JP2006158366A - マルチング用材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 降雨による土壌の流亡を防ぎ、土壌の乾燥防止や雑草の発生を抑制する手段として、一般的に敷きわらや敷き草、塩化ビニルやポリエチレンのフィルム、そしてモミガラや木皮片などのマルチング用材が使用されているが、それぞれが抱えている課題のために生じている不都合を解決すると同時に、土壌への有機物の補給をスムーズなものにすること。
【解決手段】 発酵鶏糞と腐葉土等を混ぜ、水を加えて練り上げた泥をマルチング用材として用いることにより、従来のマルチング用材が抱えている課題を解決するとともに、土壌への有機物の補給を確実なものにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、発酵鶏糞と腐葉土等を混ぜ、水を加えて練り上げた泥を、畑や果樹園、庭先の前栽や街路樹の植え込み、鉢やプランターの土壌面に流し広げ、土壌をマルチングすることにより、土壌の流亡や過度な乾燥、そして雑草の発生を防止するとともに、土壌への有機物の補給を、よりスムーズにしようとするものである。
従来、降雨による土壌の流亡は、土壌中の無機物含量の低下、保水量の低下、水分供給の低下、給与した肥料成分の吸収量の低下をきたすため、その対策として、さらに夏期における土壌の乾燥防止や雑草の発生を抑制するために、敷きわらや敷き草、塩化ビニルやポリエチレンのフィルム、そしてモミガラや木皮片が、マルチング用材として用いられている。この例として、非特許文献1や、非特許文献2に開示されているものがある。
著作者は永澤勝雄、松井弘之、土屋七郎、ほか4名、「果樹」実教出版、平成13年1月25日発行(平成6年3月15日、検定済)P36〜38 著作者は伊藤 正、ほか7名、「野菜」実教出版、平成15年1月25日発行(平成14年1月20日、検定済)P31とP64
発明が解消しようとする課題
まず、敷きわらや敷き草には、次のような課題がある。
(イ)わらや草は軽いため、強い風が吹くと飛ばされることがある。
(ロ)土壌の流亡や土壌中の水分の蒸発を防ぐためには、少なくとも5cm程度の厚さとする必要があるので、大量のわらや草を確保しなければならない。
(ハ)わらや草の隙間に雑草種子が落ち込み、発芽を許してしまう。
そして、塩化ビニルやポリエチレンのフィルムには、次のような課題がある。
(イ)強風が吹くとはがれるので、飛散防止のための養生を要する。
(ロ)通気性が無いため、土壌が蒸れたり、夏期には異常な高温になる。
(ハ)太陽光によって劣化し、破れやすくなるため、定期的に新たに張り替える必要があることから、使用後の処理に関し、従来の埋設や焼却は環境に悪影響を及ぼすほか、廃棄処理にかかるコストの負担が大きい。
また、モミガラや木皮片には、次のような課題がある。
(イ)水に浮くため、激しい降雨に見舞われると流れ去ってしまう。
(ロ)木皮片の場合、片の間隙に雑草種子が落ち込み、発芽を許してしまう。
本発明は、以上の不都合を解消することを課題とする。
課題を解決するための手段
発酵鶏糞と腐葉土等を混ぜ、水を加えて練り上げた泥をマルチング用材とし、畑や果樹園、庭先の前栽や街路樹の植え込み、鉢やプランターの土壌面に流し広げる。
発明の効果
流し広げた泥は、次のような性質により、優れたマルチング作用が得られる。
(イ)泥は重く、強風によって吹き飛ばされることはない。
(ロ)泥の組織は粘結力が強く、土壌面に食い込む形で土壌に粘着するため、降雨によって混ぜ込んだ腐葉土等も流出することなく、土壌面から失われることがない。
(ハ)泥は水分が抜けるとともに固まり始め、やがて土壁様に固化し、土壌面に堅牢かつ強固な層を形成するため、雨水が土壌面を直接叩くことがなくなることから、土壌や施した肥料が流亡を免れる。
(ニ)泥の、発酵鶏糞の部分は、固化する過程で体積が収縮し、混ぜた腐葉土等との間に微小な隙間を生じるため、空気の出入りが適度に確保されるとともに、雨水や灌水もよく浸透していく。
(ホ)固化する過程で泥は、その表面から土壁様に固化し、泥下部の水分の蒸発を抑えるため、泥で覆った範囲の土壌面は過度な乾燥を免れ、微生物相の形成を促す。
(ヘ)固化した泥の層は、土壌面への太陽光の直射を遮断するので、土壌の表面が過度な高温にはならず、従って、土壌面の微生物の棲息環境が損なわれることはない。
(ト)固化した泥は、太陽光や降雨によって次第に風化し、その全てが土壌に還元するため、使用後の廃棄処理は不要で、土壌への有機物の補給がスムーズに行える。
(チ)泥が固化する過程で落下してきた雑草種子は、泥の有するpH8から9という高いアルカリ度のために、ほとんど発芽できない。
(リ)固化した後の泥の表層は極めて固く、さらに水分が極めて少ないために、落下してきた雑草種子は発芽できない。
一般的に、土壌に有機物を給与することには、土壌に対して次のような優れた作用効果があることが判っていて、非特許文献1や非特許文献3に開示されているものがある。
(イ)土壌中の空気や水分の保持力を高める。
(ロ)微生物の活動が活発化し、土壌の団粒化が促進される。
(ハ)根群の発育が促され、樹体の成長、果実の発育がより良好になる。
著作者は大川 清、今西英雄、ほか7名、「草花」実教出版、平成15年1月25日発行(平成14年3月20日、検定済)P54〜56
以上のことから、他のマルチング用材にはあまり期待できない、次のような新たな効果が、当該泥によるマルチングによって得られることになる。
(イ)マルチングを重ねるごとに、土壌は豊かになり、地力を回復する。
(ロ)土壌中の微生物の多様化が図れ、単一微生物の異常増殖が抑制される。
(ハ)固化した泥からは、風化によって徐々に肥料成分が溶出するので、長期にわたって肥効が持続する。
図1は、当該泥を、マルチング用材として土壌面に流し広げた際の部分断面図である。同図に示すように、泥が土壌面を覆った後、土壁様に固化して堅牢に保護することから、土壌は流亡を免れる。
図2は、プランターに当該泥を施した後に、苗を移植する場合の部分断面視図である。同図に示すように、固まりかけた泥面に適度な孔を開け、土付きの苗を植え付ける。
本発明の実施例については、次のとおりである。
(イ)発酵鶏糞と腐葉土と水を、体積比にして1対1対1の割合で混ぜたうえ、よく練り上げる。
(ロ)90l規格のコンクリート用ミキサーを用いて練りあげる場合、まず45lの発酵鶏糞と水をミキサーに投入して回転させ、よく攪拌した後、徐々に45lの腐葉土を投入していき、よく練り上げる。
(ハ)こうして出来上がる泥の量は、概ね65lとなる。
(ニ)腐葉土の代わりに枯れ葉や枯れ草を用いる場合、やはり発酵鶏糞と水をミキサーに投入して練った後、枯れ葉や枯れ草を少量ずつ投入しながら混ぜ込んでいき、適度な粘度になったところで投入を中止する。使用する枯れ葉や枯れ草の総量は、体積比で概ね2から3倍となる。
こうして得た泥を、一輪車やバケツに取り分けて、畑や果樹園、庭先の前栽や街路樹の植え込み、鉢やプランターの土壌面に対して一様に流し広げる。
果樹園、庭先の前栽や街路樹に施す場合は、泥の厚さが2cm程度となるよう、果樹にあっては根が分布している樹冠下に流し広げることとし、庭先の前栽や街路樹にあっては植え込み区画全面に流し広げる。65lの泥で約3mの面積がカバーできる。
畑、鉢やプランターなどに施す場合、土壌面を簡単に整地した後、十分に灌水を行ったうえで、泥の厚さが1cm程度となるように流し広げる。65lの泥で約6mの面積がカバーできる。苗を植え付ける場合は、泥を流し広げた後に行う。その際は、泥が固まり始める3〜10日の後に泥面に穴を開けて、その下の土を掘り取って苗を植え込み、掘り取った土で埋め戻す。数十l程度の家庭用プランターは、土の表面積が約0.24mであるので、65lの泥で約25個のプランターをカバーすることができる。
種子を蒔く場合は、泥が固化し始めてから泥面に溝や小さな穴をあけて種子を蒔くことになるが、泥による発芽抑制を回避するため、種子を蒔いた後に砂などで覆うこととし、その後は十分に水を与え、発芽するまでは水分を切らさないようにする。
平均的に、固化した泥は、開花や収穫が終わるころには風化し、土壌に還元されていくため、再び新たな苗や種を植え付ける際は、残った泥の固まりを手で潰すなどし、土壌に軽くすき込み、簡単に整地してから新たに泥を流し広げることとし、その後、前述の要領で苗や種を植え付ける。
田に関しては、発酵鶏糞に含まれる肥料分が元肥として働くことから、圃場に給与する窒素量が過剰とならないためには、発酵鶏糞の量を10a当たり400kg以内(窒素が約12kg、リン酸が約20kg、カリが約16kg)とすることが好ましい。従って、泥の総量が1t程度となり、その厚さが約0.6mmと極めて薄くなるため、マルチングとしての効果よりも、圃場に不足がちな発酵有機物を補給することと、泥の細かい粒子が土砂の隙間を埋める性質を利用し、田からの水漏れを止めることが、当該泥を流し広げる主たる目的となる。田に施す時期は、収穫を終えた晩秋が好ましく、田を休めている冬の間に泥に含まれる有機物や肥料成分等が、自然な形で土壌になじみ込む。
田や畑などの広範囲に泥を流し広げる場合、コンクリート用ミキサー車と圧送ポンプ車を使って施工すれば、作業能率と移動性がともに、大幅に向上する。
本発明に係る発酵鶏糞と腐葉土は、すでに量産技術が確立しているほか、枯れ葉や枯れ草は中山間地域にあっては無尽蔵に近く、いずれも入手が容易であることから、産業上の利用可能性を有する。
当該泥の性質を活用すれば、次の、新たな技術や新規事業への展開が期待できる。
(イ)泥に化学肥料や薬剤等を混ぜて施工すると、泥が風化する過程で徐々に有効成分が溶出するので、それらの効果がより長く持続する。
(ロ)泥に山土や砂等を混ぜて施工すれば、すでに流亡した土壌中の鉱物由来の微量要素の補給が図れ、土壌の無機物含量の回復に役立つ。
(ハ)有機物の施用が少ないことに起因する土壌の酸性化防止策として、そして生理的に酸性を示す化学肥料の弊害を軽減させるための、有効な手段となり得る。
(ニ)手入れが届きにくい庭先の前栽や街路樹の、土壌の管理、肥培管理に関し、土壌の健全さを維持したうえでの長期メンテナンス・フリー化、が可能となる。
(ホ)前栽に施した場合、その黒々とした落ちつきのある色調により、極めて荘厳な景観が得られるため、新たな前栽の管理技術として、新たな市場を掘り起こせる。
(ヘ)乾燥が激しく、水切れを起こし易いベランダのプランター、屋上の家庭菜園や緑化花壇にあっての土壌管理が、当該泥によるマルチングを施すことにより、大変容易なものになることから、都会地でのビルの緑化事業拡大に役立つ。
(ト)従来よりの有機栽培法および無農薬栽培法の、雑草繁茂との闘いに明け暮れる現実を緩和し、無駄な労力を軽減するので、有機栽培への取り組みがより容易になる。
また、当該泥の、マルチング用材としての活用が拡大すると、次の、新たな社会的かつ経済的効果が得られることが予測される。
(イ)鶏糞の付加価値が高まり、より健全な養鶏経営に資する。
(ロ)活用されない落ち葉や里山の下草などの無効資源が活用されるようになり、中山間地域にあっての新規起業も可能にするなど、林業経済の発展に寄与する。
(ハ)当該泥のマルチングにより化学肥料の流亡も抑えられるため、より有利な農業経営が可能になり、農業廃水による河川水の汚染軽減にも、わずかではあるが役立つ。
(ニ)土壌に有機物が定期的に補給されるようになり、商品価値の高い有機栽培農作物の量産に資するとともに、持続可能な循環型農業の発展拡大に貢献する。
(ホ)乾燥による砂漠化が進行する土壌にとって過酷な地域にあって、残っている緑地の保全と、砂漠の拡大防止に役立つ可能性があり、世界的な貢献も期待できる。
土壌面に当該泥を流し広げた場合の部分断面図である。 プランターに苗を移植する場合の部分断面視図である。
符号の説明
1 発酵鶏糞
2 腐葉土等
3 土壌
4 泥
5 プランター

Claims (1)

  1. 発酵鶏糞と腐葉土等を混ぜ、水を加えて泥状に練り上げたことを特徴とするマルチング用材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013000065A (ja) * 2011-06-17 2013-01-07 Tosho:Kk 土壌表面乾燥防止材
RU2617742C1 (ru) * 2016-04-22 2017-04-26 Светлана Владимировна Курмаева Состав мульчирующего покрытия
JP2018014944A (ja) * 2016-07-29 2018-02-01 三菱ケミカル株式会社 植物の育成方法

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