JP2013006944A - 蓄熱材用組成物、蓄熱材及び蓄熱用装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形時の流動性に優れ、蓄熱物質のブリード性が低い蓄熱材用組成物及び蓄熱材、並びに前記組成物を用いて得られる蓄熱用装置を提供する。
【解決手段】水添共役ジエン共重合体と、脂肪酸、脂肪酸のエステル化合物、脂肪族エーテル類、脂肪族ケトン類、脂肪族アルコールからなる群より選ばれた少なくとも一種の蓄熱物質とを含有する、蓄熱材用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、蓄熱材用組成物、蓄熱材及び蓄熱用装置に関する。
蓄熱材用組成物からなる蓄熱材は、熱容量が大きい物質を含む材料であり、その物質に熱を蓄えておき、その熱を随時取り出すことができるものである。蓄熱材は、住居、ホテル、空港、地下街等の空調設備、自動車のキャニスター、電子部品、冷蔵庫、魔法瓶等の家電、衣服の繊維、臓器輸送の保温容器、カーブミラー、橋のコンクリート材料等、種々の分野で利用されている。
従来、水を用いた蓄熱材が一般的である。しかしながら、蓄熱材として水を用いた場合、物質の比熱による顕熱だけを利用する場合が多い。このため、相変化による潜熱も利用可能な蓄熱材が注目されている。
相変化による潜熱を使用できる化合物として、パラフィン化合物や脂肪酸等がある。しかしながら、これらは流動化した際に形状を維持蓄熱材の形状を維持するため密閉容器や袋に収納される必要がある。この場合、充分な強度を有する容器等を使用すればコストが高くなるため実用的ではなく、また、簡易な容器等を使用すれば容易に破損して、パラフィン化合物や脂肪酸が漏れたり溢れたりする恐れがあるため長期間の使用に問題が生じる。
このような問題を解決する蓄熱材用組成物として、パラフィン化合物、脂肪酸、アルコール類等の蓄熱物質と、天然ゴム、SBR、BR、EPDM等の炭化水素ゴムを主成分とする蓄熱材用組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この蓄熱材用組成物は、使用温度域でJIS K7122に準拠して測定した融解熱量が30kcal/kg以上(126kJ/kg以上)の高レベルの潜熱を有し、含有成分であるパラフィン化合物の融点以上においても相分離、パラフィン化合物のブリード(染み出し)がなく、しかもパラフィン化合物の融点未満(パラフィン化合物は、固体状を呈する)においても脆くなく、シート状に成形しても割れることがなく、適度な柔軟性を有する。
しかしながら、特許文献1に開示されているようなパラフィン化合物及び炭化水素ゴムからなる蓄熱材用組成物は、成形加工する際の流動性が悪いという問題があった。蓄熱材を成形加工する際の流動性が悪い場合、蓄熱材を精密な形状にすることが困難であったり、生産性が悪くなったりするため、改善すべき課題である。
また、その他の蓄熱材用組成物として、パラフィン化合物、無機水和物等の蓄熱物質と、シリコーンゴム、ポリウレタン等の担持物質からなる蓄熱材用組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この蓄熱材用組成物では、蓄熱物質が担持物質中に一様に分布し、一箇所に片寄らないためこの蓄熱材用組成物による蓄熱材は可撓性を有する、とされている。
しかしながら、特許文献2に開示されているような蓄熱材用組成物においては、パラフィン化合物がブリードするという問題があった。
特開平3−66786号公報 特開昭62−22884号公報
本発明の課題は、成形時の流動性に優れ、脂肪酸、脂肪酸のエステル化合物、脂肪族エーテル類、脂肪族ケトン類、脂肪族アルコールからなる群より選ばれた少なくとも一種の蓄熱物質のブリード性が低い蓄熱材用組成物及び蓄熱材、並びに前記組成物を用いて得られる蓄熱用装置を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、特定の水添共役ジエン共重合体と、脂肪酸、脂肪酸のエステル化合物、脂肪族エーテル類、脂肪族ケトン類、脂肪族アルコールからなる群より選ばれた少なくとも一種の蓄熱物質を含有する蓄熱材用組成物によって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、以下に示す蓄熱材用組成物、蓄熱材及び蓄熱用装置が提供される。
[1]水添共役ジエン共重合体と、
脂肪酸、脂肪酸のエステル化合物、脂肪族エーテル類、脂肪族ケトン類、脂肪族アルコールからなる群より選ばれた少なくとも一種の蓄熱物質とを含有する、蓄熱材用組成物。
[2]前記水添共役ジエン共重合体は、
第一の共役ジエン化合物に由来する構成単位(a−1)を含む、ビニル結合含量が30モル%以下の重合体ブロック(A)と、
第二の共役ジエン化合物に由来する構成単位(b−1)を含む、ビニル結合含量が30〜95モル%の重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体を水素添加して得られたものである、上記[1]記載の蓄熱材用組成物。
[3]前記ブロック共重合体における前記重合体ブロック(A)と前記重合体ブロック(B)との質量換算比率((A)/(B))が5/95〜50/50である、上記[2]記載の蓄熱材用組成物。
[4]前記ブロック共重合体がアルケニル芳香族化合物に由来する構成単位をさらに含み、前記構成単位の含有割合が前記ブロック共重合体に対して30質量%以下である、上記[2]又は[3]に記載の蓄熱材用組成物。
[5]前記重合体ブロック(A)が、前記構成単位(a−1)として、1,3−ブタジエンに由来する構成単位を95〜100質量%含む、上記[2]〜[4]のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物。
[6]前記蓄熱物質が、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定される融点が−30〜130℃の範囲にある、上記[1]〜[5]の何れか一項に記載の蓄熱材用組成物。
[7]更にフィラーを含有する、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物。
[8]上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物から形成されてなる、蓄熱材。
[9]上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物を容器中に充填した蓄熱用装置。
本発明によれば、成形時の流動性に優れ、脂肪酸、脂肪酸のエステル化合物、脂肪族エーテル類、脂肪族ケトン類、脂肪族アルコールからなる群より選ばれた少なくとも一種の蓄熱物質(以下、『蓄熱物質』と称する)のブリード性が低い蓄熱材用組成物及び蓄熱材、並びに前記組成物を用いて得られる蓄熱用装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
1.水添共役ジエン共重合体
本発明で用いられる水添共役ジエン共重合体は、第一の共役ジエン化合物に由来する構成単位(a−1)(以下、単に「構成単位(a−1)」ともいう。)を含み、ビニル結合含量が30モル%未満の重合体ブロック(A)と、第二の共役ジエン化合物に由来する構成単位(b−1)(以下、単に「構成単位(b−1)」ともいう。)を含み、ビニル結合含量が30〜95モル%の重合体ブロック(B)と、アルケニル芳香族化合物に由来する構成単位(以下「構成単位(c−1)」ともいう。)を50質量%を超えて含む重合体ブロック(C)と、から選ばれてなる重合体ブロックのブロック共重合体を水素添加して得られる重合体である。なお、本明細書において「化合物に由来する構成単位」とは、通常、当該化合物の重合性二重結合部分の反応に基づく構成単位を意味する。
上記構成を有する水添共役ジエン共重合体は、エチレン・プロピレンゴム、シリコーンゴム等と比較して蓄熱物質のブリード性が低く、蓄熱材を成形加工する際の流動性に優れる。
〈ブロック共重合体〉
(1)重合体ブロック(A)
重合体ブロック(A)は、第一の共役ジエン化合物に由来する構成単位(a−1)を含む重合体ブロックであり、第一の共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、クロロプレンが挙げられる。これらの中でも、工業的に利用でき、また物性の優れた蓄熱材用組成物を得るには、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエンが更に好ましい。なお、第一の共役ジエン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
構成単位(a−1)は、1,3−ブタジエンに由来する構成単位を95〜100質量%含む構成単位であることが好ましく、1,3−ブタジエンに由来する構成単位のみからなる構成単位であることが特に好ましい。
重合体ブロック(A)における構成単位(a−1)の含有割合は、蓄熱材の成形加工時の流動性を保つ観点から、重合体ブロック(A)に対して95質量%以上が好ましく、重合体ブロック(A)が構成単位(a−1)のみからなることがより好ましい。
重合体ブロック(A)中のビニル結合含量は、蓄熱材用組成物を用いて蓄熱材を形成した際の形状保持性を保つ観点より、30モル%未満であり、好ましくは20モル%未満であり、より好ましくは18モル%以下である。重合体ブロック(A)中のビニル結合含量の下限値は特に限定されるものではない。
なお、本明細書において、ビニル結合含量とは、水添前の重合体ブロック中に1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン化合物のうち、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれているものの合計割合(モル%基準)である。
(2)重合体ブロック(B)
重合体ブロック(B)は、第二の共役ジエン化合物に由来する構成単位(b−1)を含む重合体ブロックであり、蓄熱材用組成物への軟質化の付与の効果を得る、或いは重合体ブロック(B)の結晶化を防止するという観点からは、アルケニル芳香族化合物に由来する構成単位(以下「構成単位(b−2)」ともいう。)を更に含む重合体ブロックであってもよい。
第二の共役ジエン化合物としては、例えば、上述の第一の共役ジエン化合物と同様の化合物を使用することができ、好ましい化合物も同様である。なお、第二の共役ジエン化合物と第一の共役ジエン化合物とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
構成単位(b−1)は、1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンに由来する構成単位を合計で95〜100質量%含む構成単位であることが好ましく、1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンに由来する構成単位のみからなる構成単位であることがさらに好ましい。
重合体ブロック(B)における構成単位(b−1)の含有割合は、重合体ブロック(B)に対して50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
重合体ブロック(B)が構成単位(b−2)を更に含む場合、構成単位(b−2)の含有割合は、蓄熱材の成形加工時の流動性を保つ観点から、重合体ブロック(B)に対して50質量%以下であることが好ましい。
重合体ブロック(B)における構成単位(b−1)/構成単位(b−2)の質量比は、好ましくは100/0〜50/50、より好ましくは100/0〜70/30、さらに好ましくは100/0〜80/20である。
アルケニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、ビニルピリジンが挙げられる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。なお、重合体ブロック(B)が、構成単位(b−1)と構成単位(b−2)とを含む共重合ブロックである場合、構成単位(b−1)の分布は、ランダム、テーパー(分子鎖に沿って構成単位(b−1)が増加又は減少するもの)、一部ブロック状、又はこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
重合体ブロック(B)中のビニル結合含量は、30〜95モル%であり、好ましくは30〜85モル%であり、更に好ましくは40〜75モル%である。蓄熱材用組成物を用いて蓄熱材を形成した際に蓄熱物質のブリードを防ぐ観点から、重合体ブロック(B)中のビニル結合含量は30モル%以上であることが好ましい。
(3)重合体ブロック(C)
ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)に加えて、更にアルケニル芳香族化合物に由来する構成単位(以下「構成単位(c−1)」ともいう。)を50質量%を超えて含む重合体ブロック(C)、好ましくは構成単位(c−1)のみからなる重合体ブロック(C)である。構成単位(c−1)におけるアルケニル芳香族化合物としては、構成単位(b−2)におけるアルケニル芳香族化合物と同様の化合物が挙げられ、好ましい化合物もまた同様である。
(4)ブロック構成
ブロック共重合体が重合体ブロック(C)を有さない場合、ブロック共重合体において、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)との質量換算の比率((A)/(B))は、通常5/95〜50/50であり、好ましくは10/90〜40/60である。蓄熱材用組成物を用いて蓄熱材を形成した際に形状保持性を確保する観点からは、重合体ブロック(A)の比率が5以上、重合体ブロック(B)の比率が95以下であることが好ましい。一方、蓄熱材用組成物を用いて蓄熱材を形成した際に蓄熱物質のブリードを防ぐ観点からは、重合体ブロック(A)の比率が50以下、重合体ブロック(B)の比率が50以上であることが好ましい。
次に、ブロック共重合体が、重合体ブロック(C)を有し、かつ両末端に重合体ブロック(C)を有しない場合、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)と重合体ブロック(C)との質量換算の比率({(A)+(B)}/(C))は、通常80/20〜99/1であり、好ましくは85/15〜95/5である。重合体ブロック(C)の比率は、溶融時の加工性(成形加工時の流動性)を保つ観点から20以下であることが好ましい。
さらに、ブロック共重合体が重合体ブロック(C)を両末端に有する場合、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)と重合体ブロック(C)との質量換算の比率(A)/(B)/(C)は、通常0/80/20〜49.5/49.5/1であり、好ましくは0/85/15〜38/57/5である。重合体ブロック(C)の比率は、溶融時の加工性(成形加工時の流動性)を保つ観点から20質量%以下であることが好ましい。
ブロック共重合体において、アルケニル芳香族化合物に由来する構成単位の含有割合は、蓄熱材の成形加工時の流動性を保つ観点から、ブロック共重合体に対して20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。ここでアルケニル芳香族化合物に由来する構成単位の含有割合は、例えば、重合体ブロック(B)中の構成単位(b−2)及び重合体ブロック(C)中の構成単位(c−1)の合計の含有割合を指す(もちろん、いずれかが含まれない場合もある)。
水添共役ジエン共重合体におけるブロック共重合体の構造は、上記要件を満たすものであればいかなるものでもよく、例えば、下記構造式(1)〜(8)で表される構造が挙げられる。
構造式(1): (A−B)n1
構造式(2): (A−B)n2−A
構造式(3): (B−A)n3−B
構造式(4): (A−B−C)n4
構造式(5): A−(B−C)n5
構造式(6): (A−B)n6−C
構造式(7): (C−B−C)n7
構造式(8): (C−B)n8
構造式(1)〜(8)中、Aは重合体ブロック(A)を示し、Bは重合体ブロック(B)を示し、Cは重合体ブロック(C)を示し、n1〜n8は1以上の整数を示す。
ここで、上記構造式(1)〜(8)で表されるブロック共重合体中、重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)の少なくともいずれかが2以上存在する場合、それぞれの重合体ブロックは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、ブロック共重合体の構造は、例えば、下記構造式(9)〜(15)で表される構造のように、カップリング剤残基を介して共重合体ブロックが延長又は分岐されたものであってもよい。
構造式(9): (A−B)m
構造式(10): (B−A)m
構造式(11): (A−B−A)m
構造式(12): (B−A−B)m
構造式(13): (A−B−C)m
構造式(14): (A−B−C)X(C−B)
構造式(15): (C−B)m
構造式(9)〜(15)中、Aは重合体ブロック(A)を示し、Bは重合体ブロック(B)を示し、Cは重合体ブロック(C)を示し、mは2以上の整数を示し、Xはカップリング剤残基を示す。
ブロック共重合体の構造は、上記構造式(1)〜(15)で表される構造の中でも、構造式(1)、(3)、(4)又は(9)で表される構造が好ましい。
ブロック共重合体におけるカップリング率は、蓄熱材の加工性や蓄熱物質のブリード性を考慮すると、50〜90%であることが好ましい。なお、カップリング剤を介して分子が連結される割合を、カップリング率とする。
カップリング剤としては、例えば、1,2−ジブロモエタン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、ベンゼン−1,2,4−トリイソシアナート、トリレンジイソシアナート、エポキシ化1,2−ポリブタジエン、エポキシ化アマニ油、テトラクロロゲルマニウム、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、ブチルトリクロロシラン、ジメチルクロロシラン、1,4−クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタンが挙げられる。
ブロック共重合体としては、上記のようなブロック共重合体を1種単独で用いることもできるが、2種以上のブロック共重合体を混合して用いることもできる。ブロック共重合体の組合せとしては、例えば、A−B−A/A−B、(A−B)2−X/A−B、(A−B)4−X/A−B、(A−B)4−X/(A−B)2−X/A−B、(A−B)4−X/(A−B)3−X/(A−B)2−X/A−B、A−B−C/A−B、(A−B−C)2/A−B、(A−B−C)2−X/A−B、C−B−C/A−B(ただし、Aは重合体ブロック(A)を示し、Bは重合体ブロック(B)を示し、Cは重合体ブロック(C)を示し、Xはカップリング剤残基を示す。)が挙げられる。
なお、ブロック共重合体は、例えば特許第3134504号、特許第3360411号記載の方法により製造することができる。
〈水添共役ジエン共重合体の物性〉
水添共役ジエン共重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下「Mw」ともいう。)が1万〜70万であることが好ましく、10万〜50万であることが更に好ましく、20万〜50万であることが特に好ましい。所要の力学的性質を得るためには、Mwが1万以上であることが好ましく、蓄熱材を成形加工するための流動性を確保するためには、Mwが70万以下であることが好ましい。
水添共役ジエン共重合体は、示差走査式熱量測定法(DSC法)により測定される融点が70〜140℃の範囲にあることが好ましく、80〜120℃の範囲にあることがより好ましい。なお、本明細書における水添共役ジエン共重合体の融点とは、JIS K−7121に準拠して測定した際のTimに相当する。
水添共役ジエン共重合体のメルトフローレート(以下「MFR」ともいう。)の値は特に限定されるものではないが、一般に0.01〜100g/10minであることが好ましい。なお、本明細書において、水添共役ジエン共重合体のMFRは、JIS K7210に準拠して、230℃、10kgの荷重で測定した値である。
水添共役ジエン共重合体は、1種単独で用いることもできるが、2種以上の水添共役ジエン共重合体を混合して用いることもできる。水添共役ジエン共重合体の組合せとしては、例えば、A−B−Aの水添物/A−Bの水添物、(A−B)2−Xの水添物/A−Bの水添物、(A−B)4−Xの水添物/A−Bの水添物、(A−B)4−Xの水添物/(A−B)2−Xの水添物/A−Bの水添物、(A−B)4−Xの水添物/(A−B)3−Xの水添物/(A−B)2−Xの水添物/A−Bの水添物、A−B−Cの水添物/A−Bの水添物、(A−B−C)2の水添物/A−Bの水添物、(A−B−C)2−Xの水添物/A−Bの水添物、C−B−Cの水添物/A−Bの水添物(ただし、Aは重合体ブロック(A)を示し、Bは重合体ブロック(B)を示し、Cは重合体ブロック(C)を示し、Xはカップリング剤残基を示す。)が挙げられる。
上述したように、ブロック共重合体の構造は、構造式(1)、(3)、(4)又は(9)で表される構造が好ましい。重合体ブロック(A)は、ビニル結合含量が30モル%未満の重合体ブロックであるので、水素添加により、ポリエチレンに類似の構造となり、結晶性のよい重合体ブロックとなる。重合体ブロック(B)は、ビニル結合含量が30〜95モル%の重合体ブロックであるので、重合体ブロック(B)は、水素添加により、例えば、第二の共役ジエン化合物が1,3−ブタジエンの場合、ゴム状であるエチレン−ブチレン共重合体と類似の構造となり、柔らかい重合体ブロックとなる。そのため、水添共役ジエン共重合体は、例えば、第一及び第二の共役ジエン化合物が1,3−ブタジエンの場合、オレフィン結晶−エチレン/ブチレン−オレフィン結晶ブロックポリマー構造を有する。このような構造の水添共役ジエン共重合体を用いることで、成形加工する際の流動性に優れ、後述する結晶性ポリオレフィンを添加する場合は結晶性ポリオレフィン/水添共役ジエン共重合体間の相容性が増加した蓄熱材用組成物を提供することができる。
〈水添共役ジエン共重合体の製造方法〉
水添共役ジエン共重合体の製造方法は特に限定されるものではなく、ブロック共重合体を調製した後、調製したブロック共重合体を水素添加することで製造することができる。ブロック共重合体は、例えば、不活性有機溶媒中、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として第一の共役ジエン化合物またはアルケニル芳香族化合物をリビングアニオン重合した後、第二の共役ジエン化合物及び必要に応じてアルケニル芳香族化合物を更に加えてリビングアニオン重合を行うことで、調製することができる。
不活性有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素溶媒;ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒が挙げられる。
なお、ブロック共重合体にカップリング剤残基を導入する場合、第二の共役ジエン化合物をリビングアニオン重合した後、単離等の操作を行うことなくカップリング剤を加えて反応させることで簡単に導入することができる。
リビングアニオン重合において、重合体ブロック(B)のビニル結合含量は、エーテル化合物、3級アミン、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)のアルコキシド、フェノキシド、スルホン酸塩等を併用し、その種類、使用量等を適宜選択することによって容易に制御することができる。
このブロック共重合体を水素添加することにより、水添共役ジエン共重合体を容易に調製することができる。ブロック共重合体の水素添加方法、反応条件については特に限定はなく、通常は、20〜150℃、0.1〜10MPaの水素加圧下、水添触媒の存在下で行われる。この場合、水素添加率は、水添触媒の量、水添反応時の水素圧力、又は反応時間等を変えることにより任意に選定することができる。
水添触媒としては、例えば、特開平1−275605号公報、特開平5−271326号公報、特開平5−271325号公報、特開平5−222115号公報、特開平11−292924号公報、特開2000−37632号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭63−5401号公報、特開昭62−218403号公報、特開平7−90017号公報、特公昭43−19960号公報、特公昭47−40473号公報に記載の水添触媒が挙げられる。なお、上記水添触媒は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
水添共役ジエン共重合体における共役ジエン化合物(第一の共役ジエン化合物及び第二の共役ジエン化合物を含む)に由来する二重結合の水素添加率は、形状保持性や力学的性質を満たすためには、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
水添後は、必要に応じて触媒の残渣を除去し、又はフェノール系若しくはアミン系の老化防止剤を添加し、その後、水添共役ジエン共重合体溶液から水添共役ジエン共重合体を単離する。水添共役ジエン共重合体の単離は、例えば、水添共役ジエン共重合体溶液にアセトン又はアルコール等を加えて沈殿させる方法、水添共役ジエン共重合体溶液を熱湯中に撹拌下投入し、溶媒を蒸留除去する方法、蓄熱材用組成物に含有される蓄熱物質を予め適当量混合した水添共役ジエン共重合体溶液を熱湯中に撹拌下投入し、溶媒を蒸留除去する方法等により行うことができる。
2.蓄熱物質
本発明の蓄熱材用組成物に含有される蓄熱物質としては、脂肪酸、脂肪酸のエステル化合物、脂肪族エーテル類、脂肪族ケトン類、脂肪族アルコールからなる群より選ばれた少なくとも一種が挙げられる。
蓄熱物質は、蓄熱材を広範な分野にて活用する観点から、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定される融点が−30〜130℃の範囲にあることが好ましく、−20〜100℃の範囲にあることがより好ましい。また、蓄熱物質の示差走査熱量測定法(DSC法)により測定される融解熱量は、その相変化による潜熱を種々の分野で利用するという観点から、100kJ/kg以上あることが望ましい。なお、本明細書における蓄熱物質の融点とは、JIS K−7121に準拠して測定した際のTimに相当する。
なお、蓄熱物質は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪酸としては、例えば炭素数が8〜30の脂肪酸を用いることができ、直鎖飽和脂肪酸、直鎖不飽和脂肪酸、分岐飽和脂肪酸、及び分岐不飽和脂肪酸とに大別される。本発明においては、なかでも、直鎖飽和脂肪酸が好ましく用いられる。
「直鎖飽和脂肪酸」としては、例えば、オクタン酸(C)、ノナン酸(C)、デカン酸(カプリン酸)(C10)、ドデカン酸(ラウリン酸)(C12)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)(C14)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)(C16)、オクタデカン酸(ステアリン酸)(C18)、エイコサン酸(C20)、ドコサン酸(C22)、テトラコサン酸(C24)、ヘキサコサン酸(C26)、オクタコサン酸(C28)、及びトリアコンタン酸(C30)等が挙げられ、これらの中でも、入手性の観点から、炭素数が10〜18の直鎖飽和脂肪酸が好ましく用いられる。
なお、上述した蓄熱物質に対応する融点を以下に丸括弧内に示す。デカン酸(カプリン酸)(16℃)、ドデカン酸(ラウリン酸)(44℃)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)(58℃)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)(64℃)、オクタデカン酸(ステアリン酸)(69℃)。
脂肪酸のエステル化合物としては、例えば、炭素数8〜30の長鎖脂肪酸エステルを用いることができ、具体的には、ステアリン酸ビニル、セバシン酸ジメチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸プロピルが挙げられる。
脂肪酸のエステル化合物の中では、入手性の観点から、炭素数が10〜18の直鎖飽和脂肪酸のメチル、エチル、プロピル、ブチルエステルが好ましく用いられる。
なお、上述した蓄熱物質に対応する融点を以下に丸括弧内に示す。ステアリン酸ビニル(28℃)、セバシン酸ジメチル(21℃)、ステアリン酸ブチル(19℃)、ステアリン酸イソプロピル(16℃)、パルミチン酸イソプロピル(11℃)、パルミチン酸プロピル(10℃)。
脂肪族エーテル類としては、例えば、炭素数14〜60の脂肪酸エーテルを用いることができ、具体的には、ヘプチルエーテル、オクチルエーテル、テトラデシルエーテル、ヘキサデシルエーテル等が挙げられる。これら中でも、高い潜熱量を有し、合成も容易であるという観点から、酸素原子数が一つであり、対称構造を持つエーテル化合物(対称型エーテル化合物)が好ましく用いられる。
なお、上述した蓄熱物質に対応する融点を以下に丸括弧内に示す。ヘプチルエーテル(−24℃)、オクチルエーテル(−7℃)、テトラデシルエーテル(45℃)、ヘキサデシルエーテル(55℃)。1−オクタデカノール(59℃)、1−エイコサノール(65℃)
脂肪族ケトン類としては、例えば、炭素数8〜30の脂肪族ケトンを用いることができ、具体的には、2−ノナノン、トリデカナール、2−ペンタデカノン、3−ヘキサデカノン、8−ペンタデカノン、4,4−ビシクロヘキサノン等が挙げられる。これら中でも、産業上の利用に適した潜熱量を有し、合成も容易であるという観点から、酸素原子数が一つである脂肪族ケトンが好ましく用いられる。
なお、上述した蓄熱物質に対応する融点を以下に丸括弧内に示す。2−ノナノン(−9℃)、トリデカナール(14℃)、2−ペンタデカノン(40℃)、3−ヘキサデカノン(43℃)、8−ペンタデカノン(43℃)、4,4−ビシクロヘキサノン(118℃)。
脂肪族アルコール類としては、例えば、炭素数8〜60の脂肪族アルコールを用いることができ、具体的には、2−ドデカノール、1−テトラデカノール、7−テトラデカノール、1−オクタデカノール、1−エイコサノール、1,10−デカンジオール等が挙げられる。これら中でも、産業上の利用に適した潜熱量を得るという観点から、水酸基が分子末端に存在するアルコール化合物(末端アルコール化合物)が好ましく用いられる。
なお、上述した蓄熱物質に対応する融点を以下に丸括弧内に示す。2−ドデカノール(19℃)、1−テトラデカノール(39℃)、7−テトラデカノール(42℃)、1−オクタデカノール(59℃)、1−エイコサノール(65℃)、1,10−デカンジオール(73℃)。
蓄熱物質の含有量は、水添共役ジエン共重合体100質量部に対して、50〜4000質量部であることが好ましく、300〜3000質量部であることがより好ましく、400〜2000質量部であることが更に好ましい。蓄熱材用組成物を用いて蓄熱材を形成した際に、充分な潜熱を確保するためには50質量部以上であることが好ましく、形状保持性の低下、蓄熱物質のブリードを防止するためには4000質量部以下であることが好ましい。
3.その他の成分
本発明の蓄熱材用組成物は、用途に応じた機能を付与する目的で、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含有してもよい。
3−1.結晶性ポリオレフィン
本発明の蓄熱用組成物は、結晶性ポリオレフィンを含有することで、結晶性ポリオレフィン/水添共役ジエン共重合体間の相容性が増加し、高温領域における形状保持性が向上する。
ここで高温領域とは、特に限定されないが、結晶性ポリオレフィンの融点より低く蓄熱物質の融点より高い温度領域を指し、例えば60〜120℃、好ましくは80〜100℃程度の領域である。
結晶性ポリオレフィンは、示差走査熱量測定法(DSC)法により測定した場合に、高温領域における蓄熱材の形状保持性やブリード抑制の観点から、蓄熱物質の融点以上の融点を有することが好ましく、蓄熱物質の融点よりも20℃以上高い融点を有することがより好ましい。また同様の観点から、水添共役ジエン共重合体の融点よりも高い融点を有することが好ましい。なお、本明細書における結晶性ポリオレインの融点とは、JIS K−7121に準拠して測定した際のTimに相当する。
結晶性ポリオレフィンは、ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下「Mw」ともいう。)が1,000〜10,000,000であることが好ましく、10,000〜5,000,000であることが更に好ましく、10,000〜1,000,000であることが特に好ましい。
本明細書において「ポリオレフィン」とは、エチレン及びα−オレフィンから選択される少なくとも1種のオレフィンを重合して得られる重合体を意味する。その重合法については特に制限はなく、例えば、従来公知の重合方法(例:高圧法、低圧法)等により重合して得られる重合体を用いることができる。
α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン等の炭素数3〜12のα−オレフィンが挙げられる。
結晶性ポリオレフィンとしては、例えば、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン、結晶性ポリブテン、結晶性メチルペンテンが挙げられ、汎用性の観点から、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレンを用いることが好ましく、結晶性ポリエチレンを用いることが特に好ましい。
結晶性ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・オクテン共重合体が挙げられる。また上記の結晶性ポリエチレンは、再生可能な(植物)資源から作られるエチレンを原料としたバイオポリエチレンであってもよい。
結晶性ポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン共重合体が挙げられる。
結晶性ポリエチレンの、示差走査熱量測定法(DSC)法により測定される融点は、好ましくは80〜140℃、より好ましくは90〜140℃である。さらに、蓄熱物質の融点以上の融点を有する結晶性ポリエチレンが好ましい。また、結晶性ポリエチレンの示差走査熱量測定法(DSC)法により測定される融解熱量は、高温領域における蓄熱材の形状保持性の観点から、50kJ/kg以上あることが好ましい。
結晶性ポリプロピレンの、示差走査熱量測定法(DSC)法により測定される融点は、好ましくは100〜170℃、より好ましくは120〜170℃である。さらに、蓄熱物質の融点以上の融点を有する結晶性ポリプロピレンが好ましい。また、結晶性ポリプロピレンの示差走査熱量測定法(DSC)法により測定される融解熱量は、高温領域における蓄熱材の形状保持性の観点から、50kJ/kg以上あることが好ましい。
結晶性ポリエチレンの、JIS K7210に準拠した、温度190℃、荷重2.16kg下におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.1〜80g/10分である。
結晶性ポリプロピレンの、JIS K7210に準拠した、温度230℃、荷重2.16kg下におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.1〜80g/10分である。
結晶性ポリエチレン及び結晶性ポリプロピレンのMFRが上記数値範囲の下限値以上であると、成形加工性等がより向上する。これらのMFRが上記数値範囲の上限値以下であると、蓄熱物質のブリード抑制等がより向上する。
結晶性ポリオレフィンの含有量は、水添共役ジエン共重合体100質量部に対して、0.1〜1000質量部であることが好ましく、1〜500質量部であることがより好ましく、1〜100質量部であることが更に好ましい。結晶性ポリオレフィンの含有量が前記範囲にあると、相容性の増加及び蓄熱物質のブリード抑制の観点から好ましい。なお、結晶性ポリオレフィンは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
3−2.フィラー
本発明の蓄熱材用組成物は、フィラーを含有してもよい。フィラーとしては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤、フェライト等の金属粉末、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の有機繊維、窒化アルミ、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、アルミナ、酸化マグネシウム、カーボンナノチューブ、膨張黒鉛等の伝熱性付与剤、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、グラスファイバー、アスベスト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー等の無機ウィスカー、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、カオリン、ケイソウ土、モンモリロナイト、グラファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、フッ素樹脂等の充填剤が挙げられる。伝熱性の観点からは炭素繊維、膨張黒鉛が好ましい。フィラーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の蓄熱材用組成物には、上記フィラー以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、難燃化剤、加硫剤、加硫助剤、防菌・防カビ剤、分散剤、着色防止剤、発泡剤、防錆剤などを配合してもよい。
フィラーの含有量は、目的の機能を付与するためにその種類により区々であるが、蓄熱材用組成物の充填時における生産性を維持するという観点からは、蓄熱材用組成物の流動性を維持できる含有量であることが望ましく、蓄熱材用組成物100質量%に対して、0.01〜50質量%であることが好ましく、0.1〜40質量%であることが更に好ましく、1〜30質量%が特に好ましい。蓄熱材用組成物に対して目的の機能を付与する観点からは、1質量%以上が特に好ましく、流動性を保ち、蓄熱材用組成物の充填時における生産性を維持するという観点からは、30質量%以下が特に好ましい。
細孔を有するシリカや膨張黒鉛などの化合物は、蓄熱材用組成物の含有成分が前記細孔内部まで入り込み、少ない充填量で目的の機能を付与することができるという観点から、フィラーとして好ましい。
細孔を有するシリカとしては、例えば、従来公知の発泡シリカが挙げられる。
細孔を有する膨張黒鉛は公知の方法により製造することができる。例えば、黒鉛材料として天然黒鉛、熱分解黒鉛或いはキッシュ黒鉛を濃硫酸等の強酸と過塩素酸水溶液や硝酸等の強酸化剤との混酸中に浸漬し、層間化合物を形成せしめ、これを通常100℃以上、好ましくは500℃以上の温度で熱処理することにより得ることができる。膨張黒鉛の嵩密度は酸処理条件或いは酸処理後の熱処理条件により調整し得るが、予め高嵩密度のものを得て、これを圧縮或いは解砕等の機械的操作により所望の嵩密度に調整することも可能である。
II.蓄熱材
本発明の蓄熱材は、「I.蓄熱材用組成物」に記載の蓄熱材用組成物を用いて形成される。その形状としてはシート状をはじめ粒状、ペレット状等各種の形状が挙げられる。蓄熱材の成形方法としては特に限定さないが、例えば以下のようにして行うことができる。
先ず、2本ロール、押出機、2軸混練押出機、撹拌式混合機等の通常の混合・撹拌機を使用し、水添共役ジエン共重合体、蓄熱物質を含有する蓄熱材用組成物を調製する。撹拌機を使用する場合には、溶融状態にある蓄熱物質に水添共役ジエン共重合体、必要に応じて結晶性ポリオレフィン及びフィラー等の添加剤を加えて撹拌する。この際、水添共役ジエン共重合体と結晶性ポリオレフィンとを先に溶融混合してこれらの混合物を得た後、前記混合物に蓄熱物質を加えることで、より均一な蓄熱材用組成物を得ることができる。また、添加前に水添共役ジエン共重合体や結晶性ポリオレフィンはペレット状、粒状、粉末状としておくと作業性が向上する。添加温度は水添共役ジエン共重合体並びに結晶性ポリオレフィンの融点以上であることが好ましく、通常100〜200℃である。
次いで、溶液状となった蓄熱材用組成物を、そのままで、或いは若干冷却して成形する。成形は、型に流し込み、所望のシート状、板状としてもよい。また、蓄熱材は、蓄熱物質の融点未満になると固形化するので、ブロック状に成形した後、切断してシート状や板状としてもよい。更に、蓄熱材用組成物をフィルム、布、繊維等の上に付着や塗布、或いは含浸させてシート状、板状としてもよい。また、ポリエチレン等の袋にパック詰めにして冷却過程でシート状、板状、棒状とすることも出来る。一方、押出機を用いればシート状、板状に押出成形することができる。また、押出機により棒状、パイプ状にも成形でき、棒状、パイプ状の蓄熱材を細断すれば粒状、ペレット状ともなる。
III.蓄熱用装置
本発明の蓄熱用装置は、「I.蓄熱材用組成物」に記載の蓄熱材用組成物を容器中に充填して得られる。前記装置は、生産性、安全性、蓄熱性能の保持の観点から、他の形態に比べて優れている。
容器としては、公知の材料を用いた包装容器、金属容器等から適宜選択或いはこれらを組み合わせて用いることができる。また、本発明の蓄熱用装置は、用途に応じて真空断熱材、ウレタンフォーム材、フェノールフォーム材、ポリスチレンフォーム材、グラスウール材、ロックウール材といった公知の断熱部材と併せて用いることができる。
包装容器の材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなるフィルム(ポリオレフィン樹脂フィルム)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂からなるフィルム(ポリエステル樹脂フィルム)、延伸ナイロン(ONy)、ポリアミド(PA)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)等からなるフィルム等の、包装材料として公知の基材フィルム;アルミニウム箔等の、均熱化のための金属箔;これらの基材フィルム・金属箔を公知のラミネート法により積層してなる積層フィルムが挙げられる。
包装容器の層構成としては、熱融着性を有する基材フィルム(ヒートシール層)を最内層とすることが好ましい。蓄熱材用組成物を容器中に充填する方法としては、例えば、ヒートシール層を最内層として含む容器中に、公知の充填装置により蓄熱材用組成物を充填し、これをヒートシールバーにてヒートシールし、密封する方法(ヒートシール法)が生産性の面で好ましい。
上記ヒートシール層としては、熱融着性を有するポリオレフィン樹脂フィルム(熱融着性オレフィン層)が好ましく、PEフィルム、PPフィルムがより好ましく、生産性の観点から線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムが特に好ましい。
なお、上記のPEフィルム、PPフィルムは、蓄熱物質のなかでも脂肪族の潜熱物質のような油性の物質に対するバリア性が低いため、これらの単独層からなる容器を用いると、蓄熱物質が容器からブリードする場合がある。
このため、上記容器でより好ましく用いられる形態として、上記ヒートシール層(最内層)と耐油性を有する極性樹脂(耐油性極性樹脂)からなる層(耐油性極性樹脂層)とを含む積層フィルムが挙げられる。
積層フィルムにおいて耐油性極性樹脂層としては、例えば、PAフィルム、PETフィルムが挙げられる。耐油性極性樹脂層でヒートシール層(最内層)を覆うことで、オイルブリードをより防ぐことができる。
上記ヒートシール層、耐油性極性樹脂層の各層の膜厚としては、各層の機能を充分発現させる、機械的強度を得るという観点から、ヒートシール層においては50μm以上であることが好ましく(より好ましくは50〜200μm)、耐油性極性樹脂層においては10μm以上であることが好ましい(より好ましくは10〜100μm)。また、これらの層に更に機能性を持たせるため、耐熱性樹脂フィルムやガスバリア性樹脂フィルムを積層することができる。
具体的な形態としては、以下のような層構成の容器を挙げることができる。なお、以下の層構成の例示においては、左側から順に最外層〜最内層であることとし、PEフィルム等において「フィルム」は省略することがあり、また、丸括弧内に示した基材フィルムは、左隣に記載の基材フィルムに替えて用いることができるものである。
(1)PA/PE(PP)
上記の各基材フィルムの膜厚としては、PE及びPPにおいては50μm以上であることが好ましく、PAにおいては10μm以上であることが好ましい。
(2)PET/PA/PE(PP)
本発明の蓄熱用装置の使用態様によっては、容器に対し、更に耐熱性が要求される場合がある。PAを基材フィルムとして用いた場合、耐熱性を補う目的で、更にPETで外側を覆うことが好ましい。上記の各基材フィルムの膜厚としては、PE及びPPにおいては50μm以上であることが好ましく、PAにおいては10μm以上であることが好ましく、PETにおいては10μm以上であることが好ましい。
(3)PET(PA)/EVOH/PA/PE(PP)
本発明の蓄熱材用組成物の含有成分である蓄熱物質の中でも、ヘプチルエーテル、オクチルエーテル、2−ノナノンのような揮発性の高いものはPAを通過することがあるため、その場合、容器はガスバリア層としてEVOHを更に備えることが好ましい。上記の各基材フィルムの膜厚としては、PE及びPPにおいては50μm以上が好ましく、PAにおいては10μm以上が好ましく、EVOHにおいては10μm以上が好ましく、PETにおいては10μm以上が好ましい。
なお、上記(1)〜(3)に記載した基材フィルムを用いて容器を得る場合、共押出し法、ドライラミネート法、ヒートシール法等の公知の方法が用いられる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
水添共役ジエン共重合体の物性
[重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)の比率(%)]:ブロック共重合体を調製する際に使用した原料の仕込み量から、重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)の合計質量に対する各重合体ブロックの質量を比率で算出した。
[重合体ブロック(A)及び(B)のビニル結合含量(モル%)]:赤外分析法を用い、ハンプトン法により重合体ブロック(A)及び(B)のビニル結合含量(モル%)を算出した。
[重量平均分子量]:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、商品名:HLC−8120GPC、東ソー・ファインケム社製、カラム:東ソー社製、GMH−XL)を用いて、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
[カップリング率(%)]:上述のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定で得られた波形を波形分離し、波形の面積比からカップリング率を算出した。
[水素添加率(%)]:四塩化炭素溶液を用い、270MHz、1H−NMRスペクトルから水素添加率(%)を算出した。
[MFR(g/10min)]:JIS K7210に準拠して、230℃、10kg荷重でMFR(g/10min)を測定した。
[融点(℃)]:JIS K−7121に準拠して、示差走査熱量計(DSC)を用いてサンプルを200℃で10分保持した後、−80℃まで10℃/分の速度で冷却し、次いで−80℃で10分間保持した後、10℃/分の速度で昇温したときの結晶融解ピークにおける補外融解開始温度(Tim)を、融点(℃)とした。蓄熱物質及び結晶性ポリオレフィンの融点も同様の手法で測定される。
結晶性ポリエチレンの物性
[MFR(g/10min)]:JIS K7210に準拠して、190℃、2.16kg荷重でMFR(g/10min)を測定した。
蓄熱材用組成物の物性及び諸特性
[蓄熱材用組成物の融点(℃)及び潜熱量(kJ/kg)の測定]:蓄熱材用組成物の融点及び潜熱量は、示差走査熱量測定計(DSC)を用いて測定した。測定は、サンプルを140℃に10分間保持した後、−30℃まで10℃/分の速度で冷却し、次いで−30℃に10分間保持した後、140℃まで10℃/分の速度で昇温する方法で行った。JIS K−7121に準拠して、配合した蓄熱物質に相当する融解ピークの補外融解開始温度を蓄熱材用組成物の融点とし、融解熱量を蓄熱材用組成物の潜熱量とした。なお、複数の融解ピークを有する蓄熱材用組成物の融点は、より融解熱量の大きな融解ピークの補外融解開始温度とし、またその潜熱量はその融解ピークの融解熱量とした。多峰性ピークを有し個々の融解ピークの区別が付かない場合は、それらを一つの融解ピークとみなして処理した。
[ブリード性]:蓄熱材用組成物を2mm厚のシート状に成形し、40mm×40mmの大きさに切り出し、それを3枚重ねたものを、ポリエチレンフィルム(内層)とポリアミドフィルム(外層)とからなる積層フィルムにて包装して試験サンプルを得た。表1および2に記載の試験温度に設定したギアオーブン中にサンプルを投入して静置した。1時間後にサンプルを取り出して充分冷却した後、蓄熱物質が分離しているかを目視確認し、以下の基準にてブリード性を評価した。
AA…ほとんど分離が認められず、ブリード性が低い。
BB…明らかに分離が確認され、ブリード性が高い。
[流動性]:蓄熱材用組成物50gを200mLのガラス製ビーカーに入れ、表1および2に記載の試験温度に設定したギアオーブン中で1時間加熱溶解させた。水平台上にビーカーを移動した後に90°傾け、組成物の様子を目視観察した。以下の基準にて流動性を評価した。
AA…5秒以内にビーカーの縁から組成物の溶液が流出するため、流動性が良い。
BB…5秒以内にビーカーの縁から組成物の溶液が流出しないため、流動性が悪い。
〔合成例1〕:水添共役ジエン共重合体(H1)の調製
窒素置換された内容積50Lの反応容器に、シクロヘキサン24000g、テトラヒドロフラン1.3g、1,3−ブタジエン570g、及びn−ブチルリチウム2.4gを加え、重合開始温度70℃にて重合した。反応完結後、温度を35℃としてテトラヒドロフラン210gを添加し、次いで1,3−ブタジエン3230gを逐次添加しながら断熱重合した。その後、系内にメチルジクロロシラン1.5gを添加して30分間反応させることによりブロック共重合体を調製した。
上記ブロック共重合体は、1,3−ブタジエンに由来する構成単位を含み、ビニル結合含量が16モル%の重合体ブロック(A)と、1,3−ブタジエンに由来する構成単位を含み、ビニル結合含量が58モル%の重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体であった。また、上記ブロック共重合体において、重量平均分子量は38万であり、カップリング率は75%であった。
引き続き、上記ブロック共重合体を含む反応液を80℃にし、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムフルフリルオキシクロライド2.5g、及びn−ブチルリチウム1.2gを加え、水素圧1.0MPaを保つように2時間反応させた。
反応後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、水中に攪拌投入して溶媒を水蒸気蒸留で除去することによって、目的とする水添共役ジエン共重合体(H1)を得た。水添共役ジエン共重合体(H1)の水素添加率は98%であり、MFRは2.3g/10minであり、融点は82.0℃であった。
〔合成例2〕:水添共役ジエン共重合体(H2)の調製
合成例1において、重合体ブロック(A)及び(B)の重合反応に使用した1,3−ブタジエンの量を900g及び2100gに、n−ブチルリチウムの量を5.0gに、重合体ブロック(B)の重合反応に使用したテトラヒドロフランの量を125gに変更し、並びにメチルジクロロメタンの代わりにテトラクロロシランを使用したこと以外は、合成例1と同様にして、ブロック共重合体を調製した。
上記ブロック共重合体は、1,3−ブタジエンに由来する構成単位を含み、ビニル結合含量が15モル%の重合体ブロック(A)と、1,3−ブタジエンに由来する構成単位を含み、ビニル結合含量が48モル%の重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体であった。また、上記ブロック共重合体において、重量平均分子量は32万であり、カップリング率は79%であった。
引き続き、合成例1と同様に水素添加反応を行い、目的とする水添共役ジエン共重合体(H2)を得た。水添共役ジエン共重合体(H2)の水素添加率は98%であり、MFRは0.5g/10minであり、融点は83.8℃であった。
[実施例1]
水添共役ジエン共重合体として「H1」100部と、蓄熱物質としてデカン酸(カプリン酸)900部と、老化防止剤として「AO−60」(株式会社ADEKA製)5部とを、ガラス製のフラスコ内にて80℃に加熱・混合することで蓄熱材用組成物を製造した。製造した蓄熱材用組成物の融点は15℃であり、潜熱量は130kJ/kgであり、ブリード性の評価はAAであり、流動性の評価はAAであった。
[実施例2〜11、比較例1〜3]
実施例1において、配分組成を表1および2に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2及び比較例1〜3の蓄熱材用組成物を製造した。実施例2の加熱・混合は100℃で行った。
実施例及び比較例で用いた各成分は以下のとおりである。
水添共役ジエン共重合体、その他エラストマー:
・H1…合成例1で得られた水添共役ジエン共重合体(H1)
・H2…合成例2で得られた水添共役ジエン共重合体(H2)
・EPDM…JSR社製 JSR EP103AF(エチレン含量=59wt%、プロピレン含量=36.5wt%、エチリデンノルボルネン(ENB)含量=4.5wt%、ムーニー粘度[ML1+4 125℃]=87、密度=0.86g/cm
蓄熱物質
・PCM1…デカン酸(カプリン酸)
・PCM2…オクタデカン酸(ステアリン酸)
・PCM3…ステアリン酸ブチル(19℃、140kJ/kg)
・PCM4…n−ヘプチルエーテル
・PCM5…2−ノナノン
・PCM6…1−テトラデカノール
その他添加物
・AD1…LDPE ノバテックLD LC600A
・AD2…発泡シリカ NS−K(東ソー・シリカ(株)製)
・AD3…膨張黒鉛 EC1500(伊藤黒鉛工業(株)製)
老化防止剤
・AO−60…ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](株式会社ADEKA製)
製造した蓄熱材用組成物の測定結果及び評価結果を併せて表1および2に記す。
Figure 2013006944
Figure 2013006944
本発明の蓄熱材用組成物は、成形時の流動性に優れ、蓄熱物質のブリード性が低い。そのため、住居、ホテル、空港、地下街等の空調設備、自動車のキャニスター、電子部品、冷蔵庫、魔法瓶等の家電、衣服の繊維、臓器輸送の保温容器、カーブミラー、橋のコンクリート材料等、種々の分野での利用が期待できる。

Claims (9)

  1. 水添共役ジエン共重合体と、
    脂肪酸、脂肪酸のエステル化合物、脂肪族エーテル類、脂肪族ケトン類、脂肪族アルコールからなる群より選ばれた少なくとも一種の蓄熱物質とを含有する、蓄熱材用組成物。
  2. 前記水添共役ジエン共重合体は、
    第一の共役ジエン化合物に由来する構成単位(a−1)を含む、ビニル結合含量が30モル%以下の重合体ブロック(A)と、
    第二の共役ジエン化合物に由来する構成単位(b−1)を含む、ビニル結合含量が30〜95モル%の重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体を水素添加して得られたものである、請求項1記載の蓄熱材用組成物。
  3. 前記ブロック共重合体における前記重合体ブロック(A)と前記重合体ブロック(B)との質量換算比率((A)/(B))が5/95〜50/50である、請求項2記載の蓄熱材用組成物。
  4. 前記ブロック共重合体がアルケニル芳香族化合物に由来する構成単位をさらに含み、前記構成単位の含有割合が前記ブロック共重合体に対して30質量%以下である、請求項2又は3に記載の蓄熱材用組成物。
  5. 前記重合体ブロック(A)が、前記構成単位(a−1)として、1,3−ブタジエンに由来する構成単位を95〜100質量%含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物。
  6. 前記蓄熱物質が、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定される融点が−30〜130℃の範囲にある、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物。
  7. 更にフィラーを含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物から形成されてなる、蓄熱材。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物を容器中に充填した蓄熱用装置。
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