JP2010257738A - 燃料電池および燃料電池装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池10は、アノード流体が供給されるアノード11と、カソード流体が供給されるカソード12と、アノード11とカソード12とで挟まれた固体酸化物形の電解質層15とを有する。発電運転されるとき燃料電池10において他の領域よりも相対的に高温となる高温領域10hを有する温度分布が形成されている。高温領域10hは、他の領域よりも発電反応を抑える反応抑制部を有する。
【選択図】図1
Description
図1〜図4は実施形態1を示す。図1は燃料電池の斜視図を示す。本実施形態に係る燃料電池(セル)10は、図1および図4に示すように、アノード流体としてのアノードガスが供給されるアノード11と、カソード流体としてのカソードガスが供給されるカソード12と、厚み方向においてアノード11とカソード12とで挟まれた固体酸化物形の電解質層15とを有する。アノード11側には、ガス通気性および導電性を有する集電用の多孔質導電部11wがアノード11に隣設されており、アノードガスを通過させる通路11rを有する。多孔質導電部11wには電気取り出し用のコネクタ10xが隣設されている。
(アノード反応)…H2+O2−→H2O+2e−
(アノードガスにCOが含まれている場合のアノード反応)…CO+O2−→CO2+2e−
本実施形態によれば、燃料電池10が発電運転されるとき、燃料電池10が発電反応により発熱し、燃料電池10において温度分布が形成される。具体的には、本実施形態に係る反応抑制部が形成されていないとき、燃料電池10の高さ方向(矢印H方向)については、図3の特性線T10として示すように、燃料電池10の高さ方向の端側は相対的に低温な低温領域であり、燃料電池10の高さ方向の中央側は相対的に高温となる。端側は放熱し易く、中央側は熱こもり易いためである。
図5は実施形態2を示す。本実施形態は上記した実施形態1と基本的には共通する構成および共通する作用効果を有する。図5に示すように、反応抑制部として機能するバリヤ層17は、厚み方向において、カソード12と電解質層15との境界に形成されている。このため発電運転時において、カソードガスに含まれている酸素がカソード反応により酸素イオン(O2−)となり、その酸素イオンがカソード12をこれの厚み方向に透過したとしても、酸素イオンが電解質層15に到達することはバリヤ層17により抑制される。ひいては酸素イオンがアノード11に到達することが抑制される。結果として、アノード反応が抑制される。アノード反応は酸素イオンを必要とするためである。このため、反応抑制部であるバリヤ層17が形成されていないときに比較して、燃料電池10の高温領域10hにおける発電反応(アノード反応)が抑制され、高温領域10hにおける発熱が低下される。結果として、燃料電池10の温度分布において高温領域10hの温度が抑制され、燃料電池10の温度分布において高低差が低減される。バリヤ層17の材質としては珪酸ガラス層(電気絶縁性、ガス不透過性)が例示されるが、これに限定されるものではない。なお、図5に示す実施形態においても、図示されているバリヤ層17の他に、図示しないもののカソード12の表面にバリヤ層を通路32rに対面させるように形成させても良い。
図6は実施形態3を示す。本実施形態は上記した各実施形態と基本的には共通する構成および共通する作用効果を有する。図6に示すように、燃料電池10の高温領域10hにおいては、高温領域10h以外の他の領域よりも発電反応を抑える第1反応抑制部として機能する第1バリヤ層17fがカソード12に設けられている。すなわち、第1バリヤ層17fは、酸素および/または酸素イオンの透過を抑制するものであり、カソード12の表面に積層されて形成されており、カソードガスが通過する通路32rに対面するようにカソード12の表面に表出されている。このためカソードガスに含まれている酸素は、第1バリヤ層17fのためカソード12に到達しにくい。故に、高温領域10hにおいてカソード反応が抑制され、酸素イオンがカソード12の高温領域10hにおいて生成されることが抑制される。このように高温領域10hにおいては、酸素イオンがアノード11に到達しにくくなるため、アノード11におけるアノード反応も抑制される。アノード反応は、酸素イオンを必要とするためである。
図7は実施形態4を示す。本実施形態は上記した各実施形態と基本的には共通する構成および共通する作用効果を有する。図7に示すように、高温領域10hにおいては、高温領域10h以外の他の領域よりも発電反応を抑える第1反応抑制部として機能する第1バリヤ層17fがカソード12に設けられている。すなわち、第1バリヤ層17fは、酸素および/または酸素イオンの透過を抑制するものであり、カソード12の表面に積層されて形成されており、カソードガスが通過する通路32rに対面するようにカソード12の表面に表出されている。このためカソードガスに含まれている酸素は、第1バリヤ層17fのためカソード12に到達できない。故に、高温領域10hにおいてカソード反応が抑制され、酸素イオンがカソード12の高温領域10hにおいて生成されることが抑制される。ひいては、高温領域10hにおいては、酸素イオンがアノード11に到達しにくくなるため、アノード反応も抑制される。
図8は実施形態5を示す。本実施形態は上記した各実施形態と基本的には共通する構成および共通する作用効果を有する。図8に示すように、電解質層15の厚みを高温領域10hにおいて他の部位(高温領域10h以外の部位)よりも部分的に厚くし、電解質層15をこれの厚み方向に透過する酸素イオンのイオン伝導性を低下させることにより、反応抑制部16は構成されている。具体的には、反応抑制部16は、電解質層15の厚みが他の部位(高温領域10h以外の部位)よりもΔt1ぶん厚い第1厚肉部15fと、第1厚肉部15fよりもΔt2ぶん厚い第2厚肉部15sとを有する。第2厚肉部15sは、高温領域10hにおいて最も温度が高くなる部位に相当する。電解質層15の厚みが厚いと、電解質層15をこれの厚み方向に透過する酸素イオンのイオン伝導性が低下する。このため、酸素イオンがアノード11に透過しにくくなり、高温領域10hにおいてアノード反応が抑制され、高温領域10hの温度が低下する。結果として、反応抑制部16が形成されていないときに比較して、燃料電池10の高温領域10hにおける発電反応(カソード反応およびアノード反応)が抑制され、高温領域10hにおける発熱が低下される。
図9は実施形態6を示す。本実施形態は上記した各実施形態と基本的には共通する構成および共通する作用効果を有する。燃料電池10の高温領域10hにおいて、バリヤ層17がカソード12の表面に積層されている。バリヤ層17の厚みtbが薄いと、酸素の透過を抑制させるバリヤ性は低くなる。これに対して、バリヤ層17の厚みtbが厚いと、酸素の透過を抑制させるバリヤ性は高くなる。そこで、高温領域10hにおいて最も高温となる最高温度部位10maxにおいて、バリヤ層17の厚みが最も厚く設定されている。そして、最高温度部位10maxから離れるにつれて、バリヤ層17の厚みは次第に薄くされている。なお、バリヤ層17の厚みの調整は、塗布回数を増加させることにより行い得る。あるいは、厚みに変化をもたせたバリヤ材料を後づけて積層させても良い。
図10は実施形態7を示す。本実施形態は上記した各実施形態と基本的には共通する構成および共通する作用効果を有する。図10に示すように、高温領域10hにおいては、電解質層15の厚みを他の部位(高温領域10h以外の部位)よりも部分的に厚くし、電解質層15を厚み方向に透過する酸素イオンのイオン伝導性を低下させることにより、第1反応抑制部16fが構成されている。ここで、高温領域10hのうち中央付近である最高温度部位10maxについては、電解質層15の厚みが最も厚くされており、電解質層15の厚み方向における酸素イオンのイオン伝導の抵抗が最も高くされている。
図11は実施形態8を示す。本実施形態は上記した各実施形態と基本的には共通する構成および共通する作用効果を有する。図11に示すように、高温領域10hにおいては、カソード12の他の部位(高温領域10h以外の部位)よりも厚みを部分的に厚くし、カソード12をこれの厚み方向に透過する酸素および/または酸素イオンの透過性を低下させることにより、反応抑制部16は構成されている。カソード12の厚みが厚いと、カソード12を厚み方向に透過する酸素および/または酸素イオンの透過性が低下するため、酸素イオンがカソード12を厚み方向に透過しにくくなり、ひいてはアノード11に到着しにくくなり、高温領域10hにおいてアノード反応が抑制される。
図12は実施形態9を示す。本実施形態は上記した各実施形態と基本的には共通する構成および共通する作用効果を有する。カソード12等に積層させるバリヤ層17の投影面積が大きい場合には、高温領域10hにおいて発電反応が制限されるため、高温領域10hの温度が低下するものの、過剰に低下するおそれがある。投影面積とは、カソード12の面垂直方向から投影した投影面積を意味する。本実施形態によれば、図12に示すように、燃料電池10の高温領域10hにおいて、燃料電池10の幅方向(矢印D方向)において、複数のバリヤ層17が間隔を隔てて散点状(孤立状)に並設されている。すなわち、燃料電池10の幅方向(矢印D方向)において、複数のバリヤ層17は互いに孤立しており、非連続状とされている。高温領域10hにおいて、バリヤ層17が形成されていない領域、すなわち隣設するバリヤ層17間の発電部位17xでは、バリヤ材料が存在していないので、発電反応が発生し、電流が発生する。
図13は実施形態10を示す。本実施形態は上記した各実施形態と基本的には共通する構成および共通する作用効果を有する。図13に示す形態によれば、カソード12の表面に積層されている複数のバリヤ層17は、帯状または線状とされており、互いに孤立しつつ、発電室32の通路32rにおけるカソードガスの流れに沿ってスタック1の高さ方向(矢印H方向)に沿って延設されている。バリヤ層17の材質としては、電気絶縁性およびガス不透過性を有することが好ましく、珪酸ガラスが例示される。
図14は実施形態11を示す。本実施形態は上記した各実施形態と基本的には共通する構成および共通する作用効果を有する。図14に示す形態によれば、高温領域10hにおいて、円形状のバリヤ層17が複数個並設されている。高温領域10hにおいて最高温度部位10maxではバリヤ層17の投影面積が増加するようにされている。すなわち、燃料電池10の幅方向(矢印D方向)および高さ方向(矢印H方向)における中央領域は、高温領域10hに相当する。高温領域10hにおける中央部が最高温度部位10maxに相当する。このため、幅方向(矢印D方向)について、カソード12の表面における中央領域においては、バリヤ層17の投影面積は大きくされている。従って、高温領域10hにおける最高温度部位10maxではバリヤ層17の投影面積が相対的に大きいため、高温領域10hにおける発電反応が効果的に抑制されて、温度を低下させ得る。そして図14に示すように、高温領域10hの最高温度部位10maxから距離的に離間するにつれて、バリヤ層17の並設密度は低下し、単位面積当たりのバリヤ層17の投影面積が低下している。バリヤ層17の材質としては、電気絶縁性およびガス不透過性を有することが好ましく、珪酸ガラスが例示される。
図15は実施形態12を示す。図15に示す形態によれば、燃料電池装置として機能するスタック装置は、燃料電池10を所定間隔で列として並設させたスタック1と、スタック1の下部に配置されたアノードガスマニホルド13と、スタック1の上方に配置された蒸発部20および改質部22を有する。燃料電池10は、断熱層で区画された発電室32において、カソードガスを通過させる所定の通路32rを介して列状に並設されている。
CH4+H2O→3H2+CO
CnHmが炭化水素の一般的な化学式であるとすると、水蒸気改質の一般式は次の(1−1)式のようになる。n=1、m=4であると、メタンの水蒸気改質の式が得られる。
生成された水素を含有するアノードガスは、アノードガス通路14およびアノードガスマニホルド13を介して、燃料電池10のアノード11の通路11rに供給されて発電に使用される。
図16は実施形態13を示す。基体300は、アノードガスが供給される発電室310と入口312と出口314とをもつ。燃料電池1は基体300の発電室310に収容されている。電解質層15は、底部15vおよびカソードガス室15rを有する円筒形状をなす。カソードガス室15rには挿入管155が挿入されている。電解質層15の内面にはカソード12が積層されている。電解質層15の外面にはアノード11が積層されている。電解質層15,アノード11およびカソード12の材質としては、実施形態1と共通させることができる。燃料電池10が発電するとき、カソードガスは挿入管155からカソードガス室15rに供給される。アノードガスは発電室310に供給される。酸素を含むカソードガスが供給されるカソード12は、カソード反応を発生させ、カソードガスに含まれる酸素(O2)から酸素イオン(O2−)を発生する。酸素イオン(O2−)は、カソード12を厚み方向に透過し、更に電解質層15(酸素イオン伝導体,イオン伝導体)を厚み方向に透過し、アノード11に到達する。入口312から発電室310に供給されたアノードガスがアノード11に到達すると、アノード11はアノード反応を発生させる。
(アノード反応)…H2+O2−→H2O+2e−
本実施形態によれば、前記した各実施形態と同様に、燃料電池10が発電運転されるとき、燃料電池10において温度分布(図16の特性線T5)が形成される。具体的には、燃料電池10の高さ方向(矢印H方向)については、燃料電池10の高さ方向の端側は相対的に低温な低温領域であり、燃料電池10の高さ方向の中央側は相対的に高温となる高温領域10hである。高温領域10hは、燃料電池10の高さ方向における中央領域に相当する。ここで、高温領域10hとは、本実施形態に係る反応抑制部が形成されていないときにおいて、所定温度Ts以上を示す高温の領域を意味する。一例として、高温領域10hは例えば450〜1100℃の範囲内であり、低温領域は例えば400〜1000℃の範囲内であり、その温度範囲において高温領域10hは低温領域よりも相対的に高い温度を示す。
図17は実施形態14を示す。燃料電池装置として機能するスタック装置は、複数個の燃料電池10を並設方向(矢印L方向)に並設して形成された燃料電池群100をアノードマニホルド13に組み付けて構成されている。各燃料電池10同士の間には集電コネクタ部材19が配置されており、各燃料電池10同士は電気的に繋がれている。燃料電池群100を構成する各燃料電池10は、発電運転されるとき、前述した実施形態と同様に、各燃料電池10において所定の温度以上に高温となる高温領域10hを有する温度分布を示す。高温領域10hは、各燃料電池10の面方向(表面が延設されている方向)における中央付近に対応する。
図18は実施形態15の燃料電池装置として機能するスタック装置を示す。スタック装置は、複数個の燃料電池10を並設方向(矢印L方向)に並設して形成された燃料電池群100を有する。本実施形態によれば、バリヤ層17の反応抑制能力は、端領域100eでは中央領域100mよりも小さく設定されている。すなわち。バリヤ層17の反応抑制能力は、端領域100eよりも中央領域100mでは大きく設定されている。
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。図15ではスタック1は2列に設けられているが、これに限らず、1列設けられている構造でも良い。スタック1は、複数の平板型の燃料電池10を厚み方向に積層して形成されているが、これに限らず、複数のチューブ型の燃料電池10を組み付けてスタックを形成しても良い。本明細書の記載から次の技術的思想が把握される。
Claims (7)
- アノード流体が供給されるアノードと、カソード流体が供給されるカソードと、前記アノードと前記カソードとで挟まれた固体酸化物形の電解質層とを具備する燃料電池であって、前記燃料電池は、発電運転されるとき前記燃料電池において所定の温度以上に高温となる高温領域を有する温度分布を示し、前記高温領域は、前記高温領域以外の領域よりも発電反応を抑える反応抑制部を有する燃料電池。
- 請求項1において、前記反応抑制部は、前記高温領域において、前記カソード、前記アノードおよび前記電解質層のうちの少なくとも一つに、バリヤ層を形成することにより構成されている燃料電池。
- 請求項2において、前記バリヤ層は複数個並設されており、前記高温領域において相対的に高温の部位では相対的に低温の部位よりも前記バリヤ層の並設密度を高くするように構成されている燃料電池。
- 請求項2において、前記バリヤ層は、前記高温領域において相対的に高温の部位では相対的に低温の部位よりも前記バリヤ層の厚みを厚くするように構成されている燃料電池。
- 請求項1において、前記反応抑制部は、前記高温領域において、前記高温領域以外の部位よりも、前記電解質層の厚みを厚くして前記電解質層を透過するイオンのイオン伝導性を低下させることにより構成されている燃料電池。
- 請求項1において、前記アノードはアノード触媒を有しており、前記反応抑制部は、前記高温領域において前記アノード触媒の単位体積あたりの担持量を前記高温領域以外の部位よりも低下させることにより構成されている燃料電池。
- アノード流体が供給されるアノードと、カソード流体が供給されるカソードと、前記アノードと前記カソードとで挟まれた固体酸化物形の電解質層とを具備する燃料電池を有し、複数個の前記燃料電池を並設方向に並設して形成された燃料電池群を有する燃料電池装置であって、
前記燃料電池群は、発電運転されるとき各前記燃料電池において所定の温度以上に高温となる高温領域を有する温度分布を示し、前記燃料電池における前記高温領域は、前記高温領域以外の領域よりも発電反応を抑える反応抑制部を有しており、
前記反応抑制部の反応抑制能力は、前記燃料電池群における前記並設方向の中央領域では端領域よりも大きく設定されている燃料電池装置。
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