JP2012520426A - 留め具及びスライド部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】容易に形成可能であるとともに、収容穴に確実に保持される上、使用中にできる限り亀裂の生じない留め具を提供すること。
【解決手段】すべり対象物に対して対向する端面部20と、外周面18とを有し、スライド部材の支持本体部内に挿設される留め具10において、当該留め具10の長手軸中心線28方向に延在する少なくとも1つの突起部12を前記外周面18に設けた。また、前記突起部12を前記外周面18全体にわたって均等に配置した。さらに、前記突起部12を、当該留め具10の全長にわたって延在させた。

Description

本発明は、すべり対象物に対して対向する端面部と、外周面とを有し、スライド部材の支持本体部内に挿設される留め具に関するものである。さらに、本発明は、スライド面を有する支持本体部と、上記留め具が挿設される少なくとも1つの収容穴とを備えるスライド部材にも関するものである。
2つの機械部品の相対運動における摩擦を軽減するために、通常は、スライド部材から成るすべり軸受システムが設けられている。このようなすべり軸受システムにおいて油脂潤滑を行えないような場合には、通常、固体潤滑剤が含有された軸受材料が使用される。このとき、例えば支持本体部に留め具を設けることが可能である。このとき、例えば支持本体部において、固体潤滑剤が含有された留め具を設けることが考えられる。特に高温領域において使用する場合には、留め具自体が固体潤滑剤を含有するものであるのが好ましい。
このようなすべり軸受システムにおいては、支持本体部と留め具の熱膨張係数が異なるとともに、これら支持本体部と留め具の材料が異なる酸化状態となるという欠点がある。
異なる熱膨張係数に基づく異なる直径の変化により生じる使用中の応力により、留め具に亀裂が生じるほどの大きな応力が発生することになる。このような亀裂の発生により、最終的には破壊が生じている部分において、留め具が支持本体部における収容穴から脱落することになる。
そのため、留め具は、例えばアルミニウム用のプッシャータイプ加熱炉におけるスライド部材に使用するものとして、直径に段差を設けて加工されている。また、これに対応する指示本体部における収容穴も同様に段差を設けて形成されている。この留め具は、収容穴よりもはるかに小さく形成されているが、厚く形成されたカラーの直径により脱落が防止されている。
留め具における段の付けられた直径を保障するためには、機械加工が必要となる。そして、固体潤滑剤の高い含有比率により、大きな直径から小さな直径への移行時(冷却時)に亀裂が発生することがあるため、このような材料におけるプレス加工技術による段の付いた形状の形成は不安定なものとなってしまう。
本発明は上記問題にかんがみてなされたもので、その目的とするところは、容易に形成可能であるとともに、収容穴に確実に保持される上、使用中にできる限り亀裂の生じない留め具を提供することにある。
上記目的は、当該留め具の長手軸中心線方向に延在する少なくとも1つの突起部が外周面に設けられた留め具によって達成される。この外周面は外周部の大部分を形成している一方、少なくとも1つの突起部は、外周のうち小さな部分を占めている。
このような突起により、留め具を収容穴内に挟持することが可能であるとともに、複数の突起部間には十分な空間が形成されている。そして、この空間において、過剰な応力及び亀裂発生のおそれを生じさせることなく留め具が膨張することが可能である。また、段の付いた縁部も不要であり、そのため、製造も簡易なものとなる。なお、突起部は、留め具の製造時に形成される。
留め具は常に一定の断面を有するよう粉末冶金により安定的に製造され、追加的な機械加工は必要ない。
また、突起部の数は最大で10とするのが好ましい。突起部の数を最大で10に制限すれば、使用中に留め具が十分に膨張可能な大きさの空間を突起部間に形成することができる。なお、留め具の外周部に3〜5つの突起部を設けるのが望ましい。
また、突起部のうち少なくとも1つは、留め具の外周面から径方向外方へ突出している。すなわち、この突起部は径方向外方へ向けて配置されている。
また、各突起部は、留め具の外周面全体にわたって均等に配置されている。こうすることで、使用中に生じる応力が留め具に均等に分散され、応力集中による亀裂の発生を防止することが可能である。なお、突起部の断面形状は、三角形状、半円状又は台形状となっている。
また、留め具を、外面部を有する円筒状に形成するとともに、突起部を外面部に形成するのが好ましい。ここで、突起部は径方向外方へ向けて配置されており、この突起部の頂点部により(仮想の)外周円が形成されており、この外周円は直径D2を有している。また、円筒状の外面部は直径D1を有しており、D1とD2の間にはD1<D2の関係が成り立つ。
また、突起部の厚さDは、留め具の特に外周面の直径D1の2〜4%となっている。ここで、留め具の材料の熱膨張係数が小さくなればなるほど前記厚さDは小さく設定される。
また、留め具の材料は、固定潤滑剤を含有するクロムニッケル鋼から成る基質を有するものとなっている。また、突起部を、留め具の全長の少なくとも50%にわたって延在させるのが好ましい。さらに、突起部を留め具の全長にわたって延在させるのが望ましい。これにより、留め具の製造が容易となる。また、突起部の長さがわずかである場合には、事情によっては更なる加工が必要となる。
また、留め具は、その端面部の周囲に面取り部を備えることが可能である。この面取り部により、留め具の支持本体部への挿設が容易になる。なお、面取り部を収容穴の縁部に形成してもよい。
また、本発明によるスライド部材には、本発明による留め具が備え付けられる。また、収容穴に小径部及び大径部を設けるとともに、該大径部をスライド面から離間した位置に形成するのが好ましい。
また、突起部は少なくとも小径部の全長にわたって延在しており、これにより、突起部が大径部にも形成されることになる。そして、小径部における突起部が使用中に変形され、場合によっては完全になくなってしまう一方、大径部における突起部は支持面を形成しつつ小径部えの移行部において保持されている。したがって、支持面を備えた留め部は、リング状ショルダ部において、小径部と大径部の間で支持されることになる。
また、突起部の包絡線の直径D2は、小径部の直径D3よりも大きく設定されている。また、オーバラップ部は、0.1〜0.5mmと成っている。そのため、留め具の挿設時に、突起部の頂点部は、容易に平らにされる。従来においてはカラーの収容部となっている収容穴における大径部においては、突起部は変形せず初期の形状が維持される。したがって、全体の押込み力が比較的小さくて済む。
また、円筒状の外面部の直径を小径部の直径よりも小さく設定するのが好ましい。通常、温度が620℃となる酸化雰囲気下での使用においては、特にクロムニッケル鋼から成る留め具の直径の収容穴の直径に対する膨張が生じる。本発明により形成される留め具の直径との間の空間は、(突起部形状を考慮することなく)初期に設定された遊びに相当するとともに、留め具の膨張に必要な空間を保障するものとなっている。
また、使用温度下において、突起部に更なる塑性変形が生じることがあるが、このような突起部の変形が圧縮領域において生じても大径部における突起部でのオーバラップにより、(特に使用中でなくとも)留め具の脱落が確実に防止されるようになっている。
なお、支持本体部は鋳鉄で形成されており、鋳鉄は、隙間のあるグラファイトにより、高い潤滑効率が得られるものとなっている。
本発明によれば、容易に形成可能であるとともに、収容穴に確実に保持される上、使用中にできる限り亀裂の生じない留め具を提供することが可能である。
複数の留め具が挿設されたスライド部材の平面図である。 留め具の斜視図である。 留め具の平面図である。 突起部の断面形状の詳細図である。 突起部の断面形状の詳細図である。 突起部の断面形状の詳細図である。 支持本体部における使用前の留め具を挿設した状態を示す拡大図である。 図5に示す留め具のV−V線に沿った断面図である。 図5に示す留め具の使用中のV−V線に沿った断面図である。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1にはスライド部材1のスライド面8の平面図が示されており、このスライド部材1は、その支持本体部2において、複数の収容穴3を備えた複数の穴列を有している。また、この収容穴3には、留め具10が挿設されるようになっている。なお、スライド部材1は平面状の部材となっている。
図2には上記留め具10の斜視図が示されており、この留め具10は、円筒状の形状を有している。また、この留め具10の外周面すなわち外面部18には合計5つの突起部12が形成されており、この突起部12は、外面部18の全面において均等に、かつ、留め具10の軸中心線28に対して平行に延在している。なお、端面部20の縁部には、面取り部16が形成されている。
図3には図2に示す留め具10の端面部20の平面図が示されており、その円筒状の外面部の直径はD1で示されている。さらに、突起部12の包絡線30が記載されており、この包絡線30は、三角形状に形成された突起部12の頂点部14を通過して延在している。また、この包絡線30は、前記直径D1よりも大きな直径D2を有している。
図4a,図4b,図4cにはそれぞれ三角形状、半円状及び台形状の断面を有するそれぞれ異なる形状の突起部が示されている。
図5には、上記のような5つの突起部12を備えた留め具10がスライド部材1の支持本体部2へ挿設された状態が示されている。図5に示すとおり、前記直径D1は収容穴3の小径部5の直径D3よりも小さく設定されている(図6も参照)。これにより、リング状スリット24が形成されることになる。また、D2−D1から算出される突起部12の厚さDは、リング状スリット24の幅よりも大きく設定されている。すなわち、前記直径D2は、前記直径D3よりも大きいことになる。例えば25〜30mmの直径D1を有する留め具10については、突起部12の厚さDは0.5mmに設定される。
しかして、Dの設定に当たっては、留め具10の材料の熱膨張係数を考慮することが望ましい。そうすることで、留め具10の破壊に至るような熱による過剰な応力の発生を防止することが可能である。したがって、前記厚さDについては、留め具10の材料の熱膨張係数が大きくなればなるほど大きく設定する必要がある。
ところで、突起部12の頂点部14は留め具10の挿設時に収容穴3の内面部に係合してそこでわずかに変形するか、あるいは収容穴3の内面部がわずかに変形する。これについては、図5に概略的にのみ示されている。
図6には図5に示すスライド部材1のV−V線に沿った断面が示されており、この図6に示すように、収容穴3は、直径D3を有する上側の小径部5と、直径D4を有する下側の大径部6を備えているとともに、これら小径部5と大径部6の間にはリング状ショルダ部4を備えている。
留め具10は収容穴3内に挿設されており、外面部18と小径部5の内面部との間でリング状スリット24が変更可能に形成されている。さらに、図6に示すように、小径部5における突起部12がわずかに変形されているため、この突起部12の頂点部14はわずかに平らになっている。また、前記直径D2よりもかなり大きく形成された直径を有する大径部6においてはリング状空間部26が形成されており、このリング状空間部26は、突起部12の頂点部14も大径部6の内面部に対して離間して配置されるくらいの大きさに形成されている。したがって、小径部5及び大径部6において、留め具10が動作中に膨張しても十分なくらいの空間が確保されることになる。
図7には動作中の状態が示されており、この図に示すように、留め具10の円筒部は、熱の影響により小径部5の寸法に達するほど膨張している。すなわち、この領域において、応力低下が必要な場合に、突起部12は完全に見えなくなる。また、大径部6における突起部12については収容状態が維持され、リング状ショルダ部4近傍において突起部12に対する支持面15が形成されている。また、この支持面15は、熱の影響がない場合においても、留め具10が収容穴3から脱落するのを防ぐものとなっている。
図面における記載において、直径の差は誇張して図示されている。この直径の差は、圧縮体積に限定され得る。
また、底面部22が不図示の機械における一部の上に設置されているため、留め具10は脱落することが内。さらに、リング状空間部26は、動作時にはリング状空間部26’で示すように縮小される。
1 スライド部材
2 支持本体部
3 収容穴
4 リング状ショルダ部
5 小径部
6 大径部
8 スライド面
10 留め具
12 突起部
14 突起部の頂点部
15 支持面
16 面取り部
18 外面部
20 端面部
22 底面部
24 リング状スリット
26,26’ リング状空間部
28 留め具の軸中心線
30 包絡線
1 外面部の直径
2 包絡線の直径
3 小径部の直径
4 大径部の直径
D 突起部の厚さ

Claims (17)

  1. すべり対象物に対して対向する端面部(20)と、外周面(18)とを有し、スライド部材(1)の支持本体部(2)内に挿設される留め具(10)において、
    当該留め具(10)の長手軸中心線(28)方向に延在する少なくとも1つの突起部(12)を前記外周面(18)に設けたことを特徴とする留め具。
  2. 前記突起部(12)の数を最大で10としたことを特徴とする請求項1記載の留め具。
  3. 前記突起部(12)を前記外周面(18)全体にわたって均等に配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の留め具。
  4. 前記突起部(12)の断面形状を、三角形状、半円状又は台形状としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の留め具。
  5. 当該留め具(10)を外面部(18)を有する円筒状に形成するとともに、前記突起部(12)を前記外面部(18)に形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の留め具。
  6. 前記突起部(12)の厚さ(D)を当該留め具(10)の前記外周面(18)の直径(D1)の2〜4%としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の留め具。
  7. 当該留め具(10)の材料を、固定潤滑剤を含有するクロムニッケル鋼から成る基質を有するものとしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の留め具。
  8. 前記突起部(12)を、当該留め具(10)の全長の少なくとも50%にわたって延在させたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の留め具。
  9. 前記突起部(12)を、当該留め具(10)の全長にわたって延在させたことを特徴とする請求項8記載の留め具。
  10. スライド面(8)を有する支持本体部(2)と、請求項1〜9のいずれかに記載の留め具(10)が挿設される少なくとも1つの収容穴(3)とを備えることを特徴とするスライド部材(1)。
  11. 前記収容穴(3)に小径部(5)及び大径部(6)を設けたことを特徴とする請求項10記載のスライド部材。
  12. 前記大径部(6)を前記スライド面(8)から離間した位置に形成したことを特徴とする請求項11記載のスライド部材。
  13. 前記突起部(12)を少なくとも前記小径部(5)の全長にわたって延在させたことを特徴とする請求項11又は12記載のスライド部材。
  14. 前記突起部(12)の包絡線(30)の直径(D2)を、前記小径部(5)の直径(D3)よりも大きく設定したことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載のスライド部材。
  15. 前記突起部(12)の包絡線(30)の直径(D2)を、前記大径部(6)の直径(D4)よりも小さく設定したことを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載のスライド部材。
  16. 前記留め具(10)の直径(D1)を、前記小径部(5)の直径(D3)よりも小さく設定したことを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載のスライド部材。
  17. 前記支持本体部(2)を鋳鉄で形成したことを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載のスライド部材。
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