JPH05196042A - 摺動ブロック - Google Patents
摺動ブロックInfo
- Publication number
- JPH05196042A JPH05196042A JP2610992A JP2610992A JPH05196042A JP H05196042 A JPH05196042 A JP H05196042A JP 2610992 A JP2610992 A JP 2610992A JP 2610992 A JP2610992 A JP 2610992A JP H05196042 A JPH05196042 A JP H05196042A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sliding block
- graphite rods
- graphite
- cast iron
- graphite rod
- Prior art date
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 鋳鉄からなるブロック本体15に固体潤滑作用
を行う複数本の黒鉛ロッドを、チルを生じさせることな
く鋳ぐるみにより埋設する。 【構成】 鋳造時に黒鉛ロッド16によって最も急速に冷
却される部位、即ち黒鉛ロッド16とブロック本体15の側
面との間および隣接する黒鉛ロッド16相互間における最
小距離L、Mの双方を、所定の式により求められる値以
上として、チル化を防止する。
を行う複数本の黒鉛ロッドを、チルを生じさせることな
く鋳ぐるみにより埋設する。 【構成】 鋳造時に黒鉛ロッド16によって最も急速に冷
却される部位、即ち黒鉛ロッド16とブロック本体15の側
面との間および隣接する黒鉛ロッド16相互間における最
小距離L、Mの双方を、所定の式により求められる値以
上として、チル化を防止する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鋳鉄からなるブロッ
ク本体内に固体潤滑作用を行う黒鉛ロッドを複数本鋳ぐ
るむことにより埋設して構成した摺動ブロックに関す
る。
ク本体内に固体潤滑作用を行う黒鉛ロッドを複数本鋳ぐ
るむことにより埋設して構成した摺動ブロックに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、機械装置等においては、部材同
士が摺動する箇所、例えばスライドベアリング、ガイド
ブッシュの設置箇所、があるが、このような箇所におけ
る部材同士の摩擦、摩耗を低減させるため、部材内に固
体潤滑材を埋設することが行われている。
士が摺動する箇所、例えばスライドベアリング、ガイド
ブッシュの設置箇所、があるが、このような箇所におけ
る部材同士の摩擦、摩耗を低減させるため、部材内に固
体潤滑材を埋設することが行われている。
【0003】従来、このような固体潤滑材が埋設された
摺動ブロックとしては、例えば特開昭64− 87056号公報
に記載されているようなものが知られている。このもの
は、鋳鉄からなるブロック本体に、摺動表面に対して直
交する方向に延び、フッ化カルシュームの焼結体等から
なる固体潤滑材を複数本埋設したものである。そして、
このものを製造するには、まず、摺動ブロックと同一形
状で鋳鉄溶湯に接触したとき気化する発泡ポリエチレン
等からなる模型に、固体潤滑材を複数本埋設し、その
後、固体潤滑材が埋設された模型の周囲に鋳物砂を充填
して鋳型を成型する。次に、この鋳型内に鋳鉄溶湯を注
湯し模型を気化させて鋳型内にキャビティを形成すると
ともに、このキャビティを鋳鉄溶湯で充満させる。この
結果、固体潤滑材は鋳鉄溶湯によって鋳ぐるまれること
になる。その後、この鋳鉄溶湯を冷却固化させ摺動ブロ
ックとするのである。そして、この摺動ブロックに対し
ては必要に応じて機械加工を行う。
摺動ブロックとしては、例えば特開昭64− 87056号公報
に記載されているようなものが知られている。このもの
は、鋳鉄からなるブロック本体に、摺動表面に対して直
交する方向に延び、フッ化カルシュームの焼結体等から
なる固体潤滑材を複数本埋設したものである。そして、
このものを製造するには、まず、摺動ブロックと同一形
状で鋳鉄溶湯に接触したとき気化する発泡ポリエチレン
等からなる模型に、固体潤滑材を複数本埋設し、その
後、固体潤滑材が埋設された模型の周囲に鋳物砂を充填
して鋳型を成型する。次に、この鋳型内に鋳鉄溶湯を注
湯し模型を気化させて鋳型内にキャビティを形成すると
ともに、このキャビティを鋳鉄溶湯で充満させる。この
結果、固体潤滑材は鋳鉄溶湯によって鋳ぐるまれること
になる。その後、この鋳鉄溶湯を冷却固化させ摺動ブロ
ックとするのである。そして、この摺動ブロックに対し
ては必要に応じて機械加工を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、前述した固体
潤滑材として黒鉛を用いることもできるが、このような
黒鉛は熱伝達率が極めて高いため鋳込み時に周囲の鋳鉄
溶湯から急速に熱を奪って急冷させ、鋳鉄内に炭素を鉄
と化合したセメンタイトの形で析出させて鋳鉄をチル化
させてしまうのである。そして、このように固体潤滑材
の周囲がチル化すると、固体潤滑材とブロック本体との
密着性が低下して使用中に固体潤滑材が脱落したり、ま
た、硬度が高くなって機械加工が困難になるため、黒鉛
は良好な潤滑作用を果たすことができるものの、実際に
固体潤滑材として使用することができなかった。
潤滑材として黒鉛を用いることもできるが、このような
黒鉛は熱伝達率が極めて高いため鋳込み時に周囲の鋳鉄
溶湯から急速に熱を奪って急冷させ、鋳鉄内に炭素を鉄
と化合したセメンタイトの形で析出させて鋳鉄をチル化
させてしまうのである。そして、このように固体潤滑材
の周囲がチル化すると、固体潤滑材とブロック本体との
密着性が低下して使用中に固体潤滑材が脱落したり、ま
た、硬度が高くなって機械加工が困難になるため、黒鉛
は良好な潤滑作用を果たすことができるものの、実際に
固体潤滑材として使用することができなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者はこのような良
好な潤滑作用を行うことができる黒鉛を鋳ぐるみによっ
て鋳物内に埋設できないかと鋭意研究を重ねた結果、チ
ル化は黒鉛ロッドの直径およびブロック本体の最小肉
厚、即ち1つは黒鉛ロッドの外周とキャビティ表面との
間の距離であり、もう1つは黒鉛ロッドの外周間の距離
に関係することを見いだした。このため、黒鉛ロッドの
直径D(mm)を種々に変化させるとともに、黒鉛ロッドの
外周とキャビティ表面との間の距離L(mm)および隣接す
る黒鉛ロッドの外周間の距離M(mm)を種々に変化させた
試験片を鋳造により製作し、黒鉛ロッドの周囲、詳しく
は黒鉛ロッドの外周とブロック本体の側面との間および
黒鉛ロッド間においてそのロックウェルB硬度を測定し
た。直径Dと距離Lとを変化させたときの結果を以下の
表1に、直径Dと距離Mとを変化させたときの結果を以
下の表2に示す。ここで、ブロック本体を構成する鋳鉄
としてはFC25を使用したが、この鋳鉄自体のロック
ウェルB硬度は最高が93であった。
好な潤滑作用を行うことができる黒鉛を鋳ぐるみによっ
て鋳物内に埋設できないかと鋭意研究を重ねた結果、チ
ル化は黒鉛ロッドの直径およびブロック本体の最小肉
厚、即ち1つは黒鉛ロッドの外周とキャビティ表面との
間の距離であり、もう1つは黒鉛ロッドの外周間の距離
に関係することを見いだした。このため、黒鉛ロッドの
直径D(mm)を種々に変化させるとともに、黒鉛ロッドの
外周とキャビティ表面との間の距離L(mm)および隣接す
る黒鉛ロッドの外周間の距離M(mm)を種々に変化させた
試験片を鋳造により製作し、黒鉛ロッドの周囲、詳しく
は黒鉛ロッドの外周とブロック本体の側面との間および
黒鉛ロッド間においてそのロックウェルB硬度を測定し
た。直径Dと距離Lとを変化させたときの結果を以下の
表1に、直径Dと距離Mとを変化させたときの結果を以
下の表2に示す。ここで、ブロック本体を構成する鋳鉄
としてはFC25を使用したが、この鋳鉄自体のロック
ウェルB硬度は最高が93であった。
【表1】
【表2】 そして、これら表1、2の結果を図6にグラフで示す
と、直線C、即ち式( 0.6×D− 2)より上側では黒鉛
ロッドの周囲にチルは生じていないのである。なお、鋳
鉄に含有される炭素含有%が変化すると、チルの発生に
影響が出るかどうかの試験も行ったが、通常用いられる
範囲、即ち炭素含有%が 2.8%から 3.8%である場合に
は殆ど影響はなかった。
と、直線C、即ち式( 0.6×D− 2)より上側では黒鉛
ロッドの周囲にチルは生じていないのである。なお、鋳
鉄に含有される炭素含有%が変化すると、チルの発生に
影響が出るかどうかの試験も行ったが、通常用いられる
範囲、即ち炭素含有%が 2.8%から 3.8%である場合に
は殆ど影響はなかった。
【0006】このようなことから、本発明は、炭素含有
%が 2.8%から 3.8%である鋳鉄からなるブロック本体
に、摺動表面に対して直交する方向に延び、固体潤滑作
用を行う黒鉛ロッドを複数本鋳ぐるむことにより埋設し
て構成した摺動ブロックにおいて、前記黒鉛ロッドの直
径をD(mm)としたとき、前記摺動表面に対して交差する
摺動ブロックの側面と黒鉛ロッドとの間の最小距離L(m
m)および黒鉛ロッド間の最小距離M(mm)の双方を( 0.6
×D− 2)以上としたものである。
%が 2.8%から 3.8%である鋳鉄からなるブロック本体
に、摺動表面に対して直交する方向に延び、固体潤滑作
用を行う黒鉛ロッドを複数本鋳ぐるむことにより埋設し
て構成した摺動ブロックにおいて、前記黒鉛ロッドの直
径をD(mm)としたとき、前記摺動表面に対して交差する
摺動ブロックの側面と黒鉛ロッドとの間の最小距離L(m
m)および黒鉛ロッド間の最小距離M(mm)の双方を( 0.6
×D− 2)以上としたものである。
【0007】
【作用】この発明の摺動ブロックは、鋳鉄溶湯を鋳型の
キャビティに注湯し、この鋳鉄溶湯によって黒鉛ロッド
を鋳ぐるむことで製造する。ここで、鋳鉄溶湯が冷却固
化する際、黒鉛ロッドの周囲、特に熱が両側から急激に
奪われる黒鉛ロッドの外周とブロック本体の側面(キャ
ビテイ表面)との間および黒鉛ロッド間ではチル化する
おそれがあるが、これらの間の最小距離L、Mを前述の
式で求められる値以上としたので、このようなチル化を
極めて容易にかつ確実に阻止することができる。この結
果、黒鉛ロッドとブロック本体との密着性が向上して使
用中に黒鉛ロッドが脱落するようなこともなく、また、
摺動ブロックの機械加工も容易となり、黒鉛ロッドを固
体潤滑材として実際に使用することができる。
キャビティに注湯し、この鋳鉄溶湯によって黒鉛ロッド
を鋳ぐるむことで製造する。ここで、鋳鉄溶湯が冷却固
化する際、黒鉛ロッドの周囲、特に熱が両側から急激に
奪われる黒鉛ロッドの外周とブロック本体の側面(キャ
ビテイ表面)との間および黒鉛ロッド間ではチル化する
おそれがあるが、これらの間の最小距離L、Mを前述の
式で求められる値以上としたので、このようなチル化を
極めて容易にかつ確実に阻止することができる。この結
果、黒鉛ロッドとブロック本体との密着性が向上して使
用中に黒鉛ロッドが脱落するようなこともなく、また、
摺動ブロックの機械加工も容易となり、黒鉛ロッドを固
体潤滑材として実際に使用することができる。
【0008】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図面に基づいて
説明する。図1、2において、11は例えばウエアプレー
トとして使用される摺動ブロックであり、この摺動ブロ
ック11は他の部材が摺接する摺動表面12と、この摺動表
面12に交差、ここでは直交する4つの側面13を有する。
また、この摺動ブロック11は鋳鉄からなるブロック本体
15を有し、このブロック本体15の炭素含有%は通常用い
られる範囲、即ち 2.8%から 3.8%の範囲である。この
ブロック本体15には前記摺動表面12に対して直交する方
向に延びる複数本の円柱状をした黒鉛ロッド16が鋳ぐる
むことで埋設されており、これらの黒鉛ロッド16は互い
にほぼ等距離だけ離れている。また、これらの黒鉛ロッ
ド16の軸方向一端は前記摺動表面12に露出しており、こ
の結果、他の部材が摺動表面12上を摺動する際、これら
黒鉛ロッド16は固体潤滑材として作用する。
説明する。図1、2において、11は例えばウエアプレー
トとして使用される摺動ブロックであり、この摺動ブロ
ック11は他の部材が摺接する摺動表面12と、この摺動表
面12に交差、ここでは直交する4つの側面13を有する。
また、この摺動ブロック11は鋳鉄からなるブロック本体
15を有し、このブロック本体15の炭素含有%は通常用い
られる範囲、即ち 2.8%から 3.8%の範囲である。この
ブロック本体15には前記摺動表面12に対して直交する方
向に延びる複数本の円柱状をした黒鉛ロッド16が鋳ぐる
むことで埋設されており、これらの黒鉛ロッド16は互い
にほぼ等距離だけ離れている。また、これらの黒鉛ロッ
ド16の軸方向一端は前記摺動表面12に露出しており、こ
の結果、他の部材が摺動表面12上を摺動する際、これら
黒鉛ロッド16は固体潤滑材として作用する。
【0009】そして、このような摺動ブロック11を製造
するには、例えば、鋳鉄溶湯に接触したとき熱分解して
気化する材料、即ち分解気化材によってブロック本体15
と同一形状をした模型21を成型する。ここで、分解気化
材としては、例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレ
ン、発泡ポリウレタン等が用いられる。次に、この模型
21の所定位置に複数本の黒鉛ロッド16を埋設するが、こ
のとき、これら黒鉛ロッド16の両端部を模型21の表面か
ら多少突出させておく。次に、黒鉛ロッド16が埋設され
た模型21を鋳型枠22内に収納した後、これら模型21の周
囲に鋳物砂23を充填し、図3に示すように鋳型24を成型
する。次に、この鋳型24内に鋳鉄溶湯を注湯すると、模
型21は鋳鉄溶湯に接触して熱分解し気化する。このた
め、鋳型24内に模型21と同一形状のキャビティが形成さ
れるが、このキャビティは注湯された鋳鉄溶湯で充満さ
れ、この結果、黒鉛ロッド16はこの鋳鉄溶湯によって鋳
ぐるまれることになる。その後、この鋳鉄溶湯を冷却固
化させ摺動ブロック11とするのである。その後、この摺
動ブロック11に対し必要に応じて機械加工を行う。
するには、例えば、鋳鉄溶湯に接触したとき熱分解して
気化する材料、即ち分解気化材によってブロック本体15
と同一形状をした模型21を成型する。ここで、分解気化
材としては、例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレ
ン、発泡ポリウレタン等が用いられる。次に、この模型
21の所定位置に複数本の黒鉛ロッド16を埋設するが、こ
のとき、これら黒鉛ロッド16の両端部を模型21の表面か
ら多少突出させておく。次に、黒鉛ロッド16が埋設され
た模型21を鋳型枠22内に収納した後、これら模型21の周
囲に鋳物砂23を充填し、図3に示すように鋳型24を成型
する。次に、この鋳型24内に鋳鉄溶湯を注湯すると、模
型21は鋳鉄溶湯に接触して熱分解し気化する。このた
め、鋳型24内に模型21と同一形状のキャビティが形成さ
れるが、このキャビティは注湯された鋳鉄溶湯で充満さ
れ、この結果、黒鉛ロッド16はこの鋳鉄溶湯によって鋳
ぐるまれることになる。その後、この鋳鉄溶湯を冷却固
化させ摺動ブロック11とするのである。その後、この摺
動ブロック11に対し必要に応じて機械加工を行う。
【0010】また、摺動ブロック11は以下の方法によっ
ても製造することができる。即ち、まず、摺動ブロック
11とほぼ同一形状の木型を製作する。次に、この木型を
鋳型枠22内に収納した後、これら模型21の周囲に鋳物砂
23を充填する。次に、この木型を取り出して鋳型24内に
キャビティ25を形成する。このとき、鋳物砂23に両端部
が挿入され、中央部がキャビティ25内に位置する黒鉛ロ
ッド16を、図4に示すように複数本鋳型24内の所定位置
に配置する。次に、この鋳型24内に鋳鉄溶湯を注湯する
と、キャビティ25は注湯された鋳鉄溶湯で充満され、こ
の結果、黒鉛ロッド16はこの鋳鉄溶湯によって鋳ぐるま
れる。その後、この鋳鉄溶湯を冷却固化させ摺動ブロッ
ク11とするのである。その後、この摺動ブロック11に対
し必要に応じて機械加工を行う。
ても製造することができる。即ち、まず、摺動ブロック
11とほぼ同一形状の木型を製作する。次に、この木型を
鋳型枠22内に収納した後、これら模型21の周囲に鋳物砂
23を充填する。次に、この木型を取り出して鋳型24内に
キャビティ25を形成する。このとき、鋳物砂23に両端部
が挿入され、中央部がキャビティ25内に位置する黒鉛ロ
ッド16を、図4に示すように複数本鋳型24内の所定位置
に配置する。次に、この鋳型24内に鋳鉄溶湯を注湯する
と、キャビティ25は注湯された鋳鉄溶湯で充満され、こ
の結果、黒鉛ロッド16はこの鋳鉄溶湯によって鋳ぐるま
れる。その後、この鋳鉄溶湯を冷却固化させ摺動ブロッ
ク11とするのである。その後、この摺動ブロック11に対
し必要に応じて機械加工を行う。
【0011】ここで、前述のように固体潤滑材として黒
鉛ロッド16を用いた場合には、黒鉛の熱伝達率が極めて
高いため、鋳造時に該黒鉛ロッド16が周囲の鋳鉄溶湯か
ら急激に熱を奪って急冷させ、黒鉛ロッド16の周囲、特
に最も急速に冷却される摺動ブロック11の側面13(キャ
ビティの表面)と黒鉛ロッド16の外周面との間および隣
接する2つの黒鉛ロッド16の外周面間に、セメンタイト
を析出させてチル化させるおそれがある。このため、こ
の実施例では、黒鉛ロッド16の直径をD(mm)、摺動ブロ
ック11の側面13(キャビティの表面)と黒鉛ロッド16と
の間の最小距離をL(mm)、黒鉛ロッド16間の最小距離を
M(mm)としたとき、これら最小距離L、Mの双方を、式
( 0.6×D− 2)で求めた値以上、即ち図6に示した直
線Cより上側としたのである。この結果、黒鉛ロッド16
の周囲におけるチル化が極めて容易にかつ確実に阻止で
き、黒鉛ロッド16とブロック本体15との密着性が向上し
て使用中に黒鉛ロッド16が脱落するようなこともなくな
り、また、摺動ブロック11の機械加工も容易となり、黒
鉛ロッド16を固体潤滑材として実際に使用することがで
きるようになったのである。
鉛ロッド16を用いた場合には、黒鉛の熱伝達率が極めて
高いため、鋳造時に該黒鉛ロッド16が周囲の鋳鉄溶湯か
ら急激に熱を奪って急冷させ、黒鉛ロッド16の周囲、特
に最も急速に冷却される摺動ブロック11の側面13(キャ
ビティの表面)と黒鉛ロッド16の外周面との間および隣
接する2つの黒鉛ロッド16の外周面間に、セメンタイト
を析出させてチル化させるおそれがある。このため、こ
の実施例では、黒鉛ロッド16の直径をD(mm)、摺動ブロ
ック11の側面13(キャビティの表面)と黒鉛ロッド16と
の間の最小距離をL(mm)、黒鉛ロッド16間の最小距離を
M(mm)としたとき、これら最小距離L、Mの双方を、式
( 0.6×D− 2)で求めた値以上、即ち図6に示した直
線Cより上側としたのである。この結果、黒鉛ロッド16
の周囲におけるチル化が極めて容易にかつ確実に阻止で
き、黒鉛ロッド16とブロック本体15との密着性が向上し
て使用中に黒鉛ロッド16が脱落するようなこともなくな
り、また、摺動ブロック11の機械加工も容易となり、黒
鉛ロッド16を固体潤滑材として実際に使用することがで
きるようになったのである。
【0012】なお、前述の実施例においては、摺動ブロ
ック11がウエアプレートであったため板状であったが、
この発明においては、摺動ブロック11はどのような形状
であってもよく、例えばブッシュである場合には図5に
示すような円筒状となる。この場合には、内周面が摺動
表面12となり、両端面が側面13となる。また、前述の実
施例においては、黒鉛ロッド16がブロック本体15を貫通
しその表、裏面において露出していたが、この発明にお
いては、黒鉛ロッド16の脱落の抑制および黒鉛ロッド16
の使用量の低減のため、黒鉛ロッド16をブロック本体15
の底面まで到達させず、途中で終わらせてもよい。この
場合には、黒鉛ロッド16の最奥部とブロック本体15の底
面との間におけるチル化を防止するため、これらの間の
距離を、前記式で求めた値以上とする。
ック11がウエアプレートであったため板状であったが、
この発明においては、摺動ブロック11はどのような形状
であってもよく、例えばブッシュである場合には図5に
示すような円筒状となる。この場合には、内周面が摺動
表面12となり、両端面が側面13となる。また、前述の実
施例においては、黒鉛ロッド16がブロック本体15を貫通
しその表、裏面において露出していたが、この発明にお
いては、黒鉛ロッド16の脱落の抑制および黒鉛ロッド16
の使用量の低減のため、黒鉛ロッド16をブロック本体15
の底面まで到達させず、途中で終わらせてもよい。この
場合には、黒鉛ロッド16の最奥部とブロック本体15の底
面との間におけるチル化を防止するため、これらの間の
距離を、前記式で求めた値以上とする。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、黒鉛ロッドの周囲におけるチル化を極めて容易にか
つ確実に阻止することができる。この結果、黒鉛ロッド
とブロック本体との密着性が向上して使用中に黒鉛ロッ
ドが脱落するようなこともなく、また、摺動ブロックの
機械加工も容易となり、黒鉛ロッドを固体潤滑材として
実際に使用することができるようになる。
ば、黒鉛ロッドの周囲におけるチル化を極めて容易にか
つ確実に阻止することができる。この結果、黒鉛ロッド
とブロック本体との密着性が向上して使用中に黒鉛ロッ
ドが脱落するようなこともなく、また、摺動ブロックの
機械加工も容易となり、黒鉛ロッドを固体潤滑材として
実際に使用することができるようになる。
【図1】この発明の一実施例を示す平面図である。
【図2】図1のIーI矢視断面図である。
【図3】この発明の摺動ブロックの製造方法の一例を示
す鋳型の断面図である。
す鋳型の断面図である。
【図4】この発明の摺動ブロックの製造方法の他の例を
示す鋳型の断面図である。
示す鋳型の断面図である。
【図5】この発明の他の実施例を示す一部破断正面図で
ある。
ある。
【図6】直径Dと距離L、Mとを変化させたときに、黒
鉛ロッドの周囲にチルが発生するか否かを表すグラフで
ある。
鉛ロッドの周囲にチルが発生するか否かを表すグラフで
ある。
【符号の説明】 11…摺動ブロック 12…摺動表面 13…側面 15…ブロック本体 16…黒鉛ロッド
Claims (1)
- 【請求項1】炭素含有%が 2.8%から 3.8%である鋳鉄
からなるブロック本体に、摺動表面に対して直交する方
向に延び、固体潤滑作用を行う黒鉛ロッドを複数本鋳ぐ
るむことにより埋設して構成した摺動ブロックにおい
て、前記黒鉛ロッドの直径をD(mm)としたとき、前記摺
動表面に対して交差する摺動ブロックの側面と黒鉛ロッ
ドとの間の最小距離L(mm)および黒鉛ロッド間の最小距
離M(mm)の双方を( 0.6×D− 2)以上としたことを特
徴とする摺動ブロック。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2610992A JPH05196042A (ja) | 1992-01-17 | 1992-01-17 | 摺動ブロック |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2610992A JPH05196042A (ja) | 1992-01-17 | 1992-01-17 | 摺動ブロック |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05196042A true JPH05196042A (ja) | 1993-08-06 |
Family
ID=12184428
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2610992A Pending JPH05196042A (ja) | 1992-01-17 | 1992-01-17 | 摺動ブロック |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05196042A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20110124301A (ko) * | 2009-03-11 | 2011-11-16 | 페데랄-모굴 데바 게엠베하 | 슬라이딩 플러그 및 슬라이딩 요소 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6325821B2 (ja) * | 1979-07-23 | 1988-05-26 | Tokyo Shibaura Electric Co |
-
1992
- 1992-01-17 JP JP2610992A patent/JPH05196042A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6325821B2 (ja) * | 1979-07-23 | 1988-05-26 | Tokyo Shibaura Electric Co |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20110124301A (ko) * | 2009-03-11 | 2011-11-16 | 페데랄-모굴 데바 게엠베하 | 슬라이딩 플러그 및 슬라이딩 요소 |
JP2012520426A (ja) * | 2009-03-11 | 2012-09-06 | フェデラル・モーグル・デファ・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング | 留め具及びスライド部材 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 19950905 |