JP2013001157A - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 エアシール性を十分に確保しながらリム組み作業性を改善することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3を備えた空気入りタイヤTにおいて、少なくとも一方のビード部3のヒールに面取り部4を形成し、該面取り部4の深さをタイヤ周方向に沿って徐々に変化させる。
【選択図】図1
【解決手段】タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3を備えた空気入りタイヤTにおいて、少なくとも一方のビード部3のヒールに面取り部4を形成し、該面取り部4の深さをタイヤ周方向に沿って徐々に変化させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ビード部のヒールに面取り部を設けた空気入りタイヤ及びその製造方法に関し、更に詳しくは、エアシール性を十分に確保しながらリム組み作業性を改善することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
空気入りタイヤをホイールのリムに組み付ける場合、タイヤをリムの外周側に嵌め込んだ後、タイヤに内圧を充填することで各ビード部をリムのビードシートに着座させるようにしている。ところが、偏平タイヤの場合、サイドウォール部の剛性が高いため、リム組み時の嵌合圧が高くなり、リム組み作業性が悪くなる傾向があり、場合によっては、高過ぎる嵌合圧がビード部をバーストさせる要因になることもある。そのため、リム組み時の嵌合圧を低下させることが望まれている。
これに対して、ビード部のヒールに面取り部を形成し、ビード部がリムのビードシート近傍に形成されたハンプを乗り越える際の接触圧を低減することにより、リム組み時の嵌合圧を低下させ、リム組み作業性を改善することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、面取り部をタイヤ周上の全域にわたって均一の寸法で設けた場合、その面取り部の大きさに応じてリム組み作業性を改善することが可能であるものの、タイヤとリムとを嵌合させた状態でビード部のヒールとリムとの間に隙間が形成されるため、エアーシール性が低下するという問題がある。
本発明の目的は、エアシール性を十分に確保しながらリム組み作業性を改善することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部を備えた空気入りタイヤにおいて、少なくとも一方のビード部のヒールに面取り部を形成し、該面取り部の深さをタイヤ周方向に沿って徐々に変化させたことを特徴とするものである。
一方、上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤの製造方法は、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部を備えた空気入りタイヤを成形するためのキャビティを有すると共に、少なくとも一方のビード部のヒールに面取り部を成形するための面取り成形部を備え、該面取り成形部の高さをタイヤ周方向に沿って徐々に変化させた金型を使用し、未加硫の空気入りタイヤを前記金型内で加硫することを特徴とするものである。
本発明では、空気入りタイヤにおいて、ビード部のヒールに面取り部を形成し、該面取り部の深さをタイヤ周方向に沿って徐々に変化させているので、空気入りタイヤをホイールのリムの外周側に嵌め込んだ後、タイヤに内圧を充填することでビード部をリムのビードシートに着座させる際に、面取り部の深さが相対的に大きくなる部分ではビード部とリムとの間を通ってエアーが逃げ易くなる。そのため、ビード部において面取り部の深さが相対的に小さくなる部分又は面取り部が存在しない部分が優先的にリムのビードシート近傍に形成されたハンプを乗り越え、面取り部の深さが相対的に大きくなる部分は最後にハンプを乗り越えるようになる。そして、最後にハンプを乗り越える部分には相対的に大きな面取り部が形成されているので、リム組み時の嵌合圧を低下させ、リム組み作業性を改善することができる。また、最後にハンプを乗り越える部分を除いた部分では面取り部の深さを小さくすることが可能であるので、空気入りタイヤとリムとを嵌合させた状態でのエアーの漏れを最小限に抑え、エアシール性を十分に確保することができる。
このように構成される空気入り入りタイヤは、トレッド部とサイドウォール部とビード部を備えた空気入りタイヤを成形するためのキャビティを有すると共に、少なくとも一方のビード部のヒールに面取り部を成形するための面取り成形部を備え、該面取り成形部の高さをタイヤ周方向に沿って徐々に変化させた金型を使用し、未加硫の空気入りタイヤを金型内で加硫することによって得ることができる。
この場合、未加硫の空気入りタイヤは、面取り部の最も深い部分、即ち、面取り成形部の最も高い部分から金型と接触し始め、面取り部の最も浅い部分、即ち、面取り成形部の最も低い部分に向かって金型内の残留エアーが集合するようになる。そのため、面取り部の形状を利用して金型内の残留エアーを効果的に排気することが可能になり、ビード部廻りの加硫故障を効果的に防止するという副次的な効果を得ることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、面取り部をタイヤ周上の一部の領域に設け、特に面取り部をタイヤ周長の1/5〜1/2の領域に設けることが好ましい。これにより、リム組み作業性を改善し、かつ良好なエアシール性を発揮することができる。
同様の理由から、本発明の空気入りタイヤの製造方法において、面取り成形部をタイヤ周上の一部の領域に設け、特に面取り成形部をタイヤ周長の1/5〜1/2の領域に設けることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、ビード部のヒールのタイヤ子午線断面での輪郭線を第1の円弧にて形成すると共に、面取り部のタイヤ子午線断面での輪郭線を第2の円弧にて形成し、第2の円弧の曲率半径を第1の円弧の曲率半径よりも大きくすることが好ましい。この場合、リム組み時にビード部がハンプを乗り越える際に滑り易くなるためリム組み作業性を改善することができる。
同様の理由から、本発明の空気入りタイヤの製造方法において、金型におけるビード部のヒールに対応する部分のタイヤ子午線断面での輪郭線を第1の円弧にて形成すると共に、面取り成形部のタイヤ子午線断面での輪郭線を第2の円弧にて形成し、第2の円弧の曲率半径を第1の円弧の曲率半径よりも大きくすることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、面取り部のエッジに該面取り部に沿ってタイヤ周方向に延長する凸部を設けることが好ましい。この場合、リム組み時にビード部がハンプを乗り越える際にエアーが漏れ難くなってハンプを乗り越え易くなるためリム組み作業性を改善することができる。また、面取り部の凸部は空気入りタイヤとリムとを嵌合させた状態でのエアシール性の改善にも寄与する。
同様の理由から、本発明の空気入りタイヤの製造方法において、面取り成形部のエッジに該面取り成形部に沿ってタイヤ周方向に延長する凹部を設けることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、面取り部をタイヤ周上の全域に設けることも可能である。特に、面取り部の深さをタイヤ周方向に沿って周期的に変化させ、面取り部の深さが相対的に小さくなる部分をタイヤ周上の複数箇所に配置することが好ましい。この場合も、エアシール性を十分に確保しながらリム組み作業性を改善する効果が得られるが、特にビード部廻りの加硫故障を防止する効果が高くなる。
同様の理由から、本発明の空気入りタイヤの製造方法において、面取り成形部をタイヤ周上の全域に設けることが可能である。特に、面取り成形部の高さをタイヤ周方向に沿って周期的に変化させ、面取り成形部の高さが相対的に小さくなる部分をタイヤ周上の複数箇所に配置することが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、面取り部の深さが相対的に小さくなる部分に金型のベントホールを配置することが好ましい。これにより、金型内の残留エアーを効果的に排気することが可能になり、ビード部廻りの加硫故障を効果的に防止することができる。
同様の理由から、本発明の空気入りタイヤの製造方法において、面取り成形部の高さが相対的に小さくなる部分に金型のベントホールを配置することが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、面取り部の最大深さを0.5mm〜1.0mmとし、面取り部の幅を8mm以下とすることが好ましい。これにより、エアシール性を十分に確保しながらリム組み作業性を改善することができる。
同様の理由から、本発明の空気入りタイヤの製造方法において、面取り成形部の最大高さを0.5mm〜1.0mmとし、面取り成形部の幅を8mm以下とすることが好ましい。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、図2及び図3はその要部を示すものである。図1に示すように、空気入りタイヤTは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3を備えている。
上記空気入りタイヤTにおいて、少なくとも一方のビード部3のヒールにはテーパー面を有する面取り部4が形成されている。面取り部4は両方のビード部3に形成されていても良いが、例えば、車両装着時の装着向きが指定されたタイヤの場合、リム組み時に最後にビードシートに着座する車両外側のビード部3だけに面取り部4を設けるようにしても良い。
図2に示すように、面取り部4はタイヤ周上の一部の領域(本実施形態ではタイヤ周方向の1/2の領域)に形成されており、その深さがタイヤ周方向に沿って徐々に変化するように構成されている。面取り部4は深さが大きくなるほど幅が大きくなるため、図2において、面取り部4の幅が大きくなっている部位では深さが大きくなっている。図3(a)はビード部3における面取り部4が形成された部位を示し、図3(b)はビード部3における面取り部4が形成されていない部位を示している。ここで、図3(a)の破線部は面取り部4が形成されていない部位の輪郭を示す仮想線である。
上述した空気入りタイヤTをホイールHに組み付ける場合、空気入りタイヤTをホイールHのリムRの外周側に嵌め込んだ後、タイヤTに内圧を充填することでビード部3をリムRのビードシートに着座させる。その際、図4に示すように、面取り部4の深さが相対的に大きくなる部分ではビード部3とリムRとの間を通ってエアーが逃げ易くなる。そのため、ビード部3において面取り部4の深さが相対的に小さくなる部分又は面取り部4が存在しない部分が優先的にリムRのビードシート近傍に形成されたハンプを乗り越え、面取り部4の深さが相対的に大きくなる部分は最後にハンプを乗り越えるようになる。そして、最後にハンプを乗り越える部分には相対的に大きな面取り部4が形成されているので、リム組み時の嵌合圧を低下させ、リム組み作業性を改善することができる。
その一方で、図2に示すように、面取り部4はその深さがタイヤ周方向に沿って徐々に変化するように構成され、最後にハンプを乗り越える部分を除いた部分では面取り部4の深さが小さくなっているので、空気入りタイヤTとリムRとを嵌合させた状態でのエアーの漏れを最小限に抑え、エアシール性を十分に確保することができる。
このように構成される空気入り入りTは、トレッド部1とサイドウォール部2とビード部3を備えた空気入りタイヤTを成形するためのキャビティを有すると共に、少なくとも一方のビード部3のヒールに面取り部4を成形するための面取り成形部を備え、該面取り成形部の高さをタイヤ周方向に沿って徐々に変化させた金型を使用し、未加硫の空気入りタイヤTを金型内で加硫することによって得ることができる。
図5は本発明の空気入りタイヤの製造方法で使用されるタイヤ加硫装置の一例を示し、図6はその要部を示すものである。図5に示すように、このタイヤ加硫装置は、空気入りタイヤTを成形するための金型10を備えている。金型10は、タイヤTのサイドウォール部2を成形するための下側サイドプレート11及び上側サイドプレート12と、タイヤTのビード部3を成形するための下側ビードリング13及び上側ビードリング14と、タイヤTのトレッド部1を成形するための複数のセクターモールド15とを備え、そのキャビティ内に回転軸を鉛直方向にして装填された未加硫のタイヤTを加硫成形するようになっている。加硫時において、タイヤTの内側には円筒状に成形されたゴム製のブラダー16が挿入される。
ブラダー16の下端部は下側ビードリング13と下側クランプリング17との間に挟み込まれ、ブラダー16の上端部は鉛直方向に移動自在に構成された上側クランプリング18と補助リング19との間に挟み込まれている。そのため、閉型時には上側クランプリング18が図示のような下方位置に配置されることでブラダー16の膨張を許容する一方で、開型時には上側クランプリング18が上方位置に移動することでタイヤTの内側からブラダー16が引き出されるようになっている。
上記タイヤ加硫装置には、ブラダー16の内部に加圧媒体を導入するための不図示の加圧媒体供給手段が設けられており、その加圧媒体の圧力に基づいて加硫時にタイヤTを内側から金型10の内面に向かって押圧するようになっている。加圧媒体としては、例えば、窒素ガスのような不活性ガスやスチームを使用することができる。
一方、下側サイドプレート11、上側サイドプレート12及びセクターモールド15の外部には熱源21が配設されている。これら熱源21は、その構造が特に限定されるものではないが、例えば、内部に空洞を設け、該空洞内にスチーム等の加熱媒体を導入するようにした構造を採用することができる。
図6に示すように、上側ビードリング14にはビード部3のヒールに面取り部4を成形するための面取り成形部24が形成されている。この面取り成形部24は、面取り部4を反転させた形状を有し、その高さがタイヤ周方向に沿って徐々に変化するように構成されている。また、上側ビードリング14において面取り成形部24の高さが相対的に小さくなる部分には金型10の外部に連通するベントホール22が形成されている。図2において、例えば、ベントホール22の位置Pは面取り部4が形成されていない部位に設定することができる。
上記のようなタイヤ加硫装置を用いて空気入りタイヤTを加硫する場合、金型10内に投入された未加硫の空気入りタイヤTは、面取り部4の最も深い部分、即ち、面取り成形部24の最も高い部分から金型10の上側ビードリング14と接触し始め、面取り部4の最も浅い部分、即ち、面取り成形部24の最も低い部分に向かって金型10内の残留エアーが集合するようになる。そのため、面取り部4の形状を利用して金型内の残留エアーを効果的に排気することが可能になり、ビード部3廻りの加硫故障を効果的に防止することができる。
空気入りタイヤTにおいて、面取り部4をタイヤ周上の一部の領域に設け、面取り部4をタイヤ周長の1/5〜1/2の領域に設けると良い。これにより、リム組み作業性を改善し、かつ良好なエアシール性を発揮することができる。面取り部4の形成領域がタイヤ周長の1/5より小さいとリム組み作業性の改善効果が低下し、逆にタイヤ周長の1/2より大きいとエアシール性が悪化する傾向がある。但し、面取り部4をタイヤ周上の全域に形成した場合であっても、その深さをタイヤ周上で変化させているので、均一深さを有する面取り部を設けた場合に比べて良好なエアシール性を確保することができる。同様の理由から、面取り成形部24をタイヤ周上の一部の領域に設け、面取り成形部24をタイヤ周長の1/5〜1/2の領域に設けると良い。
図7に示すように、空気入りタイヤTにおいて、面取り部4の最大深さDは0.5mm〜1.0mmとし、面取り部4の幅Wは8mm以下とすると良い。これにより、エアシール性を十分に確保しながらリム組み作業性を改善することができる。面取り部4の最大深さDが0.5mmより小さいとリム組み作業性の改善効果が低下し、逆に1.0mmより大きいとエアシール性が悪化する。また、面取り部4の幅Wが8mmを超えるとエアシール性が悪化する。同様の理由から、面取り成形部24の最大高さは0.5mm〜1.0mmとし、面取り成形部24の幅は8mm以下とすると良い。
図8に示すように、空気入りタイヤTにおいて、ビード部3のヒールのタイヤ子午線断面での輪郭線を第1の円弧にて形成すると共に、面取り部4のタイヤ子午線断面での輪郭線を第2の円弧にて形成し、第2の円弧の曲率半径R2を第1の円弧の曲率半径R1よりも大きくすると良い。この場合、面取り部4がテーパー面を有する場合に比べて、リム組み時にビード部3がハンプを乗り越える際に滑り易くなるためリム組み作業性を改善することができる。同様の理由から、金型10におけるビード部3のヒールに対応する部分のタイヤ子午線断面での輪郭線を第1の円弧にて形成すると共に、面取り成形部24のタイヤ子午線断面での輪郭線を第2の円弧にて形成し、第2の円弧の曲率半径R2を第1の円弧の曲率半径R1よりも大きくすると良い。
図9に示すように、空気入りタイヤTにおいて、面取り部4のエッジに該面取り部4に沿ってタイヤ周方向に延長する凸部5を設けることができる。図9では面取り部4の両エッジに一対の凸部5が形成されている。このような場合、リム組み時にビード部3がハンプを乗り越える際にエアーが漏れ難くなってハンプを乗り越え易くなるためリム組み作業性を改善することができる。また、面取り部4の凸部5は空気入りタイヤTとリムRとを嵌合させた状態でのエアシール性の改善にも寄与する。特に、空気入りタイヤTがリムRに対してずれを生じても凸部5が両者の隙間を封止する。同様の理由から、面取り成形部24のエッジに該面取り成形部24に沿ってタイヤ周方向に延長する凹部を設けると良い。ここで言う凹部とは面取り部4の凸部5を成形するものである。
図10〜図13に示すように、空気入りタイヤTにおいて、面取り部4をタイヤ周上の全域に設けることも可能である。特に、図11〜図13に示すように、面取り部4の深さをタイヤ周方向に沿って周期的に変化させ、面取り部4の深さが相対的に小さくなる部分をタイヤ周上の複数箇所に配置すると良い。このように面取り部4をタイヤ周上の全域に設けた場合、特にビード部3廻りの加硫故障を防止する効果が高くなる。同様の理由から、面取り成形部24をタイヤ周上の全域に設け、面取り成形部24の高さをタイヤ周方向に沿って周期的に変化させ、面取り成形部24の高さが相対的に小さくなる部分をタイヤ周上の複数箇所に配置すると良い。
空気入りタイヤTにおいて、面取り部4の深さが相対的に小さくなる部分に金型10のベントホール22を配置すると良い。これにより、金型10内の残留エアーを効果的に排気することが可能になり、ビード部廻りの加硫故障を効果的に防止することができる。図10〜図13において、例えば、ベントホール22の位置Pは面取り部4の深さが最小となる部位に設定することができる。同様の理由から、面取り成形部24の高さが相対的に小さくなる部分に金型10のベントホール22を配置すると良い。
タイヤサイズが225/40R18である空気入りタイヤを成形するためのキャビティを有すると共に、ビード部のヒールに面取り部を成形するための面取り成形部を備え、該面取り成形部の高さをタイヤ周方向に沿って徐々に変化させた金型を使用し、未加硫の空気入りタイヤを金型内で加硫することにより、ビード部のヒールに面取り部を形成し、該面取り部の深さをタイヤ周方向に沿って徐々に変化させた実施例1〜5のタイヤを作製した。
実施例1は、図10のように面取り部をタイヤ周上の全域に設けたものである。実施例2は、図11のように面取り部をタイヤ周上の全域に設けたものである。実施例3は、図13のように面取り部をタイヤ周上の全域に設けたものである。実施例4は、図2のように面取り部をタイヤ周長の1/2の領域に設けたものである。実施例5は、図2のように面取り部をタイヤ周長の1/2の領域に設け、面取り部のエッジに該面取り部に沿ってタイヤ周方向に延長する一対の凸部(図9参照)を設けたものである。実施例1〜5において、面取り部の最大深さを1.0mmとし、面取り部の最大幅を8.0mmとした。
比較のため、ビード部のヒールに面取り部を設けていないこと以外は実施例1と同じ構成を有する従来例1のタイヤと、ビード部のヒールに均一深さを有する面取り部を設けたこと以外は実施例1と同じ構成を有する従来例2のタイヤを用意した。従来例2において、面取り部の深さを1.0mmとし、面取り部の幅を8.0mmとした。
上述した従来例1,2及び実施例1〜5のタイヤについて、以下の試験方法により、嵌合圧、エアシール性、加硫歩留りを評価し、その結果を表1に併せて示した。
嵌合圧:
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのホイールに組み付ける際の嵌合圧を測定した。リム組み時の嵌合圧は低い方が好ましい。
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのホイールに組み付ける際の嵌合圧を測定した。リム組み時の嵌合圧は低い方が好ましい。
エアシール性:
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのホイールに組み付け、初期空気圧を220kPaとして放置し、1ヶ月後の空気圧を再度測定し、空気圧の低下率を求めた。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどエアシール性が優れていることを意味する。
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのホイールに組み付け、初期空気圧を220kPaとして放置し、1ヶ月後の空気圧を再度測定し、空気圧の低下率を求めた。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどエアシール性が優れていることを意味する。
加硫歩留り:
各試験タイヤを200本ずつ加硫して加硫故障の有無を調べ、加硫歩留りを求めた。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど加硫歩留りが高いことを意味する。
各試験タイヤを200本ずつ加硫して加硫故障の有無を調べ、加硫歩留りを求めた。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど加硫歩留りが高いことを意味する。
表1から明らかなように、実施例1〜5のタイヤは、ビード部のヒールに面取り部を設けていない従来例1に比べてリム組み時の嵌合圧が低く、均一深さを有する面取り部を設けた従来例2に比べてエアシール性が優れ、しかも加硫歩留りも良好であった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 面取り部
10 金型
22 ベントホール
24 面取り成形部
R リム
T 空気入りタイヤ
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 面取り部
10 金型
22 ベントホール
24 面取り成形部
R リム
T 空気入りタイヤ
Claims (18)
- タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部を備えた空気入りタイヤにおいて、少なくとも一方のビード部のヒールに面取り部を形成し、該面取り部の深さをタイヤ周方向に沿って徐々に変化させたことを特徴とする空気入りタイヤ。
- 前記面取り部をタイヤ周上の一部の領域に設けたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記面取り部をタイヤ周長の1/5〜1/2の領域に設けたことを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ビード部のヒールのタイヤ子午線断面での輪郭線を第1の円弧にて形成すると共に、前記面取り部のタイヤ子午線断面での輪郭線を第2の円弧にて形成し、第2の円弧の曲率半径を第1の円弧の曲率半径よりも大きくしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記面取り部のエッジに該面取り部に沿ってタイヤ周方向に延長する凸部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記面取り部をタイヤ周上の全域に設けたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記面取り部の深さをタイヤ周方向に沿って周期的に変化させ、前記面取り部の深さが相対的に小さくなる部分をタイヤ周上の複数箇所に配置したことを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
- 前記面取り部の深さが相対的に小さくなる部分に金型のベントホールを配置したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記面取り部の最大深さを0.5mm〜1.0mmとし、前記面取り部の幅を8mm以下としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部を備えた空気入りタイヤを成形するためのキャビティを有すると共に、少なくとも一方のビード部のヒールに面取り部を成形するための面取り成形部を備え、該面取り成形部の高さをタイヤ周方向に沿って徐々に変化させた金型を使用し、未加硫の空気入りタイヤを前記金型内で加硫することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
- 前記面取り成形部をタイヤ周上の一部の領域に設けたことを特徴とする請求項10に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記面取り成形部をタイヤ周長の1/5〜1/2の領域に設けたことを特徴とする請求項11に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記金型における前記ビード部のヒールに対応する部分のタイヤ子午線断面での輪郭線を第1の円弧にて形成すると共に、前記面取り成形部のタイヤ子午線断面での輪郭線を第2の円弧にて形成し、第2の円弧の曲率半径を第1の円弧の曲率半径よりも大きくしたことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記面取り成形部のエッジに該面取り成形部に沿ってタイヤ周方向に延長する凹部を設けたことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記面取り成形部をタイヤ周上の全域に設けたことを特徴とする請求項10に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記面取り成形部の高さをタイヤ周方向に沿って周期的に変化させ、前記面取り成形部の高さが相対的に小さくなる部分をタイヤ周上の複数箇所に配置したことを特徴とする請求項15に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記面取り成形部の高さが相対的に小さくなる部分に金型のベントホールを配置したことを特徴とする請求項10〜16のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記面取り成形部の最大高さを0.5mm〜1.0mmとし、前記面取り成形部の幅を8mm以下としたことを特徴とする請求項10〜17のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
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