JP2013001827A - ポリプロピレン系樹脂組成物および射出発泡成形体の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物および射出発泡成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 射出発泡成形において問題となるスワールマークが低減し、自動車部品等として好適な剛性と衝撃強度のバランスに優れた、高倍率の発泡成形体を製造するのに好適なポリプロピレン系樹脂組成物、その発泡成形体および発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部対し、ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが5g/10分以上30g/10分未満、160℃における溶融張力が40mN以上、歪硬化性を有し、JIS K6760に準拠した密度が910kg/m以上950kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜100重量部及びタルク(C)5〜50重量部からなる混合物100重量部に対し、
少なくとも発泡剤(D)0.3〜2重量部を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、射出発泡成形において問題となるスワールマークが低減し、自動車部品等として好適な剛性と衝撃強度のバランスに優れた、高倍率の発泡成形体を製造するのに好適なポリプロピレン系樹脂組成物および射出発泡体の製造方法に関する。
ポリプロピレン系樹脂は、その分子中に塩素を含んでいないので、焼却時に有害ガス発生の恐れが少なく、また、リサイクルも可能であるなど、環境にやさしい材料として自動車部品や建築材料の用途を中心に使用分野が拡大している。特に自動車分野については、射出成形によって得られる軽量で剛性、耐衝撃性に優れたポリプロピレン樹脂製品の使用比率が高まっている。
また、更なる軽量化、コストダウン、成形体の反り・ヒケ防止を目的に発泡を行う、いわゆる射出発泡成形が提案され、注目を集めている。ポリプロピレン系樹脂を射出成形法にて高発泡化させる技術としては、型開き可能に保持された金型の空間内に発泡剤を含む樹脂を射出成形した後、金型を開くことにより前記空間を拡大して樹脂を発泡させるいわゆるコアバック法が知られている(例えば特許文献1参照。)。
しかし、ポリプロピレン系樹脂は長鎖分岐構造をもたないことから溶融張力が低く、発泡成形の際の発泡ガスの保持力が小さいため高発泡倍率を有する成形体の成形が困難である。また、発泡の際に気泡が破壊、合一化しやすいため成形品の内部に巨大な気泡(ボイド)が発生したり、成形体表面にシルバーストリークと呼ばれる外観不良が発生したり、成形品の外観等に課題を生じていた。
そこで、ポリプロピレン系樹脂の発泡性を改良する方法として、特定の極限粘度を有するポリエチレンが混合されたメルトフローレートおよび溶融張力がいずれも高いポリプロピレン系樹脂(例えば特許文献2参照。)や、多段重合により特定の極限粘度を有する成分を含有する高溶融張力のポリプロピレン系樹脂と高メルトフローレートのポリプロピレン系樹脂との混合物(例えば特許文献3参照。)を射出発泡成形に使用する方法が提案されている。
一方、ポリプロピレン樹脂は、その剛性と耐衝撃性とのバランスを最適化するためにタルクのような無機充填剤を配合した組成物が大量に使用されている。このポリプロピレン樹脂組成物を用いて射出成形を行なうと、射出成形品表面の流動方向と交わる方向にフローマークと呼ばれる複数の周期的な縞模様が発生し、外観上問題となる。また、成形品表面に発生したフローマークが目立つと成形品の外観を損なうので、必要に応じて塗装等を行なってフローマークを消すことが実施されている。このようなポリプロピレン樹脂組成物から得られる成形品のフローマークを解消したり、目立たなくしたりする方法としては、金型温度が可変の金型を用いて、高温に保持した金型に樹脂を射出する等の方法が採用されている。しかしながら、この方法では、特殊な金型が必要であるし、成形サイクルが長くなる等の生産面での問題がある。
また、自動車用内装部品は、その表面の加飾や、表面光沢を下げるために、表面にシボと呼ばれる模様が付けられる。このシボは、射出成形用金型内表面に形成された模様を、射出成形時に成形品表面に転写することによって形成される。上記ポリプロピレン樹脂組成物を用いて射出成形を行なうと、金型内面の表面に形成されたシボの転写性が悪くて光沢が下がらなかったり、金型のゲート付近とゲートから遠い位置によって転写性が異なり、そのために光沢の差が発生する等の問題がある。
WO2003−072335号公報(特許請求の範囲) 特開2003−128854号公報(特許請求の範囲) 特開2003−268145号公報(特許請求の範囲)
しかし、特許文献2に提案のポリプロピレン系樹脂や特許文献3に提案の混合物は、歪硬化性を示さないため、射出発泡体の発泡倍率が1.8倍を越える場合には気泡が破壊、合一し、成形品の内部にボイドが発生しやすい傾向になり高発泡倍率を有する良好な射出発泡成形体を得ることが困難であると伴に、自動車分野における剛性、軽量化のニーズに応えることが難しいものであった。ここでいう歪硬化性は、溶融物の延伸歪みの増加に伴い粘度が上昇することとして定義され、通常は特開昭62−121704号公報に記載の方法、すなわち市販の伸長粘度計により測定した伸長粘度と時間の関係をプロットすることで判定することができる。また、例えば溶融張力測定時の溶融ストランドの破断挙動からも歪硬化性を判定できる。すなわち、引き取り速度を増加させたときに急激に溶融張力が増加し、切断に至るときは歪硬化性を示す場合である。エチレン・α−オレフィン共重合体が歪硬化性を示すことの効果は、気泡の成長時に膜が均一な厚みで延伸され、気泡が破壊することなく高倍率の発泡体が得られ易くなることである。
また、フロンより温室効果の低い発泡剤として、二酸化炭素を用いる試みがなされているが、フロンとのガス透過性の違いのためであるのか、その原因は不明であるが、発泡剤として二酸化炭素を用い、ポリプロピレン系樹脂の発泡を行った場合、良好な発泡成形体が得られないのが現状であった。
また、剛性を向上させる目的でタルクを添加すると、発泡性が低下してしまうために2倍以上の高発泡倍率の発泡成形体を得ることはできないなど、これら諸物性を両立したものを得ることは難しかった。
以上のように、これまでは射出発泡成形性が良好で、高発泡倍率で大幅な軽量化が可能であり、剛性、耐衝撃性が良好な射出発泡成形体を安価に得ることは困難であった。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂と特定のエチレン・α−オレフィン共重合体およびタルクを用いることで、発泡、特に射出発泡に適した溶融粘度や溶融張力を保持し、高発泡倍率で軽量化が可能であり、耐衝撃性も良好な射出発泡成形体が安価に得られるポリプロピレン系樹脂組成物となることを見出し、本発明の完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対し、ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート(以下、MFRと記す。)が4g/10分以上30g/10分未満、160℃における溶融張力が40mN以上、歪硬化性を有し、JIS K6760に準拠した密度が910kg/m以上950kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜100重量部及びタルク(C)5〜50重量部を含有し、ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)及びタルク(C)の合計100重量部に対し、少なくとも発泡剤(D)0.3〜2重量部を含むポリプロピレン系樹脂組成物及び射出発泡成形体の製造方法に関するものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対し、ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したMFRが4g/10分以上30g/10分未満、160℃における溶融張力が40mN以上、歪硬化性を有し、JIS K6760に準拠した密度が910kg/m以上950kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜100重量部及びタルク(C)5〜50重量部を含有し、ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)及びタルク(C)の合計100重量部に対し、少なくとも発泡剤(D)0.3〜2重量部を含むものであり、該ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出発泡成形体は、従来得ることが困難であった高発泡倍率で、かつ、セルが均一微細であるがために軽量性に優れ、耐衝撃性が良好となるものである。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)としては、ポリプロピレン系樹脂として知られている範疇に属するものであれば如何なるものでもよく、例えば線状の分子構造を有しているポリプロピレン系樹脂であり、通常の重合方法、例えば担体に担持させた遷移金属化合物と有機金属化合物から得られる触媒系(例えばチーグラー・ナッタ触媒)の存在下でプロピレンの重合を行うことにより得られる。より具体的には、プロピレンの単独重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体であって、結晶性の重合体があげられ、その中でも、特にポリプロピレン系樹脂の特徴である結晶性、剛性、耐薬品性などに優れる射出発泡成形体となることから、プロピレン単位を75重量%以上含有しているプロピレン共重合体であることが好ましく、その際の共重合単位としては、例えばエチレン単位、1−ブテン単位、イソブテン単位、1−ペンテン単位、3−メチル−1−ブテン単位、1−ヘキセン単位、4−メチル−1−ペンテン単位、3,4−ジメチル−1−ブテン単位、1−ヘプテン単位、3−メチル−1−ヘキセン単位、1−オクテン単位、1−デセン単位などの炭素数2または4〜12のα−オレフィン単位;シクロペンテン単位、ノルボルネン単位などの環状オレフィン単位;5−メチレン−2−ノルボルネン単位、5−エチリデン−2−ノルボルネン単位、1,4−ヘキサジエン単位、メチル−1,4−ヘキサジエン単位、7−メチル−1,6−オクタジエン単位などのジエン単位;塩化ビニル単位、塩化ビニリデン単位、アクリロニトリル単位、酢酸ビニル単位、アクリル酸単位、メタクリル酸単位、マレイン酸単位、アクリル酸エチル単位、アクリル酸ブチル単位、メタクリル酸メチル単位、無水マレイン酸単位、スチレン単位、メチルスチレン単位、ビニルトルエン単位、ジビニルベンゼン単位などのビニル単量体単位、などが挙げられる。これらのうち、特に安価で、耐寒脆性にも優れる射出発泡成形体となるエチレン単位、1−ブテン単位であることが好ましい。また、これらポリプロピレン系樹脂は市販品として入手したものであってもよい。
該ポリプロピレン系樹脂(A)としては、流動性に優れることから射出発泡成形体を製造する際に、金型のクリアランスが1〜2mm程度の薄肉部分を有する成形においても、連続して安定した成形が行えるとともに、高発泡倍率であり、且つ、発泡時に気泡が破壊されにくいため、軽量性に優れる射出発泡成形体をえることから可能となるポリプロピレン系樹脂組成物となることから、ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定したMFRが30g/10分以上100g/10分以下、溶融張力が10mN以下であるポリプロピレン系樹脂であることが好ましく、更にMFRが40g/10分以上80g/10分以下であり、溶融張力が5mN以下であるポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂の溶融張力が5mN以下であると射出成形時の流動性が良好で、大型成形品や薄肉成形品の成形が容易であり、平滑な外観を有する成形品が得られ易い。
また、該ポリプロピレン系樹脂(A)の形状、大きさに制限はなく、ペレット状のものでもよい。
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したMFRが4g/10分以上30g/10分未満、160℃における溶融張力が40mN以上、歪硬化性を有し、JIS K6760に準拠した密度が910kg/m以上950kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、該範疇に属するものであれば如何なるエチレン・α−オレフィン共重合体であってもよい。また、市販品として入手したものであってもよく、例えば(商品名)TOSOH−HMS JK46(東ソー(株)製)、(商品名)TOSOH−HMS JK25(東ソー(株)製)等を市販品として挙げることができる。
また、以下の方法により製造することができる。例えば、特開2004−346304号公報、特開2005−248013号公報、特開2006−2057号公報、特開2006−321991号公報、特開2007−169341号公報、特開2010−43152号公報、特開2011−89019号公報、特開2011−89020号公報に記載の重合触媒の存在下に、エチレンを重合する、またはエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンを共重合する方法を用いることができる。
より具体的には、例えばメタロセン化合物として、2つの置換または非置換シクロペンタジエニル基が架橋基で架橋されている架橋型ビス(置換または非置換シクロペンタジエニル)ジルコニウム錯体および/または架橋型(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウム錯体(以下、成分(a)と記す。)と、架橋型(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体および/または架橋型(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体(以下、成分(b)と記す。)を用いたメタロセン触媒の存在下に、エチレンを重合する、またはエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンを共重合する方法を用いることができる。
成分(a)の具体例としては、ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1,1−ジメチル−1−シラエタン−1,2−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、プロパン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ブタン−1,4−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、シス−2−ブテン−1,4−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1,1,2,2−テトラメチルジシラン−1,2−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができる。また上記遷移金属化合物のシクロペンタジエニル誘導体の水素が炭化水素基で置換されたもの、中心金属のジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に置換した化合物も例示することもできる。
成分(b)の具体例としては、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイル(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フェニル−1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フェニル−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができる。また上記遷移金属化合物のシクロペンタジエニル誘導体の水素が炭化水素基で置換されたもの、中心金属のジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に置換した化合物も例示することもできる。
また、成分(a)に対する成分(b)の量は、特に制限はなく、0.0001〜100倍モルであることが好ましく、特に好ましくは0.001〜10倍モルである。
そして、成分(a)と成分(b)を用いたメタロセン触媒としては、例えば成分(a)と成分(b)と有機アルミニウム化合物(以下、成分(c)と記す。)からなる触媒;成分(a)と成分(b)とアルミノオキサン(以下、成分(d)と記す。)からなる触媒;さらに成分(c)を含んでなる触媒;成分(a)と成分(b)とプロトン酸塩(以下、成分(e)と記す。)、ルイス酸塩(以下、成分(f)と記す。)または金属塩(以下、成分(g)と記す。)から選ばれる少なくとも1種類の塩からなる触媒;さらに成分(c)を含んでなる触媒;、成分(a)と成分(b)と成分(d)と無機酸化物(以下、成分(h)と記す。)からなる触媒;成分(a)と成分(b)と成分(h)と成分(e)、成分(f)、成分(g)から選ばれる少なくとも1種類の塩からなる触媒;さらに成分(c)を含んでなる触媒;成分(a)と成分(b)と粘土鉱物(以下、成分(i)と記す。)と成分(c)からなる触媒;成分(a)と成分(b)と有機化合物で処理された粘土鉱物(以下、成分(j)と記す。)からなる触媒を例示することができ、好ましくは成分(a)と成分(b)と成分(j)からなる触媒を用いることができる。
ここで、成分(i)および成分(j)として用いることが可能な粘土鉱物としては、微結晶状のケイ酸塩を主成分とする微粒子を挙げることができ、粘土鉱物の大部分は、その構造上の特色として層状構造を成しており、層の中に種々の大きさの負電荷を有することが挙げられる。この点で、シリカやアルミナのような三次元構造を持つ金属酸化物と大きく異なる。これらの粘土鉱物は、一般に層電荷の大きさで、パイロフィライト、カオリナイト、ディッカイトおよびタルク群(化学式当たりの負電荷がおよそ0)、スメクタイト群(化学式当たりの負電荷がおよそ0.25から0.6)、バーミキュライト群(化学式当たりの負電荷がおよそ0.6から0.9)、雲母群(化学式当たりの負電荷がおよそ1)、脆雲母群(化学式当たりの負電荷がおよそ2)に分類されている。ここで示した各群には、それぞれ種々の粘土鉱物が含まれるが、スメクタイト群に属する粘土鉱物としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト等が挙げられる。また、上記粘土鉱物は複数混合して用いることもできる。
成分(j)における有機化合物処理とは、粘土鉱物層間に有機イオンを導入し、イオン複合体を形成することをいう。有機化合物処理で用いられる有機化合物としては、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−エイコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−ドコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルオレイルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−オクタデシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−エイコシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ジオレイルアミン塩酸塩、N−メチル−ジベヘニルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルアニリン塩酸塩を例示することができる。
成分(a)と成分(b)と成分(j)からなる触媒は、有機溶媒中、成分(a)と成分(b)と成分(j)を接触させることによって得ることが可能であり、成分(a)と成分(j)の接触生成物に成分(b)を添加する方法;成分(b)と成分(j)の接触生成物に成分(a)を添加する方法;成分(a)と成分(b)の接触生成物に成分(j)を添加する方法;成分(j)に成分(a)と成分(b)の接触生成物を添加する方法を例示することができる。
接触溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペンタンもしくはシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン等の芳香族炭化水素類、エチルエーテルもしくはn−ブチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレンもしくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、1,4−ジオキサン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランを例示することができる。
接触温度については、0〜200℃の間で選択して処理を行うことが好ましい。
各成分の使用量は、成分(j)1gあたり成分(a)が、0.0001〜100mmol、好ましくは0.001〜10mmolである。
このようにして調製された成分(a)と成分(b)と成分(j)の接触生成物は、洗浄せずに用いても良く、また洗浄した後に用いても良い。また、成分(a)または成分(b)がジハロゲン体の時、さらに成分(c)を添加することが好ましい。また、成分(j)、重合溶媒およびオレフィン中の不純物を除去することを目的に成分(c)を添加することができる。
該ポリエチレン系樹脂(A)を製造する際には、重合温度−100〜120℃で行うことが好ましく、特に生産性を考慮すると20〜120℃が好ましく、さらには60〜120℃の範囲で行うことが好ましい。また、重合時間は10秒〜20時間の範囲が好ましく、重合圧力は常圧〜300MPaの範囲で行うことが好ましい。重合性単量体としては、エチレン単独又はエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンであり、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンである場合、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンの供給割合として、エチレン/炭素数3〜8のα−オレフィン(モル比)が、1〜200、好ましくは3〜100、さらに好ましくは5〜50の供給割合を用いることができる。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて2段階以上に分けて行うことも可能である。また、エチレン系共重合体は、重合終了後に従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
重合はスラリー状態、溶液状態または気相状態で実施することができ、特に、重合をスラリー状態で行う場合にはパウダー粒子形状の整ったエチレン系共重合体を効率よく、安定的に生産することができる。また、重合に用いる溶媒は一般に用いられる有機溶媒であればいずれでもよく、具体的には例えばベンゼン、トルエン、キシレン、プロパン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ガソリン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。 ここで、MFRが4g/10分未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体である場合、ポリプロピレン樹脂(A)への分散性に劣り、流動性も悪化することから、射出発泡成形品体とした際の成形体表面が悪化したものとなる。一方、MFRが30g/10分を超えるエチレン・α−オレフィン共重合体である場合、射出発泡成形体とした際の強度等の機械的物性が劣るものとなることに加えて、溶融張力が40mNに到達せず、組成物は発泡成形性にも劣るものとなる。また、溶融張力が40mN未満のエチレン・α−オレフィン共重合体である場合、発泡成形倍率の改善効果が不十分であり、高発泡倍率を有する射出発泡成形体とすることができない。さらに、歪硬化性を示さないエチレン・α−オレフィン共重合体である場合、射出発泡成形体とした際に、気泡が合一したものとなり、均一で微細な気泡を有する射出成形発泡体とはならない。密度が910kg/m未満のエチレン・α−オレフィン共重合体である場合、得られる射出発泡成形体は、耐熱性に劣るものとなり、密度950kg/mを超えるエチレン・α−オレフィン共重合体である場合、得られる射出発泡成形体は、耐衝撃性に劣るものとなる。
なお、従来、ポリプロピレン系樹脂を用いた発泡倍率が2倍以上の射出発泡は困難とされており、本願発明の射出発泡成形体は、ポリプロピレン系樹脂に該エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を配合することにより従来は困難とされていた発泡倍率が2倍以上の射出発泡成形をも可能としたものであり、新たなポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる射出発泡成形体を提案したものである。そして、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、ポリプロピレン系樹脂(A)への分散性が良好であり、特に高発泡倍率であり気泡が均一微細な射出発泡成形体が得られることから、MFRが4g/10分以上30g/10分未満、溶融張力40mN以上であるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を用いるものである。
本発明におけるMFRは、ASTM 1238に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定することがきる。また、溶融張力は、(商品名)キャピログラフ(東洋精機製作所製)を用い。190℃で長さ(L)が8mm,直径(D)が2.095mmのダイから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを10m/分で引き取り、引き取り荷重を溶融張力として測定することができる。歪硬化性は、マイスナー型一軸伸長粘度計を用いて、160℃で、ひずみ速度0.07〜0.1s−1の条件で測定した伸長粘度の最大値を、その時間の線形領域の伸長粘度で除した値を非線形パラメーターλと定義し、λが1を超えること歪硬化性があると確認できる。なお、M. Yamaguchi et al.Polymer Journal 32,164(2000).に記載のように、線形領域の伸長粘度は動的粘弾性より計算できる。λが1の場合、歪硬化性がないと判断できる。
本発明に用いられるタルク(C)は、通常市販されているタルクであるが、本発明においてはレーザー光散乱方式粒度分布計にて測定される平均粒径が3〜7μmの範囲内のものを選択するのが好ましい。平均粒径が7μm以下であると機械的物性が良好である。一方、この粒径が3μm以上であるとタルクの2次凝集が起こらず、衝撃強さに優れる。このタルクは、表面処理されていないものを用いてもよいし、各種の表面処理剤により表面処理されたものを用いてもよい。
本発明に用いられる発泡剤(D)としては、発泡剤の範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、化学発泡剤、物理発泡剤等に属するものを挙げることができ、化学発泡剤としては、例えばアゾジカルボン酸アミド、重炭酸ソーダとクエン酸の混合物、オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、P−トルエンスルフォニルヒドラジド、ジアゾアミノベンゼン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等を挙げることができ、その中でも、特に射出発泡成形性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物となることから、重炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の二酸化炭素発生化学発泡剤であることが好ましく、これら発泡剤は、二種以上を併用して使用することもできる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対し、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜100重量部及びタルク(C)5〜50重量部からなる混合物100重量部に対し、少なくとも発泡剤(D)を0.3〜2重量部、好ましくは0.6〜1重量部を配合してなるものである。そして、特に射出発泡成形性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物となることから、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対し、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜100重量部及びタルク(C)5〜50重量部からなる混合物は、230℃で測定したMFRが30g/10分以上200g/10分以下、190℃における溶融張力10mN以上を有する混合物であることが好ましい。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が5重量部未満、または、タルク(C)が50重量部を超える場合、得られる組成物は発泡成形に劣るものとなり、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が100重量部を超える、又は、タルク(C)が5重量部未満である場合、得られる組成物は耐熱性、剛性に劣るものとなる。また、発泡剤(D)が0.3重量部未満、又は、2重量部を超える場合、得られる組成物は、発泡性に劣るものとなる。
発泡剤(D)を配合する際には、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)と混練し、発泡剤マスターバッチの形態で用いることも可能であり、その際の発泡剤マスターバッチにおける発泡剤の配合量としては、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)と発泡剤(D)との合計量中20〜50質量%が好ましく、25〜40質量%がより好ましい。
その他、樹脂として公知のものを添加することができ、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂等があげられる。これらは複数組み合わせることもできる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を併用してもよい。熱安定剤、抗酸化剤等の各種添加剤を配合することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば上記ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、タルク(C)及び発泡剤(D)、さらに必要に応じて用いる各種添加剤を、通常の機械的混練法によって混練することにより、製造することができる。また、タルク(C)としてタルクのマスターバッチとして用いる場合及び/又は発泡剤(D)として発泡剤マスターバッチを用いる場合は、機械的混練を行うことなくドライブレンドにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物とすることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、公知の方法で発泡成形することにより、発泡成形体とすることが可能であり、その際、特に効率よく発泡体を製造することが可能となることから、射出発泡成形に供し、射出発泡成形体とすることが好ましい。その際の射出発泡成形機としては、一般的に射出発泡成形機として知られているものと用いることが可能であり、特に効率よく射出発泡成形体を得ることが可能となることから、可動型金型を付随する射出成形機、カウンタープレッシャー法を併用する射出成形機を用いることが好ましい。
また、射出発泡成形体とする際には、発泡剤として二酸化炭素により射出発泡成形を行うことも可能であり、その際の二酸化炭素としては、二酸化炭素ガスそのもののほかに超臨界二酸化炭素を挙げることができる。二酸化炭素は、射出成形機のシリンダ内に供給されたポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対し、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜100重量部及びタルク(C)5〜50重量部を含む組成物を加熱溶融し、ガス状または超臨界流体として注入され、分散または溶解されるもので、金型内に射出後、圧力開放されることによって発泡剤として機能するものである。
該射出発泡成形法を行う際には、射出発泡成形体の気泡を安定的に均一微細にするために必要に応じて、例えばクエン酸のような有機酸等の発泡助剤やタルク、炭酸リチウムのような無機微粒子等の造核剤を添加してもよい。
該射出成形法を行う際には、必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を併用してもよい。
該射出発泡成形法について具体的に説明する。射出発泡成形法自体は公知の方法が適用でき、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFR、発泡剤の種類、成形機の種類あるいは金型の形状によって適宜成形条件を調整すればよい。通常、ポリプロピレン系樹脂組成物の場合は樹脂温度170〜250℃、金型温度10〜100℃、成形サイクル1〜60分、射出速度10〜300mm/秒、射出圧10〜200MPa等の条件で行われる。また、金型内で発泡させる方法としては種々有るが、なかでも固定型と任意の位置に前進および後退が可能な可動型とから構成される金型を使用し、射出完了後、可動型を後退させて発泡させる、いわゆるコアバック法が、表面に非発泡層が形成され、内部の発泡層が均一微細気泡になりやすく、軽量性に優れ、耐衝撃性の良好な発泡成形体が得られやすいことから好ましい。可動型を後退させる方法としては、一段階で行ってもよいし、二段階以上の多段階で行ってもよく、後退させる速度も適宜調整してもよい。
また、予め金型内を不活性ガス等で圧力をかけながらポリプロピレン系樹脂組成物を金型内に導入するいわゆるカウンタープレッシャー法を併用することで、スワールマークと呼ばれる表面外観不良を低減することが出来るため好ましい。
得られる射出発泡成形体は、軽量性と剛性のバランスに優れることから発泡倍率が、1.8倍以上10倍以下であることが好ましく、特に2倍以上4倍以下であることが好ましい。また、発泡層の平均気泡径200μm以下であることが好ましい。さらに剛性に優れた射出発泡成形体となることから、発泡層の表面に非発泡層を有することが好ましく、該非発泡層の厚みは300μm以下であることが好ましく、100μm以下であることが更に好ましい。
本発明により、従来困難とされていた、発泡倍率2倍以上で、内部に均一微細なセルを形成し、剛性と衝撃強度のバランスにも優れたポリプロピレン系樹脂製の射出発泡成形体を得ることが可能となる。
実施例および比較例において、各種の評価方法に用いられた試験法および判定基準は次の通りである。
〜発泡倍率の測定〜
射出発泡成形体から表面の非発泡層も含めた試片と、コアバック前の金型クリアランスとの比を発泡倍率とした。
〜平均気泡径、非発泡層厚みの測定〜
射出発泡成形体を厚み方向に切断した断面の顕微鏡写真より求めた。平均気泡径については任意に選んだ20個の平均値とした。
〜射出発泡成形体の肉厚測定〜
射出発泡成形体を厚み方向に切断した断面について、両端部、中央部の3点について測定し、その平均値とした。
〜MFRの測定〜
ASTM 1238に準拠し、ポリプロピレン系樹脂は温度230℃、荷重2.16kgで測定した。また、エチレン・α−オレフィン共重合体は温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
〜溶融張力の測定〜
キャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用した。190℃で、長さ(L)が8mm,直径(D)が2.095mmのダイから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを10m/分で引き取り、引き取り荷重を溶融張力とした。
〜歪硬化性の測定〜
温度160℃に設定したマイスナー型一軸伸長粘度計(東洋精機製作所製、商品名:メルテンレオメーター)を用いて測定した。非線型パラメータ(λ)は、ひずみ速度0.07〜0.1s−1の条件で測定した伸長粘度の最大値を、その時間の線形領域の伸長粘度で除した値として求めた。なお、線形領域における伸長粘度の値は、福田猛著,新高分子実験学1,高分子実験の基礎,分子特性解析,“3−4.分子形状および形態”,295(1994).に記載の方法に従い、動的粘弾性より近似式を用いて計算した。得られたλが1を越える場合は歪硬化性ありと判断した。
〜射出発泡成形性の評価〜
連続して20ショットの射出発泡成形したときにショートショットになった個数(不良個数)を求めて、次の3段階で評価した。
不良個数が0個・・・・・・・○
不良個数が1〜2個・・・・・△
不良個数が3個以上・・・・・×

〜デュポン衝撃強度の測定:衝撃強度(50%破壊エネルギー)の算出〜
下式により50%破壊エネルギーを算出した。
E=〔{H−S(T/100−1/2)}×W〕÷10.2
式中、E:衝撃強度(破壊エネルギー(J))、H:全破壊時の高さ(cm)、S:高さ間隔(cm)、T:破壊%(無破壊〜全破壊)の和、W:重錘の荷重(kg)である。
測定装置、条件は以下の通り。
試験装置:デュポン衝撃試験器
撃芯先端直径:12.7mm
落下重錘:0.3kg(一定)
試験片:80mm×80mm×2.0mmt…非発泡体
試験温度:−30℃(ドライアイスにて調整したエタノール液に15分間浸漬)
高さ間隔:5〜10cm

〜剛性の測定〜
曲げ特性をもって剛性を評価した。JIS−K6911に準拠して試片の長手方向が樹脂流れ方向に直角になるように、発泡成形体の底面部から50mm×150mmに切り出した試片をスパン間距離100mmで、試験片上面より50mm/minの速度で荷重を加え、常温(23℃)および高温(80℃)での最大曲げ荷重(N/50mm)、曲げ弾性勾配を求めた。曲げ弾性勾配は荷重−たわみ曲線の最初の直線部分の傾斜で、N/50mm/cm(kgf/50mm/cm)で表す。
〜内部ボイドの評価〜
射出発泡成形体を厚み方向に切断した断面を観察し、発泡層中の大きさ1mm以上のボイドの有無をしらべた。
内部ボイドがないもの・・・・・○
有るもの ・・・・・・・・・・×
以下に、実施例、比較例で使用したポリプロピレン系樹脂、エチレン・α−オレフィン共重合体を以下に示す。
〜ポリプロピレン系樹脂〜
PP−1:住友化学社製、(商品名)住友ノーブレンAZ564(プロピレン・エチレン・ブロックコポリマー、MFR30g/10分、溶融張力5mN

PP−2:日本ポリプロ社製、(商品名)ノバテックBC05(プロピレン・エチレン・ブロックコポリマー、MFR50g/10分、溶融張力5mN未満

〜エチレン・α−オレフィン共重合体〜
PE−1:東ソー社製、(商品名)東ソーHMS JK25(MFR14.7g/10分、密度923kg/m、溶融張力40mN)

PE−2:東ソー社製、(商品名)東ソーHMS JK17(MFR4g/10分、密度915kg/m、溶融張力77mN)

〜タルク〜
富士タルク社製MT7(平均粒径7μm)

〜発泡剤〜
化学発泡剤:重炭酸ナトリウム・クエン酸系化学発泡剤マスターバッチ(永和化成社製ポリスレンEE25C、発泡剤濃度20%、低密度ポリエチレンベース、発生ガス量75〜90ml/2.5g(220℃恒温下×20min)
実施例1〜6
PPのペレット100重量部に対して、エチレン・α−オレフィン共重合体、タルクを表に示す構成で配合し、タンブラーで混合した後、二軸混練押出機で混練・造粒し、ペレットを得た。
得られたペレットに、化学発泡剤マスターバッチ5重量部をペレットブレンドし、樹脂混合物を調製した。
前記樹脂混合物をシリンダー設定温度210℃、金型温度40℃に調整し、縦100mm×横200mmの厚さ可変の平板形状のキャビティを有する内面鏡面光沢仕上げ、バルブゲートの金型を装着した射出成形機(宇部興産機械(株)製、商品名MD100S型に供給し、射出発泡成形を行い射出発泡成形体を得た。その際の樹脂溶融工程の熱により化学発泡剤が分解し、発泡剤としての二酸化炭素が発生し、発泡成形が行われた。
また、その際の射出発泡成形方法としてはコアバック法を用いた。すなわち、初期キャビティクリアランス1.5mmを有するキャビティ中に溶融状態の二酸化炭素を含有した樹脂混合物の射出を開始し、射出完了後、可動型を後退させて成形体肉厚が3.3mmになるように最終型内クリアランスを調整して発泡させた。発泡完了後60秒間冷却してから射出発泡成形体を取り出した。
上記製造法にて作成したポリプロピレン系樹脂の射出発泡成形体について、発泡倍率、発泡体形状、気泡形状、および加熱収縮率を評価した。評価結果を表1に示す
比較例1
エチレン・α−オレフィン共重合体を用いずPPのみで射出発泡成形を行った以外は、実施例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。その結果、得られた射出発泡成形体は、発泡時に気泡が合一し、内部ボイドが発生すると伴に、平均気泡径も大きいものであり発泡成形体としては適さないものであった。評価結果を表1に示す。
比較例2
エチレン・α−オレフィン共重合体の代わりに、市販の高圧法により製造された低密度ポリエチレン(LDPE)(東ソー製、(商品名)ペトロセン203;MFR=8g/10分、密度=919kg/m、溶融張力115mN、非線型パラメータ(λ)は18で、歪硬化性あり)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。その結果、得られた射出発泡成形体は、成形体の表面の平滑性が劣り、かつ、内部ボイドが発生すると伴に、平均気泡径も大きいものであり発泡成形体としては適さないものであった。評価結果を表1に示す。
比較例3
エチレン・α−オレフィン共重合体としてメタロセン触媒で製造された直鎖状低密度ポリエチレン(宇部興産製、(商品名)ユメリット4540F;MFR=3.9g/10分、密度=944kg/m、溶融張力20mN、非線型パラメータ(λ)は1であり歪硬化性なし)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。その結果、得られた射出発泡成形体は、発泡時に気泡が合一し、内部ボイドが発生すると伴に、平均気泡径も大きいものであり発泡成形体としては適さないものであった。評価結果を表1に示す。
比較例4
エチレン・α−オレフィン共重合体の配合量を4重量部とした以外は、実施例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。その結果、得られた射出発泡成形体は、発泡時に気泡が合一し、内部ボイドが発生すると伴に、平均気泡径も大きいものであり発泡成形体としては適さないものであった。評価結果を表1に示す。
比較例5
タルクを配合しないこと以外は、実施例2と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。その結果、得られた射出発泡成形体は、発泡倍率、気泡状態が良好で、内部ボイドの発生も見られなかったが、剛性の低い成形体となった。評価結果を表1に示す。
Figure 2013001827
本発明のポリプロピレン系樹脂射出発泡成形体は内部セルが均一微細であり、高発泡倍率で剛性と衝撃強度のバランスに優れていることから、自動車内装材に広く使用できる。

Claims (9)

  1. ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対し、ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが4g/10分以上30g/10分未満、160℃における溶融張力が40mN以上、歪硬化性を有し、JIS K6760に準拠した密度が910kg/m以上950kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜100重量部及びタルク(C)5〜50重量部を含有し、ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)及びタルク(C)の合計100重量部に対し、
    少なくとも発泡剤(D)0.3〜2重量部を含むポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. ポリプロピレン系樹脂(A)が、ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kgで測定したメルトフローレートが30g/10分以上100g/10分以下、溶融張力が10mN以下である請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. タルク(C)が、平均粒径10μm以下のタルクである請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)及びタルク(C)からなる組成物が、230℃で測定したメルトフローレートが30g/10分以上200g/10分以下、190℃における溶融張力が20mN以上を有する請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 発泡剤(D)が、二酸化炭素発生化学発泡剤である請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形機に供給し、次いで該射出成形機に付随する金型内に射出することにより発泡成形を行うことを特徴とする射出発泡成形体の製造方法。
  7. 少なくともポリプロピレン系樹脂(A)、ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが5g/10分以上30g/10分未満、160℃における溶融張力が40mN以上、歪硬化性を有し、JIS K6760に準拠した密度が910kg/m以上950kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)及びタルク(C)を含む組成物を射出成形機に供給し加熱溶融しさらに二酸化炭素ガス及び/又は超臨界二酸化炭素を射出成形機に供給し前記組成物中に分散又は溶解させ、次いで該射出成形機に付随する金型内に射出することにより発泡成形を行うことを特徴とする射出発泡成形体の製造方法。
  8. 金型が可動型金型である請求項6又は7に記載の射出成形発泡体の製造方法。
  9. カウンタープレッシャー法を併用する射出成形機を用いる請求項6〜8のいずれかに記載の射出成形発泡体の製造方法。
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