一実施形態では、本発明は、燃料ポート及び空気ポートが一つのモノリシック構造で製造されるSOFCデバイス及びシステムを提供する。一実施形態では、SOFCデバイスは、本質的には、比較的平坦又は長方形のスティックである細長い構造であり(ゆえにFuel Cell Stick(商標)デバイスと称される)、その長さは、幅又は厚さより顕著に長くなっている。Fuel Cell Stick(商標)デバイスは、低温端部を有することができる一方で、中央部分は熱い(低温端部は300℃未満であり、高温の中央部分は400℃より高く、大抵は700℃よりも高温である)。セラミックの遅い熱伝導は、高温の中央部分がより低温の端部を完全に加熱するのを防止することができる。更に、これらの端部は、そこに到達するあらゆる熱を速やかに発散させる。本発明は、接続用の低温端部を有することにより、アノード、カソード、燃料インレット及びH2O CO2アウトレット、並びに空気インレット及び空気アウトレットへの接続をより容易にすることを実現することができる。また、チューブ状燃料電池構造も、低温端を有することができる一方で、中央部分が熱いが、従来技術では、セラミックチューブのこの利点が利用されておらず、代わりに、高温接続が必要である場合には、チューブ全体が炉又は高温ゾーンの中に置かれる。従来技術において、燃料入口用の高温ろう付け接続が、複雑で、コストが掛かることは認識されているが、本願で示されている解決法については認識されていない。本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイスは、長くて、薄いため、上述の中央部分を加熱することができ、かつ、依然として低温端部を有することができる熱特性の利点を有する。これによって、温度に対してFuel Cell Stick(商標)デバイスを構造的に頑丈にし、また、燃料、空気及び電極の接続を比較的容易にしている。Fuel Cell Stick(商標)デバイスは、本質的に独立型システムであり、発電のために加える必要があるのは、熱、燃料及び空気のみである。構造は、これらのものを容易に取り付けることができるように設計されている。
本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイスは多層構造であり、複数の他の利点を提供する多層共焼成方法を使用して製造することができる。第一に、本デバイスはモノリシックであり、デバイスを構造的に頑丈にするのに役立っている。第二に、本デバイスは、キャパシタチップのMLCC(多層共焼成セラミック,multi−layer co−fired ceramic)生産に使用されているものなどの従来の大量製造方法によるものである(多層キャパシタの生産には、最大量の工業用セラミックが使用されていると考えられ、また、大量生産用の技術が立証されている)。第三に、追加のコストや複雑性なく、構造中に薄い電解質層を達成することができる。MLCC方法を使用して厚さ2μmの電解質層が可能であるが、電解質の壁厚が60μm未満のSOFCチューブは想像し難い。従って、本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイスは、SOFCチューブより略30倍以上効率的である。最後に、本発明の多層Fuel Cell Stick(商標)デバイスは、それぞれ数百又は数千の層を有することができて、最大の面積及び最大の密度が提供される。
従来技術のSOFCチューブの表面積と本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイスの表面積について検討してみる。例えば、直径0.25インチのチューブと0.25インチ×0.25インチのFuel Cell Stick(商標)デバイスについて検討してみる。チューブでは、円周は3.14×Dつまり0.785インチである。0.25インチのFuel Cell Stick(商標)デバイスでは、一つの層の使用可能な幅は略0.2インチである。従って、一本のチューブの面積と同じ面積を得るためには略四層が必要である。これらの形状は、キャパシタ技術用の形状とは劇的に異なっている。日本の多層キャパシタの最新技術は、現在、600層であり、厚さは2μmである。日本では、まもなく1000層パーツの生産を開始されると予想され、現在、研究室レベルで製造している。600層のこれらのチップキャパシタは、僅か0.060インチ(1500μm)である。この製造技術を本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイスに適用することによって、厚さ2μmの電解質を有し、かつ、厚さ10μmの対応する個々のカソード/アノードを備える空気/燃料通路を有する0.25インチデバイスの場合、529層の単一デバイスの製造が可能になる。それは132本のチューブと等価である。従来技術の戦略は、大きな電力を出力するために構造が非常に大きくなろうとも、より多くのチューブを追加して直径を大きくするか、及び/又は、チューブの長さを長くしてより多くの電力を得るかのいずれかである。一方、本発明は、単一のFuel Cell Stick(商標)デバイスにより多くの層を追加してより多くの電力を得るか、及び/又はより薄い層又は通路をデバイスに使用するかのいずれかによって、SOFC技術に対する小型化を可能にしている。更に、本発明における利点は、キャパシタの場合と全く同様に、二乗化効果である。電解質層の厚さが半分になると電力が二倍になり、より多くの層をデバイス中に適合させて更に電力を2倍にすることができる。
本発明の他の重要な特徴は、Fuel Cell Stick(商標)デバイスの出力電圧を高くするために、層を内部で容易にリンクさせることができることである。1層当たり1ボルトであると仮定すると、ビアホールを使用して12個のグループを一体にリンクさせている本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイスによって12ボルトの出力を得ることができる。そして、他の接続によって12個のグループを並列にリンクさせることにより、より大きな電流を達成することができる。これは、キャパシタチップ技術に使用されている既存の方法を使用して実施することができる。決定的な相違点は、本発明は、他の技術が使用しなければならないろう付け及び複雑な配線を克服することである。
また、本発明は、従来技術と比較して、より広範囲にわたる多様な電極オプションを提供する。貴金属は、アノード及びカソードのいずれでも機能する。銀は、より安価ではあるが、より高い温度に対しては、Pd、Pt又はAuとのブレンドが必要であり、これら3つのうちでは、Pdとのブレンドが最も安価であると考えられる。研究の多くは非貴金属導体に集中していた。燃料サイドに対しては、ニッケルの使用が試行されてきたが、高温で少しでも酸素に晒されると金属が酸化される。また、導電性セラミックも知られており、本発明で使用可能である。要するに、本発明は、焼結させることができるあらゆる種類のアノード/カソード/電解質システムを利用することができる。
本発明の一実施形態では、両側に空気/ガスが存在し、面積の広い2μmのテープが支持されていない場合、層が脆くなる可能性がある。ギャップの両端間に柱を残すことが考えられる。これらは、洞窟の中の、鍾乳石と石筍が一緒になった柱か何かのように見える。これらの柱は、一様且つ高い頻度で間隔を隔てて配置され得て、はるかに良好な強度を構造に付与する。
ガス及び空気供給源の取り付けについて、例えば高温フレキシブルシリコーンチューブ又はラテックスゴムチューブを使用してFuel Cell Stick(商標)デバイスに取り付けることができるように、端部の温度は300℃未満、例えば150℃未満であると想定される。これらのフレキシブルチューブは、デバイスの端部で単純に引き伸ばすことができ、それによりシールを形成する。これらの材料は、標準的なMcMasterのカタログの中から入手可能である。シリコーンは、オーブンガスケットとして150℃以上の温度で、その特性を失うことなく一般的に使用される。バーブ接続を使用して、多重スティックFuel Cell Stick(商標)システムの多くのシリコーンチューブ又はラテックスゴムチューブを供給源に接続することができる。
アノード材料若しくはカソード材料又は両方の電極材料は、金属又は合金であり得る。アノード及びカソード用の適切な金属及び合金は当業者には既知である。代わりに、一方又は両方の電極材料は、同じく当業者には既知である、電子的に導電性の未焼結セラミックであり得る。例えば、アノード材料は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)がコーティングされた部分焼結金属ニッケルであり得て、また、カソード材料は、ペロブスカイト構造を有する改質ランタンマンガナイトであり得る。
他の実施形態では、電極材料のうちの一方又は両方は、未焼結セラミックと、複合物を導電性にするのに十分な量で存在している導電性金属との複合物であり得る。一般的に、セラミックマトリクス(セラミック基質)は、金属粒子が接触し始めると、電子的に導電性になる。複合物マトリクスを導電性にするのに十分な金属の量は、主に金属粒子の形態学に応じて変化する。例えば、金属の量は、球面粉末金属の場合、一般的には金属薄片の場合より多くしなければならない。例示的な実施形態では、複合物は、略40〜90%の導電性金属粒子が中に分散している未焼結セラミックのマトリクスを含む。未焼結セラミックマトリクスは、電解質層用に使用される未焼結セラミック材料と同じであっても、異なってもよい。
一方又は両方の電極材料がセラミック、つまり電子的に導電性の未焼結セラミック又は複合物を含む実施形態では、電極材料中の未焼結セラミック及び電解質用の未焼結セラミック材料は、架橋可能な有機バインダを含むことができて、積層中に、その圧力が有機バインダを層中で架橋させるのに十分で、また、層間のポリマー分子鎖をリンクさせるのに十分なようにする。
以下、全体にわたって同様の参照符号を用いて同様の構成要素を指称している図面を参照する。図面中の参照符号については、符号の説明を参照。
“ゾーン”、“エリア”、“リージョン”及び“領域”という用語は、全体にわたって交換可能に使用され得て、また、同じ意味を有することが意図されている。同様に、“通路”、“チャネル”及び“経路”という用語も、全体にわたって交換可能に使用され得て、また、“アウトレット”及び“出口”という用語も、全体にわたって交換可能に使用することができる。
図1及び図1Aはそれぞれ、単一のアノード層24、カソード層26及び電解質層28を有する本発明の基本的なFuel Cell Stick(商標)デバイス10の一実施形態の垂直断面図及び水平断面図を示し、デバイス10はモノリシックである。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10には、燃料インレット12、燃料アウトレット16及びそれらの間の燃料通路14が含まれる。デバイス10には、更に、空気インレット18、空気アウトレット22及びそれらの間の空気通路20が含まれる。燃料通路14及び空気通路20は、対向し且つ平行な関係にあり、また、燃料供給源34から燃料通路14を通る燃料の流れは、空気供給源36から空気通路20を通る空気の流れと逆方向である。電解質層28は、燃料通路14と空気通路20との間に配置されている。アノード層24は、燃料通路14と電解質層28との間に配置されている。同様に、カソード層26は、空気通路20と電解質層28の間に配置されている。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の残りの部分は、セラミック29を備え、電解質層28と同じ材料であるか、又は異なるが適合性のあるセラミック材料であり得る。電解質層28は、破線で示されているように、アノード24及びカソード26の対向する領域間に位置しているセラミックの部分であると考えられる。酸素イオンが空気通路20から燃料通路14へ通過するのは電解質層28の中である。図1に示されるように、空気供給源36からのO2は空気通路20を通って移動し、カソード層26によってイオン化されて2O−が形成され、この2O−が電解質層28及びアノード24を通って燃料通路14の中へ移動し、そこで燃料供給34からの燃料、例えば炭化水素と反応して最初にCO及びH2が形成され、次に、H2O及びCO2が形成される。図1は、炭化水素を燃料として使用した反応を示すが、本発明はそれに限定されるものではない。本発明では、SOFCに通常使用されているあらゆるタイプの燃料を使用することができる。燃料供給源34は、例えば炭化水素源又は水素源であり得る。炭化水素燃料の例として、メタン(CH4)、プロパン(C3H8)及びブタン(C4H10)が挙げられる
反応が生じるためには、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10に熱を印加しなければならない。本発明によると、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の長さは十分に長く、デバイスを、デバイス10の中央の高温ゾーン32(つまり加熱されるゾーン)と、デバイス10の各端部11a及び11bの低温ゾーン30とに分割することができる。高温ゾーン32と低温ゾーン30との間には移行ゾーン31が存在している。高温ゾーン32は、通常、400℃より高い温度で動作する。例示的な実施形態では、高温ゾーン32は、600℃より高い温度、例えば700℃より高い温度で動作する。低温ゾーン30は、熱源に露出されることはなく、また、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の長さ及びセラミック材料の熱特性の利点のため、高温ゾーン32の外部へ熱が散逸して、低温ゾーン30の温度が300℃未満になる。高温ゾーン32からセラミックの長さ方向に沿った低温ゾーン30の端部までの熱伝達は低速である一方、高温ゾーン32の外側のセラミック材料から空気中への熱伝達は比較的高速であると考えられる。従って、高温ゾーン32に投入される熱の大半は、低温ゾーン30の端部に到達する前に、空気中に失われる(主に移行ゾーン31において)。本発明の例示的な実施形態では、低温ゾーン30の温度は150℃未満である。更なる例示的な実施形態では、低温ゾーン30は室温である。移行ゾーン31の温度は、高温ゾーン32の動作温度と低温ゾーン30の温度との間であり、熱の相当量が散逸するのは、この移行ゾーン31においてである。
主な熱膨張率(CTE,coefficient of thermal expansion)は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の長さ方向に沿っていて、従って本質的に一次元であるので、ひび割れが生じずに中央を高速加熱することができる。例示的な実施形態では、デバイス10の長さは、デバイスの幅及び厚さより少なくとも五倍長い。更なる例示的な実施形態では、デバイス10の長さは、デバイスの幅及び厚さより少なくとも10倍長い。更に他の例示的な実施形態では、デバイス10の長さは、デバイスの幅及び厚さより少なくとも15倍長い。更に、例示的な実施形態では、厚さよりも幅の方が広く、より広い面積を提供する。例えば、幅は、厚さの少なくとも二倍である。更なる例として、厚さ0.2インチのFuel Cell Stick(商標)デバイス10は、0.5インチの幅を有し得る。図面は、縮尺通りには示されておらず、単に相対的な寸法の一般的なアイディアを示すだけであることは理解されたい。
本発明によると、アノード24及びカソード26への電気接続は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の低温ゾーン30でなされる。例示的な実施形態では、アノード24及びカソード26をそれぞれ、電気接続できるようにするために、低温ゾーン30においてFuel Cell Stick(商標)デバイス10の外部表面に露出することができる。負の電圧ノード38は、ワイヤ42を介して、例えば露出したアノード部分25に接続され、また、正の電圧ノード40は、ワイヤ42を介して、例えば露出したカソード部分27に接続される。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、デバイスの各端部11a、11bに低温ゾーン30を有するので、低温のリジッドな電気接続を行うことができ、これは、電気接続を行うために一般的には高温のろう付け方法を必要とする従来技術に対する顕著な利点である。
図2は、端部11aの上に供給チューブ50が取り付けられて、タイラップ52で固定されたFuel Cell Stick(商標)デバイス10の第一の端部11aの斜視図を示す。そして、燃料供給源34からの燃料が供給チューブ50を介して燃料インレット12に供給される。第一の端部11aが低温ゾーン30に存在している結果として、フレキシブルなプラスチック配管又は他の低温タイプの接続材料を使用して燃料供給源34を燃料インレット12に接続することができる。本発明によって、燃料を接続するための高温ろう付けの必要性が無くなる。
図3Aは、図1に示されるものと同様のFuel Cell Stick(商標)デバイス10であるが、修正された第一及び第二の端部11a、11bを有するものの斜視図を示す。端部11a、11bは、燃料供給源34及び空気供給源36の接続を容易にするためのシリンダー状端部を形成するように機械加工されている。図3Bは、燃料供給源34から燃料インレット12へ燃料を供給するために第一の端部11aに接続された供給チューブ50の斜視図を示す。例として、供給チューブ50は、第一の端部11aに対するその弾性によって緊密なシールを形成するシリコーンチューブや、ラテックスゴムチューブであり得る。供給チューブ50のフレキシブル性及び弾性は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が振動にさらされる携帯デバイスに使用される場合に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10に緩衝ホルダを提供することができることは理解されたい。従来技術では、チューブ又はプレートはリジッドにろう付けされていて、動的環境で使用されるとひび割れが生じる。従って、従来技術と比較して、振動ダンパーとしての供給チューブ50の追加機能は独自の利点を提供する。
図3Aに戻ると、露出したアノード部分25及び露出したカソード部分27に接触するために、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の外部表面にコンタクトパッド44が提供される。電圧ノード38、40をそれぞれアノード24及びカソード26に電気接続するために、コンタクトパッド44用の材料は導電性でなければならない。適切な方法を使用してコンタクトパッド44を形成可能であることは理解されたい。例えば、焼結されたFuel Cell Stick(商標)デバイス10の外部表面に金属パッドを印刷することができる。コンタクトパッド44には、信頼性の高い接続を確立するために、例えばはんだ接続46によってワイヤ42が固定されている。はんだは、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の低温ゾーン30に配置されることにによって使用可能な低温材料である。例えば、一般的な10Sn88Pb2Agはんだが使用可能である。本発明によると高温電圧接続の必要性が無くなることによって、低温接続材料又は手段に対する可能性が広がる。
また、図3Aには、燃料アウトレット16及び空気アウトレット22も斜視図で示されている。燃料は、一方の低温ゾーン30にある第一の端部11aの燃料インレット12から流入し、第二の端部11bに隣接するアウトレット16を通ってFuel Cell Stick(商標)デバイス10の側面から流出する。空気は、低温ゾーン30にある第二の端部11bに位置する空気インレット18から流入し、第一の端部11aに隣接するFuel Cell Stick(商標)デバイス10の側面の空気アウトレット22から流出する。アウトレット16及び22は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の同じ側面に存在するものとして示されているが、例えば、以下の図4Aに示されるように、反対側に位置し得ることは理解されたい。
燃料インレット12の近くに空気アウトレット22を有することによって(同様に、空気インレット18の近くに燃料アウトレット16を有することによって)、また、重畳する層(アノード、カソード、電解質)が近接していることによって、空気アウトレット22は熱交換器として機能し、燃料インレット12からデバイス10に流入する燃料を予熱するのに役立つ(同様に、燃料アウトレット16は、空気インレット18から流入する空気を予熱する)。熱交換器は、システムの効率を改善する。移行ゾーン31は、新しい燃料(新しい空気)が高温ゾーン32に到達する前に熱が伝達されるよう、使用済みの空気と新しい燃料(及び使用済みの燃料と新しい空気)が重畳するエリアを有している。従って、本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス10は、内蔵熱交換器を含むモノリシック構造である。
図4Aには、露出したアノード部分25に接続された各コンタクトパッド44を整列させて、また、負の電圧ノード38に接続されたワイヤ42を各コンタクトパッド44にはんだ付けすること(参照符号46の箇所で)による複数のFuel Cell Stick(商標)デバイス10、この場合は二つのFuel Cell Stick(商標)デバイス10の接続が斜視図で示されている。同様に、部分的に仮想線で示されているように、露出したカソード部分27に接続されるコンタクトパッド44が整列され、正の電圧ノード40を接続しているワイヤ42が、これらの整列したコンタクトパッド44の各々にはんだ付けされる(参照符号46の箇所で)。接続が低温ゾーン30においてであり、また、比較的単純な接続であるので、多重Fuel Cell Stick(商標)システム又はアセンブリ内の一つのFuel Cell Stick(商標)デバイス10を交換する必要が生じた場合、必要なのは、その一つのデバイス10に対するはんだ接続を外して、デバイスを新しいデバイス10に交換して、ワイヤ42を新しいFuel Cell Stick(商標)デバイス10のコンタクトパッド44にはんだ付けし直すことだけであることは理解されたい。
図4Bは、複数のFuel Cell Stick(商標)デバイス10間の接続を端面図で示し、各Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が複数のアノード24及びカソード26を含む。例えば、図4Bに示される特定の実施形態は、三組の対向するアノード24及びカソード26を含み、各アノード24は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の右側に露出し、各カソード26は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の左側に露出している。そして、コンタクトパッド44は、対応する露出したアノード部分25及び露出したカソード部分27に接触するために、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の各側面に配置される。アノード24が露出している右側では、負の電圧ノード38が、ワイヤ42をはんだ接続46を介してコンタクトパッド44に固定することによって、露出したアノード部分25に接続される。同様に、正の電圧ノード40は、ワイヤ42をはんだ接続46を介してコンタクトパッド44に固定することによって、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の左側で露出したカソード部分27に電気接続される。従って、図1〜図4Aには、単一のカソード26と対向している単一のアノード24が示されているが、図4Bに示されるように、各Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が、複数のアノード24及びカソード26を含むことができ、その各々が、対応する電圧ノード38又は40への接続のために外部表面に適用されるコンタクトパッド44を用いた電気接続用に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の外部表面に露出していることは理解されたい。構造中の対向するアノード24及びカソード26の数は、数十個、数百個、更には数千個になり得る。
図5は、ワイヤ42とコンタクトパッド44との間を電気接続するための機械的取り付けを端面図で示す。この実施形態では、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、一組の電極が各Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の上面に露出するように配向されている。コンタクトパッド44は、低温ゾーン30の一方の端部(例えば11a又は11b)において各上面に適用されている。そして、ばねクリップ48を使用して、ワイヤ42をコンタクトパッド44に取り外し可能に固定することができる。従って、図3A、図4A及び図4Bに示されているように金属結合を使用して電気接続することができ、又は図5に示されているように機械的接続手段を使用することができる。本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス10における低温ゾーン30のおかげで、適切な取り付け手段を柔軟に選択することができる。ばねクリップ48又は他の機械的取り付け手段を使用することによって、多重スティックアセンブリにおける単一のFuel Cell Stick(商標)デバイス10を交換するプロセスが更に単純化される。
図6A及び図6Bは、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の第一の端部11aに単一の低温ゾーン30を有し、第二の端部11bが高温ゾーン32である代替実施形態を斜視図で示す。図6Aでは、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、三つの燃料電池が並列を含む一方、図6BのFuel Cell Stick(商標)デバイス10は、単一の燃料電池を含む。従って、本発明の実施形態は、単一電池設計又は多重電池設計を含み得る。燃料及び空気の両方の単一端部投入を可能にするために、空気インレット18は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の側面で第一の端部11aに隣接するように再配向されている。空気通路20(図示せず)は、この場合も燃料通路14と平行に通っているが、本実施形態では、空気の流れは、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の長さ方向にわたる燃料の流れと同じ方向である。デバイス10の第二の端部11bにおいて、空気アウトレット22は、燃料アウトレット16に隣接して配置されている。両方とも端部表面から出るのではなく、燃料アウトレット16又は空気アウトレット22のいずれか一方又は両方が、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の側面から出ることができることは理解されたい。
図6Bに示されるように、空気供給源36用の供給チューブ50は、供給チューブ50の側面を貫通する孔を穿ち、かつ、空気供給源36用の供給チューブ50が、燃料供給源34用の供給チューブ50と垂直になるように、この側孔を通してデバイス10をスライドさせることによって形成されている。この場合も、シリコーンゴムチューブ等をこの実施形態に使用し得る。供給チューブ50とデバイス10の間の継ぎ目の周囲に結合材料を適用して、シールを形成することができる。また、低温ゾーン30の第一の端部11aに隣接して電気接続されている。図6A及び図6Bはそれぞれ、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の一方の側面でなされている正の電圧接続と、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の反対側でなされている負の電圧接続を示す。しかしながら、本発明がそれに限定されないことは理解されたい。単一端部投入Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の利点は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10をより短く製造することができるように、二つの移行ゾーン31の代わりに単一の低温から高温への移行しか存在しないことである。
本発明の利点の一つは、アクティブ層を非常に薄くすることができることによって、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が、単一デバイス内に複数の燃料電池を組み込むことを可能にする性能である。アクティブ層が薄いほど、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の製造中に空気通路20又は燃料通路14が陥没する機会が増加することによって、通路14及び/又は20を通る流れが塞がれる。従って、図7A及び図7Bに示される本発明の一実施形態では、電解質層28の歪み及び通路14、20の塞ぎを防止するために、複数の支柱54、例えばセラミック支柱が、通路14及び20内に設けられている。図7Aは垂直断面図であり、一方、図7Bは、空気通路20に沿った水平断面図である。テープ鋳造方法を用いる本発明の一方法によると、犠牲テープ層を使用し得て、材料のレーザ除去等によってその犠牲層に複数の孔が形成される。次に、セラミック材料を使用して、例えば犠牲テープ層の上方にセラミックスラリを拡散させてこれらの孔に浸透させること等によって、これらの孔を充填する。様々な層が互いにアセンブリされた後に、溶媒の使用等によって犠牲層の犠牲材料が除去され、支柱54が残る。
支柱54を形成するための他の実施形態では、プレ焼結されたセラミックの大きな粒子を、溶媒中に溶解されたプラスチック等の有機ビークルに添加して、ランダムな混合物を形成するために撹拌する。非限定的な例として、これらの大きな粒子は、直径0.002インチのボール等の球体であり得る。そして、燃料通路14及び空気通路20が配置されるエリア内への印刷等によって、未焼結(green)構造にランダムな混合物が加えられる。焼結(焼付/焼成)プロセスの間に、有機ビークルが構造から除去される(例えば燃焼される)ことによって、通路14、20が形成され、また、セラミック粒子が残留して、通路14、20を開いた状態に物理的に保持する支柱54が形成される。図7C及び図7Dの顕微鏡写真は、結果物の構造を示す。支柱54はランダムに配置されており、その平均距離は、有機ビークル中のセラミック粒子の積載量の関数である。
図8Aは、二つの並列な燃料電池を含む本発明の一実施形態を断面図で示す。各アクティブ電解質層28は、一方の面に空気通路20及びカソード層26a又は26bを有し、反対側の面に燃料通路14及びアノード層24a又は24bを有する。一方の燃料電池の空気通路20は、セラミック材料29によって第二の燃料電池の燃料通路14から分離されている。露出したアノード部分25はそれぞれ、ワイヤ42を介して負の電圧ノード38に接続されていて、露出したカソード部分27はそれぞれ、ワイヤ42を介して正の電圧ノード40に接続されている。そして、単一の空気供給源36を使用して、複数の空気通路20の各々に供給することができ、単一の燃料供給源34を使用して、複数の燃料通路14の各々に供給することができる。図の右側に、アクティブ層のこの構成によって確立される電気回路を示す。
図8Bの断面図において、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、図8Aに示されるものと同様であるが、複数の露出したアノード部分25及び複数の露出したカソード部分27を有する代わりに、アノード層24aのみが25で露出し、一つのカソード層26aのみが27で露出している。第一のビア56は、カソード層26aをカソード層26bに接続し、第二のビア58は、アノード層24aをアノード層24bに接続している。例として、貫通ビアを生成するために未焼結層を形成している間、レーザ方法を使用することができ、この貫通ビアに、ビア接続を形成するために引き続いて導電性材料が充填される。図8Bの右側の回路によって示されるように、図8BのFuel Cell Stick(商標)デバイス10には、図8AのFuel Cell Stick(商標)デバイス10に形成されるのと同じ電気経路が形成される。
図9A及び図9Bも、多重燃料電池設計の断面図を示すが、アノード及びカソードが共有されている。図9Aの実施形態では、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、二つの燃料通路14及び二つの空気通路20を含むが、この構造は、二つの燃料電池を有するのではなく、三つの燃料電池を含む。第一の燃料電池は、中間電解質層28を備えたアノード層24aとカソード層26aとの間に形成されている。アノード層24aは燃料通路14の一方の側に存在しており、また、その燃料通路14の反対側に第2のアノード層24bが存在する。第二のアノード層24bは第二のカソード層26bと対向し、それらの間に他の電解質層28を備えることによって、第二の燃料電池を形成する。第二のカソード層26bは、空気通路20の一方に側に存在しており、また、第三のカソード層26cは、その空気通路20の反対側に存在している。第三のカソード層26cは第三のアノード層24cと対向し、それらの間に電解質層28を備えることによって、第三の燃料電池を提供する。アノード層24aからカソード層26cまでのデバイス10の部分は、共有アノード及びカソードを提供するためにデバイス10内で何回も繰り返し可能であり、それによって、単一のFuel Cell Stick(商標)デバイス10内の燃料電池の数を増やすことができる。各アノード層24a、24b、24cは露出したアノード部分25を含み、その部分にFuel Cell Stick(商標)デバイス10の外部表面で電気接続することができ、例えば、ワイヤ42を介して負の電圧ノード38へ接続する。同様に、各カソード層26a、26b、26cは、例えばワイヤ42を介した正の電圧ノード40への接続のために外部表面に露出したカソード部分27を含む。一方の低温端部に単一の空気供給源36を提供して各空気通路20に供給することができ、また、反対側の低温端部に単一の燃料供給源34を提供して各燃料通路14に供給することができる。図9Aの右側に、この構造によって形成される電気回路を示す。このFuel Cell Stick(商標)デバイス10には、三つの燃料電池層が並列に含まれていて、三倍の電力を利用することができる。例えば、各層が1ボルト、1アンペアを生成する場合、各燃料電池層は1ワットの出力を生成する(ボルト×アンペア=ワット)。従って、この三層レイアウトは、合計3ワットの出力のために1ボルト、3アンペアを生成する。
図9Bでは、図9Bの右側の回路によって示されるように、各電圧ノードに単一の電気接続を提供して、直列の三つの燃料電池を生成するように、図9Aの構造が修正されている。正の電圧ノード40は、露出したカソード部分27でカソード層26aに接続される。アノード層24aは、ビア58によってカソード層26bに接続される。アノード層24bは、ビア56によってカソード層26cに接続される。そして、アノード層24cは、露出したアノード部分25で負の電圧ノード38に接続される。従って、層毎に同じlアンペア/1ボルトを使用すると、この三つの電池構造は、合計3ワットの出力のために3ボルト、1アンペアを生成する。
図10に、本発明の他の実施形態を側面図で示す。本実施形態では、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、第一の端部11aに単一の低温ゾーン30を有し、第二の端部11bは高温ゾーン32に存在している。他の実施形態の場合、燃料インレット12は第一の端部11aに存在し、供給チューブ50によって燃料供給源34に接続されている。本実施形態では、燃料通路14は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の長さ方向に延伸して、燃料アウトレット16は第二の端部11bに存在する。従って、燃料供給接続は低温ゾーン30の中でなされ、燃料反応物(例えばCO2及びH2O)用のアウトレットは、高温ゾーン32に存在する。同様に、アノードは、ワイヤ42を介した負の電圧ノード38への接続のために、露出したアノード部分25を低温ゾーン30に有している。
図10の実施形態では、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、空気インレット18及び空気通路20の両方を高温ゾーン32に提供するために、少なくとも一方の側が開いており、場合によっては両側が開いている。この実施形態では、空気通路20内の支柱54の使用が特に有用になり得る。空気アウトレットは、図に示されるように第2の端部11bに配置され得る。代わりに、図示されていないが、通路20が幅方向にわたって延伸し、かつ、空気供給が投入側へ向かってのみ向けられる場合、又は通路20が幅方向全体にわたって延伸していない場合、空気アウトレットを、空気インレット側の反対側に配置し得る。本実施形態では、熱のみを高温ゾーン32に提供する代わりに、空気も提供される。つまり、強制的な空気チューブを介して空気を供給する代わりに、高温ゾーン32のデバイス10の両側が加熱された空気に開放される。
図10Aは、図10に示される実施形態の一変形例を側面図で示す。図10Aでは、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、両側の低温ゾーン30を含み、中央の加熱ゾーン32は、移行ゾーン31によって低温ゾーン30から分離されている。空気インレット18は、中央の加熱ゾーン32に提供されていて、その少なくとも一部で加熱空気が受け取られる。しかしながら、本実施形態では、空気通路20は、図10のように適切な長さに対してFuel Cell Stick(商標)デバイス10の側面で完全には開いていない。むしろ、図10Bにより明確に示されるように、空気通路20は、高温ゾーン32の一部において開き、そして、残りの長さに対して側面で閉じて、そして、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の第二の端部11bの空気アウトレット22で外に出る。本実施形態では、加熱された空気を、強制的な空気供給チューブではなくて、高温ゾーン32に供給することができるが、低温ゾーン30のデバイス10の一方の端部11bから燃料及び空気を流出させることもできる。
特定の実施形態について、図示し、詳細に説明してきたが、本発明の範囲はそれらに限定されるものではない。本発明のより一般的な実施形態を、以下説明し、図11〜図24に示される概略図を参照して、より完全に理解することができる。図11は、図12〜図24に概略的に示される構成要素用のキーを提供する。燃料(F)又は空気(A)がFuel Cell Stick(商標)デバイス(例えばSOFC Stick)に流入する矢印で示されている場合、例えば投入アクセスポイントに接続されたチューブを通る流れ等の強制的な流れを示す。空気の投入が示されていない場合、加熱された空気が、強制的な流れの接続以外の手段によって高温ゾーンに供給されて、Fuel Cell Stick(商標)デバイスが高温ゾーン内のアクセスポイントで空気通路に対して開いていることを示す。
本発明の一実施形態は、少なくとも一つの燃料通路及び関連するアノード、少なくとも一つの酸化剤通路及び関連するカソード、並びにそれらの間の電解質を含んだFuel Cell Stick(商標)デバイスであり、電池は、一つの主軸方向にCTEを有し、また、その一部が略400℃より高い温度を有する加熱ゾーン内で動作するように、その幅又は厚さより実質的に長くなっている。本実施形態では、Fuel Cell Stick(商標)デバイスは、主なCTE方向に従って、デバイスの一方の端部における空気投入及び燃料投入の両方のための統合アクセスポイントを有しているか、又は主なCTE方向に従って一方の端部における空気投入及びもう一方の端部における燃料投入のための統合アクセスポイントを有していて、空気入口及び燃料入口は、加熱ゾーンの外側に配置されている。例えば、図20及び24を参照されたい。
本発明の他の実施形態では、燃料電池は、第一の温度ゾーン及び第二の温度ゾーンを有し、第一の温度ゾーンは、燃料電池の反応を行うのに十分な温度で動作する高温ゾーンであり、第二の温度ゾーンは、加熱ゾーンの外側に位置していて、第一の温度ゾーンより低い温度で動作する。第二の温度ゾーンの温度は、電極への低温接続を可能にするのに十分な低さの温度であり、また、少なくとも燃料供給用の低温接続を可能にするのに十分な低さの温度である。この燃料電池構造は、部分的に第一の温度ゾーン内に延伸し、また、部分的に第二の温度ゾーン内に延伸する。例えば、図12、図13及び図17を参照されたい。
本発明の一実施形態では、燃料電池は、加熱ゾーンである第一の温度ゾーン、及び300℃未満の温度で動作する第二の温度ゾーンを含む。空気接続及び燃料接続は、低温接続としてゴム配管等を使用して、第二の温度ゾーンでなされる。低温はんだ接続又はばねクリップを使用して、アノード及びカソードへの電気接続がなされ、アノード及びカソードをそれぞれ負及び正の電圧ノードに接続する。更に、第一の温度ゾーン、つまり加熱ゾーンには、二酸化炭素及び水用の燃料アウトレットと、使い果たされた酸素用の空気アウトレットとが配置されている。例えば、図17を参照されたい。
他の実施形態では、燃料電池構造は、加熱ゾーンである中央の第一の温度ゾーンを有し、燃料電池の各端部は、第一の温度ゾーンの外側の、300℃未満で動作する第二の温度ゾーンに配置されている。燃料入口及び空気入口は、アノード及びカソードへの電気接続用のはんだ接続又はばねクリップの場合と同様、第二の温度ゾーンに配置されている。最後に、第二の温度ゾーンには、二酸化炭素、水及び使い果たされた酸素用の出口が配置されている。例えば、図19、図20及び図24を参照されたい。
本発明の他の実施形態では、主なCTE方向に従って、300℃未満で動作する第二の温度ゾーン内の各端部に燃料入口を提供することができ、対向する第二の温度ゾーン間の中央に、加熱ゾーンである第一の温度ゾーンを提供することができる。中央の加熱ゾーンには、二酸化炭素、水及び使い果たされた酸素用の出口を配置することができる。例えば、図15及び図18を参照されたい。代わりに、第二の温度ゾーン、つまり加熱ゾーンの外側に、二酸化炭素、水及び使い果たされた酸素用の出口を配置することもできる。例えば、図16及び図19を参照されたい。
他の実施形態では、燃料投入アクセスポイント及び空気投入アクセスポイントの両方が、加熱ゾーンである第一の温度ゾーンの外側の、300℃未満で動作する第二の温度ゾーンに配置されることによって、空気供給及び燃料供給用のゴム配管等の低温接続を使用することができる。更に、電圧ノードをアノード及びカソードに接続するために、はんだ接続又はばねクリップが第二の温度ゾーンで使用される。一実施形態では、燃料入口及び空気入口の両方が、主なCTE方向に従って一方の端部に配置されて、Fuel Cell Stick(商標)デバイスの他方の端部が、第一の加熱温度ゾーンに存在していて、二酸化炭素、水及び使い果たされた酸素の出口が、加熱ゾーンに存在している。例えば、図17を参照されたい。従って、Fuel Cell Stick(商標)デバイスは、一つの加熱端部及び一つの非加熱端部を有する。
他の実施形態では、燃料及び空気は、対向する二つの第二の温度ゾーン間に加熱ゾーンが位置するように、主なCTE方向に従って、加熱ゾーンの外側の一方の端部で投入されて、加熱ゾーンの外側の反対側の端部から出て行く。例えば、図20を参照されたい。更に他の代替例では、燃料及び空気は、第二のの温度ゾーンに配置された、対向する端部の両方に投入されて、燃料及び空気の出口は、中央の加熱ゾーンに存在する。例えば、図18を参照されたい。
更に他の代替例では、燃料及び空気は、第二の温度ゾーンに配置されている対向する両方の端部に投入され、各出口は、第2の温度ゾーン内の、入口とは反対側の端部に配置されている。例えば、図19を参照されたい。従って、燃料電池は、中央の加熱ゾーンと、加熱ゾーンの外側の対向する端部とを有し、燃料及び空気の両方が、第一の端部に投入され、各反応物出口は、第二の端部に隣接して外側に出て、燃料及び空気の両方が、第二の端部に投入され、反応物出口は、第一の端部に隣接して外側に出る。
更に他の実施形態では、加熱ゾーンの外側の一方の端部に燃料入口が配置され、加熱ゾーンの外側の反対側の端部に空気入口が配置される。例えば、図21〜図24を参照されたい。本実施形態では、空気及び燃料の両方からの反応物出口は、加熱ゾーンにあるか(図21を参照)、又は、両方とも、各入口とは反対側の端部に隣接する加熱ゾーンの外側にあり得る(図24を参照)。代わりに、二酸化炭素及び水の出口を高温ゾーンに配置する一方で、使い果たされた酸素の出口を高温ゾーンの外側に配置することができ(図22を参照)、又はその逆に、使い果たされた酸素の出口を高温ゾーンに配置し、また、二酸化炭素及び水の出口を高温ゾーンの外側に配置することができる(図23を参照)。図22及び図23に示される燃料出口及び空気出口に対する変形例を、例えば図18〜図20に示される実施形態に適用することもできる。
図25A及び図27Aに平面図で示され、図27Bに側面図で示される本発明の他の実施形態では、パンハンドル設計と称されるものを有するFuel Cell Stick(商標)デバイス100が提供される。Fuel Cell Stick(商標)デバイス100は細長いセクション102を有していて、その細長いセクション102は、上述の実施形態に示される、一つの主な軸方向にCTEを有するFuel Cell Stick(商標)デバイス10と同様の寸法であり得て、つまり、幅又は厚さより実質的に長さが長い。Fuel Cell Stick(商標)デバイス100は、更に、長さにより整合している幅を有する広い表面積のセクション104を有している。セクション104は、正方形の表面積又は長方形の表面積を有することができるが、幅は、実質的に長さより小さくなるのではなく、CTEがセクション104内に単一の主な軸を有するのではなく、長さ方向及び幅方向にCTE軸を有するようにする。広い表面積のセクション104は高温ゾーン32に配置されている一方、細長いセクション102は、少なくとも部分的に低温ゾーン30及び移行ゾーン31に配置されている。例示的な実施形態では、細長いセクション102の一部が高温ゾーン32内へ延伸しているが、これは本質的ではない。例として、燃料供給源34及び空気供給源36は、図6Bに示されるように細長いセクション102に接続され、かつ、電気接続もすることができる。
図25B及び図26Aに、図25A、図27A及び図27Bに示される実施形態と同様の代替実施形態の上面図が示され、図26Bに、その側面図が示されているが、細長いセクション102の反対側に第二の細長いセクション106を更に有して、広い表面積のセクション104が、二つの細長いセクション102と106との間に位置している。細長いセクション106も、少なくとも部分的に低温ゾーン30及び移行ゾーン31に配置されている。本実施形態では、細長いセクション102に燃料を投入し、また、細長いセクション106に空気を投入し得る。例として、図2又は図3Bに示されるように、空気供給源36及び燃料供給源34をそれぞれ、細長いセクション106及び102に接続することができる。図25Bに示されるように、空気出口は、燃料入口に隣接して、細長いセクション102に位置し得て、燃料出口は、空気入口に隣接して、細長いセクション106に位置し得る。代わりに、図26A及び26Bにそれぞれ上面図及び側面図で示されているように、空気出口及び燃料出口のうち一方又は両方を高温ゾーン32内の広い表面積のセクション104に配置し得る。図25A及び図25Bの実施形態では、介在する電解質28を備えた対向するアノード24及びカソード26の表面積が、高温ゾーン32内で広くなり、反応エリアを広くすることによって、Fuel Cell Stick(商標)デバイス100によって発生する電力を大きくすることができることは理解されたい。
本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス10、100の他の利点は、軽量なことである。典型的な燃焼機関の重量は、1kWの電力当たり18〜30ポンドのオーダである。本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス10、100は、1kWの電力当たり0.5ポンドのオーダの重量で製造することができる。図28A〜図28Dは、螺旋、つまり巻かれたチューブ状構成を有する本発明のTubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200の代替実施形態を示す。図28Aは、巻かれていない状態におけるデバイス200の概略的な上面図である。デバイス200の巻かれていない構造は、同じ長さLの第一の端部202及び第二の端部204を有しており、この長さLは、巻かれた、つまり螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200の長さに対応する。燃料インレット12及び空気インレット18は、第一の端部202に隣接して両側に示されている。そして、図28Bのデバイス200の巻かれていない構造の概略的な端面図に更に示されるように、また、図28Cのデバイス200の巻かれていない構造の概略的な側面図に更に示されるように、燃料通路14及び空気通路20は、燃料アウトレット16及び空気アウトレット22が第二の端部204にあるように、デバイス200の巻かれていない構造の幅方向に沿って第二の端部204まで延伸する。燃料通路14及び空気通路20は、燃料及び空気の流れを最大にするように、デバイス200の巻かれていない構造のほぼ長さLにわたって延伸するものとして示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。そして、螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200を形成するために、第一の端部202が第二の端部204に向けて巻かれ、図28Dの概略的な斜視図に示されるデバイス200の螺旋チューブ構造が形成される。そして、空気インレット18に投入するために空気供給源36を螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200の一方の端部に配置する一方、燃料を燃料インレット12に投入するために燃料供給源34を螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200の反対側の端部に配置し得る。そして、空気及び燃料が、デバイス200の長さLに沿って、燃料アウトレット16及び空気アウトレット22を介して螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200から出て行く。電圧ノード38、40を、螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200の両端に形成された又は両端に隣接して形成されたコンタクトパッド44にはんだ付けすることができる。
図29A〜図29Gは、Fuel Cell Stick(商標)デバイスがチューブ状の同心形態である本発明の代替実施形態を示す。図29Aは、同心Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス300を概略的な等角図で示す。図29B〜図29Eは、図29Aの同心デバイス300の断面図を示す。図29Fは、デバイス300の空気投入端部の端面図を示し、図29Gは、デバイス300の燃料投入端部の端面図を示す。図示されている特定の実施形態は、三つの空気通路20を含み、一つはチューブ状構造の中心に存在し、他の二つは、それから間隔を空けて、同心状になっている。また、同心Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス300は、これらの空気通路20の間に同心状に二つの燃料通路14も有する。図29A〜図29Dに示されるように、同心Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス300は、各インレット12、18の反対側において、一方の端部で燃料通路14を接続している燃料アウトレット16と、他方の端部で空気通路20を接続している空気アウトレット22とを含む。各空気通路20はカソード26で覆われ、また、各燃料通路14はアノード24で覆われ、電解質28が、対向するアノード及びカソードを分離している。図29A〜図29B及び図29F〜図29Gに示されるように、電気接続は、同心Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス300の両端部で、露出したアノード25及び露出したカソード27に対してなされ得る。これらの端部に、露出したアノード25及び露出したカソード27を接続するためのコンタクトパッド44を適用することができ、また、図示されていないが、デバイス300の外側に沿ってコンタクトパッド44を走らせることもでき、端部においてではなく、デバイス300の長さ方向に沿ったポイントで電気接続することができる。Concentric Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス300は、構造支持体として、空気通路及び燃料通路14、20内に配置される支柱54を含むことができる。
両端部11a、11bに二つの低温ゾーン30を有し、空気入口及び燃料出口を一方の端部に、燃料入口及び空気出口を反対側の端部に備える本発明の実施形態では、使用済みの燃料又は空気は、中央の高温ゾーン32から出て行くので、加熱状態にある。加熱された空気及び燃料は、移行ゾーン31を通って低温ゾーン30へ移動するので、冷める。電極及び/又はセラミック/電解質の薄い層は、空気通路20を平行な燃料通路14から分離していて、又はその逆である。一つの通路内で、加熱された空気が高温ゾーン32から出て行き、隣接する平行な通路内で、燃料が高温ゾーン32に入り、又はその逆である。加熱された空気は、熱交換原理により、隣接する平行な通路に流入する燃料を加熱し、又はその逆である。従って、熱交換によって空気及び燃料がある程度予熱される。しかしながら、上述のように、高温ゾーン32の外側において熱は急速に失われるため、熱交換は、空気及び燃料が高温ゾーン32内のアクティブ領域に入る前にそれらを最適な反応温度に予熱するには不十分となり得る。更に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が一つの低温端部(低温ゾーン30)及び一つの高温端部(高温ゾーン32)を含む実施形態では、熱交換用の燃料及び空気の交差流が生じないように、燃料及び空気は、同じ低温端部30に投入されて、反対側の同じ高温端部32から流出する。流入する燃料及び空気に対する限られた熱交換が、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の電極材料及びセラミック材料から利用可能である。
図30A〜図33Cは、アノード24及びカソード26が対向しているアクティブゾーン33bに燃料及び空気が流入する前にそれらを加熱するための統合予熱ゾーン33aを有するFuel Cell Stick(商標)デバイス10の多様な実施形態を示す。これらの実施形態には、中間の高温ゾーン32を備えた二つの低温端部30が存在し、対向する低温端部30に燃料入口及び空気入口が存在しているFuel Cell Stick(商標)デバイス10と、一つの高温端部32及び一つの低温端部30が存在し、単一の低温端部30に燃料及び空気入口を両方とも備えたFuel Cell Stick(商標)デバイス10とが含まれる。これらの実施形態では、使用される電極材料の量をアクティブゾーン33bに限定し、電圧ノード38、40への外部接続用にその少量のみが低温ゾーン30へとつながっている。これらの実施形態の他の利点は、後述のように、電子が低い抵抗を提供する外部電圧接続へ移動するのに考えられる最短経路を有することである。
図30Aは、統合予熱ゾーン33aを備えた一つの低温ゾーン30と反対側の一つの高温ゾーン32とを有するFuel Cell Stick(商標)デバイス10の第一の実施形態の概略的な垂直断面図を示す。図30Bは、燃料通路14を見上げるアノード24を介した断面図を示し、また、図30Cは、空気通路20を見下ろすカソード26を介した断面図を示す。図30A及び図30Bに示されるように、燃料供給源34からの燃料は、燃料インレット12から入り、燃料通路14を通ってデバイス10の長さ方向に沿って伝わり、燃料アウトレット16を介してデバイス10の反対側の端部から出て行く。低温ゾーン30は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の第一の端部11aにあり、高温ゾーン32は、反対側の第二の端部11bにある。高温ゾーンと低温ゾーンの間に移行ゾーン31がある。高温ゾーン32は、燃料が最初に通過する初期予熱ゾーン33aと、燃料通路14に隣接するアノード24を含むアクティブゾーン33bとを含む。図30Bに示されるように、アノード24の断面積は、アクティブゾーン33bで広くなる。アノード24は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の一方の縁まで延伸していて、外部コンタクトパッド44は、負の電圧ノード38への接続用に、デバイス10の外側に沿って低温ゾーン30まで延伸する。
同様に、図30A及び図30Cに示されるように、空気供給源36からの空気は、低温ゾーン30に位置する空気インレット18から入り、空気は、空気通路20を通ってFuel Cell Stick(商標)デバイス10の長さ方向に沿って伝わり、空気アウトレット22を介して高温ゾーン32から出て行く。空気及び燃料が、同じ端部から入って、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の長さ方向に沿って同じ方向に移動しているので、高温ゾーン32の前の熱交換による空気及び燃料の予熱が限られる。カソード26は、アノード24に対向してアクティブゾーン33b内に位置していて、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の反対側まで延伸し、そこで露出し、正の電圧ノード40への接続用にアクティブ高温ゾーン33bから低温ゾーン30まで延伸する外部コンタクトパッド44に接続されている。しかしながら、露出したカソード27が露出したアノード25に対してデバイス10の反対側にある必要はない。露出したアノード25及び露出したカソード27は、デバイス10の同じ側に存在することができて、コンタクトパッド44を、帯状体(stripe)としてFuel Cell Stick(商標)デバイス10の下方に形成することができる。この構造によって、空気及び燃料は、反応が生じない予熱ゾーン33aで最初に加熱され、アノード材料及びカソード材料の大部分は、アクティブゾーン33b内に限定されて、そのアクティブゾーン33bに、加熱された空気及び燃料が流入して、対向するアノード層24及びカソード層26によって反応する。
図31A〜図31Cに示される実施形態は、図30A〜図30Cに示されるものと同様であるが、図31A〜図31Cの実施形態は、一つの高温端部32及び一つの低温端部30を有するのではなく、中央の高温ゾーン32を備えた対向する低温ゾーン30を含む。燃料供給源34からの燃料は、低温ゾーン30の燃料インレット12を介してデバイス10の第一の端部11aから入り、反対側の低温ゾーン30に位置する燃料アウトレット16を介して反対側の第二の端部11bから出て行く。同様に、空気供給源36からの空気は、空気インレット18を介して反対側の低温ゾーン30から入り、空気アウトレット22を介して第一の低温ゾーン30から出て行く。燃料は、高温ゾーン32に入り、予熱ゾーン33aで予熱される一方、空気は、高温ゾーン32の反対側から入り、他の予熱ゾーン33aで予熱される。従って、燃料及び空気の交差流が存在している。アノード24は、高温ゾーン32のアクティブゾーン33b内でカソード26と対向し、予熱された燃料及び空気を含むアクティブゾーン33bで反応が生じる。この場合も、電極材料の大部分は、アクティブゾーン33bに限定される。アノード24は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の一方の縁で露出して、カソード26は、デバイス10の反対側で露出している。外部コンタクトパッド44は、高温ゾーン32において露出したアノード25と接触し、負の電圧ノード38への接続用に、第一の低温端部11aに向けて延伸する。同様に、外部コンタクトパッド44は、高温ゾーン32において露出したカソード27と接触し、正の電圧ノード40への接続用に、第二の低温端部11bに向けて延伸する。
予熱ゾーン33aは、ガスがアクティブ領域に到達する前にそのガスを最適反応温度まで完全に加熱するという利点を提供する。燃料が最適温度より冷たい場合、SOFCシステムの効率が低下する。空気及び燃料は、それらの経路を辿り続けると、温かくなる。空気及び燃料が温かくなると、その領域の電解質28の効率が高くなる。燃料、空気及び電解質28が炉の完全な温度に到達すると、電解質28は、その最適効率のもとで動作する。貴金属製であり得るアノード24及びカソード26に対する金額を節約するため、依然として最適温度未満である領域の金属を省略することができる。長さ又は他の寸法に関して、予熱ゾーン33aの量は、炉からFuel Cell Stick(商標)デバイス10への熱伝達の量、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10から燃料及び空気への熱伝達の量に依存して、また、燃料及び空気の交差流による熱交換が生じるか否かに依存する。これらの寸法は、更に、燃料及び空気の流量に依存し、燃料又は空気がFuel Cell Stick(商標)デバイス10の長さ方向に高速で移動している場合には、より長い予熱ゾーンが有利である一方、流量が少ない場合には、予熱ゾーン33aはより短くなり得る。
図32A及び32Bは、図31A〜31Cに示される実施形態と同様の実施形態を示すが、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が、燃料インレット12と燃料通路14との間の予熱チャンバ13を含み、燃料がより狭い燃料通路14を通ってアクティブゾーン33b内へ通過する前に予熱ゾーン33aの中で大量の燃料を予熱するために、その予熱チャンバ13が高温ゾーン32へ延伸する。同様に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、空気インレット18と空気通路20との間の予熱チャンバ19を含み、空気がより狭い空気通路20を通ってアクティブゾーン33b内へ通過する前に、予熱ゾーン33aの中で大量の空気を予熱するために、その予熱チャンバ19は、高温ゾーン32へ延伸する。上述の実施形態で説明したように、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、複数の燃料通路14及び空気通路20を含むことができ、それらの各々が各予熱チャンバ13、19から流れを受け取る。
予熱チャネルに代わる大容量予熱チャンバ13、19について、単に一例として、例えば空気の分子を最適温度まで加熱するのに5秒かかり、また、空気の分子がFuel Cell Stick(商標)デバイス10を毎秒1インチで移動していると考えると、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10には、空気がアクティブゾーン33bに入る前に長さ5インチの予熱チャネルが必要となる。しかしながら、チャネルの代わりに大容量チャンバが提供されると、その体積によって、アクティブゾーン33bへのより狭いチャネルに入る前に分子が余分の時間をキャビティ内で費やし、空気分子がチャンバ内で加熱され、短い長さのチャネルを用いて、加熱された空気分子をアクティブゾーン33bに供給できるようにする。このようなキャビティ、つまり予熱チャンバ13、19は、未焼結(つまり焼結前の)アセンブリを取ってそのアセンブリの端部にドリル加工で穴を開けてチャンバを形成するか、又は、未焼結スタックを形成する際に大量の有機材料をその未焼結スタック中に組み込み、焼結中にFuel Cell Stick(商標)デバイスからその有機材料を燃き出す等の多様な方法で設けることができる。
図33A〜図33Cは、空気及び燃料がアクティブゾーン33bに到達する前にその空気及び燃料を予熱するための更に他の実施形態を示す。図33Aは、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の長手方向の中心に実質的に沿った概略的な垂直断面面図である。図33Bは、線33B〜33Bに沿った、燃料通路14及びアノード24が交差している上面水平断面図であり、図33Cは、線33C〜33Cに沿った、空気通路20がカソード26と交差している底面水平断面図である。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、二つの対向する低温ゾーン30及び中央の高温ゾーン32を有し、各低温ゾーン30と高温ゾーン32の間に移行ゾーン31を備える。燃料供給源34からの燃料は、燃料インレット12からFuel Cell Stick(商標)デバイス10の第1の端部11aに入り、高温ゾーン32の反対側の端部に向けて延伸する燃料通路14を伝わり、そこでUターンして、第一の端部11aの低温ゾーン30に戻り、そこで使用済み燃料が燃料アウトレット16から出て行く。同様に、空気供給源36からの空気は、空気インレット18からFuel Cell Stick(商標)デバイス10の第二の端部11bに入り、高温ゾーン32の反対側の端部に向けて延伸する空気通路20を伝わり、そこでUターンして、第二の端部11bに戻り、そこで空気アウトレット22を介して低温ゾーン30から空気が出て行く。これらのUターン通路を用いて、湾曲(Uターン)を介した初期流入から高温ゾーン32への燃料通路14及び空気通路20の部分が、燃料及び空気を加熱するための予熱ゾーンを構成する。通路14、20内で湾曲、つまりUターン部の後で、これらの通路は、それらの間に電解質28を備えた対向するアノード24又はカソード26で覆われる。この領域は、高温ゾーン32内のアクティブゾーン33bを構成する。従って、燃料及び空気は、アクティブゾーン33bへの流入の前に予熱ゾーン33aで加熱されて、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の効率を高め、電極材料の使用を最小化する。アノード24は、負の電圧ノード38への接続用に、低温ゾーン30においてデバイス10の外部へ延伸している。同様に、カソード26は、正の電圧ノード40への電気接続用に、デバイス10の外部へ延伸している。また、燃料アウトレット16及び空気アウトレット22も、低温ゾーン30から出すことができる。
図示した上述の実施形態の多くでは、アノード24及びカソード26は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の層の中、本質的には各層の中央領域の中、つまりデバイス内部を、デバイスの端部に到達するまで伝わる。このポイントにおいて、アノード24及びカソード26は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の外側にタブ化されて、露出したアノード25及び露出したカソード27が、例えば銀ペーストを塗布することによってコンタクトパッド44で金属化され、そして、コンタクトパッド44にワイヤがはんだ付けされる。例えば、図4A〜図4Bを参照されたい。しかしながら、例えば、図8A〜図9Bに示されるように、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の中に層を積み重ねてより高い電圧の組合せにすることが望ましくなり得る。1kWの電力を発生するFuel Cell Stick(商標)デバイス10を製造することが望まれる場合、電圧と電流の間で電力が分けられる。規格の1つでは、12ボルトが使用されて、合計1kWの電力を発生するためには83アンペアが必要になる。図8B及び図9Bでは、並列又は直列の組合せを形成するために、ビアを使用して電極層が相互接続されている。
図34Aから図37は、電極層を相互接続するための代替実施形態を示す。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の内部で電極層を相互接続する代わりに、これらの代替実施形態には、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の両側に沿って、例えば銀ペーストの外部帯状体(細いコンタクトパッド)が使用され、特に、複数の小さな帯状体が使用されている。帯状にする方法を使用することによって、必要な電流/電圧比を達成するための直列及び/又は並列の組合せを提供することができる単純な構造が形成される。更に、外部帯状体は、内部ビアと比較して緩い機械公差を有することができるので、製造が単純化される。また、外部帯状体は、ビアより小さな抵抗(すなわち等価直列抵抗)を有する傾向がある。導体経路の抵抗が小さいほど、その経路に沿った電力損失が小さくなり、これらの外部帯状体が、より小さな電力損失でFuel Cell Stick(商標)デバイス10から電力を取り出す能力を提供する。
次に、特に図34A及び図34Bを参照すると、直列の外部アノード/カソード相互接続が示されている。図34Aは、交互に配置されたアノード24a、24b、24c及びカソード26a、26b、26cの概略的な正面斜視図を示す。露出したアノード25及び露出したカソード27を提供するために、アノード24a、24b、24c及びカソード26a、26b、26cは、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の長さ方向に沿って、デバイス10の縁から突出しているタブを含む。そして、図34Bの概略的な側面図に最もよく示されるように、露出したアノード25及びカソード27の上のFuel Cell Stick(商標)デバイス10の外側に外部コンタクトパッド44(すなわち帯状体)が提供される。対向する三対のアノード24a、24b、24c及びカソード26a、26b、26cを直列に接続することによって、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、3ボルト、1アンペアを提供する。図35では、構造が二倍になっていて、デバイス10の側面を下る長い帯状体によって二つの構造が接続されていることによって、3ボルト、2アンペアを提供する直列並列設計の外部アノード/カソード相互接続を提供している。
図36A及び図36Bは、低電力損失を提供するための低等価直列抵抗経路用の実施形態を示す。本実施形態では、高温ゾーン32は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の中央にあり、第一の端部11a及び第二の端部11bは低温ゾーン30にある。燃料は、第一の端部11aの燃料インレット12から投入され、空気は、第二の端部11bの空気インレット18から投入される。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10のアクティブエリアである高温ゾーン32内では、アノード24及びカソード26がデバイス10の側面に露出しており、一方の側面にアノード24が露出し、反対側にカソード26が露出している。コンタクトパッド44(すなわち帯状体)が露出したアノード25及びカソード27の上に加えられる。そして、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の縁が、デバイス10の側面の長さ方向に沿って、そのメタライゼーションが低温ゾーン30に達するまで金属化されて、そこで負の電圧ノード38及び正の電圧接ノード40への低温はんだ接続46がなされる。アノード24及びカソード26は、他の機能を有しているので、抵抗を低下させるためだけに最適化することはできない。例えば、空気又は燃料を電解質28へ通すために電極は多孔性でなければならないが、その多孔性は抵抗を上昇させる。更に、多層Fuel Cell Stick(商標)デバイス10中の良好な層密度を可能にするために電極は薄くなければならないが、電極が薄いほど、抵抗が大きくなる。より厚いコンタクトパッド44をFuel Cell Stick(商標)デバイス10の縁(側面)に加えることによって、はんだ接続46に向けて低抵抗経路を提供することができる。コンタクトパッド44が厚いほど、抵抗が小さくなる。例えば、電子がFuel Cell Stick(商標)デバイス10内の電極を、電極層中のすべてのボイドを通過して10インチ移動しなければならない場合、最小抵抗の経路の長さは、例えばデバイス10の側端まで0.5インチであり、外部非多孔性コンタクトパッド44まで10インチである。従って、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の外側に沿って低温ゾーン30まで延伸する長いコンタクトパッド44は、より低い抵抗の導体経路を提供することによって、より低い損失でFuel Cell Stick(商標)デバイス10から電力を取り出すことを可能にする。従って、帯状にする方法をFuel Cell Stick(商標)デバイス10のアクティブエリア(高温ゾーン32)に使用して、直列及び並列接続を設けて電力を大きくすることができ、また、デバイス10の側面に沿って低温端部30まで長い帯状体を使用することによって、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10から効率的に電力を取り出すことができる。
図37は、図36Bに示される実施形態と同様の実施形態を概略的な等角図で示すが、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の第一の端部11aに単一の低温ゾーン30を有し、高温ゾーン32がデバイス10の第二の端部11bにある。直列接続及び/又は並列接続をなすための複数の垂直帯状体又はコンタクトパッド44が高温ゾーン32内に提供されていて、また、正の電圧ノード40及び負の電圧ノード38への低温はんだ接続46を設けるために、デバイス10の側面に沿った水平の長い帯状体又はコンタクトパッド44が、高温ゾーン32から低温ゾーン30まで提供されている。
燃料通路14及び空気通路20を形成する方法の一つは、後続の焼結ステップの間に焼き出すことができる未焼結の層状構造内に、有機材料を犠牲層として配置することである。1kW出力又は10kW出力等の大きい電力を出力する個々のFuel Cell Stick(商標)デバイス10を構築するためには、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10を長くて幅が広くなければならず、また、層の数を多くしなければならない。例として、Fuel Cell Stick(商標)デバイスは、12インチから18インチのオーダの長さにすることができる。未焼結構造を焼いてセラミックを焼結させ、犠牲有機材料を除去する際に、燃料通路14を形成するのに使用される有機材料は、それぞれ燃料インレット及び燃料アウトレットを形成する開口12及び16から出て行かなければならない。同様に、空気通路20を形成するのに使用される有機材料は、それぞれ空気インレット及び空気アウトレットを形成する開口18及び22から焼き出さなければならない。デバイスが長くて幅が広いほど、有機材料がこれらの開口から出て行くことが困難になる。焼き出し中にデバイスが急速加熱され過ぎると、有機材料が構造から出て行くよりも早く有機材料の分解が生じるので、様々な層が層間剥離する可能性がある。
図38A及び図38Bは、有機材料(犠牲層)72を焼き出すための複数の出口ギャップを提供する代替実施形態を概略的な水平断面図で示したものである。図38Aに示されるように、有機材料72が構造から出て行くための複数の焼き出し経路を提供するために、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の一方の側面に複数の開口70が提供されている。図38Bに示されるように、焼き出しの後、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10のその側面に障壁コーティング60を加えることによってこれらの複数の開口70が密閉される。例として、障壁コーティング60はガラスコーティングであり得る。他の例では、障壁コーティング60は、セラミック充填剤を含有したガラスであり得る。更に他の実施形態では、障壁コーティング60は、例えばペーストが充填されたコンタクトパッド44であり得て、発生する電力用の低抵抗経路としても機能することになる。銀ペーストは、接着力を強化するためにガラスを含有することもできる。例示的実施形態では、カソード26用の焼き出し経路は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の一方の側面に通気されていて、また、アノード24用の焼き出し経路は、対向する電極間の短絡を回避するために、デバイス10の反対側に通気されている。
Fuel Cell Stick(商標)デバイス10、100、200、300の代替実施形態では、それぞれカソード26又はアノード24で覆われた開放空気通路20及び燃料通路14を有する代わりに、空気又は燃料の流れを許容する多孔性電極材料を使用して、カソードと空気チャネルを結合し、また、アノードと燃料チャネルを結合することができる。カソード及びアノードは、反応を生じさせるためには必ず多孔性でなければならないので、強制的な空気及び燃料の投入と組み合わせることにより、電力生成反応を生じさせるのに十分な流れをFuel Cell Stick(商標)デバイスを介して達成することができる。
図39は、本発明の他の実施形態を概略的な端部断面図で示す。本実施形態は本質的に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10のアノード支持バージョンである。他の実施形態と同様、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、高温端部32及び低温端部30を有し得て、又は中間高温ゾーン32を備えた二つの低温端部30を有し得る。セラミック29によって支持されたデバイス10を有する代わりに、このアノード支持バージョンでは、アノード材料を支持構造として使用する。アノード構造内には、燃料通路14及び空気通路20が対向して提供されている。空気通路20は電解質層28で覆われていて、そしてカソード層26で覆われている。化学気相成長を使用して内部層を堆積させることができ、又は粘性ペーストの溶液を使用する。
図40A及び図40Bは、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10のアノード支持バージョンの他の実施形態を示す。本実施形態では、個別の開放燃料通路14が無くなっていて、多孔性アノード24が燃料通路14aとしても作用する。更に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、デバイス10の側面から燃料が流出するのを防止するために、ガラスコーティング又はセラミックコーティング等の障壁コーティング60でコーティングされている。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、関連する電解質28及びカソード26と共に必要に応じた数の空気通路14をアノード構造内に有し得る。図40Bに示されるように、燃料供給源34からの燃料は、燃料通路14として作用する多孔性アノード24を介して第1の端部11aの中へ強制的に通され、電解質層28及びカソード26を通過して空気供給源36からの空気と反応した後、使用済みの空気及び燃料が、空気アウトレット22から出て行く。
図41Aに概略的な端部断面図で、また、図41Bに概略的な水平断面図で示される他の実施形態では、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、アノード支持構造内に提供されている複数の空気通路20と、これらの複数の空気通路20に対して直角な単一の燃料通路14であって、燃料を燃料供給源34から単一の燃料インレット12を介して複数の空気通路20へ供給するための単一の燃料通路14とを含み得る。この場合も、空気通路20は、最初に電解質層28で覆われ、次にカソード26で覆われる。燃料は、単一の燃料通路14からアノード構造24、電解質28及びカソード26を通過して空気通路20の中で空気と反応し、空気アウトレット22から使用済みの燃料及び空気が出て行く。使用済みの燃料は、障壁コーティング60を含まないFuel Cell Stick(商標)デバイス10の側面(このコーティングされていない側面は、デバイス10の単一の燃料通路14の配向とは反対側に配置される)からも除去可能である。
アノード支持構造に関連する実施形態では、その構造は本質的に、カソード支持構造になるように逆にすることができることは理解されたい。電解質層28及びアノード層24でコーティングされた燃料通路14は、カソード構造内に提供される。また、個別の空気通路20又は複数の空気通路20を提供することもでき、又はカソード26の多孔性を空気流のために使用することができる。
図42A〜図42Cは、空気通路20及び燃料通路14内に電極を形成するための方法を示す。一例として燃料通路14及びアノード24を取り上げると、未焼結セラミックの層及び金属テープ層を使用して一層ずつ未焼結構造を積み重ねたり、メタライゼーションを印刷したりする代わりに、本実施形態では、電極のないFuel Cell Stick(商標)デバイス10が最初に構築される。言い換えると、未焼結セラミック材料を使用してFuel Cell Stick(商標)デバイス10の電解質28及びセラミック支持部分29が形成され、また、有機材料を使用して燃料通路14等の通路が形成される。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10を焼結した後に、燃料通路14にアノードペースト又は溶液を充填する。このペーストは、印刷インキの場合のように濃くすることも、あるいは高濃度水溶液の場合のように薄くすることも可能である。アノード材料は、真空による吸込み、毛細管力、空気圧による強制等の所望の手段によって燃料通路14に充填可能である。
代わりに、図42A〜図42Cに示されるように、アノード材料を溶液中に溶解して、燃料通路14に流し込み、そして、沈殿させる。例えば、pH変化によってアノード粒子を沈殿させ、溶液を取り除くことができる。他の代替例では、単純にアノード粒子を沈殿させ、そして、液体を乾燥させるか、又は燃料通路14から焼き出すこともできる。この沈殿は、例えば低粘性によって長期間にわたって粒子を懸濁状態に維持しないインキ又は液体キャリアを生成することによって達成することができる。また、遠心分離機を使用して沈殿を強制することも可能である。遠心分離機は、容易に、ほとんどの粒子を燃料通路14の一表面に優先的に沈殿させることができ、それによって、電極材料を節約して、燃料通路14の一方の表面のみが電解質として作用することを保証する。
図42Aに示されるように、アノード粒子含有溶液66は、図42Bに示されるように、通路14が完全に充填されるまで燃料通路14内に引き込まれる。そして、図42Cに示されるように、粒子は通路14の底に沈殿し、アノード層24が形成される。溶液66の注入は、通常の毛細管力と比較して、重力、真空又は遠心分離機によって加速することができる。一例としてアノード24及び燃料通路14を使用したが、勿論、これらの代替実施形態では、カソードペースト又は溶液と共に使用して空気通路20の中にカソード層26を生成することもできる。
他の代替例では、セラミック電極材料(アノード又はカソード)を液体ゾル・ゲル状態で通路(燃料又は空気)内に注入し、そして通路の内側に堆積させることができる。また、例えば液体中における所望の電極材料の濃度が低い場合や、特性の勾配を電極に提供する場合(例えば、電解質に近い電極のYSZの量を、電解質から遠い電極のYSZの量と異ならせる場合等)や、異なる材料の複数の層を一緒にすることが望ましい場合(良好な導電性のために、電解質の近くにLSM製のカソードを置き、次にLSMの頂部の上方に銀を置くことが望ましい場合等)等に、充填動作を複数回にわたって繰り返すことも可能である。
セラミック球つまりボールを使用して構造的な支持を空気通路20及び燃料通路14に提供する図7C及び図7Dをもう一度参照すると、セラミック粒子を使用して有効表面積を広くして、反応エリアをより広くすることもできて、より大きな出力が得られる。電極層を加える前に、超微細セラミックボールつまり粒子を燃料通路14及び空気通路20の内側に使用することができる。図43に概略的な垂直断面図で示されるように、表面粒子62は通路14を覆って、電極層を受け入れるために利用可能な表面積を広くする非一様なトポグラフィを電解質層28に提供する。そして、非一様なトポグラフィの上方にアノード24が加えられ、表面粒子62の全周囲をアノード材料がコーティングすることによって、反応エリアを広くする。
図44に概略的な垂直断面図で示される代替実施形態では、非一様なトポグラフィすなわち織り目加工された(テクスチャ化された)表面層64が提供されるように、電解質層28に付与されるV字形パターンを有する微細グレーディングに対する未焼結電解質層の押し付け等によって電解質層28を積層することができる。電解質層28が焼結されて、セラミック及び織り目が付けられた表面層64が凝固した後に、反応エリアが広いアノードを提供するために、図42A〜図42Cに関連して上述した充填プロセスの使用等によってアノード層24を加えることができる。
図45A及び45Bは、本発明の更に他の実施形態を示す。図45Aは、空気通路及び燃料通路を通る空気及び燃料の流れと、電極の配置とを示す概略的な上面図であり、図45Bは、高温ゾーン32に沿った断面図である。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、その長さ方向に沿って左側80及び右側82に分割されていて、それらの間に中間すなわち架橋部分84を備える。複数の空気通路20LがFuel Cell Stick(商標)デバイス10の第一の端部11aから左側80を通ってその長さ方向に沿って延伸し、第二の端部11bに隣接する左側80から出て行き、また、複数の空気通路20Rが第一の端部11aから右側82を通ってその長さ方向に沿って延伸し、第二の端部11bに隣接する右側82でFuel Cell Stick(商標)デバイス10から出て行く。空気通路20Lは、図45Bに最も良く示されるように空気通路20Rからずらされている。複数の燃料通路14LがFuel Cell Stick(商標)デバイス10の第二の端部11bから左側80を通ってその長さ方向に沿って延伸し、第一の端部11aに隣接する左側80から出て行き、また、複数の燃料通路14Rが第二の端部11bから右側82を通ってその長さ方向に沿って延伸し、第一の端部11aに隣接する右側82から出て行く。燃料通路14Lは、燃料通路14Rからずらされている。更に、一つの燃料通路及び一つの空気通路を除き、各燃料通路14Lは、一つの空気通路20Rと対をなしその空気通路20Rから若干ずらされていて、また、各空気通路20Lは、一つの燃料通路14Rと対をなしその燃料通路14Rから若干ずらされている。燃料通路14L及び空気通路20Rのずらされた各対に対して、メタライゼーションが各燃料通路14Lに沿って左側80から右側82へ延伸していて、右側82では、メタライゼーションは、若干ずらされた空気通路20Rに沿って延伸している。同様に、燃料通路14R及び空気通路20Lのずらされた各対に対して、メタライゼーションが各空気通路20Lに沿って左側80から右側82へ延伸していて、右側82では、メタライゼーションは、若干ずらされた燃料通路14Rに沿って延伸している。メタライゼーションが燃料通路14L又は14Rに沿って延伸している場合、メタライゼーションは、アノード24L又は24Rとして作用し、また、メタライゼーションが空気通路20L又は20Rに沿って延伸している場合、メタライゼーションは、カソード26L又は26Rとして作用する。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の架橋部分84では、メタライゼーションがどの空気通路又は燃料通路に沿っても延伸しておらず、そのメタライゼーションは、アノードとカソードとの間のブリッジ90として単純に作用する。本発明の一実施形態では、メタライゼーションは、アノード24L又は24R、ブリッジ90、カソード26L又は26Rがそれぞれ同じ材料を備えるように、その長さ方向に沿って同じ材料を備えることができる。例えば、メタライゼーションは、それぞれ、アノード又はカソードのいずれかとして良好に機能する白金族金属を備えることができる。代わりに、メタライゼーションは異なる材料を備えることができる。例えば、カソード26R又は26Lは、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM,lanthanum strontium manganite)を備えることができる一方、アノード24R又は24Lは、ニッケル、NiO又はNiO+YSZを備える。ブリッジ90は、パラジウム、白金、LSM、ニッケル、NiO又はNiO+YSZを備えることができる。本発明には、カソード若しくはアノード又はそれらの間の架橋材料としての使用に適した材料の組み合わせやタイプが考えられ、本発明は、上記特定の材料に限定されるものではない。
燃料通路14Rは、露出した外部アノード25を提供するためにFuel Cell Stick(商標)デバイス10の右側の縁まで延伸している関連するアノード24Rと共に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の一方の側(ここでは右側82に示される)に提供されている。この燃料通路14Rに関連するずらされた空気通路20Lは存在せず、また、アノード24Rが左側80へ延伸する必要はない。図45Aに示されるように、外部コンタクトパッド44は、露出したアノード25の上方に加えられて、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の長さ方向に沿って低温ゾーン30内へ延伸している。そして、ワイヤ42及びはんだ接続46によって負の電圧ノード38をコンタクトパッド44に接続することができる。図示されるように、アノード24Rは、高温ゾーン32を横切って右側の縁まで延伸し得るが、使用される電極材料の量を少なくするために、小さなタブ部分まで延伸することも可能である。また、アノード24Rは、燃料通路14Rの長さ方向に沿ってFuel Cell Stick(商標)デバイス10の右側の縁まで延伸し得るが、このような実施形態では、不必要な電極材料の使用が必要になる。
同様に、単一の空気通路20Lは、露出したカソード27を形成するためにFuel Cell Stick(商標)デバイス10の左側まで延伸している関連するカソード26Lと共に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の他方の側(ここでは左側80に示される)に提供されている。この空気通路20Lは、ずらされた燃料通路14Rに関連せず、カソード26Lが右側82へ延伸する必要はない。コンタクトパッド44は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の左側80の外側に沿って、露出したカソード27から低温端部30まで加えることができ、そこで正の電圧ノード40をワイヤ42及びはんだ接続46を介してコンタクトパッド44に接続することができる。
図45Bには、単一の燃料通路14R及び関連するアノード24Rが右側82の一番上に示されている一方、単一の空気通路20L及び関連するカソード26Lは、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の左側80の一番下に示されている。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、単一の燃料通路14R及びそれに関連するアノード24Rと同様にずらして、空気通路20L及び関連するカソード26Lを左側80のデバイス10の一番上に提供することも可能であるが、メタライゼーションは、左側80から架橋部分84を通って右側82まで走らない。むしろ、アノード24Rがカソード26Lから電気的に分離されるように、ブリッジ90が存在しない。二つの独自の空気通路スタック及び二つの独自の燃料通路スタックを単一のFuel Cell Stick(商標)デバイス10内に備え、電池が直列に接続されたFuel Cell Stick(商標)デバイス10を提供することのできる追加構成が考えられる。図45A及び図45Bに示される実施形態は、電流を上げずにに電圧を上げる一方で、低抵抗を維持する利点を有する。更に、本実施形態は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10内に高密度を提供する。
図46A及び46Bは、代替実施形態をそれぞれ概略的な斜視図及び概略的な断面図で示す。これまでの実施形態(例えば図37)には、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の外面又は縁に沿って、高温ゾーン32から一又は複数の低温ゾーン30まで外部帯状体が提供されていて、電子が低温端部まで移動するための低抵抗経路を提供していた。図46A及び図46Bの実施形態では、デバイス10の側面又は縁に沿った帯状体の代わりに、アノード24への外部接続のためのコンタクトパッド44が、一方の側面と、頂部表面及び底部表面のうち一方とに沿って加えられていて、また、カソード26への外部接続のための他のコンタクトパッド44が、反対側の側面と、反対側の頂部表面及び底部表面のうち一方に沿って加えられている。従って、電子が、電子が移動するための大きな又は幅の広い経路を有していることによって、更に低い抵抗が提供される。二つの隣接する表面に加えられるこれらの大きなコンタクトパッド44は、本明細書において説明される全ての実施形態において使用することができる。
図47は、熱交換原理を利用しているFuel Cell Stick(商標)デバイス10の更に他の実施形態を概略的な垂直断面図で示す。加熱された空気及び燃料が高温ゾーン32のアクティブゾーン33b(つまり、高温ゾーン32の一部であって、アノード24がカソード26と対向していて、それらの間に電解質28を備えている部分)を通過した後、燃料通路14及び空気通路20が、単一の排気通路21に結合されている。非反応燃料は、加熱された空気と結合すると燃焼して、追加の熱を生成する。排気通路21は、アクティブゾーン33bに隣接している低温ゾーン30に向かって戻り、排気(使用済み燃料及び空気)の流れる方向は、隣接する燃料通路14及び空気通路20に流入する燃料及び空気の方向とは逆方向である。排気通路21の中で生成される追加の熱は、流入する燃料及び空気を加熱するために隣接する通路14、20に伝達される。
図48A〜図48Cは、図48Aに示されるように、薄い部分404よりも厚い厚さを有する厚い部分402を有する“エンドロールFuel Cell Stick(商標)デバイス”400を示す。燃料インレット12及び空気インレット18は、厚い部分402の端部に位置している第一の端部11aに隣接して配置されている一方、図示されていないが、空気アウトレット及び燃料アウトレット(16、22)は、薄い部分404の端部に位置している反対側の第2の端部11bに隣接して、デバイス400の側面に提供され得る。厚い部分402は、機械的強度を提供するのに十分厚くなければならない。これは、隣接する燃料インレット12及び空気インレット18の周りに厚いセラミック29を提供することによって達成することができる。薄い部分404は、アクティブゾーン33b(図示せず)を含み、そのアクティブゾーン33bは、カソード(図示せず)と対向するアノード(図示せず)を含み、それらの間に電解質(図示せず)を備える(これまでの実施形態の場合と同様に)。薄い部分404は、図48Bに示されるように、未焼結(非焼成)状態にある間に巻くことができるのに十分薄くなければならない。薄い部分404を所望のきつさで巻いた後、デバイス400が焼成される。そして、巻かれた薄い部分404を加熱して反応を生じさせることができるようになる一方、厚い部分402は、他の実施形態で説明したように低温端部である。エンドロールFuel Cell Stick(商標)デバイス400は、薄い部分404を巻くことによって小さな空間に適合可能な広い表面積のデバイスである。更に、薄い部分404のアクティブゾーン(33b)の断面が薄いため、セラミックに沿った熱伝達が低下して、良好な温度サイクル性能が得られる。
アノード24及びカソード26がアクティブ(反応)ゾーン32及び/又は33bのFuel Cell Stick(商標)デバイス10の縁(側面)で露出している実施形態の場合、デバイス10の頂部のセラミック29は、アクティブゾーン32及び/又は33bのエリアでリセスされ得る。これによって、電気接続するために頂部からカソード26及びアノード24の両方にアクセスすることができる。そして、高温ゾーンチャンバ/炉の外部への接続を提供するために、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の頂部表面に沿って、アクティブゾーン32及び/又は33bから一又は複数の低温ゾーン30まで、コンタクトパッド44(例えばメタライゼーション帯状体)を加えることができる。
Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が、対向する端部11a、11bに二つの低温ゾーン30を含み、中央に高温ゾーン32を含む他の実施形態では、一又は複数のアノード24、及び/又は、一又は複数のカソード26のための一又は複数のコンタクトパッド44(例えばメタライゼーション帯状体)を、例えば、図36Bに示されるように、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の高温ゾーン32から両方の端部11a、11bに向かって延伸させることができる。そして、これらの一又は複数のアノード24及び一又は複数のカソード26の各々に対する二つの別々の電気接続を実施することができる。非制限的な一例として、一つの接続セットを使用して、電池から出力される電圧をモニタリングすることができ、一方で、他の接続セットは、負荷を接続して電流を流すことができる。電池自体で電圧を個別に測定する性能には、電池から出力される総電力に対するより良いアイディアが得られるという利点がある。
コンタクトパッド44(例えばメタライゼーション帯状体)には、当業者に知られている適切な導電性材料を使用することができる。例として、銀、LSM及びNiOが挙げられる。材料の組合せを使用することもできる。一実施形態では、高温ゾーン32のFuel Cell Stick(商標)デバイス10の表面に沿って非貴金属材料を使用することができる。高温ゾーンチャンバ/炉の大気が酸化している場合、例えばLSMを使用することができる。高温ゾーンチャンバ/炉の大気が還元している場合、例えばNiOを使用することができる。しかしながら、いずれの場合においても、材料が高温ゾーンチャンバ/炉の外側に延伸している場合には、非貴金属材料は導電性を失うので、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が高温ゾーンチャンバ/炉から出て行く直前において、メタライゼーション材料を貴金属又は耐食性材料に移行させなければならない。銀ペーストは便利な貴金属材料である。更なる説明として、LSM等の特定の材料は、温度が反応温度から室温まで降下すると非導電性になり、また、ニッケル等の他の材料は、デバイス10の低温端部30で空気に露出されると非導電性になる。従って、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の低温端部領域30のコンタクトパッド44用のメタライゼーション材料は、空気(つまり非保護性大気)中及び低温で導電性でなければならない。銀等の貴金属は、温度/大気移行エリア全体で動作して、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が高温ゾーンチャンバ/炉から出て行く前に、メタライゼーション材料を貴金属に移行させることができるようにする。材料の組合せを使用することによって、低温ゾーン30に対する高温ゾーン32内のコンダクタンスの特定の要求に基づいて材料を選択することができ、また、使用される高価な貴金属の量を減少させることによってコストを下げることができる。
図49A〜図49Cに示されているように、未焼結層を積み上げるプロセスの間に、ワイヤ92又は他の物理構造がデバイスの中に配置され(図49A)、次に、所定の位置にワイヤ92を備えた状態でこれらの層が積層され(図49B)、次に、積層後にワイヤ92が除去される(図49C)。例えば、ガスフロー通路14、20がFuel Cell Stick(商標)デバイス10の高温ゾーン32(反応領域)に入る前に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が数インチの長さを有することができる燃料又は空気の入口点において、これが有用である。通路を形成するプロセスにおいてゆっくりと焼き出さなければならないポリマーを印刷する代わりに、ワイヤプロセスを使用することによって、焼き出しの課題をFuel Cell Stick(商標)デバイス10のその部分から排除することができる。非制限的な例として、容易に引っぱり出すことができる直径0.010インチのワイヤ92を使用することができる。また、ワイヤ92を平らに巻いて、ワイヤと同様の体積を有するが、断面がより短いリボン状の物理的構造を形成することもできる。リボンは、より広い表面積を有しているので、その表面に離型剤を加えることにより、積層中、セラミック層への粘着を避けることができる。従って、“ワイヤ”という用語には、断面が円形であれ、楕円形であれ、正方形であれ、あるいは矩形等であれ、細長い多様な物理的構造を広義に含むものである。
図50A〜図50Cは、1層Fuel Cell Stick(商標)デバイス10用の入口チャネルを形成する一例を示す。本例では、ギャップ形成テープ94(例えばポリマーテープ又はワックステープ)を使用して燃料通路14及び酸化剤通路20全体を形成する代わりに、ギャップ形成テープ94は、アクティブゾーン33b、つまりアノード24及びカソード26が対向して配置され、それらの間に電解質28を備えた領域にのみ使用されている。燃料通路14及び酸化剤通路20が、関連した対向アノード24及びカソード26を有していない非アクティブ領域では、ギャップ形成テープ94の代わりにワイヤ92が使用されている。図示されるように、ワイヤ92及びギャップ形成テープ94によって形成される通路14、20が、インレット12、18からアウトレット16、22(図示せず)まで連続するように、ワイヤ92は、ギャップ形成テープ94に接触しているか、又は重畳する。
このワイヤコンセプトの使用は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が複雑になるほど、有用になり得て、例えば、多層Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(例えば50層)の複雑な焼き出しの課題を単純化することができる。これは、一部には、特に複雑な構造におけるバインダ除去のための課題は、バインダ焼き出し生成物をそれらが生成される場所から(ポリマーが分解する場所から)Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の外部へ移動させなければならないことによるものである。しかしながら、ワイヤ92が構造から引っぱり出された後、このボイドに沿った経路には、何も存在していない。ワイヤ92(又は他の適切な物理的構造)を複雑な構造にし、かつ、引っぱり出すことができる場合、それによって生成されるボイドのため、焼出し生成物用の構造内部の多くの領域は、その構造の外部への経路を速やかに見出すことができる。
ワイヤコンセプトの他の有用な目的は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10内の圧力分布を補助することである。単一のチューブがFuel Cell Stick(商標)デバイス10に空気又は燃料を供給している場合、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10内部の多くの通路/チャネルに沿って異なる流量が存在し得る。例えば、50個のアクティブ層に対応する50個の空気通路20がFuel Cell Stick(商標)デバイス10内に存在している場合、若干大きな断面積を有する一つの通路と、若干小さな断面積を有する一つ通路が存在し得る。これは、ギャップ形成材料の寸法のランダムな変化によって生じ得る。一つの解決策は、各層からの出口の断面積を制限することである。これらの断面積が等しくなるように、各層からの出口点の断面を正確に作ることができる場合、出口点の断面積がフローチャネルの面積より小さい場合、また、全ての出口点の面積が入口チューブの断面積より小さい場合、流れは各層で等しくなる。これは、ガス及び流体の流れの実用性に対応している。ワイヤコンセプトがこの解決策を可能にする。各層の出口点において、外界へのガスの最終通路を構築するために、ワイヤ92が挿入される。50層の場合、50本の短いワイヤ片が挿入される。それらが引っぱり出されると、各層が正確な出口寸法を有する(例えば、直径5ミルの通路)。
従って、本発明には、各層の出口点の断面積がフロー経路の断面積自体より小さい多層Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が考えられる。本発明には、更に、各層の出口点が所定の位置で正確に同じ断面積を有するように、各層の出口点が正確に機械加工される多層Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が考えられる。また、本発明には、更に、一緒にされる全ての出口面積が入口の断面積より小さい多層Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が考えられる。これらの実施形態では、出口点の断面積は、層のアクティブ部分の端部を越えるが、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の端部出口点の前のフロー経路内の位置に存在するものとして画定されている。言い換えると、フロー経路内のこのネックダウン点は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10からの出口点に正確に存在する必要はなく、アクティブエリアから下流側のどこかにある。
これまでの実施形態では、高温ゾーン32及び高温ゾーンチャンバについて考察してきた。高温ゾーンチャンバは、炉と称することも可能である。低温ゾーン又は低温端部領域30は、炉の外側に配置されている。移行ゾーン31は、炉の内側の領域に隣接するFuel Cell Stick(商標)デバイス10の領域である。図51に示されるように、炉壁96は、全厚さTを有している。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、この炉壁96を貫通している。炉壁96内におけるFuel Cell Stick(商標)デバイス10の長さは、寸法Xであり、厚さTに等しい。炉壁96を貫通する際のFuel Cell Stick(商標)デバイス10の幅は寸法Yである。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の厚さは寸法Zである。この実施形態については、ZはY以下である。
本発明の一実施形態によると、最適条件のためには、炉壁の厚さTは、炉壁96を貫通する際のFuel Cell Stick(商標)デバイス10の幅Yより大きくなければならない。TがY未満だと、炉壁96を通過する際のFuel Cell Stick(商標)デバイス10に対する応力が高くなり過ぎて、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10がひび割れる可能性がある。
図52A〜図52Cに示される他の実施形態では、寸法Lは、炉壁96を貫通する部分におけるFuel Cell Stick(商標)デバイス10、(100、200、300又は400)のデバイス10の長さ方向に対して横方向の平面(つまり、Y−Z平面)における最大寸法である。矩形のFuel Cell Stick(商標)デバイス10(100、400)の場合、最大寸法Lは、図52Bに示されるように対角線であり得る。チューブ状Fuel Cell Stick(商標)デバイス200、300の場合、最大寸法Lは直径であり得る。最適条件のためには、寸法は、T≧(1/2)Lになるようにしなければならない。
壁の厚さTは、一つの一様な材料(絶縁体)98からなり得る。代わりに、図53に示されるように、壁の厚さTは、、三つの絶縁層98a、98b、98c等の複数の段階的な絶縁層からもなり得て、熱伝達特性が各層で最適化されて、考えられる最良の温度移行結果が得られるようにする。多層炉壁96’の場合、一緒にされる全ての層の全厚さTは、Yよりも大きく、及び/又は、(1/2)L以上にしなければならないが、炉壁96’の一つの層の厚さは、Y未満及び/又は(1/2)L未満であってもよい。
図54に示される他の実施形態では、多層炉壁96”が、エアギャップ120によって分離できる複数の絶縁層98a、98cとして提供される。この設計の場合、高温ゾーン32の近傍に高温絶縁層98cが存在し得て、また、低温ゾーン30の近傍に低温絶縁層98aが存在し得る。そして、二つの絶縁層98aと98cの間に、中間(中央)温度ゾーンが存在して、例えば移行ゾーン31又は予熱ゾーン33aに対応する。この実施形態は、炉の最も熱いエリアを広くせずに、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10に流入する空気用のより長い予熱エリアを可能にする。この実施形態では、炉壁96”の一つの層の厚さを、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10のY寸法未満、及び/又は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が炉壁96”を貫通する際の(1/2)L未満にすることができる。しかしながら、層98a及び98c並びにエアギャップ120を含む炉壁96”の全寸法Tは、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10のY寸法より長く、及び/又は、1/2L以上になる。本実施形態には、さらに、二つよりも多くの絶縁層が考えられる。
上記考察は、アノード及びカソードなしのFuel Cell Stick(商標)デバイス10を最初に製造し、次に、後でこれらのエレメントを充填するというアイディアである。そのようにする理由は、特定のアノード材料又はカソード材料の濃度がZrの焼結温度で濃くなり過ぎることがあり、濃くなり過ぎると、良好な反応が得られないことによる。あるいは、より一般的に言うと、システムの異なる構成要素を同じ温度プロファイルで最適に焼結させたくない場合に、充填が必要となり得る。
しかしながら、アノード又はカソードの頂部の上に集電体を提供することはより困難である。後述の図55A〜図55Eに示されるような集電体122は、アノード又はカソードの表面部分として配置された高密度電極になることが当業者に知られている。集電体122は、通常、微細ワイヤのように、高導電性の層又はマトリクスであり、電子を収集て、必要とする場所へ移動させることができる。集電体122は、NiOやLSM、又は他の低コスト材料で製造することができ、さらには高価な電極であってもよい。アノード及びカソードを形成するための充填プロセスに続いて、一様な方法で集電体を正確に配置することは困難である。しかしながら、集電体の課題は、アノード又はカソードの課題とは異なる。アノード及びカソードについては、多孔性にすることが望ましく、過剰焼成の危険を伴う一方、集電体は稠密であることが望ましく(良好な導電率のために)、可能性としては、Zrと共に共焼成可能である。集電体122は、充填の前に、電解質28の上に置くことができて、集電体がアノード及びカソードの下方に存在して、電解質28と接触するようになるが、この構成は、電解質28の上のアクティブエリアをブロックして、アクティブエリアが不必要に無駄になる。
本発明の一実施形態によると、図55A〜図55Eに示されるように、集電体122は、それらがFuel Cell Stick(商標)デバイス10内の空間にフローティングするように配置されて、共焼成される。これは、図55Aに概略的に示されるように、第一の犠牲有機層72a(例えばポリマー)の頂部の上に集電体122を印刷し、次に、第二の犠牲有機層72b(例えばポリマー)を集電体122の頂部の上方にコーティングすることによって達成することができる。従って、集電体122は、図55Bに示されるように、二つの犠牲有機層72aと72bとの間に挟まれている。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の構築は、図55Cに示されるように、犠牲層/集電体構造をセラミック支持構造29内に配置し、次に、図55Dに示されるように、焼結させることによって犠牲有機層72a、72bが消滅して、ギャップ123を形成して、そのギャップ123内の空間に集電体122をフローティングさせることを含む。次に、多孔性アノード又はカソードをギャップ123内に簡単に充填することができて、アノード又はカソードの形成を完成させる。上述のような支柱54を使用することによって、図55Eに示されるように、フローティング集電体122を支柱54の上に載せることも可能であり、機械的な支持を提供したり、又は位置を標準化する。これを達成するために、ポリマーの第1の犠牲層72aの中に周期的なビアホール又は小さなギャップを生成し得て、集電体材料が周期的に孔の中に印刷されるようにする。バインダの除去の後に、この充填された孔が支柱54になる。代わりに、犠牲ポリマーギャップ材料内に酸化ジルコニウムボールを加えることもできる。犠牲ポリマーが溶解すると、図56A及び図56Bに示されるように、これらのボールに集電体122が粘着し、また、これらのボールがセラミック支持構造29に粘着して、支持体が提供される。次に、図57A及び図57Bに示されるように、多孔性アノード24又はカソード26を空間の中に充填することができ、その中に電極粒子が124が充填用の粘性液126の中で保持され、次に、デバイスが乾燥されて、粒子が沈殿し、焼結されて、アノード24又はカソード26が形成される。アノード粒子又はカソード粒子は、そうすることが有用である場合、一方の面に選択的に堆積可能である(重力によって、又は遠心分離機によって)。
印刷ハッチラインを使用している集電体スタイルの場合、空気通路14又は燃料通路20のギャップ寸法にある程度の変化が存在することがあり、通路が集電体122によって締め付けられるか、又は遮断されることになる。この変化は、焼結中のランダムな寸法変化によって生じる。図58A〜図58Cは、通路14、20をほぼ遮断している集電体122の一例を示す顕微鏡写真である。通路14、20の目標は、クリアな流れを有することである。通路をより大きくすることは可能であるが、そのためにFuel Cell Stick(商標)デバイス10の密度が不必要に減少する(通路が厚いほど、また、層が厚いほど、多層デバイスの出力密度が小さくなる)。本発明の一実施形態によると、通路14、20が集電体122で遮断される可能性を下げるために、集電体のラインを多孔性アノード24及びカソード26内部に埋め込むことができる。図59は、アノード24及びカソード26の表面の集電体122を示し、図60は、アノード24及びカソード26の表面に埋め込まれた集電体122を示すが、これらの図59及び図60に示されるように、集電体122が多孔性アノード及びカソード24、26の厚みの中に埋め込まれると(又はアノード/カソード内に実質的に埋め込まれると)、集電体122がガス流の経路を遮断し難くなる。図69は、多孔性アノード又はカソードの中にリセスされた実際の集電体トレースを示す。
図61A〜図61Cは、集電体122を埋め込む方法を示す。最初に、集電体122が一時基板128の上に分配又は印刷される。次に、ペーストの印刷又は電極粒子124を含有する粘性液126の充填及び乾燥等によって、この集電体122を電極材料で覆う。最後に、一時基板128を除去する。一時基板128は、乾燥後の電極材料への接着が緩いプラスチック片であり得て、乾燥したプラスチック・オン・電極を引っくり返してプラスチックを剥がすことができる。スタック内に挿入されるギャップ形成テープ94の上に集電体122及びアノード/カソード24、26を置くことによって、同一又は同様の結果を達成することができ、焼き出し及び焼結中にギャップ形成テープ94が消滅して、同じ最終結果となる。
集電体122の頂部の上方にアノード24又はカソード26を印刷する場合、集電体122に多少溶解して広がる傾向があると、溶解度が異なる材料を使用することができる(極端な場合、集電体122は、極性溶媒中に溶解可能な樹脂材料を含有することができ、多孔性電極インキは、非極性溶媒中に溶解可能な樹脂材料を有することができる)。集電体122の過剰な広がりは、多孔性アノード24又はカソード26中へのガスの拡散を抑制するように働くため、この広がりを制限することが望ましい。従って、集電体122のある程度の広がりが生じる可能性があるが、集電体122の少なくとも一部を、多孔性材料内に埋め込むことが望ましい。従って、本発明には、燃料通路14又は空気通路20中への集電体122の突出を減じるために、集電体122の或る部分が多孔性アノード24又はカソード26の中にリセスされている集電体経路が考えられる。
多層Fuel Cell Stick(商標)デバイス10のアクティブゾーン33bでは、電解質28を可能な限り薄くし、例えば10μmにすることが好ましい。しかしながら、超薄型の電解質の場合、デバイスの空気側と燃料側の間に漏れを有する可能性が高くなる。より薄い電解質ほど、より大きな電力を提供することができるが、薄過ぎると、ひびや漏れが生じて、層からの電力がゼロになる。本発明の一実施形態によると、アクティブゾーン33bの電解質28の最小許容厚さに対する重要な点は、アノード及びカソードの厚さも全厚さにも寄与していて、全体的な強度にも寄与している点である。非限定的な単なる一例として、ひび割れを防止するために100μmの厚さが望ましく、また、アノード24及びカソード26がそれぞれ45μmである場合、厚さ10μmの電解質で良好に動作する。(45+45+10=100)。
多層Fuel Cell Stick(商標)デバイス10のパッシブエリア(対向するアノード及びカソードが存在しないエリア)では、異なる厚さが必要とされる。このパッシブエリアは、空気及び燃料の分配に関与する。これは、重畳する空気分配通路及び燃料分配通路として多くの図面に示されている。ここで要求されるのも、ひび割れを防止するために特定の厚さを有することであるが、アノード24及びカソード26が存在せず、ここでは、セラミック29をアクティブゾーン33bのセラミック電解質層28よりも厚くしなければならない。従って、上記例では、パッシブエリアのセラミック29は100μmでなければならない一方、アクティブゾーン33bのセラミック電解質層28は、10μm等より薄くなり得る。
本発明の一実施形態によると、二つの厚さのセラミック電解質28、29の個々の層を達成するための方法が提供されて、つまり、パッシブガス通路エリア内のより厚いセラミック29と、アクティブゾーン33b内のより薄いセラミック電解質28とである。図62〜図62Aに示されるこの方法には、パッシブガスフロー領域にセラミック29を生成するために三片のセラミックテープ130が使用され、対向するアノード24とカソード26との間のセラミック電解質28として作用するために、二つのテープ片130a、130cの端部と、中央のテープ130bのみとがアクティブゾーン33bの中へ続いている。
上記の多くのアイディアは、低温接続用に炉から出ている細長い構造の文脈において示されている。しかしながら、これらアイディアの多くは、炉から出ていない及び/又はプレート形状等を有する多層燃料電池デバイスに使用することもできる。本発明において達成可能なデバイスの密度は、他の燃料電池デバイスや、接続が炉の中の熱い燃料電池デバイスに対して為されているシステムでも達成することができる。例えば、他の燃料電池デバイスにおいて使用可能である本願開示のコンセプトには、ポリマーテープ、丸いボールが充填されたポリマーテープ、出口通路又は入口通路を形成するのに使用されるワイヤ、二つの電極に対して作用する1つの通路、パドル状デバイス、重力又は遠心分離機を使用することによっての一方の面に向かう電極懸濁液の乾燥、終端用のサイドギャップ、及び直列設計が含まれる。
集電体122は、電極(アノード24及びカソード26)の中で生成又は消費される電子が負荷(電圧ノード38、40)へ向かう途中で低抵抗経路内を移動することを可能にする目的を有する。最適な電極設計は極端に導電性というものではなく、というのも、複数の事柄が同時に発生することを許容しなければならないためであり、即ち、ガスを流すための細孔が存在し、酸素イオンを電解質に向けて流すためのセラミックが電極中に存在し、そして、電子を流すための電子伝導体が存在している。細孔及びセラミックの存在は、電極全体が、それが電子伝導体のみでできている場合よりも高い抵抗を有することになることを意味する。
電子が解放されると、解放された電子が高導電率経路上を移動することを可能にすることが重要になる。集電体用の既存の設計は、導体から電解質セラミックを除去することに基づいているが、依然として多孔性が残っている。そのため、より導電性の高い層が生成される。これは、アノード又はカソード全体にわたって印刷される。多層構造におけるこの設計の欠点の一つは、焼結後にアノード/カソード材料を加えなければならない場合、上述のように、二つの別々の層の生成が困難になり得ることである。集電体を共焼成する利点については、上述した。
本発明の一実施形態によると、高密度導体材料(つまり、アノード24又はカソード26全体にわたって印刷されると反応を禁止することになるように、ほとんど又は全く多孔性ではない)を備えて、ハッチパターンで印刷される集電体122を使用することができる。一実施形態では、集電体は、直線パターン(ハッチパターンとも称される)で印刷され、ガスを浸透させるための開放空間がハッチマーク間に残される。多孔性アノード24及びカソード26中におけるガス浸透性は、ハッチライン間の多孔性材料に流入するガスが、ハッチラインの下方も流れるようにされる。ラインからラインまでのピッチを変化させ、また、ライン幅自体を変化させることによって、最適な幾何学的形状を見つけることができる。例として、0.006インチのライン幅、0.030インチのラインピッチを使用することができる。図63は、ハッチパターンを備えた集電体122の上面図を示す。図64は、多孔性アノード又はカソードの上方の集電体122の側面図を示す。図65は、上から下の順に、集電体ハッチ、頂部多孔性電極、電解質、底部電極(破砕のため、電解質から突出している)を示す、角度が付いた図を示す。また、アクティブエリアが大きくなると、異なる領域でライン幅を変化させることもできる。細い導体ラインをより太い導体ラインに送り込み、また、より太いラインを更に太い導体ラインに送り込むことができる。
上記では、燃料供給源34及び空気供給36をFuel Cell Stick(商標)デバイス10に接続するためのフレキシブル供給チューブ50について説明した。供給チューブ50を開いて引き伸ばすことによって、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の端部11a、11bの一方に被らせることできる。接着剤を使用してチューブを定位置に保持することができる。本発明の一実施形態による代替案は、図66A〜図66Bに示されるように、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が供給チューブ50を定位置に機械的に保持することができるように、両側にくぼみ132を備えたFuel Cell Stick(商標)デバイス10の端部11a(及び/又は11b)を形成することである。これは、ルータ又はエンドミルでFuel Cell Stick(商標)デバイス10を機械加工することによって、未焼結状態で最も簡易に達成される。
これに基づいて、図67A〜図67Bにそれぞれ概略的な水平断面図、概略的な斜視図で示されるように、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の端部11a(及び/又は11b)にクランプすることができるコネクタ134を使用することもできる。コネクタ134は、集積された電気コンタクト136を備えた成形プラスチックであり得て、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の設計に応じて一つ又は2二つのいずれかであるガスフロー経路138、Oリング140状等のガス気密シール、コンタクトパッド44を接続するための一つ又は二つのいずれかの電気コンタクト136を備える。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10が、二端Fuel Cell Stick(商標)デバイス10であり、一つの極性がFuel Cell Stick(商標)デバイス10の各端部でFuel Cell Stick(商標)デバイス10から出て行くようになっている場合、コネクタ134は、より低抵抗のコンタクトを得るために、依然として二つ以上の電気コンタクト136をFuel Cell Stick(商標)デバイス10の各端部で有することができる。電気コンタクト136は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の側部に配置することも、又はFuel Cell Stick(商標)デバイス10の頂部及び底部に配置することも可能であり、後者の場合、コンタクトがより広くなるため、より低い抵抗が得られる。
図示されていないが、コネクタ134は二つのOリングを有することができ、それによって、一つは空気用、もう一つは燃料用の二つの密閉セクションがコネクタ134内に提供される。このようなコネクタは、単一端Fuel Cell Stick(商標)デバイス10で、単一のコネクタとして使用することができて、正及び負のコンタクトを提供し、空気及び燃料を運ぶ。
上述の実施形態は、デバイスに対して、二つの対向する末部11a、11bを含んでいた。しかしながら、上述のFuel Cell Stick(商標)デバイス10のコンセプトは、炉から離れる二つよりも多くの端部又は出口点を有するデバイス500に適用可能である。例えば、図68A〜68Bは、四つの出口点を有するデバイスを示す。4つの位置が、空気インレット18、空気アウトレット22、燃料インレット12、燃料アウトレット16を提供することができる。これは、炉加熱動作への未燃焼燃料のリサイクルをより容易にすることができる。三つ又は六つ等の二つ及び四つ以外の出口点を使用することもできる。
支持ボール(図7C〜図7D参照)を、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10以外の燃料電池デバイス、例えば正方形プレートデバイスに使用することができる。支持ボールを使用することにより、異なる層が互いにつぶれることなく、多層構造内に大きな領域を生成することができる。デバイスは、汎用多層プレート内に、広くて開放された領域を有することができる。又は、デバイスは、幅は0.5インチであるが、長さが数インチで、その領域を占める経路を有することができる。いずれの場合においても、本願で開示されているボール技術が有利である。
ボールの重要なアイディアは、それらが丸くて、穴開きを防止することができることである。電解質、アノード及びカソードを、薄くする必要があるため(密度のため、及びより高性能のため)、不規則な形状の材料を使用することに起因する穴開きの可能性がある。砂や小砂が電解質中に混入し、漏れの原因となり得る。一方、電解質は、漏れ又は裂けを生じさせることなく、ボールの周囲で緩やかに変形することができる。同様に、図7A〜図7Bの柱コンセプトを、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10形態以外の多層燃料電池構造に使用することができる。
図38A〜図38Bには、後でその上方を密閉することができる複数の焼き出しポートの使用が示されている。これは、SOFC又は他の燃料電池デバイスについての多層方法にとって有利なコンセプトである。この場合も、大型プレートに関して、設計者は、面積が広いガス通路を作り、これらの空間を充填している有機材料を除去する必要がある。しかしながら、一般的には、一つの燃料入口点及び一つの燃料出口点のみが存在している。空気側についても同じである。有機材料の面積がこのように広く、かつ、出口点が非常に少ない場合、最大の製造課題の一つは、層間剥離を回避することになり得る。
この課題に対する解決策は、多数の焼き出し点、つまり、構造全体に対する最小の応力でガス又は液体(ワックスが使用される場合)が構造から出て行くように焼き出すことができる小さな開口部を生成することである。多層構造が焼結された後、漏れを防止するために、これらの小さな焼出し点を、後に固体材料で復旧して充填することは簡単である(ガラスとセラミックの組合せなど)。
ワイヤ92のコンセプトは、上記焼き出しポートのコンセプトに極めて似ていて、多層構造に対して非常に有用である。4インチ平方のプレートであって、そのプレートに20層又は50層のアクティブ層を備えたものを製造する場合を想像されたい。有機材料の除去をより容易にするために焼き出しポートの生成が考えられる。しかしながら、これらの便利な焼き出しポートをプレートの中央部分に到達させることができる場合、更に良好となる。これは、ワイヤ92を挿入し、積層が完了した後にそれを引っぱり出すことによって達成することができる。ワイヤ92は、さもなければプレートの中央部分と外界との間に到達するまで極めて長い距離を有することになるいくつかのエリアを横切ることができる。このコンセプトは、上述のような厳密なワイヤである必要はない。ワイヤは、表面積が小さいため、単に最も便利な形態にすぎない。物理的な片は平坦でもよく、例えば厚さ0.002インチ×幅0.200インチである。その場合、層がくっつくのを防止するために、物理的な片を離型剤で覆う必要があり得る。それにもかかわらず、アイディアは、有機除去を容易にするために構造の中に挿入され、次に、除去される物理的な片というものである。
他の実施形態では、ワックス付き炭素テープがギャップ形成テープ94として使用される。課題は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10に裂けや層間剥離を生じさせることなく、ギャップ形成材料が一様に出て行くようにすることである。アノード24及びカソード26及び電解質28中の他のポリマー材料を焼き出すことができるように、材料を適切な時間内に魔法のように消滅させ、開放チャネルを残すことができればそれに越したことはない。一つの手法はワックスを使用することである。インベストメント鋳造法(いわゆるロストワックス法)用に使用されるワックスは、略90℃で良好に融解し、多層構造を積層するために使用される積層温度より高くて、150〜300℃のバインダのバーンアウト温度よりは低い。しかしながら、ワックスは、例えばそれを厚さ2ミルのシートに鋳造する場合、そのシートが望ましい強度を有していないため、理想的ではない。ワックスは、触れると壊れやすい。ワックスは、薄いセクションではより強力でなければならない。このための解決策は、ワックスを何らかの種類の繊維と組み合わせて、ワックスに強度を付与することである。選択肢の一つは炭素繊維である。炭素繊維は、マットと呼ばれるランダムな繊維の構成で購入することも、又は実際の布に似ている織込み済み繊維の構成で購入することもできる。他の繊維も可能である。ワックスを炭素繊維に浸み込ませることによって、最適な特性を得ることができる。炭素/ワックス複合材は、それを多層構造にしてギャップを形成することができる。積層の後、ワックスの融点まで温度が上げられ、ワックスが液体に戻って、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10から消滅する。これによって、炭素繊維内に開放空気通路が残され、構造の内側に存在している周囲のポリマー材料を容易に焼き出すことができる。炭素繊維は、温度が750℃に近くなるまで揮発しない(CO2に戻らない)。従って、バインダのバーンアウトが生じる前に主要なギャップ形成材料のうち一つが消滅することによって、バインダを除去するためのクリアな経路が残される構造を構築することができる。次に、中間温度でポリマー自体を揮発させることができる。最後に、高温で炭素繊維を消滅させることができる。図70は、この炭素−ワックスの組合せを使用した焼結後において、ワックス及び炭素繊維が消滅した際に残されるギャップの画像である。
多層デバイス内で高電流接続が達成されることが望ましい。多層デバイス内で相互接続する方法の一つは、ビアホールを使用することである。ビアホールは、セラミックテープ130の片を貫通する孔を穿ち、次に、図71に示されているようにその孔を充填してビア56を形成することによって構築することができ、又は絶縁体の印刷層を介して構築することができるが、乾燥後の効果は同じである。図71には、2つの電極(アノード24又はカソード26のいずれか)を互いに接続するビア56の接続が示されている。以下の説明では、簡単のため、二つのアノード24の実施形態を用いる。ビア56は、データ伝送等の電気信号を運ぶのには良好であるが、電力や高電流を運ぶのには理想的ではない。電力又は高電流の場合、全抵抗を低下させる効果を有するために、並列の複数のビア56が必要とされる。本発明の一実施形態によると、電力又は高電流を運ぶ用の改良された方法は、対象の導体を分離するために使用される未焼結テープのエリア全体を除去することである。この方法では、相互接続は、大面積に基づくことができる。図72には、二つの電極(アノード24)の間のセラミックテープ130又は材料を完全に除去することによる二つの電極(アノード24)の間の相互接続が示されている。これらの層は未焼結状態(テープ層又は印刷層のいずれかとして)では軟らかいため、変形が生じる。必要に応じて、又は所望の場合、構築プロセスの間、セラミックの全体的な平坦さを維持するために、相互接続エリアの上方に追加のセラミック材料を配置することができる。
若干の変形例は、図73Aに示されるように、未焼結セラミックテープ130の片に大きな孔142を穿ち、次に、多層構築物にこのセラミックテープ130を挿入することであり、又は代わりに、大きな孔142を備えた絶縁層を印刷し、次に、その頂部の上方に導体を印刷することである。多層方法の場合、上方からの電極が孔142の中へ偏向し、図73Bに示されるように大面積のコンタクトが生成される(下方からの電極を上に向かって孔142の中へ偏向させることも可能である)。本実施形態は、ビアホールの面積が小さくて、個別に充填しなければならない点で、ビアホールとは全く異なっている。更に、ビアホールの場合、頂部及び底部の電極が孔の中へ歪むことはない。
従って、本発明の実施形態では、絶縁材料を除去することによって、あるいは絶縁材料の欠けたボイドエリアを提供することによって電気相互接続が実施される多層Fuel Cell Stick(商標)デバイス10において、絶縁材料の両側(例えば上方及び下方)の導体がボイドエリアの中へ歪んで互いに接触することが考えられている。導体同士が出会うボイドエリアは、Fuel Cell Stick(商標)デバイスの内部からデバイスの縁まで全体にわたって延伸し得る。絶縁エリアは、孔を穿つことや、長方形等の特定の形状を切り出すこと等によって、特定のエリアにおいて除去され得る。
他の実施形態によると、電池の直列接続が単一の層にわたってなされ、これは、Fuel Cell Stick(商標)デバイスの電圧出力を高くするのに有用であり、また、生成される電力を更に容易に共に働かせる。例えば、スティックが1kWの電力を生成している場合、電子機器の設計がより容易になり、また、1000Aで1Vではなくて、1Aで1000Vを扱うことができるプラントのバランスの設計がより容易になる。図74Aに小規模で概略的に示されるように、未焼結セラミック(例えばジルコニア)テープ130のセクションが中央に使用されており、また、その頂部及び底部に、アノード24及びカソード26が存在している。これまでの図のアノード24及びカソード26に使用されているパターンと同じ単一ハッチングパターンは、アノード24及びカソード26の多孔性を表している一方、交差ハッチングパターンは、非多孔性導体(例えば導電性セラミックや、貴金属や、非酸化性金属合金)を表している。非多孔性エリア146は、燃料又は空気へのアクセスを有していないので、電池は、単一ハッチングパターンで示されるように、多孔性エリア144間に存在している。
図74Bは、どのようにして複数の部品を一緒にすることができるかを概念的に示す(概念的というのは、それらの部品が、積層後は図示されているようには傾斜していないためであるが、この概念的な描写は、設計の重畳の性質を示すことを意図している)。三つの電池のこのグループでは、限定的ではない考察のため、各電池(又はセクション)の上面がアノード24を含み、各電池(又はセクション)の底面がカソード26を含むとする。各電池が小型バッテリーとして視覚化されると、三つの電池のストリングを、三つの直列バッテリーと見なすことができる。燃料供給源34は、この直列設計の一方の側の頂部(その頂部にはアノード24が存在する)に存在し、空気供給源36は、この直列設計の反対側の底部(その底部にはカソード26が存在する)に存在することになる。一方の側から他方へのガス漏れを回避しなければならないが、これは、各電池(又はセクション)の端部に非多孔性エリア146を提供することによって達成することができる。この方法で多くの電池(又はセクション)を一緒にして、所望の電圧を達成することができる。
図74Cは、積層後の層のより正確なバージョンを示す。これらの層は実質的に平らであるが、重畳する点で厚さが増えている。図74Dは、3電池(又はセクション)設計の概念図を示す。垂直方向の矢印はそれぞれ、一つの電池を表していて、その矢印の方向は極性を定義している。矢の頭がない線は、電圧を生成しない相互接続を表している。底面に沿った水平方向の矢印線は、電流の全体的な方向を表している。本発明は3電池設計に限定されるものではない。図74A〜図74Dに示される、本願で重畳方法と称される実施形態を使用して、二つ以上の電池、例えば五つ以上の電池、10個以上の電池、20個以上の電池等を直列に結合することができる。
図75A〜図75Eは、本願でプランジングコンダクタ(差し込み導体)方法と称される直列設計を生成するための一代替方法を示す。セラミックテープ130をセクションに切断し、これらのセクションを重畳させて直列の電池を形成する代わりに、一方の側のアノード24のエリアと、他方の側の対向するカソード26のエリアとを有するセラミックテープ130の連続シートが使用される。シート形状(相互接続片、導体テープ又はプランジングコンダクタとも称される)のコネクタ電極148(例えば、導電性セラミック、貴金属、又は非酸化性金属合金)が、セラミックテープ130を貫通して挿入される。導体テープ148は、例えばLSMで製造された未焼結テープ片であってもよい。図75Aに示されるように、セラミックテープ130にスリット150が設けられ、導体テープの短いセクションがセラミックテープ130を貫通して途中まで挿入される。
図75Bには、セラミックテープ130の連続シートの側面図が示されている。この考察では、“電解質シート”や“電解質テープ”との用語は、セラミックテープ130と同じであると理解されたい。電解質シート130の上面には、アノード24の二つのセクションが存在している。電解質シートの底面には、アノード24の二つのセクションのそれぞれと対向するカソード26の二つのセクションが存在している。これらの二つのセクションを直列に接続するために、図75A及び図75Bを参照すると、最初に導体テープ148が電解質テープ130中のスリット150を貫通して挿入されるので、このことを、電解質を貫通してプランジングする(差し込む)と言うこともできる。次に、図75Cに示されるように、導体テープが一方のセクション(又は電池)のアノード24の上方及びもう一方のセクション(又は電池)のカソード26の上方で曲げられる。次に、図75Dに示されるように、コネクタ電極がアノード24及びカソード26に押し付けられ、つまり電池が直列に積層される。図75Eは、重畳エリア全体をより明確に示すために、直列に積層された電池を上面からの斜視図で示す。電池間の抵抗を低下させるため、短くて、幅の広いセクションでできた個々の電池を有することが有利であり得る。
他の実施形態によると、複数のセクションに分割された相互接続片148(導体テープ)を有することが有用となり得る。未焼結電解質テープ130中の単一のスリット150の代わりに、図76に示されるように複数のより短いスリット150を使用し、それらを介して導体テープ148の複数のセクションがそれぞれ挿入される。従って、複数のプランジングコンダクタが提供される。
図75A〜図75E及び図76では、電解質を貫通して差し込む導電性相互接続材料は、ガスが電解質の一方の側から他方へ流れることを防止又は妨げるために、非多孔性の性質のものでなければならない。一方、アノード24及びカソード26は多孔性であり得て、非多孔性エリアがない完全な多孔性であっても、又は相互接続片148が重畳する端部に非多孔性エリア146を有してもよい。アノード24及びカソード26を完全な多孔性にすることがより単純であり得て、より少ないプロセスステップで材料を製造することができる。図77は、図75A〜図75E及び図76の実施形態に従って、電解質を貫通して挿入された相互接続片148で電池を結合することによって直列に接続された4つのセクション(又は電池)の側面図を概略的に示す。従って、相互接続片148を使用して、あらゆる数(二つ以上の電池を含む)の電池を直列に結合することができて、例えば五つ以上の電池、十個以上の電池、二十個以上の電池が直列に結合される。
図78A〜図78Cは、多層電池の単一の層に沿って電池を直列に接続するための上記プランジングコンダクタ方法の一変形例を示す。本実施形態では、図78Aに示されるように、アノード24のセクション及びカソード26のセクションはそれぞれ、燃料フロー経路及び空気フロー経路から離れてFuel Cell Stick(商標)デバイス10の側面まで延伸している非多孔性エリア146を有している。電解質テープ130中のスリット150は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の周囲の内側ではなくて、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の側面に設けられている。そして、積層前の図78B及び積層後の図78Cに示されるように、電解質テープ130を介してアノード24及びカソード26を接続する導体テープ148を、フロー経路から離れたサイドマージンの中にちょうど配置することができる。
これまでの実施形態、例えば図71では、未焼結セラミックテープ130の片の中にビアホールを形成して、そのホールを充填するために電極を印刷することによって形成されるビア56の使用について詳述した。図79Aに示される、多層構造の単一の層に沿ってアノード24及びカソード26を直列に接続するための本発明の代替実施形態では、一つの電池又はセクションの中で、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の一方の側の充填済みビア56から電極(例えばアノード24)まで第一の導体152を印刷することができ、また、隣接する電池又はセクションの中で、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10のもう一方の側の充填済みビア56から反対側の電極(例えばカソード26)まで第二の導体154を印刷することができる。充填済みビア56は、電極に使用される材料以外の材料で充填され得る。図示されている実施形態では、ビア56には非多孔性導体が充填されている。
差し込み電極の代替例は、図79Bに示されるように、幅広のビア、つまり長円ビア156であり、電解質テープ130に長円ビアホールを形成することによって設けることができる。長円ビア156は、従来のビアホールが円形である点で、通常のビア56とは区別される。長円ビアホールは、例えば図75E又は図76に示されている差し込み電極148用のスリット150と同じスケールで、必要な広さの幅で設けることができる。長円ビア156は、ガスが電解質層の一方の側から他方の側へ流れることを許容しない方法で充填されなければならない。
ビアホールについて考えられる問題は、ホール中の材料の収縮が不均一であり得て、又はテープ材料の収縮より大きくて、ガスが一方の側から他方の側へ通過することを許容し得る点である。従って、代替実施形態又は更なる実施形態では、円形であっても、長円であっても、ビアホールは、漏れ抵抗を改善するためのプラグを頂部及び/又は底部に含む。図79Cは、プラグを備えた改良型ビアの例を示す。プラグは、プラグ158a及び158bの場合のように、一方の側、例えば頂部のみに追加のシールを形成すること、又はプラグ158c及び158dの場合のように両側に追加のシールを形成することができる。プラグ158a、b、c、dは、一以上の印刷ステップで得ることができ、又は分配工程を介して得ることができる。例示的な実施形態によると、ビアプラグ用の材料は、多孔性ではない材料のようにガスの移動を止めるものである。多孔性アノード24及びカソード26と組み合わせる場合、最後のセクションは、図79Dに示されるようになり得て、ここで、密にハッチングされた材料が非多孔性であり、また、これまでの図のようなハッチングによって識別されている材料が多孔性である。
単一の層を直列に接続するための上記実施形態を拡張し、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10内の複数の層を用いて、並列−直列接続を形成することができる。図80は、直列に接続された単一の層が積層されたグループを示し、積層された層も互いに並列に接続されていて、並列電気接続は、アノード及びカソードのいくつかの対の間の垂直線160によって示されている。直列接続用のプランジングコンダクタ148が示されているが、他の接続手段を使用することもできる。図示されている特定の実施形態では、三つのアクティブ層が存在し、その各々が直列の四つの電池(セクション)からなる。従って、合計12個の電池が示されている。一つの燃料経路を使用して二つの異なる電池経路に供給することによって、密度を増大させることができる。これらの電池の極性は、層毎に反転している: 頂部層及び底部層では、カソードからアノードへの方向は、上向きの矢印であり、中間層では、カソードからアノードへの方向は、下向きの矢印である。電極の対のために用いられる共通の燃料チャネルを使用して層から層の極性の方向を反転させるというこの特徴によって、この実施形態及び他の実施形態では、より高い密度のFuel Cell Stick(商標)デバイスを達成するための手段が提供される。
図80の線80A−80Aに沿った図80Aの断面図と、図80Bの斜視図とは、二つのカソード26間又は二つのアノード24間の並列接続を示す。アノード又はカソードの対を、これらの対をそれぞれ燃料チャネル又は空気チャネルのエッジで接触させることによって、エッジ接続160を形成して、容易に結合することができる。図80の垂直線は、エッジ接続160を表している。図80Aに示される実施形態では、エッジ接続160は両側(図80Aの左側及び右側)に存在しているが、一方の側のみ接続されても電気接続を達成することができる。この接続によって、二つのアノード24又はカソード26を電気的に並列に配置する。ビア接続又は他の接続手段を使用することもできる。図80の点Bから点Bまでの経路を参照すると、これらの点Bは導体によって接続されて、経路Bが全て同じ電位になっている。図81では、経路Bは直線として示されている。図80、図80A及び図80Bの電池の構造の正味の効果は、図81に概略的に示されるように、大規模な直列及び並列の組み合わせである。この構成は、デバイス内の一つの電池又は相互接続が故障し始めた場合に、電力を迂回させるのに有用であり得る。電流及び電圧は、損傷又は劣化したエリアを迂回し、機能している他の電池へ流れることができる。
図82は、図74Cで既により詳細に示したような、重畳層の直列構造を備えた単一層のFuel Cell Stick(商標)デバイス10の断面を概略的に示す。セラミック29は、頂部カバー及び底部カバーを形成し、また、理想的な空気通路20及び理想的な燃料通路14が示されている。図1の場合のように、空気アウトレット22及び燃料アウトレット16は、紙面に垂直である。図83A〜図83Bに概略的に示されるように、本デバイスも、図80〜図81に示されるこれまでの実施形態の場合と全く同様に、大規模な直列‐並列の組合せで一緒にすることができる。図83Aでは、破線は、図80A及び80Bに示されているような、空気及び燃料チャネルのエッジ接続160からなり得る。この場合も、高密度構造が提供されて、電池が直列及び並列の両方で存在して、矢印で示されるように極性が電池の層毎に交互に反転することによって、図83Bに示されるように、特定の電池が故障した場合に、その電池を迂回する経路によって電流が流れるという利点を有する。
図84A及び図84Bは、同じガス通路上の二つの電極間の便利な並列接続を提供するための他の実施形態を示す。これは、それぞれ燃料通路14又は空気通路20の両側の二つのアノード24又は二つのカソード26のいずれかに対して為すことができる。図84Bでは、二つのアノード24の例が用いられている。アノード24は、図80Aに示されるような通路14の側部においてではなくて、燃料通路14の中央領域で接続されている。中央接続162は、ガス通路を形成するために使用される犠牲ギャップテープ94に孔又はギャップ164を設けることによって、容易に為すことができる。孔は円形であっても、長くてもよく(例えば図84Aに示されるようなスリット)、また、それらが多数存在していてもよい。積層及び焼成の後で、頂部及び底部のカソード又はアノードが、ギャップ164が存在していた領域で接触することになる。有利には、中央接続162は、燃料電池エリアのアクティブエリアを顕著に減少させないように形成される。
図28A〜図28Dに関連して一般的に上述した、直列設計が使用されている多層螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200について、両方の電気接続を螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200の外部で生じさせることが有利である。これによって、アノード点及びカソード点から低温ゾーンへの最も容易なアクセスが可能になる。直列グループの一方の端部が巻きの外部に存在し、一方の端部が巻きの内部に存在するように螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200が巻かれる場合、内部の接続の方が扱い辛い。これは、ガス接続チューブは螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200の端部の上方に配置されるが、電気接続が内部に存在する必要があるためである。従って、両方の電気接続が外部に存在することが望ましい。図85Aは、巻かれていない構成の螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200を概略的に示し、直列接続(同じく矢印によって概略的に示されている)は、直列設計を巻かれているエリアの外部で開始及び終了させて、また、内側へ移動させてU−ターンさせることによって達成される。
個々の電池166は、個別の矩形ブロックとして示されている。これらのブロックは、短くて、幅が広いので、低い抵抗を有している(端から端までの導電性の長さが短いが、面積がより広いことによって、電池当たりの電流をより大きくすることができる)。この設計は、上述の直列接続を形成する両方の方法(セクションを重畳させる方法、又は電解質層を貫通する一つ又は複数のプランジングコンダクタを用いる方法)と両立可能である。燃料通路14及び空気通路20のレイアウトに対して、図示されているように、これらの通路を、側面から入れて、合流させて、共通通路167に沿ってまとめて外に出すようにすることが最も便利となり得る。螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)200デバイスがその上方に巻かれることになるマンドレル168が示されている。このマンドレル168を、犠牲ワックスで覆うことができ、積層及びワックスの融解の後に除去することができる。図85Bに示される最終形態では、螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)200デバイスは、外側から中心に向かい、そして、外側に戻って来る直列接続経路を有する。これは、個々の電池166を表す矢印によって示されている。
直列接続を備えた螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200を形成するための他の方法は、Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200の長さ方向に沿って直列ストリングを形成することである。この直列経路は、図86Aに示される巻かれていない構造の矢印によって概略的に示されているようなものである。巻いた後のアクティブエリアが非常に広いので、特定の電池166は、チューブの内部から外部まで延伸することができる。本実施形態では、直列接続は、電解質に差し込む複数の短い導体148を使用して為される。個別のプランジングコンダクタ148を使用することによって、形成ステップ、巻きステップ及び積層ステップの間、電解質層により大きな強度を得ることができる。しかしながら、図74Cに示されるような重畳セクションを使用して直列接続を形成することもできる。図86Bは、巻かれた最終形態の本実施形態を概略的に示す。図85Bの場合と同様、矢印は個々の電池166を表している。
特にこの巻かれた設計の場合、Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200の体積密度を増大させるためには、二つの層を直列に使用することが有用である。しかしながら、層が自らの上に折り返される方法であるため、二つよりも多くの層を並列に有する必要はない。図87Aは、左側から右側に向かう、図86Bの一つの長い個々の電池166の概略的な側面図である。図87Bに示されるように、二層構造(二つの電解質層28、二つのカソード26、二つのアノード24、一つの空気通路20、一つの燃料通路14)が自らの上に巻かれると、底部のカソード26が頂部の空気通路20に接触する。従って、二つよりも多くの層は無駄である。上述の実施形態の教示に基づいて、Tubular Fuel Cell Stick(商標)200デバイス設計が、並列に動作する多数の直列設計の組み合わせを含むようにすることが可能であることを、当業者は理解されたい。
螺旋Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200又は同心Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス300に電気接続を提供するための本発明の他の実施形態によると、図88Aの巻かれていない概略的な構造及び図88Bの巻かれた螺旋(例えば)チューブ状構造に示されるように、Fuel Cell Stick(商標)デバイスの一つ又は複数の端部全体を導電性端部170a、170bにすることができる。これを達成するために、Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200、300の端部の絶縁セラミック材料を、導電性材料に置き換える。この導電性材料は、ハッチングされたエリアとして示されていて、例えばLSM、又は、Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200、300の大部分であるセラミック29を焼結させる間の収縮により良好に整合する二つ以上の別々の材料の組み合わせ(LSMとYSZの組み合わせ等)である収縮整合材料であり得る。特に、直列設計の最初と最後の電池について、巻かれた電極の中心部分は、その電池の最も外側の巻きと全く同様、外界への接続に接触できなければならない。ハッチングで示されるこの導電性端部エリア170a、170bによって、この接続を効果的に為すことができる。内部電極セクションに接触するための一代替方法(図示せず)は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス内にドリル加工で穴を開け、次に、導電性材料で充填することである。
図86A及び図88Aの実施形態について、ガスフロー通路14、22用のレイアウトは、図89に示されているようなものであり得る。アクティブエリアに供給するために、ガスは、インレット12、18からスティックに流入し、大きな共通通路167に向かい、次に分岐して、個々の電池166の各々に対して使用される。図89では、ガスは、共通通路167に流入し、複数の小さな分岐から流出している一方、図85Aでは、その逆になっている。
直列のセクション(又は電池166)を含むFuel Cell Stick(商標)デバイス10では、一つのFuel Cell Stick(商標)デバイス10の長さに安易に適合させるよりも、より高い電圧(より多くのセクション)を有する方が有用であり得る。その場合、本発明の他の実施形態によると、直列セクションを、外界に電力を供給するためにスティックから出て行く前に、スティックの長さに沿って二回前後するように配向することができる。図90は、直列に接続された15個のセクション(電池166)を、通路を本質的に二箇所で折り畳むことによって一つのデバイス内に配置する方法を概略的に示す、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の側面図である。また、互いに並列の15のグループが存在するように、このような複数のセクションを一つのFuel Cell Stick(商標)デバイス10内に配置することも可能である。
他の実施形態によると、折り畳まれた設計によって、多数の層を直列に備えたFuel Cell Stick(商標)デバイス10を製造するための他の方法が提供される。図91は、直列の六つの電池166を備えた電解質層29を斜視図で示す。これらの電池は、図示されているように、重畳方法又はプランジングコンダクタ方法のいずれかを使用して直列に接続することができる。このシート構造をFuel Cell Stick(商標)デバイス10に適合させるために、電解質層29は、例えばアコーディオンのように、折り畳まれる。端部のシート構造を見てみると、図92Aでは、矢印で示されるように、電池166間の湾曲点が示されている。矢印に沿って湾曲させることによって、電池グループは、図92Bの左側に示される折り畳まれたスタックを形成し始める。折り畳みをさらに連続的に圧縮すると、図92Bの右側に示されるように、圧縮された折り畳まれたスタック172が形成される。そして、この圧縮された折り畳まれたスタック172は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス又は多層燃料電池内に便利に配置することができる。直列の電池の数は、設計者の好みによってのみ制限される。グループを水平方向又は垂直方向のいずれかに配置するかによって、複数の折り畳まれたスタック172をFuel Cell Stick(商標)デバイス10内に並列に(つまり電気的に並列に)配置することができる。ギャップ形成材料、例えばギャップ形成テープ94をアノード24及びカソード26の上に配置し、次に、犠牲的に除去して空気通路20及び燃料通路14を形成することができる。
熱膨張率(CTE)を整合させる目的で、自由フローティングエリアが存在するように、折り畳まれたスタック172の一方の側又は両側を、周囲のデバイス材料(つまり頂部カバー又はサイドマージン)への取り付けから自由にすること(周囲のデバイス材料に取り付けないこと)が有用であり得る。折り畳まれたスタック設計の本実施形態では、折り畳まれたスタック172内の最初及び最後の電池は、スティックの頂部及び底部カバー又はそれらの近傍に取り付けられているが、スタックの中間部分の全て又は一部は、取り付けられていない。図93A及び図93Bには、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の断面が示されている。図93Aは、折り畳まれたスタック172の左側がデバイスの左側の壁への取り付けられていない一方、折り畳まれたスタック172の右側の中間湾曲エリアが右側の壁に固定されている設計を示す。これによって、壁から離れた層のコンプライアンスが許容されて、デバイスを焼結させる際に、折り畳まれた層が、カバー材料とは異なる速度で収縮することができる。図93Bには、同じ様な構成が示されているが、折り畳まれたスタック172が、折り畳まれたスタック172の両端の電池を除いて、スティックの左側及び右側の両方の壁に取り付いていない点が異なる。両方の実施形態において、利点は、ガス(空気又は燃料)を多数の電極に同時に提供する性能である。図93A及び図93Bには、折り畳まれた一つの大きな連続的アクティブエリア、つまり折り畳まれたスタック172が示されているが、上述の直列及び並列電池の実施形態を利用して、同一又は同様の効果を達成することができることは理解されたい。図93Aは、連続的なアノード24及び連続的なカソード26を示す一方、図93Bは、湾曲エリアに電極材料が存在しないように、複数の間隔の空いたアノード24及びカソード26を示す。図92Bと同様に、図93Bでは、湾曲エリア中の電解質28を貫通するプランジングコンダクタ148を使用して、間隔の空いた電極、つまりは電池166を電気的に直列に接続する。いずれの実施形態(例えば、連続的な電極、又は間隔の空いた電極)も、自由フローティング設計用に使用することができる。
自由フローティング層の利点は、アノード及びカソードを組み合わせた構造のCTEがボディの残りの部分(サイドマージン、頂部カバー及び底部カバー)のCTEと著しく異なる場合に、自由フローティングエリアによって物理的断絶が許容されることである。この自由フローティングの成果を使用して、折り畳まれた構造に加えて他のFuel Cell Stick(商標)デバイス10構造を形成することができることは理解されたい。図94Aは、側面が自由である並列(図93A及び93Bの直列とは対照的に)の二つのアクティブ層(各層は、アノード24、電解質層28及びカソード26を備える)を断面図で示す。図94Bは、図94Aの線94B−94Bに沿ったFuel Cell Stick(商標)デバイスの水平断面図を示し、三面に沿って自由であり、デバイスの一方の面に固定されたアクティブ層を示す。この幾何学的構造では、フローティング層の外側の空気通路14内のガスフロー経路に対してはその複雑性が増大することはないが、フローティング層内の空気通路20内のガスフローの複雑性が増大する。その複雑性は、図94C及び図94Dに示されるように、空気通路20をセラミック29内の縁に沿って導入し、次に、カソード26にわたって内部空間に向け、そして、再びセラミック29内に戻すことによって対処することができる。
上述の多様な実施形態は、空気通路又は燃料通路の共有という利点を有し、密度の改善を提供する。ガスフロー経路が並列で動作しているアノード又はカソード用に使われる場合、エリアの縁において、又はエリアの中央部分の複数のポイントにおいて、これらのアノード又はカソードが接触することができる。しかしながら、他の実施形態では、直列で動作しているアノード又はカソード用に使われる一つの空気通路又は燃料通路を有することが有用であり得て、これらの実施形態では、アノード又はカソードは、デバイス内における短絡を防止するために電気的に絶縁されなければならない。この一例が図90に示されていて、頂部及び底部の電極用に用いられる一方で電極の短絡を防止する一つのガスフロー経路を有することが望ましい。このため、図95に二つのカソード26に対する断面図で示されるように、一方の電極ともう一方の電極の間に機械的及び電気的な絶縁を提供するために、材料の障壁層174をガスフロー経路内に配置することができる。障壁層174は、連続していても、又は一方の側からもう一方の側へのガスの通過を許容するためにガスフロー経路内で分割されていてもよい。障壁層を、アクティブアノード24及びカソード26の領域にのみ存在させることができ、又は多層構造の中をフロー経路に沿ってさらに延伸させることができる。障壁層174は、一方の電極ともう一方の電極の間の短絡を防止する。障壁層174を、若干の歪みが生じることはあっても、電気的な絶縁が維持される限りは非常に薄くすることができる。例として、障壁層174の厚さは、略5μmから略50μmの間であり得る。障壁層174に支持を与えるために、図7B、図7C及び図7Dを参照して上述した柱54によって他の層を支持するのと同様の方法で、犠牲有機材料72中のジルコニアや予備焼結済みセラミック球等の非導電性粒子を加えることができる。
直列の二つのアノード24又はカソード26の間の短絡を防止するための一代替実施形態は、図96に示されるように、アノード24又はカソード26の頂部に絶縁層176を配置することである。絶縁層176は、例えばジルコニアや電解質材料から構築され得る。絶縁層176は、ガスが絶縁層176を介してアノード24又はカソード26内へ通過することを許容するために多孔性でなければならず、また、非導電性でなければならない。この多孔性絶縁層176の下において、アノード又はカソードは、通常有している全ての特性を有する必要があり、つまり、多孔性、導電性及び化学反応サイトである。例として、絶縁層176の厚さは、略1μmから略25μmの間であり得る。
多層燃料電池の更なる応用では、電解質、アノード24及びカソード26は、焼結後の歪みが材料の特徴になるように十分に薄い。上記設計が歪みを示し、かつ、絶縁層176がその役目を果たしている場合、上記構造は、図97に示されるようになり得る。この場合、燃料通路14又は空気通路20は、その幅方向に沿ったどこかで開放されているので、完全に締め付けられて閉じられていることはないと仮定される。従って、絶縁層176のうち少なくとも1つが接触点で無傷であるので、アノード24又はカソード26は、互いに接触しているが短絡(つまり電気的接触)はしないことになる。
熱いFuel Cell Stick(商標)デバイス10からの電力の取り出しに関して、表面導体としてのLSMの使用は、金属のような導電性ではない可能性がある。長距離(数インチ)にわたって電力を輸送する場合、LSMの抵抗が電力の損失に寄与し得る。この電力損失は、LSM導体をより厚くすることによって克服することができる。このため、スクリーン印刷ではなく、それぞれ図98A及び98Bに断面図及び斜視図で示されるように、LSMをLSMテープ178として鋳造し、次に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の頂部及び/又は底部の構造の中にそのLSMテープ178を構築することがより有用であり得る。このようにして、厚さを、数ミルの厚さ(0.001インチ〜0.005インチ)から数十ミル(0.01インチ〜0.05インチ)まで変えることができ、また、スティックの幅全体を覆うことができる。LSMのCTEは、或る一つの材料の厚い層を他の層に共焼成する場合に課題になることがあり、その場合、LSMを、YSZと混合して(カソードの場合と全く同様に)、スティック全体のCTEにより密に整合させることができる。更に、LSMは低温では導電性ではなく、貴金属(銀等)又は他の低温導電性材料を、炉の外側に位置することになるFuel Cell Stick(商標)デバイス10のエリアのLSMの頂部に、配置しなければならない。LSMについて検討してきたが、本発明がそれに限定されないことは理解されたい。LSMについて言及されている箇所では、任意の導電性セラミック、非酸化性合金又は貴金属を使用することができ、従って、LSMテープ178は、実際にはLSM以外の材料製であり得る。
本発明の他の実施形態によると、ニッケルを導体として使用してFuel Cell Stick(商標)デバイス10の端部に低抵抗接続を設けることができる。しかしながら、ニッケルは空気の存在下では常に酸化状態であり、また、酸化ニッケルは非導電性である。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10は、空気雰囲気を使用した炉動作の場合、システム全体がより単純で、より安価であるので、空気中で有利に使用される。従って、ニッケルを導体として使用するための課題は、ニッケルを還元状態に維持しなければならないことである。そこで、ニッケルの酸化の問題を解決するために、図99に示されるように、ニッケル導体182を含む内部チャネル180が使用されて、デバイスの端部まで延伸し、その内部チャネル180には、酸化を防止するために燃料が供給される。ニッケルは、白金よりも小さな略6μオーム・cmの導電率を有していて、その導電率は、入手可能な最良の導体(銅、銀)のオーダ内である。従って、燃料が供給される内部チャネル180内の空間をニッケル導体が占めることによって、ニッケルが還元状態に維持させることによって、その使用が許容される。図99を更に参照すると、ニッケル導体182は、これまでの図に示されるようなコンタクトパッド44及びコネクタ134等での電気接続用に、チューブ接続の付近ニッケル導体182の端部でデバイスから外に出て行くことができる。例として、ここでは銀を使用して還元雰囲気から空気雰囲気へ移行させることができる。この実施形態は、図67A〜67Bを参照して上述したコネクタ134と組み合わせて示されているが、この図によって限定されるものではない。
本発明の他の実施形態によると、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10、100、400、500であれ、Tubular Fuel Cell Stick(商標)デバイス200、300であれ、又は他の多層デバイスであれ、多層セラミック燃料電池構造は、未焼結セラミック技術を用いて製造することができ、次に、端部チューブ184を永久的に取り付けることができる。端部チューブ184は、高温ゾーンから低温ゾーンまで通すことができ、そこで供給チューブ50等の他の形態の配管又はガス輸送機構を取り付けることができる。代わりに、供給チューブ50を使用せずに、端部チューブ184を、燃料供給源及び空気供給源まで、又は排気除去設備まで通すこともできる。多層デバイス(例えば10、100、200、300)は高温ゾーン内に存在し、また、永久的な方法で取り付けられている端部チューブ184は、低温ゾーンへ移行させることができる。図100A及び図100Bに示されるように、多層(Tubular)Fuel Cell Stick(商標)デバイス10、100、400、500(200、300)、又は複数の空気チャネル及び燃料チャネルを備えた他の燃料電池構造には、端部チューブ184の一実施形態である特別にラッピングされた端部チューブ186が設けられている。デバイス10、100、200、300、400、500のアクティブ構造、つまりアノード、カソード、電解質及び燃料通路は、本願において説明される多様な方法のうちのいずれかによって作られ、次に、ラッピング端部チューブ18の接続が加えられる。ラッピングされた端部チューブ186は、ラッピング技法を使用して加えられるが、このラッピング技法では、チューブはテープ製であり、そして、そのテープは、スティックの端部の周囲において、適切な強度の厚みを与えるのに十分な巻き数でラッピングされて、その巻き数は、端部チューブ184に所望の長さを与えるように続けられる。ラッピングされた端部チューブ186の支持されていないセクション内部に、マンドレルが必要となり得るが、その場合には、離型剤又はワックスで覆われた一時的なマンドレルを使用することができる。チューブの層は、完全な強度及び密度が得られるまで積層可能である。積層後に、マンドレルを除去することができる。永久的な端部チューブ184は、アクティブ構造に機械的及び電気的な取り付けの両方を提供することができる。永久的に取り付けられた端部チューブ184の接続は、共焼結のおかげで、アクティブ構造を備えた実質的にモノリシックなものである。これは、設計に耐久性を提供する。従って、最終的なデバイスを共焼成することによって、取り付けられた端部チューブ184が多層デバイス(例えば10、100、200、300、400、500)の上に焼結されて、実質的にモノリシックになる。
端部チューブ184は、LSMなどの導電性セラミック製、又は酸化ニッケル製とすることができる。低温ゾーンへの移行部分又は空気雰囲気への移行部分において、端部チューブ184を導電性の金属又は合金で覆うことができる。この金属又は合金及び最終的なチューブ設計の低温端部をペイントとして、又はラッピングされたテープとして加えることができる。代わりに、ラッピングされた端部チューブ186に代えて、端部チューブ184が、例えば圧延又は押し出しによって製造されたものであり得る。端部チューブ184が未焼結状態で軟らかい場合、セラミック同士を結合させる積層によって、取り付けることができる。ラッピングされたチューブ186、又は加えられた端部チューブ184は、二つ以上の材料の複合材であってもよい。例えばLSMの場合、LSMをYSZと混合して、純YSZのCTE及び焼結特性に整合させることを促進する。
複雑なアクティブ構造の多層デバイスを製造し、次に、それを焼結して、次に、永久的な端部チューブ184を端部に取り付けることが望ましくなり得るが、これには物理的な課題がある。デバイス10に対して図101に示されるように(また、非永久的なチューブ取り付けに対して図3A及び図3Bを参照して、シリンダー状端部として説明されているように)、デバイスの端部を、チューブ接続を受け入れ易い形にすることが有利であり得る。アクティブデバイス10の外側の端部を、機械加工等によって成形し(好ましくは未焼結状態)、セラミック端部チューブ184に容易に適合して軸方向の取り付けを提供するシリンダー状端部190を形成することができる。端部チューブ184の軸方向の取り付けは、より大きなシステムにおいてFuel Cell Stick(商標)デバイス10(又は100、200、300、400、500)を密封するのに最適である。
代わりに、図102A及び図102Bに示されるように、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の端部11a、11bの内側を機械加工して、一つ又は複数の端部チューブ184を挿入することができる一つ又は複数の端部孔192を形成することができる。隣り合わせで挿入される複数の端部チューブ184は、多くの設計で有利であり得る。複数の端部チューブ184を挿入することによって、小型化に便利となり得(例えば携帯デバイスにおける)、又はプラント設計のバランスを単純化することができる。
端部チューブ184は、両方の部品(アクティブデバイス10及び端部チューブ184)を共焼結することができるようにそれらが未焼結である間に、又は両方の部品を個別に焼結した後に、又は一方が未焼結で、もう一方が焼結済みである間に永久的に取り付けられ得る。両方が焼結済みである場合、取り付けられると、ガラス又はガラスセラミック(又はアルミナ等の焼結促進セラミックが添加されたYSZ等のより低い焼成セラミック)を使用して結合を形成することができる。これらの部品を一緒に未焼結にする場合、積層方法又は上記結合材料を使用することができる。一方が未焼結で、もう一方が焼成済みである場合、これらの接着方法を全て使用することができる。
図103Aに概略的な斜視図で示される永久的なチューブ取り付け用の他の実施形態によると、アクティブデバイスの端部に矩形の端部194を提供することができ、また、矩形のはめ合わせチューブ196が、炉から出すための取り付け用に使用される。又はめ合わせ部品が取り付け端部において矩形であり、他方の端部においてが丸い端部チューブ184を有することも考えられる。図103Bに示されるこのような形状移行端部チューブ198は、鋳造又は成形によって製造することができる。特に、形状移行端部チューブ198は、適合形状の成形セラミック片として製造可能である。その矩形の端部は、矩形の端部194上に容易に積層可能であり、そして、炉の外への移行用に、このセラミック片を丸い又は他の形のチューブに形を変えることができる。この場合も、これらのチューブ及び出口経路を導電性材料から製造することができて、コンポーネントの数を少なくしてそれらに複数の機能を持たせることによって、電気接続並びにガス接続として機能させて、システムの最終的な設計を単純化する。
未焼結テープの使用については、多様な実施形態で説明されている構造を構築することについて既に説明してある。しかしながら、未焼結テープの使用は要求されるものではない。一代替例は、構造に使用される全ての材料をスクリーン印刷することである。これによって、テープの使用が省略されるが、レイアウトが極めて同じ様に見える最終的な未焼結デバイスが得られる。実際に、スクリーン印刷技法で配置されるジルコニアの層と、テープのシートとして配置される層との間の見分けは、ほとんどつかない。他の変形例は、ディスペンサを使用して材料を描画することである。最も単純な形態では、これは、ペンのように材料を描画するチューブであり得るが、当業者には理解されるように、材料を描画するための厳密な方法は、時間と共に、また、小型化が求められ続ける限り、ますます精巧になるものである。この描画方法を使用することによって、小さなチャネル及びより複雑な3D構造を備えた複雑な構造を製造することができる。しかしながら、実際には、これらの方法は、多層セラミック技術よりも有用ではないことがある。描画ヘッドの数をそのままにして構造が益々小さくなると、大きなデバイスを製造するのに必要な時間が長くなる。この方法では、その生産性が問題になる。各チップが400以上の層を備える小型チップを一つの工場が一週間に十億個製造することができる現在のコンデンサ製造方法によって立証されているように、テープ及び印刷方法でデバイスを構築する方がはるかに現実的である。しかしながら、本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイスを構築するためのこのような手段も考えられるものである。
また、層の代わりに微小管を多層デバイス内に使用することも可能である。微小管は、それらを組み合わせることによって広いエリアを得ることができる。多層デバイスが数千個の微小管を含む場合、それらをエンドツーエンド又はサイドツーサイドで接続することによって、あるいは構築プロセス中により大きな層状構造のグループに接続することによって電圧を上昇させるために、これらの微小管を組み合わせることができる。しかしながら、この場合も、描画の複雑さが生産速度を遅くする要因になる可能性がある。しかしながら、総合的には、本発明による“自発形態(willing form)”の使用によって、この設計を機能させることができる。“自発形態”とは、或る物理的構造であって、その中で材料システムが総合的な設計の目標に向けて充分に協働する物理的構造を有する本発明のデバイスを称する。その物理的構造は材料特性と調和して作用するので、デバイスは、デバイスの長さ方向に沿った急激な温度差に適応することができて、低温及び低コスト接続点、構成の単純化及び耐久性の向上を可能にしている。
上述の多様な実施形態では、アノード、カソード、電解質及びギャップの複数の層は、SOFC又は他の燃料電池デバイス用の“自発形態”設計に使用されている。また、この“自発形態”設計は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10、100、200、300の多層アクティブ構造が、例えば図104に示されるように、プレート610、長いプレート612、チューブ614又な平坦なチューブ616の構成を有するセラミック(酸化ニッケル、YSZ、LSM、又は他の好ましい材料)の予備焼結済みコアの上に構築される場合にも使用することができる。最終的な形態は、これまで説明した設計に似ているが、その製造方法は、固体の下部材料610、612、614又は616で開始して、次に、それに厚膜層が加えられる(厚膜層とは、印刷、ディップ又は描画のいずれかによるペースト層の塗布を意味している)。
平坦なチューブ616又は丸いチューブ614の設計の既存の使用では、チューブの中央に一つのガスが含まれており、また、チューブの外部表面は他のガスに露出されている。平坦なチューブ616又は丸いチューブ614の設計を多層設計に変更するためには、ガスをチューブ内部で制御する必要がある。平坦なチューブを、更なる説明用の例として用いる。既存の使用では、平坦なチューブは、空気又は燃料のいずれかの流れを制御するための支持部材をその内部に有することができる。平坦なチューブは多孔性であり、そのガスを外側に向かって電極24、26及び電解質28まで拡散させることができる。支持部材の一実施形態は、平坦なチューブに構造的強度を付与するリブであり、図105Aに示される垂直構成(垂直リブ620)であるか、又は図105Bに示される角度が付いたデルタリブ622構成のリブのいずれかである。リブを有してはいるが、平坦なチューブ616の内部は、チャネル624内に一種類のガスしか含まない。従来技術と明記されている図106は、平坦なチューブの現状の使用方法を示したもので、一つの電極に一つのガスを供給している。湾曲した矢印は、ガスが第1の電極に向けて上方に、チューブの多孔性セラミックを介して拡散する様子を示す(また、電極が平坦なチューブの両側に構築されている場合、ガスは下方にも拡散することができる)。
本発明によると、図107A〜図107Bに示されるように、リブ620を使用してチャネル624を二つの交互のセット624a、624bに分割し、一部が燃料を運び(燃料チャネル624a)、また、一部が空気を運ぶ(空気チャネル624b)ようにする。これらの平坦なチューブを低コストのために押し出すことができ、交互のチャネル624a、624bを各端部11a、11bで密閉し、ガスを交互に反対方向に流すことができる。密閉は、ガラス又はセラミック等の高温材料を使用して実施することができ、又は平坦なチューブの低温領域に存在している場合は、有機物又はシリコーンなどの低温材料を使用して密閉することができる。代わりに、製造時に交互のチャネルを密閉する方法でチューブを成形することができる。図108に示されるように、必要に応じて、空気及び燃料の両方が流入して、隣接するチャネル624a、624bを通って同じ方向に伝わるように、全てのチャネル624a、624bを第一の端部11aで開放することができる。この場合、リブは、非多孔性であり、これらの二つのガスが混ざるような欠陥が存在しないものである必要がある。そして、コネクタを用いて、図108に示されるように、正しいガスを単一の端部11aで正しいチャネル624a又は624bに導くことができる。
更に、図107Bに示されるように、平坦なチューブのいくつかのエリアを密閉するカバー626(例えばガラスや、稠密セラミック)を加えて、多孔性チューブを通過して上昇するガスの流れを制御することができる。そして、カバーで覆われていない多孔性表面によって、適切なガスを、多層アクティブ構造内の適切な通路へと上方に拡散させる。多孔性チューブの表面を密閉すること、及び、多孔性エリアが、適切なガスを適切なエリアへと上方に拡散させることは、任意に組み合わせることができる。
代わりに、従来技術の一層の平坦な多孔性チューブとは対照的に、平坦なチューブ616は、この設計で動作するために多孔性でなければならないわけではない。代わりに、孔を設けて、ガスをチャネル624a、624bから流出させて、多層アクティブ構造内へと上方に伝えることができる(この孔の一実施形態について、図109を参照して後述する)。これらの孔は、未焼結状態又は焼成状態において平坦なチューブ616に加えることができる。平坦なチューブ616は、炉の外部へ延伸することができて、図111に示されるように、一方の端部11aが、一つのガス用に低温エリア内で容易にマニホルド化されて、他方の端部11bは、他のガス(この場合も低温)で他の端部においてマニホルド化される。代わりに、一端の平坦なチューブ(例えば図108の場合)が炉から出て行き、その一つの低温端部11aにおいて、空気及び燃料の両方をチャネル624a、624bに提供することができる。チューブの端部11aに合致する複雑なコネクタを使用することができて、空気及び燃料の両方を適切なチャネル624a、624bに提供する。炉の中では、平坦なチューブ616内の孔によって、ガスを多層アクティブ構造内へと上方に伝えることができる。空気チャネル624bによって、多層アクティブ構造への空気の流れを許容することができ、また、燃料チャネル624aも同じ様に燃料の流れを許容することができる。個々の孔は、個々の層用に使用されるか、又は、一つの孔が、複数の層用に使用される。
多層アクティブ構造内には、これまでの図面で説明したように、任意の組み合わせの直列構造又は並列構造を構築することができる。本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス600に対して図109に示されるように、適切な層へ向けてガスを上昇させるために、平坦なチューブ内部からの供給ガスをビア経路628に流入させることができる。流れるガスがビア経路から漏れることなくビア経路628を連続させることができるように、コラム、壁の突起、オフセット通路等の多様な方法及び設計を使用することができる。垂直方向の太い湾曲した線は、図が同じ平面断面内の全てではないことを示すためのものであることは留意されたい。図110に示される代替方法は、ガス経路が下に向いて平坦なチューブ616と合致するように、ガス通路14、20をそれらの範囲の側面領域で歪ませることである。この方法は、より単純であり得て、平坦なチューブ616の表面に厚膜材料を加えて多層アクティブ構造を構築する方法が得られる。
図111は、自発形態のFuel Cell Stick(商標)デバイス600を斜視図で示し、端部が炉の外、より具体的には、より低温のゾーン30に現れる対向した端部11a、11b(代わりに、より低温のゾーンに現れる一つの端部であり得る)を備え高温ゾーン32に配置された平坦なチューブ616の外へ延伸し、多層アクティブ構造が、平坦なチューブ616と、ガスを多層アクティブ構造内へと上方に拡散させるための経路628との上に構築される。代わりに、図112に示されるように、平坦なチューブ616の端部11a、11bが炉の内側に存在し、ガスを運ぶための高温マニホルド630に取り付けることも可能である。
本発明による自発形態の平坦なチューブ616の変形例は、先細りする平坦なチューブ632であり、図113に示されるように、炉壁96を貫通する領域で幅が狭くなっている。先細りする平坦なチューブ632の内部設計は、多様な方法で、そのより細い端部をチューブの主なエリアに適合させることができる。例えば、リブは、細い端部から主なエリアまで広がることができて、全て又は一部のチャネル624のサイズが大きくなり、又は、追加リブ620、622が内部に存在して、流れを追加チャネル624内に分割して、より多くのエリアに供給することができる。先細りする平坦なチューブ632の幅を、炉から出て行く部分で更に狭くすることによって、ひび割れが生じ難くなる。
本願で説明される平坦なチューブの実施形態では、マニホルド630の代わりに、図114に示されるように、個々の端部チューブ184を炉の中に挿入して、端部の孔192において平坦なチューブ616(632)とはめ合わせることができる。チューブ184は、共焼成可能であり、永久的に取り付け可能であり、又は、ガラスや機械的圧力を用いて一時的に接着可能である。
SOFCは、伝統的には800℃の高温で良好に動作する。本発明の一実施形態によると、本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス(10、100、200、300、400、500、600)の動作用に、いわゆるシースルー炉を使用することが便利となり得る。シースルー炉の1つは、サームクラフト(Thermcraft)社製のTrans Temp(商標)炉である。このチューブ炉は絶縁チューブであり、チューブ内部に発熱体を備えて、また、開放端部を備える。チューブ炉の中央は、動作温度まで急速加熱することができる。シースルー炉では、絶縁チューブは、石英及び/又はガラスチューブの複数の層(通常は二つであるが、それ以上も考えられる)からできていて、石英の層は炉を適切に絶縁しながら、人が内部を見られるようにする。通常、水晶チューブのうち一つは、付加的な熱を反射して炉の中に戻すために、金等の微少量の反射性金属で内部がコーティングされている。Trans Temp(商標)炉は、炉内の螺旋電気コイルによって電力供給される。更に、ガス燃焼構造等の他の手段によってTrans Temp(商標)炉を加熱することができる。本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイスの動作用の形式としてシースルー炉を使用することによって、チューブ炉内で動作しているFuel Cell Stick(商標)デバイスを容易に検査することができる。
例として、通常はガスタンク用に使用されるエリアにチューブ炉が配置されているSOFC技術によって、オートバイに電力供給することができる。また、この方法で自動車に電力供給することもできる。フェラーリの新しい自動車設計では、人がエンジンを見ることができるように、エンジンの上にガラスパネルが使用されているが、その概念と同様、シースルーSOFC炉によって、人がSOFCエンジン内を見ることができる。又は、家の中で、SOFCは、家全体に電力供給することができ、また、シースルー炉を使用することができる。一世紀前、暖炉は、暖房及び調理の中心として家の中心であったが、近代の家では、シースルーSOFC炉が家の精神的な中心となり得る。自動車設計では、一つよりも多くのシースルー炉要素が存在し得る。隣同士で四つのシースルー炉要素が存在し得る。又は、四つの要素は、“+”字型であり得る。見栄えだけではなく、SOFC用のシースルー炉設計の機能的要素は、炉が動作中であり、適切に機能していることを観察できる性能である。この設計の審美的要素は、より大きな製品又は状況の他の設計側面を伝えることができる。
Trans Temp(商標)炉が金でコーティングされている場合、又はコーティングされていない場合、炉の色は実質的に黄色−オレンジ色である。本発明によると、異なる元素を使用してシリカ(水晶)の内側をコーティングし、又はシリカチューブにドーピングすることができ、それによって、色を青色、緑色又は他の考えられる色に変えることができる。
従って、本発明では、透明な(シースルー)壁96、96’又は96”を有する炉構造によって高温ゾーン32が提供されるFuel Cell Stick(商標)デバイスが考えられる。更に、実質的にオレンジ色ではない色(例えば青色)で高温ゾーン32を輝かせる元素で高温ゾーンの壁96をコーティングするか、又はドープすることができる。炉(高温ゾーン)32は、燃焼燃料で、又は抵抗線で加熱可能である。また、全て又は一部の電力がSOFCによって供給される車両も考えられて、SOFC用の高温ゾーン32が一つのシースルー炉又は複数のシースルー炉を用いて形成される。更に、シースルー壁96、96’又は96”を備えた家庭用加熱炉も考えられて、本願で説明されるFuel Cell Stick(商標)デバイスによって少なくとも部分的に電力供給される。チューブ状Fuel Cell Stick(商標)デバイスを含むFuel Cell Stick(商標)デバイス用の上述の全ての実施形態は、シースルー高温ゾーン32を含むことができる。
上述の実施形態は、SOFCに関連して詳述されている。しかしながら、これらの実施形態は、溶融炭酸塩燃料電池(MCFC,molten carbonate fuel cell)に適用することも可能である。コンセプトの主な相違点は、電解質がジルコニアから溶融炭酸塩(例えば、炭酸リチウムや、炭酸ナトリウム)に変わっている点である。炭酸塩は、より高い温度で溶融状態になり、酸素イオンを全体にわたって導くことができる(CO3の形態で)。溶融炭酸塩は、LiAlO2等の多孔性セラミック内の毛細管内に保持される。アノード及びカソードはいずれも、SOFCに広く使用されているLSMではなく、MCFC中のニッケルに基づいている。SOFC用の構造ジルコニアは、多孔性LiAlO2に置き換わっており、炭酸塩は細孔の中に存在している。また、CO2が空気流と共に加えられる。本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス用の全体構造である自発形態を、MCFC用に採用することができる。
本発明では、更に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス用の燃料としてのアンモニア(NH3)の使用が考えられる。炭化水素又はH2の場合と全く同様、アンモニアによってアノード側にH+イオンが供給される。アンモニアを使用する利点は、H2と同様、CO2を放出しないことである。しかしながら、燃料としてのNH3の欠点は、毒性であることである。
また、本発明では、ジェットエンジンを電気エンジン構成に変換するためのFuel Cell Stick(商標)デバイスの使用が考えられ、それによって、より高い燃料効率を得ることができる。Fuel Cell Stick(商標)デバイスを使用してエンジン出力を発生させることによって、燃料消費を少なくし、また、飛行に必要な燃料積載量を少なくする。ジェットエンジンが外部カウリングを有していない場合、ジェットエンジンと呼ぶ代わりに、この推進デバイスをダクテッドファン又は単にファンと称する。10MWの電力が利用可能である場合、ダクテッドファンは、ボーイング737に搭載されているジェットエンジンに取って代わることができると予測されている。Fuel Cell Stick(商標)デバイスアセンブリに対する1MW/ft3の先進的な密度目標を使用すると、航空機上でこの種の電力を生成することは理に適っている。複数の個別ユニットを使用して10MWを発生させることができ、特に、それぞれ1MWを発生させるモジュールを10個使用することが想定される。翼の上に発電モジュールを有することにより、それらを可能な限りエンジンに近づけることができ、配線内における抵抗損失が減少する。翼の中にSOFCを有することに対する代替設計は、それらを胴体の中に置くことである。胴体内の振動は、翼の中の振動より少ないので、胴体は、より良好な場所であると考えられる。胴体から翼に電力を伝える際の導電性の問題は、電力を伝える際により高い電圧で動作させることによって解決することができる。或いは、高温セラミック超伝導体を使用してその距離を伝えさせることも有用であり得る。従って、本発明によると、電気推進システムを使用している航空機が提供され、電気推進システムを作動させるために発生される電力が複数のSOFCモジュールの中で生じる。電気推進システムの一実施形態はファンであり、ダクテッドファン又は非ダクテッドファンのいずれかである。さらに、これらのモジュールは、航空機の翼の中に配置することも可能である。
本発明の他の実施形態によると、マイクロサイズ又はナノサイズのチューブを使用して空気チャネルとカソードが組み合わされ、及び/又は、燃料チャネルとアノードが組み合わされる。これらの特徴を組み合わせることによって、より高い電力密度(KW/L)及びより頑丈な設計でFuel Cell Stick(商標)デバイスを製造することができる。それぞれアノード24及びカソード26に隣接する燃料及び空気の流れ用の燃料通路14及び空気通路20を有する代わりに、アノード及びカソード内にマイクロチューブ又はナノチューブ(まとめてマイクロ/ナノチューブと指称する)を提供することによって、アノード及びカソード内にフローギャップが生じる。これによって、アノード及びカソード内におけるガス分布を著しく改善することができる。現状では、アノード及びカソードが多孔性であり、ガスはこれらの細孔全体に拡散する。実際には、恐らく細孔はランダムに分布していて、ガスフローが入り組んだ経路を通り抜けなければならないので、ガスは速やかに拡散することはできない。ランダムな細孔自体より件書に直線的で長いアノード24及びカソード26内の経路又はチャネルとして画定されるマイクロ/ナノチューブを有することによって、改善された燃料利用を達成することができる。
実際には、繊維634をアノード材料及び/又はカソード材料の中に挿入することができる。一例として、炭素繊維材料を使用することができる。繊維は、図115Aの顕微鏡写真(倍率500倍)及び図115Bの顕微鏡写真(倍率200倍)に示されるように、その長さが比較的短くなり、薄いシート中にランダムに分布し、押しつぶされるか又は圧縮されるように、マットタイプの布636であり得る。任意のタイプの有機布又は織物を使用することができると期待される。代わりに、焼成後に長いボイドを提供するために、電極ペースト中に長い粒子を分布させることもできる。炭素斜文織は、繊維の大部分を好ましい流れ方向に容易に配向させることができるので、特に有用であり得る。
図115A及び図115Bでは、繊維634の直径は5〜10μmである。それらをはるかに小さく、つまりナノサイズにして、面積当たりの繊維の数を多くすることが可能である。例として1〜100nmの範囲の直径を有するナノチューブを使用することができる。代わりに、0.1〜100μmの範囲の直径を有するマイクロチューブを使用することも可能である。一般的に、これらのチューブは、略1nm以下程度の小さい直径、及び」約100μm程度の大きい直径、例えば50nmから50μmの範囲の直径を有することができる。
そして、繊維634を電極ペーストに浸漬させることができる。このペーストは、もともとその性質が多孔性であり、スケールが0.5〜3μmの追加的な細孔の提供を促進する黒鉛粉末を含有している。焼出し及び焼結の後に、図115A及び図115Bに示される繊維と、黒鉛粉末とによって、ガス分布を増大させることのできる細孔及びマイクロ/ナノチューブのネットワークが電極内に提供される。炭素繊維の場合、それらは、焼成プロファイルの間の略750℃後に消失する。図116A〜図116Cは、倍率を大きくした顕微鏡写真であり、焼成された電極に形成されたマイクロチューブ638、具体的には、直径5〜10μmの炭素繊維の焼出しによってアノード24に形成された三つの異なるチャネルを示している。
本実施形態によって、アノード24及びカソード26内の燃料及び空気の良好な分布が得られ、また、燃料及び空気をアノード及びカソードを通して流すことができる場合、アノード及びカソードの上方を流れる燃料及び空気が必要ないので、アノード及びカソードの領域の燃料フロー通路14及び空気フロー通路20を除去することができる。更に、アノード及びカソードの上方のギャップが除去されると、アノード及びカソードを多層構造内の隣の電解質28に接触させることができ、多層構造に劇的に改善された強度が付与される。
高温から低温へ伝わる自発形態を備えた構造であろうとなかろうと、マイクロ/ナノチューブ638の使用は、あらゆる多層燃料電池構造における使用を見出すことができることは理解されたい。本実施形態は、正方形プレートの上で又はチューブの表面上で使用することができる。本実施形態は、その性質が多層である又は設計に対して3Dスケールを有しているシステムの設計の場合に特に強力である。
多層Fuel Cell Stick(商標)デバイスでは、例えば、電池の連続する層と層の間のピッチが0.010インチ程度、つまり電解質から電解質まで0.010インチ程度であるサンプルを作製した。この10ミルには、燃料又は空気の流れ用の略2ミルのギャップが含まれている。本実施形態に従ってこの2ミルのガスフロー厚さを除去することによって、電力密度(KW/L)を20%高くすることができるが、これは劇的なものである。しかしながら、アノード及び/又はカソード内のマイクロ/ナノチューブ638を、ギャップを除去するための手段としてではなく、流量を多くするために空気/燃料通路(ギャップ)と組み合わせて使用することができることは理解されたい。
高温ゾーン32及び少なくとも一つの低温ゾーン30を有する本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス用の他の実施形態によると、燃料通路14及び空気通路20を製造する方法は、低温から高温までの経路の領域及び高温ゾーンにおける方法と同じ方法を維持することができ、電極内の細孔及びマイクロ/ナノチューブ638を介して燃料を流すことができる。開放チャネル(14、20)、例えば2ミル(0.002インチ)のチャネルにより、ガスが流入するための便利な低流動抵抗経路が提供される。これらの経路は、アノード24及びカソード26の厚さと同程度の厚さであるため、開放ガスフローチャネル(14、20)を、図117に示されるように、高温ゾーン32のアノード24及びカソード26の縁まで直接到達させることができる。チャネル(14、20)は、必要に応じて、側面からアノード24又はカソード26への空気及び燃料の流入を許容するように配向することができる。図117では、アノード24又はカソード26は、一方がアノード24又はカソード26の上側で、もう一方が下側である2つの電解質28に並列図式で供給している。直列設計の場合、図118に示されるように、アノード24又はカソード26の2つの部分の間に隔離体642を置くことができる。隔離体642は、ジルコニア又は電解質材料などの絶縁体であり得る。
例えば、コネクタ電極148を使用した直列設計等のより複雑な形式では、この方法を使用して多くのアノード24又はカソード26に一度に供給することができる。抵抗を低くするためには、個々の電池を短くし、かつ、幅を広くすることが最適である。その点に関して、マイクロ/ナノチューブ638を使用することができる。何故ならば、そうしたチューブは、大きいギャップよりも高い流動抵抗を有しているので、短くて幅が広い電池の性質が良好に働いて適切なガスフローを許容し、また、あらゆる燃料電池の主要な目標の1つである燃料利用が改善されるようになるからである。図119は、直列設計を上から見下ろした概略図を示し、電池に流入し、電池から流出するガスの流れが強調されている。説明を分かり易くするために、燃料側の例を用いる。図119は上から見下ろした図であるため、見えている表面は、アノード24の表面である。電解質28及びカソード26は、図から隠れている。矢印は、アノード24に流入する燃料を表している。燃料は、アノード24の両側から流入し、次に燃料の一部が電解質に向かって方向を変える一方、燃料の一部は、引き続いてアノードを通って燃料アウトレット16へ向かう。この場合も、燃料通路14は、アノード24の上方ではなく、アノードに沿っているため、ガスフローの領域及びアノード又はカソードを組み合わせた厚さは同じであり、かつ、最小化される。
また、燃料電池の分野では、低電力発電用の小型デバイスも望ましいものである。例えば、100時間にわたって20Wを提供する小型電源を、軍隊が使用することができる。そのために、Fuel Cell Stick(商標)デバイス700用の設計の1つは、図120に側面図で示されているように、小型デバイスの広いエリア704にいずれも同じ側から入る2つのスティック形入口702a、bを有するものである。一方のスティック入口702aは空気を取り扱い、もう一方のスティック入口702bは燃料を取り扱っている。広いエリア704は、高温ゾーン32に配置されたアクティブエリアである。両方のガスを同じ側から流入させることにより、Fuel Cell Stick(商標)デバイス700の各側に1つの入口を有する場合と比較すると、全体積が小さくなる。更に、空気及び燃料用の連続する入口を備えた単一のより長い入口経路を有する場合と比較しても面積が狭くなる。図120に示されるデバイス700のサイズ(平方面積でのサイズ)は、例えば1平方インチ又は3インチ×3インチであり得る。
他の実施形態によると、Fuel Cell Stick(商標)デバイスの広いエリア704は、複数のセクションに分割されている。例えば、図120に示される広いエリアをそれぞれ満たす20個のアクティブ層を使用してFuel Cell Stick(商標)デバイスを設計する場合、熱伝達用にそのエリアを分割することが有利である。分割されたエリアは、本のページのようなものである。ガス供給チューブが入る本の背は、完全に一体であるか、又は、それぞれ図121A及び図121Bに上面図及び斜視図で示されているように、完全な分割や部分的な分割も可能である。
最後に、携帯型にすることが意図されているFuel Cell Stick(商標)デバイス700の場合、図122に示されるように、デバイスの上に安定化ポイント706を有することが有用である。これらは、デバイスから出現する背骨708の形を取ることができるが、小型炉の絶縁体98の中に延伸する役割しか担っていないため、振動を減衰させてFuel Cell Stick(商標)デバイス700を安定した状態に保持する。背骨708は、様々な形を取ることができるが、断面が小さく、したがってデバイスから熱を伝達しない形であることが理想的である。背骨708は、強度のために先を尖らすことができ、Fuel Cell Stick(商標)デバイス700のメインボディ部分での接続710をより大きくすることができる。さらに、安定化背骨708は、デバイスを携帯型にするかどうかにかかわらず、本願で説明されている全ての実施形態に使用可能である。
より大きな電力を達成するように、Fuel Cell Stick(商標)デバイスのサイズが大きくなると、考えられる課題の一つが、ガス及び/又は空気の流れが、狭い通路(フローチャネル)内に閉じ込められてしまい得ることである。フロー通路が、狭くて、薄くて、長くなると、流量が減少し得る。理論に縛られる訳ではないが、流量の減少は、粘性効果であると考えられる。更に、温度が上昇すると、特定の断面内のガス及び/又は空気の流れが減少し得る。
他の検討事項は、電力の毎ワット秒を達成するために特定量の燃料流が必要とされる点である。例示及び概算のみを目的とするものではあるが、予備調査で、本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス中の水素ガスは、少なくとも11ワット秒/ミリリットルのオーダを生じさせることができると分かっている。0.1ml/sの流量のH2では、本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイスは、1.1ワットを生じさせることができる。この調査に基づくと、より高い電力には、より大きな流量が必要である。
更に他の検討事項は、Fuel Cell Stick(商標)デバイスの全体的な密度(kW/l)がフロー通路を含む多様な構成要素の厚さに依存する点である。より高電力のデバイスのためにフロー通路を太くしようとする試みは、より小型のデバイスの密度達成度と相殺されてしまい、設計が全体的にうまくいかなくなる。従って、より高電力用のFuel Cell Stick(商標)デバイスの全体的なサイズを増大させる際に、密度を犠牲にせずに、良好な流量を提供する必要がある。
短いFuel Cell Stick(商標)デバイス(例えば、長さ2インチから長さ6インチ)の例では、1層当たりのワット数は面積によって制限されるので、細いフロー通路が許容可能である。更に、図123に断面図で概略的に示されるように、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10に追加的な厚さを足すことなく、流量を最大化するために、より太いフロー通路14a(又は予熱チャンバ13)がアクティブ33bに繋がり、そして、より細いフロー通路14b(又はマイクロチューブ638)がアクティブゾーン33bを通り抜けて延伸している実施形態について、既に説明している(例えば、図32A〜図32B、図117〜図118)。例えば、アクティブエリア33bにおいて、燃料通路14が1ミルで、アノード24が2ミルである場合(合計3ミル、つまり0.003インチ)、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10の全体的な密度を犠牲にすることなく、3ミルの燃料通路14aが、アクティブエリア33bに繋がることができる。3ミルの燃料通路14aは、アクティブエリア33bにおいて、厚さ1ミルの燃料通路14bよりもより大きな流量(流れに対してより小さな抵抗を有すること)を可能にする。各層に個々のギャップを有する短いFuel Cell Stick(商標)デバイス10の場合、一つの層に対して必要とされるミリリットル/秒単位でのガスフローは大きくなく、層の数を増やすことによって(例えば100層)、1つのFuel Cell Stick(商標)デバイス10当たりに対して高電力の出力とすることが更に可能である。
一方、より長いデバイス(例えば20インチ以上)とすることが可能であり、層の総数は小さくて(例えば20層)、1層当たりの総出力を、はるかに高くする。この場合、密度を犠牲にせずに所望の流量を提供するには、フロー通路に対する別の方法が有用となる。
一実施形態によると、Fuel Cell Stick(商標)デバイスに、アクティブ領域の外側でより広いフロー通路が設けられ、その広いフロー通路は、Fuel Cell Stick(商標)デバイスの長さ方向(つまり、x方向)に沿っておおまかには伝わり、短方向(つまり、幅方向又はy方向)では、より細いフロー通路がアクティブ領域にわたって設けられる。広い燃料通路は、Fuel Cell Stick(商標)デバイスに幹線(動脈)を提供するので、本願では幹線フロー通路と称される一方、一側から一側への(サイド・ツー・サイドの)通路は、アクティブエリアに対して供給を行うので、本願ではアクティブフロー通路と称され、小さな断面のギャップが全体的な密度を改善する。Fuel Cell Stick(商標)デバイスに供給するのにどれ位の量の流れが必要とされるのかに応じて、幹線フロー通路は、流れに対する顕著な制約を受けないように、断面(つまり厚さ又はz方向及び幅又はy方向)が十分に大きい。Fuel Cell Stick(商標)デバイスにわたるアクティブフロー通路の小さな断面は、二つの点で有用であり、具体的には、距離(y方向)が短く、断面(x方向及びz方向)が大きく、ガスフローに対する抵抗を低くする。
図41A〜図41Bについて上述した実施形態において、同様のコンセプトが説明されていて、単一の燃料通路14が、複数の空気通路20の反応に対して供給を行なう。また、上述のチューブ状Fuel Cell Stick(商標)デバイス200、200及び直列設計では、図89及び図119が、複数の分岐通路に対して供給を行なう単一の共通燃料供給通路を示している。
図124A〜図124Cは、他の実施形態によるFuel Cell Stick(商標)デバイス800を示し、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の一側に沿った幹線フロー通路814と、反対側に向けてアクティブエリア33bを横切る個々のアクティブフロー通路815又は複数のアクティブフロー通路815とを用いたフロー経路を有している。(二種のガス(燃料、空気)のうち一つに対する通路のみが簡単のために示されている。後述の実施形態では、両方のガス用の通路が示され、参照符号820が、第二のガスの幹線フロー通路に用いられ、参照符号821が第二のガスのアクティブフロー通路に用いられている。)本発明のこの実施形態によると、一つの大きな幹線フロー通路814が、複数のアクティブ層に対するアクティブフロー通路815に作用して(例えば、図124Aに斜視図で示される)、また、一つのアクティブ層に対して、幹線フロー通路814は、隣り合わせで存在し(例えば、図124Cに上面図で示される)x方向に間隔の空けられた複数のアクティブフロー通路815に作用する。フロー抵抗の減少は、隣り合わせの通路815全ての有効幅に比例する。ガスフローに関して平行に走る多数のアクティブフロー通路815を有することには以下の利点があると予想される:ガスフローは、デバイスの幅方向に沿って走る各々長さ1インチで幅0.5インチの10本のアクティブフロー通路を通る流れと比較して、デバイスのアクティブな長さ方向に沿って走る長さ10インチで幅0.5インチの単一の細いアクティブフロー通路815において遅いと予想される。想定される設計では、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の長さ方向であるx方向に走る幹線フロー通路814と、短いy方向に対してFuel Cell Stick(商標)デバイス800に沿って走る一つ又は複数のアクティブフロー通路815とを有する;しかしながら、本発明は、その特定の構成に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の構成も可能である。更に、複数のアクティブフロー通路815は、独立して機能するという利点を有して、アクティブフロー通路815のうち一つに故障(ひび割れ等)が生じた場合でも、他のものは機能し続ける。従って、電力の全体的な損失ではなくて、部分的な損失となる。
図124A〜図124Bは、幹線フロー通路814を形成する半円ギャップと、ギャップ周囲のシェルを形成するためにFuel Cell Stick(商標)デバイス800の周囲をラッピングする未焼結セラミックシートの層829とを示し、図124Bの斜視図に最も明確に示されている。ラッピング法を用いずにこれと同じ設計を得るための他の方法は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス内の未焼結セラミックの内部シートの幅が狭いエリア、又は、内部シートの一部が除去されているエリアに、ギャップ形成材料を挿入することである。図125A〜図125Cを参照すると、異なるサイズの複数の未焼結セラミックシートを一緒に用いて、ギャップ形成材料と共に、未焼結構造を構築することができる。
図125A(未焼結でアセンブリされたものの部分的な斜視図)では、非限定的な例として、幅1インチのFuel Cell Stick(商標)デバイス800に対して、デバイス800の頂部及び底部、つまり、幹線フロー通路814の上方及び下方の部分において、幅1インチの未焼結セラミックシート829を複数用いることができる。例えば、それぞれ厚さ2ミルの10枚のシートを、頂部及び底部のそれぞれに用いて(図では三枚のシートのみ示されている)、各部分の厚さを20ミルにする。中心部分では、複数の未焼結セラミックシート829の各々から、0.15インチの部分を除去して、0.1インチの部分829aと、0.75インチの部分829bを、幅0.15インチの幹線ギャップ形成材料872の両側に配置することができる。例えば、それぞれ厚さ2ミルの40枚のシートを中心部分に用いることができて(図では10枚のシートのみ示されている)、幹線フロー通路814の両側の中心部分で厚さ80ミルとなる。一又は複数の0.75インチのシート829bの代わりに、薄いギャップ形成材料874を用いて、アクティブフロー通路815(図には二つ示されている)を形成することができる。積層及び焼成において、幹線ギャップ形成材料872及び薄いギャップ形成材料874はデバイス800から焼き出されて、長さ方向に沿った側方の大きな幹線フロー通路814と、幅方向にわたるアクティブフロー通路815が形成される。
図125B及び図125Cにはそれぞれ、未焼結でアセンブリされたものの部分的な断面図と、積層されて焼成されたものの概略的な斜視図が示されていて、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の頂部及び底部に対しては同様の手法が用いられるが、中心部分において、複数の0.75インチの未焼結セラミックシート829bが、幹線ギャップ形成材料872の一側(図では右側)に配置され、他側にはセラミックが配置されない。積層において、頂部からの(及び/又は底部からの(図示せず))の未焼結セラミックシート829が、幹線ギャップ形成材料872(左側に示される)の周囲を取り囲み、対向する底部シート829の0.1インチの縁部に合わさる。焼成において、成形された幹線フロー通路814を備えた輪郭のFuel Cell Stick(商標)デバイス800が形成される。
図125A及び図125Bに示されるように、幹線フロー通路814から個々のアクティブフロー通路815への相互接続を得るため、中心部分において、ギャップ形成材料の薄いストリップ874が、幹線ギャップ形成材料872からFuel Cell Stick(商標)デバイス800の反対側へと延伸している。全てのギャップ形成材料872、874が無くなると、フロー接続ができる。幹線フロー通路814及びアクティブフロー通路815の両方に対するギャップ形成材料872、874については、上述してあり、例えば、有機物(プラスチックを含む)、炭素、ワックス、積層後に除去されるワックスでコーティングされた固体片が挙げられる。
図126Aは、三角形幹線フロー通路814を部分的な斜視図で示す。この形状は、積層の力を頂部から下に向ける一方、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の下側を固定プレートで支持する積層プロセスで得ることができる。この力は、機械的プレス又は静水圧(等方圧とも称される)積層において、一般的である。図126Bは、同じような三角形幹線フロー通路814を部分的な斜視図で示すが、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の最終的な形状が変更されている。成形されている固定プレート878でプレスすることによって、最終的なデバイスの形状を対称にすることができ、より良い構造強度が得られる。
図126Cは、最終的な形状の更なる変更を部分的な斜視図で示し、全ての縁を丸くするように、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800を、例えば機械加工、成形、又は注意深く積層することによるものである。完全に丸みを帯びた縁の形状は、機械的応力を低減し、ひび割れの危険性を低下することができる。
一部実施形態では、幹線フロー通路の設計は、一種類のガス、例えば流速の遅い(見かけ粘度の高い)ガスの流れのみを補助するものであり、より速く流れる他のガスには、これまでの多くの実施形態で説明したように、直線の通路が用いられる。例えば、図127に斜視図で示されるように、等価なサイズの通路では、水素が空気よりも速く流れるので、幹線フロー通路820を介してアクティブフロー通路821へと空気が流れる一方で、燃料は直線の燃料通路14を流れることが有用になり得る。
更なる実施形態では、入口の幹線フロー通路814と同様の出口(静脈)通路が設けられる。これによって、必要であれば、ガスの更なる制御が可能になる。図128A〜図128B(それぞれ斜視図と概略的な上面図)は、入口及び出口の設計を示す(簡単のため、一種類のガスのみを示す)。図示されるように、ガスフローは、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の一側の長さ方向に沿って、幹線フロー通路814を通って、アクティブエリア33bへと流れ、幅方向にわたって一又は複数のアクティブフロー通路815を流れ、デバイス800の他側の長さ方向に沿って出口通路816を流れる。出口ポイントは、高温ゾーンの内側又は外側に生じ得て、所望の位置においてFuel Cell Stick(商標)デバイス800から出る。
他の実施形態では、図129Aに概略的な断面図で示されるように、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の全体的な密度を低下させることなく、より小さな幹線フロー通路814、820が、アクティブ層に対して個別に配置される。Fuel Cell Stick(商標)デバイス800のアクティブ領域33bにおいて、電解質28の一側に対しては、アノード24は厚さ3ミル(0.003インチ)であり、燃料通路14(アクティブフロー通路815)は厚さ1ミル(0.001インチ)であり、これら二つの特徴部の合計の厚さは4ミル(0.004インチ)である。サイドマージンにおいて、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の全体的な厚さを加算することなく、ガス幹線フロー通路814が、全厚4ミルで設けられる。同様に、カソード26及び空気通路20(アクティブフロー通路821)には、同じ全厚の幹線フロー通路820が用いられる。流体の流れの基本原理に基づき、側部の4ミルの幹線フロー通路814、820は、1ミルのアクティブフロー通路815、821(燃料通路14及び空気通路20)よりも高い流量(低い抵抗)を有するので、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の一側から他側へと伝わる1ミルのアクティブフロー通路815、821の広いエリアに対して作用することができる。更に、図129B及び図129Cはそれぞれ、単一のアクティブ層に対して供給を行なう単一の幹線フロー通路814、複数のアクティブ層に対して供給を行なう複数の幹線フロー通路814を示す(簡単のため、逆側のフロー通路は示さず)。
本実施形態の実施においては、8ミルの幹線フロー通路814が使用される二つのアクティブ層、又は12ミルの通路814が使用される三つのアクティブ層が有用となり得る。実際には、一つの幹線フロー通路814が一つのアクティブ層に対して作用する図129Cの設計と、一つの幹線フロー通路814が全てのアクティブ層(所定のタイプのアクティブ層であり、アノード又はカソード)に対して作用する図124Aの設計(アクティブ層の数は数十層、又は百層となり得る)との間で適切な設計となり得る。
上述のコンセプトを念頭において、ガス状物質が両方とも幹線コンセプトのより高い毛細管流量の恩恵を受けることが考えられる。図130は、二重幹線Fuel Cell Stick(商標)デバイス800を斜視図で示す。第一の幹線フロー通路814は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の第一の端部11aから始まり、第二の幹線フロー通路820は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の第二の端部11bから始まる。流れは両方とも側部から流出する。これまでの実施形態のように、任意の幾何学構造の組み合わせが考えられ、両方のガスが、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の一方の端部又は両方の端部から流入する設計等が考えられる。
上述の図25A〜図27Bでは、Fuel Cell Stick(商標)デバイス100を、広いアクティブエリア104(幅広のスティック)と、炉から出て行く細長いセクション102、106とを有するように成形することについて、説明した。この設計は、幹線コンセプトにおいても使用可能である。全システムを簡略化する一つの方法/デバイスでは、幹線フロー通路814、820は直線で、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800が、図131A〜図131C(縮尺通りではない)に斜視図で示されるように、異なる領域に対して成形される。その成形は、例えば機械加工による。図131BのFuel Cell Stick(商標)デバイス800は、回転対称性を有するように左右不同に成形される。幹線フロー通路814、820は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の中心、又は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の側部に存在し得る。幹線フロー通路814、820の配置は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス内部のアクティブエリアを増大させることが可能であり、一部実施形態では、図131Cに示されるように、両側のアクティブエリアに対して使用されるように、中心に沿って幹線フロー通路814、820を有することが有利になり得る。一実施形態によると、デバイス800の湾曲部は高温ゾーン32内にあり、細い端部領域11a、11bのみが、炉から出て行き、低温端部として機能する。従って、比較的短くて幅広のデバイスとして図示されているが、これら図面は縮尺通りのものではなく、実際のデバイスは、完全に炉の内部に存在している幅広のアクティブ部分と、炉の外側に大きく存在する細い端部を有するように構成された成形部分を備えるように、細長なものである。
広い幹線フロー通路814を備えたFuel Cell Stick(商標)デバイス800のレイアウトの設計において、出口の設計は慎重に行なわなければならない。例えば、図124A〜図124Cの実施形態のように、側部の幹線フロー通路814が広い場合、出口経路が、反対側のガス幹線フロー通路820と交差してしまうので、アクティブフロー通路815がFuel Cell Stick(商標)デバイス800の反対側を通って出て行くことができない可能性がある。特定のFuel Cell Stick(商標)デバイス800に対してこの問題を解決するため、第三の寸法(垂直なz方向)をフロー経路に追加して、図132A(概略的な端部図)及び図132B(概略的な上面図)に示されるように、アクティブフロー通路815、821が、垂直ガス出口ホール817,823で終端していて、これは、垂直フローチャネルとも称される。
垂直ガス出口ホール817は、反対側のガス幹線フロー通路820と交差してはならず、また、反対側のガスアクティブフロー通路821と交差してはならない(その逆も同様である)。図132A〜図132Bのアノード及びカソードに対して供給を行なう二つのガスフロー通路の形状は、回転対称性を有する。
垂直出口ホール817、823は、表面に経路を提供するために未焼結テープに穿たれて積層された従来のビアと同様である。代わりに、垂直出口ホール817、823は、完成した未焼結のFuel Cell Stick(商標)デバイス800に、単純にドリル加工で設けることができる。この設計に基づいて、互いに均一に積層されたアクティブエリアを備えて、電池層の積層体が下から上まで整列されて、ドリル加工された各ホールが、複数のガス排出ポイントを横切るようにすることが有用である。
図133は、複数の垂直出口ホール817、823を備えた図126CのFuel Cell Stick(商標)デバイス800の外見の斜視図である。列の各ホールは、直列になっている個々の電池に対応するものであり得る。Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の一側に対して、アノードガス(燃料サイド)出口ホール817が存在し、他側に対して、カソードガス(空気サイド)出口ホール823が存在する。
図132A〜図133のガスフロー及び出口通路の設計は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800内部の直列電池の設計に非常に有用となる。この方法の使用は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800内部の同一アクティブレベル(階層)に空気及び燃料フローを有する方法の一つである。図134A〜図134Bには、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800内の一つのレベルが示されていて、同一の層に対して、電解質28が交互にアノード24とカソード26を有する(図134Aは、多層Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の構築における、個々の電解質シートを見下ろしたものである)。図80、図92及び図119に示されるような、これまでの特定の実施形態では、電解質28の一側が、空気又は燃料通路20、14のみを含み、電解質28の頂部から底部への相互接続の複数の方法について示してきた。図134A〜図134Bの実施形態では、空気/カソード26及び燃料/アノード24が、電解質28の同じ側において交互になっていて、図134Bの概略的な断面図(単一の電解質層28と対向するアノード24及びカソード26のみを示す)に示されるように、相互接続868が、電解質28の一方の側に存在することができて、電解質28を貫通する必要がない。対向するアノード24及びカソード26の対は、図134Bから明らかなように、電解質に沿って極性が交互に反転していて、隣接する対は、電解質の一側から他側に向けて、交互に相互接続868によって電気的に接続されている。
この設計から、図81及び図83に示されるような多数の直列及び並列の構成が考えられる(物理的構造は若干異なるが)。図135Aの部分分解図は、アクティブフロー通路815、821を形成して、図134Aの一般的な設計を有する多層構造を形成するためのギャップ形成材料94を備えた、複数の図134Bの構造の積層体を示す。アノード24及びカソード26用の共通ガスフロー通路の使用(アクティブエリア内の一つのガスフロー通路が、二つのアノード24又はカソード26(頂部及び下部)に対して作用することを意味する)と、電池間の相互接続868が、一つの層から次の層へのコンタクトを提供することができる点とには留意されたい。この構造が圧縮されると、ギャップ形成材料94の間において相互接続868が互いに短絡して、相互接続868が対向している箇所において、隣接する層の電池が互いに短絡する。図135Bは、その結果としての電池の電気的構成のダイヤグラム図であり、電子は負から正へと流れる。図135Aに示される層を互いに圧縮する結果として、厚さがばらつく可能性がある。こうした厚さのばらつきは、追加材料を加えることによって解消可能であり、例えば、セラミックテープ片を加えることによって、セラミックインクをスクリーン印刷することによって、または、スラリーがより深部に充填するように他の材料に対してテープキャスティングすることによる。追加材料を加えることによって、多様な層のレベル化(階層化)を補助する他の方法も考えられる。
図136及び図137はそれぞれ、幹線フロー通路814、820及びアクティブフロー通路815、821を用いた多層直列‐並列Fuel Cell Stick(商標)デバイスの更なる実施形態を斜視図で示す。図136A〜図136G及び図137A〜図137Gはそれぞれ、図136、図137のFuel Cell Stick(商標)デバイス800のA〜Gに沿った断面図を示す。各デバイスは二つのアクティブ層を含み、アクティブ層毎に三つの電池を備え、合計六つの電池となる。図136及び図136A〜図136Gにおいて、燃料及び空気の出口通路は、デバイス800の側縁部に沿っていて、空気アクティブフロー通路821及び燃料アクティブフロー通路815にはそれぞれ、対応する空気幹線フロー通路820、燃料幹線アクティブフロー通路814によって供給が行なわれ、三つの燃料幹線フロー通路814、3つの燃料アクティブフロー通路815、三つの空気幹線フロー通路820、3つの空気アクティブフロー通路821が存在する。図137及び図137A〜図137Gでは、燃料及び空気用の出口通路が、デバイス800の頂面に対して垂直になっていて、三つの空気アクティブフロー通路821及び垂直出口通路823のそれぞれに対して、単一の空気幹線フロー通路820によって供給が行なわれ、三つの燃料アクティブフロー通路815及び垂直出口通路817のそれぞれに対して、単一の燃料幹線フロー通路814によって供給が行なわれる。一つの層内のアクティブフロー通路815、821は、他の層のアクティブフロー通路815、821と整列されるか、又は互い違いにされる。これによって、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の設計者に更なる自由度が与えられる。図138は、図136及び図137のFuel Cell Stick(商標)デバイス800の電極配置及び相互接続によって得られる直列‐並列の組み合わせのダイヤグラム図である。図139は、同様の電極配置及び相互接続によって得られる直列‐並列の組み合わせのダイヤグラム図であるが、四つのアクティブ層を備え、その各々が四つの電池を直列に備え、合計16個の電池となっている。端部の接続は図示されていないが、構造の端部から共通接続ポイントに導体を這わせることによって、これまでの図面に示されるように設けることができる。
アノード24及びカソード26を相互接続する方法(つまり、一つの電池の正極を隣の電池の負極に接触させるように、アノード24とカソード26との間の直列接続を提供する方法)に関して、図140Aの水平断面図に概略的に示されるように、アノード24とカソード26との間の全領域にわたって、導体層を相互接続868として印刷することができる。導体(アノード24とカソード26との間の電気接続を提供するので相互接続868と称することにする)は、上述のような多様な材料製であり、例えば、導電性セラミック、貴金属、非貴金属、高温合金等が挙げられる。
許容範囲ではあるが、いくつかの理由により、この構造には改善の余地がある。理由の一つは、相互接続868を稠密に焼成しなければならず、焼成された構造においてその上下の電解質から剥離してはならない点である。相互接続868は、空気領域及び燃料領域を分離する密封領域にわたって延伸するが、相互接続868の導体は、電解質のセラミック材料と同じものではないので、焼成された状態においてその接着性が優れない可能性がある。例えば、導体にYSZセラミックを加えることによって、接着性を向上させることができるが、これは材料の導電性を低下させる。このため、相互接続868を多層にして、例えば、三層のサンドイッチ状にして、内部層として純LSM、上部及び下部層としてLSM‐YSZとすることによって、上部及び下部にYSZ含有電解質28対する優れた接着性を与え、三層の中心において優れた導電性を与える。しかしながら、この方法は非常に複雑となり得る。大きな相互接続868に関する他の不利な点はコストであり得る。相互接続868を形成するには貴金属を使用することが便利である。パラジウム、又はパラジウム‐銀を用いることによって、そのコストを最小化することができ、Pd及びAgの合金を使用するために、焼結添加剤を用いて、YSZの比較的低い焼成温度の利点を活かす。しかしながら、貴金属の使用量を減らすことが何よりも最良である。
これらの懸念事項を念頭において、図140Bは、相互接続868を概略的な水平断面図で示す。アノード24とカソード26との間のギャップ全体にわたって導体を配置する代わりに、ギャップに対して、ストライプ状の相互接続868が堆積されている。純金属(貴金属又は非貴金属)による高い導電性をストライプが有するのであれば、この減少した面積でも十分であり、抵抗損失は生じない。又は、より高い抵抗率を有する導電性セラミックLSMの場合、密閉エリアにわたるアノード24からカソード26までの距離が十分に短ければ、このストライプは十分に機能する。非限定的な例として、アノード24とカソード26の間の距離は0.2インチであるのが適切であるが、低抵抗損失とするために、可能な限りその距離を短くすることが望ましい。
更なる実施形態によると、ストライプ状相互接続868が、アノード24及びカソード26の上に重なるように印刷又は分配される。結果として、各ストライプの周囲に、セラミックを積層させるためのより大きな空間が存在することになる(ストライプは細いので、ストライプの両側のセラミック層間に優れた接着性が得られるならば、セラミックから相互接続868までの高い接着力に対する要求が低下する)。また、ストライプ法では、アノード24とカソード26との間の全エリアを導体でコーティングする場合よりも使用される材料が少ないので、高価なものであり得る材料の使用量が減る。図140Bのこのストライプ状相互接続構造は、“櫛状相互接続”とも称される。
図134A〜図139で説明された直列‐並列の組み合わせに関して、内部電極(アノード24及びカソード26)を、電圧源への接続のために、低温端部領域において、外部の表面コンタクトに結合しなければならない。例えば、アクティブ構造の始点及び終点において、導体が出て来て、表面導体に接触し、その表面導体がFuel Cell Stick(商標)デバイス800の縁に沿って低温端部へと延伸する。多様な設計が考えられ、これまでの実施形態で説明したように、例えば、ビアホール、表面に対する幅広の導体経路、側部に対する導体であって表面を包み込むもの等が挙げられる。
ドリル加工されたホール出口及びビアホール出口に対する変形例が図141A〜図141B(それぞれ断面図、斜視図)に示されている。Fuel Cell Stick(商標)デバイス800から制御不能に流出する過剰燃料は問題となり得る。燃料が高温ゾーン32において流出すると、その燃料は酸化雰囲気において瞬時に燃焼し、熱を放出する。過剰燃料の量が多い場合、熱も多くなり、その過剰熱は、局所的な膨張によってデバイス800に対して機械的応力を発生させ、デバイス800にひび割れを生じさせる可能性がある。垂直出口ホール817、823の場合において、この負の可能性を相殺するため、本発明の一実施形態では、表面チャネル又は幹線837、839を用いて、出て行く過剰又は使用済みの燃料及び空気を所望の出口位置に向ける。その出口位置は、炉の外側であるか、又はFuel Cell Stick(商標)デバイス800の別のポイントである。本実施形態では、各タイプの内部の幹線フロー通路814、820に対して少なくとも一つの表面幹線837、839を追加することによって、主な幹線の数が増加している。非限定的な例として、表面幹線837、839は、例えば、半円形の幹線ギャップ形成材料872を垂直出口ホール817、823の上方に配置して、その上を未焼結セラミックテープで覆うことによって形成可能である(図125Bを参照)。積層及び焼成において、覆っている未焼結セラミックテープが、幹線ギャップ形成材料872の両側において、デバイス800の下方のセラミック29に結合する一方、幹線ギャップ形成材料872が焼き出されて、表面幹線837、839が残る。
図142の断面図に示されるFuel Cell Stick(商標)デバイス800の他の実施形態では、デバイスが、四つの対称な幹線によって囲まれていて、その内の二つは、アクティブフロー通路815、821に燃料及び空気を供給するための入口幹線フロー通路814、820であり、他の二つは、使用済み(過剰)燃料及び空気用の出口表面幹線837、839である。
図141A〜図142において、入口及び出口フローの配置を逆することが考えられる。特に、表面幹線837、839(燃料、空気)が、出口経路ではなくて、入口経路となり得る。この逆配置実施形態では、表面幹線837,839が、高温ゾーン32の外へ延伸して、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の最終端部に(又は最終端部近傍に)向かう。また、本実施形態では、内部幹線フロー通路814、820が、使用済みの空気及び燃料用の出口通路となり得る。図141及び図142の組み合わせによって考えられる一変形例では、燃料及び空気用の入口及び出口経路が全て、Fuel Cell Stick(商標)デバイス(図141A、図141Bに示される形状)の表面上の表面幹線837、839(チャネル)を介して出現し、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の中心に出入りする空気及び燃料用のアクセスを提供するドリル加工ホール817、823が備わる。最後に、図141の一変形例では、デバイス800が、デバイスの頂部に四つの表面幹線を有して、内部幹線フロー通路を全く有さず、ドリル加工ホール又はビアホールを介して設けられた相互接続を備え; 又は、デバイスが、デバイスの頂部側に二つの表面幹線を備え、デバイスの底部側に二つの表面幹線を備え、内部幹線フロー通路はここでも全く有さず、ドリル加工されたホール又はビアホールを介して設けられた相互接続を備える。
上述の本発明の実施形態では、過剰燃料を、発生する過剰な熱が比較的穏やかな箇所に向けるように工夫されている。一実施形態では、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10、100、800のサイドエッジに沿った出口が適切に機能し、ギャップがデバイスの側部から出ている(例えば、図1、図3A、図18〜図19、図21〜図24、図25B〜図27B、図32A〜図32B、図130、図136を参照)。本発明の他の実施形態では、図143Aの概略的な斜視図に示されるように、出口領域902が、Fuel Cell Stick(商標)デバイス900のサイドエッジに形成されていて、デバイス900の残りの部分から突出している。例示的な実施形態では、このサイドエッジ突出部の内角904は、尖っておらず、円くなっている。燃料が出て行く出口領域902、つまり、サイドエッジ突出部は、高温になるが、Fuel Cell Stick(商標)デバイス900から離れるように外に向かって膨張するので、デバイス900に対する望ましくない応力が小さくなる。非限定的な例として、長さ9インチのFuel Cell Stick(商標)デバイス900に対して、0.25インチ外に突出する出口領域902を有することが有用であるが、寸法の多くの組み合わせが考えられる。
他の実施形態では、図143Bに概略的な斜視図で示されるように、過剰ガスが、成形されたFuel Cell Stick(商標)デバイス910の角912又は湾曲した通路914から出て行く。より具体的には、図示される特定の実施形態によると、Fuel Cell Stick(商標)デバイス910の端部916は、湾曲した通路914に沿って、第一の幅W1(デバイス910の大部分の幅)から、より小さな第二の幅W2へとテーパ加工されて、細い端部領域918が提供される。過剰ガスは、湾曲した通路914に沿って、又は第一の幅W1と湾曲した経路914との間に形成された角912(図示されるような)において、流出する。この場合も、図143Aについて上述した膨張原理が、この設計が有用となる理由になる。また、デバイス910は、縮尺通りになっておらず、細長になることが考えられ、湾曲した通路が有利に炉の中に存在し、デバイス910に対して、細い端部領域918が、炉の外へと移行していく。
更に他の実施形態によると、図143C(概略的な斜視図)及び図143D(概略的な側面図)に示されるように、Fuel Cell Stick(商標)デバイス920から上方に発散する出口通路を提供する頂部出口突出部922を有することが有用となり得る。実際、本実施形態は、内部の幾何学的形状の設計の制限により、Fuel Cell Stick(商標)デバイス920が一つ又は非常に少ない数のアクティブ層を有する場合に、非常に有用であると考えられる。
他の実施形態によると、導電性ボール930を、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(100、200、300、400、500、600、700、800、900、910、920)(以下、“デバイス10(等)”とする)内に使用することができる。図144は、本発明において使用される導電性ボール930を示し、内側のセラミックボール932と、外側のコーティング934(導電性金属であり得る)を備える。本発明で使用される導電性ボール930の製造方法としては、多様なものがある。方法の一つは、セラミックボール932をコーティングすることである。利便性のため、セラミックボール932は、カソード導体(LSM等)や、アノード導体(酸化ニッケル等)でコーティング可能である。他の方法は、固体カソード導体、アノード導体、又は貴金属で導電性ボール930を製造することである。更に他の方法は、電気メッキ、スパッタリング、厚膜の適用、他の多様な金属コーティング方法によって、セラミックボール932をコーティングすることである。
導電性ボール930の有用性は、例えば、図135A、図136A及び図137Aに示される直列並列の組み合わせにおいて明らかとなる。導電性ボール930は、電池のアクティブフロー通路815、821に適用されて、単一のアクティブフロー通路815又は821上で向き合う二つのアノード24又はカソード26を接続することができる。これは、直列‐並列構造を形成するのに役立つ。また、導電性ボール930の使用は、相互接続868が互いに実際に接触するようにする必要性を排除する。導電性ボール930の使用は必須ではないが、Fuel Cell Stick(商標)デバイス800の設計者に更なる自由度を与える。
本発明の更なる実施形態によると、ナノサイズ粉末を使用して、本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の性能を向上又は改善させることができる。セラミックの分野一般において、ナノスケール粉末を使用して、多様な利点を提供することができる。粒子サイズがより微小になると、より高い電圧破壊強度及びより高い機械強度を与えることができる。また、粒子サイズがより微小になると、より大きな表面積を与えることができ、表面エリアにおける限定された反応及び輸送現象を補助することができる。更に、粒子サイズがより微小になると、セラミックの必要とされる焼結温度を下げることができる。これらの全ての利点は、一般的に、全電力、電力密度、及び/又は、効率、又は、性能及び特性に関する多様な他の側面に関して、本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)における向上した利点に当てはめることができる。
例として、25nm及び50nmの粒子サイズの電解質粉末を用いることができる。図43及び図44に示されるように、微粒子材料を、電解質28の表面上の表面粒子62として用いて、電解質28内へのイオンの輸送を向上させることができる。この微粒子材料がナノサイズ粒子であり得る。また、ナノサイズ粒子は、電解質28の表面上の粒子のフラクタル型配置の一部となり得る。この設計では、図43に示されるもののような小型電解質特徴部が、より小型の電解質特徴部で覆われて、そして、そのより小型の電解質特徴部が更に小型の電解質特徴部で覆われて、最も微小なナノサイズ粒子まで続く。このフラクタル表面配置は、電解質28内へのより高いイオン輸送をもたらすことができる。
同様に、ナノサイズ粒子は、本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)のアノード24及びカソード26にも有用である。アノード24及びカソード26は化学反応を行なう必要があり、より微小なサイズの粒子は、三重点の数(つまり、電子、イオン、気体の出会い)を増加させて、所定の材料の反応性を増大させることによって、この化学反応を促進すると考えられる。
多層未焼結セラミック製造方法が、最もコスト的に優れて、本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)を製造するための柔軟性のある手段であり得る。多層セラミックは、拡張性及び生産性に関して、他の方法よりも優れていることが証明されている。そのため、本願で説明される実施形態は主に、多層未焼結セラミック方法に関するものであった。しかしながら、他の方法を用いて、同じ目的を達成することが可能である。こうした技術の一つは、直接描画であり、ペンが、特定形状及び三次元の幾何学的形状に材料を分配する。他の技術は3次元印刷である。更に他の方法は、全ての材料がペースト状に印刷される従来の厚膜印刷の使用である。上述の技術の一部として、直接描画又は多様な分配技術を用いて、分配の際に存在しているコア及びシェル(電解質の内側のアノードや、電解質の内側のカソード等)を有するチューブを分配することができる。直接描画された又は分配されたチューブの使用は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)に対して示された設計において考えられる変形例である。最終的な設計において、チューブは単純に、断面の体積がより小さなチャネルとなる。一つの層上に多数のチューブが存在し得て、共にその層の多数のガス通路を形成するが、これは、所定の層上に一つよりも多くのチャネルを示す上述の設計と同様のものである。同様に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の内部に配置されたチューブを、直列‐並列電気構造内に組み合わせることが考えられる。
固体酸化物燃料電池(SOFC)及び溶融炭酸塩燃料電池(MCFC)分野におけるFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の使用について、上述してきた。しかしながら、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)は、固体酸燃料電池(SAFC,Solid Acid Fuel Cell)においても有用となり得る。この新しいタイプの燃料電池において、電解質は、陽子を伝導させる固体である。一設計では、SAFC電解質はCsSO4製である。この材料は、塩及び酸の両方に対して同様の特性を有するものであると、説明されている。高温において、この材料は陽子を良く伝導させて、100℃から300℃の間の温度で動作すると説明されている。SAFC構造は、Fuel Cell Stick(商標)デバイスの全体的な設計からの恩恵を受けるものであると考えられ、アノード、カソード、電解質及びギャップ通路が同様の機能を果たすが、成分材料が異なる。実際、他の新しいタイプの電池も、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)に対して本願で説明した革新的な技術からの恩恵を受けるものである。
上述の図67A〜図67Bに関して、図145は、炉940の外側に単一の低温端部11aを有するFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)に対して、単一のプラグ設計を示す。この設計を、空気‐燃料‐電力(AFP,air−fuel−power)プラグ950と称する。AFPプラグ950は、燃料通路952及び空気通路954を提供することによって、空気及び燃料の輸送機能を両方とも果たし、更に、電気接続用の二つの導体956を提供する。従って、プラグ950に対して四つの経路が取り付けられて、ガス及び電気を運ぶ。AFPプラグ950は、導体956に対する確実な機械的接触を可能にするばねコンタクトを含み得て、また、ガスを密閉するためのOリング等の密閉デバイスを含み得る。また、図66A〜図66Bに関して説明したように、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の端部を成形することが有利となり得る。くぼみ132によって、AFPプラグ950がその位置に留まる性能が更に提供される。
本発明の他の実施形態によると、動作用の二つ又はそれ以上の離散電力レベルを有する単一のFuel Cell Stick(商標)デバイス10が提供される。例えば、Fuel Cell Stick(商標)デバイスは、20ワットモード又は200ワットモードで動作可能である。低電力供給(例えば20ワット)を有することが望ましいが、より高い電力(例えば200ワット)を合計で生じさせる追加性能を備えることが望ましいという応用が存在し得る。非限定的な例として、軍事応用では、二重電力供給性能が兵士にとって有用となり得て、いくつかの電子デバイスを操作し、他のデバイス用のバッテリーを充電するのに、電力レベルの変更が求められる。他の例は、無人飛行機におけるものであり、高度を上げるためにより高い電力が必要とされ、位置を維持するのにはあまり電力が必要とされない。これらの電力はそれぞれ100W、10Wであり得るが、より高く又はより低くなり得る。
図146Aは、燃料及び空気の両方に対する二重入口を有する二重電力供給Fuel Cell Stick(商標)デバイス960の側面図を概略的に示す。二重電力供給Fuel Cell Stick(商標)デバイス960の一例によると、それぞれ10ワットの20個のアクティブ層が存在している。20ワットモードに対しては、燃料及び空気の入口ポイント962a、964aが、二つのアクティブ層にのみ作用する。より高出力が必要になると、別の入口ポイント962b、964bが追加の層に作用する。全電力が必要な状況では、空気及び燃料がそれぞれ二つの位置から流入する。図146Bに概略的に側面図で示される変形例では、各端部が、二つの入口ポイント962a及び962b、964a及び964bと通路を分離する溝966を含むことによって、四つの端部968a、b及び970a、bが画定されて、そのそれぞれが、コネクタに合致する。最終的なシステムの要求に合致する他の幾何学的形状も考えられる。
二重電力供給デバイスと称してはいるが、実際には、デバイスは、三つの離散電力レベル(低、中、高)で動作可能であり、一つの離散電力セクション(高ワット数)が、他の離散電力セクション(低ワット数)よりも多くのアクティブ層を有する。低電力レベルは、アクティブ層の数が少ない離散電力セクションに作用する燃料及び空気入口ポイント962a、964aに燃料及び空気を供給することによって動作する。中電力レベルは、より多くのアクティブ層を備えた離散電力セクションに作用する燃料及び空気入口ポイント962b、964bに燃料及び空気を供給することによって動作する。高電力レベルは、全てのアクティブ層が作動するように両方の離散電力セクションに作用する燃料及び空気入口ポイント962a、964a、962b、964bに燃料及び空気を供給することによって動作する。そうすると、上述の例において、20個のアクティブ層でそれぞれ10ワットとして、第一の離散電力セクションが五つのアクティブ層を含み、第二の離散電力セクションが15個のアクティブ層を含むと、デバイスが、50ワット、150ワット、200ワットで動作可能となる。
他の実施形態によると、二つよりも多くの離散電力セクションが存在し得る。例えば、全てのアクティブ層に対して供給を行なう一つの空気接続と、異なるグループのアクティブ層に対する複数の離散燃料接続が存在し得る。従って、デバイスは、多重電力レベルで動作可能である。更なる実施形態では、一つのAFP(空気‐燃料‐電力)プラグ950が複数の入口に作用して、例えば、図146Aのデバイスにおいて、一つのプラグから二つの燃料又は空気入口に作用する。
上述の実施形態では、犠牲材料72、94、872、874を用いて、フロー通路14、20、814、815、820、821が形成されていた。有機材料を用いてより太い通路(幹線フロー通路814、820等)を形成しようとすると、これらの有機材料の焼き出しがより大きな課題となる。より太い通路に対しては、より遅い焼き出しプロファイルが、デバイス10(等)内の剥離を防止するために有機物をより遅く除去するのに必要となる。一変形例の形成方法では、炭素マット(ランダムに配向した炭素繊維)や、炭素布(一般的な布へと織られた炭素繊維)にワックスを加えて用いるが、この炭素‐ワックス材料のより太い部分が、ある程度の剥離を生じさせ得る。理論に縛られる訳ではないが、融解の際に、ワックスが膨張して、未焼結セラミックテープにある程度の圧力を与え、剥離を生じさせ得ると考えられる。
ワックスのよって生じる剥離を防止するための一実施形態では、ワックスを使わずに、炭素マット/布をそのまま使用する。これによって、通路を形成すると、積層後においても、構造内に隙間がある。積層中にフィルム支持及び幾何学的構造を提供するワックスがないと、炭素繊維は隙間通路を与え得るが、焼成された頂部及び底部のセラミック表面は、繊維からのくぼみを有する。更に、積層において、未焼結セラミックテープは炭素繊維内に入り込まず、通路を閉じる。基本的に、炭素繊維は、積層プロセス(典型的には3000から5000psi)中に、所望の通路を開けたままにする骨組みを提供する。
骨組みとして機能する炭素繊維を有する上述のプロセスの変形例では、未焼結セラミックテープは、繊維間の隙間に入り込むことを防止する特定の剛性を有する。このテープの剛性は、テープ形成における変数を介して制御可能である: セラミック添加量がより多く、可塑剤量がより少ないと、剛性がより高くなり、又は、その逆である。同一の原理が、アクティブエリアのアノード及びカソード層に当てはまり、電極のレシピは、電極が繊維マトリクス内に入り込むことを防止して、アクティブエリア内の通路(つまりアクティブフロー通路)を開いたままにする適切な剛性を提供するように、選択される。更に、このコンセプトは、炭素布及びマットに限定されるものではなく、繊維の組成に関わらず、また、繊維がどのように構造内に配置されるかに関わらず、あらゆる犠牲繊維の構成要素に拡張される。
Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)を構築する多層テープ方法を用いることによって、デバイスを大型ウェーハ内に論理的に形成可能であること、また、ウェーハが、未焼結状態において形成及び積層後にダイシングされて、個々のユニットを提供することは理解されたい。従って、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)が単一のユニットとして示されている点は、ウェーハからデバイスを作成して、必要に応じてダイシング及び成形するという方法を排除するものではない。
本発明の他の実施形態によると、多層構造の構築において、構成要素を還元雰囲気で焼成可能である。例えば、酸化ニッケルがアノード24として使用される。燃料が高温で加えられると、アノード24は金属ニッケルに還元して、高導電性をもたらす。ジルコニアは酸素に対する高い親和力を有するので、ジルコニアを損傷することなく、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)を還元雰囲気で焼結させることが可能であり、酸化ニッケルの代わりに金属ニッケルを使用したデバイスが構築される。また、還元雰囲気での焼結は、高温合金の使用を容易にする。酸化耐性を有する相互接続金属として、高温特殊合金が挙げられるが、こうした合金を焼結するには、金属粒子の表面を酸化しないようにする必要があり、これは、還元雰囲気で焼結することによって達成可能である。
より薄い層を使用する場合、電解質28自体が非常に薄いので、無傷で、ひび割れが無く、及び/又は漏れが無いようにする強度を有さない可能性がある。しかしながら、図147Aの断面図に示されるように、アノード24及びカソード26が電解質28に対して厚さを追加して、処理及び使用中においてひび割れが無いようにする強度を有するレベルへと、アクティブエリア33bの全厚さが増大するので、アクティブエリア33bにおける非常に薄い電解質28が許容可能になる。しかしながら、完全なデバイスを構築するためには、厚いアクティブエリア33bから薄い電解質28への移行が生じる箇所である、アクティブエリア33bに隣接する領域、又は、アクティブ層33bが縁976にひびを生じさせ得る領域において、電解質28の厚さを増大させなければならない。そこで、図147Bに断面図で示されるように、追加のセラミック電解質材料29(例えば、追加のジルコニアテープ層)を用いたり、他の不活性材料を用いたりして、アクティブエリア33bの隣りで、電解質28に厚さを加えることができる。電極24、26及び追加厚さの材料29の積層においてずれが生じると、図147Cに断面図で示されるように、小さなスポット又はギャップ978が、アクティブ領域33b付近の縁976に沿って生じ得て、欠陥となる。
ずれの可能性を防止又は低減するため、追加材料980を、アクティブエリア33b上に重畳するような方法で、本発明の実施形態により、追加することができる。例えば、図147D及び図147Eの分解斜視図、断面図に示されるように、追加材料980を、額縁のように、電極24、26の上に配置することができる。追加材料980のカットアウト982は電極24、26と同じ形状であるが、僅かに小さい。追加材料980をアクティブエリア33bの上に配置する際(カットアウト982が電極24、26の上に配置されるようにして)、カットアウト982に隣接する追加材料980が、全ての辺に対してアクティブエリア33bの縁976の上に重畳して、ずれによるアクティブエリア33bの縁976における小さなスポットが存在しないことを確実なものにする。積層において、追加材料980は電極24、26に対して確実に押さえ付けられる。未焼結層を備えたFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の構築におけるこの額縁方法は、ずれに対する耐性を有する。図147D及び図147Eに対する代替例は、追加材料980(つまり額縁片)をまず下に配置して、その上に電極24、26を配置すること(電極24、26をカットアウト982上に配置すると共に)である。カットアウト982に隣接する電極材料24、26は、追加材料980の上に重畳し、積層されると、図147Fに示されるように、電極24、26は追加材料980に対してしっかりと押し付けられて、ずれが生じないことを保証する。
上述の多様な実施形態において説明したように、本願の図面は、必ずしも縮尺通りではない。例えば、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の長さは、デバイスが紙面に入るように短くしてあることが多く、その見た目が、細長のデバイスではなくて、比較的短くて、幅広のデバイスとなっている。本発明のデバイスの寸法は、図示されている縮尺に限定されるものではなく、幅又は厚さよりも少なくとも数倍その長さが長いデバイスが、特に考えられ、追加的な利点を提供し得ることは理解されたい。例えば、デバイスの長さは、幅(最も幅広のポイントにおける)よりも6〜20倍長いものであり得る。更に、幅(及び長さ)に対する相対的なデバイスの厚さは、デバイスの特徴を明確に示すために誇張されている場合が多くあるが、幅よりも厚さが薄くて、例えば、幅が厚さの数倍であるデバイスが、特に考えられ、追加的な利点を提供し得ることは理解されたい。各実施形態において、長さ、幅、厚さは、設計、製造、コスト、性能の要求に合うように調整可能であり、本願で説明される実施形態は、特許請求の範囲及び/又は明細書でそのように限定される旨が明記されていない限り、特定の寸法に限定されるものではない。
図49及び図50に関して上述した方法では、ワイヤ92(又は他の物理的構造)は、未焼結層の構築中にデバイス内に配置され、ガス通路を形成するための積層後に除去される。多数のワイヤが使用可能であり、その各々がガス通路を形成する。特に大きな利点の一つは、ワイヤ上へのワックスコーティングが必要とされない点である。例えば、ピアノワイヤやステンレス鋼ワイヤが使用可能であり、焼結後のワイヤの除去を容易にするための離型剤の単純なスプレーコーティングがされる。例えば、一実施形態では、ワイヤに、TFE又はPTFEの離型剤がスプレーされる。離型剤は、金属の表面上のキャビティを単純に充填し、積層されたテープのその表面への接着力を低減することによって、ワイヤを数ポンドの力(ペンチで加える力等)で引き出すことができるようにすると考えられる。
図148A及び図148Bに示される本発明の更なる実施形態によると、複数のワイヤ92を用いて、単一のガス通路(例えば、図示されている幹線フロー通路814)を形成することができる。これは、直列設計、及び小さなアクティブフロー通路815、821に供給を行う大きな幹線フロー通路814、820を有する設計において特に有用である。例えば、図148Aに示されるような単一層の複数のワイヤ92を用いて、幹線フロー通路814等のガス通路を形成することができる。図示されているようなギャップ形成材料874又は単一のワイヤを用いて、主要な幹線フロー通路814から分岐するアクティブフロー通路815を形成することができる。例えば、0.020インチのワイヤを使用することができるが、より太い又は細いワイヤも想定される。ワイヤのサイズが大きくなると、セラミック29に対するワイヤ92の接着力が、各ワイヤ92の大きな表面によって増大するので、複数の小さなワイヤ92をデバイス10内に配置して通路を形成することが有用になり得る。図148Aの設計では、三本のワイヤが隣り合って図示されているが、二本又はそれ以上、例えば三本、四本、五本が使用可能である。これは流れ用の体積を三倍にするが、簡単なワイヤの除去も可能にしている。
図148Bに示される他の方法では、幹線フロー通路814等のガス通路を形成するために、束になった複数のワイヤ92が使用されている。流れの直径は非常に大きいが、ワイヤの除去は単純である。図示される例では、七本のワイヤが束にされているが、あらゆる数のワイヤ、特に三本以上が想定される。実施形態を組み合わせて、束になった複数のワイヤ92を用いて、幹線フロー通路814を形成する一方で、複数のワイヤ92の単一層を用いて、主要な幹線フロー通路814から分岐するアクティブフロー通路815を形成することができる。従って、単一のワイヤの実施形態と比較して、束が、高さ方向及び幅方向の両方においてより大きな体積で幹線フロー通路814を提供する一方で、単一の層の複数のワイヤが、高さ方向ではなくて幅方向においてより大きな体積でアクティブフロー通路815を提供する。
複数ワイヤの方法は、図32Aの狭いガス通路14、20に供給を行う大容量予熱チャンバ13、19を形成する際にも有用である。長さの異なる二本のワイヤ92を用いて、長い方のワイヤ92でガス通路14、20を形成し、短い方のワイヤ92を束にして又は隣り合わせにして、予熱チャンバ13、19を形成することができる。
図33A〜図33Cで説明したガスの予熱用のUターンコンセプトでは、ガスは、高温領域32内においてFuel Cell Stick(商標)デバイス10の全長にわたって流れ、全時間にわたって加熱し、方向転換して、アクティブ領域33bに戻る。Uターン通路の利点は、アクティブ領域33bに達した際にガス(空気又は燃料)が反応温度へと完全に加熱されない機会が減ることである。通路形成用のワイヤコンセプトでは、通路の下り及び戻り(デバイスの一側において、一方の種類のガスに対して)をワイヤ92を用いて設けることができ、そのワイヤ92は積層後に引き出される。下り方向と戻り方向との間の交差接続部(つまり、曲がり、Uターン)を、焼き出される有機材料を用いて、又は横方向から下りのワイヤ及び戻りのワイヤの両方に接触するワイヤを用いて設けることができる。特に横接触ワイヤを用いる場合には、接触点におけるデバイス10からの望ましくない漏洩点が存在し得る。このような漏洩点を防止する解決策は、ワイヤ92を除去した後に漏れ穴を塞ぐことである。これは、焼結の前又は後に行うことができ、セラミック、ガラス、又は適切な温度特性を有する複数の材料の組み合わせ(ガラス‐セラミック等)を用いて行うことができる。
例えば図149に示されるように、一つの高温ゾーン32及び少なくとも一つの低温ゾーン30を有するFuel Cell Stick(商標)デバイス10の多数の実施形態について上述してきた。しかしながら、これらの実施形態の多くは、低温ゾーンとして機能する燃料電池デバイスの一部分を有さないとしても、多層設計からの利点を受けるものである。図150では、図149からデバイス10が、デバイスの低温端部を除去するように変更されて、高温ゾーン32においてのみ存在する多層Fuel Cell Stick(商標)デバイス1000が提供される。燃料及び電気接続は、高温ゾーン32内に到達して空気及び燃料を供給するチューブ1002によって設けられ得る。本発明によると、幹線フロー通路814、820は、大容量でアクティブ層にガスを運び、デバイス1000の短寸法を横切るアクティブ層が、隣り合って並列とされて、流れに対する抵抗が最小化される。同一レベルでの空気通路及び燃料通路の内部レイアウトは、前述の実施形態に従ったものとすることができる。更に、直列及び並列の電気接続を、前述の実施形態に従って設けることができる。一実施形態では、デバイス1000は細長であり、つまり幹線フロー通路814、820の方向に沿った長い長さ、及びアクティブフロー通路815、821の方向に追った短い幅を有する。この長い長さは、デバイス1000がひび割れを生じさせずにデバイス1000の急速加熱を可能にするようになるので、主な膨張方向を有するという点においてデバイスの機能にとって有用である。
追加の実施形態によると、空気及び燃料の両方の接続が、図示されているような両側ではなくて、同一の側からなされ得るか、デバイス1000に接続するあらゆる数の外部チューブ1002が存在し得る。例えば、四本以上のチューブ1002が存在し得て、四つの側部のいずれかからデバイス1000に取り付けられ、又は頂部又は底部から取り付けられる。チューブ1002は、空気又は燃料接続を提供するのと同一レベルで電気接続を提供するために金属であり得て、又はチューブは導体でコーティングされたセラミック製であり得る。前述の実施形態(例えば図100A〜図103B)において説明したように、接続チューブ1002は、物理的機能及び電気的機能の両方を果たすことができる。また、前述のように(例えば図101及び図102A〜図102B)、多層デバイス1000に、接続チューブ1002を受け入れるための嵌合領域を設けることができる。例えば、チューブ1002をデバイス1000のくぼみ内に、又は突起上に嵌めることができる。
本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の特定の実施形態では、ガスの性質を測定するために、ガス出力が完全に炉の外に出ることが望まれる。このため、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)が、デバイス10(等)の長い中心軸CAに沿って小さな材料除去部又は溝1010を有するように形成されて、図151Aの上面図に概略的に示されるように、分裂した又はフォーク状の端部1012a、1012b、1014a、1014bが形成される。この分裂した端部設計では、制御された方法で残留ガス(反応後のもの)が炉を出て行くようにすることが簡単になる。この方法では、図151Bに概略的に示されるように、デバイスの同一のフォーク状の端部1012a、1012bに対して空気及び燃料の入口を有し、デバイス10(等)の反対側のフォーク状の端部1014a、1014bに対して隣り合った出口を有する一部構成に対して有用である。図151Cに概略的に示される更に他の代替例では、空気及び燃料が同じフォーク状の端部1012a、1012bから入り、フォーク状ではない端部1015から出て行き、タブや分裂した端部が他端において炉から出て行かない。つまり、一方の端部のみが分裂している。出口フローは、高温ゾーン32において終端しているデバイス10(等)のフォーク状ではない端部1015において隣り合って生じ得る。また、出口フローは、過剰燃料が或る点において不均一にFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)を過熱することがないように、ちょうど角に生じ得る。
図141A及び図141Bに示される実施形態の変形例である他の実施形態では、図152A〜図152Cに概略的に示されるように、一方のガス用の入口通路及び他方のガス用の出口通路が、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の同じ側部及び端部に生じる。図152Aは、第一の端部11aの空気入口18におけるデバイス10の左側に入り、幹線フロー通路820に沿って伝わり、デバイス10の右側において垂直出口ホール823を介して出口通路に出て行く空気用の通路(例えば表面幹線839)を概略的に示し、その表面幹線839の出口22は、第二の端部11bにおいてデバイス10の右側に存在している。図示されていないアクティブフロー通路821は、アクティブ構造を横切ってデバイス10の左側から右側に伝わる。図152Bは、第二の端部11bの燃料入口12においてデバイス10の右側に入り、幹線フロー通路814に沿って伝わり、デバイス10の左側において垂直出口ホール817を介して出口通路に出て行く燃料用の通路(例えば表面幹線837)を概略的に示し、その表面幹線837の出口16は第一の端部11aにおいてデバイスの左側に存在している。ここでも、図示されていないアクティブフロー通路815は、アクティブ構造を横切ってデバイス10の右側から左側に存在している。図152Cの斜視図に示されるように、空気入口18及び燃料出口16がそれぞれ第一の端部11aにおいてデバイスの左側に配置されていて、燃料入口12及び空気出口22がそれぞれ第二の端部11bにおいてデバイスの右側に配置されている。従って、空気出口通路(例えば表面幹線839)が、燃料入口通路(例えば幹線フロー通路814)に沿って便利に生じ、又はその逆となり得るが、これは、デバイス10の表面近く又は表面上に通路を設けることを可能にする垂直出口ホール817、823の使用によるものである。その通路は、所望のどの方向にも向かい得て、入口通路の表面に沿って炉の外に出る場合も含まれる。
異なる材料で多層構造(アノード/電解質/カソード構造等)を形成することの一つの課題は、異なる材料間の不整合の効果を制限することである。この不整合は、いくつかの形となり生じ得て、焼結における収縮による不整合や、膨張率による不整合が挙げられる。本発明の一実施形態によると、これに対する解決策は、大面積のアノード又はカソードを分割して印刷することを含む。例えば、図153A及び図153B(アノード24を示す)の上面図及び側面図に示される1cm×3cmの印刷領域を有するアノード及びカソードに対して、小さな電極領域24sのグループをその印刷領域内に印刷して、例えば、図154A及び図154Bの上面図及び側面図に示されるように、その各々が0.25cm×0.25cmの寸法を有する正方形の領域24sを有する。電極を分割することによって、所定の領域内に可能性のある応力全体を、その影響を受ける領域の全寸法を制限することによって、制限する。隣り合う電極領域24sは独立的に物理的な応力を受けることができる。
分割されたアノード24のみ、カソード26のみ、又はその両方を形成することができる。例えば、実際には、アノード24に対してこの分割方法を使用し、カソード26はソリッドなままにした方が有用となり得るが、望まれる方法は、各構成要素に対して使用される特定の材料に応じて、異なり得る。分割された電極領域24s間の実際のギャップは、極めて小さい物であり得るが、これは、電極領域全体に対するひずみを低減するのには非常に小さなギャップしか必要とされないからである。実際、分割された電極領域24sは、その効果を達成するため、図154Cに概略的に示されるように、電極(例えばアノード)層24の最低部においてでは接触することもできる。
分割された電極(アノード24又はカソード26)の課題は、集電体122に対する電気コンタクトを設ける必要性である。分割されたアノード24は、電解質28とイオンをやり取りする性能を有し、ガスを通過させる多孔性を有し、それ自体の領域内部に導電性を有するが、デバイス外部に対する電気接続は有さない。当該分野において、電解質28に接触しているアノード24又はカソード26の厳密な組成とは異なる集電体の組成を有することが一般的である。例えば、アノードがNiO及びある程度の量のYSZセラミックの混合物製であれば、アノード集電体122は、NiO及び更に低いパーセンテージのYSZの混合物製、又は純NiO製であり得る。この違いの理由は、集電体122の機能の違いである。集電体は、ガスを通過させるように多孔性である必要があり、電子を流すように伝導性である必要があるが、電解質28近くのアノード24(仮にそのような存在があるとして)と同じような高い比率でのイオン導電性を必要としない。この機能及び組成の違いは、集電体122が、焼結時の収縮や膨張率等の上述の物理的特性又は他の性質を変更するように、その集電体122を変更する自由度を与える。集電体122の物理的特性を変更する一例は、焼結密度及び焼結による力を低減するために、電解質28近くのアノード24に使用されているよりも大きな粒径のNiOを使用することである。この自由度を用いて、電解質テープに近接して印刷されているアノード又はカソード領域とは異なる物理的特性を有する集電体122を提供することができる。他の例では、電極に使用されているのとは異なる(例えばNiとは異なる)金属を集電体122に使用可能である。例えば、白金族金属を、集電体化合物の大部分として使用して、ある程度の量のYSZセラミックを加える。この混合物は集電体122の物理的特性を劇的に変更するという上述の目標を達成するが、これはPtの焼結特性がNiOのものとは異なるからである。電極及びその集電体122の間に異なる物理的特性及び材料特性を与えることについて、多数の材料及びそれらの組み合わせが考えられる。
図155A及び図155Bは、分割されたアノード24又はカソードの上方に集電体122を適用する二つの方法を示す。集電体122は、図155Aに示されるようにその下と電極領域24s間との空間に開放ボイド1022を形成することができ、又は図155Bに示されるように分割された電極領域24s間の空間内に印刷可能である。図155Aに示されるように電極領域24s間にボイド1022を残しておきたい場合、これは、空間内に有機材料を印刷して集電体がそこに流れないようにして、焼成及び焼結の際に有機材料が消失するようにするといった複数の手段によって達成可能である。
分割された電極の実施形態は、二種の別個の材料に限定されるものではなく、三種以上の材料をベースにしたアノード24又はカソード26にも適用可能なものである。このアイディアは一般的に、大きな電極内に小さな分割部分を形成することによって、また場合によっては分割部分間の空間を開放ボイドとして残すことによって物理的特性を制御し又は影響を与えるものである。
印刷された電極領域24sのサイズは、力を制御するシステムの物理的必要性に応じて、大きくも小さくもできる。例えば、0.005インチ四方(0.13mm×0.13mm)の寸法若しくはそれ以下の正方形が印刷可能であり、又は寸法は例えば上述のように0.25cm以上となり得る。サイズに関係なく、その正方形は、一つのカソード24又はアノード26の小さな部分への分割を表し、それらの小さな部分は隣り合って等電位で存在している。更に、アノード24又はカソード26用の分割された電極領域24sは正方形である必要はない。領域24sは矩形又は他の形状であり得る。また、印刷され分割された領域は、印刷スクリーンのワイヤの寸法によって画定可能である。これは、特定のスクリーンで印刷し、流れ難い印刷インクを使用して、印刷後にペーストが流れ出さず、ワイヤ又はメッシュによって形成されたパターンを維持するようにすることによって達成される。このように、スクリーンのメッシュは、微細スケールでの分割形状を提供する。
本願の多くの説明において、アノード24及びカソード26は同様の寸法のものとされているが、これは必要とされるものでない。図156に示されるように、非対称なアノードの厚さ及びカソードの厚さを、三層構造1020(つまりアノード24/電解質28/カソード26)に対して使用可能である。有利には、電解質28の厚さは、イオン伝導性に対する最小抵抗を与えるために可能な限り薄くされる。アノード24、カソード26及び電解質28が薄くなると、電池の支持されていない領域が大きくなるという点において、物理的強度が低下し得る。そこで、電解質28が所定の設計において薄くなる場合に、アノード24又はカソード26を厚いままにしておく、又は薄い電解質28を補うために更に厚くすることが有用となり得る。図156の断面図に示される一実施形態によると、厚いカソード26が使用されている一方で、薄い電解質28及び薄いアノード24が維持されている。これらの状態は逆にすることができ、アノード24を追加的に厚くすることができる。厚いカソード26の利点は、図示されるようにカソード26が非常に薄い電解質28及び比較的薄いアノード24を支持する点である。結果として領域毎の全出力が増大可能である。一例では、カソード26の厚さ0.014インチ(0.356mm)、電解質28の厚さ0.002インチ(0.051mm)、及びアノード24の厚さ0.003インチ(0.076mm)のサンプルを作製した。これらの寸法は限定的なものではなく、単に例示目的のものである。
図157に示される他の実施形態では、厚いカソード26が、薄くて分割されたアノード24(24s)と組み合わせて使用されている。これら二つの設計を組み合わせ、電解質28の厚さを減少させることによって、三層構造1030(アノード24/電解質28/カソード26)の複合材料に対する応力が顕著に減少する。下方のシステムの物理的特性は、カソード26によって支配され、電解質28又はアノード24による影響は小さい。
アノード24又はカソード26の周りに電解質28の額縁状の追加材料980を使用して、縁976における機械構造に安定性を与えることについては上述している(図147A〜図147F)。Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の焼成、焼結又は動作中の構造に物理的安定性を与える他の方法は、厚い電極設計とすることである。上述の厚いカソード26、薄い電解質28及びアノード24の三層構造1030を用いて、他の構造の実施形態では、図158に示されるように、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)のサイドマージン内にその三層構造1030を延伸させる。つまり、三層構造1030を構築した後において、ギャップ又はガス通路14、20が三層構造1030の領域を完全には覆わない。その結果は、三層構造1030がFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の側部構造内に延伸しているように見えて三層構造1030がデバイスの機械的設計全体に対してしっかりと固定されているようになるというものである。この設計は、アノード24又はカソード26のどちらかが厚い場合又は両方が厚い場合にも使用可能である。代替実施形態では、デバイス全体により強度を与えるために、アノード24及びカソード26の厚さが両方が可能な限り薄い場合でも、三層構造1030をFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)のサイドマージン内に延伸させ得る。
更に他の実施形態では、厚い電極が、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の外側に端から端まで延伸し得る。これは、図159に示されるようにカソード26だけであり得て、又は三層構造1030全体であり得る。図159に示される実施形態では、厚いカソード26が、構造の品質チェックを便利に行えるように、又は最大の構造支持のために、端から端まで延伸されている。
本発明の一実施形態では、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)が、電解質28としての、及びデバイスの物理的周囲構造セラミック29(例えばカバー、サイドマージン)としてのYSZで構築される。可能な最高のイオン伝導性を与えるために、一般的に8%のYが、ジルコニア中のイットリアの割合として使用される(8%YSZと称する)。代替実施形態では、例えばデバイス全体の物理的強度を改善するために、異なる二種類のYSZを用いて、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)を構築する。例えば、8%YSZを、電解質中の高いイオン伝導性を与えるために電解質28に対して使用し、3%YSZを、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の物理的構造に対する高い機械的強度を与えるために周囲構造セラミック29に対して使用する。このアイディアは、正確に3%のYの使用に限定されるものではなく、3%は単に一例として挙げられている。
二種類のYSZを使用する際に、ある程度の物理的不整合が存在し得て、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の焼成、焼結又は使用時に生じ得る。その複合材を形成する方法では、こうした問題を考慮することができる。最も単純な方法は、二種類の未焼結テープを使用して、層の重要な特徴(最大強度、最大伝導率)に応じて二種類を交互にすることである。代替例では、単一の移行層テープが使用されて、そのテープは、8Y及び3Yのパーセンテージを例えば1:1の比率で有する(例えば、テープキャスティング前に二種の粉末が等しい割合でスラリーと混合されて、二種の粉末の均一な混合物が得られる)。8Yの領域から3Yの領域に移行する際に、移行層(例えば混合テープ)を提供することができる。更に、複数の混合テープが使用可能であり、その各々が二種の材料を2:1、1:1、1:2の異なる比率で有する。このように、不整合の問題を避けるために、その移行をより段階的なものにすることができる。
Fuel Cell Stick(商標)10(等)を、非対称な入力/出力を有するように形成することができ、高温ゾーン32内部に複数のデバイス10(等)の積層体を密にパッケージングする一方で、その積層体中の各デバイス10(等)に対する低温ゾーン接続用の余地が設けられるようにすることができる。図160A〜図160Fは、複数のFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の非対称又は互い違いの積層体1040の三つの例に対する分解図及び端部図を示す。デバイス10(等)の端部におけるチューブ1042又はコネクタは嵩張る可能性があるので、互い違いとする方法が、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)を積層体1040中で互いに可能な限り物理的に近づけるのに有用となり得る。
また、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の端部を本体に対して0度又は90度以外の角度で角度付けすることも可能であり、例えば30度及び60度の角度を、デバイス10(等)の設計において使用して、デバイスの積層体1040中にチューブ1042を取り付けるための追加の空間を与えることができる。
必要な電力を供給するのに少数のFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)しか必要とされない小型製品の使用に対しては、図161の概略的な上面図に示されるように、デバイスに集積された支持部材を有することが有用となり得る。図示されるように、細長のデバイス10(等)の端部11a、11bは実質的に90度に曲げられて、デバイス10(等)が実質的にC字型(裏から見た場合、角型のエッジを備える)になるように再構成される。空気入力端部11b及び燃料入力端部11aは、低温ゾーン30において互いに平行にされて、高温ゾーン32においてその空気入力端部11b及び燃料入力端部11aに垂直なデバイスのアクティブゾーン部33bによって接続されている。支持部材1050が低温領域30において追加されて、入力端部11a、11bを接続して、システムにおけるデバイス10(等)の取り扱い及び取り付けに対する強度を与える。支持部材1050は、デバイス10(等)の高温部の膨張による応力を回避するために、細く、薄く、又は曲率を有するように形成可能である。支持部材は、セラミック29と同じ材料、又は異なる材料を備え得る。
小型無人飛行機等の低出力応用に対して軽量型のFuel Cell Stick(商標)デバイスを製造することが有用となり得る。このようなデバイス400が図48Aに示されている。薄い部分404がデバイス400のアクティブ構造を含む一方、厚い部分402がガス接続領域を含む。この設計は、その軽量によって、急速加熱を促進し、システム全体の重量を抑え、加熱要求を低減することができる。薄い部分404をエンドロールするのではなくて、Fuel Cell Stick(商標)デバイス401の本実施形態では、デバイス401の薄い部分404は長くて平坦なままである。このような小型デバイス401は、図162に示されるように、小型の加熱素子及び炉410内に入れることができる。
燃料又は空気通路内において、一つの目標は、可能な最高効率を得ることである。ガスがFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)のアクティブゾーン33bに入った直後において、そのガスは燃料又は酸素が最も豊富であり、アクティブゾーン33bの端部付近において、燃料又は酸素の大半は除去されている。燃料又は酸素が足りなくなると、システムは、単位面積当たりの同じ電力を発生させるためにより高い流量を必要とする。この問題を最小化するため、本発明の一実施形態によると、ガス通路14、20の形状をアクティブゾーン33bにおいて変更して、酸素又は燃料のパーセンテージが低下するにつれて、ガス流量が増大するようにする。図163は、アクティブゾーン33b内のこうしたガス通路14、20の概略的な上面図を示す。ガス通路14、20の領域を小さくすることによって、その領域におけるガスの流量を増大させる。この様子は矢印で示されている。図163に示される実施形態では、ガス通路14、20の面積/体積が、ガスフローの方向に沿って徐々に且つ連続的に減少していることによって、ガス通路14、20に沿ったガスの流量が徐々に且つ連続的に増大している。多様な変更例が考えられ、例えば、面積/体積が一定の部分の間における一つ以上のステップ状又は段階的な減少が考えられることは理解されたい。
本発明のFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)を焼付及び焼成する際に、そのデバイス中の有機材料の大きな質量及び不均一な焼き出しによって、デバイスが撓む(上から下へ等)傾向を有し得る。場合によっては、こうした違いによって、デバイスがその中心に高い点を有し得る。その高い点は、低温においてそのもとになる部分が生じ得たりはするが、高温焼結によってデバイスが処理されるまでは眼に見えない。本発明の一実施形態によると、高い点を生じさせる撓みを、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)と担持基板(焼付及び焼成中にデバイス10を保持する)との間に繊維状セラミックシートを配置することによって、大幅に改善することができる。例えば、ジルコニア製のフェルト材が使用可能であるが、他のタイプのフェルト又はセラミック繊維も想定される。図164は、セラミック布、フェルト、又は繊維状“ウール”である繊維状セラミックシート1062で覆われた担持基板1060上での焼き出し及び焼成用に準備されたFuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)を示す。更に、ジルコニアフェルト又は他の繊維状セラミックシート1062の使用は、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)の組成に(化学的に)適合しない担持基板1060を選択する自由度を与えるが、これは、そのシート1062が、ジルコニアベースのデバイスと異種の担持基板材料との間のバッファとして機能するからである。最後に、Fuel Cell Stick(商標)デバイス10(等)が非常に重くて、焼結中に担持基板材料に貼り付く可能性があるが、繊維状材料の柔軟性及び適合性によって、デバイス10(等)が担持基板1060に付着せずに収縮することができる。
本発明について、本発明の一つ又は複数の実施形態の説明によって例示し、また、これらの実施形態についてかなり詳細に説明してきたが、これらは、特許請求の範囲をこのような詳細に限定することを意図したものではない。当業者には追加的な利点及び修正が自明である。従って、そのより広義の側面における本発明は、図示され、説明されている特定の詳細、代表的な装置及び方法並びに実施例に限定されるものではない。従って、一般的な本発明のコンセプトの範囲を逸脱することなく、このような詳細から逸脱することができる。