JP2012532830A - 鉱物繊維及びその使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、組成物の重量に基づいて以下の酸化物:SiO 35〜43.5%、Al 18〜22%、Fe 9〜16%、CaO 8〜17%、MgO 7〜15%、NaO+KO 1〜5%、MnO 2%以下、を含む組成物から形成される鉱物繊維に関する。

Description

本発明は、鉱物繊維、鉱物繊維から形成される結合製品、及び、特に特殊防火用途における、それらの使用に関する。
一般に結合剤との固化形態での、鉱物繊維の防火製品としての使用が良く知られている。防火製品は、多種多様な状況で使用される。ある特定の場合において、危険を招く要因は、極めて早い温度の上昇をもたらす火災である。そのような状況には、炭化水素火災の危険性がある石油掘削装置上のような沖合での用途や、操業用の燃料を搭載しているために起こる船舶内の海洋における用途などが含まれる。極めて急速な温度上昇の危険性がある他の状況には、爆発性の火災の危険性がある化学工場や、トンネルの中が含まれる。極めて急速な温度上昇の危険性がある、及び/又は、酸素の存在がほんの僅かしかない更なる状況には、防火扉、サンドイッチパネル及び野地板が含まれる。
特許文献1は、特に造船における鉱物繊維断熱製品の例を提示する。この鉱物繊維組成物の酸化物含有量は、SiOが25〜55%、Alが16〜27%、CaOが6〜20%、MgOが1〜5%、FeOが1.5〜15%そしてアルカル金属酸化物ROが10〜14.7%である。
多様な種類の岩綿が、防火用途に用いられることが良く知られているが、非常に高く急速な温度上昇が予測される場合(例えば、温度上昇が、ISO834−1試験手順IMO Res 754(18):「A」、「B」及び「F」級部門の耐火試験についての勧告(ISO 834-1 test procedure IMO Res 754 (18): Recommendation on fire resistance tests for "A", "B" and "F" class divisions)に記載された、標準火災曲線及び試験方法に記載されたものを越える場合)のような用途では、現在利用可能な岩綿は、通常、非常に高密度及び/又は高厚で使用される場合にのみ、これらの状況下で使用する際の厳しい要件を満たすことができる。このことは、費用、製品の重量及び嵩を増加させるので、不利になりうる。セラミック製品も、これらの状況の厳しい要件を満たすことができるが、製造するには高額を要する傾向がある。
例えば、特許文献2は、一般的な断熱目的のための、多くの岩綿組成物の一例である。ここでは、非常に高く急速な温度上昇に対する保護を必要とする異常な場合における、防火に有用な製品の特別な要件を考察していない。
国際公開公報 WO2005/035895 欧州特許公開公報 EP−A−1157974
したがって、より低い密度及び/又は厚さで、これらの厳しい状況下において防火を有効に提供することができる鉱物繊維製品を提供できることが望ましい。製造するのが技術的及び経済的に実現可能であるような製品を提供することも望ましい。
本発明によると、重量に基づいて、以下の酸化物を含む組成物から形成される鉱物繊維が提供される。酸化物含有量は、組成物の重量に基づいて示される。
35〜43.5%
Al 18〜22%
Fe 9〜16%
CaO 8〜17%
MgO 7〜15%
NaO+KO 1〜5%
MnO 2%以下
従って、本発明の繊維は、岩綿繊維である。
本明細書において、全ての酸化鉄は、Feとして計算され、示される。しかし、鉄は、多くの割合で、Fe2+として存在する。通常は、原子の50%超がFe2+として存在し、多くの場合には原子80%超、好ましくは原子の96%超である。
驚くべきことに、本発明者たちは、この特定の範囲の組成特性を選択することにより、この組成を有する結合繊維から形成される鉱物繊維製品が、非常に厳しい炭化水素火災試験に合格できることを見出した。炭化水素曲線は、EN 1363−2試験手順IMO Res 754(18):「A」、「B」及び「F」級部門の耐火試験についての勧告において規定されている。本発明の繊維から製造される製品は、爆発的であるか、そうでなければ極めて早い温度上昇を生じる火災の危険性がある状況下において有効である。
本発明者たちは、組成物が良好な溶融特性を有することも見出した。製品を製造するためには、繊維と同じ組成を有する溶融物を製造することが必要である。そのような溶融物の粘度、溶融易損性及び結晶化特性は、取扱いが困難ではなく、従って、使い勝手が良く経済的な方法で繊維を製造できる。
更に、重要なことに、鉱物繊維は生物学的に可溶性であると言うことができ、また、本発明者たちは、この組成物が市販の岩綿材料のこの特性も保持していることを見出した。
本発明の鉱物繊維は、防火の分野において特に有益である。
これらの用途において、繊維の結合房の形態で鉱物繊維を使用することができるが、一般にこれらは、固化繊維から形成される凝集鉱物繊維製品に形成され、結合剤を含む。一般に、製品は、スラブ/バット若しくはロール、管材、ワイヤーマット又はニードルド製品の形態である。バットは、通常、平面であるが、断熱もしくは保護されるべき要素を囲んで又は断熱もしくは保護されるべき要素に対して適合するために、曲線又はほかの非平面形状に予め形成されることができる。製品は、相対的に剛性であることができ、または、任意の形状に適合して使用できるように柔軟な形態に製造されることができる。
一般に、結合剤の含有量は、(製品の重量に基づいた重量で)0.2〜6.0%、特には0.4〜3.0%の範囲である。
結合剤は、無機又は有機結合剤、特にフェノール尿素ホルムアルデヒド結合剤、フラン系結合剤、ポリエステル類、ポリアクリル酸類、ポリエステルアミド類、エポキシド類、ポリウレタン類又はこれらの組み合わせのような、鉱物繊維製品を結合することが知られている任意の種類から選択することができる。ケイ酸塩、リンケイ酸塩、アルカリケイ酸塩(例えば、水ガラス)、ジオポリマー類、コロイドシリカ又はコロイドアルミナのような無機結合剤を使用することもできるが、有機結合剤が好ましい。
鉱物繊維製品は、防火特性に関して、従来の範囲の密度を有することができる。結合製品が、従来の密度を有しながらも、それでもなお、驚くほど改善された防火特性を示せることは、本発明に係る繊維の組成物の利点の一つである。従って、密度は、好ましくは300kg/m以下、特に250kg/m以下又はとりわけ200kg/m以下、特に170kg/m以下である。通常は、少なくとも50kg/m、特には少なくとも80kg/m、好ましくは少なくとも100kg/m、より好ましくは少なくとも140kg/mである。
製品の厚さは、好ましくは300mm以下、特に100mm以下である。好ましくは、少なくとも10mm、特には少なくとも20mmである。
本発明によると、繊維組成物におけるSiOの含有量は、組成物に基づいて、35〜43.5重量%の範囲である。好ましくは、42重量%以下、より好ましくは37〜40重量%の範囲である。
Alの量は、18〜22重量%の範囲である。好ましくは、18〜21重量%の範囲である。
SiO+Alの総量は、好ましくは少なくとも55重量%、一般的には62重量%以下、好ましくは60重量%以下である。
繊維は、多くの場合にTiOを含有し、その含有量は、通常は4重量%以下、好ましくは0.5〜2重量%の範囲である。
本発明によると、特許を請求する繊維は、並外れて高い含有量の、鉄(Feとして計算)とMgOとの両方を同時に有する。Feの量は、9〜16重量%の範囲である。好ましくは、少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも11重量%である。Feの量は、一般的に15重量%以下である。
CaOの量は、少なくとも8重量%、好ましくは少なくとも9重量%である。16重量%以下であることが有利でありうる。この上限は、非常に高いFe及びMgOの含有量を有する溶融物であっても、実用的な溶融特性を獲得する助けとなる。
MgOの量は少なくとも7重量%であり、特に本発明者たちは、少なくとも9重量%、好ましくは少なくとも10重量%、特には少なくとも11重量%である場合、非常に良好な結果を得ている。MgOの量は15重量%以下である。
好ましくは、Fe+MgOの含有量は、少なくとも17重量%である。
本発明において、特に良好な防火特性は、Feの量が少なくとも10重量%であり、同時にMgOの量が少なくとも10重量%である場合に達成される。特に、Feの量が少なくとも12.5重量%であり、同時にMgOの量が少なくとも11重量%である場合である。
鉱物繊維組成物は、アルカリ金属RO、すなわちNaO+KOを、1〜5重量%の範囲の含有量で有する。好ましくは、NaOの量は1〜4重量%の範囲であり、KOの量は、0.5〜2重量%の範囲である。
繊維組成物は他の酸化物を含むことができる。これらにはPが含まれ、Pの好ましい量は4重量%までである。
MnOが含まれ、4重量%以下、特には2重量%以下、とりわけ1重量%以下の量で存在する。MnOの量は、好ましくは少なくとも0.2重量%である。
MnOを含めることは、製品の能力に寄与し、炭化水素火災のような急速な温度上昇に対する優れた保護を与える。
本発明において、鉱物繊維は、鉱物を用意する工程、鉱物を溶融することによって、鉱物溶融物を製造する工程及び溶融物を繊維化する工程により製造される。溶融物は、通常は最終繊維と本質的に同じ組成を有する。
繊維化は、既知の方法、例えば遠心分離繊維化方法により実施することができる。好ましくは、繊維はカスケード紡糸方法を使用して製造される。この方法において、1つ、通常は少なくとも2つ、特には少なくとも3つ、とりわけ少なくとも4つのローターが、水平軸について回転するようにそれぞれ配列される。鉱物溶融物が最初の回転ローターに注がれ、一部がローターから繊維として放出され、一部が次の回転ローターに放出され、そこからより多くが繊維として放出され、一部が次の回転ローターに放出され、そして、これが続く。
次に繊維が職布として回収され、通常の方法で所望の最終製品に形成される。
製品を、難燃剤を含有するように、通常は粒状形態で形成することもできる。適切な好ましい難燃剤は、本発明者たちの国際公開公報WO−A−97/20780に記載されている。好ましい材料には、200℃を越える温度で吸熱的に分解する、炭酸塩及び水和物が含まれる。このような材料は、温度が200℃を越えると、結晶の二酸化炭素及び/又は水を放出する。好適な材料は、水酸化マグネシウム、方解石(炭酸カルシウム)、苦灰石、菱鉄鉱、アラレ石、マグネサイト、ブルーサイト、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化バリウム、水酸化鉄(III)、水酸化鉄(II)、黄鉄鉱及び結晶水を有するケイ素化合物である。水酸化マグネシウムが好ましい。
難燃剤を、好ましくは25〜200kg/mの範囲の量で製品に含めることができる。
組み込むことができる他の添加剤にはグラファイトが含まれる。
本発明に係る繊維の組成物の利点は、優れた防火特性を有するのと同時に、組成物の溶融物が、上述されたカスケード紡糸方法のような標準的な方法で簡便に加工されうることという特性を有することにある。
例えば、組成物は、溶融物の粘度が都合の良い範囲内であるように配合される。一般に、1400℃で8〜70ポアズ、とりわけ10〜70ポアズ、特には10〜25ポアズである。粘度は、ASTM C 965−96に従って測定される。これらの粘度範囲は、通常の加工方法を使用して本発明の繊維を提供できることを意味する。
また組成物は、標準的な製造方法に適した範囲のガラス転移温度Tを有するように配合される。本発明に係る繊維を生成するように形成された溶融組成物は、許容可能な易損性も有する。すなわち、これらは冷却の際に過剰に結晶化する傾向を有さない。
本発明に係る繊維の更なる利点は、これらが良好な生体溶解性を保持するが、湿度が高い環境で使用しても溶解しにくいことである。
本発明に係る繊維は、急速に進展する火災、特に爆発的な火災の危険性がある状況における、断熱及び防火に特に有用である。すなわち、温度上昇が、ISO834−1試験手順IMO Res 754(18):「A」、「B」及び「F」級部門の耐火試験についての勧告(通常火災曲線)に記載されたものを越える状況である。
従って、本発明に係る繊維から製造される製品を使用できる用途には、ガス及び化学薬品輸送;浮遊式石油掘削装置;通常の石油及びガス掘削装置;石油化学工場及び急速な火災の進展の危険性のある他の工場;並びにトンネルの中における、断熱及び/又は防火が含まれる。用途には、相当な勢いで連続的に放出される燃料の燃焼によってもたらされる乱流拡散火炎である、ジェット火災が生じうる場所の断熱(ジェット火災は、ガス状放射液体及び純粋液体在庫の放出から生じうる);化学廃棄物処理工場の防火及び断熱;トンネルの断熱が含まれる。本発明に係る繊維を、Seveso指示の範囲内で産業において、防火に使用することも可能である。本発明に係る鉱物繊維を、海洋での用途において、断熱に使用することもできる。特定の用途には、H−0400甲板及び隔壁、H−60甲板及び隔壁、制限的(綿側への火災)及び非制限的H−120甲板及び隔壁、制限的及び非制限的HC爆破試験(爆発)、並びにHCジェット火災試験が含まれる。
本発明に係る繊維の利点は、これらの繊維を使用して製造され、標準的な密度及び厚さを有する製品は、炭化水素火災試験(HC)に合格できることである。炭化水素火災曲線は、EN 1363−2試験手順IMO Res 754(18):「A」、「B」及び「F」級部門の耐火試験についての勧告において規定されている。
実施例1
本発明に係る繊維製品は、酸化物の重量に基づいて、以下の組成を有する;SiO 39.1%、Al 19.8%、TiO 1.8%、Fe 13.9%、CaO 10.3%、MgO 11.7%、NaO 1.8%、KO 0.9%、P 0.4%、MnO 0.2%。
実施例2
本発明に係る更なる繊維製品は、酸化物の重量に基づいて、以下の組成を有する;SiO 38.8%、Al 19.7%、TiO 1.7%、Fe 10.3%、CaO 16.1%、MgO 10.0%、NaO 1.7%、KO 0.8%、P 0.4%、MnO 0.4%。
実施例3
実施例において、結合剤に結合した実施例1の組成を有する繊維であって、密度が140kgであり強熱減量が1.4%である繊維から製造した製品を、非制限的隔壁炭化水素火災試験に付す。厚さがそれぞれ65mmである2つの製品を使用した。温度上昇が最大の140℃に達しなかったので、試験を150分後に停止した。最大は、およそ70分の時点で、およそ105℃であった。
比較として、標準的な岩綿製品は、約50分後に140℃の温度上昇を許した。
実施例4
制限的炭化水素火災試験を使用した更なる試験では、実施例3と同じ2つの製品は、140分後に120℃以下の最大温度上昇を示した。この結果は、およそ70分後に140℃の温度上昇を示した標準的な岩綿製品とは対照的である。

Claims (25)

  1. 組成物から形成される鉱物繊維であって、前記組成物が、前記組成物の重量に基づいて、以下の酸化物を含む鉱物繊維。
    35〜43.5%
    Al 18〜22%
    Fe 9〜16%
    CaO 8〜17%
    MgO 7〜15%
    NaO+KO 1〜5%
    MnO 2%以下
  2. Feの含有量が少なくとも10%である、請求項1に記載の鉱物繊維。
  3. Feの含有量が少なくとも11%である、請求項1に記載の鉱物繊維。
  4. Feの含有量が少なくとも12.5%である、請求項1に記載の鉱物繊維。
  5. CaOの含有量が16%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉱物繊維。
  6. MgOの含有量が少なくとも9%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の鉱物繊維。
  7. MgOの含有量が少なくとも10%である、請求項6に記載の鉱物繊維。
  8. MgOの含有量が少なくとも11%である、請求項6に記載の鉱物繊維。
  9. Fe+MgOの含有量が少なくとも17%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の鉱物繊維。
  10. 前記組成物が4%までの量のTiOを更に含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の鉱物繊維。
  11. 前記組成物が4%までの量のPを更に含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の鉱物繊維。
  12. MnOの含有量が少なくとも0.2%である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の鉱物繊維。
  13. NaOの含有量が1〜4%の範囲である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の鉱物繊維。
  14. Oの含有量が0.5〜2%の範囲である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の鉱物繊維。
  15. SiOの含有量が42%以下、好ましくは40%以下である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の鉱物繊維。
  16. SiO+Alの含有量が60%以下である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の鉱物繊維。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の鉱物繊維から形成される、凝集形態である製品。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の鉱物繊維から形成される、結合剤との固化形態である結合製品。
  19. 防火のための、請求項17又は18に記載の結合製品の使用。
  20. 爆発的火災の危険性がある用途における、請求項19に記載の使用。
  21. 沖合での用途又は海洋での用途又はトンネルの断熱として又は化学工場における、請求項19に記載の使用。
  22. 前記鉱物繊維製品の密度が200kg/m以下である、請求項20又は21に記載の使用。
  23. 前記鉱物繊維製品の厚さが300mm以下である、請求項19〜22のいずれか1項に記載の使用。
  24. 鉱物を用意する工程、
    前記鉱物を溶融することによって、鉱物溶融物を製造する工程、及び、
    前記溶融物を繊維化する工程
    を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の鉱物繊維を製造する方法。
  25. 前記繊維化がカスケード紡糸方法によって実施される、請求項24に記載の方法。
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