JP2013000065A - 土壌表面乾燥防止材 - Google Patents

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Abstract

【課題】土の乾燥を防ぎ保水機能を高める土壌表面乾燥防止材であって、専門的な知識を必要とせず土表面に敷くだけで手軽に利用でき、また土表面から飛散しにくく、さらには保肥力を高めるなど土壌改良効果も有し、またそのまま土に返せる環境安全性にも優れる乾燥防止材を提供すること。
【解決手段】保水性を有する粗大有機物と、保水性を有する細粒有機物と、補助保水材として高分子ゲル化剤と、粘土鉱物とを含む土壌表面乾燥防止材であって、最長径が10乃至40mmの粗大有機物と、最長径が4mm未満の細粒有機物との混合により、空気及び水分(水蒸気)の内部流通と透過を可能にする空隙が形成されていることを特徴とする、土壌表面乾燥防止材。
【選択図】図1

Description

本発明は、土の表面を乾燥から守る土壌表面乾燥防止材に関する。
近年、庭先だけでなく、ベランダや部屋の中などにおいてプランターを用いて野菜や花卉を育て、マンションなどでもガーデニングを楽しむケースが増えている。
樹木や草花、野菜の育成には水やり(灌水)は欠かせないものであり、特にプランターなどを用いたコンテナ栽培では、庭や畑といった広い土壌では確保できる水分量が不足するため、必要時の水やりは非常に重要である。しかし、共働きであったり多趣味であったりという現代人の生活スタイルでは、毎日・必要時に水やりの時間がとれなかったり、水やりを忘れてしまったりなどして、野菜や花卉の生育を悪くしてしまう場合がある。
また近年の異常気象により、夏場の猛烈な暑さ・異常な乾燥によって、たとえ毎朝きちんと水やりを行ったとしても、土壌が乾燥してしまう場合がある。
こうした水やりの手間を省き、土壌乾燥を防ぐ様々な手段として、自動灌水器を用いたり、ポリエチレンシートや、ワラ、腐葉土などを利用したマルチング材で土壌表面を覆うことにより乾燥を防ぐなどの方法が提案されている。
しかし、前述の自動灌水器は高価であり、設置が面倒であるだけでなく、設置に場所をとるといった問題があり、しかも場合によっては水のやりすぎにつながる虞もある。
また、前述のマルチング材によって土壌表面を覆う方法にあっては、ポリエチレンシートのマルチング材の場合、プランター等のコンテナ栽培においては不向きであり、ワラのマルチング材の場合、飛散しやすく、腐葉土のマルチング材では十分な乾燥防止につながらないといった問題も残されている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、特にコンテナ栽培において起り易い土の乾燥を防ぎ保水機能を高める土壌表面乾燥防止材であって、専門的な知識を必要とせず土表面に敷くだけで手軽に利用でき、また土表面から飛散しにくく、さらには保肥力を高めるなど土壌改良効果も有し、またそのまま土に返せる環境安全性にも優れる土壌表面乾燥防止材を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、大きさの異なる保水性の高い有機物を数種組み合わせることで、有機物と別の有機物との相互の間に空気や水分(水蒸気)の流通を十分に確保できる適度の空隙を生み出し、さらにその空隙に湿気を継続して供給し、高い保水性を長期間維持する高分子ゲル化剤と粘土鉱物を配合することによって得られる乾燥防止材が、従来の腐葉土などを用いたマルチング材に比べて乾燥防止効果が長く持続することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
保水性を有する粗大有機物と、
保水性を有する細粒有機物と、
補助保水材として高分子ゲル化剤と、
粘土鉱物とを含む土壌表面乾燥防止材であって、
最長径が10乃至40mmの粗大有機物と、最長径が4mm未満の細粒有機物との混合により、空気及び水分(水蒸気)の内部流通と透過を可能にする空隙が形成されていること
を特徴とする、土壌表面乾燥防止材に関するものである。
前記保水性を有する細粒有機物は、撥水防止処理されたピートモス、ココヤシ繊維破砕物、醗酵牛ふん堆肥及びバーク堆肥細粒からなる群から選択されることが好ましい。
また前記保水性を有する粗大有機物は、腐葉土、バーク堆肥及びココヤシハスクチップからなる群から選択されることが好ましい。
そして、前記保水性を有する細粒有機物及び/又は前記保水性を有する粗大有機物は、細粒有機物及び/又は粗大有機物に撥水防止処理を施されたものであり得る。
このとき、前記撥水防止処理は、リグニンスルホン酸塩を有機物の表面に被覆する又は有機物の内部に含浸させることからなることが好ましい。
さらに前記高分子ゲル化剤は、ポリアクリル酸塩、アクリル酸・アクリル酸塩共重合体、架橋型ポリアクリル酸塩、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、ポリアスパラギン酸塩及び架橋ポリイソプロプルアクリルアミドからなる群から選択されることが好ましい。
また前記粘土鉱物は、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、タルク、セリサイト及び雲母からなる群から選択されることが好ましい。
そして本発明の土壌表面乾燥防止材には、さらに乾燥マーカーとして鹿沼土又はゼオライトを含有していてもよい。
本発明の土壌表面乾燥防止材は、異なる大きさの有機物を組み合わせることによって形成される空気及び水分(水蒸気)の内部流通と透過を可能にする空隙により、そして該空隙への湿り気の継続的な供給により、土表面に適用した際に土表面の湿度を保ち、土表面の乾燥を防止することができる。
また本発明の土壌表面乾燥防止材は、保水性の高い有機物を採用することにより有機物を用いた場合に起り易い撥水を防止でき、補助保水剤として高分子ゲル化剤を使用することで保水機能を高め、さらに、粘土鉱物を用いることにより、有機物同士の結着性を高め、より保水機能を高めることができる。
また粘土鉱物の採用により、土表面で適度な大きさにて乾燥防止材の固化をもたらすことから、乾燥防止材自体の飛散を防止でき、ひいては乾燥防止効果を持続させるとともに、水やりや降雨による土の流出を防ぐことができる。
そして本発明の土壌表面乾燥防止材は、専門的な知識を必要とせず、プランター等の容器の大きさに限定されることなく、土表面に敷くだけで使用できる。
さらに本発明の土壌表面乾燥防止材は、土表面及び土中の乾燥を防止するために、肥料のもちをも良くし、土壌の改善効果をも有する。
そして本発明の土壌表面乾燥防止材は、環境安全性が高く、使用後に土に戻すことができ、また使用後に土と混ぜることにより、硬くなった土壌を柔らかな土壌に改良することができる。
図1は、本発明の土壌表面乾燥防止材を土表面に敷いた際の構成を示す概念図である。 図2は、例2における、撥水防止処理を施した有機物と高分子ゲル化剤との併用による水分の量の変化を示す図である。 図3は、例3における、高分子ゲル化剤の使用種類別の乾燥による水分の量の変化を示す図である。 図4は、例11のポット植えマリーゴールドにおける、土壌表面乾燥防止材未使用(a)と使用(b)によるマリーゴールドの状態を示す図である。 図5は、例12のポット植えミズナにおける、土壌表面乾燥防止材未使用(a)と使用(b)によるミズナの状態を示す図である。 図6は、例13における、土壌表面乾燥防止材使用による土壌水分保持効果を示す図である。 図7は、例13における、赤玉土のみの土壌(a)と、赤玉土の上に土壌表面乾燥防止材を敷いた土壌(b)の乾燥状態を示す写真である。
本発明の土壌表面乾燥防止材は、大きさの異なる保水性を有する有機物と、補助保水材として高分子ゲル化剤と、粘土鉱物とを含みて構成される。
<保水性を有する有機物>
本発明では、大きさの異なる保水性を有する有機物、即ち保水性を有する粗大有機物と、保水性を有する細粒有機物とを使用する。
本発明では、このように大きさの異なる有機物を組み合わせることにより、乾燥防止材中で空気及び水分(水蒸気)の内部流通と透過を可能にする空隙を形成することができる。
ここで、上記2種の有機物の最長径の大きさは、粗大有機物が10乃至40mm、細粒有機物が4mm未満である。
また2種の有機物の大きさは、粗大有機物が5メッシュ以上の大きさを有し、細粒有機物が5メッシュ未満の大きさを有することが好ましい。
さらに、粗大有機物の最長径と、細粒有機物の最長径との差の平均値が5乃至10mmの範囲にあることが好ましい。
本発明において使用する有機物としてピートモスなどの撥水性の高い有機物を使用する場合、その保水性を高めるために、有機物を撥水防止処理することが好ましい。
撥水防止処理は、好ましくは撥水防止材としてリグニンスルホン酸を用いて行われ、有機物の表面に被覆するか、あるいは有機物の内部に含浸させることによって行われる。具体的には、例えばリグニンスルホン酸塩を溶解した溶液を前記有機物に噴霧することにより、リグニンスルホン酸塩を有機物に吸着させる。
本発明において使用する保水性を有する細粒有機物の具体例としては、撥水防止処理されたピートモス、ココヤシ繊維破砕物、醗酵牛ふん堆肥、又はバーク堆肥細粒などが挙げられる。
また、保水性を有する粗大有機物の具体例としては、腐葉土、バーク堆肥、又はココヤシハスクチップなどが挙げられる。
<高分子ゲル化剤>
本発明において、補助保水材として使用する高分子ゲル化剤としては、例えばポリアクリル酸塩、アクリル酸・アクリル酸塩共重合体、架橋型ポリアクリル酸塩、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、ポリアスパラギン酸塩等や、温度感応性ポリマーである架橋ポリイソプロプルアクリルアミドなどを挙げることができる。
本発明においては、高分子ゲル化剤を使用することによって保水機能をさらに高めることができる。
<粘土鉱物>
本発明において使用する粘土鉱物としては、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリ
ン、タルク、セリサイト、又は雲母などを挙げることができる。
本発明においては、粘土鉱物を使用することにより、有機物同士の結着性を高め、より保水機能を高めるとともに、使用時には土表面で適度な大きさを有して乾燥防止材の固化をもたらすことから、乾燥防止材自体の飛散を防止でき、ひいては乾燥防止効果を持続させることができる。さらに、水やりや降雨による土の流出を防ぐことができる。
<その他成分>
本発明の土壌表面乾燥防止材には、その他の成分として、鹿沼土やゼオライトなどの乾燥マーカーを含有することができる。乾燥マーカーは、水分の蒸発によって色が変わることから、水やりの目安を目視で容易に確認することができる。
<土壌表面乾燥防止材>
本発明の土壌表面乾燥防止材は、上述の各成分、すなわち、大きさの異なる保水性を有する有機物、高分子ゲル化剤及び粘土鉱物、さらに所望によりその他成分を混合することにより製造できる。
これらの配合割合は特に限定されないが、その一例を挙げると、例えば以下の表Aに示す割合にて配合することができる。なお表中の有機物の割合は、保水性を有する粗大有機物:1〜9容量部に対し、保水性を有する細粒有機物:9〜1容量部であることを示す。
また、本発明の土壌表面乾燥防止材は、実際の使用時(土表面に敷いた際)には、空気量:およそ30〜60%、水分量:およそ20〜50%、固形分(上記各成分の合計量):約20%の体積割合を有することができ、すなわち、空気や水分の透過を可能にする空間が十分に確保されるとともに、乾燥させすぎず、また多湿になりすぎない理想の湿度を保つ環境を生み出すことができる。
本発明の土壌表面乾燥防止材を土表面に敷いた際の模式図を図1に示す。
図1に示すように、本発明の土壌表面乾燥防止材1は、保水性を有する粗大有機物2aと、保水性を有する細粒有機物2b、高分子ゲル化剤3、粘土鉱物4を含む。大きさの異なる粗大有機物2aと細粒有機物2bの混合によって、本発明の土壌表面乾燥防止材1中には空気及び水分(水蒸気)の内部流通と透過を可能にする空隙が形成されている。
上述のとおり、本発明の土壌表面乾燥防止材は、空気や水分の透過を可能にし、土表面に敷いた際には土表面及び土内部の乾燥を防ぐことができる。
土壌の表面部分の空中湿度は植物の根、とりわけ根毛の生育に大きな影響を与え、本発明の土壌表面乾燥防止材によって該空中湿度を好適に保つことにより、細根や根毛の生育に適する環境に保つことができる。
このため、土壌表面乾燥防止材を使用することにより、土表面から浅いところであって
も、植物の根が丈夫に生育することができ、ひいては植物自体の生育向上にもつながる。
そして本発明の土壌表面乾燥防止材は、プランター等で育てている植物の土の上に1〜2cm程度敷くだけで、土表面の乾燥を防止できる。
特に本発明の土壌表面乾燥防止材は、近年注目されているゴーヤやアサガオなどの葉を利用して日陰を作るグリーンカーテンにおける乾燥防止対策として、非常に有用である。
[例1:撥水防止処理に使用する撥水防止材の選定]
細粒有機物としてピートモスを、撥水防止材として市販の撥水防止材であるサイマトリック(米国、アクアトロールス社)、サンエキス(日本製紙ケミカル(株))を用意した。これらを用い、下記表1に示す処理・未処理の試験品4種を作製し、これをビーカーに入れ、乾燥させた。その後、表面に加水し、4時間後の水の浸透状況を確認した。
得られた結果を[表1]にあわせて示す。
[表1]に示すように、ピートモス1Lあたり、サンエキス3gにて撥水防止処理を行ったものが、最も水の浸透に優れるとの結果が得られた。
[例2:撥水防止処理を施した有機物と高分子ゲル化剤との併用効果]
未処理の有機物としてピートモスを、撥水防止処理を施した有機物として前記参考例1の4)(ピートモス1Lあたりサンエキス3gにて処理)を、補助保水材である高分子ゲル化剤として市販の高分子ゲル化剤 サーモゲル(ポリアスパラギン酸塩及び架橋ポリイソプロプルアクリルアミド、(株)興人)を用意した。
撥水防止処理/未処理のピートモス1Lに対し、高分子ゲル化剤1gを混合し、濾紙をいれた穴あきシャーレにいれ、下から吸水させ、5時間後の水の吸水状況を確認した。
得られた結果を[表2]及び図2に示す。
[表2]及び図2に示すように、予め撥水防止処理を行ったピートモスと高分子ゲル化剤と組み合わせると、未処理のピートモスと高分子ゲル化剤を用いたものと比べ、5時間後には約2倍も吸水割合が高いとする結果が得られた。すなわち、予め撥水防止処理を行った有機物と併用することにより、高分子ゲル化剤の補助保水材としての効果をより向上させたものとすることができることが確認された。
[例3:高分子ゲル化剤の使用種類別 乾燥による水分の減水量の比較]
撥水防止処理を施した有機物として前記参考例1の4)(ピートモス1Lあたりサンエキス3gにて処理)を、補助保水材である高分子ゲル化剤として市販の高分子ゲル化剤であるサンフレッシュ(アクリル酸重合体部分塩架橋物、三洋化成工業(株))、サーモゲル(ポリアスパラギン酸塩及び架橋ポリイソプロプルアクリルアミド、(株)興人)を用意した。
撥水防止処理のピートモス20mLに対し、サンフレッシュ0.02g、又はサーモゲル0.02gをそれぞれ混合した。また対照として高分子ゲル化剤を含まないものも用意した。穴の開いたミニ鉢へ濾紙を敷き、その上にこれら試料を入れ、鉢底から給水させた。
その後、約1時間後に試料の質量を測定し、室温内での乾燥による水分の減少量として評価した。
得られた結果を[表3]及び図3に示す。
[表3]及び図3に示すように、高分子ゲル化剤としてサンフレッシュを用いた系の保
水性が、サーモゲルを用いた系よりも優れるとする結果が得られた。
また、高分子ゲル化剤を使用しない、撥水防止処理ピートモスのみを使用した系は、12時間経過したあたりから、高分子ゲル化剤を用いた2種の系に比べて、水分量が大きく減少した。
[例4:有機物の種類別吸水割合]
(a)細粒の有機物の種類別吸水割合
保水性を有する細粒の有機物として、ピートモス、ココヤシ繊維の破砕物、醗酵牛ふん堆肥、バーク堆肥(細粒)を用意した。
上記細粒の有機物のそれぞれ0.4Lに対し、保水性を有する粗大の有機物として腐葉土バークを0.6L配合して有機物の総量を1.0Lとし、これに前出のサンエキス1.2gを溶解した水溶液0.2Lを吸着させ、撥水防止処理を行った。
さらに高分子ゲル化剤としてサンフレッシュを1g、ベントナイトを0.02Lを配合し、乾燥防止材を製造した。
(b)粗大の有機物の種類別吸水割合
保水性を有する粗大の有機物として、腐葉土、バーク堆肥、ココヤシハスクチップを用意した。
上記粗大の有機物のそれぞれ0.6Lに対し、保水性を有する細粒の有機物としてピートモスを0.4L配合して有機物の総量を1.0Lとし、これに前出のサンエキス1.2gを溶解した水溶液0.2Lを吸着させ、撥水防止処理を行った。
さらに高分子ゲル化剤としてサンフレッシュを1g、ベントナイトを0.02Lを配合し、乾燥防止材を製造した。
(c)吸水割合試験法
各々の乾燥防止材100mLを量りとり、底部に穴を開けたプラスチック容器へ入れ、シャーレ上に置いた。シャーレに水をいれ、プラスチック容器底面から水を吸水させた。半日後、余分な水を吸い取り、質量を測定し、開始原点とした。
乾燥防止材入りプラスチック容器を屋外(天気:晴れ)に並べて置き、1時間毎に質量を測定し、減少量を蒸発した水分量(g)として算出した。
得られた結果を[表4](細粒の有機物)及び[表5](粗大の有機物)に示す。
[表4]、[表5]に示すようにいずれの有機物を使用した場合でも、7時間経過中・経過後の蒸発した水分量は、同じような減少量となった。
以上のことから、細粒の有機物(細粒品)としてピートモス(撥水防止処理済み)、ココヤシ繊維の破砕物、醗酵牛ふん、バーク堆肥(細粒)を、粗大の有機物として腐葉土、バーク堆肥、ココヤシハスクチップを好適に使用することが確認された。
[例5:土壌表面乾燥防止材の製造(1)]
有機物としてピートモス、腐葉土、バーク堆肥の混合物1Lに、リグニンスルホン酸塩1.2gを溶解した水溶液0.02Lを吸着させ、撥水防止処理を行った。
さらにベントナイトを上記有機物1Lに対して18g(容積割合にて5%)、高分子ゲル化剤として三洋化成(株)製 サンフレッシュを上記有機物1Lに対して1g添加した。
さらに、鹿沼土を有機物1Lに対して容積割合にて5%の量を添加し、これらを全て混合し、土壌表面乾燥防止材を製造した。
[例6]
有機物として、ココヤシ繊維の破砕物、ココヤシハスクチップ、バーク堆肥の混合物1Lを用いた以外は、例5と同様の手順にて土壌表面乾燥防止材を製造した。
[例7]
有機物として、醗酵牛ふん堆肥、腐葉土、バーク堆肥の混合物1Lを用いた以外は、例5と同様の手順にて土壌表面乾燥防止材を製造した。
[例8]
有機物として、バーク堆肥(細粒)、腐葉土、ココヤシハスクチップの混合物1Lを用いた以外は、例5と同様の手順にて土壌表面乾燥防止材を製造した。
[例9:土壌表面乾燥防止材使用による生育促進効果(1)]
生育途中のコマツナを植えつけたポットの土表面に、約1cmの厚さにて例5で製造した土壌表面乾燥防止材を敷いた。
例5で製造した土壌表面乾燥防止材を敷いていないコマツナを対照例1とした。
その後、両者のコマツナに同様に水やりをやり、19日後に収穫し、それぞれの収量を比較した。
〔試験結果〕
施用から2週間後に比較すると、目視で確認できるほど葉の大きさに違いが見られた。
施用から19日後に収穫し、地上部の収量を測定したところ、例5で製造した土壌表面乾燥防止材を施用して得られたコマツナの収量(乾燥質量)は7.34g、一方、乾燥防止材を使用せずに育てて得られたコマツナの収量は6.03gであり、本発明の土壌表面乾燥防止材を使用することにより、生育促進効果が得られることが確認された。
[例10:土壌表面乾燥防止材使用による生育促進効果(2)]
生育途中のコマツナを植えつけたポットの土表面に、約1cmの厚さにて例5で製造した土壌表面乾燥防止材を敷いた。また例5で製造した土壌表面乾燥防止材を敷いていないコマツナを対照例2とした。その後、両者のコマツナに同様に水やりをやり、4週間経過後、両者のコマツナの根の生育状況を比べた。
土壌表面乾燥防止材を敷いたコマツナの根は太く、土表面から浅い部分でも横に大きく広がりを見せ、生育状況が優れているとする結果となったが、対照例2のコマツナの根は細長く、ポットの底の部分で広がるのみで生育が十分でないとする結果となった。
[例11:土壌表面乾燥防止材使用によるマリーゴールドの栽培]
例5で製造した土壌表面乾燥防止材を、生育途中のマリーゴールドを植えつけたポットの土表面に、約1cmの厚さに敷き詰め屋外で管理した。また例5で製造した土壌表面乾燥防止材を敷いていないマリーゴールドを対照例3とした。
灌水48時間後の状態を図4に示す。図4に示すように、土壌表面乾燥防止材を敷いたポットのマリーゴールド(図4(b))は、土壌表面乾燥防止材を敷いていないポットのマリーゴールド(図4(a))に比べて瑞々しさが保たれており、本発明の土壌表面乾燥防止材による乾燥防止効果がみられた。
[例12:土壌表面乾燥防止材使用によるミズナの栽培]
例5で製造した土壌表面乾燥防止材を、生育途中のミズナを植えつけたポットの土表面に、約1cmの厚さに敷き詰め、簡易温室内においた。また例5で製造した土壌表面乾燥防止材を敷いていないミズナを対照例4とした。
灌水24時間後の状態を図5に示す。図5に示すように、土壌表面乾燥防止材を敷いていないポットのミズナ(図5(a))は24時間後にすっかりしおれてしまったが、土壌表面乾燥防止材を敷いたポットのミズナ(図5(b))は十分に瑞々しさが保たれており、本発明の土壌表面乾燥防止材による乾燥防止効果がみられた。
[例13:土壌表面乾燥防止材使用による土壌水分保持効果]
7号鉢(プラスチック製)の中へ赤玉土2Lを詰め、十分に灌水した後、テンションメーター((株)竹村電機製作所製)を設置した。テンションメーターは、土の表面近くの水分変化を調べるため、土表面より1cm下にポーラスカップ(感知部)上部がくるように設置した。
さらに赤玉土の表面に例5で製造した土壌表面乾燥防止材0.5Lを敷き、軽く押さえた後、霧吹きで給水させた。また対照例3として、土壌表面乾燥防止材を敷いていない(赤玉土のみ)鉢を用意した。
2つの鉢を屋外に置き(天気:晴れ)、灌水1時間後から1時間ごとに、テンションメーターの数値(土壌水分張力:H2Ocm)を観測した。なお、土壌水分張力は数値が高
いほど土壌が乾燥していることを示し、その目安として、植物を管理する上で灌水を始めることが望ましいとされる土壌水分張力は、ナスの場合には32〜100(H2Ocm)
、生育前記のトマトの場合には100〜320(H2Ocm)とされている[参考:「土
壌の物理性と植物生育」、養賢堂(1979)]。
得られた結果を[表6]及び図6に示す。
また、透明な小容器を使用し、同様の条件(赤玉土0.1L+例5で製造した土壌表面乾燥防止材0.1L使用、赤玉土0.1Lのみ)にて、2つの小容器を屋外に置き、灌水から7時間後の土壌の様子を示す写真を図7に示す。
[表6]及び図6に示すように、土壌表面乾燥防止材を使用した鉢では、長時間の保水効果が得られた。
また図7に示すように、赤玉土の上に土壌表面乾燥防止材を敷いた土壌(図7(b))は、赤玉土のみの土壌(図7(a))に比べて、水分が保たれている(湿っている)ことが目視にて確認できた。
[例14:土壌表面乾燥防止材の製造(2)]
有機物としてピートモス、腐葉土、バーク堆肥の混合物1Lに、リグニンスルホン酸塩5gを溶解した水溶液0.2Lを吸着させ、撥水防止処理を行った
さらにベントナイトを上記有機物1Lに対して18g(容積割合にて5%)、高分子ゲル化剤として三洋化成(株)製 サンフレッシュを上記有機物1Lに対して3g添加した。
さらに、鹿沼土を有機物1Lに対して容積割合にて5%の量を添加し、これらを全て混合し、土壌表面乾燥防止材を製造した。
[例15]
リグニンスルホン酸塩を1g溶解した水溶液0.2Lを用いた以外は、例14と同様の手順にて土壌表面乾燥防止材を製造した。
[例16]
高分子ゲル化剤の使用量を5gとした以外は、例14と同様の手順にて土壌表面乾燥防止材を製造した。
[例17]
ベントナイトの使用量を30gとした以外は、例14と同様の手順にて土壌表面乾燥防止材を製造した。
1・・・土壌表面乾燥防止材
2・・・有機物
2a・・・粗大有機物
2b・・・細粒有機物
3・・・高分子ゲル化剤
4・・・粘土鉱物
5・・・土

Claims (8)

  1. 保水性を有する粗大有機物と、
    保水性を有する細粒有機物と、
    補助保水材として高分子ゲル化剤と、
    粘土鉱物とを含む土壌表面乾燥防止材であって、
    最長径が10乃至40mmの粗大有機物と、最長径が4mm未満の細粒有機物との混合により、空気及び水分(水蒸気)の内部流通と透過を可能にする空隙が形成されていることを特徴とする、土壌表面乾燥防止材。
  2. 前記保水性を有する細粒有機物が、撥水防止処理されたピートモス、ココヤシ繊維破砕物、醗酵牛ふん堆肥及びバーク堆肥細粒からなる群から選択される、請求項1記載の土壌表面乾燥防止材。
  3. 前記保水性を有する粗大有機物が、腐葉土、バーク堆肥及びココヤシハスクチップからなる群から選択される、請求項1記載の土壌表面乾燥防止材。
  4. 前記保水性を有する細粒有機物及び/又は前記保水性を有する粗大有機物が、細粒有機物及び/又は粗大有機物に撥水防止処理を施されたものである、請求項1記載の土壌表面乾燥防止材。
  5. 前記撥水防止処理が、リグニンスルホン酸塩を有機物の表面に被覆する又は有機物の内部に含浸させることからなる、請求項4記載の土壌表面乾燥防止材。
  6. 前記高分子ゲル化剤が、ポリアクリル酸塩、アクリル酸・アクリル酸塩共重合体、架橋型ポリアクリル酸塩、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、ポリアスパラギン酸塩及び架橋ポリイソプロプルアクリルアミドからなる群から選択される、請求項1記載の土壌表面乾燥防止材。
  7. 前記粘土鉱物が、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、タルク、セリサイト及び雲母からなる群から選択される、請求項1記載の土壌表面乾燥防止材。
  8. さらに乾燥マーカーとして鹿沼土又はゼオライトを含有する、請求項1記載の土壌表面乾燥防止材。
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