JP5744364B2 - 飲食品の評価方法 - Google Patents

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本発明は、飲食品の評価方法に関する。
近年になって、食品の食感、例えば、ハードネス(硬さ)、スプリンジネス(弾力性)、ブリットルネス(脆さ)、チューイネス(咀嚼性)、スティッキネス(粘り)、クリスプネス(パリパリ感)等を、レオメーター等の機器分析により評価する研究開発が行われている(特許文献1,2,3など)。
これらの研究開発は、レオメーターに食品を供したときの測定値と半官能試験による食感とを対比させて、食感評価値を客観的な測定値として表そうとする工夫である。
特許第4352205号公報 特開2003−114218号公報 特開2007−225460号公報
上記のように、食物の食感と機器測定値との相関を探ろうとする技術開発が行われているものの、飲食品の評価を機器測定値で表そうとする技術開発については、ほとんど行われていなかった。
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、飲食品の評価方法を提供することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、回転粘度計を用いて、せん断速度を変化させながら、飲食品の粘度を測定し、初期の粘度と終期の粘度とを組み合わせて評価すると、飲食品を官能評価したときの結果と良好に相関することを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。
こうして、本願発明に係る飲食品の評価方法は、回転粘度計を用いて飲食品の飲み口を評価する方法であって、対象とする飲食品について、せん断速度を0[s-1]から終速度まで上昇させながら粘度を測定した後、前記終速度よりも低い第1速度における測定粘度(η1)と、前記第1速度よりも高く前記終速度以下における測定粘度(η2)とを組み合わせたデータを二次元グラフにプロットすることによって、前記飲食品の飲み口を評価することを特徴とする。
また、第2の発明に係る飲食品の評価方法は、回転粘度計を用いて飲食品の飲み口を評価する方法であって、対象とする飲食品について、せん断速度を初速度から終速度まで上昇させながら速度上昇時粘度を測定した後、せん断速度を前記終速度から下降させながら速度下降時粘度を測定し、速度上昇時における所定の速度における測定粘度(ηup)と、速度下降時における所定の速度における測定粘度(ηdown)とを組み合わせたデータを二次元グラフにプロットすることによって、前記飲食品の飲み口を評価することを特徴とする。
本発明において、せん断速度は、評価する飲食品の種類によっても異なるが、0〜1000[s-1]の間で設定することが好ましい。
また、本発明において、速度上昇時における測定粘度(ηup)の所定の速度または第1測定粘度(η1)の測定値を与える第1速度は、20〜200(好ましくは、50〜100)[s-1]の間で設定することが好ましく、速度下降時における測定粘度(ηdown)または第2測定粘度(η2)の測定値を与える第2速度の所定の速度は、10〜1000(好ましくは、50〜800)[s-1]の間で設定することが好ましい。速度上昇時の測定粘度(ηup)または第1測定粘度(η1)は、データが安定して採取可能であり、かつ粘度成分がせん断によって切断される前のものを採用することが好ましい。一方、せん断速度が十分に上がると、粘度データは一定してくるので、速度下降時の測定粘度(ηdown)または第2測定粘度(η2)は、速度上昇時のデータに比べると、広い範囲で採用するこができる。
本発明によれば、飲食品の食感を客観的に評価できる。
ηupとηdown、またはη1とη2とを組み合わせたデータを二次元グラフにプロットしたときの飲食品の食感を示す四つの領域を表すグラフである。 6種類のコーヒー飲料に関するレオメーター速度上昇時および速度下降時の粘度曲線を示すグラフである。図中の矢印のうち、「up」は、せん断速度を上昇させているときの粘度曲線であり、「down」は、せん断速度を下降させているときの粘度曲線である。 6種類のコーヒー飲料の粘度曲線について、せん断速度上昇時の3点(50,100,500[s-1])における粘度データと、せん断速度下降時の3点(500,100,50[s-1])における粘度データとをまとめた棒グラフである。各数字の右側に「↑」が付いているデータは速度上昇時を、「↓」が付いているデータは速度下降時を示す。 6種類のコーヒー飲料について、速度上昇時の50[-s]における粘度データ(ηup(50))と500[-s]における粘度データ(ηup(500))との2点のデータを組み合わせたデータを二次元にプロットしたグラフである。ここで、ηup(50)は、第1測定粘度(η1)に該当し、ηup(500)は、第2測定粘度(η2)に該当する。なお、図3を参照すると、本実施形態のコーヒー飲料については、第2測定粘度(ηup(500))は、せん断速度下降時の3点(500,100,50[s-1])における粘度データとほとんど同じである。このため、速度下降時における粘度データ(ηdown)として、500,100,50のいずれのせん断速度における粘度データを採用しても、図4と同様のグラフが得られる。 4種類のスープに関するレオメーター速度上昇時および速度下降時の粘度曲線を示すグラフである。図中の矢印のうち、「up」は、せん断速度を上昇させているときの粘度曲線であり、「down」は、せん断速度を下降させているときの粘度曲線である。 4種類のスープの粘度曲線について、せん断速度上昇時の3点(50,100,500[s-1])における粘度データと、せん断速度下降時の3点(500,100,50[s-1])における粘度データとをまとめた棒グラフである。各数字の右側に「↑」が付いているデータは速度上昇時を、「↓」が付いているデータは速度下降時を示す。 4種類のスープについて、速度上昇時の50[-s]における粘度データ(50↑)と500[-s]における粘度データ(500↑)との2点のデータを組み合わせたデータを二次元にプロットしたグラフである。ここで、50↑(すなわち、ηup(50))は、第1測定粘度(η1)に該当し、500↑(すなわち、ηup(500))は、第2測定粘度(η2)に該当する。 4種類の紅茶飲料に関するレオメーター速度上昇時および速度下降時の粘度曲線を示すグラフである。図中の矢印のうち、「up」は、せん断速度を上昇させているときの粘度曲線であり、「down」は、せん断速度を下降させているときの粘度曲線である。 4種類の紅茶飲料の粘度曲線について、せん断速度上昇時の3点(50,100,500[s-1])における粘度データと、せん断速度下降時の3点(500,100,50[s-1])における粘度データとをまとめた棒グラフである。各数字の右側に「↑」が付いているデータは速度上昇時を、「↓」が付いているデータは速度下降時を示す。 4種類の紅茶飲料について、速度上昇時の50[-s]における粘度データ(50↑)と、速度下降時の500[-s]における粘度データ(500↓)との2点のデータを組み合わせたデータを二次元にプロットしたグラフである。ここで、50↑(すなわち、ηup(50))は、第1測定粘度(η1)に該当し、500↓(すなわち、ηdown(500))は、第2測定粘度(η2)に該当する。なお、図9を参照すると、本実施形態の紅茶飲料については、第2測定粘度(ηdown(500))は、せん断速度下降時の3点(500,100,50[s-1])における粘度データとほとんど同じである。このため、速度下降時における粘度データ(ηdown)として、500,100,50のいずれのせん断速度における粘度データを採用しても、図10と同様のグラフが得られる。
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
一般に粘度計は、毛細管粘度計、落球粘度計、回転粘度計の三種類に分類される。本発明は、これらの粘度計のうち、回転粘度計を用いて飲食品の飲み口を客観的に評価するものである。
本実施形態において、飲食品とは、咀嚼する固形物を実質的に含まず、主として飲み込むことにより食することができる食品を意味しており、例えばコーヒー、ココア、ソース、介護食、クリーム、果実ジュース、牛乳、スープ、つゆ、おかゆ、お茶、豆乳、おしるこ、野菜ジュース、味噌汁、練り製品、ヨーグルト、チーズ、ゼリー、プリン、チョコレート、ドレッシング類、酒類、ビール、リキュール、炭酸飲料などが含まれるが、これらには限られない。
本発明者の評価によれば、せん断速度を上昇させながら測定した速度上昇時粘度曲線と、せん断速度を下降させながら測定した速度下降時粘度曲線とは、各飲食品によって適当に異なっていることがわかった。すなわち、飲食品のいずれについても、せん断速度上昇時には、高い粘度データを示し、せん断速度下降時には、それよりも低い粘度データを示すという結果が認められるのである。これは、速度上昇時のせん断作用によって飲食品中の粘度の高い成分が適当に切断され、せん断速度が適当なところまで上昇したときには、その飲食品の粘度成分の減少に応じた粘度データの下降を示すという理由によるものと考えられた。更に、各飲食品における粘度曲線のグラフについて、適当なせん断速度における測定粘度を第1速度粘度と第2速度粘度との2点(η1、η2)、または速度上昇時と速度下降時との2点(ηup、ηdown)で代表させたところ、これらが飲食品の食感と相関することがわかった。
図1には、ηupとηdown、またはη1とη2とを組み合わせたデータを二次元グラフにプロットする様子を示した。図中の四つの領域(左下[ηup(低)ηdown(低)、またはη1(低)η2(低)]、右下[ηup(低)ηdown(高)、またはη1(低)η2(高)]、左上[ηup(高)ηdown(低)、またはη1(高)η2(低)]、右上[ηup(高)ηdown(高)、またはη1(高)η2(高)])に区画したところ、飲食品の食感は、それぞれ「あっさり」(左下:以下、「あっさり領域」という)、「のどに残る」(右下:以下、「のどに残る領域」という)、「すっきり」(左上:以下、「すっきり領域」という)、「まったり」(右上:以下、「まったり領域」という)に該当することが分かった。具体的には、「あっさり領域」の食感は、「飲み始めはさらっとしていて、のど越しの切れも良い」、「のどに残る領域」の食感は、「飲み始めはさらっとしているが、のど越しに余韻がある」、「すっきり領域」の食感は、「飲み始めはボディ感があるが、のど越しの切れは良い」、「まったり領域」の食感は、「飲み始めはボディ感があり、のど越しに余韻がある」に対応していることが分かった。
飲食品の粘度は、せん断速度を0から上昇させて行き、粘度データがほぼ一定となる終速度まで上昇させるまで測定することによって、飲用時の食感に相当する客観データを得ることができる。また、飲食品の粘度は、せん断速度を上昇させるときと、下降させるときとの両方で測定することによっても、飲用時の食感に相当する客観データを得ることができる。すなわち、せん断速度を上昇させるときの初期の粘度は、飲食品の飲み始めの感覚に対応可能であり、せん断速度が十分に上昇したときの粘度は、飲食品を飲み終わったときの感覚(のど越しの切れ)に対応可能であることが分かった。せん断速度を変更させながら粘度を測定するには、市販のレオメーターを用いることができる。
次に、実施例を参照しつつ、本発明について更に詳細に説明する。
<1.コーヒー飲料の官能評価試験>
7名の専門パネラー(常に物性の評価を業務としている者)によって、SD法(Semantic Differential Scale :両極端に反対語を配置したスケール法)を用いて、コーヒー飲料の官能評価試験を行った。
各パネラーに表1の官能評価シートに基づき、6種類の市販のコーヒー飲料(缶コーヒー)の官能について、データを取得した。
Figure 0005744364
結果を表2に示した。表中において、各コーヒー飲料毎の官能評価の最大得点、及び最大得点との点差が0.3点以内のところに網掛けを施した。各網掛け部分が、各コーヒー飲料の評価に該当する領域となっている。
Figure 0005744364
<2.コーヒー飲料の粘度測定試験>
上記1にて使用した6種類の市販の缶コーヒーを25℃にて2時間静置した後、上下にゆっくりと反転させながら5回振り撹拌した。缶コーヒーのプルタブを開け、10mLマイクロピペットを用いて、コーヒー飲料を5mL採取し、分析装置にセットし、粘度分析を行った。分析には、レオストレス600(英弘精機株式会社製)を用いた。
粘度は、せん断速度を0[s-1]から1000[s-1]まで上昇させながら測定(速度上昇時粘度)した後に折り返し、1000[s-1]から0[s-1]まで下降させながら測定(速度下降時粘度)した。粘度データは、適当な時間間隔毎に分析機によって自動的に計測され、コンピュータで読み取り可能なデータとして保存した。こうして、各コーヒー飲料の速度上昇時粘度曲線と、速度下降時粘度曲線とを得た。図2には、6種類のコーヒー飲料の両粘度曲線を示した。また、図3には、速度上昇時の3点(50,100,500[s-1])における粘度データと、速度下降時の3点(500,100,50[s-1])における粘度データをまとめた。いずれのコーヒー飲料についても、せん断速度上昇時には、高い粘度データを示し、せん断速度下降時には、それよりも低い粘度データを示すという結果が認められた。
図2及び図3によれば、せん断速度を上昇させるときの(特に、せん断速度が低い範囲の)粘度データは、コーヒー飲料の種類によって大きく異なることが分かった。速度上昇時の50[-s]における粘度データ(ηup(50))は、粘度の高い順に、コーヒー飲料6>コーヒー飲料1>コーヒー飲料5>コーヒー飲料4>コーヒー飲料3>コーヒー飲料2であり、速度下降時の50[-s]における粘度データ(ηdown(50))は、粘度の高い順に、コーヒー飲料1>コーヒー飲料2>コーヒー飲料4>コーヒー飲料3>コーヒー飲料5=コーヒー飲料6であった。特に、コーヒー飲料5とコーヒー飲料6では、他のコーヒー飲料に比べて、速度下降時において粘度が著しく減少した。
また、全コーヒー飲料について、せん断速度が上昇するに従って粘度は小さくなって行き、コーヒー飲料毎に一定の値に達すると、そこからは先の粘度は、ほとんど変化しないことが分かった。これは、速度上昇時のせん断作用によって、コーヒー飲料中の粘度の高い成分が適当に切断されて行き、せん断作用によって減少する粘度成分に応じて、各コーヒー飲料に応じた粘度データの下降を示すという理由によるものであると考えられた。
次に、粘度曲線の粘度データを代表させて、速度上昇時の50[-s]における粘度データ(ηup(50))と、500[-s]における粘度データ(ηup(500))との2点のデータを組み合わせたデータを二次元グラフにプロットした。この二次元グラフを図4に示した。図中に示される6種類のコーヒー飲料は、グラフ中に分離された四つの領域(あっさり領域、のどに残る領域、すっきり領域、まったり領域)に対応された。すなわち、コーヒー飲料1は、まったり領域、コーヒー飲料2〜4は、あっさり領域、コーヒー飲料5,6は、すっきり領域に分類された。
これらの分類と、上記<1.コーヒー飲料の官能評価試験>で得られた結果とを比較すると、全てのコーヒー飲料について、適当に分類されていることが分かった。これらの結果より、官能評価による結果と、客観的な粘度データ(より詳細には、速度上昇時粘度データと速度下降時粘度データとの組み合わせデータ)とが良好に対応することがわかった。
<3.スープの官能評価試験>
7名の専門パネラーによって、SD法を用いて、市販のスープの官能評価試験を行った。
各パネラーに上記表1の官能評価シートに基づき、4種類の市販のスープの官能について、データを取得した。
結果を表3に示した。表中において、各スープ毎の官能評価の最大得点、及び最大得点との点差が0.2点以内のところに網掛けを施した。各網掛け部分が、各スープの評価に該当する領域となっている。
Figure 0005744364
<4.スープの粘度測定試験>
上記3にて使用した4種類の市販のスープを調製し、25℃にて2時間静置した後、全体にゆっくりと撹拌した。10mLマイクロピペットを用いて、スープを5mL採取し、分析装置にセットし、粘度分析を行った。分析には、レオストレス600(英弘精機株式会社製)を用いた。
粘度測定は、上記2のコーヒー飲料の粘度測定方法に従って行い、各スープの速度上昇時粘度曲線と、速度下降時粘度曲線とを得た。図5には、4種類のスープの両粘度曲線を示した。また、図6には、速度上昇時の3点(50,100,500[s-1])における粘度データと、速度下降時の3点(500,100,50[s-1])における粘度データをまとめた。いずれのスープについても、せん断速度上昇時には、高い粘度データを示し、せん断速度下降時には、それよりも低い粘度データを示すという結果が認められた。
図5及び図6によれば、せん断速度を上昇させるときの(特に、せん断速度が低い範囲の)粘度データは、スープの種類によって大きく異なることが分かった。スープ2(Soup 2)は、いずれのせん断速度においても、他のスープに比べて、高い粘度を示した。速度上昇時の50[-s]及び速度下降時の50[-s]における粘度データ(ηup(50)、ηdown(50))は、いずれの場合も粘度の高い順に、スープ2>スープ1>スープ3>スープ4であった。
全スープについて、せん断速度が上昇するに従って粘度は小さくなった。これは、速度上昇時のせん断作用によって、スープ中の粘度の高い成分が適当に切断されて行き、せん断作用によって減少する粘度成分に応じて、各スープに応じた粘度データの下降を示すという理由によるものであると考えられた。
次に、粘度曲線の粘度データを代表させて、速度上昇時の50[-s]における粘度データ(50↑(すなわち、ηup(50))と、500[-s]における粘度データ(500↑(すなわち、ηup(500))との2点のデータを組み合わせたデータを二次元グラフにプロットした。この二次元グラフを図7に示した。図中に示される4種類のスープは、図1に示す四つの領域(あっさり領域、のどに残る領域、すっきり領域、まったり領域)に対応された。すなわち、スープ1は、のどに残る領域、スープ2は、まったり領域、スープ3、4は、あっさり領域に分類された。
これらの分類と、上記<3.スープの官能評価試験>で得られた結果とを比較すると、各スープについて、適当に分類されていることが分かった。これは、官能評価による結果と、客観的な粘度データとが良好に対応することがわかった。
<5.紅茶飲料の官能評価試験>
7名の専門パネラーによって、SD法を用いて、市販の紅茶飲料の官能評価試験を行った。
各パネラーに上記表1の官能評価シートに基づき、4種類の市販の紅茶飲料(缶入り飲料)の官能について、データを取得した。
結果を表4に示した。表中において、各紅茶飲料毎の官能評価の最大得点、及び最大得点との点差が0.2点以内のところに網掛けを施した。各網掛け部分が、各紅茶飲料の評価に該当する領域となっている。
Figure 0005744364
<6.紅茶飲料の粘度測定試験>
上記5にて使用した4種類の市販の缶入り紅茶を25℃にて2時間静置した後、上下にゆっくりと反転させながら5回振り撹拌した。缶入り紅茶のプルタブを開け、10mLマイクロピペットを用いて、紅茶飲料を5mL採取し、分析装置にセットし、粘度分析を行った。分析には、レオストレス600(英弘精機株式会社製)を用いた。
粘度測定は、上記2のコーヒー飲料の粘度測定方法に従って行い、各紅茶飲料の速度上昇時粘度曲線と、速度下降時粘度曲線とを得た。図8には、4種類の紅茶飲料の両粘度曲線を示した。また、図9には、速度上昇時の3点(50,100,500[s-1])における粘度データと、速度下降時の3点(500,100,50[s-1])における粘度データをまとめた。いずれの紅茶飲料についても、せん断速度上昇時には、高い粘度データを示し、せん断速度下降時には、それよりも低い粘度データを示すという結果が認められた。
図8及び図9によれば、せん断速度を上昇させるときの(特に、せん断速度が低い範囲の)粘度データは、紅茶飲料の種類によって大きく異なることが分かった。紅茶飲料2(Tea 2)は、いずれのせん断速度においても、他の紅茶飲料に比べて、高い粘度を示した。速度上昇時の50[-s]における粘度データ(ηup(50))は、粘度の高い順に、紅茶飲料2>紅茶飲料1>紅茶飲料3>紅茶飲料4であり、速度下降時の50[-s]における粘度データ(ηdown(50))は、粘度の高い順に、紅茶飲料2>紅茶飲料1>紅茶飲料4>紅茶飲料3であった。
全紅茶飲料について、せん断速度が上昇するに従って粘度は小さくなって行き、紅茶飲料毎に一定の値に達すると、そこからは先の粘度は、ほとんど変化しないことが分かった。これは、速度上昇時のせん断作用によって、紅茶飲料中の粘度の高い成分が適当に切断されて行き、せん断作用によって減少する粘度成分に応じて、各紅茶飲料に応じた粘度データの下降を示すという理由によるものであると考えられた。
次に、粘度曲線の粘度データを代表させて、速度上昇時の50[-s]における粘度データ(50↑(すなわち、ηup(50))と、速度下降時の500[-s]における粘度データ(500↓(すなわち、ηup(500))との2点のデータを組み合わせたデータを二次元グラフにプロットした。この二次元グラフを図10に示した。図中に示される4種類の紅茶飲料は、図1に示す四つの領域(あっさり領域、のどに残る領域、すっきり領域、まったり領域)に対応された。すなわち、紅茶飲料1、2は、まったり領域、紅茶飲料3は、すっきり領域、紅茶領域4は、のどに残る領域に分類された。
これらの分類と、上記<5.紅茶飲料の官能評価試験>で得られた結果とを比較すると、各紅茶飲料について、適当に分類されていることが分かった。これらのデータにより、官能評価による結果と、客観的な粘度データとが良好に対応することがわかった。
このように本実施形態によれば、飲食品の食感を粘度データを用いて客観的に評価できることがわかった。

Claims (3)

  1. 回転粘度計を用いて飲食品の飲み口を評価する方法であって、対象とする複数の飲食品について、せん断速度を0[s-1]から終速度まで上昇させながら粘度を測定した後、前記終速度よりも低い第1速度における第1測定粘度(η1)と、前記第1速度よりも高く前記終速度以下における第2測定粘度(η2)とを組み合わせ、η1を縦軸とし、η2を横軸とした二次元グラフにプロットし、各軸のそれぞれについて平均値を中間として区切った後に、η1とη2の両データが区切りよりも小さい領域を「あっさり領域」、η1が区切りよりも小さくη2が区切りよりも大きい領域を「のどに残る領域」、η1が区切りよりも大きくη2が区切りよりも小さい領域を「すっきり領域」、η1とη2の両データが区切りよりも大きい領域を「まったり領域」とし、「あっさり領域」の食感は、「飲み始めはさらっとしているが、のど越しの切れも良い」、「のどに残る領域」の食感は、「飲み始めはさらっとしているが、のど越しに余韻がある」、「すっきり領域」の食感は、「飲み始めはボディ感があるが、のど越しの切れは良い」、「まったり領域」の食感は、「飲み始めはボディ感があり、のど越しに余韻がある」と規定することによって、前記飲食品の飲み口を評価することを特徴とする飲食品の評価方法。
  2. 回転粘度計を用いて飲食品の飲み口を評価する方法であって、対象とする複数の飲食品について、せん断速度を初速度から終速度まで上昇させながら速度上昇時粘度を測定した後、せん断速度を前記終速度から下降させながら速度下降時粘度を測定し、速度上昇時における所定の速度における測定粘度(ηup)と、速度下降時における所定の速度における測定粘度(ηdown)とを組み合わ、ηupを縦軸とし、ηdownを横軸とした二次元グラフにプロットし、各軸のそれぞれについて平均値を中間として区切った後に、ηupとηdownの両データが区切りよりも小さい領域を「あっさり領域」、ηupが区切りよりも小さくηdownが区切りよりも大きい領域を「のどに残る領域」、ηupが区切りよりも大きくηdownが区切りよりも小さい領域を「すっきり領域」、ηupとηdownの両データが区切りよりも大きい領域を「まったり領域」とし、「あっさり領域」の食感は、「飲み始めはさらっとしているが、のど越しの切れも良い」、「のどに残る領域」の食感は、「飲み始めはさらっとしているが、のど越しに余韻がある」、「すっきり領域」の食感は、「飲み始めはボディ感があるが、のど越しの切れは良い」、「まったり領域」の食感は、「飲み始めはボディ感があり、のど越しに余韻がある」と規定することによって、前記飲食品の飲み口を評価することを特徴とする飲食品の評価方法。
  3. 前記せん断速度は、0〜1000[s-1]の間で設定し、速度上昇時における測定粘度(ηup)の所定の速度は、20〜200[s-1]の間で設定し、かつ速度下降時における測定粘度(ηdown)の所定の速度は、10〜1000[s-1]の間で設定することを特徴とする請求項2に記載の飲食品の評価方法。
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