JP2012508568A - 飲料の口あたりの改善 - Google Patents

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Abstract

特定の固有粘度を有するハイドロコロイドを添加することによる、飲料の口あたりを改善する方法、および該ハイドロコロイドを含む低カロリー飲料。

Description

発明の技術分野
本発明は、飲料の知覚的特徴を変化させる分野に関する。詳細には、本発明は、特定の固有粘度を有するハイドロコロイドを添加することによって飲料の口あたりを改善する方法に関する。
体重に関する関心は、世界中の人々にとって最も重要なことであり;このことに対応するために、食品製造業者は飲料中のカロリーを低減することに強い関心を持っている(例えば、「低カロリー」、「ライト飲料」ほか);しかしながら、これらの飲料はそれらのレギュラー同等物の口あたり、ボディー(body)および風味を欠いているため、消費者による受容性が低い場合がある。したがって、高カロリー成分を部分的または全体的に代替し得る低カロリー成分の添加は、飲料産業にとっては重要な挑戦である。この挑戦とは、レギュラー飲料の風味、口あたりおよびボディーを維持し、したがって同様の感覚応答を生じることである。
したがって、飲料の、詳細には、完全なカロリーの同等物と比較してボディーまたは口あたりを欠くことによって消費者による受容性が妥協される場合がある、例えばライト飲料のようなカロリー低減飲料の、口あたりを改善する可能性を見出すことの産業界における長年感じられていた要望が存在する。この問題の典型的な例は、完全なカロリーのドリンクと比較してボディーにおけるその差のためにライトドリンクが受容性を欠く場合がある炭酸飲料産業界に存在する。
WO 2007/066233には、飲料エマルジョンを調製するための新規な油相が開示されている。この水中油型エマルジョンは、0.99から1.05g/cm3までの密度および10から1500cP(センチポイズ)までの粘度を有する油相、水相およびペクチンをベースとし、高められた乳化特性および安定性を示すと報告されている。しかしながら、ある種の型の飲料しかかかる水中油型エマルジョンから調製し得ない。また、この明細書には、最終的なエマルジョンベースの飲料の口あたり特性に関する情報は提供されていない。
これまで、飲料の口あたりを改善する研究は、密度および粘度に主に焦点を当ててきた。飲料の口あたりをさらに改善するという要望は存在し続けている。本発明は、特定の群のハイドロコロイドを添加することによって飲料の口あたりを改善する方法を提供する。
第1の態様によれば、本発明は、約10から約1500ppmまでの1またはそれを超える第1のハイドロコロイドを飲料に添加する工程を含む該飲料の口あたりを改善する方法に関し、該第1のハイドロコロイドは毛細管流粘度計によって測定して5−600mL/gの固有粘度を有することを特徴とする。
第2の態様によれば、本発明は、同等の完全なカロリーの飲料の潤滑性とほぼ同等であるかまたはそれよりも高い潤滑性を有するカロリー低減飲料組成物に関し、該カロリー低減飲料組成物は毛細管流粘度計によって測定して5から600mL/gまでの固有粘度を有する1またはそれを超える第1のハイドロコロイドを含む。
第3の態様によれば、本発明は飲料の口あたりを改善するための、ハイドロコロイドの使用に関する。
図1は0.1M NaCl/0.02M酢酸緩衝液中の174.9μg/mLの濃度のテンサイ・ペクチンの吸光分光分析スキャン(0.1nm バンド幅)を示す。 図2はライトおよびレギュラーの非−炭酸Oasis(登録商標)型飲料のストライベック曲線を示す。 図3は最大摩擦係数差(Δμ)maxの決定を含む図2の示差ストライベック曲線を示す。 図4は非−炭酸Oasis(登録商標)型飲料(レギュラーおよび600ppmのハイドロコロイドを加えた飲料)−対−ライト飲料参照(CMC=カルボキシメチルセルロース)の流動学およびトライボロジー・マッピングを示す。 図5は炭酸Fanta(登録商標)型飲料(レギュラー飲料および50、150、300、600、800および1000ppmのテンサイ・ペクチンを加えたライト飲料)−対−ライト飲料参照の流動学およびトライボロジー・マッピングを示す。 図6はFanta(登録商標)、Fanta Light(登録商標)および増加する濃度のテンサイ・ペクチンを含むFanta Light(登録商標)のトライボロジー測定を示す。
詳細な説明
本明細書中で用いる「飲料」なる語は、飲むことができる組成物を意味する。飲料には、限定されるものではないが以下のものが含まれる:炭酸および非−炭酸、アルコールおよびノンアルコールのドリンク、限定されるものではないが、炭酸水、風味を付けた水、炭酸の風味を付けた水、果汁(いずれかの果実または果実のいずれかの組合せ由来の果汁、いずれかの野菜または野菜のいずれかの組合せ由来の果汁)またはネクターを含むドリンク、動物から得られるミルク、ダイズ、イネ、ココナッツまたは他の植物材料由来の乳製品、スポーツドリンク、高ビタミンスポーツドリンク、高電解質スポーツドリンク、高カフェイン含有高エナジードリンク、コーヒー、脱カフェインコーヒー、茶、果実産物由来の茶、ハーブ産物由来の茶、脱カフェイン茶、ワイン、シャンパン、麦芽酒、ラム酒、ジン、ウォッカ、他のハードリカー、ビール、低カロリービール型飲料、ノンアルコールビール、および、ビール、エール、スタウト、ラガー、ポーター、低アルコールビール、アルコールフリー−ビール、クワス、ライ麦パンビール、シャンディー、麦芽ドリンクなどのような穀物溶液から得られる他のビール型飲料が含まれる。この段落における穀物とは、前掲の飲料および他の同様の飲料を製造するために一般的に使用されるグレインをいう。しかしながら、「飲料」なる語は100%果汁ベースの飲料は除く。
本発明に係る飲料の「口あたり」なる語は、舌、歯肉および歯牙を含む口腔の内側で知覚される触感である。本発明に係る「ボディー」なる語は、飲料によって与えられる風味の豊かさまたはコンシステンシーの印象である。本発明は、飲料が不快に濃いまたは粘っこいと評価されるような官能的特徴に影響することなく「改善された口あたり」も許容する。この「改善された口あたり」は、調べるべき成分を含まない同等の飲料と比較して、飲料を消費する味覚パネルによって;またはトライボロジー装置(下記を参照)を用いて最良に調べ得る。
本発明の1の態様において、本発明者らは、飲料の口あたりを改善する方法を開発し、それには、特定の固有粘度を有する1またはそれを超えるハイドロコロイド(「第1のハイドロコロイド」)を飲料組成物に添加する工程が含まれる。「添加する」とは、飲料がすでにハイドロコロイドを含んでいる場合には、加えてさらなるハイドロコロイドを添加することによってその口あたりまたは風味を改善し得ることを意味する。
好ましくは、第1のハイドロコロイドは、テンサイ・ペクチン、リンゴ・ペクチン、アラビアゴムまたはnOSA(n-オクテニル無水コハク酸)マルトデキストリン、低分子量カルボキシメチルセルロース(毛細管流粘度計によって測定して<600mL/gの固有粘度を有する)およびそれらの混合物よりなる群から選択し得る。理論によって拘束されることを望ものではないが、第1のハイドロコロイドは滑剤として作用すると考えられる。第1のハイドロコロイドの潤滑作用は、飲み込む間に口腔の内側に発生する圧力を支持し得る流体様クッションを生じる。したがって、舌、歯肉(gums teeth)および口蓋間の摩擦力が減少する。かかる潤滑効果は、例えば、本明細書中で後に説明するトライボロジー装置を介して測定し得る。
飲料の口あたりを改善する方法では、毛細管流粘度計によって測定して5から600mL/gまで、好ましくは5から550mL/gまで、より好ましくは10から500mL/gまで、なおより好ましくは10から450mL/gまで、なおより好ましくは50から450mL/gまでおよび最も好ましくは100から450mL/gまでの固有粘度を有する1またはそれを超える第1のハイドロコロイドを用いる。
かかる第1のハイドロコロイド(または複数のハイドロコロイド)は、最終的に得られる飲料の約10から約1500ppmまでの量で含まれ得る。より好ましくは、ハイドロコロイド(または複数のハイドロコロイド)の量は、最終的な飲料組成物の約20ppmから約1300ppmまで、より好ましくは約100ppmから約1000ppmまで、なおより好ましくは約120ppmから約800ppmまでであり、最も好ましくは量は260ppmから800ppmまでである。
さらに好ましい形態において、飲料の口あたりを改善する方法には、ボディーの積極的な修飾を可能とする他の食用物質も含まれる。かかる積極的な修飾は、飲料の粘度および/または浸透性を修飾することを介して得ることができる。飲料の粘度は飲料のコンシステンシーの印象に影響する一方で、浸透性は飲料の豊かさの感覚に影響する。そのようにして、粘度および浸透性を修飾することは、飲料の改善された口あたりにさらに寄与する。これらの食用物質は、好ましくは他のハイドロコロイド(「第2のハイドロコロイド」)または充填剤およびそれらの混合物よりなる群から選択される。
ボディーを繊細に調整する必要がある場合は、食用物質(第2のハイドロコロイドまたは充填剤)を標的飲料のボディーに合致する好適な量で添加する。好ましくは、0.4mPa.s(20℃において)未満、好ましくは0.1から0.4mPa.s(20℃において)までの粘度の増加を得るために、ボディー修飾物質を添加する。粘度は、20℃において25s-1の一定の剪断速度でAnton Paar MCR300レオメーター(シリンダー、CC24プローブ)を用いて測定し得る。
これらの第2のハイドロコロイドは、例えば、グアガム、ローカストビーンガム、カシアゴム、他の植物起源のペクチン(例えば、リンゴ、柑橘類、ダイズ、ジャガイモ....)、高分子量カルボキシメチルセルロース(毛細管流粘度計によって測定して>600mL/g、好ましくは>700mL/gの固有粘度を有する)、カラギーナン、アルギネートまたはキサンタンおよびそれらの混合物とし得る。第2のハイドロコロイドは第1のハイドロコロイド(潤滑効果を提供する)とは異なる。第2のハイドロコロイドは、約10から約500ppmまで、好ましくは約20から約450ppmまで、および最も好ましくは約30から約400ppmまでの量で含まれ得る。
充填剤は、イソマルツロース、ポリデキストロース、トレハロース、エリスリトールまたはオリゴデキストランならびにそれらの混合物よりなる群から選択し得る。充填剤は、約100から約12000ppmまで、好ましくは約200から約11000ppmまで、最も好ましくは約300から約10000ppmまでの量で含まれ得る。
好ましくは、食用物質に対する第1のハイドロコロイド(または複数のハイドロコロイド)の比は、約150:1から約1:1200まで、好ましくは約75:1から約1:600まで、およびより好ましくは約40:1から約1:400までである。食用物質が第2のハイドロコロイドのみを含む場合、第2のハイドロコロイドに対する第1のハイドロコロイドの比は約150:1から約1:50まで、好ましくは約75:1から約1:45まで、より好ましくは約40:1から約1:20まで、なおより好ましくは約50:1から約1:20までおよび最も好ましくは約40:1から約1:15までである。他の食用物質が充填剤のみを含む場合は、充填剤に対する(潤滑)ハイドロコロイドの比は、約15:1から約1:1200まで、好ましくは約7:1から約1:600まで、より好ましくは約3:1から約1:400までである。
特に好ましい形態において、口あたりを改善するための本発明の組成物は、テンサイ・ペクチン単独、またはリンゴの搾りかすまたは柑橘類パルプ、グアガムまたはそれらの混合物のような他の起源からのペクチンと組み合わせたテンサイ・ペクチンを含む。テンサイ・ペクチンの魅力は、その有利な価格のみならず、風味に影響することなくまたは望ましくない官能的印象を生じることなく飲料にボディーを付加するその能力にも基づく。したがって、本発明の特に好ましい形態において、口あたりを改善するために添加するハイドロコロイドはテンサイ・ペクチンである。
もう1の特に好ましい形態において、口あたりを改善するための本発明の組成物は、アラビアゴム単独、またはグアガム、柑橘類ペクチン、高分子量カルボキシメチルセルロースまたはそれらと組み合わせたアラビアゴムを含む。最も好ましくは、組成物はアラビアゴムおよびグアガムの混合物を含む。
いまだもう1の特に好ましい形態において、口あたりを改善するための本発明の組成物は、リンゴ・ペクチン単独、または柑橘類ペクチン、グアガムまたはそれらの混合物と組み合わせたリンゴ・ペクチンを含む。最も好ましくは、組成物はリンゴ・ペクチンおよび柑橘類ペクチンの混合物を含む。
いまだもう1の特に好ましい形態において、口あたりを改善するための本発明の組成物は、nOSAマルトデキストリン単独、またはグアガムと組み合わせたnOSAマルトデキストリンを含む。
いまだもう1の特に好ましい形態において、口あたりを改善するための本発明の組成物は、低分子量カルボキシメチルセルロース(毛細管流粘度計によって測定して<600mL/gの固有粘度を有する)単独、またはグアガムと組み合わせた低分子量カルボキシメチルセルロースを含む。
本発明の1の形態によれば、口あたりを改善するための方法を用いて、カロリー低減飲料の口あたりを改善し;カロリー低減は飲料の発熱量の1から100%低減とし得;好ましくは30から100%、より好ましくは50から100%、最も好ましくは80から100%低減とし得る。かかるカロリー低減飲料は、市場で一般的に知られているように、「ライト飲料」または「ゼロカロリー飲料」とし得るであろう。かかるカロリー低減飲料の場合、改善された口あたりは、同等の完全なカロリーの飲料または「レギュラー」同等物と比較して評価し得る。理想的には、口あたり増強剤を含有するカロリー低減飲料の口あたりは、対応するレギュラー同等物の口あたりに似ている。
カロリー低減飲料の口あたりを改善するために、その潤滑性は好ましくはその同等の完全なカロリーの飲料とほぼ同等またはそれよりも高い。好ましくは、カロリー低減飲料の粘度は、その同等の完全なカロリーの飲料の粘度とほぼ同等にすべきである。「等しい」という語を用いる場合、5%以内、好ましくは3%以内、なおより好ましくは1%以内の差が存在することを意味する。
本発明の1の形態によれば、口あたりを改善する方法を用いて、炭酸および/または非−炭酸飲料の口あたりも改善し得る。この飲料は、完全なカロリーの飲料またはカロリー低減飲料とし得る。
本発明の1の形態によれば、口あたりを改善する方法を用いて、アルコール飲料の口あたりも改善し得る。特に、これらのアルコール飲料は「ライト飲料」のようなカロリー低減飲料とし得る。あるいは、飲料は非−アルコール飲料ともし得る。
従来は、飲料の口あたり特性は、低粘度の液体の口あたり挙動を信頼して調べ得る測定ツールが存在しなかったため、味覚パネルによって試験されなければならなかった。流動学における最新技術は、低粘度の飲料についての口あたりを向上する成分をスクリーニングするツールとして用いるのに十分に感度が高くない。特に、炭酸ソフトドリンク、非−炭酸ソフトドリンク、風味を付けた水、ビールまたはフルーツジュースドリンクのような低粘度系については、潤滑性のような、粘度以外の力によっても口あたりが影響される。最も最近では、Cargill Grobal Food Researchが飲料および他の低粘度系用スクリーニングツールおよび方法として用い得る摩擦計を開発した。出典明示して本明細書の一部とみなすPCT/EP2008/004443(WO 2008/148536として公開)およびPCT/EP2008/004446(WO 2008/148538として公開)を参照されたい。この摩擦装置を用いれば、飲料の全体的テキスチャーに依存する口あたり感覚に対する成分の影響を評価することが可能であり、標準的なレオメーターと組合せて口内におけるその物理学的および化学的な相互作用を評価することが可能である。
もう1の態様において、本発明は、同等の完全なカロリーの飲料の潤滑性とほぼ同じまたはそれよりも高い潤滑性を有するカロリー低減飲料組成物に指向され、該カロリー低減飲料組成物は、毛細管流粘度計によって測定して約5から600mL/gまでの固有粘度を有する1またはそれを超える第1のハイドロコロイドを含む。固有粘度の好ましい範囲は、本明細書中で前記に定義したものである。好ましい第1のハイドロコロイドは本明細書中で前記に定義したものである。
好ましい形態において、カロリー低減飲料組成物は、その同等の完全なカロリーの飲料の粘度とほぼ等しいまたはそれよりも高い粘度をさらに有し、該カロリー低減飲料組成物は、第2のハイドロコロイド、充填剤またはそれらの混合物の群から選択される1またはそれを超える食用物質を含むが、但し、第2のハイドロコロイドは第1のハイドロコロイドとは異なる。好ましい食用物質および食用物質に対する第1のハイドロコロイドの比は、本明細書中で前記に定義したものである。
いまだもう1の態様において、本発明は、毛細管流粘度計によって測定して5−600mL/gの固有粘度を有するハイドロコロイドを含む炭酸および/または非−炭酸型の飲料組成物に指向される。詳細には、炭酸型飲料組成物に添加するハイドロコロイドは、テンサイ・ペクチン、リンゴ・ペクチン、アラビアゴム、nOSAマルトデキストリン、低分子量カルボキシメチルセルロース(毛細管流粘度計によって測定して<600mL/gの固有粘度を有する)またはそれらの混合物を含む。好ましい食用物質および食用物質に対する第1のハイドロコロイドの比は、本明細書中で前記に定義したものである。
炭酸型飲料組成物に好ましくは添加するテンサイ・ペクチンは、口あたりの望ましい変化に依存して、いずれの量においても添加し得る。好ましくは、それは最終的に得られる飲料の約1500ppmまでの量、より好ましくは約100ppmから約1000ppmまでの量で含まれる。本発明による口あたりの改善は、少なくとも0.08、好ましくは0.10およびより好ましくは0.12の最大摩擦係数差(Δμ)maxの低下としてトライボロジーによって測定し得る。例えば、添加したテンサイ・ペクチンが最終飲料組成物の600ppmである炭酸型飲料組成物および非−炭酸飲料組成物について良好な結果が得られた。
本発明を以下に提供する例によってさらに説明する。これらの例がいかなる場合においても本発明の範囲を限定することを意図するものでないことは理解される。
実施例
実施例1:Oasis(登録商標)型非−炭酸飲料
1.1 毛細管流粘度計による成分の特徴付け
各成分について8の異なる濃度(0.002から0.020g/mLまで)で、25.00℃におけるフロー時間、動的粘性率、相対粘度、比粘度、低下した粘度および固有粘度を0.1M NaCl/0.02M酢酸(pH5.5、イオン強度μ=0.111)中で測定し、計算した。試料は一晩水和させ、Schottガラスフィルター(10...100μm)を通して濾過した。
キャピラリー532 10(定数K=0,01018mm2/s2)および532 13(定数K=0,02917mm2/s2)を有するウベローデ粘度計(Schott−Geraete)を用いた。ViscoClock(Schott−Geraete)を用いたフロー時間測定(3回)の前に、15mLの溶液を満たし(2回連続して濯いだ後に)、少なくとも15分間25.00℃にて条件付けした。ついで、製造業者によって提供されるHagenbach補正表を用いて平均したフロー時間を補正した。
濾過した溶液の密度を25.00℃にて比重計によって測定した(10mL 容量の比重計)。
表1は以下の古典的な3の補外法(Huggins、Kraemerおよび単一点)から算出した固有粘度[η]を示す:
[η]は式の切片(濃度c=0の場合)である:
Huggins ηsp/c=[η]+k'[η]2c
Kraemer (Inηrel)/c=[η]+k''[η]2c
単一点 [η]={2(ηsp−lnηrel)}1/2/c
Figure 2012508568
1.2 分光測定によるテンサイ・ペクチンの特徴付け
図1は、10,00mm水晶キュベット(Suprasil(登録商標)、Hellma 100-QS)を用いた二重光線Perkin-Elmer Lambda 650分光光度計を用いて記録したテンサイ・ペクチン(0.1M NaCl/0.02M酢酸中の174.9μg/mL)のUV/可視光スキャン(0.1nmバンド幅)を示す。
分光測定の精度は、酸性重クロム酸カリウムを用いてチェックした。波長およびスペクトル分解能は酸化ホルミウム・フィルターを用いてチェックした。迷光は低ブロミドKCl溶液を用いてチェックした。
1.3 Oasis(登録商標)型非−炭酸飲料の組成
Oasis(登録商標)型非−炭酸飲料は以下の組成を有する:
レギュラー飲料:水、濃縮物15%からの果汁(オレンジ、リンゴ)、糖質、酸性調整剤E330(クエン酸)、香味(aroma)、保存剤E211(安息香酸ナトリウム)、安定剤E412(グアガム)、抗酸化剤E300(アスコルビン酸)
9%糖質を添加
ライト飲料:水、濃縮物15%からの果汁(オレンジ、リンゴ)、酸性調整剤E330(クエン酸)、試験成分、高甘味度甘味料(アセスルファームK、アスパルテーム)、香味、保存剤E211(安息香酸ナトリウム)
0%糖質を添加
1.4 トライボロジーによるOasis(登録商標)型非−炭酸飲料の摩擦プロフィール
すべてのトライボロジー測定は、Peltierおよびフード付き温度制御システムによって制御された温度とした、ボール−オン−3プレート形の測定系を有するトライボロジー装置を用いたMCR−301レオメーター(Anton Parr,Stuttgart,Germany)上で行った。このトライボロジー装置は、基体の3の相互交換可能なストリップが配された3の溝を含む接触領域上を回転するステンレス鋼ボールを用いる。基体は熱可塑性弾性体(HTF 8654-94,KRAIBURG TPE GmbH,Waldkraiburg,Austriaから入手可能)からなる。
試験温度は、10分間の0.4mm/sの初期非−記録前剪断で20℃に設定し、つづいて3Nの一定負荷で滑り速度(0.4から250mm/sまで)の関数としての摩擦係数を記録した。摩擦力FRは、滑り速度の関数として測定する。摩擦因子または係数μは、垂直力に対する摩擦力の比FR/FNとして計算した。
図2はライトおよびレギュラーOasis(登録商標)型飲料の摩擦プロフィール(ストライベック曲線)を示す。図3はライトおよびレギュラーOasis型飲料の摩擦プロフィールの差および最大摩擦係数差(Δμ)maxの計算を示す。
1.5 Oasis型非−炭酸飲料の感覚分析(口あたり)、流動学およびトライボロジー
Oasis(登録商標)型非−炭酸飲料は、100、600および1000ppmのハイドロコロイドレベルで調製した。口あたり知覚に焦点を当てた熟練パネリスト(n=3)によるランキング試験を、参照としてレギュラーOasisを用いて行った。表2は口あたり知覚についての効力によってハイドロコロイドをランクする飲料の感覚スコアを示す。
Figure 2012508568
図4は、粘度および摩擦−対−ライト参照に対する600ppmハイドロコロイド添加の効果を示す。口あたり知覚に対するテンサイ・ペクチンの効力は、主としてその潤滑特性の組合せおよびより小さい程度の、その粘度特性に起因する。
600ppmテンサイ・ペクチンはレギュラー飲料と同等の口あたり知覚を提供し得るが、図4はレギュラー飲料と比較して粘度にいまだギャップが存在することを示している。したがって、潤滑性に対して低い影響を有するハイドロコロイドまたは充填剤でギャップを埋めることが推奨され、このギャップを埋めることは飲料のボディーを改善することである。
実施例2:Fanta(登録商標)型炭酸飲料
2.1 Fanta(登録商標)型炭酸飲料の組成
Fanta(登録商標)型炭酸飲料は以下の組成を有する:
レギュラー飲料:炭酸水、糖質、濃縮物からのオレンジ果汁、酸性調整剤E330(クエン酸)、香味、保存剤E211(安息香酸ナトリウム)、安定剤E412(グアガム)、抗酸化剤E300(アスコルビン酸)
9%糖質を添加
ライト飲料:炭酸水、濃縮物からのオレンジ果汁、酸性調整剤E330(クエン酸)、試験成分、高甘味度甘味料(アセスルファームK、アスパルテーム)、香味、保存剤E211(安息香酸ナトリウム)
0%糖質を添加
2.2 Fanta(登録商標)型炭酸飲料の感覚分析(口あたり)、流動学およびトライボロジー
実施例1パート1.5と同様にして、Fanta(登録商標)型炭酸飲料を100、600および1,000ppmのハイドロコロイドレベルで調製した。
表3は口あたり知覚についての効力によってハイドロコロイドをランキングする飲料の感覚スコアを示す。
Figure 2012508568
図5は、粘度および摩擦−対−ライト参照に対する50から1,000ppmまでのテンサイ・ペクチン添加の効果を示す。口あたり知覚についてのテンサイ・ペクチンの効力が主としてその潤滑特性およびより小さい程度の、その粘度特性に起因することが確認された。
実施例3:ライトソフトドリンクのトライボロジー特性に対するテンサイ・ペクチンの影響
Fanta(登録商標)、Fanta Light(登録商標)および増大する濃度のテンサイ・ペクチンを有するFanta Lightの脱気した混合物を、これらの組成物の感覚口あたりを評価する試験パネルによって調べた。結果を以下の表4に要約する。トライボロジーデータは図6にも示す。
Figure 2012508568
実施例4:風味を付けた水
4.1 等粘性の風味を付けた水の調製
風味を付けた水(Vitalinea(登録商標)Fraise-Framboise,Danone(登録商標))の成分:湧き水(99.7%)、酸味料(クエン酸、リンゴ酸)、硫酸マグネシウム、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、香味、E212(安息香酸カリウム)、E242(二炭酸ジメチル)、高甘味度甘味料(アセスルファームK、スクラロース)
3および12g/100mLのスクロースを添加してライトおよびレギュラー参照を調製した。ハイドロコロイドを加えたライト風味付けした水を調製して、レギュラー参照と同じ粘度を達成した(表4を参照されたい)。ハイドロコロイドは、穏やかに磁気攪拌しつつ室温にて1時間水和させた。ついで、感覚分析の前に飲料を4℃にて一晩保存した。
4.2 Fanta(登録商標)型炭酸飲料の感覚分析(口あたり)、流動学およびトライボロジー
条件:
温度:4℃(一晩冷蔵庫冷蔵後)
粘度(20℃)=1.009mPa.s(毛細管流)
pH(20℃)=5.7
導電率(20℃)=1,490mS
感覚の記述語は口あたり感覚である。低い口あたり参照はライト飲料(100ml当たり3gスクロース)とし、良好な口あたり参照はレギュラー飲料(100ml当たり12gスクロース)とした。以下の表に示すように、最高の口あたり知覚はテンサイ・ペクチンを加えた風味付け水について得られた。
Figure 2012508568

Claims (21)

  1. 約10から約1500ppmまでの1またはそれを超える第1のハイドロコロイドを飲料に添加する工程を含む該飲料の口当たりを改善する方法であって、該第1のハイドロコロイドが毛細管流粘度計によって測定して5−600mL/gの固有粘度を有することを特徴とする該方法。
  2. 該固有粘度が約10から約450mL/gまでである請求項1記載の方法。
  3. 該第1のハイドロコロイドが、テンサイ・ペクチン、リンゴ・ペクチン、アラビアゴム、nOSA(n−オクテニル無水コハク酸)マルトデキストリン、低分子量カルボキシメチルセルロースおよびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項1または2記載の方法。
  4. さらに、第2のハイドロコロイド、充填剤またはそれらの混合物よりなる群から選択される1またはそれを超える食用物質を添加することを含むが、但し、他のハイドロコロイドは第1のハイドロコロイドとは異なる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. a)該第2のハイドロコロイドが、グアガム、ローカストビーンガム、カシアゴム、植物起源のペクチン、高分子量カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、アルギネート、キサンタンおよびそれらの混合物よりなる群から選択され、
    b)該充填剤が、イソマルツロース、ポリデキストロース、トレハロース、エリスリトールまたはオリゴデキストランおよびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項4記載の方法。
  6. 食用物質に対する第1のハイドロコロイドの比が約150:1から約1:1200までである請求項4または5記載の方法。
  7. カロリー低減飲料に対する第1のハイドロコロイドレベルの添加が、トライボロジーによって測定して最大摩擦係数差(Δμ)maxを少なくとも0.08低下させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 第1のハイドロコロイドを100ppmから1000ppmまでの量で添加することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 飲料が、その同等の完全なカロリーの飲料の潤滑性とほぼ同等またはそれよりも高い潤滑性を有するカロリー低減飲料であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 該カロリー低減飲料が、その同等の完全なカロリーの飲料の粘度とほぼ同等の粘度を有する請求項9記載の方法。
  11. 飲料が炭酸または非−炭酸飲料であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 該飲料がアルコール飲料またはノンアルコール飲料であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 同等の完全なカロリーの飲料の潤滑性とほぼ同じまたはそれよりも高い潤滑性を有するカロリー低減飲料組成物であって、毛細管流粘度計によって測定して約5から約600mL/gまでの固有粘度を有する1またはそれを超える第1のハイドロコロイドを含む該組成物。
  14. 該固有粘度が約10から約450mL/gまでである請求項13記載のカロリー低減飲料組成物。
  15. 該第1のハイドロコロイドが、テンサイ・ペクチン、リンゴ・ペクチン、アラビアゴム、nOSA(n−オクテニル無水コハク酸)マルトデキストリン、低分子量カルボキシメチルセルロースおよびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項13または14記載のカロリー低減飲料組成物。
  16. さらに、同等の完全なカロリーの飲料の粘度とほぼ同等またはそれよりも高い粘度を有する請求項13ないし15のいずれか1項に記載のカロリー低減飲料組成物であって、該カロリー低減飲料組成物が第2のハイドロコロイド、充填剤またはそれらの混合物よりなる群から選択される1またはそれを超える食用物質を含むが、但し、該第2のハイドロコロイドは第1のハイドロコロイドとは異なることを特徴とする該カロリー低減飲料組成物。
  17. a.該第2のハイドロコロイドがグアガム、ローカストビーンガム、カシアゴム、植物起源のペクチン、高分子量カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、アルギネート、キサンタンおよびそれらの混合物よりなる群から選択され、
    b.該充填剤がイソマルツロース、ポリデキストロース、トレハロース、エリスリトールまたはオリゴデキストランおよびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項16記載のカロリー低減飲料組成物。
  18. 食用物質に対する第1のハイドロコロイドの比が約150:1から約1:1200までである請求項16または17記載のカロリー低減飲料組成物。
  19. 飲料の口あたりを改善するための、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のハイドロコロイドの使用。
  20. 改善された口あたりを、そのトライボロジープロフィールによって予想し、および、所望により感覚分析によって確認することを特徴とする請求項19記載の使用。
  21. 口あたりが、トライボロジーによって測定して少なくとも0.08の最大摩擦係数差(Δμ)maxの低下で改善される請求項20記載の使用。
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