JP2012525433A - Abt−263の塩およびこの固体形態 - Google Patents

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Abstract

ABT−263ビスHClおよびこの結晶多形体は、1つ以上の抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患、例えばがんの治療に有用な医薬組成物のための適切な活性医薬構成要素である。

Description

本出願は、2009年4月30日出願の米国仮出願番号第61/174,274号に関する優先権の利益を請求するものである。
本出願に関連する主題を含む以下の共出願された米国出願:2009年4月30日出願の米国仮出願番号第61/174,245号に関する優先権の特典を請求する「Lipid formulation of apoptosis promoter」という名称の米国仮出願番号第12/ 号;2009年4月30日出願の米国仮出願番号第61/174,299号および2009年12月22日出願の同No.61/289,254号に関する優先権の特典を請求する「Stabilized lipid formulation of apoptosis promoter」という名称の米国仮出願番号第12/ 号;2009年4月30日出願の米国仮出願番号第61/174,318号に関する優先権の特典を請求する「Solid oral formulation of ABT−263」という名称の米国仮出願番号第12/ 号;ならびに上記に参照した米国仮出願番号第61/174,274号,同第61/174,299号、同第61/174,318号および同第61/289,254号ならびに2009年6月8日出願の米国仮出願番号第61/185,105号、2009年6月8日出願の同第61/185,130号、2009年6月18日出願の同第61/218,281号および2009年12月22日出願の同第61/289,289号に関する優先権の特典を請求する「Formulation for oral administration of apoptosis promoter」という名称の米国仮出願番号第12/ 号に対する相互参照を行うものである。
上記出願のそれぞれの開示全体を参照により本明細書に組み込む。
本発明は、アポトーシス促進物質ABT−263および抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患を治療するためのその使用方法に関する。より具体的には、本発明は、例えば、それを必要とする対象へのABT−263の投与のための医薬組成物を調製するのに、活性医薬構成要素(API)として有用なABT−263の新規な塩およびこの固体形態に関する。
アポトーシスの回避はがんの特徴である(Hanahan & Weinberg(2000年)Cell 100:57−70頁)。がん細胞は、正常細胞にアポトーシスをもたらす可能性のあるDNA損傷、がん遺伝子の活性化、異常な細胞周期の進行および厳しい微小環境などの細胞ストレスによる間断ない攻撃を克服しなければならない。がん細胞がそれによってアポトーシスを回避する主な手段の1つは、Bcl−2ファミリーの抗アポトーシスタンパク質の上方調節である。
Bcl−2タンパク質のBH3結合溝を占有する化合物は、例えばBrunckoら(2007年)J.Med.Chem.50:641−662頁によって記載されている。これらの化合物には、別名ABT−737として知られている、次式:
Figure 2012525433
を有するN−(4−(4−((4’−クロロ−(1,1’−ビフェニル)−2−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(ジメチルアミノ)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−ニトロベンゼン−スルホンアミドが含まれる。
ABT−737はBcl−2ファミリー(特にBcl−2、Bcl−XおよびBcl−w)のタンパク質と高い親和力(<1nM)で結合する。これは、小細胞肺がん(SCLC)およびリンパ性悪性疾患に対して単剤活性を示し、他の化学療法剤のアポトーシス促進効果を強化する。ABT−737および関連化合物ならびにそうした化合物の作製方法はBrunckoらの米国特許出願公開第2007/0072860号明細書に開示されている。
最近になって、Bcl−2ファミリータンパク質に対して高い結合親和性を有する一連の他の化合物が特定されている。これらの化合物およびそれらを作製する方法は、Brunckoらの米国特許出願公開第2007/0027135号明細書(以下、「’135公開」とする。)に開示されており(その全体を参照により本明細書に組み込む。)、これらは、その式からABT−737と構造的に関連していると見ることができる。
’135公開において「実施例1」と特定されている1つの化合物は、別名ABT−263として知られているN−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−1−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミドである。この化合物は974.6g/モルの分子量を有し、次式:
Figure 2012525433
を有する。
’135公開は、そこに開示されている特定の化合物が、酸付加塩、塩基付加塩または両性イオンとして存在することができることを示している。そうした化合物の酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリセロリン酸塩、グルタミン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、パラ−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩が含まれるとされている。
改善された治療法が必要とされる特定のタイプの疾患は非ホジキンリンパ腫(NHL)である。NHLは米国において6番目にまん延しているタイプの新規ながんであり、主に60−70歳の患者において発生する。NHLは単一疾患ではなく、関連する疾患のファミリーであり、これらは、臨床的特質および組織学を含むいくつかの特徴をもとに分類される。
分類の1つの方法は、異なる組織学的サブタイプを、疾患の自然経過、すなわちその疾患が緩徐進行性であるまたは侵襲性であるかどうかを基にして2つの主カテゴリーに分ける方法である。一般に、緩徐進行性サブタイプは徐々に成長し、通常治療不能であるのに対し、侵襲性サブタイプは急速に成長し、治療できる可能性がある。濾胞性リンパ腫は、最も一般的な緩徐進行性サブタイプであり、びまん性大細胞型リンパ腫は、最も一般的な侵襲性サブタイプを構成する。がんタンパク質Bcl−2は、非ホジキンB細胞リンパ腫において最初に記載されている。
濾胞性リンパ腫の治療は一般に、生物学に基づくまたは併用による化学療法からなる。リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(R−CHOP)との併用療法は、リツキシマブ、シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(RCVP)との併用療法と同様に慣用的に用いられる。リツキシマブ(B細胞の表面上に均一に発現するリンタンパク質、CD20を標的とする。)またはフルダラビンとの単剤治療も用いられる。化学療法レジメンにリツキシマブを加えると、応答率を改善し無増悪生存率を高めることができる。
放射免疫治療薬、高用量化学療法および幹細胞移植を、不応性または再発性の非ホジキンリンパ腫を治療するために用いることができる。現在、治癒をもたらす承認された治療レジメンはなく、最近の指針では、一次セッティングにおいても、患者を臨床試験との関連で治療することが推奨されている。
侵襲性大B細胞リンパ腫を有する患者の一次治療は通常、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(R−CHOP)または投与量が調節されたエトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびリツキシマブ(DA−EPOCH−R)からなる。
大部分のリンパ腫は、最初はこれらの治療のいずれか1つに応答するが、通常腫瘍は再発し、結局不応性となる。患者が受けるレジメンの数が増えるにしたがって、その疾患はより化学療法耐性となる。一次治療に対する平均応答は約75%であり、二次治療に対する平均応答は約60%であり、三次治療に対する平均応答は約50%であり、四次治療に対する平均応答は約約35−40%である。多重の再発性セッティングにおいて単剤で20%に近づく応答率は肯定的と見なされ、さらなる試験を支持するものとなる。
現在の化学療法剤は、様々な機序でアポトーシスを誘発することによってその抗腫瘍応答を引き出す。しかし、多くの腫瘍は最終的にこれらの薬剤に対して耐性を示すことになる。Bcl−2およびBcl−Xは、インビトロでの、つい最近ではインビボでの短期生存アッセイにおいて化学療法耐性を付与することが分かっている。これは、Bcl−2およびBcl−Xの機能を抑制することを目的とした改善された治療法を開発することができれば、そうした化学療法耐性を首尾よく克服することができることを示唆している。
米国特許出願公開第2007/0072860号明細書 米国特許出願公開第2007/0027135号明細書
Hanahan & Weinberg(2000年)Cell 100:57−70頁 Brunckoら(2007年)J.Med.Chem.50:641−662頁
’135公開の実施例1にしたがって調製された場合、化合物ABT−263は、下流処方物の活性医薬構成要素(API)としてあまり適さない非晶質のガラス状固体として回収される。本発明者らは、そのAPIが、例えば経口で送達可能な錠剤またはカプセル中に、添加剤と一緒に粒子状の形態で存在するものを含む様々なタイプの処方物において、APIとして使用するのに適したいくつかの固体結晶形態のABT−263の新規なビス酸付加塩をここに調製した。さらに、その新規な塩を含む医薬組成物が、’135公開で報告されている9:1の重量比のPEG−400とDMSOからなる担体中のABT−263遊離塩基の2mg/mlの溶液に少なくとも匹敵し、いくつかの場合それを凌駕する経口生物学的利用能を示すことを発見した。
一実施形態では、本発明は、N−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−1−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミドビスヒドロクロリド(ABT−263ビスHCl)を提供する。
他の実施形態では、本発明は、本明細書で特徴づけられる結晶形態IのABT−263ビスHClを提供する。
さらに他の実施形態では、本発明は、本明細書で特徴づけられる結晶形態IIのABT−263ビスHClを提供する。
さらに他の実施形態では、本発明は、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、t−ブタノール、ニトロメタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケトン、MEK)、メチルイソプロピルケトン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエンおよびブチルエーテル溶媒和物を含む様々な溶媒和された結晶形態のABT−263ビスHClを提供する。
さらに他の実施形態では、本発明は、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、t−ブタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルイソプロピルケトン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエンまたはブチルエーテルの溶媒和物形態のABT−263ビスHClを脱溶媒和することを含む、形態IのABT−263ビスHClの調製方法を提供する。
さらに他の実施形態では、本発明は、MEK溶媒和物形態のABT−263ビスHClを脱溶媒和することを含む、形態IIのABT−263ビスHClの調製方法を提供する。
さらに他の実施形態では、本発明は、ABT−263ビスHClおよび1つ以上の薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物を提供する。
さらに他の実施形態では、本発明は、抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質のアポトーシス機能不全および/または過剰発現を特徴とする疾患を有する対象に治療有効量のABT−263ビスHClまたはABT−263ビスHClおよび1つ以上の薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物を投与することを含む、その疾患を治療するための方法を提供する。そうした疾患の例には、多くのがんを含む腫瘍性疾患が含まれる。本方法によって治療できるがんの具体的なタイプの例は非ホジキンリンパ腫である。本方法によって治療できるがんの他の具体的なタイプの例は慢性リンパ球性白血病である。本方法によって治療できるがんのさらに他の具体的なタイプの例は、例えば小児患者の急性リンパ性白血病である。
対象に、ABT−263ビスHClおよび1つ以上の薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物を、約3時間から約7日間の平均投薬間隔で、1日当たり約50から約500mgABT−263に相当する投薬量で投与することを含む、ヒトがん患者、例えば非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病または急性リンパ性白血病を有する患者の血流中で、ABT−263および/または1つ以上のこの代謝産物の治療上有効な血漿濃度を維持するための方法をさらに提供する。
上記に提供したもののより具体的な態様を含む本発明の他の実施形態は、以下に示す詳細な説明において見出される、またはそれから明らかである。
結晶形態IのABT−263ビスHClのPXRDスキャンを示すグラフである。 結晶形態IIのABT−263ビスHClのPXRDスキャンを示すグラフである。
ABT−263は少なくとも2個のプロトン化可能な窒素原子を有しており、したがって、化合物の1当量当たり1当量を超える、例えば約1.2から約2、約1.5から約2または約1.8から約2当量の酸と酸付加塩を形成することができる。例として、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリセロリン酸塩、グルタミン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、パラ−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩のビス塩(bis−salt)、例えば、ビス塩酸塩(ビスHCl)およびビス臭化水素酸(ビス−HBr)を含むビス塩を、形成することができる。
1047.5g/モルの分子量を有するABT−263ビスHClは、次の構造式
Figure 2012525433
で表すことができる。
ABT−263ビスHClは固体形態で存在することができ、例えば本明細書で以下に説明するようにして、そうした形態で単離することができる。APIとして使用するためには、ABT−263ビスHClは、実質的に純粋でなければならず、例えば重量で少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の純度でなければならない。ABT−263ビスHClの固体形態は結晶であっても非晶質であってもよい。ABT−263ビスHClは、例えば本明細書で以下に説明するような適切な可溶化媒体中に可溶化された形態で存在することもできる。そうした媒体中のABT−263ビスHClの濃度(遊離塩基相当物で表される。)は、例えば少なくとも約0.1mg/ml、少なくとも約0.2mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml、少なくとも約1mg/ml、少なくとも約2mg/mlまたは少なくとも約5mg/mlであってよく、その媒体中の溶解限度まで、例えば最大で約500mg/ml、最大で約400mg/ml、最大で約300mg/ml、最大で約200mg/mlまたは最大で約100mg/mlであってよい。
ABT−263ビスHClは、ABT−263遊離塩基を適切な媒体中で2モルの塩酸(HCl)と反応させることを含む任意の方法で調製することができる。本明細書では「遊離塩基」という用語は、厳密に言えば、その親化合物は両性イオン的であり、したがって常に真の塩基として挙動するわけではないことを認識した上で、本明細書では便宜上ABT−263親化合物を指すものとして使用する。
ABT−263遊離塩基は、上記に引用した米国特許出願公開第2007/0027135号明細書(その開示全体を参照により本明細書に組み込む。)の実施例1に記載されているようにして調製することができる。
ABT−263ビスHClを調製するための例示的な方法を以下に示す。
この方法の第一段はABT−263親化合物を調製するための以下の反応を含む:
Figure 2012525433
ここで、「ステップ1」および「ステップ2」の生成物は、’135公開のそれぞれ実施例1Mおよび1Iにしたがって調製した中間体である。「DMAP」はN,N−ジメチルアミノピリジンである。「EDCI」は1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドである。「DMEDA」はN,N−ジメチルエチレンジアミンである。ABT−263親化合物は、反応混合物から固体生成物としては回収されない。
より具体的には、ステップ2生成物(13.3kg、20.46mol)、ステップ1生成物(9.9kg、22.5mol)、DMAP(6.6kg、53.81mol)およびEDCI塩酸塩(6.12kg、31.92mol)を反応器に加える。次いでジクロロメタン(126kg)を加え、得られた反応混合物を、30℃で反応が完了するまで加熱する(約24時間;残留しているステップ2生成物<0.3%)。反応は逆相HPLCで監視することができる。
反応混合物を室温に冷却し、DMEDA(1.62kg、18.41mol)を加えて過剰の活性な酸をクエンチする。
反応混合物を約48リットルの容積になるまで蒸留し、8.0kg水および150kg酢酸エチル(EtOAc)を加える。混合物を90リットルの容積になるまで蒸留し、8.0kg水および150kgのEtOAcをさらに加える。混合物を115リットルの容積になるまで蒸留し、200kgの10%酢酸+0.75%塩化ナトリウム溶液および100kgのEtOAcを加える。反応器の内容物を混合し、分離する。有機層を、200kgの10%酢酸+0.75%塩化ナトリウム溶液、267kgの25%KHPO溶液および242kgのpH7緩衝液で洗浄する。
有機層を約48リットルに濃縮し、2つの分量のEtOAc(180kg、180kg)を用いて追い上げ蒸留する(chase−distilled)。その2回ともそれぞれ約48リットルに濃縮する。追加のEtOAc(85kg)を加え、水分含量をカールフィッシャー滴定で測定する。
得られたEtOAc溶液をエタノール(EtOH、62kg)で希釈し、濯ぎ液としてEtOAc(20kg)を用いて、ポリプロピレン0.5μmフィルターを通してきれいな反応器中へ仕上げろ過(polish−filter)をする。別の可搬式反応器中に、EtOH(80kg)中のHCl(4.3kg)の溶液を調製し、別の新しいフィルターで仕上げろ過し、反応器に収容する。EtOH(10kg)を濯ぎ液として使用する。有機溶液の仕上げろ過により、残留リン酸塩を最終抽出液から除去する。HClの中和を防止するために、きれいなフィルターと容器を使用すべきである。
得られた溶液を約245リットルに濃縮し、追加の追い上げ用のEtOH(497kg)を加えながらその容積に保持する。HPLCによる分析を用いて、ABT−263ビスClを結晶化させるのに必要な約20倍容積に達するため、EtOHの追加的な添加が必要であるかどうかを判定する。
生成溶液を45℃に加熱し、ABT−263ビスHClの種晶(150g)をEtOH(1kg)中のスラリーとして加える。65rpmで撹拌しながら6時間後、スラリーを1時間かけて20℃に冷却し、さらに36時間撹拌する。ろ液の分析を実施して結晶化の完了を確認する。
スラリーを、ポリプロピレンフィルターパッドを用いてフィルタードライヤー中にろ過して入れる。固体をEtOH(2×80kg)で濯ぐ。この濯ぎは、真空をかけないで撹拌しながらスラリーの形で実施し(それぞれについて接触時間は15−25分間)、次いで真空ろ過により除去する。得られたウェットケーキをサンプリングし、不純物について再結晶化が必要かどうかを判断する。
固体を、緩やかに撹拌しながら(最初の8時間は各時間当たり5分間、次いで各8時間シフト当たり5分間)、50℃で真空下および窒素下で8日間かけて乾燥する。ドライヤー試料の分析により、乾燥がいつ完了したか(<0.05%のEtOH残留)が示される。
上記プロセスの稼働において、白色固体生成物の収量は17.4kg(81.0%のHPLCピーク面積収率、99.72%有効)であった。
このプロセスの生成物は、エタノール溶媒和物から脱溶媒和化させることによって調製される実質的に溶媒フリーの結晶形態である、以下により完全に説明する結晶形態IのABT−263ビスHClである。この生成物を、下流での様々な医薬組成物(処方物)の製造におけるAPIとして使用した。
ABT−263ビスHClの溶媒和物を、APIから以下に説明するようにして調製した。
上記のようにして調製した重量測定ずみのABT−263ビスHClを、表1に挙げるそれぞれの溶媒0.5mlに個別に懸濁させる。懸濁液を、光から保護しながら周囲温度で撹拌する。得られた溶媒和物を粉末X線回折(PXRD)で特性評価する。
PXRDデータを、屈曲位置高感度検出器および平行ビーム光学系を備えたG3000回折計(Inel Corp.、Artenay,France)を用いて収集した。回折計は、銅陽極管(1.5kW高精度焦点)を用いて40kVおよび30mAで作動させた。入射ビームゲルマニウム単色光分光器によって単色光を得た。回折計を、減衰直接ビームを用いて1°間隔で較正した。較正は、ケイ素粉末線位置参照標準(NIST640c)を用いてチェックした。計器はSymphonixソフトウェア(Inel Corp.、Artenay,France)を用いてコンピューター制御し、データはJadeソフトウェア(バージョン6.5、Materials Data、Inc.,Livermore、CA)を用いて解析した。試料をアルミ製試料ホルダー上に載せ、スライドガラスで平らにした。
Figure 2012525433
いくつかの溶媒和物の単結晶を結晶学的解析用に調製した。
プロピオニトリル溶媒和物の単結晶を調製するために、上記のようにして調製したABT−263ビスHClをプロピオニトリルに60℃で懸濁させる。懸濁液をシリンジ型フィルターでろ過し、ろ液を新しいバイアルに移す。バイアルをヘキサンチャンバー中に置く。単結晶を一週間後に観察する。表2にプロピオニトリル溶媒和物の結晶学的データを示す。
Figure 2012525433
ニトロメタン溶媒和物の単結晶を調製するために、上記のようにして調製したABT−263ビスHClをニトロメタンに60℃で懸濁させる。懸濁液をシリンジ型フィルターでろ過し、ろ液を新しいバイアルに移す。バイアルを2−ブタノンチャンバー中に置く。単結晶を一週間後に観察する。表3にニトロメタン溶媒和物の結晶学的データを示す。
Figure 2012525433
アセトニトリル溶媒和物の単結晶を調製するために、上記のようにして調製したABT−263ビスHClを、その溶解限度に近い高温で水/アセトニトリル1:99(体積)中に溶解させる。次いで得られたきれいな溶液を環境温度に自然冷却させる。単結晶を7日後に観察する。表4にアセトニトリル溶媒和物の結晶学的データを示す。
Figure 2012525433
個々の溶媒和物のPXRDピークを表5−23に列挙する。ピーク位置は概ね±0.2°2シータ(°2θ)にある。プロピオニトリル、ニトロメタンおよびアセトニトリル溶媒和物の場合、PXRDピークを単結晶構造から算出する。
Figure 2012525433
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1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、t−ブタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルイソプロピルケトン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエンおよびブチルエーテル溶媒和物を含む大部分の溶媒和物の脱溶媒和によって、エタノール溶媒和物の脱溶媒和によって得られるAPIのものと同じPXRDを示す溶媒フリーの結晶形態のABT−263ビスHClが得られる。この結晶形態を形態Iと指定する。形態IのABT−263ビスHClのPXRDスキャンを図1に示す。形態IのABT−263ビスHClのPXRDピークを表24に列挙する。実質的にそこに示したようなピークを有するPXRDパターンは、ABT−263ビスHCl、より具体的には形態IのABT−263ビスHClを特定するのに用いることができる。本明細書の関連で「実質的に示したような」という語句は、指定された位置から約0.2°2θを超えてシフトしていないピークを有することを意味する。ピークの相対強度は稼働ごとに若干変動する可能性があるが、一般に、強度のピークの順位付けは、表24に示すPXRDパターンのそれと類似していることを理解されよう。
Figure 2012525433
形態IのABT−263ビスHClは一般に、以下のPXRDピーク:それぞれで±0.2°2θで、6.8、7.2、8.5、18.5および18.7°2θの任意の1つ以上、例えば任意の2つ以上、任意の3つ以上、任意の4つ以上またはそのすべての存在によって、以下の形態IIと区別することができる。
MEK溶媒和物の脱溶媒和は、PXRDによって、エタノール溶媒和物の脱溶媒和で得られるAPIのそれと異なることが分かっている溶媒フリーの結晶形態のABT−263ビスHClを提供する。MEK溶媒和物の脱溶媒和により得られたこの結晶形態を形態IIと指定する。形態IIのABT−263ビスHClのPXRDスキャンを図2に示す。形態IIのABT−263ビスHClのPXRDピークを表25に列挙する。そこに実質的に示したようなピークを有するPXRDパターンは、ABT−263ビスHCl、より具体的には形態IIのABT−263ビスHClを特定するのに用いることができる。本明細書の関連で「実質的に示したような」という語句は、指定された位置から約0.2°2θを超えてシフトしていないピークを有することを意味する。ピークの相対強度は稼働ごとに若干変動する可能性があるが、一般に、強度のピークの順位付けは、表25に示すPXRDパターンのそれと類似していることを理解されよう。
Figure 2012525433
形態IIのABT−263ビスHClは一般に、それぞれの場合±0.2°2θで、以下のPXRDピーク:3.7および7.4°2θのいずれかまたは両方の存在によって、上記形態Iと区別することができる。
ABT−263ビスHCl、例えば形態I、形態IIまたはこれらの組合せは、それを必要とする対象への経口を含む任意の投与経路に適した医薬組成物の調製において使用することができる。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、ABT−263ビスHClおよび1つ以上の薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、組成物は形態IのABT−263ビスHClを含む。他の実施形態では、組成物は形態IIのABT−263ビスHClを含む。さらに他の実施形態では、組成物は、適切な担体系中のABTビスHClの溶液を含む。これらの実施形態のいずれかによれば、組成物は、例えば経口経路で送達することができる。投与の他の経路には、これらに限定されないが、非経口、舌下、頬側、鼻腔内、肺内、局所、経皮、皮内、眼球、耳内、経直腸、経膣、胃内、頭蓋内、滑液嚢内および関節内経路が含まれる。
そのような組成物は、その組成物が適切なレジメンにしたがってそれを必要とする対象に投与されたとき、治療上効果的であり得る量で、ABT−263ビスHClを含む。投与量は本明細書では、文脈から別段の必要がない限り、遊離塩基相当量で表される。一般に、適当な頻度、例えば日に2回から週に1回で投与できる単位用量(単回で投与される量)は、約10から約1,000mgである。投与頻度が日に1回だけ(q.d.)である場合、単位用量と1日量は同じである。例として、本発明の組成物におけるABT−263の単位用量は、約25から約1,000mg、より典型的には約50から約500mg、例えば約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450または約500mgであってよい。組成物を、錠剤またはカプセルなどの離散した剤形として調製する場合、単位用量は、単一の剤形または数個(small plurality)の剤形、最も一般的には1から約10個の剤形で送達することができる。
単位用量が大きくなればなるほど、処方物中への相対的に高いAPI(この場合ABT−263ビスHCl)のローディングを可能にする添加剤が選択されるようにするのがより望ましい。一般に、本発明の処方物中のABT−263ビスHClの濃度(遊離塩基相当物で表して)は、重量で少なくとも約1%、例えば約1%から約50%であるが、特定の場合、それより低い濃度や高い濃度が許容されるまたはそれを達成することができる。例示的には、種々の実施形態において、ABT−263遊離塩基相当物濃度は、処方物重量の少なくとも約2%、例えば約2%から約40%、例えば約5%、約10%、約15%、約20%、約25%または約30%である。
本発明の組成物は、APIに加えて、1つ以上の薬学的に許容される添加剤を含む。組成物を、経口投与用の固体形態、例えば錠剤またはカプセルとして調製する場合、それは一般に、少なくとも1つ以上の固体賦形剤および1つ以上の固体崩壊剤を含む。場合によって、添加剤は、1つ以上の結合剤、湿潤剤および/または抗摩擦剤(滑沢剤、固着防止剤および/または流動促進剤)をさらに含む。多くの添加剤は、医薬組成物において2つ以上の機能を有する。特定の機能を有するような特定の添加剤、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤等の本明細書での特性評価は、その機能に限定するものと見なされるべきではない。添加剤についてのさらなる情報は、Handbook of Pharmaceutical Excipients、3rd ed.(Kibbe、ed.(2000年)、Washington:American Pharmaceutical Association)などの標準的参考資料に見ることができる。
適切な賦形剤の例には、個別にかまたは組み合わせて、無水ラクトースおよびラクトース一水和物を含むラクトース;ラクチトール;マルチトール;マンニトール;ソルビトール;キシリトール;デキストロースおよびデキストロース一水和物;フルクトース;スクロースならびに圧縮糖、粉砂糖および球状糖などのスクロースをベースとした賦形剤;マルトース;イノシトール;加水分解した穀類固形物;デンプン(例えば、コーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン等)、アミロースおよびデキストレートなどのデンプン成分ならびにアルファ化デンプンなどの加工デンプン;デキストリン;粉末セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、α−および非晶質セルロースおよび粉末セルロースの食品用供給源および酢酸セルロースを含むセルロース;炭酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、第一硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウムおよび粒状乳酸カルシウム三水和物を含むカルシウム塩;炭酸マグネシウム;酸化マグネシウム;ベントナイト;カオリン;塩化ナトリウムなどが含まれる。そうした賦形剤は、存在する場合、一般に合計で、組成物重量の約5%から約95%、例えば約20%から約90%または約50%から約85%を構成する。選択された1つ以上の賦形剤は、適切な流動特性および圧縮性(錠剤が望ましい場合)を示すことが好ましい。
微結晶性セルロースおよびケイ化微結晶性セルロースは特に有用な賦形剤であり、マンニトールなどの水溶性賦形剤と場合によって一緒に使用される。例示的には、マンニトールに対する微結晶性セルロースまたはケイ化微結晶性セルロースの適切な重量比は約10:1から約1:1であるが、特定の環境ではこの範囲外の比も有用である。
適切な崩壊剤には、個別にかまたは組み合わせて、アルファ化デンプンおよびデンプングリコール酸ナトリウムを含むデンプン;クレイ;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;粉末セルロース、微結晶性セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースなどのセルロースをベースとした崩壊剤;カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウム;アルギン酸塩;ポビドン;クロスポビドン;ポラクリリンカリウム;寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチンおよびトラガカントゴムなどのゴム状物;コロイド状二酸化ケイ素などが含まれる。1つ以上の崩壊剤は、存在する場合、一般に合計で、組成物重量の約0.2%から約30%、例えば約0.5%から約20%または約1%から約10%を構成する。
デンプングリコール酸ナトリウムは特に有用な崩壊剤であり、一般に合計で、組成物重量の約1%から約20%、例えば約2%から約15%または約5%から約10%を構成する。
特に組成物が錠剤の形態である場合、結合剤または粘着剤は有用な添加剤である。そうした結合剤および粘着剤は、錠剤化されるブレンド物に十分な凝集力を付与して、サイジング、潤滑、圧縮およびパッケージ化などの通常の加工作業を可能にし、それでも錠剤が崩壊することができ、摂取された際その組成物が吸収されるようにしなければならない。適切な結合剤および粘着剤には、個別にかまたは組み合わせて、アカシア;トラガカント;グルコース;ポリデキストロース;アルファ化デンプンを含むデンプン;ゼラチン;メチルセルロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびエチルセルロースを含む変性セルロース;マルトデキストリンを含むデキストリン;ゼイン;アルギン酸およびアルギン酸の塩、例えばアルギン酸ナトリウム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;ベントナイト;ポリエチレングリコール(PEG);ポリエチレンオキシド;グアーガム;多糖酸;ポリビニルピロリドン(ポビドンすなわちPVP)、例えばポビドンK−15、K−30およびK−29/32;ポリアクリル酸(カルボマー);ポリメタクリレートなどが含まれる。1つ以上の結合剤および/または粘着剤は、存在する場合、一般に合計で、組成物重量の約0.5%から約25%、例えば約1%から約15%または約1.5%から約10%を構成する。
ポビドンおよびヒドロキシプロピルセルロースは、個別にかまたは組み合わせて、錠剤処方物用の特に有用な結合剤であり、存在する場合、一般に組成物重量の約0.5%から約15%、例えば約1%から約10%または約2%から約8%を構成する。
湿潤剤は、存在する場合、薬物を水との近接会合、つまり組成物の生物学的利用能を改善できる状態に保持するように通常選択される。湿潤剤として使用できる界面活性剤の非限定的な例には、個別にかまたは組み合わせて、四級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよび塩化セチルピリジニウム;スルホコハク酸ジオクチルナトリウム;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、例えばノノキシノール9、ノノキシノール10およびオクトキシノール9;ポロキサマー(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンブロックコポリマー);ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび油、例えばポリオキシエチレン(8)カプリル酸/カプリン酸モノおよびジグリセリド、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油およびポリオキシエチレン(40)水添ヒマシ油;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばセテス−10、ラウレス−4、ラウレス−23、オレス−2、オレス−10、オレス−20、ステアレス−2、ステアレス−10、ステアレス−20、ステアレス−100およびポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えばポリオキシエチレン(20)ステアレート、ポリオキシエチレン(40)ステアレートおよびポリオキシエチレン(100)ステアレート;ソルビタンエステル、例えばモノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタンおよびモノステアリン酸ソルビタン;ポリオキシエチレンソルビタンエステル例えばポリソルベート20およびポリソルベート80;プロピレングリコール脂肪酸エステル、例えばプロピレングリコールラウレート;ラウリル硫酸ナトリウム;脂肪酸およびこの塩、例えばオレイン酸、オレイン酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミン;グリセリル脂肪酸エステル、例えばモノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリルおよびパルミチン酸グリセリル;チロキサポールなどが含まれる。1つ以上の湿潤剤は、存在する場合、一般に合計で、組成物重量の約0.1%から約15%、例えば約0.2%から約10%または約0.5%から約7%を構成する。
非イオン性界面活性剤、より具体的にはポロキサマーは本明細書で有用であり得る湿潤剤の例である。例示的には、Pluronic(商標)F127などのポロキサマーは、存在する場合、組成物重量の約0.1%から約10%、例えば約0.2%から約7%または約0.5%から約5%を構成することができる。
滑沢剤は、錠剤処方物の圧縮の際の錠剤化混合物と錠剤化装置の間の摩擦を低下させる。適切な滑沢剤には、個別にかまたは組み合わせて、ベヘン酸グリセリル;ステアリン酸ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸ナトリウムを含むその塩;硬化植物油;グリセリルパルミトステアレート;タルク;ワックス;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;ステアリルフマル酸ナトリウム;PEG(例えば、PEG4000およびPEG6000);ポロキサマー;ポリビニルアルコール;オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;ラウリル硫酸マグネシウムなどが含まれる。1つ以上の滑沢剤は、存在する場合、一般に合計で、組成物重量の約0.05%から約10%、例えば約0.1%から約5%または約0.2%から約2%を構成する。ステアリルフマル酸ナトリウムは特に有用な滑沢剤である。
固着防止剤は、錠剤処方物の装置表面への固着を低減させる。適切な固着防止剤には、個別にかまたは組み合わせて、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、DL−ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸金属塩が含まれる。1つ以上の固着防止剤は、存在する場合、一般に合計で、組成物重量の約0.05%から約10%、例えば約0.1%から約7%または約0.2%から約5%を構成する。コロイド状二酸化ケイ素は特に有用な固着防止剤である。
流動促進剤は、流動特性を改善し、錠剤化混合物の静電気を低減させる。適切な流動促進剤には、個別にかまたは組み合わせて、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、粉末セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、三ケイ酸マグネシウムおよびステアリン酸金属塩が含まれる。1つ以上の流動促進剤は、存在する場合、一般に合計で、組成物重量の約0.05%から約10%、例えば約0.1%から約7%または約0.2%から約5%を構成する。コロイド状二酸化ケイ素は特に有用な流動促進剤である。
緩衝剤、安定剤、酸化防止剤、抗菌剤、着色剤、香味剤および甘味剤などの他の添加剤は製薬技術分野で公知であり、本発明の組成物において使用することができる。錠剤はコーティングされていなくてもよく、または、例えば非機能性膜または放出改変もしくは腸溶コーティングでコーティングされたコアを含むこともできる。カプセルは、場合によって1つ以上の可塑剤と一緒に、例えばゼラチン(硬質ゼラチンカプセルまたは軟質弾性ゼラチンカプセルの形態)、デンプン、カラギーナンおよび/またはHPMCを含む硬質または軟質の剤皮を有することができる。
固体の経口送達可能な本発明の組成物は、それを調製する方法によって限定されるものではない。直接圧縮を用いるか用いない乾式ブレンドならびに湿式および乾式造粒を含む適切な任意の製薬方法を用いることができる。
組成物を液体(カプセル化された液体を含む)形態で調製する場合、API(ABT−263ビスHCl)を、例えば、適切な担体、一般にAPIのための脂質溶媒を含む担体中に溶解させることができる。単位用量が多くなればなるほど、比較的高い濃度の薬物を溶解することができる担体が選択されることがより望ましくなる。一般に、担体中のAPIの遊離塩基相当物濃度は少なくとも約10mg/ml、例えば約10から約500mg/mlであるが、特定の場合、それより低い濃度や高い濃度が許容されるまたはそれを達成することができる。例として、種々の実施形態において、薬物濃度は少なくとも約10mg/ml、例えば約10から約400mg/mlまたは少なくとも約20mg/ml、例えば約20から約200mg/ml、例えば約20、約25、約30、約40、約50、約75、約100、約125、約150もしくは約200mg/mlである。
担体は、実質的に非水性であってよく、すなわち、水分を含まない、または、実際的な意味で、組成物の性能または特性に本質的に悪影響を及ぼさない程度に十分少ない量しか水分を含まない。一般に、担体は0から約5重量%未満の水分を含む。本明細書で有用な特定の構成要素は少量の水分を、分子または超分子構造の上またはこの中に結合することができ、存在する場合、そうした結合水は、本明細書で定義する担体の「実質的に非水性」の特徴に影響を及ぼさないことを理解されよう。
いくつかの実施形態では、担体は、1つ以上のグリセリド物質を含む。適切なグリセリド物質には、これらに限定されないが、中鎖から長鎖のモノ−、ジ−およびトリグリセリドが含まれる。本明細書では「中鎖」という用語は、例えばCからC10鎖を含む約6個以上から約12個未満の炭素原子を個別に有するヒドロカルビル鎖を指す。したがって、カプリリルおよびカプリル鎖、例えばカプリル酸/カプリン酸モノ−、ジ−および/またはトリグリセリドを含むグリセリド物質は、本明細書での「中鎖」グリセリド物質の例である。本明細書では「長鎖」という用語は、例えばラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オレイル、リノレイルおよびリノレニル鎖を含む少なくとも約12、例えば約12から約18個の炭素原子を有するヒドロカルビル鎖を指す。グリセリド物質中の中鎖から長鎖のヒドロカルビル基は飽和されていても、モノまたはポリ不飽和であってよい。
一実施形態では、担体は、中鎖および/または長鎖トリグリセリド物質を含む。中鎖トリグリセリド物質の適切な例は、例えばAbitec Corp.のCaptex355EP(商標)およびこれと実質的に同等の産物などのカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド産物である。長鎖トリグリセリドの適切な例には、任意の薬学的に許容される植物油、例えばキャノーラ油、ココナツオイル、コーンオイル、綿実油、アマニ油、オリーブ油、ヤシ油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油およびひまわり油およびこれらの油の混合物が含まれる。動物、特に、例えば魚油を含む海産動物由来の油も使用することができる。
特に有用であると見出された担体系は、2つの必須成分:リン脂質とこのリン脂質のための薬学的に許容される可溶化剤を含む。本明細書でのある(またはその)リン脂質、可溶化剤または他の処方物構成要素への単数での参照は、複数、したがって組合せ、例えば2つ以上のリン脂質または2つ以上の可溶化剤の混合物を本明細書では明らかに考慮することを理解されよう。可溶化剤、または可溶化剤とリン脂質の組合せも薬物を可溶化するが、場合によって担体中に存在する界面活性剤またはアルコール、例えばエタノールなどの他の担体構成要素は、状況によって、薬物の可溶化を増進させることができる。
薬学的に許容される任意のリン脂質またはリン脂質の混合物を使用することができる。一般に、そうしたリン脂質は、加水分解してリン酸、脂肪酸、アルコールおよび窒素含有塩基をもたらすリン酸エステルである。薬学的に許容されるリン脂質には、これらに限定されないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリンおよびホスファチジルエタノールアミンが含まれる。一実施形態では、組成物は、例えば天然レシチンから誘導されるホスファチジルコリンを含む。卵黄などの動物源を含む任意のレシチン供給源を用いることができるが、一般に植物源が好ましい。大豆は、本発明で使用するホスファチジルコリンを供給できるレシチンの特に豊富な供給源である。
例示的には、リン脂質の適切な量は、担体の重量の約15%から約75%、例えば約30%から約60%であるが、特定の状況では、それより多い量やそれより少ない量を用いることができる。
可溶化剤の成分として有用な構成要素は特に限定されないが、それは、ある程度薬物およびリン脂質の所望濃度に依存することになる。一実施形態では、可溶化剤は、1つ以上のグリコール、1つ以上のグリコリドおよび/または1つ以上のグリセリド物質を含む。
適切なグリコールには、約200から約1,000g/モルの分子量を有するプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール(PEG)、例えば約400g/モルの平均分子量を有するPEG−400が含まれる。そうしたグリコールは比較的高い薬物の溶解度を提供できるが、例えば、グリコールは超酸化物、過酸化物および/または遊離のヒドロキシルラジカルを生成する傾向があるため、そうしたグリコールを含む担体中に溶解している場合、薬物が酸化的分解する可能性は高まる恐れがある。担体のグリコール含有量が高くなればなるほど、化学的に不安定な薬物の分解の傾向が大きくなる。したがって、一実施形態では、1つ以上のグリコールは、担体の少なくとも重量で約1%、しかし約50%未満、例えば約30%未満、約20%未満、約15%未満または約10%未満の合計グリコール量で存在する。他の実施形態では、担体はグリコールを実質的に含まない。
グリコリドは、1つ以上の有機酸、例えば中鎖から長鎖の脂肪酸でエステル化されたプロピレングリコールまたはPEGなどのグリコールである。適切な例には、例えばAbitec Corp.からのそれぞれCapmul PG−8(商標)、Capmul PG−12(商標)およびCapmul PG−2L(商標)ならびにこれらと実質的に同等の産物などのプロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレートおよびプロピレングリコールジラウレート産物が含まれる。
リン脂質と共に使用するのに適切なグリセリド物質には、これらに限定されないが、上記したものが含まれる。1つ以上のグリセリド物質が可溶化剤の主成分として存在する場合、グリセリドの適切な合計量は、担体の他の成分と一緒に、リン脂質を可溶化するのに有効な量であり、薬物および酸化防止剤を溶液中に保持するのに効果的な量である。例えば、中鎖および/または長鎖トリグリセリドなどのグリセリド物質は、担体の重量の約5%から約70%、例えば約15%から約60%または約25%から約50%の合計グリセリド量で存在することができる。
望むなら、グリコールまたはグリセリド物質以外の他の可溶化剤を含めることができる。そうした薬剤、例えばジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)などのN置換アミド溶媒は、特定の場合、薬物の担体中の溶解限度を増大させ、それによって薬物ローディングを増大させる助けとすることができる。しかし、本明細書で有用な担体は一般に、そうした追加の薬剤なしで、本明細書で興味のある小分子薬物の十分な溶解性を提供する。
リン脂質を可溶化するのに十分な量のグリコール、グリコリドまたはグリセリド物質が存在する場合でも、得られる担体溶液および/または薬物−担体系は粘性であり、取り扱うのが困難であるまたは取り扱うのに不便である可能性がある。そうした場合、担体中に、許容できる程度に低い粘度を提供するのに有効な量の粘度低下剤を含めるのが望ましいことが分かっている。そうした薬剤の例は、アルコール、特にエタノールである。これは、実質的に水分を含まない形態、例えば99%のエタノール、脱水アルコールUSPまたは無水エタノールで導入することが好ましい。しかし、過度に高いエタノール濃度は一般に避けるべきである。これは、例えば薬物−担体系をゼラチンカプセルで投与する場合、特にあてはまる。それは、高いエタノール濃度によってカプセルの機械的破損がもたらされる傾向があるからである。一般に、適切なエタノール量は担体の重量の0%から約25%、例えば約1%から約20%または約3%から約15%である。
場合によって、担体は薬学的に許容される非リン脂質界面活性剤をさらに含む。当業者は、本発明の組成物で使用するための適切な界面活性剤を選択することができよう。例として、ポリソルベート80などの界面活性剤を、担体の重量の0%から約5%、例えば0%から約2%または0%から約1%の量で含むことができる。
好都合なことに、本発明の組成物において使用するための適切なリン脂質+可溶化剤の組合せを含む予めブレンドされた産物を入手することができる。予めブレンドされたリン脂質+可溶化剤産物は、本発明の組成物の調製のし易さを向上させるのに有利である。
予めブレンドされたリン脂質+可溶化剤産物の例はPhospholipid GmbH、Germanyから市販されているPhosal 50PG(商標)である。これは、重量で50%以上のホスファチジルコリン、せいぜい6%のリソホスファチジルコリン、約35%のプロピレングリコール、約3%のひまわり油からのモノおよびジグリセリド、約2%の大豆脂肪酸、約2%のエタノールならびに約0.2%のパルミチン酸アスコルビルを含む。
他の例は、やはりPhospholipid GmbHから市販されているPhosal 53MCT(商標)である。これは、重量で53%以上のホスファチジルコリン、せいぜい6%のリソホスファチジルコリン、約29%の中鎖トリグリセリド、3−6%(一般に約5%)のエタノール、約3%のひまわり油からのモノおよびジグリセリド、約2%のオレイン酸ならびに約0.2%パルミチン酸アスコルビル(参照組成物)を含む。上記組成物または実質的にそれと同等な組成物を有する産物は本明細書では、Phosal 53MCT(商標)という銘柄であっても他のものであってもよいが、通常「ホスファチジルコリン+中鎖トリグリセリド53/29」と称する。本発明の関連で「実質的に同等な組成物」を有する産物というのは、その構成要素リスト中の参照組成物および構成要素の相対量と十分に類似した組成を有していて、本明細書での産物の利用に関する特性において実際的な差を示さないことを意味する。
さらに他の例は、Lipoid GmbHから市販されているLipoid S75(商標)である。これは、重量で可溶化系中に70%以上のホスファチジルコリンを含む。これを、中鎖トリグリセリドと、例えば30/70の重量/重量混合物でさらにブレンドして、重量で20%以上のホスファチジルコリン、2−4%ホスファチジルエタノールアミン、せいぜい1.5%リソホスファチジルコリンおよび67−73%中鎖トリグリセリドを含む産物(「Lipoid S75(商標)MCT」)を提供することができる。
さらに他の例は、やはりPhospholipid GmbHから市販されているPhosal 50SA+(商標)である。これは、重量でサフラワー油および他の構成要素を含む可溶化系中に50%以上のホスファチジルコリンおよびせいぜい6%リソホスファチジルコリンを含む。
これらの予めブレンドされた産物のそれぞれのホスファチジルコリン成分は、大豆レシチンから誘導される。実質的に同等な組成の産物を他の供給業者から得ることができる。
Phosal 50PG(商標)、Phosal 53MCT(商標)、Lipoid S75(商標)MCTまたはPhosal 50SA+(商標)などの予めブレンドされた産物は、いくつかの実施形態では、担体系全体を実質的に構成する。他の実施形態では、追加の構成要素、例えばエタノール(予めブレンドされた産物中に存在していてもよいものに追加して)、ポリソルベート80などの非リン脂質界面活性剤、ポリエチレングリコールおよび/または他の構成要素が存在する。そうした追加の構成要素は、存在する場合、一般にわずかな量しか含まれない。例として、ホスファチジルコリン+中鎖トリグリセリド53/29は、担体の重量の約50%から100%、例えば約80%から100%の量で担体中に含めることができる。
ABT−263およびこのビスHCl塩は酸化環境で分解し易く、したがって、その組成物中に酸化防止剤を含有させることが望ましいことがしばしばある。医薬組成物で用いられる酸化防止剤は最も一般的には、三重項もしくは一重項酸素、超酸化物、過酸化物および遊離のヒドロキシルラジカルなどの酸化性種の発生を抑制する薬剤またはそうした酸化性種が発生したときそれらを捕捉する薬剤である。これらの部類の中で通常使用される酸化防止剤の例には、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、パルミチン酸レチニル、トコフェロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸およびパルミチン酸アスコルビルが含まれる。そうした酸化防止剤を使用することができる。または、重カルコゲン酸化防止剤は特に有用であり得る。
カルコゲンは、酸素、イオウ、セレンおよびテルルを含む周期律表の第16族(以前は第VIA族として知られていた)の元素である。本明細書では「重カルコゲン」は、酸素より重い原子量を有する、具体的にはイオウおよびセレンを含むカルコゲンを意味する。「重カルコゲン酸化防止剤」すなわち「HCA」は、1つ以上の酸化性イオウまたはセレン、特にイオウ原子を含む酸化防止特性を有する化合物である。理論に拘泥するわけではないが、HCAは、酸化性種によって優先的に攻撃され、それによって過度の分解から薬物を保護する競合的基材すなわち「犠牲的」酸化防止剤として主に機能すると考えられる。
いくつかの実施形態では、そのHCAは1つ以上の式IIの酸化防止化合物:
Figure 2012525433
(式中、
nは0、1または2であり;
はSまたはSeであり;
はNHR、OHまたはHであり、Rはアルキルまたはアルキルカルボニルであり;
はCOORまたはCHOHであり、RはHまたはアルキルであり;
はHまたはアルキルであり;
アルキル基は、カルボキシル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノおよびアルキルカルボニルアミノからなる群から独立に選択される1つ以上の置換基で、独立に場合によって置換されている。)、
薬学的に許容されるこの塩、または式中、YはSであり、RはHである場合、その−S−S−二量体またはそうした二量体の薬学的に許容される塩
を含む。
他の実施形態では、HCAは式IIIの酸化防止化合物:
Figure 2012525433
(式中、
YはS、SeまたはS−Sであり;
およびRはH、アルキルおよび(CHから独立に選択され、nは0−10であり、Rはアリールカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシルまたはCHR置換アルキルであり、RおよびRは独立にCO、CHOH、水素またはNHR10であり、RはH、アルキル、置換アルキルまたはアリールアルキルであり、R10は水素、アルキル、アルキルカルボニルまたはアルコキシカルボニルである。)
である。
式IIまたは式IIIによる置換基の部分を形成する「アルキル」置換基または「アルキル」もしくは「アルコキシ」基は、1から約18個の炭素原子を有するものであり、直鎖または分岐鎖からなっていてよい。
式IIIによる置換基の部分を形成する「アリール」基は、置換されていないまたは1つ以上のヒドロキシ、アルコキシもしくはアルキル基で置換されているフェニル基である。
いくつかの実施形態では、式IIのRはC1−4アルキル(例えば、メチルもしくはエチル)または(C1−4アルキル)カルボニル(例えば、アセチル)である。
いくつかの実施形態では、式IIのRは、HまたはC1−18アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピルもしくはイソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチルもしくはt−ブチル)、オクチル(例えば、n−オクチルもしくは2−エチルヘキシル)、ドデシル(例えば、ラウリル)、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシルまたはオクタデシル(例えば、ステアリル)である。
は一般にHまたはC1−4アルキル(例えば、メチルもしくはエチル)である。
HCAは、例えば、アルキルエステルもしくはN−アシル誘導体などの天然または合成のアミノ酸もしくはこの誘導体またはそうしたアミノ酸もしくは誘導体の塩であってよい。アミノ酸またはこの誘導体が自然源から誘導される場合、それは一般にL立体配置であるが、D異性体およびD,L異性体混合物は、必要なら、置換されていてよいことを理解されたい。
本明細書で有用なHCAの非限定的な例には、β−アルキルメルカプトケトン、システイン、シスチン、ホモシステイン、メチオニン、チオジグリコール酸、チオジプロピオン酸、チオグリセロール、セレノシステイン、セレノメチオニンおよびこの塩、エステル、アミドおよびチオエーテル、ならびにこれらの組合せが含まれる。より具体的には、1つ以上のHCAを、N−アセチルシステイン、N−アセチルシステインブチルエステル、N−アセチルシステインドデシルエステル、N−アセチルシステインエチルエステル、N−アセチルシステインメチルエステル、N−アセチルシステインオクチルエステル、N−アセチルシステインプロピルエステル、N−アセチルシステインステアリルエステル、N−アセチルシステインテトラデシルエステル、N−アセチルシステイントリデシルエステル、N−アセチルメチオニン、N−アセチルメチオニンブチルエステル、N−アセチルメチオニンドデシルエステル、N−アセチルメチオニンエチルエステル、N−アセチルメチオニンメチルエステル、N−アセチルメチオニンオクチルエステル、N−アセチルメチオニンプロピルエステル、N−アセチルメチオニンステアリルエステル、N−アセチルメチオニンテトラデシルエステル、N−アセチルメチオニントリデシルエステル、N−アセチルセレノシステイン、N−アセチルセレノシステインブチルエステル、N−アセチルセレノシステインドデシルエステル、N−アセチルセレノシステインエチルエステル、N−アセチルセレノシステインメチルエステル、N−アセチルセレノシステインオクチルエステル、N−アセチルセレノシステインプロピルエステル、N−アセチルセレノシステインステアリルエステル、N−アセチルセレノシステインテトラデシルエステル、N−アセチルセレノシステイントリデシルエステル、N−アセチルセレノメチオニン、N−アセチルセレノメチオニンブチルエステル、N−アセチルセレノメチオニンドデシルエステル、N−アセチルセレノメチオニンエチルエステル、N−アセチルセレノメチオニンメチルエステル、N−アセチルセレノメチオニンオクチルエステル、N−アセチルセレノメチオニンプロピルエステル、N−アセチルセレノメチオニンステアリルエステル、N−アセチルセレノメチオニンテトラデシルエステル、N−アセチルセレノメチオニントリデシルエステル、システイン、システインブチルエステル、システインドデシルエステル、システインエチルエステル、システインメチルエステル、システインオクチルエステル、システインプロピルエステル、システインステアリルエステル、システインテトラデシルエステル、システイントリデシルエステル、シスチン、シスチンジブチルエステル、シスチンジ(ドデシル)エステル、シスチンジエチルエステル、シスチンジメチルエステル、シスチンジオクチルエステル、シスチンジプロピルエステル、シスチンジステアリルエステル、シスチンジ(テトラデシル)エステル、シスチンジ(トリデシル)エステル、N,N−ジアセチルシスチン、N,N−ジアセチルシスチンジブチルエステル、N,N−ジアセチルシスチンジエチルエステル、N,N−ジアセチルシスチンジ(ドデシル)エステル、N,N−ジアセチルシスチンジメチルエステル、N,N−ジアセチルシスチンジオクチルエステル、N,N−ジアセチルシスチンジプロピルエステル、N,N−ジアセチルシスチンジステアリルエステル、N,N−ジアセチルシスチンジ(テトラデシル)エステル、N,N−ジアセチルシスチンジ(トリデシル)エステル、ジブチルチオジグリコレート、ジブチルチオジプロピオネート、ジ(ドデシル)チオジグリコレート、ジ(ドデシル)チオジプロピオネート、ジエチルチオジグリコレート、ジエチルチオジプロピオネート、ジメチルチオジグリコレート、ジメチルチオジプロピオネート、ジオクチルチオジグリコレート、ジオクチルチオジプロピオネート、ジプロピルチオジグリコレート、ジプロピルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジグリコレート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジ(テトラデシル)チオジグリコレート、ジ(テトラデシル)チオジプロピオネート、ホモシステイン、ホモシステインブチルエステル、ホモシステインドデシルエステル、ホモシステインエチルエステル、ホモシステインメチルエステル、ホモシステインオクチルエステル、ホモシステインプロピルエステル、ホモシステインステアリルエステル、ホモシステインテトラデシルエステル、ホモシステイントリデシルエステル、メチオニン、メチオニンブチルエステル、メチオニンドデシルエステル、メチオニンエチルエステル、メチオニンメチルエステル、メチオニンオクチルエステル、メチオニンプロピルエステル、メチオニンステアリルエステル、メチオニンテトラデシルエステル、メチオニントリデシルエステル、S−メチルシステイン、S−メチルシステインブチルエステル、S−メチルシステインドデシルエステル、S−メチルシステインエチルエステル、S−メチルシステインメチルエステル、S−メチルシステインオクチルエステル、S−メチルシステインプロピルエステル、S−メチルシステインステアリルエステル、S−メチルシステインテトラデシルエステル、S−メチルシステイントリデシルエステル、セレノシステイン、セレノシステインブチルエステル、セレノシステインドデシルエステル、セレノシステインエチルエステル、セレノシステインメチルエステル、セレノシステインオクチルエステル、セレノシステインプロピルエステル、セレノシステインステアリルエステル、セレノシステインテトラデシルエステル、セレノシステイントリデシルエステル、セレノメチオニン、セレノメチオニンブチルエステル、セレノメチオニンドデシルエステル、セレノメチオニンエチルエステル、セレノメチオニンメチルエステル、セレノメチオニンオクチルエステル、セレノメチオニンプロピルエステル、セレノメチオニンステアリルエステル、セレノメチオニンテトラデシルエステル、セレノメチオニントリデシルエステル、チオジグリコール酸、チオジプロピオン酸、チオグリセロール、これらの異性体および異性体の混合物ならびにこれらの塩から選択することができる。
HCA化合物の塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリセロリン酸塩、グルタミン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、パラ−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩などの酸付加塩であってよい。特定の実施形態では、上記に個別に挙げた化合物の1つの塩酸塩は、酸化防止上有効な量で組成物中に存在する。
理論に拘泥するわけではないが、一般に、上記に例示したものなどの重カルコゲン酸化防止剤は、それら自体がより簡単に酸化可能であり、したがって薬物化合物より優先的に酸化されることによって、活性化合物を保護すると考えられる。一般に、薬物化合物に対して許容できる程度の保護を提供するこの作用様式のためには、酸化防止剤は、相当な量、例えば薬物化合物に対して少なくとも約1:10のモル比で存在しなければならない。いくつかの実施形態では、薬物化合物に対する酸化防止剤のモル比は約1:10から約2:1、例えば約1:5から約1.5:1である。モル比は、約1:1、すなわち約8:10から約10:8のときに最も良好な結果が得られることがある。
上記HCAの代替物は、異なる部類のイオウ含有酸化防止剤、すなわち亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸塩およびチオ硫酸塩の無機酸化防止剤で提供することができる。厄介なことには、これらの酸化防止剤は低脂溶性であり、水溶液中の脂質をベースとした担体または薬物−担体系に導入されなければならない。水の存在はABT−263溶液中でのスルホキシド生成を促進するため、その水を最小限にするのが非常に効果的である。加えられる水の量を制限するために、低脂溶性酸化防止剤は一般に、ABT−263の濃度のモル当量を提供する濃度よりずっと低い濃度で加えられる。
亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸塩またはチオ硫酸塩酸化防止剤などの低脂溶性酸化防止剤を使用する場合、薬物−担体系中に、約1重量%を超えない、例えば約0.2%から約0.8重量%の量の水を含有させる。そうした少量の水に導入させることができるそうした酸化防止剤の量は一般に、薬物−担体系の重量の約0.2重量%を超えず、例えば約0.02%から約0.2%または約0.05%から約0.15%の量である。
処方物に加える水の量を最少化するために、例えば少なくとも約10重量%の酸化防止剤を含む比較的濃縮された水性ストック溶液の形態で酸化防止剤を提供することが望ましい。しかし、過度に濃厚なストック溶液(例えば、約20%以上)を使用すると、処方物中に望ましくない固体沈殿物をもたらす恐れがあることが分かっている。ストック溶液中の酸化防止剤の適切な濃度は一般に約10%から約18%、例示的には約15重量%である。
亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸塩およびチオ硫酸塩のナトリウムおよびカリウム塩、特にメタ重亜硫酸ナトリウムおよびメタ重亜硫酸カリウムは本実施形態による有用な酸化防止剤である。
スルホキシド生成をさらに最少化させるために、EDTAまたはこの塩(例えば、ジナトリウムEDTAまたはカルシウムジナトリウムEDTA)などのキレート剤を、場合によって、例えば薬物−担体系の重量の約0.002%から約0.02%の量で加える。EDTAは、酸化防止剤と同じような仕方で水性ストック溶液として加えることができる。酸化防止剤およびEDTAは、望むなら、同じストック溶液の成分として加えることができる。キレート剤は、酸化的分解を促進させることができる金属イオンを封鎖する。
スルホキシド生成は、低い過酸化物価を有する処方物構成要素を選択することによって、さらに最少化することができる。過酸化物価は、十分確立された薬剤用添加剤の特性であり、これは、一般に(本明細書でも)、1kg添加剤当たりの過酸化物のミリグラム当量(meq/kg)に相当する単位で表される。いくつかの添加剤は本質的に低い過酸化物価を有するが、他の、例えばオレイル部分および/またはポリオキシエチレン鎖などの不飽和脂肪酸を有するものは過酸化物の供給源となる可能性がある。例えば、ポリソルベート80の場合、約5以下、例えば約2以下の過酸化物価を有するポリソルベート80の供給源を選択することが好ましい。適切な供給源には、どちらもCrodaから入手することができるCrillet4HP(商標)および超精製されたTween80(商標)が含まれる。
理論に拘泥するわけではないが、ABT−263の治療効能は、少なくとも一部は、例えばタンパク質のBH3結合溝を占有することによってタンパク質の抗アポトーシス作用を阻害する仕方での、Bcl−2、Bcl−XまたはBcl−wなどのBcl−2ファミリータンパク質とのその結合能に起因すると考えられる。
本発明のさらに他の実施形態として、抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質のアポトーシス機能不全および/または過剰発現を特徴とする疾患を有する対象に、治療有効量のABT−263ビスHClまたはABT−263ビスHClおよび1つ以上の薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物を投与することを含む、その疾患を治療する方法を提供する。
対象は、ヒトであってもヒト以外(例えば、家畜、動物園の動物、作業用動物もしくはコンパニオンアニマルまたはモデルとして用いられる実験動物)であってもよいが、重要な実施形態では、対象は、例えば、抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質のアポトーシス機能不全および/または過剰発現を特徴とする疾患を治療するためにその薬物を必要とするヒト患者である。ヒト対象は、男性であっても女性であってもよく、またいかなる年齢であってもよい。患者は一般に成人であるが、本発明の方法は、小児患者における白血病、例えば急性リンパ性白血病などの小児がんを治療するのに有用であり得る。
組成物は通常、治療上有効な1日量の薬物を提供する量で投与される。本明細書では「1日量」という用語は、投与頻度に関係なく、1日当たりに投与される薬物量を意味する。例えば、対象が、150mgの単位用量を日に2回投与される場合、その1日量は300mgである。「1日量」という用語の使用は、指定された投薬量が必ず1日に1回で投与されることを意味するものではないことを理解されよう。しかし、特定の実施形態では、投薬頻度は日に1回(q.d.)であり、この実施形態では、1日量と単位用量は同じことである。
治療有効用量を構成するものは、具体的な処方物の生物学的利用能、対象(対象の種および体重を含む)、治療される疾患(例えば、特定の種類のがん)、疾患の段階および/または重症度、個々の対象の化合物忍容性、化合物が単剤療法で投与されるまたは1つ以上の他の薬物、例えばがんの治療のための他の化学療法薬と併用されるかどうかならびに他の因子に依存する。したがって、1日量は広い範囲内、例えば約10から約1,000mgで変えることができる。特定の状況では、それより多いまたは少ない1日量でも妥当である。本明細書で「治療有効」用量という表示は、本明細書では、単回用量で投与しただけで薬物が治療的に有効であることを必ずしも求めるものではなく;一般に治療効能は、組成物が、適切な投与頻度および投与期間を含むレジメンにしたがって繰り返し投与されることに依ることを理解されよう。選択される1日量は、がんを治療することに関して利益を提供するのに十分であるが、それが、許容できないまたは忍容できない程度に不都合な副作用を引き起こす程多くはないことが非常に好ましい。適切な治療有効用量は、上記したものなどの要素を考慮に入れて、本明細書での開示および本明細書で引用した技術をもとにして過度の実験を用いることなく、専門医が選択することができる。医師は、例えばがん患者に、比較的少ない1日量を用いた治療のコースで開始し、数日間または数週間にわたって用量を漸増して不都合な副作用のリスクを軽減させることができる。
例として、ABT−263の適切な用量は一般に、約3時間から約7日間、例えば約8時間から約3日間または約12時間から約2日間の平均投薬間隔で投与して、約25から約1,000mg/日、より典型的には約50から約500mg/日または約200から約400mg/日、例えば約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450または約500mg/日である。大抵の場合、日に1回(q.d.)の投与レジメンが適切である。
本明細書では「平均投薬間隔」は、ある時間のスパン、例えば1日または1週間のスパンを、その時間スパンにわたって投与される単位用量の回数で除したものと定義される。例えば、薬物を午前8時頃、正午頃および午後6時頃日に3回投与する場合、その平均投薬間隔は8時間(24時間の時間スパンを3で除して)である。薬物を錠剤またはカプセルなどの離散した剤形として処方する場合、一度に投与される複数個(例えば、2から約10個)の剤形を、平均投薬間隔を定義するための単位用量と考える。
1日の投薬量および投薬間隔は、ABT−263の血漿濃度を約0.5から約10μg/mlの範囲に維持するように選択することができる。したがって、そうした実施形態によるABT−263治療の過程の間、定常状態ピーク血漿濃度(Cmax)は一般に約10μg/mlを超えないようにし、定常状態トラフ血漿濃度(Cmin)は一般に約0.5μg/mlを下回らないようにしなければならない。上記した範囲内で、定常状態で約5以下、例えば約3以下のCmax/Cmin比を提供するのに効果的な1日の投薬量および平均投薬間隔を選択ことが望ましいことがさらに分かっている。投薬間隔がより長くなると、より大きいCmax/Cmin比が得られる傾向があることを理解されよう。例として、本発明の方法によれば、定常状態で、約3から約8μg/mlのABT−263Cmaxおよび約1から約5μg/mlのCminを目標とすることができる。CmaxとCminの定常状態値は、例えば、これらに限定されないが、米国食品医薬品局(FDA)などの監督官庁に受け入れられるものを含む標準プロトコルにしたがって実施される、ヒトPK試験で確立することができる。
本発明の組成物は、食物効果(food effect)をわずかしか示さないと考えられるので、本実施形態による投与は、食物を用いても用いないでも、すなわち非絶食条件下であっても絶食条件下であってもよい。一般に、本発明の組成物は、非絶食患者に投与することが好ましい。
本発明の組成物は、単剤療法で、または例えば他の化学療法薬もしくは電離放射線との併用療法で使用するのに適している。本発明の具体的な利点は、1日1回のレジメンで他の経口投与薬物治療を受けている患者に好都合なレジメンである、1日1回の経口投与を可能にすることである。経口投与は、患者自身または患者の自宅の介護者によって容易に実施することができる。これはまた、病院または居住看護施設における患者のための好都合な投与経路でもある。
併用療法の例は、ABT−263ビスHClを、ボルテゾミド、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、デキサメタゾン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、フルダラビン、ヒドロキシドキソルビシン、イリノテカン、パクリタキセル、ラパマイシン、リツキシマブ、ビンクリスチンなどの1つ以上と一緒に含む本発明の組成物を、例えばCHOP(シクロホスファミド+ヒドロキシドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン)、RCVP(リツキシマブ+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プレドニゾン)、R−CHOP(リツキシマブ+CHOP)またはDA−EPOCH−R(投与量が調節されたエトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびリツキシマブ)などの多剤療法と併せて投与することを含む。
ABT−263ビスHClを含む本発明の組成物は、これらに限定されないが、血管形成阻害剤、抗増殖剤、他のアポトーシスプロモーター(例えば、Bcl−xL、Bcl−wおよびBfl−1阻害剤)、細胞死受容体経路の活性化因子、BiTE(二重特異性T細胞結びつけ)抗体、二重可変ドメイン結合タンパク質(DVD)、アポトーシスタンパク質(IAP)の阻害剤、ミクロRNA、マイトジェン活性化細胞外シグナル調節キナーゼ阻害剤、多価結合タンパク質、ポリADP(アデノシン二リン酸)−リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、阻害的低分子リボ核酸(siRNA)、キナーゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、ポロ様キナーゼ阻害剤、bcr−ablキナーゼ阻害剤、成長因子阻害剤、COX−2阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、抗分裂剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、インターカレート抗生物質(intercalating antibiotics)、白金含有化学療法剤、成長因子阻害剤、電離放射線、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物反応修飾物質、免疫薬、抗体、ホルモン療法、レチノイド、デルトイド、植物性アルカロイド、プロテアソーム阻害剤、HSP−90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、プリン類似薬、ピリミジン類似体、MEK阻害剤、CDK阻害剤、ErbB2受容体阻害剤、mTOR阻害剤ならびに他の抗腫瘍剤を含む1つ以上の治療薬との併用療法で投与することができる。
血管形成阻害剤には、これらに限定されないが、EGFR阻害剤、PDGFR阻害剤、VEGFR阻害剤、TIE2阻害剤、IGFlR阻害剤、マトリクスメタロプロテイナーゼ2(MMP−2)阻害剤、マトリクスメタロプロテイナーゼ9(MMP−9)阻害剤およびトロンボスポンジン類似体が含まれる。
EGFR阻害剤の例には、これらに限定されないが、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブ、EMD−7200、ABX−EGF、HR3、IgA抗体、TP−38(IVAX)、EGFR融合タンパク質、EGF−ワクチン、抗EGFRイムノリポソームおよびラパチニブが含まれる。
PDGFR阻害剤の例には、これらに限定されないが、CP−673451およびCP−868596が含まれる。
VEGFR阻害剤の例には、これらに限定されないが、ベバシズマブ、スニチニブ、ソラフェニブ、CP−547632、アキシチニブ、バンデタニブ、AEE788、AZD−2171、VEGFトラップ、バタラニブ、ペガプタニブ、IM862、パゾパニブ、ABT−869およびアンジオザイムが含まれる。
ABT−263または本明細書の式Iの化合物以外のBcl−2ファミリータンパク質阻害剤には、これらに限定されないが、AT−101((−)ゴシポール)、Genasense(商標)Bcl−2を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(G3139またはオブリメルセン)、IPI−194、IPI−565、ABT−737、GX−070(オバトクラックス)などが含まれる。
細胞死受容体経路の活性化因子には、これらに限定されないが、TRAIL、抗体または細胞死受容体(例えば、DR4およびDR5)を標的とする他の薬剤、例えばアポマブ、コナツムマブ、ETR2−ST01、GDC0145(レクサツムマブ)、HGS−1029、LBY−135、PRO−1762およびトラスツズマブが含まれる。
トロンボスポンジン類似体の例には、これらに限定されないが、TSP−1、ABT−510、ABT−567およびABT−898が含まれる。
オーロラキナーゼ阻害剤の例にはこれらに限定されないが、VX−680、AZD−1152およびMLN−8054が含まれる。
ポロ様キナーゼ阻害剤の例には、これに限定されないがBI−2536が含まれる。
bcr−ablキナーゼ阻害剤の例には、これらに限定されないが、イマチニブおよびダサチニブが含まれる。
白金含有薬剤の例には、これらに限定されないが、シスプラチン、カルボプラチン、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチンおよびサトラプラチンが含まれる。
mTOR阻害剤の例には、これらに限定されないが、CCI−779、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、RAD001およびAP−23573が含まれる。
HSP−90阻害剤の例には、これらに限定されないが、ゲルダナマイシン、ラディシコール、17−AAG、KOS−953、17−DMAG、CNF−101、CNF−1010、17−AAG−nab、NCS−683664、エフングマブ、CNF−2024、PU3、PU24FC1、VER−49009、IPI−504、SNX−2112およびSTA−9090が含まれる。
HDAC阻害剤の例には、これらに限定されないが、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、MS−275、バルプロ酸、TSA、LAQ−824、トラポキシンおよびデプシペプチドが含まれる。
MEK阻害剤の例には、これらに限定されないが、PD−325901、ARRY−142886、ARRY−438162およびPD−98059が含まれる。
CDK阻害剤の例には、これらに限定されないが、フラボピリドール、MCS−5A、CVT−2584、セリシクリブZK−304709、PHA−690509、BMI−1040、GPC−286199、BMS−387032、PD−332991およびAZD−5438が含まれる。
COX−2阻害剤の例には、これらに限定されないが、セレコクシブ、パレコキシブ、デラコキシブ、ABT−963、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、BMS−347070、RS57067、NS−398、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、SD−8381、4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)−1−(4−スルファモイルフェニル)−1H−ピロール、T−614、JTE−522、S−2474、SVT−2016、CT−3およびSC−58125が含まれる。
NSAIDの例には、これらに限定されないが、サルサラート、ジフルニサル、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、ピロキシカム、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、エトドラク、ケトロラクおよびオキサプロジンが含まれる。
ErbB2受容体阻害剤の例には、これらに限定されないが、CP−724714、カネルチニブ、トラスツズマブ、ペツズマブ、TAK−165、イオナファミブ、GW−282974、EKB−569、PI−166、dHER2、APC−8024、抗HER/2neu二重特異性抗体B7.her2IgG3ならびにHER2三官能性二重特異性抗体mAB AR−209およびmAB2B−1が含まれる。
アルキル化剤の例には、これらに限定されないが、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボコン、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、Cloretazine(商標)(ラロムスチン)、AMD−473、アルトレタミン、AP−5280、アパジコン、ブロスタリシン、ベンダムスチン、カルムスチン、エストラムスチン、ホテムスチン、グルホスファミド、KW−2170、マホスファミド、ミトラクトール、ロムスチン、トレオスルファン、ダカルバジンおよびテモゾロマイドが含まれる。
代謝拮抗物質の例には、これらに限定されないが、メトトレキサート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、単独かまたはロイコボリンと併用した5−フルオロウラシル(5−FU)、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、S−1、ペメトレキセド、ゲムシタビン、フルダラビン、5−アザシチジン、カペシタビン、クラドリビン、クロファラビン、デシタビン、エフロルニチン、エテニルシチジン(ethenylcytidine)、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素、TS−1、メルファラン、ネララビン、ノラトレキシド、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ペリトレキソール、ラルチトレキセド、トリアピン、トリメトレキサート、ビダラビン、ミコフェノール酸、オクホスファート、ペントスタチン、チアゾフリン、リバビリン、EICAR、ヒドロキシ尿素およびデフェロキサミンが含まれる。
抗生物質の例には、これらに限定されないが、インターカレート抗生物質、アクラルビシン、アクチノマイシンD、アムルビシン、アナマイシン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(リポソームドキソルビシンを含む)、エルサミトルシン、エピルビシン、グラルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ネモルビシン、ネオカルチノスタチン、ペプロマイシン、ピラルビシン、レベッカマイシン、スチマラマー、ストレプトゾシン、バルルビシン、ジノスタチンおよびこれらの組合せが含まれる。
トポイソメラーゼ阻害剤の例には、これらに限定されないが、アクラルビシン、アモナフィド、ベロテカン、カンプトセシン、10−ヒドロキシカンプトセシン、9−アミノ−カンプトセシン、アムサクリン、デクスラゾキサン、ジフロモテカン、イリノテカンHCl、エドテカリン、エピルビシン、エトポシド、エキサテカン、ベカテカリン、ギマテカン、ラルトテカン、オラテシン、BN−80915、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピクサントロン、ルビテカン、ソブゾキサン、SN−38、タフルポシドおよびトポテカンが含まれる。
抗体の例にはこれらに限定されないが、リツキシマブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、トラスツズマブ、CD40特異的抗体およびIGF IR−特異的抗体、chTNT−1/B、デノスマブ、エドレコロマブ、WX G250、ザノリムマブ、リンツズマブならびにチシリムマブが含まれる。
ホルモン療法の例には、これらに限定されないが、炭酸セベラマー、リロスタン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、モドラスタン、エキセメスタン、酢酸ロイプロリド、ブセレリン、セトロレリクス、デスロレリン、ヒストレリン、アナストロゾール、フォスレリン、ゴセレリン、デガレリクス、ドキセルカルシフェロール、ファドロゾール、フォルメスタン、タモキシフェン、アルゾキシフェン、ビカルタミド、アバレリックス、トリプトレリン、フィナステライド、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、トリロスタン、ラソフォキシフェン、レトロゾール、フルタミド、メゲストロール、ミフェプリストン、ニルタミド、デキサメタゾン、プレドニゾンおよび他のグルココルチコイドが含まれる。
レチノイドまたはデルトイドの例には、これらに限定されないが、セオカルシトール、レキサカルシトール、フェンレチニド、アリレチノイン、トレチノイン、ベキサロテンおよびLGD−1550が含まれる。
植物性アルカロイドの例には、これらに限定されないが、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンが含まれる。
プロテアソーム阻害剤の例には、これらに限定されないが、ボルテゾミブ、MG−132、NPI−0052およびPR−171が含まれる。
免疫薬の例には、これらに限定されないが、インターフェロンおよび他の多くの免疫増強剤が含まれる。インターフェロンには、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、インターフェロンγ−1b、インターフェロンγ−n1およびこれらの組合せが含まれる。他の薬剤には、フィルグラスチム、レンチナン、シゾフィラン、BCG生菌(BCG live)、ウベニメクス、WF−10(テトラクロロデカオキシドすなわちTCDO)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、BAM−002、ダカルバジン、ダクリズマブ、デニロイキン、ゲムツズマブオゾガマイシン、イブリツモマブ、イミキモド、レノグラスチム、メラノーマワクチン、モルグラモスチム、サルガラモスチム、タソネルミン、テクロイキン、チマラシン、トシツモマブ、Lorus Pharmaceuticalsの免疫治療薬Virulizin(商標)、Z−100(丸山ワクチン(specific substance of Maruyama)すなわちSSM)、Zevalin(商標)(90Y−イブリツモマブチウキセタン)、エピラツズマブ、ミツモマブ、オレゴボマブ、ペムツモマブ、Provenge(商標)(シプロイセル−T)、テセロイキン、Therocys(商標)(Bacillus Calmette−Guerin)、細胞傷害性リンパ球抗原4(CTLA4)抗体およびMDX−010などのCTLA4を遮断できる薬剤が含まれる。
生物反応修飾物質の例は、組織細胞の生存、成長または分化などの生体の防御機序または生物学的応答を修飾してそれらが抗腫瘍活性をもつように仕向ける薬剤である。そうした薬剤には、これらに限定されないが、クレスチン、レンチナン、シゾフラン、ピシバニール、PF−3512676およびウベニメクスが含まれる。
ピリミジン類似体の例には、これらに限定されないが、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラルチトレキセド、シタラビン、シトシンアラビノシド、フルダラビン、トリアセチルウリジン、トロキサシタビンおよびゲムシタビンが含まれる。
プリン類似薬の例には、これらに限定されないが、メルカプトプリンおよびチオグアニンが含まれる。
抗分裂剤の例には、これらに限定されないが、N−(2−((4−ヒドロキシフェニル)アミノ)ピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド、パクリタキセル、ドセタキセル、ラロタキセル、エポチロンD、PNU−100940、バタブリン、イクサベピロン、パツピロン、XRP−9881、ビンフルニンおよびZK−EPO(合成エポチロン)が含まれる。
放射線治療の例には、これらに限定されないが、外照射治療(XBRT)、遠隔照射治療、近接照射治療、密封線源放射線治療および非密封線源放射線治療が含まれる。
BiTE抗体は、2つの細胞に同時に結合することによって、T細胞ががん細胞を攻撃するようにする二重特異性抗体である。次いで、T細胞は標的がん細胞を攻撃する。BiTE抗体の例には、これらに限定されないが、アデカツムマブ(Micromet MT201)、ブリナツモマブ(Micromet MT103)などが含まれる。理論に拘泥するわけではないが、それによってT細胞が標的がん細胞のアポトーシスを引き出す機序の1つは、パーフォリンおよびグランザイムBを含む細胞傷害性顆粒成分のエクソサイトーシスによるものである。この関連で、Bcl−2は、パーフォリンとグランザイムBの両方によるアポトーシスの誘発を弱めることが分かっている。これらのデータは、がん細胞を標的とした場合、Bcl−の阻害はT細胞によって引き出される細胞傷害効果を増進させることができることを示唆している(Suttonら(1997年)J.Immunol.158:5783−5790頁)。
SiRNAは、内在性RNA塩基または化学修飾ヌクレオチドを有する分子である。その修飾は細胞活性を消失させることはなく、むしろ高い安定性および/または高い細胞効能を付与する。化学修飾の例には、ホスホロチオエート基、2’−デオキシヌクレオチド、2’−OCH含有リボヌクレオチド、2’−F−リボヌクレオチド、2’−メトキシエチルリボヌクレオチド、これらの組合せなどが含まれる。siRNAは、様々な長さ(例えば、10−200bp)および構造(例えば、ヘアピン、一本鎖/二本鎖、バルジ、切れ目/ギャップ、ミスマッチ)を有することができ、細胞中で処理されて活性な遺伝子発現抑制を提供する。二本鎖siRNA(dsRNA)は、それぞれ鎖(平滑断端)または非対称末端(オーバーハング)上に同数のヌクレオチドを有することができる。1−2個のヌクレオチドのオーバーハングはセンス鎖および/またはアンチセンス鎖上に存在することができ、また所与の鎖の5’−および/または3’−末端上に存在することもできる。例えば、Mcl−1を標的とするsiRNAは、ABT−263の活性を増進させることが分かっている(Tseら(2008年)Cancer Res.68:3421−3428頁およびこの参照文献)。
多価結合タンパク質は、2つ以上の抗原結合部位を含む結合タンパク質である。多価結合タンパク質は、3つ以上の抗原結合部位をもつように操作され、一般に天然に存在しない抗体である。「多特異性結合タンパク質」という用語は、2つ以上の関係するまたは関係しない標的を結合できる結合タンパク質を意味する。二重可変ドメイン(DVD)結合タンパク質は、2つ以上の抗原結合部位を含む四価または多価の結合タンパク質である。そうしたDVDは、単一特異性(すなわち、1つの抗原を結合することができる。)または多特異性(すなわち、2つ以上の抗原を結合することができる。)であってよい。2つの重鎖DVDポリペプチドおよび2つの軽鎖DVDポリペプチドを含むDVD結合タンパク質はDVD Igと称される。DVD Igの各半分は、重鎖DVDポリペプチド、軽鎖DVDポリペプチドおよび2つの抗原結合部位を含む。各結合部位は、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含み、抗原結合部位当たり合計6つのCDRが抗原結合に関与している。
PARP阻害剤には、これらに限定されないが、ABT−888、オラパリブ、KU−59436、AZD−2281、AG−014699、BSI−201、BGP−15、INO−1001、ONO−2231などが含まれる。
本発明の組成物は、追加的または代替的に、ABT−100、N−アセチルコルヒノール−O−ホスフェート、アシトレチン、AE−941、アグリコンプロトパナキサジオール、アルグラビン、三酸化ヒ素、AS04アジュバント吸着HPVワクチン、L−アスパラギナーゼ、アタメスタン、アトラセンタン、AVE−8062、ボセンタン、カンフォスファミド、Canvaxin(商標)、カツマキソマブ、CeaVac(商標)、セルモロイキン、コンブレスタチンA4P、コンツスジェンラデノベク、Cotara(商標)、シプロテロン、デオキシコホルマイシン、デクスラゾキサン、N,N−ジエチル−2−(4−(フェニルメチル)フェノキシ)エタナミン、5,6−ジメチルキサンテノン−4−酢酸、ドコサヘキサエン酸/パクリタキセル、ディスコデルモリド、エファプロキシラル、エンザスタウリン、エポチロンB、エチニルウラシル、エクシスリンド、ファリマレブ、Gastrimmune(商標)、GMKワクチン、GVAX(商標)、ハロフジノン、ヒスタミン、ヒドロキシカルバミド、イバンドロン酸、イブリツモマブチウキセタン、IL−13−PE38、イナリマレブ、インターロイキン4、KSB−311、ランレオチド、レナリドミド、ロナファーニブ、ロバスタチン、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸塩、ミファムルチド、ミルテホシン、モテクサフィン、オブリメルセン、OncoVAX(商標)、Osidem(商標)、パクリタキセルアルブミン安定化小粒子製剤、パクリタキセルポリグルメクス、パミドロネート、パニツムマブ、ペグインターフェロンα、ペグアスパルガーゼ、フェノキソジオール、ポリ(I)−ポリ(C12U)、プロカルバジン、ランピルナーゼ、レビマスタット、組み換え四価HPVワクチン、スクアラミン、スタウロスポリン、STn−KLHワクチン、T4エンドヌクラーゼV、タザロテン、6,6’,7,12−テトラメトキシ−2,2’−ジメチル−1β−ベルバマン、サリドマイド、TNFerade(商標)、131I−トシツモマブ、トラベクテジン、トリアゾン、腫瘍壊死因子、Ukrain(商標)、ワクシニア−MUC−1ワクチン、L−バリン−L−ボロプロリン、Vitaxin(商標)、ビテスペン、ゾレドロン酸およびゾルビシンから選択される1つ以上の抗腫瘍剤と併用療法で投与することができる。
一実施形態では、ABT−263ビスHClを含む本発明の組成物を、その間に抗アポトーシスBcl−2タンパク質、抗アポトーシスBcl−Xタンパク質および抗アポトーシスBcl−wタンパク質の1つ以上を過剰発現する疾患を治療するために、それを必要とする対象に治療有効量で投与する。
他の実施形態では、ABT−263ビスHClを含む本発明の組成物を、異常な細胞増殖および/または調節不全アポトーシスの疾患を治療するために、それを必要とする対象に治療有効量で投与する。
そうした疾患の例には、これらに限定されないが、がん、中皮腫、膀胱がん、膵臓がん、皮膚がん、頭部または頸部のがん、皮膚もしくは眼球内のメラノーマ、卵巣がん、乳がん、子宮がん、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、骨がん、結腸がん、直腸がん、肛門部のがん、胃がん、胃腸(胃、結腸直腸および/または十二指腸)がん、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ性白血病、食道がん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、精巣がん、肝細胞(肝臓および/または胆管)がん、原発性もしくは続発性中枢神経系腫瘍、原発性もしくは続発性脳腫瘍、ホジキン病、慢性もしくは急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞もしくはB細胞由来のリンパ性悪性疾患、メラノーマ、多発性骨髄腫、口腔がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、小細胞肺がん、腎臓および/または尿管のがん、腎細胞癌、腎盂の癌腫、中枢神経系の新生物、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質がん、胆嚢がん、脾臓のがん、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫またはこれらの組合せが含まれる。
より具体的な実施形態では、ABT−263ビスHClを含む本発明の組成物を、膀胱がん、脳腫瘍、乳がん、骨髄がん、子宮頸がん、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ性白血病、結腸直腸がん、食道がん、肝細胞がん、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞もしくはB細胞由来のリンパ性悪性疾患、メラノーマ、骨髄性白血病、骨髄腫、口腔がん、卵巣がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、小細胞肺がんまたは脾臓がんを治療するために、それを必要とする対象に治療有効量で投与する。
これらの実施形態のいずれかによれば、その組成物を、単剤療法または1つ以上の追加の治療薬との併用療法で投与する。
例えば、対象における中皮腫、膀胱がん、膵臓がん、皮膚がん、頭部または頸部のがん、皮膚もしくは眼球内のメラノーマ、卵巣がん、乳がん、子宮がん、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、骨がん、結腸がん、直腸がん、肛門部のがん、胃がん、胃腸(胃、結腸直腸および/または十二指腸)がん、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ性白血病、食道がん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、精巣がん、肝細胞(肝臓および/または胆管)がん、原発性もしくは続発性中枢神経系腫瘍、原発性もしくは続発性脳腫瘍、ホジキン病、慢性もしくは急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞もしくはB細胞由来のリンパ性悪性疾患、メラノーマ、多発性骨髄腫、口腔がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、小細胞肺がん、腎臓および/または尿管のがん、腎細胞癌、腎盂の癌腫、中枢神経系の新生物、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質がん、胆嚢がん、脾臓のがん、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫またはこれらの組合せを治療する方法は、治療有効量の(a)ABT−263ビスHClを含む本発明の組成物および(b)エトポシド、ビンクリスチン、CHOP、リツキシマブ、ラパマイシン、R−CHOP、RCVP、DA−EPOCH−Rまたはボルテゾミブの1つもしくは複数をその対象に投与することを含む。
特定の実施形態では、B細胞リンパ腫または非ホジキンリンパ腫などのリンパ性悪性疾患を治療するために、ABT−263ビスHClを含む本発明の組成物を、単剤療法または治療有効量のエトポシド、ビンクリスチン、CHOP、リツキシマブ、ラパマイシン、R−CHOP、RCVP、DA−EPOCH−Rまたはボルテゾミブとの併用療法でそれを必要とする対象に治療有効量で投与する。
他の特定の実施形態では、慢性リンパ球性白血病または急性リンパ性白血病を治療するために、ABT−263ビスHClを含む本発明の組成物を、単剤療法かまたは治療有効量のエトポシド、ビンクリスチン、CHOP、リツキシマブ、ラパマイシン、R−CHOP、RCVP、DA−EPOCH−Rまたはボルテゾミブとの併用療法でそれを必要とする対象に治療有効量で投与する。
本発明は、対象に、本明細書に記載する医薬組成物を、約3時間から約7日間の平均投薬間隔で、1日当たり約50から約500mgABT−263に相当する投薬量で投与することを含む、ヒトがん患者の血流中で、ABT−263および/または1つ以上のその代謝産物の治療上有効な血漿濃度を保持するための方法、も提供する。
治療上有効な血漿濃度を構成するものは、とりわけ、患者が罹っている具体的ながん、そのがんの段階、重症度および悪性度ならびに求められる結果(例えば、安定化、腫瘍増殖の低減、腫瘍の縮小、転移のリスク低下等)に依存する。血漿濃度はがんを治療することに関して利益を提供するのに十分であるが、それが、許容できないまたは忍容できない程度に不都合な副作用を引き起こす程多くはないことが非常に好ましい。
がん全般および特に非ホジキンリンパ腫などのリンパ性悪性疾患の治療のため、ABT−263の血漿濃度は、大抵の場合約0.5から約10μg/mlの範囲に維持すべきである。したがって、ABT−263治療の過程で、定常状態Cmaxは一般に約10μg/mlを超えず、定常状態Cminは一般に約0.5μg/mlを下回らないようにしなければならない。上記に示した範囲内で、定常状態で約5以下、例えば約3以下のCmax/Cmin比を提供するのに効果的な1日投薬量および平均投薬間隔を選択するのが望ましいこともさらに分かる。投薬間隔が長くなると、より高いCmax/Cmin比がもたらされる傾向があることを理解されよう。例として、本発明の方法により、定常状態で、約3から約8μg/mlのABT−263Cmaxおよび約1から約5μg/mlのCminを目標とすることができる。
本実施形態によれば、治療上有効なABT−263の血漿中濃度を維持するのに効果的な1日投薬量は約50から約500mgである。大抵の場合、適切な1日投薬量は約200から約400mgである。例示的には、1日投薬量は例えば約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450または約500mgであってよい。
本実施形態によれば、治療上有効なABT−263の血漿中濃度を維持するのに効果的な平均投薬間隔は約3時間から約7日間である。大抵の場合、適切な平均投薬間隔は約8時間から約3日間または約12時間から約2日間である。1日1回の(q.d.)投与レジメンがしばしば適している。
他の実施形態と同様に、本実施形態による投与は、食物を用いても用いないでも、すなわち非絶食条件下であっても絶食条件下であってもよい。一般に、本発明の組成物は、非絶食患者に投与することが好ましい。
本発明に関連する他の情報は、がん研究オンライン(Cancer Research Online)(cancerres.aacrjournals.org/)で入手できる最近公開されたTseらの論文(2008年)Cancer Res.68:3421−3428頁およびこの補足データから得ることができる。この論文およびその補足データの全体を参照により本明細書に組み込む。

Claims (26)

  1. 化合物N−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−1−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミドビスヒドロクロリド(ABT−263ビスHCl)。
  2. 固体形態である、請求項1の化合物。
  3. 可溶化媒体中に、媒体1ml当たりABT−263遊離塩基相当物として少なくとも約1mgの濃度で可溶化された形態の、請求項1の化合物。
  4. 少なくとも、以下の位置:±0.2°2θで、6.8、7.2、8.5、18.5および18.7°2θのいずれか1つ以上の粉末X線回折ピークを特徴とするその結晶多形体形態Iの、請求項1の化合物。
  5. 少なくとも、前記位置のそれぞれでの粉末X線回折ピークを特徴とする、請求項4の結晶多形体。
  6. 実質的に以下の表:
    Figure 2012525433
    に示すような粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項4の結晶多形体。
  7. 少なくとも、±0.2°2θで、3.7または7.4°2θでの粉末X線回折ピークを特徴とするその結晶多形体形態IIの、請求項1の化合物。
  8. 少なくとも、±0.2°2θで、3.7と7.4°2θでの粉末X線回折ピークを特徴とする、請求項7の結晶多形体。
  9. 実質的に以下の表:
    Figure 2012525433
    に示すような粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項7の結晶多形体。
  10. 有機溶媒で溶媒和されたABT−263ビスHClを含む結晶性溶媒和物の形態の、請求項1の化合物。
  11. 有機溶媒が、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、t−ブタノール、ニトロメタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエンおよびブチルエーテルからなる群から選択される、請求項10の溶媒和物。
  12. ABT−263ビスHClのエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、t−ブタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルイソプロピルケトン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエンまたはブチルエーテル溶媒和物を脱溶媒和するステップを含む、請求項4の結晶多形体の調製方法。
  13. ABT−263ビスHClのメチルエチルケトン溶媒和物を脱溶媒和するステップを含む、請求項7の結晶多形体の調製方法。
  14. ABT−263ビスHClおよび1つ以上の薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物。
  15. 結晶多形体形態IのABT−263ビスHClを含む、請求項14の組成物。
  16. 結晶多形体形態IIのABT−263ビスHClを含む、請求項14の組成物。
  17. 脂質溶媒を含む担体中の溶液中にABT−263ビスHClを含む、請求項14の組成物。
  18. ABT−263ビスHClまたはABT−263ビスHClおよび1つ以上の薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物の、抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質のアポトーシス機能不全および/または過剰発現を特徴とする疾患を有する対象に治療有効量の前記ABT−263ビスHClまたは前記医薬組成物を投与することによって前記疾患を治療するための使用。
  19. ABT−263ビスHClまたは医薬組成物が、経口、非経口、舌下、頬側、鼻腔内、肺内、局所、経皮、皮内、眼球、耳内、経直腸、経膣、胃内、頭蓋内、滑液嚢内または関節内経路で投与される、請求項18の使用。
  20. 疾患が腫瘍性疾患である、請求項18または請求項19の使用。
  21. 腫瘍性疾患が、がん、中皮腫、膀胱がん、膵臓がん、皮膚がん、頭部または頸部のがん、皮膚もしくは眼球内のメラノーマ、卵巣がん、乳がん、子宮がん、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、骨がん、結腸がん、直腸がん、肛門部のがん、胃がん、胃腸(胃、結腸直腸および/または十二指腸)がん、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ性白血病、食道がん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、精巣がん、肝細胞(肝臓および/または胆管)がん、原発性もしくは続発性中枢神経系腫瘍、原発性もしくは続発性脳腫瘍、ホジキン病、慢性もしくは急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞もしくはB細胞由来のリンパ性悪性疾患、メラノーマ、多発性骨髄腫、口腔がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、小細胞肺がん、腎臓および/または尿管のがん、腎細胞癌、腎盂の癌腫、中枢神経系の新生物、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質がん、胆嚢がん、脾臓のがん、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項20の使用。
  22. 腫瘍性疾患がリンパ性悪性疾患である、請求項20の使用。
  23. リンパ性悪性疾患が非ホジキンリンパ腫である、請求項22の使用。
  24. 腫瘍性疾患が慢性リンパ球性白血病または急性リンパ性白血病である、請求項20の使用。
  25. 組成物が、約3時間から約7日間の平均治療間隔でABT−263遊離塩基相当物として1日当たり約50から約500mgの用量で経口投与される、請求項18から24のいずれかの使用。
  26. 組成物が、1日1回、ABT−263遊離塩基相当物として1日当たり約200から約400mgの用量で経口投与される、請求項18から24のいずれかの使用。
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