JP2004030972A - 固体酸化物形燃料電池システム - Google Patents

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野田 泰男
Shigenori Onuma
尾沼 重徳
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Abstract

【課題】更なる発電効率の向上を図るのに有利な固体電解質形燃料電池システムを提供する。
【解決手段】イオン伝導性を有する固体酸化物形電解質10と、固体酸化物形電解質10の一方側に設けられたアノード11と、固体酸化物形電解質10の他方側に設けられたカソード12と、アノード11に燃料を供給する燃料電池供給通路と、カソード12に酸化剤を供給する酸化剤供給通路とが設けられている。固体酸化物形電解質10は、部位に応じて作動温度が異なる方式である。固体酸化物形電解質10は、作動温度が相対的に高温である高温領域T3における組成と、相対的に低温である低温領域T1における組成とが異なるように設定されており、低温領域T1における発電密度が高められている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固体酸化物系を電解質とした固体酸化物形燃料電池(以下SOFCともいう,Solid Oxide Fuel Cell)システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
SOFCシステムは、高温作動であるため、発電効率が高いこと、貴金属系の電極触媒を廃止または低減できる等の利点をもつため、広く開発が進められている。SOFCシステムは、図12に概念図を示すように、イオン伝導性を有する固体酸化物形電解質10と、固体酸化物形電解質10の一方側に設けられたアノード11(燃料極ともいう)と、固体酸化物形電解質10の他方側に設けられたカソード(酸化剤極ともいう)12と、アノード11に燃料を供給する燃料供給通路24と、カソード12に酸化剤としての空気を供給する空気供給通路26とをもつ。そしてアノード11及びカゾード12は導線13、外部負荷14を経て電気的に結合されている。固体酸化物形電解質10は一般的には酸素イオンが透過できる酸素イオン伝導性を有するものであり、高温領域(例えば800〜1100℃程度)において酸素イオン伝導性を有するジルコニア系酸化物、ペロブスカイト型のランタンガレード系酸化物等で形成されている。
【0003】
SOFCシステムでは、アノード11に燃料が供給されると共に、カソード12に酸化剤(例えば空気)が供給される。カソード12に供給された空気は酸素イオンを生成する。酸素イオンは固体酸化物電解質10の内部を透過してアノード11側に移行する。アノード11側に移行した酸素イオンは燃料と反応して水蒸気または炭酸ガスを生成する。また生成された水蒸気や炭酸ガスと燃料が反応し、SOFC内部で改質反応が起き、水素や一酸化炭素を生成する。このとき生じた電子は、導線13及び外部負荷14を経てカソード12に移行する。
【0004】
ところでSOFCシステムによれば、従来技術1として、US特許6033794(Multi−stage fuel cell system mcthod and  apparatus,T.J.George et.al)には、高温形SOFCと低温形SOFCとを別個に独立させて設けると共に、高温形SOFCと低温形SOFCとを直列的に配置し、熱損失をできるだけ小さくして燃料電池の熱設計をやり易くした燃料電池システムが開示されている。
【0005】
また従来技術2として、日本特許3094099号(特開2000−268832号公報)には、作動温度が低温の低温形SOFCと、作動温度が高温の高温形SOFCとを別個に独立させ、直列に配置した二温制御連結式固体酸化物型燃料電池が開示されている。このものによれば、固体酸化物電解質としては低温形SOFCではランタンガレード系電解質、高温形SOFCにおいてはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)が用いられている。そして低温形SOFCにおいては、アノードとして鉄/イットリア安定化ジルコニア(Fe/YSZ)のサーメットを用いている。また高温形SOFCにおいては、アノードとしてニッケル/イットリア安定化ジルコニア(Ni/YSZ)のサーメットを用いている。この公報技術によれば、炭化水素系燃料をアノードに供給する場合、アノードとして鉄/イットリア安定化ジルコニア(Fe/YSZ)のサーメットを用いると、炭素の析出が起こったとしても200時間程度の耐久性を有するものの、完全酸化反応を行うと、アノードとしてニッケル/イットリア安定化ジルコニア(Ni/YSZ)のサーメットを用いた場合に比較して性能が低下することに着目したものであると記載されている。なお上記した特開2000−268832号公報によれば、固体酸化物形電解質は電池セル毎に組成が均一とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記したSOFCシステムでは更なる発電効率の向上が要請されている。本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、更なる発電効率の向上を図るのに有利な固体酸化物形燃料電池システムを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は固体酸化物形燃料電池システムについて発電効率を高めるべく鋭意開発を進めている。そして、電池セルでは、固体酸化物形電解質は組成が均一とされているため、固体酸化物形電解質の高温領域では高いイオン伝導性が得られるものの、固体酸化物形電解質の低温領域ではイオン伝導性が充分に得られず、このため従来に係る固体酸化物形燃料電池システムでは発電効率の更なる向上に限界があることに着目した。
【0008】
そして本発明者は、固体酸化物形電解質をアノード及びカソードで挟んだ一つの単一の電池セル、または、単一の電池セルを複数個組み付けた単一の電池モジュールにおいて、作動温度が相対的に低温である低温領域から、相対的に高温である高温領域にかけて温度勾配を積極的に形成し、固体酸化物形電解質のうち作動温度が相対的に高温である高温領域の部位と相対的に低温である低温領域の部位とが組成的に異なるように設定すれば、固体酸化物形電解質の高温領域において良好なイオン伝導性が得られるばかりか、固体酸化物形電解質の低温領域においても良好なイオン伝導性が得られ、ひいては固体酸化物形電解質の高温領域において良好な電力密度が得られるばかりか、固体酸化物形電解質の低温領域においても良好な電力密度が得られ、結果として、温度分布に起因する固体酸化物形燃料電池システムにおける発電ムラ、電力密度のムラが低減され、燃料電池全体としての発電効率を向上させ得ることを知見し、かかる知見に基づいて本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明に係る固体酸化物形燃料電池システムは、イオン伝導性を有する固体酸化物形電解質と、固体酸化物形電解質の一方側に設けられたアノードと、固体酸化物形電解質の他方側に設けられたカソードとを有する電池セルと、
電池セルのアノードに燃料を供給する燃料電池供給通路と、
電池セルのカソードに酸化剤を供給する酸化剤供給通路とをもつ固体酸化物形燃料電池システムにおいて、
固体酸化物形電解質は、単一の電池セルまたは単一の電池セルを複数個組み付けた単一の電池モジュールにおいて、部位に応じて作動温度が異なる方式であり、
更に、固体酸化物形電解質は、単一の電池セルまたは単一の電池セルを複数個組み付けた単一の電池モジュールにおいて、作動温度が相対的に高温である高温領域における組成と、相対的に低温である低温領域における組成とが異なるように設定されており、低温領域における電力密度が高められていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池システムによれば、単一の電池セルまたは単一の電池セルを複数個組み付けた単一の電池モジュールにおいて、固体酸化物形電解質は、作動温度が相対的に高温である高温領域における組成と、相対的に低温である低温領域における組成とが異なるように設定されている。このため固体酸化物形電解質の組成が全体で均一とされている場合に比較して、固体酸化物形電解質の低温領域における電力密度が高められている。
【0011】
このような本発明に係る固体酸化物形燃料電池システムによれば、固体酸化物形電解質の高温領域において、高温領域で高いイオン伝導性が得られる組成が採択される。また固体酸化物形電解質の低温領域において、低温領域で高いイオン伝導性が得られる組成が採択される。これにより固体酸化物形電解質の高温領域においても低温領域においても良好に発電が行われ、低温領域においても良好な電力密度が得られ、各電池セルにおける発電効率の向上が図られる。
【0012】
このような本発明に係る固体酸化物形燃料電池システムによれば、システムの運転を立ち上げるとき、固体酸化物形電解質の全部を高温領域に維持せずとも良い。故に、固体酸化物形燃料電池システムの立ち上がり時間の短縮化を図ることができる。更に固体酸化物形電解質の全部を高温領域に維持せずとも良いため、システムの運転時における外部への熱リーク量も抑制される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池システムによれば、単一の電池セル、または、単一の電池セルを複数個組み付けた電池モジュールにおいて、固体酸化物形電解質は、作動温度が相対的に高温である高温領域における組成と、相対的に低温である低温領域における組成とが異なるように設定されており、固体酸化物形電解質の高温領域で良好な電力密度が得られるばかりか、低温領域においても良好な電力密度が得られる。即ち、固体酸化物形電解質の高温領域において、高温領域で高いイオン伝導性が得られる組成が採択される。また固体酸化物形電解質の低温領域において、低温領域で高いイオン伝導性が得られる組成が採択される。これにより固体酸化物形電解質の高温領域においても低温領域においても良好に発電することができ、発電効率の向上が図られる。
【0014】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池システムによれば、次の実施の形態を採用することができる。
【0015】
(1)固体酸化物形電解質を加熱する加熱部が設けられており、加熱部は、単一の電池セル、または、単一の電池セルを複数個組み付けた電池モジュールにおいて、固体酸化物形電解質において相対的に低温である低温領域から相対的に高温である高温領域を有する温度勾配を形成するように設けられている形態を採用することができる。
【0016】
ここで相対的に低温である低温領域とは、固体酸化物形電解質のうち作動温度が相対的に高温領域の部位よりも作動温度が低温である領域を意味する。相対的に高温である高温領域とは、固体酸化物形電解質のうち作動温度が相対的に低温領域の部位よりも作動温度が高温である領域を意味する。
【0017】
加熱部としては、燃料のオフガスを燃焼させる燃焼部、固体酸化物形電解質や発熱体を通電加熱する通電加熱部などのうちの少なくとも一つを採用できる。固体酸化物形電解質は、単一構造でありながらも、相対的に低温である低温領域から、相対的に中温である中温領域を経て、相対的に高温である高温領域にかけて組成が全体として傾斜的に変化するように設定されている形態を採用することができる。アノードに供給される燃料としては炭化水素系ガスを例示でき、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン等の単独または混合物を採用できる。また脱硫後のガソリンや灯油等も採用できる。カソードに供給される酸化剤としては、空気等の酸素含有ガスを例示できる。
【0018】
なお、本明細書では作動温度の高低は相対的なものであるが、低温領域は例えば500〜700℃未満、中温領域は例えば700〜900℃未満、高温領域は例えば900〜1100℃未満とすることができる。
【0019】
(2)燃料及び酸化剤(空気などの酸素含有物質)のうちの少なくとも一方の洩れを抑えるように、固体酸化物形電解質をシールするシール部が設けられている形態を採用することができる。この場合、シール部は、固体酸化物形電解質のうち相対的に低温の低温領域をシールする形態を採用することができる。このようにシール部が固体酸化物形電解質のうち相対的に低温の低温領域をシールすれば、シール部に要請される耐熱条件が緩くなり、シール部の熱劣化が抑えられ、シール部の長寿命化を図り得ると共に、シール部の材質の選択の自由度を高めることができる。シール部としてはガラス系、セラミックス系、炭素系、金属系、あるいは、金属とセラミックスとの混合物であるサーメット系とすることができる。
【0020】
(3)固体酸化物形電解質は、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、A元素(A元素はコバルト(Co)及びニッケル(Ni)の1種または2種)を主要成分とするランタン系の酸化物を基材とする組成領域を有しており、そして、当該組成領域において作動温度が相対的に低温の低温領域から、相対的に中温の中温領域を経て、相対的に高温の高温領域に移行するにつれて、モル比でマグネシウム(Mg)が増加すると共にA元素が減少するように設定されている電解質部分を有する形態を採用することができる。高温領域ではA元素を減少させて0モルとすることもできる。
【0021】
(4)固体酸化物形電解質は、ペロブスカイト型のランタン系酸化物を採用できる。殊に、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、A元素(A元素はコバルト(Co)及びニッケル(Ni)のうちの1種または2種)を主要成分とするランタン系酸化物を基材としている形態を採用することができる。当該ランタン系酸化物として、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2−X3−Zの組成式(例えばZ=0〜0.2)をもつ酸化物を採用できる。あるいは、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2−X3−Zの組成式(例えばZ=0〜0.20)をもつ酸化物を採用できる。
【0022】
ここで上記した組成式においてA元素はコバルト(Co)及びニッケル(Ni)のうちの1種または2種とすることができる。上記した組成式においてX=0.08〜0の範囲で可変にできる。従って固体酸化物形電解質のうち作動温度が上昇する部位に移行するにつれて、当該組成式におけるXの値を次第に減少させる傾斜組成とすることができる。高温領域ではA元素を含まないように、上記した組成式においてX=0とすることができる。
【0023】
なお、傾斜組成は、含有元素が連続して変化する形態を含む他に、複数個のセルを直列に配置し含有元素がセル毎に異なるが、全体として傾斜組成と同じ効果を生じる形態を含む。
【0024】
(5)固体酸化物形電解質はセリア系酸化物を基材としている電解質部分をもつ形態を採用することができる。セリア系酸化物として、Ce0.80.21.9−δの組成式(例えばδ=0〜0.4)をもつ酸化物を採用できる。上記した組成式においてB元素はサマリウム(Sm)及びガドリニウム(Gd)のうちの1種または2種である。セリア系酸化物は高温では電子伝導成分が増加する傾向をもつため、相対的に低温の低温領域(例えば500〜700℃)では使用するものの、相対的に高温の高温領域(例えば900〜1100℃)では使用しない形態を採用できる。従って相対的に中温の中温領域、相対的に高温の高温領域では、イットリア及びスカンジアのうちの少なくとも一方で安定化させた安定化ジルコニアを採用できる。殊に、相対的に高温の高温領域では、イットリアで安定化させたイットリア安定化ジルコニアを採用できる。高温領域で高いイオン伝導性が得られるためである。
【0025】
(6)固体酸化物形電解質としては、ジルコニア系酸化物を基材としている電解質部分(相対的に高温の高温領域)をもつ形態を採用することができる。このジルコニア系酸化物として、スカンジア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア及びそれらの混合物を採用できる。故に、固体酸化物形電解質としては、イットリアとスカンジアとの双方の混合物で安定化したジルコニアを主要成分とする酸化物を基材とする組成領域を有する電解質部分をもつ形態を採用できる。この場合、当該組成領域において作動温度が上昇する部位に移行するにつれて、モル比でイットリウム(Y)が相対的に増加すると共にスカンジウム(Sc)が相対的に減少するように設定されている形態を採用することができる。
【0026】
ここで、安定化ジルコニアとして、Zr0.8Sc0.2−X1.91−Zの組成式(例えばZ=0〜0.01)をもつ酸化物を採用できる。ここでX=0〜0.2の範囲内で可変である。故に作動温度が上昇する部位に移行するにつれて、X=0〜0.2の範囲内において、Xの値を相対的に増加させるような傾斜組成とすることができる。ここで、作動温度が相対的に高温である高温領域(例えば900〜1100℃)では、イットリア安定化ジルコニアを基材としている形態を採用することができる。高温領域で高いイオン伝導性が得られるためである。この場合、高温領域では傾斜組成ではなく均一組成とすることができる。高温領域では拡散度合が低温領域に比較して大きいため、元素の拡散による影響を抑えるためである。なお安定化ジルコニアでは、イットリアやスカンジアのモル%が7〜11%の範囲で存在し得るので、前記安定化ジルコニアの組成は、Zr比を少し高くしても可能で、前述のZr0.8Sc0.2−X1.91−ZからZr0.87Sc0.13−X1.91−Zの組成範囲まで同様に成り立つため、この範囲を例示できる。後者の組成の場合、一般的には、Z=0〜0.01、X=0〜0.13である。
【0027】
(7)固体酸化物形電解質としては、作動温度が相対的に低温である低温領域では、セリウム(Ce)、B元素(B元素はサマリウム(Sm)及びガドリニウム(Gd)のうちの1種または2種)を主要成分とするセリア系酸化物であり、作動温度が相対的に中温の中温領域では、スカンジア安定化ジルコニアまたはイットリア安定化ジルコニア系等といった安定化ジルコニア系の酸化物を基材としており、作動温度が相対的に高温の高温領域(900℃以上)ではイットリア安定化ジルコニア系等といった安定化ジルコニア系の酸化物を基材としている形態を採用することができる。
【0028】
(8)固体酸化物形電解質の組成を部位に応じて変化させる一例としては、固体酸化物形電解質を焼結する前の段階において、固体酸化物形電解質を構成する配合混合粉末の割合を固体酸化物形電解質の部位に応じて変化させるように成形キャビティに装填して圧縮させた圧粉体を形成し、その後に圧粉体を加熱して焼結することにより実現する方策を採用できる。
【0029】
また、固体酸化物形電解質を焼結する前の段階において、固体酸化物形電解質を構成する配合混合粉末を圧縮成形した基本組成が同一またはほぼ同一の圧粉体を用意し、配合元素を含む溶液をこの圧粉体の表面に含浸させ、その後に、圧粉体を加熱して焼結する方策を採用できる。この場合、含浸割合を圧粉体の部位に応じて変化させれば、固体酸化物形電解質の部位に応じて組成を変化させることができる。又、固体酸化物形電解質となる配合元素を含む溶液を含浸させた紙等のシートを用い、シートを焼結処理して固体酸化物形電解質とする方策を採用することもできる。シートにおいて、シートに含浸させた配合元素の濃度勾配をつけることができる。
【0030】
【実施例】
(1−1)第1組成形態
本発明の第1組成形態に係る電池セルについて説明する。本形態に係る固体酸化物形燃料電池システムの電池セルは、筒形状をなしており、イオン伝導性を有する筒形状をなす固体酸化物形電解質と、固体酸化物形電解質の厚み方向の一方側に設けられた筒形状をなす多孔質のアノードと、固体酸化物形電解質の厚み方向の他方側に設けられた筒形状をなす多孔質のカソードとをもつ。
【0031】
固体酸化物形電解質には作動温度か高温となる高温領域T3(例えば900〜1100℃)が形成されている。固体酸化物形電解質には作動温度が低温となる低温領域T1(例えば500〜700℃未満)が形成されている。固体酸化物形電解質において高温領域T3と低温領域T1との間が中温領域T2(例えば700〜900℃未満)となる。
【0032】
固体酸化物形電解質は作動温度において酸素イオン伝導性が高い方が好ましく、更にジュール損を低減させるべく電子伝導性が低い方が好ましい。単一の電池セルにおいて、固体酸化物形電解質については、単一構造であるにもかかわらず、均一組成ではなく、これの作動温度の温度勾配に応じて、組成が異なるように設定されている電解質部分が設けられている。固体酸化物形電解質の作動温度の温度勾配があったとしても、固体酸化物形電解質の各部におけるイオン伝導性を高めるためである。この結果、固体酸化物形電解質は、作動温度が相対的に高温である高温領域における組成と、相対的に低温である低温領域における組成とが異なるように設定されている。
【0033】
即ち、単一の固体酸化物形電解質に係る低温領域T1及び中温領域T2では、低温でもイオン伝導性が良好なペロブスカイト型のランタン系酸化物(LaGaO系の酸化物)を基材として形成されている。特に、固体酸化物形電解質は、低温領域T1及び中温領域T2では、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、A元素を主要成分とするランタン系酸化物を基材として形成されている。具体的には、固体酸化物形電解質は、低温領域T1及び中温領域T2では、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2−X3−Zで表される組成式(例えばZ=0〜0.2)をもつランタン系酸化物を基材として形成されている。上記した組成式において周知のように数字はモル比を意味する。上記した組成式においてA元素はコバルト(Co)及びニッケル(Ni)のうちの1種または2種以上とされている。
【0034】
即ち、上記したランタン系の固体酸化物形電解質に係る低温領域T1では、700℃未満の低温領域T1であっても高いイオン伝導性が得られるように、X=0.08〜0.04の範囲において、作動温度が上昇する部位に移行するにつれて、Xの値を0.08から0.04に向けて徐々に減少させて傾斜組成としている。
【0035】
また固体酸化物形電解質に係る中温領域T2では、中温領域T2での高いイオン伝導性が得られると共に電子伝導成分がより小さくなるように、作動温度が高くなるにつれて、上記した組成式において、X=0.04→X=0となるまでXの値を徐々に減少させて傾斜組成としている。X=0のときには、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.23−Zで表される組成式(例えばZ=0〜0.2)をもつ酸化物となる。
【0036】
第1組成形態によれば、単一の固体酸化物形電解質に係る高温領域T3(900〜1100℃)では、上記した組成式においてX=0とされている。即ち、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.23−Zの組成(例えばZ=0〜0.2)とされており、傾斜組成ではなく、均一組成とされている。上記したように固体酸化物形電解質に係る高温領域T3は傾斜組成ではなく、均一組成とする。高温領域T3では傾斜組成ではなく均一組成とした理由は次のようである。即ち、高温領域T3では温度が高いため、固体酸化物形電解質を構成する元素の相互拡散が無視できなくなり、傾斜組成としたとき高温保持時間に応じて組成変化が無視できない。このため高温領域T3では傾斜組成ではなく、X=0とし、A元素であるコバルト及びニッケルが添加されていないLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.23−Zの均一組成(例えばZ=0〜0.2)とした。
【0037】
(1−2)第1組成形態に係るアノード
アノード(燃料極)は燃料ガスが供給され、燃料ガスを電気化学的に酸化させる場であり、電子が発生する場でもある。この事情を考慮してアノードは低温領域T1及び中温領域T2において、金属相としてのニッケルとセラミックス相としてのセリア系酸化物とが混合したサーメットで形成されている。ニッケルを含むのは、燃料ガスに対する触媒活性を得るためである。
【0038】
第1組成形態に係るアノードについて更に説明を加える。アノードは、前記したようにニッケルとセリア系酸化物とが混合したサーメットで形成されている。従って低温領域T1において具体的には、アノードは、Ni−Ce1−X1.9−δの組成式(例えばδ=0〜0.40)で表されるサーメットで形成されている。この組成式においてB元素はサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上である。ここで上記組成式においてX=0.3〜0.2の範囲において、固体酸化物形電解質の作動温度が上昇する部位に移行するにつれてXの値を0.3(例えば500℃付近)から徐々に減少させて0.2(例えば700℃付近)に近づけることができる。
【0039】
アノードは中温領域T2において、上記した組成式においてX=0.2とされ、Ni−Ce0.80.21.9−δの組成式(例えばδ=0〜0.40)で表されるサーメットと、Ni−YSZ系サーメットとの混合材料で形成されている。中温領域T2における電子伝導性を考慮したものである。上記組成式においてB元素は前記したようにサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上とする。ここでNi−YSZ系サーメットは、ニッケル相とYSZ相とが混在したサーメットである。なお、アノードの中温領域T2においては、作動温度が上昇する部位になるにつれて、Ni−YSZ系サーメットの面積割合を増加させている傾斜組成としている。温度勾配に対処するためである。
【0040】
アノードは高温領域T3において、具体的には、金属相としてのNiとセラミックス相としてのイットリア安定化ジルコニアとが混合したサーメットで形成されている。高温領域T3におけるイオン伝導性、電子伝導性、元素拡散の低減性を考慮したものである。
【0041】
(1−3)第1組成形態に係るカソード
カソード(空気極)は、酸化剤である酸素含有物質としての空気が供給され、酸素と電子との反応の場であると共に、外部負荷から反応場へ電子を供給する導電経路の働きをする。このためカソードは、酸素を酸素イオンに還元する能力、高い電子伝導性と高いイオン伝導性をもつことが要請される。このような機能を奏するカソードは、低温領域T1において、マンガン系酸化物、特に、B0.6Sr0.4MnO3−δの組成式(例えばδ=0〜0.25)で表される酸化物で形成されている。低温領域T1における高い電子伝導性を考慮したものである。この組成式においてSrの少なくとも一部はCaと置換できる。Mnの少なくとも一部はCoと置換できる。この組成式においてB元素はサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上である。従って、La0.6Sr(orCa)0.4MnO3−δ(δ=0〜0.25)を例示できる。
【0042】
第1組成形態に係るカソードは中温領域T2において、固体酸化物形電解質側の内層と空気層側の外層との二重構造で形成される。内層としては、(Ce1−xZr0.80.21.91−δ(例えばδ=0〜0.41)で表されるセリア−ジルコニア系の酸化物で形成され、作動温度が高温となる部位になるにつれて、Xの値を0から0.5まで増加させて0.5に近づけることができる。この組成式においてB元素は前記したようにサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上である。空気側の外層としては、B0.6Sr0.4MnO3−δの組成式(一般的にδ=0〜0.25)で表される酸化物で形成される。この組成式においてB元素はサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上である。この組成式においてSrの少なくとも一部はCaと置換でき、Mnの少なくとも一部はCoと置換できる。
【0043】
カソードは高温領域T3においても、固体酸化物形電解質側の内層と空気側の外層との二重構造で形成されている。固体酸化物形電解質側の内層としては、(Ce1−xZr0.80.21.91−δ(例えばδ=0〜0.41)で表されるセリア−ジルコニア系酸化物で形成され、作動温度が高温となる部位になるにつれて、Xの値を0.5〜1.0まで増加させて1.0に近づけることができる。この組成式においてB元素は前記したようにサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上である。
【0044】
空気側の外層としては、B0.6Sr0.4MnO3−δの組成式(一般的にδ=0〜0.25)で表される酸化物で形成される。この組成式においてB元素はサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上である。この組成式においてSrの少なくとも一部はCaと置換でき、Mnの少なくとも一部はCoと置換できる。
【0045】
(1−4)第1組成形態に係るインターコネコタ
インターコネクタのうち低温領域T1については、過酷な耐熱性が要請されないため、金属系で形成されている。即ち、鉄−ニッケル−クロムを含むステンレス合金を基材として形成されている。インターコネクタのうち中温領域T2については、金属相とセラミックス相が混在したサーメットで形成されている。電子伝導性及び耐熱性を考慮したものである。金属相としては、鉄−ニッケル−クロムを含むステンレス合金とされている。セラミックス相としてはランタンクロマイト(LaCrO)系の酸化物が用いられ、具体的にはLa0.8Sr(orCa)0.2CrO3−Zの組成式(例えばZ=0〜0.1)で表される酸化物が用いられている。本明細書ではorは置換可能という意味である。
【0046】
インターコネクタのうち高温領域T3については、電子伝導性、耐熱性を考慮し、ペロブスカイト構造をもつランタンクロマイト(LaCrO)系の酸化物を基材として形成されている。具体的には、La0.8Sr(orCa)0.2CrO3−Zの組成式(例えばZ=0〜0.1)で表される酸化物を基材として形成されている。
【0047】
(1−5)第1組成形態の効果
以上説明したように本形態に係る単一の電池セルに係る固体酸化物形電解質によれば、固体酸化物形電解質の作動温度の温度勾配に対応するように、つまり固体酸化物形電解質の部位に応じて、固体酸化物形電解質の組成が変化している。換言すると、固体酸化物形電解質は、作動温度が相対的に高温である高温領域T3における組成と、相対的に低温である低温領域T1における組成とが異なるように設定されている。このため固体酸化物形電解質の高温領域T3においても、中温領域T2,低温領域T1においても、その作動温度に応じた高いイオン伝導性が得られる。故に、固体酸化物形電解質の高温領域T3においても、中温領域T2,低温領域T1においても、良好な電力密度が得られる。
【0048】
上記した第1組成形態によれば、アノードについても、作動温度の温度勾配に対応するように、つまりアノードの部位に応じて、アノードの組成が変化している。換言すると、アノードは、作動温度が相対的に高温である高温領域T3における組成と、相対的に低温である低温領域T1における組成とが異なるように設定されている。このため高温領域T3においても、中温領域T2,低温領域T1においても、その作動温度に応じた高い電子伝導性が得られる。
【0049】
カソードについても、作動温度の温度勾配に対応するように、つまりカソードの部位に応じて、カソードの組成が変化している。換言すると、カソードは、作動温度が相対的に高温である高温領域T3における組成と、相対的に低温である低温領域T1における組成とが異なるように設定されている。このため高温領域T3においても、中温領域T2,低温領域T1においても、その作動温度に応じた高い電子伝導性と耐酸化性が得られる。
【0050】
集電用のインターコネクタについても、作動温度の温度勾配に対応するように、つまりインターコネクタの部位に応じて組成が変化している。換言すると、インターコネクタは、作動温度が相対的に高温である高温領域T3における組成と、相対的に低温である低温領域T1における組成とが異なるように設定されている。このため高温領域T3においても、中温領域T2,低温領域T1においても、その作動温度に応じた高い電子伝導性と耐酸化性が得られる。
【0051】
(2−1)第2組成形態に係る固体酸化物形電解質
第2組成形態では、固体酸化物形電解質としては、イットリア及びスカンジアのうちの少なくとも一方で安定化された安定化ジルコニア系の酸化物を基材とする組成領域を有する。ここで、安定化ジルコニアとして、Zr0.8Sc0.2−X1.91−Zの組成式(例えばZ=0〜0.01)をもつ酸化物とする。ここでX=0〜0.2の範囲内で可変である。故に、作動温度が低温領域T1から中温領域T2を経て高温領域T3に移行するにつれて、上記した組成式においてX=0〜0.2の範囲内において、Xの値を徐々に増加させるような傾斜組成とさせ、イットリウムを増加させると共にスカンジウムを減少させる。高いイオン伝導性が得られるためである。この場合、高温領域T3では上記した組成式においてX=0.2としてスカンジウムを0とし、つまりZr0.80.21.91−Zの組成式とし、傾斜組成ではなく均一組成とする。均一組成とする理由は、高温領域T3では拡散度合が低温領域T1に比較して大きいため、元素の拡散による影響を抑えるためである。なお安定化ジルコニアでは、イットリアやスカンジアのモル%が7〜11%の範囲で存在し得るので、前記安定化ジルコニアの組成は、Zr比を少し高くしても可能で、前述のZr0.8Sc0.2−X1.91−ZからZr0.87Sc0.13−X1.91−Zの組成範囲まで同様に成り立つ。後者の組成の場合、一般的には、Z=0〜0.01、X=0〜0.13である。
【0052】
(2−2)第2組成形態に係るアノード
アノード(燃料極)は燃料ガスが供給され、燃料ガスを電気化学的に酸化させる場であり、電子が発生する場でもある。この事情を考慮してアノードは低温領域T1において、金属相としてのニッケルとセラミックス相としてのセリア系酸化物とが混合したサーメットで形成されている。ニッケルを含むのは、燃料ガスに対する触媒活性を得るためである。
【0053】
第2組成形態に係るアノードについて説明を加える。低温領域T1において具体的には、アノードは、Ni−Ce1−X1.95−δの組成式(例えばδ=0〜0.45)で表されるサーメットで形成されている。上記した組成式においてB元素はサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上である。ここでX=0.3〜0.2において、固体酸化物形電解質10の作動温度が上昇する部位になるにつれて、Xの値を0.3から徐々に減少させて0.2に近づけることができる。
【0054】
アノードは中温領域T2において、Ni−Ce0.80.21.9−δの組成式(例えばδ=0〜0.40)で表されるサーメットと、Ni−YSZ系サーメットとの混合材料で形成されている。中温領域T2における耐熱性、電子伝導性を考慮したものである。上記した組成式においてB元素は前記したようにサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上とする。ここでNi−YSZ系サーメットは、ニッケル相とYSZ相とが混在したサーメットである。ここでアノードの中温領域T2においては、作動温度が上昇する部位になるにつれて、Ni−YSZ系サーメットの面積割合を増加させている傾斜組成としている。作動温度の高温化に対処するためである。
【0055】
アノードは高温領域T3において、具体的には、金属相としてのNiとセラミックス相としてのイットリア安定化ジルコニアとが混合したサーメットで形成されている。高温領域T3における耐熱性、イオン伝導性、電子伝導性、元素拡散の低減性を考慮したものである。
【0056】
(2−3)第2組成形態に係るカソード
カソード(空気極)は、酸化剤である酸素含有物質としての空気が供給され、酸素と電子との反応の場であると共に、外部負荷から反応場へ電子を供給する導電経路の働きをする。このためカソードは、酸素を酸素イオンに還元する能力、高い電子伝導性と高いイオン伝導性をもつことが要請される。このような機能を奏するカソードは、低温領域T1において、B0.6Sr0.4MnO3−δの組成式(例えばδ=0〜0.25)で表される酸化物で形成されている。低温領域T1における高い電子伝導性を考慮したものである。この組成式においてSrの少なくとも一部はCaと置換できる。この組成式においてB元素はサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上である。
【0057】
カソードは中温領域T2において、固体酸化物形電解質側の内層と空気層側の外層との二重構造で形成される。固体酸化物形電解質側の内層としては、(Ce1−xZr0.80.21.91−δ(例えばδ=0〜0.41)で表されるセリア−ジルコニア系酸化物で形成され、作動温度が高温となる部位になるにつれて、Xの値を0から0.5まで増加させることができる。この組成式においてB元素は前記したようにサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上である。空気側の外層としては、B0.5Sr0.5MnO3−δの組成式(一般的にδ=0〜0.25)で表される酸化物で形成される。この組成式においてB元素はサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上である。この組成式においてSrの少なくとも一部はCaと置換できる。
【0058】
カソードは高温領域T3においても、固体酸化物形電解質側の内層と空気側の外層との二重構造で形成されている。固体酸化物形電解質側の内層としては、(Ce1−xZr0.80.21.91−δ(例えばδ=0〜0.41)で表されるセリア−ジルコニア系酸化物で形成され、作動温度が高温となる部位になるにつれて、Xの値を0.5〜1.0まで増加させることができる。この組成式においてB元素は前記したようにサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上である。空気側の外層としては、B0.6Sr0.4MnO3−δの組成式(一般的にδ=0〜0.25)で表される酸化物で形成される。この組成式においてB元素はサマリウム(Sm),ガドリウム(Gd),イットリウム(Y)、ランタン(La)のうちの1種または2種以上である。この組成式においてSrの少なくとも一部はCaと置換できる。
【0059】
(2−4)第2組成形態に係るインターコネクタ
第2組成形態に係るインターコネクタは、第1組成形態に係るインターコネクタと同様とすることができる。
【0060】
(第1実施例)
第1実施例に係る固体酸化物形燃料電池システムについて図1〜図5を参照して説明を加える。第1実施例に係る固体酸化物形燃料電池システムの電池セル1は、図1,図2に示すように、筒形状をなしており、イオン伝導性を有する筒形状をなす固体酸化物形電解質10と、固体酸化物形電解質10の厚み方向の一方側(外周側)に設けられた筒形状をなす多孔質のアノード11と、固体酸化物形電解質10の厚み方向の他方側(内周側)に設けられた筒形状をなす多孔質のカソード12とをもつ。
【0061】
図1,図2において、固体酸化物形電解質10の軸長方向の中央領域が高温領域T3(例えば900〜1100℃)となる。固体酸化物形電解質10の軸長方向の端領域が低温領域T1(例えば500〜700℃未満)となる。固体酸化物形電解質10において高温領域T3と低温領域T1との間が中温領域T2(例えば700〜900℃未満)となる。
【0062】
図3に示すように、固体酸化物形燃料電池システムは、複数個の電池セル1を並設状態に収容する内基体20と、断熱性をもつ電池セル支持部21及び断熱層22を介して内基体20を保持する外基体23と、電池セル1のアノード11にガス状の燃料(炭化水素系ガス)を供給する燃料供給通路24と、電池セル1のカソード12に酸化剤としてのガス状の空気を供給する空気供給通路26と、燃料オフガスを燃焼させる加熱部として機能する燃焼部30と、燃料供給通路24から吐出された燃料オフガスを燃焼部30に供給する燃料オフガス通路31と、空気供給通路26から吐出された空気オフガスを燃焼部30に供給する空気オフガス通路32と、燃焼部30で燃焼された排ガスを外部に排出する排ガス通路33と、各電池セル1の一端(上端)を電気的に繋ぐ集電用の第1インターコネクタ34と、各電池セル1の他端(下端)を電気的に繋ぐ集電用の第2インターコネクタ35と、第1インターコネクタ34に繋がると共に外部に導出された電極端子37と、第2インターコネクタ35に繋がると共に外部に導出された電極端子38とをもつ。
【0063】
本実施例によれば、固体酸化物形電解質10の軸長方向の両端領域である低温領域T1付近には、燃料や空気の洩れを抑えるシール部16が設けられている。
【0064】
図3に示すように、燃料供給通路24は、筒形状の電池セル1の外周部であるアノード11に対面する第1燃料供給通路241と、第1燃料供給通路241に繋がる第2燃料供給通路242とをもつ。空気供給通路26は、筒形状の電池セル1の内周部であるカソード12に対面する第1空気供給通路261と、第1空気供給通路261に繋がる第2空気供給通路262とをもつ。
【0065】
発電の立ち上がり時には、固体酸化物形電解質10が所定の高い温度領域に加熱される。本システムの運転の立ち上がり時には、固体酸化物形電解質10の全部が900℃以上の高温とならなくても良く、図2に示すように固体酸化物形電解質10の長さ方向の中間領域が高温領域T3(例えば900〜110℃)となり、固体酸化物形電解質10の長さ方向の端領域が低温領域T1(例えば500〜700℃未満)となり、その中間領域が中温領域T2(例えば700〜900℃未満)となる。このように高温領域T3の他に低温領域T1、中温領域T2が許容される。すなわち、固体酸化物形電解質10の軸長方向の端領域は外基体23に電池セル支持部21を介してつながっているため、低温領域T1とされる。固体酸化物形電解質10の軸長方向の中央領域は燃焼部30に近いと共に外基体23に遠いため、高温領域T3とされる。
【0066】
発電時には炭化水素系の燃料ガスが電池セル1の燃料供給通路24に供給されると共に、酸化剤としての酸素含有物質である空気が電池セル1の空気供給通路26に供給される。これにより発電が行われる。図3において燃料ガス、燃料オフガスの流れを実線の矢印として示す。空気、空気オフガスの流れを破線の矢印として示す。電池セル1の燃料供給通路24から吐出された発電後の燃料オフガスは、燃料オフガス通路31を経て燃焼部30に至る。電池セル1の空気供給通路26から吐出された発電後の空気オフガスは、空気オフガス通路32を経て燃焼部30に至る。空気オフガス及び燃料オフガスは燃焼部30で混合して燃焼される。排熱は図略の排熱利用装置により有効利用されることにされている。燃焼部30で燃焼された排ガスは、排ガス通路33を経て排出管33xから外部に排出される。図3において排ガスの流れを鎖線の矢印として示す。
【0067】
図1〜図3に示す本実施例によれば、前述したように、固体酸化物形電解質10の作動温度の温度勾配に応じて、つまり固体酸化物形電解質10の長さ方向(軸長方向)の部位に応じて、上記した第1組成形態または第2組成形態のいずれかに基づいて、固体酸化物形電解質10の組成が変化している。この結果、固体酸化物形電解質10は、作動温度が相対的に高温である高温領域T3における組成と、相対的に低温である低温領域T1における組成とが異なるように設定されており、低温領域T1における電力密度が高められている。
【0068】
このため電池セル1の温度を全体的に高温に且つ均一にしなくても良い。従って発電時に固体酸化物形電解質10の全部を900℃以上の高温領域に維持せずとも良く、発電時の立ち上がり時間の短縮化を図ることができ、発電を効率よく行うことができる。更に固体酸化物形電解質10の全体を900℃以上の高温にせずとも良いため、固体酸化物形電解質10の端領域は低温領域T1(例えば500〜700℃未満)で済み、システムの運転時における外部への熱リーク量を抑えることができる。
【0069】
本実施例によれば、固体酸化物形電解質10の端領域は低温領域T1(例えば500〜700℃未満)となる。このため燃料供給通路24の入口、空気供給通路26の入口、電極端子38,37といった電極端子を取り出す取り出し部、電池セル支持部21などといった各部品の温度を、固体酸化物形電解質10の高温領域T3及び中温領域T2よりも低くしても、燃料電池を良好に運転することができる。
【0070】
以上説明したように本実施例に係る単一の電池セル1に係る固体酸化物形電解質10によれば、固体酸化物形電解質10の作動温度の温度勾配に対応するように、つまり固体酸化物形電解質10の部位に応じて、固体酸化物形電解質10の組成が変化している。換言すると、固体酸化物形電解質10は、作動温度が相対的に高温である高温領域T3における組成と、相対的に低温である低温領域T1における組成とが異なるように設定されている。このため固体酸化物形電解質10の高温領域T3においても、中温領域T2,低温領域T1においても、その作動温度に応じた高いイオン伝導性が得られる。故に、固体酸化物形電解質10の高温領域T3においても、中温領域T2,低温領域T1においても、良好な電力密度が得られる。
【0071】
本実施例によれば、固体酸化物形電解質10の作動温度の温度勾配に応じて、つまり、固体酸化物形電解質10の長さ方向(軸長方向)の部位に応じて、上記した第1組成形態または第2組成形態のいずれかに基づいて、アノード11,カソード12は形成されている。このため作動温度の温度勾配がある場合であっても、アノード11,カソード12の電子伝導性が良好に確保される。
【0072】
更に固体酸化物形電解質10の作動温度の温度勾配に応じて、つまり、固体酸化物形電解質10の長さ方向(軸長方向)の部位に応じて、上記した第1組成形態または第2組成形態のいずれかに基づいて、インターコネコタ34,35は形成されている。このため作動温度の温度勾配がある場合であっても、インターコネコタ34,35の電子伝導性が良好に確保される。
【0073】
(計算例)
図4は計算例を示す。図4は固体酸化物形電解質10における温度分布、固体酸化物形電解質10における電力密度、固体酸化物形電解質10における発熱量(電子伝導分)、固体酸化物形電解質10の組成を示す。この場合、電池セル1を並設した1kWクラスの燃料電池の出力評価を計算で求めた。この場合、A元素としてコバルト(Co)を用い、固体酸化物形電解質10は、基本的にはLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2−XCoで表される組成式をもつランタン系の酸化物とした。そして低温領域T1から中温領域T2にかけてXの値を0.08から0まで徐々に減少させた傾斜組成とした。固体酸化物形電解質10は内径20mmで高さ500mmとした。図4に示すように、円筒の固体酸化物形電解質10における温度分布は、円筒の固体酸化物形電解質10の両端で500℃、固体酸化物形電解質10の長さ方向の中央領域(寸法200mmの部分)が800℃、中央領域と両端領域との間(寸法150mmの部位)の温度はなだらかに変化している。ここで、固体酸化物形電解質10の厚さを0.3mmとする。
【0074】
図4に示すように、固体酸化物形電解質10の800℃の領域では、電力密度は0.4W/cmであり、発熱量(電子伝導分)は0.1W/cmであった。固体酸化物形電解質10の700℃の領域では、電力密度は0.4W/cmであり、発熱量(電子伝導分)は0.14W/cmであった。固体酸化物形電解質10の600℃の領域では、電力密度は0.3W/cmであり、発熱量(電子伝導分)は0.14W/cmであった。固体酸化物形電解質10の500℃の領域では、電力密度は0.2W/cmであり、発熱量(電子伝導分)は0.15W/cmであった。このようにこの計算例によれば、固体酸化物形電解質10の500℃程度の低温領域であっても0.2W/cmの良好な電力密度が実現でき、結果として、固体酸化物形電解質10の作動温度が変化したとしても、良好なる電力密度が得られる。即ち固体酸化物形電解質10の作動温度の温度勾配が生じているとしても、固体酸化物形電解質10の各部位における発電ムラが軽減される。上記した計算例によれば、筒形状の固体酸化物形電解質10の1本あたり、発電出力は113Wであり、固体酸化物形電解質10を16本並設した電池モジュールでは1808Wの発電出力が得られる。なお筒形状の固体酸化物形電解質10の1本あたり、発熱量は40Wであり、固体酸化物形電解質10を16本並設することで640Wの発熱量がある。
【0075】
図5は比較例に係る計算例を示す。図5は比較例に係る固体酸化物形電解質における温度分布、固体酸化物形電解質における電力密度、固体酸化物形電解質における発熱量(電子伝導分)、固体酸化物形電解質の組成を示す。比較例に係る固体酸化物形電解質は、作動温度に応じて組成を傾斜させる傾斜組成ではなく、組成が一定に固定されており、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2で表される組成式をもつ酸化物とした。固体酸化物形電解質のサイズは前述同様に内径20mmで高さ500mmとした。図5に示すように、固体酸化物形電解質10の800℃の領域では、電力密度は0.4W/cmであり、発熱量(電子伝導分)は0.1W/cmであった。固体酸化物形電解質10の700℃の領域では、電力密度は0.25W/cmであり、発熱量(電子伝導分)は0.1W/cmであった。固体酸化物形電解質10の600℃の領域では、電力密度は0.12W/cmであり、発熱量(電子伝導分)は0.05W/cmであった。固体酸化物形電解質10の500℃の領域では、電力密度は0.05W/cmであり、発熱量(電子伝導分)は0.04W/cmであった。
【0076】
このように比較例に係る計算例によれば、作動温度が700℃よりも低い領域では電力密度はかなり小さいものである。上記した比較例によれば、筒形状の固体酸化物形電解質の1本あたり、発電出力は82Wであり、固体酸化物形電解質を16本並設した電池モジュールでは1312Wの発電出力が得られる。なお筒形状の固体酸化物形電解質の1本あたり、発熱量は26Wであり、固体酸化物形電解質10を16本並設することで416Wの発熱量がある。
【0077】
(2)第2実施例
本発明の第2実施例について図6〜図8を参照して説明する。図6(A)(B)に示すように、本実施例に係る固体酸化物形燃料電池システムに使用されている平板形状をなす電池セル1Bは、酸素イオン伝導性を有する四角の平板形状をなす固体酸化物形電解質10Bと、固体酸化物形電解質10Bの一方側(片面側)に設けられた四角の平板形状をなすアノード11Bと、固体酸化物形電解質10Bの他方側(他の片面側)に設けられた四角の平板形状をなすカソード12Bとをもつ。固体酸化物形電解質10Bの中央領域が高温領域T3(例えば900〜1100℃)となる。固体酸化物形電解質10Bの周縁が低温領域T1(例えば500〜700℃未満)となる。固体酸化物形電解質10Bにおいて高温領域T3と低温領域T1との間が中温領域T2(例えば700〜900℃未満)となる。
【0078】
第2実施例に係る固体酸化物形電解質10Bは、第1実施例に係る固体酸化物形電解質10と同じように、固体酸化物形電解質10Bの作動温度の温度勾配に応じて、つまり部位に応じて組成を変化している。即ち、固体酸化物形電解質10Bは、上記した第1組成形態または第2組成形態のいずれかに基づいて形成されており、作動温度が相対的に高温である高温領域T3における組成と、相対的に低温である低温領域T1における組成とが異なるように設定されている。固体酸化物形電解質10Bの作動温度に応じた高いイオン伝導性を得るためである。
【0079】
従って、図6(B)に示すように、第1組成形態で形成された固体酸化物形電解質10Bについては、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2−X3−Zの組成式をもつ酸化物を基材とすることができる。また図7(B)に示すように、第2組成形態で形成された固体酸化物形電解質10Bについては、Zr0.8Sc0.2−x1.91−Zの組成式をもつ酸化物を基材とすることができる。
【0080】
第2実施例に係る固体酸化物形燃料電池システムの全体構成について図8を参照して説明を加える。固体酸化物形燃料電池システムは、図8に示すように、固体酸化物形電解質10B、アノード11B及びカソード12Bを有する電池セル1Bと、電池セル1Bを挟むように設けられた四角板状のセパレータ15Bと、セパレータ15Bと固体酸化物形電解質10Bとの間に設けられ開口160をもつシール部16Bとを有する。
【0081】
このアノード11Bは、第1実施例に係るアノード11と同じように、上記した第1組成形態または第2組成形態のいずれかに基づいて形成されており、固体酸化物形電解質10Bの作動温度の温度勾配に応じてアノード組成を変化させている。またカソード12Bは、第1実施例に係るカソード12と同じように、上記した第1組成形態または第2組成形態のいずれかに基づいて形成されており、固体酸化物形電解質10Bの作動温度の温度勾配に応じてカソード組成を変化させている。
【0082】
なお、セパレータ15Bは導電材料(Ni−Cr系ステンレス鋼等)で形成されており、電池セル1Bを電気的に繋ぐ集電用のインターコネクタとして機能できる。
【0083】
セパレータ15Bの片面には、電池セル1Bのアノード11Bに燃料(炭化水素系ガス)を供給する燃料供給通路24Bが形成されている。セパレータ15Bの他の片面には、電池セル1Bのカソード12Bに酸化剤としての空気(酸素含有ガス)を供給する空気供給通路26Bが酸化剤通路として設けられている。
【0084】
セパレータ15B、固体酸化物形電解質10B、シール部16Bの隅部には、燃料供給通路24Bに燃料ガスを供給する燃料通路245Bが形成されている。またセパレータ15B、固体酸化物形電解質10B、シール部16Bの他の隅部には、セパレータ15Bの空気供給通路26Bに空気を供給する空気通路265Bが形成されている。
【0085】
更に、セパレータ15Bの燃料供給通路24Bから吐出された燃料オフガスを吐出する燃料オフガス通路31Bが、セパレータ15B、固体酸化物形電解質10B、シール部16Bの隅部に形成されている。セパレータ15Bの空気供給通路26Bから吐出された空気オフガスを吐出する空気オフガス通路32Bが、セパレータ15B、固体酸化物形電解質10B、シール部16Bの隅部に形成されている。
【0086】
さて発電時には、炭化水素系等の燃料ガスがセパレータ15Bの燃料供給通路24Bに供給されると共に、酸素含有ガスである空気がセパレータ15Bの空気供給通路26Bに供給される。これにより発電が行われる。セパレータ15Bの燃料供給通路24Bから吐出された発電後の燃料オフガスは、燃料オフガス通路31Bを経て吐出される。セパレータ15Bの空気供給通路26Bから吐出された発電後の空気オフガスは、空気オフガス通路32Bを経て吐出される。
【0087】
発電時において固体酸化物形電解質10Bにおいて端領域は外部に近いため、低温領域T1とされる。固体酸化物形電解質10Bにおいて中央領域は外部に対して遠いため、高温領域T3とされる。
【0088】
本実施例によれば、図8に示すように、シール部16Bは、固体酸化物形電解質10Bの周縁である低温領域T1をシールしており、燃料や空気の外部への漏れを抑えている。シール部16Bはガラス系、セラミックス系、炭素系、サーメット系、金属系のいずれかで形成できる。このようにシール部16Bは、固体酸化物形電解質10Bのうち高温領域T3ではなく、低温領域T1をシールしているため、シール部16Bに過剰の耐熱性が要請されることが回避される。故に、シール部16Bの熱劣化防止を図り得てシール部16Bの長寿命化を図り得ると共に、シール部16Bの材質選択の自由度の拡大を図り得る。このように本実施例によれば、システムの運転時において固体酸化物形電解質10Bの全体を高温領域に維持せずとも良く、固体酸化物形燃料電池システムの運転を立ち上げるとき、立ち上がり時間の短縮化を図ることができ、更にシステムの運転時における外部への熱リーク量も抑制される。
【0089】
本実施例によれば、前記したように固体酸化物形電解質10Bの端領域は低温領域T1(例えば500〜700℃未満)で済む。このため燃料供給通路24Bの入口、空気供給通路26Bの入口、電極端子を取り出す取り出し部などといった各部品の温度を、固体酸化物形電解質10の高温領域T3及び中温領域T2よりも低くしても、燃料電池を良好に稼働することができる。
【0090】
(3)第3実施例
本発明の第3実施例について図9,図10を参照して説明する。本実施例に係る固体酸化物形燃料電池システムの電池セル1Cは断面でハニカム形状をなしており、イオン伝導性を有するハニカム状をなすと共に高さ方向に延設された固体酸化物形電解質10Cと、固体酸化物形電解質10Cの一方側に設けられた筒形状をなす高さ方向に延設されたアノード11Cと、固体酸化物形電解質10の他方側に設けられた筒形状をなす高さ方向に延設されたカソード12Cとをもつ。
【0091】
固体酸化物形電解質10Cでは、高さ方向の一端領域(上端領域)が高温領域T3(例えば900〜1100℃)である。高温となる燃焼室310Cに近いためである。固体酸化物形電解質10Cの高さ方向の他端領域(下端領域)が低温領域T1(例えば500〜700℃未満)である。固体酸化物形電解質10Cにおいて長さ方向の高温領域T3と低温領域T1との間が中温領域T2(例えば700〜900℃未満)となる。
【0092】
第3実施例に係る固体酸化物形電解質10Cは、第1実施例に係る固体酸化物形電解質10と同じように作動温度の温度勾配に応じてこれの高さ方向に沿って(長さ方向に沿って)組成を変化させている。即ち、固体酸化物形電解質10Cは、上記した第1組成形態または第2組成形態のいずれかに基づいて形成されており、従って、作動温度が相対的に高温である高温領域T3における組成と、相対的に低温である低温領域T1における組成とが異なるように設定されており、これにより低温領域T1における電力密度が高められている。
【0093】
図10に示すように、本実施例に係る固体酸化物形燃料電池システムは、固体酸化物形電解質10C、アノード11C及びカソード12Cを有する電池セル1Cと、電池セル1Cのアノード11Cに燃料(炭化水素系ガス)を供給する燃料供給通路24Cと、アノード11Cに沿って高さ方向に延設された第1インターコネクタ34Cと、カソード12Cに沿って高さ方向に延設された第2インターコネクタ35Cとをもつ。
【0094】
図9に示すように、上記した燃料供給通路24Cは、ハニカム形状の電池セル1Cのアノード11Cに対面する第1燃料供給通路241Cと、第1燃料供給通路241Cに繋がる第2燃料供給通路242Cと、第2燃料供給通路242Cに繋がる第3燃料供給通路243Cと、第3燃料供給通路243Cに繋がる第4燃料供給通路244Cとをもつ。
【0095】
図9に示すように、空気供給通路26Cは、ハニカム形状の電池セル1Cのカソード12Cに対面する第1空気供給通路261Cと、第1空気供給通路261Cに繋がる第2空気供給通路262Cと、第2空気供給通路262Cに繋がる第3空気供給通路263Cと、第3空気供給通路263Cに繋がる第4空気供給通路264Cとをもつ。更に本システムは、図9に示すように、発電後の燃料オフガスを吐出する燃料オフガス通路31Cと、発電後の空気オフガスを吐出する空気オフガス通路32Cと、燃料オフガス及び空気オフガスが混合した混合ガスを燃焼させる加熱部として機能する燃焼バーナである燃焼部30Cと、燃焼部30Cで燃焼された排ガスを外部に排出する排ガス通路33Cとをもつ。
【0096】
発電後の燃料オフガスを吐出する燃料オフガス通路31Cは、図9に示すように、第1燃料オフガス通路311Cと、第1燃料オフガス通路311Cに繋がる第2燃料オフガス通路312Cと、第2燃料オフガス通路312Cに繋がる第3燃料オフガス通路313Cと、第3燃料オフガス通路313Cに繋がる第4燃料オフガス通路314Cとをもつ。発電後の空気オフガスを吐出する空気オフガス通路32Cは、図9に示すように、第1空気オフガス通路321Cと、第1空気オフガス通路321Cに繋がる第2空気オフガス通路322Cと、第2空気オフガス通路322Cに繋がる第3空気オフガス通路323Cと、第3空気オフガス通路323Cに繋がる第4空気オフガス通路324Cとをもつ。
【0097】
本実施例においては、発電時には、炭化水素系の燃料ガスが燃料供給通路24Cに供給されると共に、空気が空気供給通路26Cに供給される。これにより炭化水素系の燃料ガスが電池セル1Cの第1燃料供給通路241Cに供給されると共に、空気が電池セル1Cの第1空気供給通路261Cに供給され、電池セル1Cで発電が行われる。図9において、燃料ガス、燃料オフガスの流れを実線の矢印として示す。空気、空気オフガスの流れを破線の矢印として示す。排ガスの流れを鎖線の矢印として示す。
【0098】
発電後の燃料オフガスは、燃料オフガス通路31Cを経て実線の矢印のように流れて燃焼部30Cに吐出される。また発電後の空気オフガスは、空気オフガス通路32Cを経て破線の矢印のように流れて燃焼部30Cに吐出される。この結果、燃料オフガス及び空気オフガスは燃焼部30Cで燃焼され、燃焼室310Cに火炎が生成される。このため固体酸化物形電解質10Cは長さ方向の一端領域(上端領域)が高温領域T3となり、固体酸化物形電解質10Cは長さ方向の他端領域(下端領域)が低温領域T1となり、低温領域T1と高温領域T3との間が中温領域T2となる。
【0099】
上記したように本実施例に係る単一電池セル1Cに係る固体酸化物形電解質10Cは、上記した第1組成形態または第2組成形態のいずれかに基づいて形成されており、固体酸化物形電解質10Cの作動温度に対応するように固体酸化物形電解質10Cの組成が変化している。このため固体酸化物形電解質10Cの低温領域T1及び中温領域T2であっても、高いイオン伝導性が得られる。
【0100】
更に本実施例によれば、第1実施例及び第2実施例の場合と同様に、固体酸化物形電解質10Cには温度勾配が形成されており、固体酸化物形電解質10Cの全体を高温領域に維持せずとも良い。故に、固体酸化物形燃料電池システムの運転を立ち上げるとき、立ち上がり時間の短縮化を図ることができ、更にシステムの運転時における外部への熱リーク量も抑制される。
【0101】
また固体酸化物形電解質10Cの高温領域T3付近における燃料や空気の漏れを抑えるべく、シール部16Cが設けられている。また固体酸化物形電解質10Cの低温領域T1付近における燃料や空気の漏れを抑えるべく、シール部16Cが設けられている。殊に、低温領域T1をシールするシール部16Cは、低温領域T1であるため、過酷な耐熱性が要請されず、このシール部16Cの材質を選択する自由度を拡大することができる。なお、低温領域T1をシールするシール部16Cの材質としてはセラミックス系、サーメット系、金属系、炭素系のいずれかとすることができ、耐熱性が比較的低いものでも良い。
【0102】
第3実施例に係るアノード11Cは、第1実施例に係るアノード11と同じように、上記した第1組成形態または第2組成形態のいずれかに基づいて形成されており、作動温度の温度勾配に応じてアノード組成を変化させている。またカソード12Cは、第1実施例に係るカソード12と同じように、作動温度の温度勾配に応じて、上記した第1組成形態または第2組成形態のいずれかに基づいて形成されており、作動温度の温度勾配に応じてカノード組成を変化させている。従ってアノード11C、カソード12Cの電子伝導性が良好に確保されている。
【0103】
加えて第1インターコネクタ34C、第2インターコネクタ35Cについても、作動温度の温度勾配に応じて、上記した第1組成形態または第2組成形態のいずれかに基づいて形成されており、従って電子伝導性が良好に確保されている。
【0104】
(4)第4実施例
本発明の第4実施例に係る電池セル1Dについて図11を参照して説明する。本実施例に係る固体酸化物形燃料電池システムによれば、管状をなす単一の電池セル1Dは筒形状をなしており、長さ方向の一端部に凸状の嵌合部17aを有すると共に、長さ方向の他端部に凹状の被嵌合部17cを有する。図11に示すように、単一の管状の電池セル1Dは、イオン伝導性を有する筒形状をなす固体酸化物形電解質10Dと、固体酸化物形電解質10Dの厚み方向の一方側に設けられた筒形状をなすアノード11Dと、固体酸化物形電解質10Dの厚み方向の他方側に設けられた筒形状をなすカソード12Dとをもつ。なおカソード12Dおよびアノード11Dの位置を入り替えても良い。
【0105】
また図11に示すように、管状の電池セル1Dは、アノード11Dに燃料を供給する燃料供給通路24Dと、カソード12Dに酸化剤としての酸素含有ガスである空気を供給する空気供給通路26Dとをもつ。そして図11に示すように、単一の電池セル1Dの嵌合部17a及び被嵌合部17cを嵌合することにより、単一の電池セル1Dを複数個直列的に結合して管状の電池モジュール19Dを形成している。
【0106】
管状の電池モジュール19Dにおいて、隣設する電池セル1Dの間には、各電池セル1Dを電気的に繋ぐ集電用のインターコネクタ34D(34D〜34D)が設けられている。このように複数個の管状の電池セル1Dを直列的に結合して管状の電池モジュール19Dを形成するため、単一の電池セル1Dでは、固体酸化物形電解質10Dを同一組成とすることができると共に、アノード11D、カソード12Dについても同一組成とすることができる。そして、隣設する電池セル1D同士において、固体酸化物形電解質10Dの組成を変化させれば良い。
【0107】
本実施例によれば、管状の電池モジュール19Dの長さ方向の一端領域(上端領域)が高温領域T3(例えば900〜1100℃)となり、且つ、管状の電池モジュール19Dの長さ方向の他端領域(下端領域)が低温領域T1(例えば500〜700℃未満)となり、低温領域T1と高温領域T3との間が中温領域T2(例えば700〜900℃未満)となる。
【0108】
本実施例によれば、インターコネクタ34Dは高温領域T3に近く、インターコネクタ34Dは低温領域T1に近い。このため高温側のインターコネクタ34Dは、電子伝導性及び耐熱性を考慮し、ペロブスカイト構造をもつランタンクロマイト(LaCrO)系の酸化物を基材として形成されている。具体的には、高温側のインターコネクタ34Dは、La0.8Sr(orCa)0.2CrO3−Zの組成式(例えばZ=0〜0.1)で表される酸化物を基材として形成されている。
【0109】
これに対して低温領域T1側のインターコネクタ34Dは、過酷な耐熱性が要請されないため、酸化物系ではなく、金属系、殊に鉄−ニッケル−クロムを含むステンレス合金を基材として形成されている。中温側のインターコネクタ34D,34Dは、鉄−ニッケル−クロムを含むステンレス合金とLa0.8Sr(orCa)0.2CrO3−Zの組成式で表される酸化物との混合物(サーメット)を基材として形成されている。電子伝導性及び耐熱性を考慮したものである。
【0110】
上記した管状の電池モジュール19Dについて、固体酸化物形電解質10Dはこれの作動温度の温度勾配に応じて、つまり部位に応じて組成が異なるように設定されている。固体酸化物形電解質10Dの作動温度に応じてイオン伝導性を高めるためである。即ち、管状の電池モジュール19Dについて、低温領域T1では、固体酸化物形電解質10Dは、低温領域T1でもイオン伝導性が良好なセリア系酸化物を基材として形成されている。セリア系酸化物としては、具体的には、低温領域T1では、固体酸化物形電解質10Dは、Ce0.80.21.9−δで表される組成式(例えばδ=0〜0.4)をもつ基材で形成されている。上記組成式においてB元素はサマリウム(Sm)及びガドリニウム(Gd)のうちの1種または2種とされている。
【0111】
ところで、セリア系酸化物の電解質は低温では電子伝導成分が比較的少ないものの、温度が高くなると電子伝導成分が多くなる傾向をもつので、700℃以上の高温領域T3において固体酸化物形電解質10Dとして使用するには好ましくない。そこで図11に示す本実施例によれば、管状の電池モジュール19Dについて中温領域T2では、固体酸化物形電解質10Dは、中温領域T2においてイオン伝導性が良好なイットリア安定化ジルコニアを基材としたり、あるいは、スカンジア安定化ジルコニアを基材として形成されている。
【0112】
更に管状の電池モジュール19Dの高温領域T3では、固体酸化物形電解質10Dはイットリア安定化ジルコニアを基材として形成されている。高温領域T3でのイオン伝導性が良好であること、電子伝導成分が小さいことを考慮したものである。
【0113】
しかして、セリア系酸化物とジルコニアとが混在した固溶体は、イオン伝導性を低下させるおそれがある。この点本実施例のように、単一の電池セル1Dを複数個、直列的に結合して管状の電池モジュール19Dを形成しているため、低温側の電池セル1Dの固体酸化物形電解質10Dをセリア系酸化物を基材として形成し、且つ、高温側の電池セル1Dの固体酸化物形電解質10Dをジルコニアを基材として形成にすれば、セリア系酸化物とジルコニアとの相互拡散を抑えることができ、これにより上記固溶体を生成するおそれを低減または回避することができる。
【0114】
(その他)
第1実施例によれば、電池セル1は、固体酸化物形電解質10と、固体酸化物形電解質10の厚み方向の一方側(外周側)に設けられた筒形状をなす多孔質のアノード11と、固体酸化物形電解質10の厚み方向の他方側(内周側)に設けられた筒形状をなす多孔質のカソード12とをもつ。これに限らず、アノード11は、固体酸化物形電解質10の厚み方向の他方側(内周側)に設けられいても良い。カソード12は、固体酸化物形電解質10の厚み方向の一方側(外周側)に設けられていても良い。
【0115】
上記した各実施例では低温領域、中温領域、高温領域は相対的なものであり、上記した温度範囲に限定されるものではない。従って第1実施例によれば、高温領域T3は900〜1100℃とされているが、これに限らず、電池セルの種類に応じてプラスマイナス100℃程度またはプラスマイナス50℃程度上下させても良い。低温領域T1は500〜700℃未満とされているが、これに限らず、電池セルの種類に応じてプラスマイナス100℃程度またはプラスマイナス50℃程度上下させても良い。中温領域T2は700〜900℃未満とされているが、これに限らず、電池セルの種類に応じてプラスマイナス100℃程度またはプラスマイナス50℃程度上下させても良い。
【0116】
第1実施例によれば、固体酸化物形電解質10は円筒形状されているが、角筒形状でも良い。固体酸化物形燃料電池システムにおいて電池セルの数は上記に限定されるものではない。
【0117】
第3実施例によれば、固体酸化物形電解質10Cは長さ方向の一端領域(上端領域)が高温領域T3となり、固体酸化物形電解質10Cの長さ方向の他端領域(下端領域)が低温領域T1となる。これに限らず、固体酸化物形電解質10Cは長さ方向の一端領域(上端領域)が低温領域となり、固体酸化物形電解質10Cの長さ方向の他端領域(下端領域)が高温領域としても良い。
【0118】
第4実施例によれば、管状の電池モジュール19Dの長さ方向の一端領域(上端領域)が高温領域T3となり、管状の電池モジュール19Dの長さ方向の他端領域(下端領域)が低温領域T1となるが、これに限らず、管状の電池モジュール19Dの長さ方向の一端領域(上端領域)が低温領域となり、管状の電池モジュール19Dの長さ方向の他端領域(下端領域)が高温領域としても良い。
【0119】
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、固体酸化物形燃料電池システムの全体構造は上記したものに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で必要に応じて適宜変更できる。上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
【0120】
(付記項1)イオン伝導性を有する固体酸化物形電解質と、固体酸化物形電解質の一方側に設けられたアノードと、固体酸化物形電解質の他方側に設けられたカソードと、アノードに燃料を供給する燃料電池供給通路と、カソードに酸化剤を供給する酸化剤供給通路とをもつ固体酸化物形燃料電池システムにおいて、
固体酸化物形電解質は、部位に応じて作動温度が異なる方式であり、
更に、アノードは、固体酸化物形電解質の作動温度が相対的に高温である高温領域におけるアノード組成と、相対的に低温である低温領域におけるアノード組成とが異なるように設定されていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。作動温度の温度勾配に応じてアノード組成を傾斜組成とすることもできる。
【0121】
(付記項2)イオン伝導性を有する固体酸化物形電解質と、固体酸化物形電解質の一方側に設けられたアノードと、固体酸化物形電解質の他方側に設けられたカソードと、アノードに燃料を供給する燃料電池供給通路と、カソードに酸化剤を供給する酸化剤供給通路とをもつ固体酸化物形燃料電池システムにおいて、
固体酸化物形電解質は、部位に応じて作動温度が異なる方式であり、
更に、カソードは、固体酸化物形電解質の作動温度が相対的に高温である高温領域におけるカソード組成と、相対的に低温である低温領域におけるカソード組成とが異なるように設定されていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。作動温度の温度勾配に応じてカソード組成を傾斜組成とすることもできる。
【0122】
(付記項3)イオン伝導性を有する固体酸化物形電解質と、固体酸化物形電解質の一方側に設けられたアノードと、固体酸化物形電解質の他方側に設けられたカソードと、アノードに燃料を供給する燃料電池供給通路と、カソードに酸化剤を供給する酸化剤供給通路とをもつ固体酸化物形燃料電池システムにおいて、
固体酸化物形電解質は、部位に応じて作動温度が異なる方式であり、
更に、インターコネクタは、固体酸化物形電解質の作動温度が相対的に高温である高温領域におけるインターコネクタ組成と、相対的に低温である低温領域におけるインターコネクタ組成とが異なるように設定されていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。作動温度の温度勾配に応じてインターコネクタ組成を傾斜組成とすることもできる。
【0123】
(付記項4)イオン伝導性を有する固体酸化物形電解質と、固体酸化物形電解質の一方側に設けられたアノードと、固体酸化物形電解質の他方側に設けられたカソードとを有する電池セルを用い、複数個の電池セルを接合して構成されたモジュールを有する固体酸化物形燃料電池システムにおいて、モジュールは部位に応じて作動温度が異なる方式であり、更に、モジュールを構成する電池セルの固体酸化物形電解質は、モジュールの作動温度が相対的に高温である高温領域における組成と、モジュールの作動温度が相対的に低温である低温領域における組成とが異なるように設定されていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
【0124】
【発明の効果】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池システムによれば、固体酸化物形電解質は、作動温度が相対的に高温である高温領域における組成と、相対的に低温である低温領域における組成とが異なるように設定されている。このため固体酸化物形電解質の高温領域において、高温領域で高いイオン伝導性が得られる組成が採択される。固体酸化物形電解質の低温領域において、低温領域で高いイオン伝導性が得られる組成が採択される。これにより固体酸化物形電解質の高温領域においても低温領域においても良好に発電することができ、発電効率の向上が図られる。このため固体酸化物形電解質の全体を高温領域に維持せずとも良く、固体酸化物形燃料電池システムの立ち上がり時間の短縮化を図ることができる。
【0125】
更に固体酸化物形電解質の全体を高温領域に維持せずとも良いため、システムの運転時における外部への熱リーク量も抑制される。更に固体酸化物形電解質の低温領域をシール部でシールするようにすれば、シール部の熱劣化を抑えることができ、シール部の材質の選択の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る筒形状の電池セルの斜視図である。
【図2】第1実施例に係る筒形状の固体酸化物形電解質の斜視図である。
【図3】第1実施例に係る固体酸化物形燃料電池システムの断面図である。
【図4】第1実施例に係る筒形状の固体酸化物形電解質を用いたときにおける計算例を示す構成図である。
【図5】比較例に係る筒形状の固体酸化物形電解質を用いたときにおける計算例を示す構成図である。
【図6】(A)は平板状の固体酸化物形電解質をアノード及びカソードで挟んだ電池セルの断面図であり、(B)は平板状の固体酸化物形電解質の平面図である。
【図7】(A)は平板状の固体酸化物形電解質をアノード及びカソードで挟んだ電池セルの断面図であり、(B)は平板状の固体酸化物形電解質の平面図である。
【図8】第2実施例に係る固体酸化物形燃料電池システムの斜視図である。
【図9】第3実施例に係る固体酸化物形燃料電池システムの斜視図である。
【図10】第3実施例に係る別の形態に係る固体酸化物形燃料電池システムの要部の断面図である。
【図11】第4実施例に係る固体酸化物形燃料電池システムの要部の断面図である。
【図12】従来技術に係る固体酸化物形燃料電池システムの概念図である。
【符号の説明】
図中、1は電池セル、10は固体酸化物形電解質、11はアノード、12はカソード、24は燃料供給通路、26は空気供給通路(酸化剤供給通路)、30は燃焼部、34,35はインターコネクタを示す。

Claims (7)

  1. イオン伝導性を有する固体酸化物形電解質と、前記固体酸化物形電解質の一方側に設けられたアノードと、前記固体酸化物形電解質の他方側に設けられたカソードとを有する電池セルと、
    前記電池セルの前記アノードに燃料を供給する燃料電池供給通路と、
    前記電池セルの前記カソードに酸化剤を供給する酸化剤供給通路とをもつ固体酸化物形燃料電池システムにおいて、
    前記固体酸化物形電解質は、単一の電池セルまたは単一の電池セルを複数個組み付けた単一の電池モジュールにおいて、部位に応じて作動温度が異なる方式であり、
    更に、前記固体酸化物形電解質は、単一の電池セルまたは単一の電池セルを複数個組み付けた単一の電池モジュールにおいて、作動温度が相対的に高温である高温領域における組成と、相対的に低温である低温領域における組成とが異なるように設定されており、前記低温領域における電力密度が高められていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
  2. 請求項1において、前記固体酸化物形電解質を加熱する加熱部が設けられており、前記加熱部は、単一の電池セルまたは単一の電池セルを複数個組み付けた単一の電池モジュールにおいて、前記固体酸化物形電解質において相対的に低温である低温領域から相対的に高温である高温領域を有する温度勾配を生じるように設けられており、
    前記固体酸化物形電解質は、相対的に低温である低温領域から相対的に高温である高温領域にかけて組成が全体として傾斜的に変化するように設定された電解質部分を有しており、前記低温領域における電力密度が高められていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
  3. 請求項1または請求項2において、前記固体酸化物形電解質をシールするシール部が設けられており、前記シール部は前記固体酸化物形電解質のうち相対的に低温の低温領域をシールしていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項において、前記固体酸化物形電解質は、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、A元素(A元素はコバルト(Co)及びニッケル(Ni)のうちの1種または2種)を主要成分とする酸化物、または、セリア系酸化物、または、ジルコニア系酸化物のいずれかを基材としていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
  5. 請求項4において、前記固体酸化物形電解質は、
    ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、A元素(A元素はコバルト(Co)及びニッケル(Ni)のうちの1種または2種)を主要成分とする酸化物を基材とする組成領域を有しており、
    当該組成領域において作動温度が上昇する部位に移行するにつれて、モル比でマグネシウム(Mg)が増加すると共にA元素が減少する(0モルも含む)ように設定されている電解質部分を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
  6. 請求項4において、前記固体酸化物形電解質は、作動温度が相対的に低温の低温領域及び作動温度が相対的に中温の中温領域では、イットリア及びスカンジアを含む安定化ジルコニアを主要成分とする酸化物を基材とする組成領域を有しており、
    当該組成領域において作動温度が上昇する部位に移行するにつれてモル比でイットリウム(Y)が相対的に増加すると共にスカンジウム(Sc)が相対的に減少するように設定されている電解質部分を有しており、且つ
    前記固体酸化物形電解質は、作動温度が相対的に高温である高温領域では、イットリアを含む安定化ジルコニア系の酸化物を基材としていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
  7. 請求項4において、前記固体酸化物形電解質は、
    作動温度が相対的に低温である低温領域では、セリウム(Ce)、B元素(B元素はサマリウム(Sm)及びガドリニウム(Gd)のうちの1種または2種)を主要成分とするセリア系の酸化物であり、且つ、
    作動温度が相対的に高温の高温領域ではイットリア及びスカンジアのうちの少なくとも一方を含む安定化ジルコニア系の酸化物を基材としていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
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