抵抗値記憶部9により記憶されている負荷(m)の抵抗値をRmに変更する抵抗値更新処理を実施する(ステップST6)。
電流測定チャンネル選択部6により選択されていないチャンネルの負荷の抵抗値について更新されず、前回までと同じ抵抗値が負荷抵抗値算出部10に記憶される。
このため、各チャンネルのSCRの出力状態がオン状態である比率(以下、「負荷率」と称する)にもよるが、多くの場合、数秒以内に電流の測定が可能であり、その度に負荷の抵抗値が更新される。
例えば、チャンネル数が10である場合において、1チャンネルだけが負荷率1%で、他のチャンネルの負荷率が10%以上である場合、負荷率1%のチャンネルは100サイクルのうち1サイクルだけオン状態になるが、他のチャンネルは、その間に何度かオン状態になって測定が実施される。
したがって、このような場合には、負荷率1%のチャンネルの優先順位を高くすることで、100サイクル中で1回の測定チャンスに、負荷率1%のチャンネルの電流が確実に測定されるようにする。
この例では、一番更新が遅いチャンネルでも、負荷の抵抗値が更新されるサイクルが、2秒(100サイクル/50Hz)となって、抵抗値が短時間に更新されるため、抵抗変化が速い負荷にも対応することができる。
なお、電圧測定や電流測定は、例えば、電源半サイクル毎に行うようにしてもよい。
POUTm=VOUT 2/Rm (2)
即ち、出力電力値算出部11は、チャンネル毎に、当該チャンネルのSCRがオン状態であるのか、オフ状態であるのかを把握し、オン状態のチャンネルchについては、当該チャンネルの負荷(m)の抵抗値Rmと出力電圧値VOUTを式(2)に代入することで、当該チャンネルの出力電力推定値POUTmを算出する。
一方、オフ状態のチャンネルchについては、0を出力電力推定値POUTmとして出力電力正規化部13に出力する。
rPOUTm=POUTm/PRm (3)
この実施の形態1では、SCR1〜SCRMに対する制御方式として、時分割制御方式を用いることを想定しているが、時分割制御方式自体は公知の技術であるため、時分割制御部17の内部の処理内容については簡単な説明とする。
例えば、出力指令値OPmが30%のとき、前サイクルの出力がオフであれば、正規化された出力電力推定値rPOUTmは0%となり、出力指令積分値Σmは30%増加する。前サイクルの出力がオンであれば、正規化された出力電力推定値rPOUTmは100%近傍となり、出力指令積分値Σmは約70%(約100%−30%)増加する。
例えば、出力指令値加算後の出力指令積分値Σmが閾値以上の場合には、出力オンオフ指令値(m)をオンとし、出力指令値加算後の出力指令積分値Σmが閾値未満の場合には、出力オンオフ指令値(m)をオフとする。
また、出力オンオフ判断部19は、SCR1〜SCRMに対する出力オンオフ指令値を生成すると、SCR駆動信号出力部20による制御後の各チャンネルのオン/オフ状態を電流測定部5に通知する。
なお、マルチチャンネル電力制御器は、例えば、外部から処理を停止する信号等が入力されなければ、ステップST2の処理に戻り、ステップST2〜ST11の処理が繰り返し実施される。
外部から処理を停止する信号等が入力されれば、一連の処理を終了する(ステップST12)。
その結果、電流測定部5を全チャンネル分用意せずに、1チャンネル分だけ用意すれば足りるため、小型化及び低コスト化を図ることができるマルチチャンネル電力制御器が得られる。
また、マルチチャンネル電力制御器では、電源電圧変動の影響や、負荷抵抗の変化の影響を補償することができるので、高精度の温度制御が可能になる。
また、特定のチャンネルが長期間選択されない状況の発生を防止することができるため、例えば、SiCヒータなど、抵抗値変化が大きい負荷が使用される場合でも、負荷抵抗の変化による出力電力の変動の影響を適切に補正することができる。
なお、本発明は、電源測定部2を、1チャンネル分としたもの以外にも、全チャンネル分よりも少ないチャンネル数であれば、2チャンネル分以上としたものにも適用できることはもちろんである。
また、出力演算タイミング毎に、全チャンネルに印加されている電源電圧を測定しているので、正確な出力電力値POUTの算出が可能になり、高精度の温度制御を実施することができる。
また、チャンネル毎に負荷やSCRの仕様が異なっていても、チャンネル毎に高精度な出力電力値POUTを算出することができる。
上記実施の形態1では、電流測定チャンネル選択部6が、例えば、図4の順位テーブル(測定対象のチャンネルがオン状態であることを測定条件としているテーブル)を保持している例を示したが、図5に示すように、測定対象のチャンネルがオン状態である旨を示す測定条件と、測定対象のチャンネルがオフ状態である旨を示す測定条件とが混在している順位テーブルを保持するようにしてもよい。
例えば、サイクルC4の場合、k=1のときに、ch=4に設定されると、変数kが示すチャンネルと変数chが示すチャンネルが、共にチャンネルch4になって一致するが、チャンネルch4の測定条件がオン状態であるのに対して、チャンネルch4の出力状態がオフ状態であるため、測定条件と出力状態が不一致であると判定される。
その後、k=2のときに、ch=1に設定されると、変数kが示すチャンネルと変数chが示すチャンネルが、共にチャンネルch1になって一致するが、チャンネルch1の測定条件がオフ状態であるのに対して、チャンネルch1の出力状態がオン状態であるため、測定条件と出力状態が不一致であると判定される。
したがって、サイクルC1の場合、k=3、ch=2になると、図3のステップST22〜ST26の繰り返し処理から抜け出して、測定条件と出力状態が一致するチャンネルch2を測定対象のチャンネルとして選択する(ステップST27)。
オフ状態であるチャンネルの電流を測定することで、SCRのショート故障等を検出ことが可能になる。
したがって、電流測定部5は、オフ状態のチャンネルが測定対象のチャンネルであるとき、そのチャンネルのCTにより検出された電流が所定値より大きい場合、ショート故障が発生している旨を示す警報を出力する機能を備えるようにしてもよい。
上記実施の形態1では、負荷抵抗値算出部10が、電流測定部5から出力電流値IOUTが出力される毎に、その出力電流値IOUTと電圧測定部2より出力された出力電圧値VOUTから、電流測定チャンネル選択部6により選択されたチャンネルの負荷(m)の抵抗値Rmを算出するものを示したが、負荷抵抗値算出部10が、その負荷(m)の抵抗値Rmが所定範囲から逸脱している場合、その負荷(m)が劣化している旨を示す警報を出力するようにしてもよい。
この場合、負荷(m)の抵抗値Rmと所定範囲を比較するだけの処理であるため、低コストで負荷劣化の警報機能を実現することができる。
図6はこの発明の実施の形態4によるマルチチャンネル電力制御器を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
出力指令電力換算部23は負荷定格電力設定部14により設定された各チャンネルの負荷(1)〜(M)の定格電力PR1,PR2,・・・,PRMを用いて、出力指令値出力部12より出力された各チャンネルの出力指令値OP1,OP2,・・・,OPMを電力値に換算する処理を実施する。
時分割制御部17の出力指令積算部18及び出力オオフ判断部19では、電力値に換算した値で、上記実施の形態1と同様の処理を行う。
Claims (8)
- 負荷に流れる電流を制御する各チャンネルのスイッチング機器に対する共通電源の電源電圧を測定する電源電圧測定手段と、
前記各チャンネルのスイッチング機器のオンオフ状態を切り換える周期毎に、前記各チャンネルに対する電流測定の優先順位と、前記各チャンネルの測定条件とが記録されているテーブルを参照して、前記負荷に流れる電流の検出信号を出力する各チャンネルの電流検出器の中から、前記テーブルに記録されている測定条件を満足しているチャンネルの中で、最も電流測定の優先順位が高い測定対象のチャンネルの電流検出器を選択し、前記電流検出器から出力された検出信号を取り込んで電流を測定する電流測定手段と、
各チャンネルの負荷の抵抗値を記憶している抵抗値記憶手段と、
前記電流測定手段により電流が測定される毎に、前記電流と前記電源電圧測定手段により測定された電源電圧から、前記電流が流れているチャンネルの負荷の抵抗値を算出し、その算出結果にしたがって前記抵抗値記憶手段により記憶されている該当チャンネルの抵抗値を更新する抵抗値更新手段と、
前記抵抗値記憶手段により記憶されている各チャンネルの負荷の抵抗値と前記電源電圧測定手段により測定された電源電圧から、各チャンネルの出力電力推定値を算出する出力電力推定値算出手段と、
前記出力電力推定値算出手段により算出された各チャンネルの出力電力推定値と各チャンネルに対する出力指令値から、各チャンネルのスイッチング機器に対するオンオフ指令値を生成し、そのオンオフ指令値にしたがって各チャンネルのスイッチング機器を制御するスイッチング機器制御手段と
を備えたマルチチャンネル電力制御器。 - 前記マルチチャンネル電力制御器は、各チャンネルの電力を時分割制御方式で制御するものであり、
前記出力電力推定値算出手段は、チャンネル毎に、当該チャンネルのスイッチング機器がオン状態であるのか、オフ状態であるのかを把握し、オン状態のチャンネルについては、前記電源電圧測定手段により測定された電源電圧の2乗値を前記抵抗値記憶手段により記憶されている当該チャンネルの負荷の抵抗値で除算した結果を出力電力推定値とし、オフ状態のチャンネルについては、0を出力電力推定値とする
ことを特徴とする請求項1記載のマルチチャンネル電力制御器。 - 前記電流測定手段は、最も電流測定の優先順位が高いチャンネルの電流検出器を選択すると、次のオンオフ状態を切り換える周期では、前記チャンネルに対する電流測定の優先順位を最下位に再設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマルチチャンネル電力制御器。
- 前記スイッチング機器制御手段は、前記各チャンネルの負荷定格電力を用いて、前記出力電力推定値算出手段により算出された各チャンネルの出力電力推定値を正規化する一方、前記各チャンネルのスイッチング機器のオンオフ状態を切り換える周期毎に、各チャンネルの出力指令積算値から正規化後の出力電力推定値を減算して、前記各チャンネルに対する出力指令値を出力電力推定値減算後の前記各チャンネルの出力指令積算値に加算し、出力指令値加算後の前記各チャンネルの出力指令積算値から前記各チャンネルのスイッチング機器に対するオンオフ指令値を生成することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のマルチチャンネル電力制御器。
- 前記スイッチング機器制御手段は、前記各チャンネルの負荷定格電力を用いて、前記各チャンネルのスイッチング機器のオンオフ状態を切り換える周期毎に、前記各チャンネルに対する出力指令値を電力値に換算するとともに、各チャンネルの出力指令積算値から前記出力電力指令値算出手段により算出された各チャンネルの出力電力推定値を減算して、電力値換算後の出力指令値を出力電力推定値減算後の前記各チャンネルの出力指令積算値に加算し、出力指令値加算後の前記各チャンネルの出力指令積算値から前記各チャンネルのスイッチング機器に対するオンオフ指令値を生成することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のマルチチャンネル電力制御器。
- 前記電源電圧測定手段は、共通電源の電源電圧から、前記スイッチング機器の電圧降下分を減じた結果を前記負荷に印可される電圧値として、前記抵抗値更新手段及び前記出力電力算出手段に出力することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のマルチチャンネル電力制御器。
- 前記出力電力推定値算出手段は、チャンネル毎に、当該チャンネルのスイッチング機器がオン状態であるのか、オフ状態であるのかを把握し、
前記電流測定手段は、オフ状態のチャンネルが測定対象のチャンネルであるとき、前記チャンネルの電流検出器から出力された検出信号が示す電流が所定値より大きい場合にショート故障が発生している旨を示す警報を出力することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のマルチチャンネル電力制御器。 - 前記抵抗値更新手段は、算出した負荷の抵抗値が所定範囲から逸脱している場合、前記負荷が劣化している旨を示す警報を出力することを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のマルチチャンネル電力制御器。
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