JP2010012829A - 空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 リムのビードシートに空気入りタイヤのビード部をリム組したタイヤ・リム組立体におけるリム組性とエアシール性とを両立するようにした空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体を提供する。
【解決手段】 ビードシート2にビードベース8をリム組したタイヤ・リム組立体において、ビードヒール10の曲率半径を凹状コーナー4の曲率半径よりも大きくし、ビードヒール10と凹状コーナー4との間の空隙にエアシール層11を充填した。
【選択図】 図1
【解決手段】 ビードシート2にビードベース8をリム組したタイヤ・リム組立体において、ビードヒール10の曲率半径を凹状コーナー4の曲率半径よりも大きくし、ビードヒール10と凹状コーナー4との間の空隙にエアシール層11を充填した。
【選択図】 図1
Description
本発明は、空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体に関し、さらに詳しくは、空気入りタイヤをリムに嵌合させるときのリム組性とエア漏れ抑制とを両立するようにした空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体に関する。
空気入りタイヤをホイールにリム組する操作は、ビード部を予めリムのビードシートより内側のウェル部に落とし込んでおき、そのビード部をタイヤの内圧を上昇させながらリムシートに乗り上げさせるようにして行う。このときのビードシートには、リム組後のビード部がリム外れしないようにハンプ(突起)が設けられているため、ビード部がハンプを乗り越えるとき大きな内圧が必要になり、そのときの内圧を嵌合圧といっている。したがって、嵌合圧が低いタイヤほどリム組性に優れたタイヤになる。
上記のように嵌合圧を低くするようにした空気入りタイヤとして、特許文献1は、ビード部のビードヒール部を薄くし、ビードコアとの間のゴムボリュームを少なくするようにしたタイヤを提案している。しかし、このようにビードヒール部を薄くしたタイヤは、リム組性は向上するものの、リム組後においてリムのビードシートとリムフランジとの境界部との間に空隙を生ずるため、エアシール性が低下するという問題がある。
特開平9−263112号公報
本発明の目的は、上述する問題点を解決するもので、リム組性とエア漏れ抑制(エアシール性)とを両立するようにした空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体は、ビードシートとリムフランジとを凹状コーナーを介して連結するように構成したリムに空気入りタイヤのビード部をリム組したタイヤ・リム組立体において、前記ビード部のビードヒールの曲率半径を前記凹状コーナーの曲率半径よりも大きくし、かつ前記ビードヒールと凹状コーナーとの間の空隙にエアシール層を充填したことを特徴とする。
また、上述する構成において、以下(1)〜(6)に記載するように構成することが好ましい。
(1)前記ビードヒールの曲率半径R1と前記凹状コーナーの曲率半径R2との比率R1/R2が1.1以上3.0以下であるようにする。
(2)前記ビードヒールの曲率半径R1を7mm以上にし、好ましくは9〜11mmにする。
(3)前記ビード部のビードベースをビードトウ側とビードヒール側とでタイヤ軸方向に対する傾斜角度を異ならせた2種類のテーパーで形成し、かつ前記傾斜角度をビードヒール側よりもビードトウ側を大きくする。
(4)前記エアシール層をエラストマーで形成する。
(5)前記エラストマーが独立気泡を含有する。
(6)前記エアシール層の表層をブチルゴムで被覆する。
(2)前記ビードヒールの曲率半径R1を7mm以上にし、好ましくは9〜11mmにする。
(3)前記ビード部のビードベースをビードトウ側とビードヒール側とでタイヤ軸方向に対する傾斜角度を異ならせた2種類のテーパーで形成し、かつ前記傾斜角度をビードヒール側よりもビードトウ側を大きくする。
(4)前記エアシール層をエラストマーで形成する。
(5)前記エラストマーが独立気泡を含有する。
(6)前記エアシール層の表層をブチルゴムで被覆する。
本発明によれば、ビード部のビードヒールの曲率半径を凹状コーナーの曲率半径よりも大きくしてゴムボリュームを少なくしたので、ビード部のリム乗り時における嵌合圧を低下させ、しかも、組立時に生じるビードヒールと凹状コーナーとの空隙をエアシール層で充填したので、リム組後のエア漏れを抑制することができる。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態による空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体の一部を拡大して示す断面図である。
図1のタイヤ・リム組立体において、リム1は図3に示すように、ビードシート2とフランジ3とが曲率半径R2を有する凹状コーナー4を介して連結するように形成されている。ビードシート2にはタイヤ径方向内側にハンプ5が設けられ、ビードシート2からタイヤのビード部6がタイヤ径方向内側へ外れることを防止している。
一方、空気入りタイヤのビード部6には、断面が略四角形状をしたビードコア7がタイヤを一周するように環状に挿入されている。このビードコア7は断面が略六角形状であっても略円形状であってもよい。ビードベース8は、タイヤ径方向内側端に断面が鋭角状のビードトウ9を具え、タイヤ径方向外側端に断面が曲率半径R1を形成したビードヒール10を具えている。ビードコア7には外周側にビードフィラーが設けられ、これらをタイヤ内側から外側へ包み込むようにカーカス層の端部が折り返すように設けられるが、図では省略されている。
ビードベース8はタイヤ軸方向に対して傾斜したテーパーを形成している。このテーパーは単一で形成されていてもよいが、好ましくは図2に示したように、ビードトウ9側とビードヒール10側とで傾斜角度の異なる2種類のテーパーで形成されているものがよい。このように2種類のテーパーで形成することにより、良好なリム組性と耐リム外れ性とを両立させることができる。
テーパーの角度としては、ビードヒール10側のテーパーのタイヤ軸方向に対する傾斜角度をα、ビードトウ9側のテーパーのタイヤ軸方向に対する傾斜角度をβとすると、7°≦α≦10°、20°≦β≦24°となるようにするとよい。また、ビード部6の外側背面は、タイヤ径方向に対する角度γを、−10°≦γ≦10°、好ましくは−2°≦γ≦2°となるようにするとよい。このようにすることにより、良好なリム組性と耐リム外れ性とを一層向上することができる。
上述した構成のリム1に、上述した構成のタイヤのビード部6をリム組すると、リム組されたビード部6の曲率半径R1のビードヒール10とリム1の曲率半径R2の凹状コーナー4との間に空隙が形成されるが、この空隙に対してエアシール層11が充填されている。
本発明のタイヤ・リム組立体において、ビードヒール10の曲率半径とリム1の凹状コーナー4の曲率半径R2とは、R1>R2の関係にしてある。この関係により、リム組時の嵌合圧が低下し、リム組性が向上する。両者の曲率半径R1とR2とは、その比率R1/R2を1.1以上3.0以下とすることが好ましく、比率が1.1より小さいとリム組性の向上が不十分であり、比率が3.0より大きいとビードヒール部が薄くなり、補強層の繊維同士が触れて損傷するため耐久性が低下してしまうという問題がある。
また、ビードヒール10の曲率半径R1は7mm以上とし、好ましくは9〜11mmにするとよい。曲率半径R1が7mmより小さいとリム組性の向上が不十分であり、11mmより大きいとビードヒール部が薄くなり、補強層の繊維同士が触れて損傷するため耐久性が低下してしまうという問題がある。
ビードヒール10の曲率半径R1とリムの凹状コーナー4の曲率半径R2とを上記のようにR1>R2とし、かつ比率R1/R2を1.1以上3.0以下とすることにより、リム組性は向上するものの、そのままでは空隙が大きくなるためエアシール性が低下する。しかし、このエアシール性の低下は、空隙にエアシール層11を充填することにより防止できる。
本発明において、エアシール層11の材料は、エラストマーのほか、樹脂、金属などの塑性体、接着剤など、いずれも使用することができる。これらのうちでも、特に、エアシール層11にはエラストマーを用いることが好ましく、特に、ブチルゴムが好適である。このエラストマーは、タイヤをリム組する前のリム1の凹状コーナー4に予め充填しておくとよい。この充填するエラストマーとしては、未加硫ゴムを使用して走行時の発熱により加硫するような自然加硫ゴムが好ましい。自然加硫ゴムは、NR・IR、BR、SBR、NBR・EPDMなどに加硫促進剤を配合して製造することができる。このエアシール層11には、帯状に押し出して成形したもの、或いは、リング状に射出成形したものを使用するとよい。
また、エラストマーとして、独立気泡を含有するエラストマー組成物を用いることもできる。独立気泡を含有するエラストマー組成物としては、ウレタンスポンジ、天然ゴムスポンジ、SBRスポンジ、CRスポンジ、NBRスポンジ、EPDMスポンジなどを用いることができる。
これら独立気泡を含有するエラストマー組成物の製造方法は特に限定するものではなく、ゴムエラストマー製造時に発泡剤を用いたり、熱膨張セルなどを配合して製造することができる。ただし、本発明において、独立気泡を含有するエラストマーは、吸水率が5%以下のものを使用することが好ましい。5%を超えるものについては、連続気泡が多くなるため、エアシール性が損なわれる。
独立気泡を含有するエラストマーを用いる場合、連続気泡生成を抑制するために発泡剤を含有しない表層ゴム層で覆うことが好ましく、その発泡剤を含有しないゴムとしてはブチルゴムが好適である。
エアシール層11の断面形状としては、凹状コーナー4とビードヒール10との間の空隙を充填する形状であればよいが、好ましくは、この空隙の形状に合うように三日月状にするとよい。
タイヤサイズが195/65R15、リムサイズが15×6Jであることを互いに共通にし、ビードヒール部の曲率半径とエアシール層とリムの凹状コーナーとの仕様を表1のように異ならせてリム組した実施例1、2と比較例1、2のタイヤ・リム組立体をそれぞれ製作した。シール材としてはブチルゴムを用いた。
これら4種類の空気入りタイヤとリムとのタイヤ・リム組立体について、下記の測定法により、嵌合圧と放出エア漏れ量を測定し、その結果を表1に記載した。
嵌合圧については、試験タイヤをJATMA指定のリムに組み付けたあと空気を充填していき、タイヤビード部がリムハンプを乗り越えたときの空気圧を測定し、その逆数値について比較例1の値を100とした指数として評価した。指数値が大きいほどリム組性が優れている。
また、エア漏れ量については、各試験タイヤに初期空気圧200kPaを充填し、室温21℃、無負荷条件において3カ月放置し、内圧を4日毎に測定した。測定した内圧をPt、初期空気圧をPo、経過日数をtとして、次の式Pt/Po=exp(−αt)に回帰してα値を求め、得たαを用い、t=30(日)を代入し、1カ月当たりの圧力低下率β(%/月)=〔1−exp(−αt)〕×100を求めた。この値が小さいほどエアシール性が優れている。
表1より、本発明の実施例は、比較例よりもリム組性及びエアシール性が優れている。
1 リム
2 ビードシート
3 フランジ
4 凹状コーナー
5 ハンプ
6 ビード部
7 ビードコア
8 ビードベース
9 ビードトウ
10 ビードヒール
11 エアシール層
2 ビードシート
3 フランジ
4 凹状コーナー
5 ハンプ
6 ビード部
7 ビードコア
8 ビードベース
9 ビードトウ
10 ビードヒール
11 エアシール層
Claims (7)
- ビードシートとリムフランジとを凹状コーナーを介して連結するように構成したリムに空気入りタイヤのビード部をリム組したタイヤ・リム組立体において、
前記ビード部のビードヒールの曲率半径を前記凹状コーナーの曲率半径よりも大きくし、かつ前記ビードヒールと凹状コーナーとの間の空隙にエアシール層を充填した空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体。 - 前記ビードヒールの曲率半径R1と前記凹状コーナーの曲率半径R2との比率R1/R2が1.1以上3.0以下である請求項1に記載の空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体。
- 前記ビードヒールの曲率半径R1を7mm以上にした請求項1又は2に記載の空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体。
- 前記ビード部のビードベースをビードトウ側とビードヒール側とでタイヤ軸方向に対する傾斜角度を異ならせた2種類のテーパーで形成し、かつ前記傾斜角度をビードヒール側よりもビードトウ側を大きくした請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記エアシール層をエラストマーで形成した請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体。
- 前記エラストマーが独立気泡を含有する請求項5に記載の空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体。
- 前記エアシール層の表層をブチルゴム層で被覆した請求項6に記載の空気入りタイヤのタイヤ・リム組立体。
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