JP2013002079A - 化粧壁面 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の化粧壁面は、経年劣化した既存壁面に対し、化粧被膜が設けられた化粧壁面であって、当該既存壁面は、凹凸模様及び/または2種以上の着色領域を有する複数の板状壁材によって構成されたものであり、当該既存壁面の表面には、アクリルポリマーマトリクス中にアミノシランが混在する化粧被膜(A)が設けられている。
【選択図】図1
Description
1.経年劣化した既存壁面に対し、化粧被膜が設けられた化粧壁面であって、
当該既存壁面は、凹凸模様及び/または2種以上の着色領域を有する複数の板状壁材によって構成されたものであり、
当該既存壁面の表面には、アクリルポリマーマトリクス中にアミノシランが混在する化粧被膜(A)が設けられたことを特徴とする化粧壁面。
2.上記既存壁面において、上記板状壁材どうしの連結部には、シーリング材が充填されている1.記載の化粧壁面。
3.上記化粧被膜(A)は、アクリルポリマーマトリクス中にアミノシラン及びジメチルシロキサンが混在するものである1.または2.記載の化粧壁面。
4.上記化粧被膜(A)上の一部の領域に対し、上記化粧被膜(A)とは異色の化粧被膜(B)が設けられた1.〜3.のいずれかに記載の化粧壁面。
図1は、本発明化粧壁面の一例を示す断面図である。
板状壁材2における凹凸模様としては、種々のものが挙げられ、例えばタイル調模様、レンガ調模様、幾何学的模様、縞模様、格子模様、水玉模様等の他、動植物等をデザイン化した図形模様等が挙げられる。具体的に、凹凸模様を正面から見たときの凸部の形状としては、例えば正方形、長方形、円形、楕円形、三角形、菱形、多角形、不定形等の形状が挙げられる。また、凹凸模様における凸部の断面形状としては、例えば台形、正方形、長方形、半円形、波形、階段形、三角形、山形等が挙げられる。凹凸模様における凹部は、通常は平坦であり、目地を形成するものが好ましい。凹部と凸部との高低差は、各々の凸部で一定であっても相違していてもよいが、好ましくは20mm以下、より好ましくは1〜15mm程度である。板状壁材2の表面には、通常、既存被膜3が設けられている。
図1では、それぞれ異なる色の着色領域31と着色領域32が混在している。本発明では、板状壁材2が、凹凸模様を有し、かつ2色以上の着色領域を有する場合に、有利な効果が得られやすい。凹部と凸部がそれぞれ異なる色で着色された板状壁材2を対象とする場合は、特に有利である。
本発明は、既存壁面1が、板状壁材2どうしの連結部にシーリング材4が充填されたもの(図2)である場合に、有利な効果が得られる。
シーリング材4は、板状壁材2と同様に経年劣化したものでもよいし、化粧被膜(A)の形成前に、新たに打設されたものであってもよい。本発明では、シーリング材4が新たに打設された場合に、特に優れた効果が発揮できる。
シーリング材4の充填方法としては、特に限定されず、例えば、ガンやへら等による公知の方法を採用することができる。
変性シリコーン系シーリング材は、変性シリコーン樹脂を含むシーリング材である。この変性シリコーン樹脂は、有機樹脂を主鎖とし、その末端または側鎖に少なくとも一つの反応性シリル基を有するものである。変性シリコーン樹脂の主鎖を構成する有機樹脂としては、例えば、ポリエーテル重合体、ポリエステル重合体、エーテル・エステルブロック共重合体、エチレン性不飽和化合物重合体、ジエン化合物重合体等が挙げられる。反応性シリル基としては、例えば、アルコキシシリル基、シラノール基等が挙げられる。
ポリエステル重合体は、カルボキシル基含有化合物のエステルを繰返し単位として有するものである。カルボキシル基含有化合物としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フタル酸、クエン酸、ピルビン酸、乳酸等が挙げられる。
エーテル・エステルブロック共重合体は、上記ポリエーテル重合体の繰返し単位と、上記ポリエステル重合体の繰返し単位を併有するものである。
エチレン性不飽和化合物重合体は、エチレン性不飽和化合物を単量体成分とするものである。エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブテン、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。エチレン性不飽和化合物重合体の具体例としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリイソブチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等が挙げられる。
ジエン化合物重合体は、ジエン化合物を単量体成分とするものである。ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等が挙げられる。ジエン化合物重合体の具体例としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリクロロプレン、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン共重合体等が挙げられる。
ノンブリードタイプのシーリング材としては、例えば、上記条件を満たすアクリルウレタン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、変成シリコーン系シーリング材等が挙げられる。本発明では、ノンブリードタイプの変成シリコーン系シーリング材を使用した場合において、特に優れた効果が得られる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
アミノシランとしては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノイソブチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジイソプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルジイソプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、2−アミノエチルアミノメチルベンジロキシジメチルシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノロピルトリエトキシシラン等から選ばれる1種以上が挙げられる。この中でも、1分子中にアミノ基を2つ以上(好ましくは2つ)有するアミノシランが好適である。
アミノシランの重量比率は、固形分換算で、アクリルポリマーマトリクス100重量部に対し、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。
このような作用により、化粧被膜(A1)では、被膜の剥れ、ひび割れ等を十分に抑制することができる。とりわけ、シーリング材4として変性シリコーン系シーリング材を使用した場合に、優れた効果を得ることができる。このような効果は、ジメチルシロキサンとアミノシランの相乗的作用によって奏されるものと推察される。
アクリルポリマー、アミノシランとしては、上述と同様のものが使用できる。
ジメチルシロキサンの重量比率は、固形分換算で、アクリルポリマーマトリクス100重量部に対し、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは5〜100重量部である。
着色材の重量比率は、固形分換算で、アクリルポリマーマトリクス100重量部に対し、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは2〜80重量部である。
本発明では、少なくとも、既存壁面1における凹部と凸部を跨ぐか、あるいは2色以上の着色領域を跨いで、上記被覆材を塗付することにより、化粧被膜(A)を形成することができる。上記被覆材は、板状壁材2の全面に塗付することが望ましく、既存壁面1の全面に塗付することがより望ましい。被覆材の塗付け量は、固形分換算で、好ましくは10〜300g/m2程度である。
化粧被膜(B)を形成する被覆材は、化粧被膜(A)上の一部の領域に塗付すればよい。例えば、既存壁面1が凹凸模様を有する場合は、凸部、凹部のいずれか一方に被覆材を塗付することにより、化粧被膜(B)を形成することができる。化粧被膜(B)の色は、仕上り外観等を考慮して適宜設定することができる。また、塗付け量は、使用する材料に応じて適宜設定すればよい。
図3では、凹凸模様の凸部のみに化粧被膜(B)が形成されている。図3の態様において、化粧被膜(A)の色を着色領域31の色に合わせ、化粧被膜(B)の色を着色領域32の色に合わせると、既存壁面の意匠性を再現することができる。
化粧被膜(B)を形成する場合、被覆材は1種のみ使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。2種以上の被覆材を用いる場合、化粧被膜(B)は、2種以上の被覆材による被膜が積層及び/または併設された態様とすることができる。
親水性付与成分としては、例えば、無機酸化物ゾル、アルコキシシラン化合物等が挙げられる。このうち、無機酸化物ゾルとしては、例えば、酸化アルミニウムゾル、酸化ケイ素ゾル、酸化ジルコニウムゾル、酸化アンチモンゾル等が挙げられる。アルコキシシラン化合物としては、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシシランの縮合物、及びこれらの変性物等が使用できる。
(試験体作製)
板状壁材として、促進耐候性試験機に曝露された窯業系サイディングボートを用意した。この窯業系サイディングボードは、表面にタイル調の凹凸模様を有し、凹部には黒色のアクリル系被膜、凸部には淡褐色のアクリル系被膜を有するものであり、凹部よりも凸部の劣化が進行した状態であった。
この板状壁材2枚を併設し、ボード間の連結部(幅10mm)に変性シリコーン系シーリング材(樹脂成分:アルコキシシリル基含有ポリエーテル重合体、可塑剤含有量:1重量%未満)を充填したものを塗装対象の基材とした。
このようにして得られた基材の全面に対し、被覆材Aを塗付け量80g/m2(固形分)でスプレー塗装し、7日間養生した。なお、塗装、養生はすべて標準状態(気温23℃、相対湿度50%)下で行った。
・被覆材A1:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):アミノシラン(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)=98:2(固形分重量比)、黒色。
・被覆材A2:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):アミノシラン(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)=98:2(固形分重量比)、黒色。
・被覆材A3:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):アミノシラン(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン):ジメチルシロキサン(ジメチルシロキサンオリゴマーの合成物)=78:20:2(固形分重量比)、黒色。
・被覆材A4:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):ジメチルシロキサン(ジメチルシロキサンオリゴマーの合成物)=80:20(固形分重量比)、黒色。
・被覆材A5:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):シラン化合物(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)=98:2(固形分重量比)、黒色。
・被覆材A6:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):シラン化合物(ポリエーテル鎖含有トリメトキシシラン)=98:2(固形分重量比)、黒色。
・被覆材A7:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):シラン化合物(ビニルトリメトキシシラン)=98:2(固形分重量比)、黒色。
・密着性試験
上記方法で作製した試験体(300×150mm)を50℃の温水に72時間浸漬した後、各部位(連結部、凹部、凸部)の被膜にカッターナイフでクロスカットを入れ、このクロスカット部分にテープを貼り付けて剥ぐことにより密着性を評価した。評価は、異常が認められなかったものを「A」、剥れが認められたものを「C」とする3段階(A>B>C)で行った。
上記方法で作製した試験体(300×150mm)について、標準状態で引張り試験機にて水平方向に30%変位させたときの表面状態を観察し、追従性を評価した。評価は、異常が認められなかったものを「A」、割れ、剥れ等の異常が認められたものを「C」とする3段階(A>B>C)で行った。
上記試験で使用した被覆材と、その試験結果を表1に示す。試験例1〜3では、概ね良好な結果が得られた。
(試験体作製)
塗装対象の基材として、前記<試験I>と同様のものを用意した。
この基材の全面に対し、被覆材Aを塗付け量80g/m2(固形分)でスプレー塗装し、2時間養生した。次に、凸部のみに対し、被覆材Bを塗付け量80g/m2(固形分)でローラー塗装し、7日間養生した。なお、塗装、養生はすべて標準状態下で行った。
・被覆材B1:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):ジメチルシロキサン(ジメチルシロキサンオリゴマーの合成物)=80:20(固形分重量比)、淡褐色。
前記<試験I>と同様の方法で、密着性試験、追従性試験を行った。試験で使用した被覆材と、その試験結果を表2に示す。試験例8では、良好な結果が得られた。
2:板状壁材
3:既存被膜
31、32:着色領域
4:シーリング材
A:化粧被膜(A)
B:化粧被膜(B)
Claims (4)
- 経年劣化した既存壁面に対し、化粧被膜が設けられた化粧壁面であって、
当該既存壁面は、凹凸模様及び/または2種以上の着色領域を有する複数の板状壁材によって構成されたものであり、
当該既存壁面の表面には、アクリルポリマーマトリクス中にアミノシランが混在する化粧被膜(A)が設けられたことを特徴とする化粧壁面。 - 上記既存壁面において、上記板状壁材どうしの連結部には、シーリング材が充填されている請求項1記載の化粧壁面。
- 上記化粧被膜(A)は、アクリルポリマーマトリクス中にアミノシラン及びジメチルシロキサンが混在するものである請求項1または2記載の化粧壁面。
- 上記化粧被膜(A)上の一部の領域に対し、上記化粧被膜(A)とは異色の化粧被膜(B)が設けられた請求項1〜3のいずれかに記載の化粧壁面。
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