JP5744364B2 - 飲食品の評価方法 - Google Patents
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Description
これらの研究開発は、レオメーターに食品を供したときの測定値と半官能試験による食感とを対比させて、食感評価値を客観的な測定値として表そうとする工夫である。
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、飲食品の評価方法を提供することである。
こうして、本願発明に係る飲食品の評価方法は、回転粘度計を用いて飲食品の飲み口を評価する方法であって、対象とする飲食品について、せん断速度を0[s-1]から終速度まで上昇させながら粘度を測定した後、前記終速度よりも低い第1速度における測定粘度(η1)と、前記第1速度よりも高く前記終速度以下における測定粘度(η2)とを組み合わせたデータを二次元グラフにプロットすることによって、前記飲食品の飲み口を評価することを特徴とする。
また、第2の発明に係る飲食品の評価方法は、回転粘度計を用いて飲食品の飲み口を評価する方法であって、対象とする飲食品について、せん断速度を初速度から終速度まで上昇させながら速度上昇時粘度を測定した後、せん断速度を前記終速度から下降させながら速度下降時粘度を測定し、速度上昇時における所定の速度における測定粘度(ηup)と、速度下降時における所定の速度における測定粘度(ηdown)とを組み合わせたデータを二次元グラフにプロットすることによって、前記飲食品の飲み口を評価することを特徴とする。
また、本発明において、速度上昇時における測定粘度(ηup)の所定の速度または第1測定粘度(η1)の測定値を与える第1速度は、20〜200(好ましくは、50〜100)[s-1]の間で設定することが好ましく、速度下降時における測定粘度(ηdown)または第2測定粘度(η2)の測定値を与える第2速度の所定の速度は、10〜1000(好ましくは、50〜800)[s-1]の間で設定することが好ましい。速度上昇時の測定粘度(ηup)または第1測定粘度(η1)は、データが安定して採取可能であり、かつ粘度成分がせん断によって切断される前のものを採用することが好ましい。一方、せん断速度が十分に上がると、粘度データは一定してくるので、速度下降時の測定粘度(ηdown)または第2測定粘度(η2)は、速度上昇時のデータに比べると、広い範囲で採用するこができる。
本実施形態において、飲食品とは、咀嚼する固形物を実質的に含まず、主として飲み込むことにより食することができる食品を意味しており、例えばコーヒー、ココア、ソース、介護食、クリーム、果実ジュース、牛乳、スープ、つゆ、おかゆ、お茶、豆乳、おしるこ、野菜ジュース、味噌汁、練り製品、ヨーグルト、チーズ、ゼリー、プリン、チョコレート、ドレッシング類、酒類、ビール、リキュール、炭酸飲料などが含まれるが、これらには限られない。
<1.コーヒー飲料の官能評価試験>
7名の専門パネラー(常に物性の評価を業務としている者)によって、SD法(Semantic Differential Scale :両極端に反対語を配置したスケール法)を用いて、コーヒー飲料の官能評価試験を行った。
各パネラーに表1の官能評価シートに基づき、6種類の市販のコーヒー飲料(缶コーヒー)の官能について、データを取得した。
上記1にて使用した6種類の市販の缶コーヒーを25℃にて2時間静置した後、上下にゆっくりと反転させながら5回振り撹拌した。缶コーヒーのプルタブを開け、10mLマイクロピペットを用いて、コーヒー飲料を5mL採取し、分析装置にセットし、粘度分析を行った。分析には、レオストレス600(英弘精機株式会社製)を用いた。
粘度は、せん断速度を0[s-1]から1000[s-1]まで上昇させながら測定(速度上昇時粘度)した後に折り返し、1000[s-1]から0[s-1]まで下降させながら測定(速度下降時粘度)した。粘度データは、適当な時間間隔毎に分析機によって自動的に計測され、コンピュータで読み取り可能なデータとして保存した。こうして、各コーヒー飲料の速度上昇時粘度曲線と、速度下降時粘度曲線とを得た。図2には、6種類のコーヒー飲料の両粘度曲線を示した。また、図3には、速度上昇時の3点(50,100,500[s-1])における粘度データと、速度下降時の3点(500,100,50[s-1])における粘度データをまとめた。いずれのコーヒー飲料についても、せん断速度上昇時には、高い粘度データを示し、せん断速度下降時には、それよりも低い粘度データを示すという結果が認められた。
次に、粘度曲線の粘度データを代表させて、速度上昇時の50[-s]における粘度データ(ηup(50))と、500[-s]における粘度データ(ηup(500))との2点のデータを組み合わせたデータを二次元グラフにプロットした。この二次元グラフを図4に示した。図中に示される6種類のコーヒー飲料は、グラフ中に分離された四つの領域(あっさり領域、のどに残る領域、すっきり領域、まったり領域)に対応された。すなわち、コーヒー飲料1は、まったり領域、コーヒー飲料2〜4は、あっさり領域、コーヒー飲料5,6は、すっきり領域に分類された。
7名の専門パネラーによって、SD法を用いて、市販のスープの官能評価試験を行った。
各パネラーに上記表1の官能評価シートに基づき、4種類の市販のスープの官能について、データを取得した。
上記3にて使用した4種類の市販のスープを調製し、25℃にて2時間静置した後、全体にゆっくりと撹拌した。10mLマイクロピペットを用いて、スープを5mL採取し、分析装置にセットし、粘度分析を行った。分析には、レオストレス600(英弘精機株式会社製)を用いた。
粘度測定は、上記2のコーヒー飲料の粘度測定方法に従って行い、各スープの速度上昇時粘度曲線と、速度下降時粘度曲線とを得た。図5には、4種類のスープの両粘度曲線を示した。また、図6には、速度上昇時の3点(50,100,500[s-1])における粘度データと、速度下降時の3点(500,100,50[s-1])における粘度データをまとめた。いずれのスープについても、せん断速度上昇時には、高い粘度データを示し、せん断速度下降時には、それよりも低い粘度データを示すという結果が認められた。
次に、粘度曲線の粘度データを代表させて、速度上昇時の50[-s]における粘度データ(50↑(すなわち、ηup(50))と、500[-s]における粘度データ(500↑(すなわち、ηup(500))との2点のデータを組み合わせたデータを二次元グラフにプロットした。この二次元グラフを図7に示した。図中に示される4種類のスープは、図1に示す四つの領域(あっさり領域、のどに残る領域、すっきり領域、まったり領域)に対応された。すなわち、スープ1は、のどに残る領域、スープ2は、まったり領域、スープ3、4は、あっさり領域に分類された。
7名の専門パネラーによって、SD法を用いて、市販の紅茶飲料の官能評価試験を行った。
各パネラーに上記表1の官能評価シートに基づき、4種類の市販の紅茶飲料(缶入り飲料)の官能について、データを取得した。
上記5にて使用した4種類の市販の缶入り紅茶を25℃にて2時間静置した後、上下にゆっくりと反転させながら5回振り撹拌した。缶入り紅茶のプルタブを開け、10mLマイクロピペットを用いて、紅茶飲料を5mL採取し、分析装置にセットし、粘度分析を行った。分析には、レオストレス600(英弘精機株式会社製)を用いた。
粘度測定は、上記2のコーヒー飲料の粘度測定方法に従って行い、各紅茶飲料の速度上昇時粘度曲線と、速度下降時粘度曲線とを得た。図8には、4種類の紅茶飲料の両粘度曲線を示した。また、図9には、速度上昇時の3点(50,100,500[s-1])における粘度データと、速度下降時の3点(500,100,50[s-1])における粘度データをまとめた。いずれの紅茶飲料についても、せん断速度上昇時には、高い粘度データを示し、せん断速度下降時には、それよりも低い粘度データを示すという結果が認められた。
次に、粘度曲線の粘度データを代表させて、速度上昇時の50[-s]における粘度データ(50↑(すなわち、ηup(50))と、速度下降時の500[-s]における粘度データ(500↓(すなわち、ηup(500))との2点のデータを組み合わせたデータを二次元グラフにプロットした。この二次元グラフを図10に示した。図中に示される4種類の紅茶飲料は、図1に示す四つの領域(あっさり領域、のどに残る領域、すっきり領域、まったり領域)に対応された。すなわち、紅茶飲料1、2は、まったり領域、紅茶飲料3は、すっきり領域、紅茶領域4は、のどに残る領域に分類された。
このように本実施形態によれば、飲食品の食感を粘度データを用いて客観的に評価できることがわかった。
Claims (3)
- 回転粘度計を用いて飲食品の飲み口を評価する方法であって、対象とする複数の飲食品について、せん断速度を0[s-1]から終速度まで上昇させながら粘度を測定した後、前記終速度よりも低い第1速度における第1測定粘度(η1)と、前記第1速度よりも高く前記終速度以下における第2測定粘度(η2)とを組み合わせ、η1を縦軸とし、η2を横軸とした二次元グラフにプロットし、各軸のそれぞれについて平均値を中間として区切った後に、η1とη2の両データが区切りよりも小さい領域を「あっさり領域」、η1が区切りよりも小さくη2が区切りよりも大きい領域を「のどに残る領域」、η1が区切りよりも大きくη2が区切りよりも小さい領域を「すっきり領域」、η1とη2の両データが区切りよりも大きい領域を「まったり領域」とし、「あっさり領域」の食感は、「飲み始めはさらっとしているが、のど越しの切れも良い」、「のどに残る領域」の食感は、「飲み始めはさらっとしているが、のど越しに余韻がある」、「すっきり領域」の食感は、「飲み始めはボディ感があるが、のど越しの切れは良い」、「まったり領域」の食感は、「飲み始めはボディ感があり、のど越しに余韻がある」と規定することによって、前記飲食品の飲み口を評価することを特徴とする飲食品の評価方法。
- 回転粘度計を用いて飲食品の飲み口を評価する方法であって、対象とする複数の飲食品について、せん断速度を初速度から終速度まで上昇させながら速度上昇時粘度を測定した後、せん断速度を前記終速度から下降させながら速度下降時粘度を測定し、速度上昇時における所定の速度における測定粘度(ηup)と、速度下降時における所定の速度における測定粘度(ηdown)とを組み合わ、ηupを縦軸とし、ηdownを横軸とした二次元グラフにプロットし、各軸のそれぞれについて平均値を中間として区切った後に、ηupとηdownの両データが区切りよりも小さい領域を「あっさり領域」、ηupが区切りよりも小さくηdownが区切りよりも大きい領域を「のどに残る領域」、ηupが区切りよりも大きくηdownが区切りよりも小さい領域を「すっきり領域」、ηupとηdownの両データが区切りよりも大きい領域を「まったり領域」とし、「あっさり領域」の食感は、「飲み始めはさらっとしているが、のど越しの切れも良い」、「のどに残る領域」の食感は、「飲み始めはさらっとしているが、のど越しに余韻がある」、「すっきり領域」の食感は、「飲み始めはボディ感があるが、のど越しの切れは良い」、「まったり領域」の食感は、「飲み始めはボディ感があり、のど越しに余韻がある」と規定することによって、前記飲食品の飲み口を評価することを特徴とする飲食品の評価方法。
- 前記せん断速度は、0〜1000[s-1]の間で設定し、速度上昇時における測定粘度(ηup)の所定の速度は、20〜200[s-1]の間で設定し、かつ速度下降時における測定粘度(ηdown)の所定の速度は、10〜1000[s-1]の間で設定することを特徴とする請求項2に記載の飲食品の評価方法。
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